(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099169
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ポータブル電源切換装置
(51)【国際特許分類】
H02J 9/06 20060101AFI20240718BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H02J9/06 110
H02J9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002905
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】519408939
【氏名又は名称】株式会社ジェーピージェネレーターズ
(74)【代理人】
【識別番号】100093687
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 元成
(74)【代理人】
【識別番号】100168468
【弁理士】
【氏名又は名称】富崎 曜
(72)【発明者】
【氏名】小西 憲一
【テーマコード(参考)】
5G015
【Fターム(参考)】
5G015FA04
5G015GA01
5G015GB01
5G015HA16
5G015JA04
5G015JA42
5G015JA47
5G015JA59
5G015KA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】災害等で商用電源が使えないときに、避難所等で使用するものであって、複数台で、かつ、複数種のポータブル電源を使用した無停電のポータブル電源切換装置を提供する。
【解決手段】無停電のポータブル電源切換装置は、定格出力容量が同一乃至異なる各種、かつ、複数台の、電力を蓄電するバッテリ又はエンジン駆動による発電機等からなるポータブル電源装置2と、ポータブル電源装置2から出力された交流電力が供給されて稼働する各種の負荷機器3と、ポータブル電源装置2及び負荷機器3とを接続し、ポータブル電源装置2からの電力を負荷機器3へ無停電で行う電力供給を制御する自動電源切換機4からなる。自動電源切換機4は、ポータブル電源装置のバッテリの容量が設定値以下になったとき、他のバッテリ又は発電機に電力供給を自動的に無停電で切り変えるスイッチ切換回路を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格出力容量が同一、ないし異なる、各種、かつ複数台の、電力を蓄電するバッテリ、及び/又は、エンジン駆動による発電機を備えているポータブル交流電源と、
前記ポータブル交流電源から出力された交流電力が供給されて稼働する各種の負荷機器と、
前記ポータブル交流電源、及び前記負荷機器と接続され、前記ポータブル交流電源からの電力を前記負荷機器へ無停電で行う電力供給を制御するための自動電源切換手段と
からなるポータブル電源切換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブル電源切換装置において、
前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の前記バッテリの容量が設定置以下になったとき、又は、前記ポータブル交流電源の前記発電機が電力を供給できなくなったとき、他の前記ポータブル交流電源に電力供給を切り変えるスイッチ手段を備えている
ことを特徴とするポータブル電源切換装置。
【請求項3】
請求項1に記載のポータブル電源切換装置において、
前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の前記バッテリの容量が設定置以下になったとき、前記発電機に電力供給を切り変えるスイッチ手段を備えている
ことを特徴とするポータブル電源切換装置。
【請求項4】
請求項1ないし3に記載のポータブル電源切換装置において、
前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の電力供給能力以上の出力を制限する電力制限手段、及び/又は、前記電力供給能力の大きさを表示する表示手段を備えている
