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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099178
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】トノカバー
(51)【国際特許分類】
   B60R 5/04 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B60R5/04 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002919
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】591162136
【氏名又は名称】サンショウ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】安田 浩章
【テーマコード(参考)】
3D022
【Fターム(参考)】
3D022BA05
3D022BA11
3D022BB01
3D022BC10
3D022BC18
(57)【要約】
【課題】車両の荷室内の荷物を適切に覆うことができるトノカバーを提供する。
【解決手段】トノカバー4は、自動車の荷室内の荷物を覆うトノカバー本体31と、このトノカバー本体31を後部座席に取り付けるための第1取付部32と、それをバックドアに取り付けるための第2取付部33とを備える。そして、トノカバー本体31を両取付部32,33で後部座席及びバックドアに取り付けた状態でバックドアを開閉動作させることが可能でかつ後部座席の背凭れ部を前方倒伏姿勢に変更しても使用可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷室内の荷物を覆うトノカバー本体と、
前記トノカバー本体を前記車両の座席に取り付けるための第1取付部と、
前記トノカバー本体を前記車両のバックドアに取り付けるための第2取付部とを備え、
前記トノカバー本体が前記第1取付部及び前記第2取付部によって前記座席及び前記バックドアに取り付けられた状態で前記バックドアを開閉動作させることが可能であり、かつ、前記座席の背凭れ部を起立姿勢から前方倒伏姿勢に変更した場合でも使用可能である
ことを特徴とするトノカバー。
【請求項2】
前記トノカバー本体は、
折畳及び展開可能な第1シート部と、
前記第1シート部に設けられた第2シート部とを有し、
前記第1シート部は、前記背凭れ部の起立姿勢に対応する折畳状態と、前記背凭れ部の前方倒伏姿勢に対応する展開状態とになる
ことを特徴とする請求項1記載のトノカバー。
【請求項3】
前記トノカバー本体は、前記第1シート部を折畳状態に維持するための維持手段を有する
ことを特徴とする請求項2記載のトノカバー。
【請求項4】
前記第1取付部は、前記座席のヘッドレストサポートと前記背凭れ部の上面とで挟持される取付部分を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のトノカバー。
【請求項5】
前記第1取付部は、前記背凭れ部の後面に対して着脱可能な取付部材を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のトノカバー。
【請求項6】
前記第2取付部は、前記バックドアに取り付けられる複数の長手状部材を有し、
前記複数の長手状部材の各々は、前記バックドアの窓ガラス及びフレーム間の隙間に差し込まれる弾性変形部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のトノカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷室内の荷物を適切に覆うことができるトノカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載されたトノカバーが知られている。
【0003】
この従来のトノカバーは、車両の荷室内の荷物を覆うトノカバー本体と、このトノカバー本体を車両の後部座席に取り付けるための第1取付部と、トノカバー本体を車両のバックドアに取り付けるための第2取付部とを備えている。
【0004】
