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特開2024-99156筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具
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  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図1
  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図2
  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図3
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  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図6
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  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図11
  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図12
  • 特開-筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具 図13
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099156
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、筆先ユニットを用いた液体塗布具
(51)【国際特許分類】
   B43K 8/02 20060101AFI20240718BHJP
   B43K 1/12 20060101ALI20240718BHJP
   A45D 34/04 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B43K8/02 150
B43K1/12 A
B43K8/02 130
A45D34/04 510D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002885
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000109440
【氏名又は名称】テイボー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】傘 俊人
(72)【発明者】
【氏名】白澤 みはる
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA06
2C350HA14
2C350HC01
2C350NC02
2C350NC20
2C350NE05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】一度に複数本のラインを安定して塗布でき、液体の吐出不良が発生しにくい液体塗布具を提供する。
【解決手段】先端部分がテーパー加工された1つの筆先と筆先の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられたマウスピース2とを備え、マウスピースの先端部の開口部の横断面は、楕円形又は角が丸い長方形であり、先端部の開口部は、1以上の仕切21で分割されて、複数の孔が形成されており、1以上の仕切は開口部の短辺方向に配置され、仕切1つに対して、マウスピースの内側に先端側から後端側にわたって2つのリブ部22が形成され、リブ部2つは、仕切の後端部のマウスピース側両端部分に連続するように延設され、開口部の短辺方向に突出するように形成され、仕切及び前記リブ部の、開口部の短辺方向に切った縦断面の形状は、略C字であり、筆先の穂先は、マウスピースの複数の孔に沿って分岐された、筆先ユニットを提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントで構成された1つの筆先と、
前記筆先の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられたマウスピースと、
を備え、
前記マウスピースの先端部の開口部の横断面は、楕円形又は角が丸い長方形であり、
前記マウスピースの先端部の開口部は、1以上の仕切で分割されて、複数の孔が形成されており、
前記開口部の横断面において、1以上の前記仕切は前記開口部の短辺方向に配置され、
前記マウスピースには、前記仕切1つに対して、前記マウスピースの内側に前記マウスピースの先端側から後端側にわたって2つのリブ部が形成され、前記リブ部2つは、前記仕切の後端部の前記マウスピース側両端部分に連続するように延設され、前記開口部の短辺方向に突出するように形成され、
前記仕切及び前記リブ部の、前記開口部の短辺方向に切った縦断面の形状は、略C字であり、
前記筆先の前記穂先は、前記マウスピースの複数の前記孔に沿って分岐された、筆先ユニット。
【請求項2】
前記仕切は2つであり、前記孔は3つである、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項3】