ことを特徴とするポータブル電源切換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多種類のポータブル電源切換装置を無停電で使用できるポータブル電源切換装置に関する。更に詳しくは、市販されている各種のポータブル電源を用いて、災害時等に家電製品等の負荷に対して、無停電で電力を供給できるポータブル電源切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポータブル電源は、内部に大容量蓄電池等を搭載した移動式の電源装置であり、商用のAC電源、ソーラーパネル等から充電して使用される。この出力ポートは、AC(交流)とDC(直流)、及びUSBポート等を備えているものとして知られている(例えば、特許文献1等)。一般に、インバーターを介して作られるAC出力には、正弦波・修正正弦波(疑似正弦波)・矩形波の3種類がある。正弦波は家庭用のコンセントに採用されている波形と同じなので、幅広い機器に対応できる。このポータブル電源は、地震や台風等の災害時の電源、又はキャンプ等のレジャー用の電源として使用されている。
【0003】
災害の発生時に公共施設で避難所が開設された場合、今日ではポータブル電源が自治体等により常備されており、これと共に、避難者等が持ち込んだ多種類のポータブル電源が使用されることになる。このポータブル電源の容量は大きくはないので、取り分け医療機器等の電源に使用するときは、停電にならないように慎重に使用する必要があり、このために無停電電源システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-3846号公報
【特許文献2】特開2022-68542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため被災地域の商用電源が停電しているとき、残容量がないポータブル電源の充電もできない状況となるので、貴重な電源として慎重な使用が望まれる。即ち、医療機器、腐敗しやすい食料のための冷蔵庫等を稼働させる必要があり、緊急度に応じて優先度を決めて、一括して電力の管理をする必要がある。特に、コンピュータ機器のように、電源電圧の変動による停止、電源切換えのための停電時間により、電源供給が停止されると誤動作の原因となる。このために従来から無停電電源装置(UPS)が使用されている。無停電電源装置は、種々のものが知られているが、コンピュータ機器のような特定機器のための専用の電源装置である。上述したように、災害時の避難所のように、各種家電製品が集積して使用される場合、市販されているもので多数の台数、かつ多種類のポータブル電源装置が集まるとき、電力供給を停止することなく、円滑に電力を供給するためのシステムは知られていない。
【0006】
本発明は、以上のような背景により以下の目的を達成するものである。
本発明の目的は、複数でかつ複数種のポータブル電源を使用した無停電のポータブル電源切換装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、簡易的なシステムにより、ポータブル電源を使用した無停電のポータブル電源切換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明1のポータブル電源切換装置は、
定格出力容量が同一、ないし異なる、各種、かつ複数台の、電力を蓄電するバッテリ、及び/又は、エンジン駆動による発電機を備えているポータブル交流電源と、
前記ポータブル交流電源から出力された交流電力が供給されて稼働する各種の負荷機器と、
前記ポータブル交流電源、及び前記負荷機器と接続され、前記ポータブル交流電源からの電力を前記負荷機器へ無停電で行う電力供給を制御するための自動電源切換手段と
からなる。
【0008】
本発明2のポータブル電源切換装置は、本発明1において、前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の前記バッテリの容量が設定置以下になったとき、又は、前記ポータブル交流電源の前記発電機が電力を供給できなくなったとき、他の前記ポータブル交流電源に電力供給を切り変えるスイッチ手段を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明3のポータブル電源切換装置は、本発明1において、前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の前記バッテリの容量が設定置以下になったとき、前記発電機に電力供給を切り変えるスイッチ手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
