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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099155
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】入浴剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20240718BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61K8/19
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002883
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】507093101
【氏名又は名称】アースコンシャス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150142
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 礼路
(74)【代理人】
【識別番号】100174849
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 理生
(72)【発明者】
【氏名】松尾 修
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB311
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB331
4C083AB351
4C083AB361
4C083AB362
4C083BB21
4C083BB41
4C083CC25
4C083DD16
4C083DD17
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE41
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、従来よりも温泉気分を演出することができ、湯を弱酸性に傾け美肌効果を促進し、なおかつ配合成分の種類が少ない入浴剤組成物を提供することにある。
【解決手段】成物中の前記硫酸マグネシウムの含有量と前記炭酸カルシウムの含有量との和が、99質量%以上であり、入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上であり、なおかつ入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が使用量1回分に対して10g以上である入浴剤組成物は、湯が白濁し、従来よりも温泉気分を演出することができる。また、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムだけであるため製造することが非常に容易である。
【選択図】 なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入浴剤組成物であって、
硫酸マグネシウム(エプソムソルト)と、炭酸カルシウムとを含み、
前記入浴剤組成物中の前記硫酸マグネシウムの含有量と前記炭酸カルシウムの含有量との和が、99質量%以上であり、
前記入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上である、入浴剤組成物。
【請求項2】
香料をさらに含む、請求項1に記載の入浴剤組成物。
【請求項3】
粉末または錠剤の形態である、請求項1または2に記載の入浴剤組成物。
【請求項4】
前記入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量は、使用量1回分に対して10g以上である、請求項1または2に記載の入浴剤組成物。
【請求項5】
入浴剤組成物であって、
硫酸マグネシウム(エプソムソルト)と、炭酸カルシウムとを前記入浴剤組成物に含み、
さらに、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、塩塩(NaCl)、色素および/または着色料を前記入浴剤組成物を含んでいてもよく、
前記入浴剤組成物中の前記硫酸マグネシウムの含有量と前記炭酸カルシウムの含有量と、前記硫酸ナトリウム(Na2SO4)、前記炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、前記塩塩(NaCl)、前記色素および/または前記着色料の含有量との和が、99質量%以上であり、
前記入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上である、入浴剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、自宅で優雅なバスタイムを過ごして、クオリティオブライフを向上させる傾向にある。リラックス効果や美肌効果、温浴効果、疲労回復効果など、種々の効果を得るために、入浴剤が使用されている。またコロナ禍により外出や第三者との接触を慎む傾向もあり、自宅のお風呂で手軽に楽しめる入浴剤は需要が増している。
【0003】
硫酸マグネシウム(エプソムソルト)を成分として含む入浴剤は、体を温める作用があり、入浴剤において一般的に使用されている。(特許文献1~7)。硫酸マグネシウムには、美肌およびリラックス効果、疲労回復、肩こり、腰痛の緩和などの種々の効果を有することが知られている。硫酸マグネシウムは、お湯に溶かした際に無色透明となる。
【0004】