前記リブ部の横断面は、外側方向、内側方向、又は、外側及び内側方向の両方が面取りされた形状である、請求項2に記載の筆先ユニット。
【請求項4】
前記リブ部の後端側の前記マウスピース内側からの突出量は、前記リブ部の先端側の前記マウスピース内側からの突出量より小さい、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項5】
前記リブ部の後端部は、前記マウスピースの後端部より先端側に位置する、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項6】
前記仕切は、前記リブ部を有する前記マウスピースと一体に成型された、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項7】
中継芯を更に備え、
前記中継芯の先端部分の外周は、前記筆先の後端部分で覆われた、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項8】
前記筆先の素材は、ポリエステル製テーパーフィラメント、又は、ナイロン製テーパーフィラメントである、請求項1に記載の筆先ユニット。
【請求項9】
請求項1に記載の筆先ユニットの製造方法であって、
前記筆先を、前記マウスピースの後端部から挿入するステップと、
前記筆先の穂先を、前記マウスピースの前記リブ部及び前記マウスピースの先端部の開口部の前記複数の孔に沿って分岐するステップと、
を含む、筆先ユニットの製造方法。
【請求項10】
中継芯の先端部分を、前記筆先の後端部分に挿入するステップをさらに含む、請求項9に記載の筆先ユニットの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の筆先ユニットを用いた液体塗布具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧用具や筆記具等の液体塗布具に用いられる筆先ユニット、筆先ユニットの製造方法、及び、該筆先ユニットを用いた液体塗布具に関する。特に、一度に複数本のラインを描くことが可能な液体塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
液体塗布具には、液体を筆先の後端部分から先端部分に中継するタイプ、液体を筆先の先端部分に浸漬するタイプ等がある。かかるタイプの液体塗布具は、上市されてから現在に至るまで化粧用具や筆記具等に欠かせないものとして広く普及している。
なお、液体を中継するタイプの液体塗布具の筆先には、多孔質材料が用いられ、合成繊維の集束体を樹脂で接着するタイプ、先端がテーパー加工されたモノフィラメントを集束するタイプ等が知られている。
【0003】
従来、このような液体塗布具において、一度に複数本のラインを描く場合、合成繊維の集束体を樹脂で接着した合繊芯が使用されている。図6(a)の左側に示されるように、先端部を適切な先端形状に切削加工した合繊芯を複数本一列に並べ、合繊芯同士を接着し、マウスピースに挿入するもの、あるいは、図6(a)の右側に示されるように、1本の合繊芯の先端をフォーク状に打ち抜き、マウスピースに挿入するもの等が例示される。
しかしながら、合繊芯を用いて、たとえばファンデーションを塗布した上や絵具を塗布した上にラインを描くと、筆先の先端部分において、ファンデーションや絵具の詰まりや吐出不良を起こすという問題があった。接着された繊維と繊維の間にできる空間が液体導通路となるが、筆先の先端部分に切削加工や打ち抜き加工を施したときに、先端部分の液体導通路の途中が潰れたり、バリが発生したりして、液体導通路を塞いでしまい、液体がスムーズに穂先に供給されないことも相俟って、塗布済のファンデーションや絵具の粒子が筆先の先端部分に付着し入り込み、さらに液体導通路が塞がってしまうからである。図6(b)及び図6(c)に、ファンデーションの粒子が詰まった合繊芯の筆先の先端部分の例を示す。
また、合繊芯は、先端がテーパー加工されたモノフィラメントを集束した穂先に比べ、弾力性に劣るため、筆線(ライン)を描く際に、細かいコントロールができず、特に線の太さを調節しにくいという課題があった。
【0004】
特許文献1には、上記合繊芯等の多孔質材料を複数本並べてマウスピースに挿入し、一度に複数本のラインを描くことを可能とする液体塗布具が開示されている。しかしながら、1つの液体塗布具に対し複数本の筆先を使用するため、コストが高くなるという課題があった。また、筆先が合繊芯の場合は、上述したように、ファンデーションを塗布した上や絵具を塗布した上にラインを描くと、筆先の先端部分において、ファンデーションや絵具の詰まりや吐出不良を起こすという問題があった。
【0005】
特許文献2には、先端がテーパー加工されたモノフィラメントを集束した筆先に中継芯で液体を供給する液体塗布具が開示されている。しかしながら、筆先の先端部は1つであるため、一度に複数本のラインを描くことはできないという課題があった。また、複数本ラインを別々に描いた場合、塗布するラインの制御が難しく、太さや幅の揃ったラインを塗布することができないという課題もあった。
【0006】