本発明3のポータブル電源切換装置は、本発明1ないし3において、前記自動電源切換手段は、前記ポータブル交流電源の電力供給能力以上の出力を制限する電力制限手段、及び/又は、前記電力供給能力の大きさを表示する表示手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポータブル電源切換装置によれば、複数でかつ複数種のポータブル電源を使用して、負荷機器に無停電で電力供給ができるようになった。
本発明のポータブル電源切換装置によれば、簡易的なシステムにより、ポータブル電源を使用した無停電が実現できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態の無停電のポータブル電源切換装置1の概要を図示しているブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態の無停電のポータブル電源切換装置1の自動電源切換機4の内部構成の例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の無停電のポータブル電源切換装置1の自動電源切換機30の内部構成の例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例1(1系統)を示す図であり、
図4(a)は、自動電源切換機4の出力側パネル50を、
図4(b)は、自動電源切換機4の入力側パネルを模式的に図示している。
【
図5】
図5は、本発明の形態の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例2(2系統)を示す図であり、
図5(a)は、自動電源切換機4の出力側パネル50、
図5(b)は、入力側パネルを模式的に図示している。
【
図6】
図6は、本発明の形態の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例3(親機と子機としての利用)を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の形態の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例4(発電機の利用)を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の形態の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例5(インバーターの利用)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には本発明の第1の実施の形態の無停電のポータブル電源切換装置1(以下、ポータブル電源切換装置1という。)の概要を図示している。ポータブル電源切換装置1は、ポータブル電源装置2、負荷機器3、自動電源切換機4等からなる。ポータブル電源装置2は、複数のポータブル電源装置、特に複数種類のポータブル電源装置からなる。詳しくは、ポータブル電源装置2は、定格出力容量が同一、ないし異なる、各種、かつ複数台の、電力を蓄電するバッテリ又はエンジン駆動による発電機等からなる。
【0014】
負荷機器3は、自動電源切換機4の出力端子に接続されて稼働(動作)する各種の家電製品、電子機器、医療機器等である。負荷機器3としては稼働(動作)に必要な電力が様々な機器を使用する。自動電源切換機4は、ポータブル電源切換装置1から出力された交流電源又は直流電源を負荷機器3へ無停電での電力供給を制御する装置である。負荷機器3は、一般に商用電源を使用するものである。例えば、一般商用電源としての配電盤、コンセント等から供給される電源は50Hz又は60Hzの交流電源であり、日本では電圧100Vが一般的であり、世界的には電圧が230Vであるものが一般的である。そのため、殆どの負荷機器3は50Hz又は60Hzの電圧100Vで動作するように設計されており、電圧230Vを兼ねるものも多い。
【0015】
自動電源切換機4の出力電源は、日本国内で使用のみを前提とした場合、50Hz又は60Hzの電圧100Vで良い。しかし、輸出用の場合、また海外から輸入装置を使用する前提の場合は、自動電源切換機4の出力電源は電圧230Vに対応し、又は、電圧100V-230Vに対応する。同じく、自動電源切換機4の入力電源は、各種のポータブル電源装置2の出力電源に対応する。ポータブル電源装置2の出力電源は異種類から複数種類あり様々である。例えば、エンジン駆動による発電機タイプのもの、バッテリ内蔵のタイプのもの等が例示できる。