そして、トノカバー本体が第1取付部及び第2取付部によって車両の後部座席及びバックドアに取り付けられた状態で、そのバックドアを開閉動作させることが可能である。それゆえ、トノカバーはバックドアの開閉動作に連動して上下動することとなり、使用者はバックドアを開くだけで車両の荷室内の荷物にアクセスできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-94801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のトノカバーでは、座席の背凭れ部を前方に倒して前方倒伏姿勢に変更した場合には当該トノカバーを使用できず、車両の荷室内の荷物を覆うことができない、という問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、車両の荷室内の荷物を適切に覆うことができるトノカバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るトノカバーは、車両の荷室内の荷物を覆うトノカバー本体と、前記トノカバー本体を前記車両の座席に取り付けるための第1取付部と、前記トノカバー本体を前記車両のバックドアに取り付けるための第2取付部とを備え、前記トノカバー本体が前記第1取付部及び前記第2取付部によって前記座席及び前記バックドアに取り付けられた状態で前記バックドアを開閉動作させることが可能であり、かつ、前記座席の背凭れ部を起立姿勢から前方倒伏姿勢に変更した場合でも使用可能であるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両の荷室内の荷物を適切に覆うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係るトノカバーの表面側(第1シート部の展開状態時)を示す正面図である。
図2】同上トノカバーの表面側(第1シート部の折畳状態時)を示す正面図である。
図3】(a)ないし(c)は同上トノカバーの第1取付部の取付手順を示す図である。
図4】(a)ないし(c)は同上トノカバーの第2取付部の取付手順を示す図である。
図5】(a)及び(b)は同上トノカバーの使用状態(背凭れ部の起立姿勢時)を示す図である。
図6】(a)及び(b)は同上トノカバーの使用状態(背凭れ部の前方倒伏姿勢時)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態について図1ないし図6を参照して説明する。
【0012】
図5及び図6は、本発明の一実施の形態に係るトノカバーの使用状態を示す図であるが、以下では、自動車の走行方向を前後方向(図中の矢示F方向が前方向、矢示B方向が後方向)とし、かつ、その前後方向に対して直交する水平方向を左右方向(図中の矢示L方向が左方向、矢示R方向が右方向)として説明する。
【0013】
当該図において、1は車両である自動車で、この自動車1は、左右の座席(シート)である後部座席2(2L,2R)を備え、この後部座席2の後方には、収納物である荷物Wを出し入れ可能に収納する荷室3が設けられている。
【0014】
そして、図5(a)及び図6(a)に示すように、荷室3に収納された荷物W(W1,W2)は、車外から見えないようにするために、目隠し用のトノカバー(荷室目隠し具)4によって少なくとも上方部を覆うことが可能となっている。
【0015】
なお、図6に示す荷物W(W2)は、図5に示す荷物W(W1)とは異なり、前後方向に長手方向を有する長尺物であるため、図6の如く後部座席2の背凭れ部12を前方に倒して水平状の前方倒伏姿勢に変更した状態で、少なくとも一部が自動車1の荷室3に収納されている。
【0016】
また、自動車1は、開閉可能なバックドア5を備え、このバックドア5は自動車本体6の後部に回動支点7を中心として上下方向に回動可能に設けられている。つまり、バックドア5は、回動支点7を中心とする上方への回動(開動作)により開状態となり、回動支点7を中心とする下方への回動(閉動作)により閉状態となる。
【0017】
そして、図5(b)及び図6(b)に示すように、トノカバー4は、左右の後部座席2とバックドア5との間に架け渡された取付状態のまま、バックドア5の開閉動作、すなわち例えばバックドア5の上下方向への回動に連動して上下動するものであり、このため、例えば使用者はバックドア5を上方に回動させて開状態にするだけで、容易に荷室3内の荷物W(W1,W2)にアクセスすることが可能である。
【0018】
加えて、当該図5及び図6からも明らかなように、後部座席2の背凭れ部12が起立姿勢及び前方倒伏姿勢のいずれの姿勢であってもトノカバー4を使用可能である。つまり、このトノカバー4は、後部座席2の背凭れ部12を前方に倒した状態での使用を考慮したものであって、当該背凭れ部12を前方に倒して水平状の前方倒伏姿勢に変更した場合でも使用可能である。