先端がテーパー加工されたモノフィラメントを集束した筆先を複数本使用し、マウスピースに組み付ける方法も検討されている。しかしながら、それぞれの筆先に対してそれぞれ中継芯を挿入する必要があり、物理的に難しいという課題があった。中継芯を使用しない場合は、筆先の弱い毛細管力のみで液体を供給する必要があるため、塗布ラインにカスレ等が生じやすいという課題があった。また、1つの液体塗布具に対し複数本の筆先と複数本の中継芯を使用する必要があるため、コストがより高くなるという課題もあった。
【0007】
特許文献3には、複数本の合繊芯を穂先とは反対側で溶着して連結させることが開示されている。しかしながら、特許文献1と同様に、1つの液体塗布具に対し複数本の筆先を使用するため、コストが高くなるという課題や、ファンデーションを塗布した上や絵具を塗布した上にラインを描くと、筆先の先端部分において、ファンデーションや絵具の詰まりや吐出不良を起こすという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3137562号公報
【特許文献2】実開平7-35084号公報
【特許文献3】特開2010-207301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みたものであり、一度に複数本のラインを安定して塗布でき、塗布するラインの制御が容易であり、かつ、液体の吐出不良が発生しにくい液体塗布具を提供することを課題とする。
さらに、マウスピースへの筆先の組み付け時に筆先が捻れにくく、組み付けがより容易な筆先ユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の筆先ユニットは、先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントで構成された1つの筆先と、前記筆先の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられたマウスピースと、を備え、前記マウスピースの先端部の開口部の横断面は、楕円形又は角が丸い長方形であり、前記マウスピースの先端部の開口部は、1以上の仕切で分割されて、複数の孔が形成されており、前記開口部の横断面において、1以上の前記仕切は前記開口部の短辺方向に配置され、前記マウスピースには、前記仕切1つに対して、前記マウスピースの内側に前記マウスピースの先端側から後端側にわたって2つのリブ部が形成され、前記リブ部2つは、前記仕切の後端部の前記マウスピース側両端部分に連続するように延設され、前記開口部の短辺方向に突出するように形成され、前記仕切及び前記リブ部の、前記開口部の短辺方向に切った縦断面の形状は、略C字であり、前記筆先の前記穂先は、前記マウスピースの複数の前記孔に沿って分岐されたことを特徴とする。
【0011】
前記仕切は2つであり、前記孔は3つであってもよい。
【0012】
前記リブ部の横断面は、外側方向、内側方向、又は、外側及び内側方向の両方が面取りされた形状であってもよい。
【0013】
前記リブ部の後端側の前記マウスピース内側からの突出量は、前記リブ部の先端側の前記マウスピース内側からの突出量より小さくてもよい。
【0014】
前記リブ部の後端部は、前記マウスピースの後端部より先端側に位置することが好ましい。
【0015】
前記仕切は、前記リブ部を有する前記マウスピースと一体に成型されてもよい。
【0016】
筆先ユニットは、中継芯を更に備え、前記中継芯の先端部分の外周は、前記筆先の後端部分で覆われていてもよい。
【0017】
前記筆先の素材は、ポリエステル製テーパーフィラメント、又は、ナイロン製テーパーフィラメントであることが望ましい。
【0018】
本発明の筆先ユニットの製造方法は、前記筆先を、前記マウスピースの後端部から挿入するステップと、前記筆先の穂先を、前記マウスピースの前記リブ部及び前記マウスピースの先端部の開口部の前記複数の孔に沿って分岐するステップと、を含むことを特徴とする。
【0019】
中継芯の先端部分を、前記筆先の後端部分に挿入するステップをさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の液体塗布具は、上記筆先ユニットを用いたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、一度に複数のラインを安定して塗布でき、塗布するラインの制御が容易であり、かつ、液体の吐出不良が発生しにくい液体塗布具を提供できる。穂先の切削加工や打ち抜き加工で発生するバリがないため液体導通路を塞がれにくく、液体を筆先の先端部分にスムーズに供給することができる。さらには塗布済のファンデーションや絵具等の粒子が筆先の先端部に付着しにくく、仮に粒子が付着しても供給される液体により流されて原状復帰しやすいため、この点においても液体導通路を塞がれにくく、液体を筆先の先端部分にスムーズに供給することができる。また、合繊芯に比べ、筆先に弾力性を持たせることができるため、細い線から太い線まで筆線のコントロールが可能な液体塗布具を提供できる。さらに、部材として使用する高価な筆先は1つであるため、製造コストを抑制することができる。
さらに、マウスピースへの筆先の組み付け時に筆先が捻れにくく、組み付けがより容易となり、また、狙った比率で筆先の穂先を分岐することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の筆先ユニットの概略図の例を示す。図1(a)はマウスピースの先端部の開口部の短辺方向上から見た側面図、図1(b)はマウスピースの先端部の開口部の長辺方向上から見た側面図、図(c)は斜視図である。