【0016】
ポータブル電源装置2の出力ポートは、交流電圧100V、USBのAタイプポート、USBのCタイプポート、直流ポート等がある。また、交流電圧230Vの機器もある。ポータブル電源装置2は、バッテリ内蔵のタイプの場合、通常、商用電源コンセントに接続して、内蔵バッテリを充電する。そして、商用電源が利用できないとき、ポータブル電源装置2を利用するために、それを内蔵バッテリに充電されたまま保管する。エンジン駆動による発電機タイプのポータブル電源装置2の場合は、ガソリン、ディーゼル油(軽油)等の燃料を利用して、駆動し、発電する。そのため、ポータブル電源装置2に燃料を入れたまま保管することもできれば、消防法の関係もありポータブル電源装置2と燃料を別々に保管するものであっても良い。
【0017】
ガソリン等の燃料が確保できる場合、発電機タイプのポータブル電源装置2は、バッテリ内蔵のものより大電力を供給できるため、交流電圧100V、及び/又は、交流電圧230Vに対応することが多い。よって、ここで説明するポータブル電源装置2の出力ポートは、バッテリ内蔵タイプの50Hzと60Hz対応の交流電圧100Vを例に説明する。屋外、異常時、災害時等のように商用電源が利用できない場合、ポータブル電源装置2の出力端子に負荷を接続して利用する。自動電源切換機4は、ポータブル電源装置2から電源供給を受け、これを負荷機器3へ供給するものであり、一種の中継機とも言える。
【0018】
自動電源切換機4は、負荷機器3への電源供給を無停電で行うもので、そのために、複数のポータブル電源装置2から同時又は、電源供給できないポータブル電源装置2を切断し、電源供給ができるポータブル電源装置2へ切り替える。自動電源切換機4は、電源切替器等を内蔵する筐体5と、筐体5に設けたもので持ち運ぶための取手6、電源ケーブル7、稼働表示灯8、電源コンセント9等からなる。
図1に示す例では、電源ケーブル7は、
図1に示すように複数本あり、それぞれポータブル電源装置2の出力端子に接続される。電源コンセント9は、見えないが、筐体5の左側面に複数個を設けており、これらに負荷機器3がそれぞれ接続される。
【0019】
複数の稼働表示灯8は、筐体5の正面に設けられており、それぞれに電源コンセント9が対応する。つまり、稼働表示灯8は、対応する電源コンセント9に接続された負荷機器3の動作状態を示すものである。稼働表示灯8は、点灯するLED、棒状LED等からなる。稼働表示灯8の点灯状態は、必要に応じて任意に設定する。例えば、稼働表示灯8は電源コンセント9に接続された負荷機器3に自動電源切換機4から電源供給されている場合、点灯状態になる。稼働表示灯8は電源コンセント9に接続された負荷機器3に自動電源切換機4に電源供給していない場合、消灯した状態になる。
【0020】
また、稼働表示灯8は、電源コンセント9に接続された負荷機器3に電源供給している自動電源切換機4のバッテリ残量が少ない場合、点滅した状態に設定することもできる。各電源ケーブル7のバックには、バックライト10が設置されている。バックライト10は、対応する電源ケーブル7に接続されたポータブル電源装置2の動作状態を示すものである。バックライト10は点灯するLED等からなる。自動電源切換機4は、PBランプ11、発電機ランプ12、コンセント13等を備えている。PBランプ11は、ポータブル電源装置2から電源供給を受けていることを示すランプである。発電機ランプ12は、発電機から電源供給を受けていることを示すランプである。コンセント13は、発電機等を接続し、電源供給を受けるためのものである。
【0021】
図2には、自動電源切換機4の内部構成の例をブロック図で図示している。自動電源切換機4は、スイッチ切換回路20、電圧・電流検知器21、判定部22、表示灯23等からなる。自動電源切換機4から電源出力するための電源コンセント9は、複数個あり、スイッチ切換回路20にケーブルで接続される。スイッチ切換回路20に、電源ケーブル7が接続される。スイッチ切換回路20は、複数の電源コンセント9と複数の電源ケーブル7をマトリックス状に互いに切換するためのものである。
【0022】
自動電源切換機4は、自動電源切替開閉器、半導体スイッチ等からなり、判定部22によって制御される。自動電源切換機4は、任意の電源コンセント9を任意の電源ケーブル7に接続するものであれば、公知の任意の動作原理のものである。電圧・電流検知器21は、スイッチ切換回路20に接続された負荷機器3、ポータブル電源装置2の電圧と電流を検知するためのものである。電圧・電流検知器21は、電源コンセント9の端子を検知することで、負荷機器3が接続されている否かを検知する。