また、炭酸カルシウムも、入浴剤において一般的に使用されている。炭酸カルシウムは、美肌およびリラックス効果、pH調整機能を有することが知られている。
【0005】
国内市場では、常に目新しいものが求められている。また、入浴剤業界ではコロナ禍で温泉旅行を控えていた傾向があるため、自宅で温泉気分を味わうことができる入浴剤が求められている。より温泉に近い雰囲気を演出できる入浴剤を得るために、多くの成分を配合した製品が多数存在しており、硫酸マグネシウムを含有する入浴剤も存在する。
【0006】
一方、特に現代の日本では、家庭内での入浴時間がまちまちであるため、追い焚き機能を備えた浴槽のある家庭が一般的になっている。そのため、入浴剤にも風呂釜を傷めないものが求められているが、この点で、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)は、風呂釜を傷めないことが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2021-6510号公報
【特許文献2】特開2017-31072号公報
【特許文献3】特開2010-190号公報
【特許文献4】特開2010-22624号公報
【特許文献5】特開2010-22454号公報
【特許文献6】特開2009-46457号公報
【特許文献7】特開平10-182424号公報
【特許文献8】特願昭61-192728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
温泉気分を味わうためには、お湯が白く濁っていることが望まれる。硫酸マグネシウム(エプソムソルト)を主成分とする入浴剤は、硫酸マグネシウムを溶かしたお湯が無色透明であるため、温泉のような白い濁りを得るためには他の成分を配合しなければならない。一方で、お湯を温泉のように白濁させるために多数の成分を配合すると、製造に手間が掛かり製造費用が高くなってしまうという問題がある。また、天然の白濁した温泉に含まれる代表的な成分は硫黄であるが、硫黄成分を入浴剤に配合しようとすると風呂釜や配管を傷めてしまうため追い焚きができなくなってしまうという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、お湯を白濁させ従来よりも温泉気分を演出することができるとともに、追い焚きができ、かつ配合成分の種類が少なく製造の手間が掛からず製造コストを抑えることができる入浴剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明者は、鋭意研究の結果、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)および炭酸カルシウムだけを配合した入浴剤組成物であっても、その配合量を調整することにより、お湯を白濁させると共に追い焚きもでき、温泉様の入浴効果も得られることを見出した。
【0011】
本発明は、入浴剤組成物であって、
硫酸マグネシウム(エプソムソルト)と、炭酸カルシウムとを含み、
前記入浴剤組成物中の前記硫酸マグネシウムの含有量と前記炭酸カルシウムの含有量との和が、99質量%以上であり、
前記入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上であるである、入浴剤組成物を提供する。
【0012】
また、本発明は、香料をさらに含む、上記入浴剤組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、粉末または錠剤の形態である、上記入浴剤組成物を提供する。
【0014】
また、本発明は、入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量は、使用量1回分に対して10g以上である、上記入浴剤組成物を提供する。
【0015】
また、本発明は、入浴剤組成物であって、
硫酸マグネシウム(エプソムソルト)と、炭酸カルシウムとを前記入浴剤組成物に含み、
さらに、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、塩塩(NaCl)、色素および/または着色料を前記入浴剤組成物を含んでいてもよく、
前記入浴剤組成物中の前記硫酸マグネシウムの含有量と前記炭酸カルシウムの含有量と、前記硫酸ナトリウム(Na2SO4)、前記炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、前記塩塩(NaCl)、前記色素および/または前記着色料の含有量との和が、99質量%以上であり、
前記入浴剤組成物中の前記炭酸カルシウムの含有量が10質量%以上である、入浴剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)の効能により、デトックス効果、リラックス効果、温浴効果、疲労回復効果を呈することができる。また、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムを主成分(99質量%以上)としているため、肌のキメを整えて、潤いを与えることができる。同時に、入浴剤使用量1回分に対して10g以上の量で含まれる炭酸カルシウムの働きで湯を弱酸性に傾け、いっそうの美肌効果が得られる。さらに、湯が白く濁り、従来品よりも温泉気分を演出することができる。
【0017】
また、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)の含有量と炭酸カルシウムの含有量との和が99質量%以上である本発明の入浴剤組成物は、追い焚きをしても風呂釜が傷むのを防ぐことができる。
【0018】