図2】本発明のマウスピースの一例を示す。図2(a)はマウスピースを先端部側からみた側面図、図2(b)はマウスピースの先端部の開口部の短辺の中心を通るように長辺方向に切った縦断面図、図2(c)はマウスピースを後端部側からみた側面図、図2(d)はマウスピースの先端部の開口部の短辺方向に切った縦断面図、図2(e)は図2(b)の斜視図である。
図3】本発明のマウスピースの一例を示す。マウスピースのリブ部が形成された部分をマウスピースの後端側からみた横断面図であり、図3(a)はリブ部の横断面が外側方向に面取りされた例、図3(b)はリブ部の横断面が外側方向及び内側方向の両方に面取りされた例、図3(c)はリブ部の横断面が内側方向に面取りされた例である。
図4】本発明のマウスピースの一例を示す。図4(a)はマウスピースの先端部の開口部の短辺の中心を通るように長辺方向に切った縦断面図、図4(b)はマウスピースの先端部の開口部の短辺方向に切った縦断面図である。
図5図5(a)は本発明の液体塗布具の縦断面図の一例、図5(b)は本発明の筆先ユニットの縦断面図の一例を示す。
図6】従来例の合繊芯を用いた筆先ユニットの一例を示す。図6(a)の左側は合繊芯複数本を組み付けたもの、右側は1つの合繊芯の先端をフォーク状にしたもの、図6(b)はファンデーションを塗布した面上に合繊芯で塗布したときの筆先、図6(c)は図6(b)の拡大断面である。
図7】従来例の合繊芯を用いた液体塗布具の一例を示す。図7(a)は縦断面図、図7(b)はマウスピースの先端部の開口部の横断面図である。
図8】従来例のマウスピースの一例を示す。図8(a)はマウスピースの先端部の開口部の横断面図、図8(b)は先端部の開口部の短辺の中心を通るように長辺方向に切った縦断面図、図8(c)は先端部の開口部の長辺の中心を通るように短辺方向に切った縦断面図、図(d)は斜視図である。
図9】従来例のモノフィラメントの集束体を用いた筆先ユニット用のマウスピースの一例を示す。図9(a)はマウスピースの先端部の開口部の横断面図、図9(b)は側面図、図9(c)は縦断面図である。
図10】従来例のモノフィラメントの集束体を用いた筆先ユニット用のマウスピースの組み付け工程の一例を示す。図10(a)はマウスピース、筆先、中継芯を用意する工程、図10(b)は筆先をマウスピースの後端部から挿入する工程、図10(c)は筆先の後端部分に中継芯を挿入する工程である。
図11】従来例のモノフィラメントの集束体の筆先を複数用いた筆先ユニットの製造(組み付け)の一例を示す。図11(a)はマウスピースと複数の筆先を用意したもの、図11(b)はマウスピースの後端部から複数の筆先を組み付けたものである。
図12】従来例のマウスピースを用いた筆先ユニットの例を示す。モノフィラメントの集束体の筆先を、マウスピースの開口部に2つの仕切により設けられた3つの孔に挿入した直後の写真を図12(a)に、組み付けのために回転を加えた後の写真を図12(b)に示す。
図13】従来例のマウスピースを用いた筆先ユニットの例を示す。モノフィラメントの集束体の筆先を、マウスピースの開口部に2つの仕切により設けられた3つの孔に挿入した直後の写真を図13(a)に、マウスピースで覆われない筆先の先端部分を切削して先端側から撮影した写真を図13(b)に示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の筆先ユニットは、筆先と、マウスピースを備えるものである。図1図5に一例を示す。以下、符号を付して説明するが、本発明を限定するものではない。
なお、本願明細書において、「先端部」は各部品又は部分における液体塗布具の穂先側の最先端部(位置)を指し、「後端部」は各部品又は部分における液体塗布具の穂先と反対側の最後端部(位置)を指し、「先端部分」は各部品における先端部及び先端部の近辺部分を指し、「後端部分」は各部品における後端部及び後端部の近辺部分を指す。また、「先端側」は穂先側を指し、「後端側」は穂先と反対側を指す。
【0024】
(筆先の構成)
図1に例示されるように、本発明の筆先3は、筆先3の後端部から後述する中継芯4によって供給される液体を用い、又は、筆先3の先端部分に浸漬した液体を用い、筆先3の先端部分の穂先で筆記するために設けられる。筆先3の先端部分うち、穂先を除く部分の外周を覆うマウスピース2等により筆先3は画定される。また、1つのマウスピース2に対し、筆先は1つ挿入される。
筆先3の穂先は、後述するマウスピース2の複数の孔に沿って分岐される。
【0025】
筆先3は、先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントで構成される。
筆先3の素材は、テーパー加工されたモノフィラメントであれば特に制限はなく、任意に選択される。筆先3の素材の一例としては、PBT(ポリブチレンテレフタレート)製テーパーフィラメント、PET(ポリエチレンテレフタレート)製テーパーフィラメント、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)製テーパーフィラメント等のポリエステル製テーパーフィラメント、ナイロン製テーパーフィラメント、PPS(ポリフェニレンサルファイド)製テーパーフィラメント、フッ素樹脂製テーパーフィラメント等が挙げられる。中でも汎用性の面から、PBT(ポリブチレンテレフタレート)製テーパーフィラメント、ナイロン製テーパーフィラメントが好ましい。