【0019】
後部座席2は、着座者の臀部を支持する座部11と、この座部11の後部に前後方向に回動可能(起立姿勢及び前方倒伏姿勢に姿勢変更可能)に設けられ、着座者の背中を支持する背凭れ部12と、この背凭れ部12の上部に設けられ、着座者の頭部を支持するヘッドレスト部13とを有している。
【0020】
ヘッドレスト部13は、2本のロッド部15を有するヘッドレスト本体16と、背凭れ部12の上部に固設され、ヘッドレスト本体16のロッド部15を着脱可能に支持するヘッドレストサポート17とを有している(図3参照)。
【0021】
ヘッドレストサポート17は、背凭れ部12の上部に埋設固定された上下方向長手状でかつ筒状の胴部21と、この胴部21の上端部に一体に設けられた略板状の頭部22とを有し、これら胴部21及び頭部22には、上下方向に細長い貫通孔23が形成されている。
【0022】
そして、ヘッドレストサポート17の貫通孔23には、ヘッドレスト本体16のロッド部15が挿脱可能に挿入されている。つまり、ヘッドレスト部13のヘッドレスト本体16は、背凭れ部12に固定したヘッドレストサポート17に着脱可能に取り付けられて支持されている。
【0023】
なお、背凭れ部12は、例えば金属製のフレーム(図示せず)に弾性変形可能なクッション材25を取り付け、このクッション材25を表皮材であるシート状のカバー材26で被覆したものである。このカバー材26は、例えば後述する雄係合面部68,69と係合可能な素材(材質)からなる。
【0024】
バックドア5は、図4に示すように、例えば金属製のフレーム28に透明なガラス製の窓ガラス29を装着したものである。そして、これら窓ガラス29とフレーム28との間には、所定寸法の隙間30が形成されている。
【0025】
トノカバー4は、図1及び図2にも示すように、例えば繊維製の生地製品等からなるもので、自動車1の荷室3内の荷物Wの少なくとも上方部を覆うとともに背凭れ部12の後面の全体(略全体を含む)を覆う可撓性を有したシート状のトノカバー本体31と、このトノカバー本体31の前側を自動車1の後部座席2の背凭れ部12に着脱可能に取り付けるための第1取付部(前側取付部)32と、トノカバー本体31の後側を自動車1のバックドア5に着脱可能に取り付けるための第2取付部(後側取付部)33とを備えている。
【0026】
そして、このトノカバー4では、後部座席2の背凭れ部12が起立姿勢(例えば図5に示す鉛直姿勢)である場合において、荷室3内の荷物Wを覆うようにトノカバー本体31が第1取付部32及び第2取付部33によって後部座席(起立姿勢の背凭れ部)2及びバックドア5に取り付けられた状態(両者間に架け渡された状態)で、バックドア5を上下方向に回動させることが可能(開閉動作可能)であり、かつ、後部座席2の背凭れ部12がその起立姿勢から前方倒伏姿勢(例えば図6に示す水平姿勢)に変更された場合においても、荷室3内の荷物Wを覆うようにトノカバー本体31が第1取付部32及び第2取付部33によって後部座席(前方倒伏姿勢の背凭れ部)2及びバックドア5に取り付けられた状態(両者間に架け渡された状態)で、バックドア5を上下方向に回動させることが可能(開閉動作可能)である。
【0027】
つまり、後部座席2の背凭れ部12が起立姿勢及び前方倒伏姿勢のいずれの場合でも、その背凭れ部12の姿勢に拘わらず、トノカバー本体31を両取付部32,33を用いて当該両取付部32,33を介して後部座席2及びバックドア5に取り付けることにより、当該トノカバー4を使用可能である。
【0028】
なお、左右の後部座席2L,2Rのうち、いずれか一方における背凭れ部12が起立姿勢でかついずれか他方における背凭れ部12が前方倒伏姿勢である場合でも同様で、当該トノカバー4を使用可能である。
【0029】
トノカバー本体31は、背凭れ部12の起立姿勢に対応する折畳状態及び背凭れ部12の前方倒伏姿勢に対応する展開状態になる折畳及び展開可能な可撓性のあるシート状の第1シート部36と、この第1シート部36の後端部に設けられた可撓性のあるシート状の第2シート部37と、第1シート部36を折畳状態に維持するための維持手段である面ファスナー38とを有している。
【0030】
なお、第1シート部36は、例えば背凭れ部12のカバー材26と同じ素材(材質)からなるものである。第2シート部37は、例えば第1シート部36とは異なる素材(材質)からなるもので、第1シート部36よりも薄く変形し易い柔軟な部材で構成されている。両シート部36,37は、互いに異なる材質には限定されず、例えば同じ材質で構成してもよい。