【0023】
電圧・電流検知器21は、電源ケーブル7の端子を検知することで、ポータブル電源装置2が接続されている否かを検知する。更に、電圧・電流検知器21は、ポータブル電源装置2の出力電圧等を検知し、その内蔵バッテリの動作状況を把握する。例えば、ポータブル電源装置2の出力電圧が規定電圧より低下している場合、このポータブル電源装置2が使用できなくなっていることを示す。同じく、電圧・電流検知器21は、電源コンセント9の端子を検知することで、負荷機器3が接続されている否かを検知する。この検知により、負荷機器3へ印加されている電圧、供給されている電流等を検知し、これにより負荷機器3の使用電力が計算できる。
【0024】
判定部22は、電圧・電流検知器21から検知信号を受信し、自動電源切換機4の動作状況を判定し、必要な指示をスイッチ切換回路20、表示灯23へ送信する。判定部22は、電圧・電流検知器21からの検知信号により、接続されたポータブル電源装置2が接続された電源ケーブル7、負荷機器3が接続された電源コンセント9を把握し、それぞれの電源の値を把握する。必要であれば、それらに流れている電流値等も把握する。判定部22は、負荷機器3に必要な電源が供給されているか否か判定し、その状態を示す信号を表示灯23へ送信する。表示灯23は、稼働表示灯8(
図1を参照。)等からなっており、負荷機器3に対応する稼働表示灯8が点灯、点滅、消灯等の状態になる。
【0025】
判定部22は、ポータブル電源装置2が接続されているか否か、電源供給できるか否を把握する。通常、ポータブル電源装置2の出力電圧が規定電圧の場合、電源供給できると判定する。判定部22は、各負荷機器3に正常に電源供給されているとき、特に表示灯23に適当な信号を送信し、電圧・電流検知器21から検知信号を受信し、上記の判定を繰り返す。自動電源切換機4に接続された全てのポータブル電源装置2の状態が各バックライト10の点灯によって確認可能である。
【0026】
バックライト10は、電源ケーブル7がポータブル電源装置2に接続されるので電源供給可能状況であるとき、点灯するもので、ポータブル電源装置2の電源で点灯する機能を有するものが好ましい。又は、判定部22の指示により、点灯するものであるものでも良い。この場合は、表示灯23は、バックライト10等からなる。自動電源切換機4に接続された全ての負荷機器3の状態は、各稼働表示灯8の点灯等によって確認可能である。判定部22は、負荷機器3へ電源供給しているポータブル電源装置2の電圧(電源)が少なくなっている場合、これに換わる次のポータブル電源装置2を探し、電源切換の指示信号をスイッチ切換回路20へ送信する。
【0027】
本例では、次のポータブル電源装置2は、予め決められた順番で切り換える。また、出力電力が安定している順番で切り換える方法でも良い。安定している順番とは、ポータブル電源装置2の電圧が規定電圧になっているもの又は近いものをいう。順番で切り換える場合、例えば、
図1に図示した電源ケーブル1から順番で切り換え、最後の電源ケーブル6の後は電源ケーブル1に戻る。利用者は、内蔵電池が終わったポータブル電源装置2を、別の利用可能なポータブル電源装置2と交換して接続しておく。
【0028】
スイッチ切換回路20はこの指示を受け、ポータブル電源装置2の切換を行う。その後、各電源コンセント9(負荷機器3)と各電源ケーブル7(ポータブル電源装置2)の状態を電圧・電流検知器21で検知し、この検知された信号を判定部22は受信する。よって、判定部22は各負荷機器3と各ポータブル電源装置2の状態を把握し、その状態を示す信号を表示灯23へ送信する。表示灯23の状態が更新され、つまり、稼働表示灯8とバックライト10の状態が更新される。自動電源切換機4は、ポータブル電源装置2の最大出力電力以上の出力を制限する制御部を備える。これは、基本的に判定部22によって行われる。
【0029】
本発明の無停電のポータブル電源切換装置は、複数のポータブル電源装置を接続して、順番に切り換えて負荷に電源供給する機能を備えている。そのため、市販のポータブル電源をメーカー問わず無停電のポータブル電源切換装置に接続して、順番に切り替わっていき、負荷に電源供給することができる。一般のポータブル電源は、通常、それ自体が独立したバッテリを内蔵し、商用電源で充電して利用している。
【0030】