【0026】
筆先3のモノフィラメントの径は、本筆先ユニット1が用いられる液体塗布具10の用途や目的により、適宜設定される。筆感や肌触りの面から0.05~0.30mmの範囲が好ましく、0.10~0.20mmの範囲がより好ましい。
【0027】
筆先3の後端部分が中継芯4の先端部分の外周を覆う構造にするため、たとえば中継芯4を筆先3に挿入する方法が取られてもよい。中継芯4を筆先3に挿入しやすくするために、好ましくは筆先3の後端部に穴が設けられる。該穴の径は、中継芯4の先端側の外径と同じか、やや小さい。中継芯4の弾力により挿入可能であれば、筆先3の穴の径が中継芯の先端側の外径よりもやや小さくてもよい。
【0028】
筆先3の先端部分のうち、穂先を除く部分の外周を覆うマウスピース2を筆先3の後端部分に位置ずれしないように配置するために、好ましくは、筆先3は先端部分のみならず穂先以外の部分全部(後端部分を含む)の外周をマウスピース2で覆うことや、筆先3の後端部にツバ部が設けることが好ましい。該ツバ部はマウスピース2の後端部の位置を固定することができる。
該穴と該ツバ部は、たとえば、先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントの束を所定の長さ(筆先の全長よりやや長め)に後端部で切断し、切断面を加熱により溶着し、溶着時にツバ部を形成し、溶着された切断面の中央部を筆先3の該穴の径の円形状にくり抜き、くり抜いた切断面の中央部に溶着しているモノフィラメントごと取り出して除去することにより、設けることができる。
【0029】
なお、筆先3を固定可能な構成であれば、筆先3の後端部分の外周をマウスピース2で覆わない構成とすることもできる。
【0030】
筆先3の横断面の形状は、後述するマウスピース2の後端部分の内側の横断面の形状に沿って挿入することができれば特に限定されないが、円形や楕円形、正方形、長方形や、角が丸い多角形等が例示される。なかでも筆先3の穂先をマウスピース2にスムーズに挿入しやすくする観点からは、丸みを帯びた、円形や楕円形、角が丸い多角形が好ましい。
【0031】
(マウスピースの構成)
本発明のマウスピース2は、筆先3の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられる。
マウスピース2の構成の一例を図2で説明する。図2(a)はマウスピース2を先端部側からみた側面図、図2(b)はマウスピース2の先端部の開口部の短辺の中心を通るように長辺方向に切った縦断面図、図2(c)はマウスピース2を後端部側からみた側面図、図2(d)はマウスピース2の先端部の開口部の短辺方向に切った縦断面図、図2(e)は図2(b)の斜視図である。図2(a)~図2(e)に示すように、マウスピース2の先端部の開口部の横断面は、楕円形又は角が丸い長方形である。また、マウスピース2の先端部の開口部は、1以上の仕切21で分割されて、複数の孔が形成されている。さらに、マウスピース2の先端部の開口部の横断面において、1以上の仕切21は該開口部の短辺方向に配置される。
さらに、マウスピース2には、仕切21の1つに対して、マウスピース2の内側にマウスピース2の先端側から後端側にわたって2つのリブ部22が形成される。該2つのリブ部22は、仕切21の後端部のマウスピース2側両端部分に連続するように延設され、マウスピース2の先端部の開口部の短辺方向に突出するように形成される。
仕切21及び該仕切21に対して形成された2つのリブ部22の、マウスピース2の先端部の短辺方向に切った縦断面の形状は、略C字である。仕切21の後端部とリブ部22は、図2(d)、図2(e)のように角度をつけながら段階的に連続させてもよいし、なめらかに湾曲させながら連続させてもよい。
【0032】
マウスピース2の後端部分の内側の横断面の形状は、円形や楕円形、正方形、長方形や、角が丸い多角形等が例示される。なかでも筆先3の穂先をマウスピース2にスムーズに挿入しやすくする観点からは、丸みを帯びた、円形や楕円形、角が丸い多角形が好ましい。
マウスピース2の後端部の開口部の横断面の内径は、2.5mm~5.0mm程度が例示される。
【0033】
マウスピース2の先端部の横断面は楕円形状又は角が丸い長方形状であるため、マウスピース2の先端部の開口部の短辺の長さ2aは、後端部の開口部の横断面の短辺の長さ(内径)より小さく、1.8mm~4.0mm程度が例示される。また、マウスピース2の先端部の開口部の長辺の長さ2bは、後端部の開口部の横断面の長辺の長さ(内径)と同じかやや小さく、2.5mm~5.0mm程度が例示される。
【0034】
マウスピース2の先端部の開口部に、1以上の仕切21が平行に配置され、かつ、仕切21の横断面の長手方向はマウスピース2の先端部の開口部の短辺方向となっているが、図2(a)~図2(b)に示すように、2つの仕切21により、先端部の開口部には3つの孔が形成されることが例示される。この場合、仕切21の厚み21aは0.3mm~1.0mm程度、仕切21の縦断面の長さ(仕切の深さ)21bは0.5mm~3.0mm程度が例示される。2つの仕切21は、マウスピース2の先端部の開口部の長辺を略等間隔で仕切るように形成されることが好ましい。マウスピース2の先端部の開口部の横断面の長辺方向の各孔の長さ(2b1、2b2、2b3)は、0.3mm~1.5mm程度が例示される。なお、筆先3の穂先の毛束の分岐量を均一にする場合には、横断面の各孔の面積が略同一となるように、2b1=2b3>2b2とすることが好ましい。また、筆先3の穂先の毛束の分岐量を狙った量とする場合には、マウスピース2の先端部の開口部の横断面の長辺方向の各孔の長さ(2b1、2b2、2b3)、及び、仕切21の厚み21aを調整することが望ましい。