したがって、本発明の入浴剤組成物は、従来よりも温泉気分を演出することができるとともに、風呂釜を傷めないものである。また、本発明の入浴剤組成物は、その成分が硫酸マグネシウム(エプソムソルト)および炭酸カルシウムだけであるため製造することが非常に容易である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の入浴剤組成物は、入浴時に浴槽の湯に投入して利用することができる入浴剤組成物である。本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウム(エプソムソルト)を含む。硫酸マグネシウムは、リラックス効果、温浴効果、美肌効果、疲労回復効果およびデトックス効果を与えることができる。また、本発明の入浴剤組成物は、炭酸カルシウムを入浴剤10質量%以上で含む。たとえば、本発明の入浴剤組成物は、炭酸カルシウムを入浴剤使用量1回分に対して10g以上の量で含む。それにより、浴槽の湯を白濁させることができ、入浴者に温泉気分を与えることができる。また、湯のpHを調節して弱酸性に傾け美肌効果を促進する。加えて、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが主成分であることにより、肌のキメを整えて、潤いを与えることができる。一方で、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムが主成分であることにより、追い焚きをしても風呂釜を傷めることがない。
【0020】
以下、本発明の入浴剤組成物を詳細に説明する。ただし、以下は単なる例示であり、本発明は以下に説明する態様に限定されるものではない。
【0021】
[入浴剤組成物]
本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウムを含む。硫酸マグネシウム(MgSO4)は、エプソムソルト(エプソム塩)と呼ばれる成分であり得る。硫酸マグネシウムは、無色および無臭である。また、硫酸マグネシウムは、浴槽や風呂釜を傷める硫黄や塩分が入っておらず、入浴後の後処理が容易である。硫酸マグネシウムは、豆腐の凝固剤としても用いられている、人体に悪影響はない。なお、「エプソム」という名は、イングランドのエプソムという場所で発見されたものであるからである。
【0022】
マグネシウムは、ストレスの蓄積により体内から減少していく成分である。マグネシウムの欠乏は、イライラを引き起こす。硫酸マグネシウムを含んだ本発明の入浴剤組成物を用いた入浴により、肌からマグネシウムを摂取することができる。それにより、使用者のイライラを緩和でき、精神的ストレスなどによる神経の興奮を抑えて自律神経を整えてくれるなど体調改善を果たすことができる。また、体内のデトックスや筋肉疲労、疲労回復にも有効である。
【0023】
また、硫酸マグネシウムは、腸の働きを活発にすることができ、便秘の解消や美肌・リラックス効果などを提供することができる。また、代謝を上げることができ、ダイエット効果も得られる。
【0024】
そして、硫酸マグネシウムには硫黄や塩分が入っていないため、溶解させた湯を追い焚きしても、風呂釜や配管を傷めることがない。
【0025】
また、本発明の入浴剤組成物は、炭酸カルシウム(CaCO3)をさらに含む。炭酸カルシウムは、硫酸マグネシウムと配合された状態で湯に溶解されることにより、湯を乳白色にすることができる。これにより、従来よりも温泉気分を高めることができる。さらに、炭酸カルシウムは、食品添加剤の一種であるため、人体に悪影響もなく、pH調整機能によって湯を弱酸性に傾け美肌効果を促進する。また、炭酸カルシウムは、風呂釜を傷めるほどの反応性がなく、炭酸カルシウムを溶解させた湯を追い焚きしても風呂釜を傷めることはない。
【0026】
本発明の入浴剤組成物中の硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和が、99質量%以上である。このような量とすることで、高い入浴効果を示すことができる。硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和が99質量%未満であると、その他の成分を配合しなければならない。しかし、本発明の入浴剤組成物は、複数の成分を配合する必要が無く、入浴剤として製造することが容易である。また、反応性または腐食性の高い成分を配合する必要が無く、安全に、かつ安心して入浴剤を使用することができる。
【0027】
また、本発明の入浴剤組成物中の炭酸カルシウムの含有量は、10質量%以上である。炭酸カルシウムの含有量が10質量%未満であると、湯を十分に白色にできない。本発明の入浴剤組成物中の炭酸カルシウムの含有量は、たとえば10質量%以上、11質量%以上、12質量%以上、13質量%以上、14質量%以上、15質量%以上、16質量%以上、17質量%以上、18質量%以上、19質量%以上、20質量%以上、21質量%以上、22質量%以上、23質量%以上、24質量%以上、25質量%以上、26質量%以上、27質量%以上、28質量%以上、29質量%以上、30質量%以上、31質量%以上、32質量%以上、33質量%以上、34質量%以上、35質量%以上、36質量%以上、37質量%以上、38質量%以上、39質量%以上、40質量%以上、41質量%以上、42質量%以上、43質量%以上、44質量%以上、45質量%以上、46質量%以上、47質量%以上、48質量%以上、49質量%以上、および50質量%であってもよい。本発明の入浴剤組成物中の炭酸カルシウムの含有量は、たとえば10質量%~30質量%および30質量%~50質量%であってもよい。本発明の入浴剤組成物中の炭酸カルシウムの含有量は、たとえば使用量1回分に対して10g以上である。炭酸カルシウムの含有量が10g未満であると、150~200Lの湯を十分に白色にできない。本発明の入浴剤組成物中の使用量1回分に対する炭酸カルシウムの含有量は、たとえば10g以上、11g以上、12g以上、13g以上、14g以上、15g以上、16g以上、17g以上、18g以上19g以上、20g以上、21g以上、22g以上、23g以上、24g以上、25g以上、26g以上、27g以上、28g以上、29g以上、30g以上、31g以上、32g以上、33g以上、34g以上、35g以上、36g以上、37g以上、38g以上、39g以上、および40g以上であってもよい。本発明の入浴剤組成物中の炭酸カルシウムの使用量1回分に対する含有量は、たとえば10g~25gおよび25g~40gであってもよい。