利用時に、このポータブル電源は100Vの交流電源を出力するが、内蔵電池が無くなれば、負荷に電源供給できなくなる欠点があり、負荷は電源切れになる。本発明の無停電のポータブル電源切換装置1は、複数のポータブル電源装置2から順番に電源供給を負荷に供給するので、ポータブル電源装置2がある限り負荷に無停電で電源供給できる。各種市販で売られているポータブル電源は多くの自治体、避難所、学校等に防災備蓄されている。災害時に、このように備蓄されているどのメーカーの物でも、ポータブル電源切換装置1に接続して自動で切替える事で電気を止める事無く供給可能になる。
【0031】
〔第2の実施の形態〕
以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づいて説明する。本発明の第2の実施の形態無停電のポータブル電源切換装置30(以下、ポータブル電源切換装置30という。)は、上述の本発明の第1の実施の形態の無停電のポータブル電源切換装置1と基本的に同じ構成であり、同じ機能を有するため、異なる部分のみを説明する。
図3には本発明の第2の実施の形態の無停電のポータブル電源切換装置30(以下、ポータブル電源切換装置30という。)の概要を図示している。
【0032】
ポータブル電源切換装置30は、自動電源切換機31、ポータブル電源装置2、負荷機器3等からなる。
図3には自動電源切換機31の構成例をブロック図で図示している。自動電源切換機31は、上述の自動電源切換機4(
図2を参照。)と同様の機能を有するものであり、ここで異なる部分のみを説明する。自動電源切換機31は、制御部32、電圧・電流検知装置33、ポータブル電源装置2用の接続盤37、負荷機器3用の接続盤35等からなる。制御部32は、自動電源切換機31全体の制御を行うもので、マイクロコントローラ、半導体回路等からなる。
【0033】
電圧・電流検知装置33は、制御部32とインターフェース33aを介して接続される。ポータブル電源装置2用の接続盤37は、制御部32とインターフェース37aを介して接続され、同じく、負荷機器3用の接続盤35は、制御部32とインターフェース35aを介して接続される。自動電源切換機31は、ポータブル電源装置2と負荷機器3の動作状態を表示する稼働表示ランプ34と稼働表示ランプ36を備え、それぞれインターフェース35aとインターフェース37aを介して制御部32と接続する。制御部32は、インターフェース37aと接続盤37を介してポータブル電源装置2の情報を取得する。制御部32は、インターフェース35aと接続盤35を介して負荷機器3の情報を取得する。
【0034】
自動電源切換機31は、接続されている任意のポータブル電源装置2を、接続されている任意の負荷機器3と接続、切換できる装置で、そのためにプログラム可能なマイクロコントローラ等からなる。電圧・電流検知装置33は、制御部32によって、ポータブル電源装置2と負荷機器3の接続端子に接続し、電圧・電流等を検知した値を制御部32へ送信する。制御部32は、電圧・電流検知装置33から受信した検知信号を処理し、稼働表示ランプ34と稼働表示ランプ36へ指示をし、ポータブル電源装置2と負荷機器3の動作状態を表示させる。
【0035】
ポータブル電源装置2用の接続盤37は、複数の電源コンセントと、各電源コンセントに対応するスイッチ(機械式リレー、又は半導体スイッチ)を有するものである。この電源コンセントにポータブル電源装置2を接続している。制御部32は、接続盤37と接続盤35をスイッチで制御して開閉し、ポータブル電源装置2を接続盤37から接続盤35へケーブル38で接続し、最終的に負荷機器3に接続して電源供給する。制御部32は、プログラム可能なマイクロコンピュータ、シーケンサ等であり、様々な機能を持つことができる。例えば、各負荷機器3の使用電力を計算する機能、負荷機器3全ての使用電力の合計を計算する機能、負荷機器3が使用できる最大電力を設定する機能を備える。負荷機器3の使用電力が使用できる設定電力に近づいたとき、自動電源切換機31の内蔵スピーカ(図示せず。)で音声警報を出力する機能を備える。
【0036】
制御部32は、以下の変形例で説明するように、系統の設定をし、制御する機能を有する。自動電源切換機31に子機の自動電源切換機31が接続されたとき、これらの制御を行う。具体的に、制御部32は、子機から供給された電力を、負荷機器3へ供給し、制御する。制御部32は、自動電源切換機31に発電機が接続されたとき、これの制御を行う(詳しくは下記の変形例を参照。)。自動電源切換機31は、発電機が電源供給できなくなったとき、ポータブル電源装置からの電力供給に切り変える。また、自動電源切換機31は、ポータブル電源装置全てのバッテリが設定値以下になったとき、自動的に発電機を稼働させ、発電機からの電力供給に切り変える。同じく、制御部32は、以下の変形例等に説明した機能を実現するプログラム可能であり、自動電源切換機31がこれらの機能を備える。