【0035】
マウスピース2の内側に形成されるリブ部22は、仕切21の後端部から後端方向に配置される。リブ部22は仕切21と連続することから、リブ部22の厚み22cは仕切21の厚み21aと同じとなるように設定されることが望ましい。
【0036】
リブ部22の長さ22bは、最小でも仕切21にスムーズに筆先3の穂先が分岐しながら挿入できる程度であればよい。また、マウスピース2の後端部までリブ部22が形成されてもよいが、筆先3をマウスピース2の後端側からやや挿入しづらくなることから、リブ部22の後端部はマウスピース2の中央付近に配置されることが望ましい。すなわち、リブ部22の後端部は、マウスピース2の後端部より先端側に位置することが望ましい。このため、マウスピース2の長さ2cは10mm~20mm程度が例示されるが、マウスピース2の長さ2cが11.6mmの場合、リブ部22の長さ22bは、1.0mm~11.6mmが好ましく、1.5mm~11.0mm、3.0mm~7.0mm程度がより好ましい。
【0037】
リブ部22の高さ22aは、0.3mm~2.0mm程度が例示され、0.4mm~1.0mm程度がより好ましい。マウスピース2の先端部の開口部の短辺方向に突出する量であるリブ部22の高さ22aが小さすぎると、仕切21での筆先3の穂先の分岐がスムーズにいかない。また、リブ部22の高さ22aが大きすぎると、筆先3を挿入するときにリブ部22の後端部で筆先3の穂先があたってしまい、スムーズな分岐ができにくくなる。
【0038】
また、図3(a)~図3(c)に示すように、リブ部22の横断面を面取りしてもよい。図3はマウスピースのリブ部が形成された部分をマウスピースの後端側からみた横断面図であり、図3(a)はリブ部22の横断面が外側方向に面取りされた例、図3(b)はリブ部22の横断面が外側方向及び内側方向の両方に面取りされた例、図3(c)はリブ部22の横断面が内側方向に面取りされた例である。
リブ部22の横断面の形状は、挿入される筆先3の穂先の毛束の分岐量を調節することができる。すなわち、図3(a)のようにリブ部22の横断面が外側方向に面取りされることにより、3つの孔の面積を略同じにすることができる。つまり、中央の孔の面積を小さくし、外側の孔2つの面積を大きく調整することができる。
逆に、図3(c)のようにリブ部22の横断面が内側方向に面取りされることにより、中央の孔の面積を大きく調整することができる。3つの孔の毛束の分岐量に差をつけて中央の孔の毛束の分岐量を増やしたいときは、内側方向に面取りすればよい。
面取り量は、リブ部22の高さ22aの範囲であればよい。リブ部高さ22aが0.4mm以上ある場合は、0.2mm~0.4mm等が例示される。
【0039】
さらに、図4(a)及び図4(b)に示すように、リブ部22の後端側のマウスピース2の内側からの突出量は、リブ部22の先端側のマウスピース2の内側からの突出量より小さくなるように、リブ部22の高さ22aに傾斜をつけるように形成してもよい。たとえば、先端部の突出量(リブ部高さ)が0.7mmであり、後端部の突出量(リブ部高さ)が0.1mmとなるようにしてもよいし、先端部の突出量(リブ部高さ)が1.0mmであり、後端部の突出量(リブ部高さ)が0.4mmとなるようにしてもよい。後端部の突出量(リブ部高さ)を小さくすることにより、筆先3の穂先を徐々にスムーズにガイドして分岐させることが可能となる。
【0040】
仕切21は、リブ部22を有するマウスピース2と一体に成型されてもよい。
【0041】
マウスピース2の素材は、筆先を固定できるものであれば特に制限はなく、ABS樹脂、PP樹脂等が用いられる。
また、マウスピース2の外側の形状は、本筆先ユニットを収納する液体塗布具の形状を考慮して設計される。
【0042】
(中継芯の構成)
中継芯4は、筆先3の後端部から液体を供給する、すなわち液体を筆先3に「中継」するために設けられる芯であり、先端部分がテーパー状に研磨されている。中継芯4の後端部分は液体に浸漬され、中継芯4の有する毛細管力によって液体を先端側に吸い上げる。中継芯4の先端部分は筆先3に覆われ、毛細管力によって吸い上げられた液体を筆先に供給する。
中継芯4の先端部分の外周は、筆先3の後端部分で覆われる。
【0043】
中継芯4の素材は、多孔質形状を有し、液体を毛細管力で筆先3へ供給できるものが任意に選択される。一例としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、又は、これらの混合繊維が挙げられる。また、中継芯4の気孔率も、特に制限はなく、たとえば30~90%程度のものが適宜選択される。
また、中継芯4の素材は、多孔質材料である合成樹脂のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、テフロン(商標登録)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリフェニレンスルファイド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等が例示される。