【0028】
硫酸マグネシウムの含有量が、炭酸カルシウムの含有量の2倍以上であることが好ましい。このようにすることで、湯の色を白濁させつつ浴槽の湯を弱酸性に傾け、使用者の肌のキメを整え、疲労回復、温浴効果を与えることができる。本発明の入浴剤組成物中の硫酸マグネシウムの含有量は、たとえば50質量%~70質量%および70質量%~90質量%であってもよい。本発明の入浴剤組成物中の硫酸マグネシウムの含有量は、たとえば50質量%以上、51質量%以上、52質量%以上、53質量%以上、54質量%以上、55質量%以上、56質量%以上、57質量%以上、58質量%以上、59質量%以上、60質量%以上、61質量%以上、62質量%以上、63質量%以上、64質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、67質量%以上、68質量%以上、69質量%以上、70質量%以上、71質量%以上、72質量%以上、73質量%以上、74質量%以上、75質量%以上、76質量%以上、77質量%以上、78質量%以上、79質量%以上、80質量%以上、81質量%以上、82質量%以上、83質量%以上、84質量%以上、85質量%以上、86質量%以上、87質量%以上、88質量%以上、89質量%以上、および90質量%であってもよい。本発明の入浴剤組成物中の使用量1回分に対する硫酸マグネシウムの含有量は、たとえば25g以上、26g以上、27g以上、28g以上、29g以上、30g以上、31g以上、32g以上、33g以上、34g以上、35g以上、36g以上、37g以上、38g以上、39g以上、40g以上、41g以上、42g以上、43g以上、44g以上、45g以上、46g以上、47g以上、48g以上、49g以上、50g以上、51g以上、52g以上、53g以上、54g以上、55g以上、56g上、57以上、58以上、59g以上、60g以上、61g以上、62g以上、63g以上、64g以上、65g以上、66g以上、67g以上、68g以上、69g以上、70g以上、71g以上、72g以上、73以上、74g以上、75g以上、76g以上、77g以上、78g以上、79g以上、80g以上、81g以上、82g以上、83g以上、84g以上、85g以上、86g以上、87g以上、88g以上、89g以上、90g以上、91g以上、92g以上、93g以上、94g以上、95g以上、96g以上、97g以上、98g以上、99g以上、100g以上、101g以上、102g以上、103g以上、104g以上、105g以上、106g以上、107g以上、108g以上、109g以上、110g以上、111g以上、112g以上、113g以上、114g以上、115g以上、116g以上117g以上、118g以上、119g以上および120g以上であってもよい。
【0029】
本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムのみからなっていてもよい。
【0030】
あるいは、本発明の入浴剤組成物は、香料を加えることで、いっそうのリラックス効果が期待できる。香料(天然エッセンシャルオイル)を添加する場合は、たとえば、全体の0.5~1%ほどの量でよい。
【0031】
また、本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよび香料のほか、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、塩(NaCl)、たとえば海塩、岩塩、または湖塩、色素および/または着色料をさらに含有してもよい。
【0032】
本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよび香料以外の成分を含む場合であっても、本発明の入浴剤組成物中の硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量と、硫酸ナトリウム(Na2SO4)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、塩塩(NaCl)、色素および/または着色料の含有量との和が、99質量%以上である。このような量とすることで、高い入浴効果を示すことができる。本発明の入浴剤組成物は、硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムを主成分とすることによって複数の成分を配合する必要が無く、入浴剤として製造することが容易である。また、反応性または腐食性の高い成分を配合する必要が無く、安全に、かつ安心して入浴剤を使用することができる。
【0033】
また、本発明の入浴剤組成物の形態は、特に限定されない。たとえば、粉末状であってもよいし、錠剤状であってもよい。
【0034】
[製造方法]