【0037】
〔変形例1〕
本発明の無停電のポータブル電源切換装置1を利用する変形例1を説明する。
図4には、1系統のポータブル電源装置2を利用する変形例1を図示している。
図4(a)は、自動電源切換機4の負荷機器3を接続する出力側パネル50側を模式的に図示したものである。これは、
図1に図示した自動電源切換機4のコンセプト9がある左側の側面(見えない。)のパネルの例である。出力側パネル50は、第1系統電源用のパネル51、第2系統電源用のパネル52からなる。この変形例1では、図示したように負荷機器3は、複数台接続できるが利用できる最大電力が接続されたポータブル電源装置2等により制限される。本例では、最大15Aになっている。
【0038】
図4(a)の上部、下部に示すパネル51とパネル2には、各系統が利用できる最大電力を設定し、表示するためのものであり、設定電力モニタ53、各負荷機器3が使用している電力の合計を表示する使用中電力モニタ54、負荷機器3を接続するための電源コンセント9が配置されている。設定電力モニタ53では、数値を設定するボタン等があり、これにより最大電力を設定する。本図示例では、800Wに表示されている。各負荷機器3は、電源コンセント9に接続して利用する。この利用時の消費電力の合計が計算され、使用中電力モニタ54に表示される。使用中電力モニタ54に表示される電力量は、負荷機器3の消費電力の合計であり、使用を続ければ、その数値は大きくなっていく。
【0039】
そして、設定電力モニタ53に設定した電力量に達する前に、言い換えると超える前に、自動電源切換機4は内蔵スピーカ(図示せず。)で警告音を鳴らす。ここでは1系統のみを説明したが、2系統利用時でも同様である。
図4(b)に示すものは、自動電源切換機4であり、ポータブル電源装置2を接続する入力側パネルを模式的に図示している。これは、
図1に図示した稼働表示灯8の例を示す正面図である。この入力側パネルには、系統切換スイッチ55がある。ポータブル電源装置2の種類によって、出力が異なるものを利用するとき、同じ出力のポータブル電源装置2をまとめて一つの系統とする。例えば、出力がAC100Vを一つの系統、DC12V(24V又は48V)の場合は一つの系統とすることができる。
【0040】
また、出力電圧が同じでも、2つの系統にすることもできる。系統切換スイッチ55では、1系統か2系統を選択して設定する。スイッチ57によって、交流電源(AC)、直流電源(DC)の設定を行う。切替スイッチ56は、ポータブル電源装置2を親機として、又は子機として利用するかを選択するものであり、詳しくは後述する。パイロットランプ58は、3種類(例えば、青、黄色、赤)のランプからなり、隣に入力端子の番号を表記されている。この3種類のランプは、この番号の入力端子に接続されたポータブル電源装置2の状態を示し、例えば、使用中、使用後、待機に対応して点灯する。
【0041】
〔変形例2〕
図5は、2系統のポータブル電源装置2を利用する変形例2を図示したものである。
図5(a)は、自動電源切換機4の出力側パネル50、
図5(b)は、入力側パネルを模式的に図示したものである。この変形例2では、負荷機器3は2系統(2系統Aと2系統B)で、ポータブル電源装置2も2系統(2系統A、2系統B)としたものである。負荷機器3aと負荷機器3bは消費できる最大電流が15Aで、設定電力モニタ53に各設定電力は800Wと600Wになっている。使用中電力モニタ54では、500Wと200Wになっている。出力側パネル50では、2系統を利用するので、系統切換スイッチ55を2系統側にスイッチして利用する。
【0042】
〔変形例3〕
図6は、2つの自動電源切換機4a、自動電源切換機4bを親機と子機として利用する変形例3を図示したものである。自動電源切換機4aは、親機として利用するので、切替スイッチ56は親機側に設定される。同様に、自動電源切換機4bは、子機として利用するので、切替スイッチ56は子機側に設定される。親機と子機は、図示しないが、互いに接続するためにそれぞれに専用に設けた電源ケーブルと電源コンセントによって接続される。ここで、親機は、負荷機器3を接続して利用する。子機は親機に接続されて、親機に電源供給するものである。子機はそれに接続されたポータブル電源装置2の電源を親機に供給する。これにより、親機と子機のポータブル電源装置2を利用できるので、負荷機器3に長時間電源供給することができる。