中継芯4のサイズは、挿入される筆先3の後端部の横断面形状や横断面積、液体塗布具10の用途等により適宜設定されるが、径は1.5mm~3.0mm程度、長さは25mm~60mm程度であることが望ましい。
【0044】
(筆先ユニット)
筆先ユニット1は、上述したような1つの筆先3と、筆先3の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられたマウスピース2とを備え、1以上の仕切で分割されたマウスピース2の先端部の開口部には複数の孔が形成されており、筆先3の穂先がその孔に沿って分岐されている(図1参照)。また、筆先ユニット1は、中継芯4をさらに備え、中継芯4の先端部分の外周が筆先3の後端部分で覆われた構成であってもよい。
【0045】
筆先ユニット1の組み付け(製造)方法は、筆先3をマウスピース2の後端部から挿入するステップと、筆先3の穂先を、マウスピース2のリブ部22及び先端側の開口部の複数の孔に沿って分岐するステップとを含む。さらに、中継芯4の先端部分を、筆先3の後端部分に挿入するステップを含んでもよい。
ここで、筆先3の穂先をマウスピース2の開口部の複数の孔に沿って分岐すると、穂先はバラバラになるが、液体が供給されると穂先の繊維同士はくっつくため、孔の数の本数の線をきれいに描くことが可能となる。
なお、部品としての出荷納入時の外観確認等のために、分岐した穂先の先端を整えるステップを含めてもよい。たとえば、各穂先の先端にPVA(ポリビニルアルコール)0.1%水溶液を浸漬させることで、表面張力により繊維同士をくっつけて形状を整えることができる。
【0046】
(液体塗布具)
本発明の筆先ユニット1は、さまざまな化粧用具や筆記具等の液体塗布具10に適用可能である。
たとえば、アイライナー、アイシャドウ、アイブロー、リップライナー、リップグロス、コンシーラー、ネイルケア製品、まつ毛ケア製品等の化粧用液体塗布具に適用可能である。
また、たとえば、油性マーカー、水性マーカー、ボードマーカー、ラインマーカー、ぺイントマーカー、修正ペン、医療用マーカーの筆記用液体塗布具、薬液塗布具等に適用可能である。
【実施例0047】
(評価試験)
-評価試料の準備-
表1A及び表1Bで示したマウスピース2を準備し、試料1-26とした。うち、試料1はリブ部を有さない比較例である。
なお、評価に使用したマウスピース2は、材質:ポリプロピレン、加工方法:射出成型(仕切及びリブ部も一体に成型)、縦断面におけるマウスピースの長さ2c:11.6mm、マウスピース2の後端部の内径:3.2mm、仕切21:2つ、孔:3つ、外側の孔の面積:1.24mm2、中央の孔の面積1.225mm2、リブ部高さ22a:0.4mm~1.0mm、リブ部長さ22b:1.5mm~11.6mm、リブ部横断面形状:外側方向、内側方向、又は、外側及び内側方向の両方が面取りされた形状、リブ部厚み22c:0.5mm、仕切厚み21a:0.5mm、仕切長さ21b:0.5mm~3.0mmで形成されたものである。
評価に使用した筆先3は、全長18.2mm、ツバ径3.9mm、根本径:3.2mm、穴:1.45mm、ツバ厚0.66mm、材質:PBT(ポリブチレンテレフタレート)製テーパーフィラメント、モノフィラメントの径:0.15mmであった。
評価に使用した中継芯4は、材質:ポリエステル繊維及びポリウレタン樹脂、繊維径:5デニール、気孔率:60%であった。
筆先ユニット1の組み付けは、筆先3の後端部の穴に中継芯4を挿入し、中継芯4が組み付けられた筆先3をマウスピース2に挿入し、筆先3の先端部分(穂先)にPVA(ポリビニルアルコール)の0.1%水溶液を浸漬させ、形状を整え、乾燥させることにより行った。
【0048】
-捻れ防止性評価試験-
筆先ユニット1の組み付け後、筆先3に対し、筆先ユニット1の軸の周りの回転方向に力を加え、筆先3の捻れの状況を評価した。捻れなしを◎、若干捻れるものを○、捻れるものを×とした。捻れ防止性の評価結果を表1A及び表1Bに示す。
なお、試料1(比較例1)の場合、図12(a)のように筆先3に対し回転方向に力を加えると、図12(b)のように捻れを生じた。
【0049】
-組み付け性評価試験-
上述した評価試料の準備において、筆先ユニット1の組み付け時に治具を使用し、筆先3の中心軸とマウスピース2の中心軸を合わせてまっすぐ筆先3をマウスピース2に挿入したときの、組み付け性を評価した。多くのものは1度で組み付け可能であったものを◎、数回のやり直しで組み付け可能であったものを○、やり直しを繰り返せば組み付け可能であったものを△、組み付け不可のものを×とした。組み付け性の評価結果を表1A及び表1Bに示す。
なお、試料1(比較例1)の場合、図13(a)、図13(b)のように筆先3の穂先の毛束の分岐量にバラツキが見られた。
【0050】
【表1A】
【0051】
【表1B】
【0052】
表1A及び表1Bについて、より比較しやすいように、リブ部長さ22bのみ変えたものを表2に、リブ部高さ22aのみ変えたものを表3に、リブ部22の横断面形状のみを変えたものを表4に、リブ部高さ22aに傾斜をつけたものを表5に、仕切長さ21bのみを変えたものを表6に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【0056】
【表5】
【0057】
【表6】
【0058】