本発明の入浴剤組成物は、たとえば以下の手順で製造することができる。しかしながら、本発明の入浴剤組成物の製造方法は、以下の例に限定されるものではない。
【0035】
粉末状の入浴剤組成物は、たとえば硫酸マグネシウムの粉末および炭酸カルシウムの粉末を単に混合することで得ることができる。香料を加える場合には、香料として、たとえばエッセンシャルオイルを含ませてもよい。
【0036】
錠剤状の入浴剤組成物は、たとえば硫酸マグネシウムの粉末および炭酸カルシウムの粉末を混合し、ついでエタノールを加えて混練する。混練物を型に詰め、圧縮成形する。成形物からエタノールを蒸発させることにより、錠剤状の入浴剤組成物を得ることができる。あるいは、エタノールを加えず、単に圧縮成型するだけでもよい。香料を加える場合には、混練の段階で加えてもよいし、エタノールを蒸発させた後に成形物に滴下することで加えることもできる。
【0037】
本発明の入浴剤組成物は、任意の量で提供することができる。たとえば、家庭の浴槽は、通常150~200Lの湯量で使用されることが多いが、お湯150~200Lに対して1回分として30g~300gの入浴剤組成物として提供することができる。たとえば、硫酸マグネシウム70gおよび炭酸カルシウム30gを含有する入浴剤組成物を1回分の量として提供することにより、お湯を十分に白くするとともに、エプソムソルトによる入浴効果も十分に得ることができる。さらに香料を添加するのであれば、香料、たとえば天然エッセンシャルオイルを0.5~1g程度を1回分量に追加すればよい。
【実施例0038】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0039】
硫酸マグネシウム粉末は、エプソムソルトとして市販されている自社製品を使用した(アースコンシャス株式会社製、製品名:国産エプソムソルト)。炭酸カルシウム粉末は、市販されている製品を使用した(白石カルシウム株式会社製、製品名:コロカルソWB)。香料は、天然エッセンシャルオイルとして市販されている製品を使用した(山本香料株式会社製、製品名:LAVENDER OIL)。
【0040】
(実施例1)
70gの硫酸マグネシウム粉末と、30gの炭酸カルシウム粉末とを混ぜて、実施例1の入浴剤組成物とした。実施例1の入浴剤組成物における硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和は100質量%であった。また、実施例1の入浴剤組成物における炭酸カルシウムの含有量は30質量%であった。
【0041】
(実施例2)
85gの硫酸マグネシウム粉末と、15gの炭酸カルシウム粉末とを混ぜて、実施例2の入浴剤組成物とした。実施例2の入浴剤組成物における硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和は100質量%であった。また、実施例2の入浴剤組成物における炭酸カルシウムの含有量は15質量%であった。
【0042】
(実施例3)
69.5gの硫酸マグネシウム粉末と、30gの炭酸カルシウム粉末とを混ぜて、さらに0.5質量%のエッセンシャルオイルを混合した。これにより、実施例3の入浴剤組成物を得た。実施例3の入浴剤組成物における硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和は99.5質量%であった。また、実施例3の入浴剤組成物における炭酸カルシウムの含有量は30質量%であった。
【0043】
(比較例1)
95gの硫酸マグネシウム粉末と、5gの炭酸カルシウム粉末とを混ぜて、比較例1の入浴剤組成物とした。比較例1の入浴剤組成物における硫酸マグネシウムの含有量と炭酸カルシウムの含有量との和は、100質量%であった。また、比較例1の入浴剤組成物における炭酸カルシウムの含有量は5質量%であった。
【0044】
[評価]
<湯の色の変化>
実施例1~3および比較例1の各入浴剤組成物を180リットルの湯に溶解させた。
【0045】
実施例1~3の各入浴剤組成物を溶かした湯は、天然温泉のような乳白色になった。一方、比較1の各入浴剤組成物は、十分な変色効果を呈さなかった。
【0046】
<入浴効果>
実施例1~3および比較例1の各入浴剤組成物は、市販の硫酸マグネシウム(エプソムソルト)の使用量として推奨される量以上が180Lのお湯中に含有される。したがって、実施例1~3および比較例1の各入浴剤組成物のいずれも、市販の硫酸マグネシウム(エプソムソルト)の効果を得ることができる。さらに、実施例3の入浴剤組成物は、香料を含むため、お湯に溶解したときに香料が拡散することによってリラックス効果等の香料による効果も得られる。
【0047】
上記のとおり、実施例1~3の入浴剤組成物は、エプソムソルトの効果を得ることができると共に、お湯が白濁することによって温泉気分を味わうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の入浴剤組成物は、デトックスおよびリラックス効果を呈することができる。また、肌のキメを整えて、潤いを与えることができる。また、温浴効果、疲労回復効果、肩こり、腰痛にも効果がある。同時に、湯が白濁し、従来よりも温泉気分を演出することができる。
【0049】
また、本発明の入浴剤組成物は、その成分が硫酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムだけであるため非常に容易に製造することができる。
【0050】
また、本発明の入浴剤組成物は、有効な温浴効果を呈することができる。
【0051】
さらに、本発明の入浴剤組成物は、追い焚きをしても風呂釜を傷める事がない。
【0052】
よって、本発明の入浴剤組成物は、浴用化粧品および薬用入浴剤として極めて有用である。