【0031】
第1シート部36は、左側の後部座席2Lの背凭れ部12に着脱可能に取り付けられる矩形状の左側シート部材41と、この左側シート部材41よりも幅広状に形成され、右側の後部座席2Rの背凭れ部12に着脱可能に取り付けられる矩形状の右側シート部材42とを有している。
【0032】
そして、互いに分離して独立した左右の両シート部材41,42は、いずれも左右方向に延びる折曲線43,44に沿って折り曲げ可能で、その折り曲げによりそれぞれ個別に二つ折りの折畳状態となる。また、両シート部材41,42間には、細長い僅かな間隙45が存在するが、この間隙45は必ずしも必要なものではない。なお、第2シート部37は、第1シート部36とは異なり、比較的薄い1枚の矩形状のシート部材46のみで構成されている。
【0033】
面ファスナー38は、複数(例えば4つ)の一方側係合部材51と、この一方側係合部材51と係脱可能に係合する複数(当該一方側係合部材と同数である例えば4つ)の他方側係合部材52とを有している。
【0034】
一方側係合部材51は、例えばフック状に起毛された雄係合面部53を有するもので、第1シート部36の両シート部材41,42の後端部の表面に取り付けられている。他方側係合部材52は、例えばループ状に密集して起毛された雌係合面部54を有するもので、第1シート部36の両シート部材41,42の前端部の表面に取り付けられている。なお、他方側係合部材52は、一方側係合部材51よりも大きく形成されている。
【0035】
そして、一方側係合部材51の雄係合面部53と他方側係合部材52の雌係合面部54とが互いに係合することにより、第1シート部36の両シート部材41,42の二つ折りの折畳状態が維持される。なお、例えば雄雌が逆で一方側係合部材が雌係合面部を有しかつ他方側係合部材が雄係合面部を有した構成等でもよい。
【0036】
第1取付部32は、左側の後部座席2Lのヘッドレスト部13のヘッドレストサポート17の頭部22の下面と左側の後部座席2Lの背凭れ部12の上面とで挟持される横長矩形のシート状の取付部分である左側取付部分61と、右側の後部座席2Rのヘッドレスト部13のヘッドレストサポート17の頭部22の下面と右側の後部座席2Rの背凭れ部12の上面とで挟持される横長矩形のシート状の取付部分である右側取付部分62とを有している。
【0037】
左側取付部分61は、左側シート部材41の前端縁に一体に連設されており、図1に示す展開した平面視において当該左側シート部材41の前端縁から前方に向かって突出(膨出)している。また、右側取付部分62は、右側シート部材42の前端縁に一体に連設されており、図1に示す展開した平面視において当該右側シート部材42の前端縁から前方に向かって突出(膨出)している。
【0038】
これら突出状の両取付部分61,62の各々には、ヘッドレストサポート17の頭部22よりも小さい円形状の複数(例えば2つ)の取付孔63,64が形成されている。そして、取付部分61,62のうち取付孔63,64の周囲に位置する部分が、ヘッドレストサポート17の頭部22の下面と背凭れ部12の上面とで挟持固定される。
【0039】
また、第1取付部32は、左側の後部座席2Lの背凭れ部12の後面の下部に着脱可能に取り付けられる複数(例えば2つ)の取付部材である左側取付部材66と、右側の後部座席2Rの背凭れ部12の後面の下部に着脱可能に取り付けられる複数(例えば2つ)の取付部材である右側取付部材67とを有している。
【0040】
左側取付部材66は、左側シート部材41の裏面における折曲線43の前側近傍に取り付けられている。また、右側取付部材67は、右側シート部材42の裏面における折曲線44の前側近傍に取り付けられている。
【0041】
これら各取付部材(係合部材)66,67は、例えば面ファスナー38の一方側係合部材51と同じもので、フック状に起毛された雄係合面部68,69を有している。そして、当該雄係合面部68,69が、カバー材26の所定部分と係脱可能に係合することにより背凭れ部12の後面の下部(上部にも取り付けられる構成としてもよい)に取り付けられる。
【0042】
なお、例えば背凭れ部12のカバー材26の素材が雄係合面部68,69と係合しないものである場合においては、面ファスナー38の他方側係合部材52と同じものを背凭れ部12の後面下部に固着すればよい。また、取付部材66,67の数は、図示した例には限定されず、それよりも多くてもよく、例えば取付部材を両シート部材の裏面における折曲線の前側近傍及び前端部(例えば裏面の6箇所)に設けた構成等でもよい。なお、背凭れ部12の後面(背面)に対して着脱可能な着脱部材である取付部材66,67は必ずしも必要なものではなく、当該取付部材を設けない構成としてもよい。