さらに、表1A及び表1Bのうち、リブ部22の横断面形状が外側方向に0.4mm面取りしたものであり、仕切長さ21bが1mmの試料について、リブ部高さ22aとリブ部長さ22bの観点から捻れ防止性と組み付け性の評価結果を、表7、表8に示す。なお、表中の番号は、試料No.である。
【0059】
【表7】
【0060】
【表8】
【0061】
表2より、試料1(比較例1)は捻れを防止することができなかったのに対し、リブ部22を有する試料4、7、11は捻れ防止性があることが分かった。特に、試料7のようにリブ部22の後端部がマウスピース2の中央付近にある構成のものが、捻れ防止性の評価も組み付け性の評価も高かった。
【0062】
表3より、リブ部高さ22aが0.7mmの構成の試料7が、捻れ防止性の評価も組み付け性の評価も高かった。
【0063】
表4より、リブ部22の横断面が、外側方向に面取りされた形状である試料7が、内側方向に面取りされた形状の試料17や、外側方向及び内側方向の両方が面取りされた形状の試料16より、捻れ防止性の評価も組み付け性の評価も高かった。
【0064】
表5より、リブ部の高さに傾斜をつけた試料18は捻れ防止性の評価も組み付け性の評価も高かった。試料19は、捻れ防止性においても組み付け性においてもより高い評価結果であった。
【0065】
表6より、仕切長さ21bが2.0mm以上の試料25、26に比べ、仕切長さ21bが1.0mm以下の試料20、7は捻れ防止性の評価も組み付け性の評価も高かった。
【0066】
表7より、リブ部22を有することにより、捻れ防止性が向上することが分かった。また、表8より、リブ部長さ22bが9mm以上、リブ部高さ22aが概ね1mmを超えると、若干組み付け性が劣ってくることが分かった。
【0067】
本発明は以下に示した項目の構成を有し得る。
[項1]
先端部分がテーパー加工されたモノフィラメントで構成された1つの筆先と、
前記筆先の先端部分のうち、先端側の穂先を除く部分の外周を覆うように設けられたマウスピースと、
を備え、
前記マウスピースの先端部の開口部の横断面は、楕円形又は角が丸い長方形であり、
前記マウスピースの先端部の開口部は、1以上の仕切で分割されて、複数の孔が形成されており、
前記開口部の横断面において、1以上の前記仕切は前記開口部の短辺方向に配置され、
前記マウスピースには、前記仕切1つに対して、前記マウスピースの内側に前記マウスピースの先端側から後端側にわたって2つのリブ部が形成され、前記リブ部2つは、前記仕切の後端部の前記マウスピース側両端部分に連続するように延設され、前記開口部の短辺方向に突出するように形成され、
前記仕切及び前記リブ部の、前記開口部の短辺方向に切った縦断面の形状は、略C字であり、
前記筆先の前記穂先は、前記マウスピースの複数の前記孔に沿って分岐された、筆先ユニット。
[項2]
前記仕切は2つであり、前記孔は3つである、上記項1に記載の筆先ユニット。
[項3]
前記リブ部の横断面は、外側方向、内側方向、又は、外側及び内側方向の両方が面取りされた形状である、上記項2に記載の筆先ユニット。
[項4]
前記リブ部の後端側の前記マウスピース内側からの突出量は、前記リブ部の先端側の前記マウスピース内側からの突出量より小さい、上記項1~3いずれか一項に記載の筆先ユニット。
[項5]
前記リブ部の後端部は、前記マウスピースの後端部より先端側に位置する、上記項1~4いずれか一項に記載の筆先ユニット。
[項6]
前記仕切は、前記リブ部を有する前記マウスピースと一体に成型された、上記項1~5いずれか一項に記載の筆先ユニット。
[項7]
中継芯を更に備え、
前記中継芯の先端部分の外周は、前記筆先の後端部分で覆われた、上記項1~6いずれか一項に記載の筆先ユニット。
[項8]
前記筆先の素材は、ポリエステル製テーパーフィラメント、又は、ナイロン製テーパーフィラメントである、上記項1~7いずれか一項に記載の筆先ユニット。
[項9]
上記項1に記載の筆先ユニットの製造方法であって、
前記筆先を、前記マウスピースの後端部から挿入するステップと、
前記筆先の穂先を、前記マウスピースの前記リブ部及び前記マウスピースの先端部の開口部の前記複数の孔に沿って分岐するステップと、
を含む、筆先ユニットの製造方法。
[項10]
中継芯の先端部分を、前記筆先の後端部分に挿入するステップをさらに含む、上記項9に記載の筆先ユニットの製造方法。
[項11]
上記項1~9のいずれか1項に記載の筆先ユニットを用いた液体塗布具。
【符号の説明】
【0068】
1 筆先ユニット
2 マウスピース
21 仕切
22 リブ部
2a マウスピースの先端部の開口部の短辺の長さ(内径)
2b マウスピースの先端部の開口部の長辺の長さ(内径)
2b1、2b2、2b3 マウスピースの先端部の開口部の横断面の長辺方向の、孔の長さ
2c 縦断面におけるマウスピースの長さ
21a 仕切厚み
21b 仕切長さ
22a リブ部高さ
22b リブ部長さ
22c リブ部厚み
3 筆先
4 中継芯
10 液体塗布具
100 従来例の液体塗布具
102 従来例のマウスピース
102a 従来例のマウスピースの先端部の開口部の短辺の長さ
102b 従来例のマウスピースの先端部の開口部の長辺の長さ
102c 縦断面における従来例のマウスピースの長さ
201 従来例の筆先ユニット
202 従来例のマウスピース
301 従来例の筆先ユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13