【0043】
〔変形例4〕
図7(a)及び
図7(b)は、ポータブル電源装置2として、発電機2cを利用する変形例4を図示したものである。発電機2cは、ポータブル電源装置2に設けたコンセント13(
図1を参照。)等に接続して電源として利用する。発電機2cは大電力(例えば、28A)を供給することができるので、系統切換スイッチ55の設定に関係なく、全ての出力電源コンセント9から電力を出力する。発電機2cを自動電源切換機4aに常時接続しているとき、各系統のいずれかの最後のポータブル電源装置2の残量が少なくなり、言い換えると設定値になったとき、自動電源切換機4aは発電機2cを自動起動させ、入力を発電機2cに自動的に切り換える。この自動切換、ポータブル電源装置2の自動切換は、バッテリの低電圧感知機能によって行われる。発電機2cから電力供給されているとき、発電機ランプ12が点灯する。これにより、全てのポータブル電源装置2のバッテリが無くなっても、発電機2cから電力を供給することができ、無停電の電力供給ができる。
【0044】
〔変形例5〕
図8(a)及び
図8(b)は、インバーター60を利用する変形例5を図示したものである。発電機2c(図示せず。)は、ポータブル電源装置2に設けたコンセント13(
図1を参照。)等に接続して電源として利用する。発電機2cは大電力(例えば、28A)を供給することができるので、系統切換スイッチ55の設定に関係なく、全ての出力電源コンセント9から電力出力する。発電機2cを自動電源切換機4bに常時接続しているとき、各系統のいずれかの最後のポータブル電源装置2の残量が少なくなり、言い換えると設定値になったとき、自動電源切換機4aは発電機2cを自動起動させ、入力を発電機2cに自動的に切り換える。この自動切換えは、ポータブル電源装置2の自動切り替え機能、バッテリの低電圧感知機能によって行われる。これにより、全てのポータブル電源装置2のバッテリがなくなっても、発電機2cから電力供給することができ、無停電の電力供給ができる。
【0045】
〔変形例6〕
変形例6の本発明の無停電のポータブル電源切換装置1は、自動電源切換機4に接続されているポータブル電源装置2を所定時間毎に電力出力させて、待機状態を維持する機能を有する。言い換えると、ポータブル電源装置2を所定時間毎に電力を出力させて、自動停止状態にさせないための機能である。汎用のポータブル電源は電源を入れた(ON)状態で待機させると、待機電力が消費され内蔵バッテリの容量が自動的に徐々に減少する。例えば、ポータブル電源は待機電力が10W以下であり、電池容量が少ないモデルの場合、1日で80%近くのバッテリ容量が自己消費することがある。
【0046】
そのポータブルバッテリ、ポータブル電源等では多くの機種で12時間後に自動でOFFになる機能があり、一部の機種を除いて解除できない。よって、ポータブル電源は、待機して12時間に到達する前にリセットする必要がある。リセットすれば、更に12時間待機ができる。本発明の無停電のポータブル電源切換装置は、ポータブル電源装置2にオートパワーOFF機能がある場合、そのオートパワーOFFになる時間前に、例えば、11時間50分後に一時的にそのポータブル電源装置をAC出力(例えば、5Wで3秒程度)することで、更に12時間の待機になる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の無停電のポータブル電源切換装置は、地震、台風等の災害時又は緊急時の電源、災害対策の備蓄装置として利用する。また、屋外活動、キャンプ等の電源としても利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
1…無停電のポータブル電源切換装置
2…ポータブル電源装置
3…負荷機器
4…自動電源切換機
5…筐体
6…取手
7…電源ケーブル
8…稼働表示灯
9…電源コンセント
10…バックライト
11…PBランプ
12…発電機ランプ
13…コンセント
20…スイッチ切換回路
21…電圧・電流検知器
22…判定部
23…表示灯
30…無停電のポータブル電源切換装置
31…自動電源切換機
50…出力側パネル
51…第1系統電源用のパネル
52…第2系統電源用のパネル
53…設定電力モニタ
54…使用中電力モニタ
55…系統切換スイッチ
56…切替スイッチ
57…スイッチ