【0043】
第2取付部33は、先端側がバックドア5に着脱可能に取り付けられる複数(例えば左右2本ずつで合計4本)の長手状部材70を有している。
【0044】
各長手状部材70は、第2シート部37の後端部の角部付近に基端部が取り付けられた伸縮可能な長手状部(紐部)71と、この長手状部71の先端部に設けられ、バックドア5の窓ガラス29及びフレーム28間の隙間30に差し込まれて当該バックドア5に取り付けられる弾性変形可能な取付用の弾性変形部72とを有している。
【0045】
長手状部71は、例えば比較的細長い弾性変形可能なゴム紐で構成されている。また、弾性変形部72は、例えば断面略レ字状をなす弾性変形可能なゴム板で構成されたもので、バックドア5のフレーム28の先端部28aと係脱可能に係合してその先端部28aに取り付けられる抜止め用の係合部分73を有している。
【0046】
次に、上記トノカバー4の作用等を説明する。
【0047】
まず、自動車1の後部座席(リヤシート)2及びバックドア5に対して、トノカバー4を取り付ける取付方法について説明する。
【0048】
トノカバー4のトノカバー本体31は、その前側を第1取付部32を介して後部座席2の背凭れ部12に取り付けるとともに、その後側を第2取付部33を介してバックドア5に取り付ける。つまり、このトノカバー本体31は、背凭れ部12及びバックドア5への両取付部32,33の取り付けにより当該背凭れ部12及びバックドア5に取り付けられる。
【0049】
具体的には、まず、図3を参照しつつ第1取付部32の取付手順を説明する。
【0050】
図3(a)に示すように、後部座席2(2L,2R)のヘッドレスト本体16をヘッドレストサポート17から取り外す。
【0051】
次いで図3(b)に示すように、第1取付部32の取付部分61,62の取付孔(固定孔)63,64をヘッドレストサポート17の頭部22の上方位置に位置合わせする。
【0052】
次いで図3(c)に示すように、取付部分61,62を下方に移動させることで頭部22の外周面との接触に基づいて取付孔63,64の開口径を一旦大きくして頭部22を通過させることにより、取付部分61,62のうち取付孔63,64の周囲に位置する部分(孔周囲部)が、頭部22の下面と背凭れ部12の上面とで挟持された状態となって固定される。
【0053】
こうして、左側取付部分61が頭部22で押え付けられるように左側の後部座席2Lの背凭れ部12の上面に取り付けられ、かつ、右側取付部分62が頭部22で押え付けられるように右側の後部座席2Rの背凭れ部12の上面に取り付けられる。その後、ヘッドレスト本体16をヘッドレストサポート17装着して元の状態に戻す。
【0054】
また、左側取付部材66は、左側の後部座席2Lの背凭れ部12の後面に係合により取り付け、かつ、右側取付部材67は、右側の後部座席2Rの背凭れ部12の後面に係合により取り付ける。その結果、左右の後部座席2L,2Rの両背凭れ部12の後面は、その全体がトノカバー本体31の第1シート部36によって覆われる。つまり、第1シート部36は、背凭れ部12の後面に沿って位置するように当該背凭れ部12の後面に取り付けられる(図5参照)。
【0055】
次に、図4を参照しつつ第2取付部33の取付手順を説明する。
【0056】
図4(a)ないし(c)に示すように、バックドア5を上方に回動させて開状態にした後、第2取付部33の4本の各長手状部材70の先端側の弾性変形部72をバックドア5の窓ガラス29及びフレーム28間の隙間30に弾性変形させつつ差し込むことにより、各弾性変形部72の係合部分73がフレーム28の先端部28aと係合してその先端部28における所定位置に位置決め固定された状態となって取り付けられる。なお、弾性変形部(バックドア固定部)72は、隙間30に沿ってスライドさせることで、その取付位置(固定位置)を調整可能である。
【0057】
こうして、左側の2本の長手状部材70の先端側の弾性変形部72がバックドア5の左側2箇所の所定位置に取り付けられ、かつ、右側の2本の長手状部材70の先端側の弾性変形部72がバックドア5の右側2箇所の所定位置に取り付けられる。つまり、バックドア5の所望の4箇所に長手状部材70の弾性変形部72を固定(取付)するため、バックドア5を閉状態にした際にその閉状態のバックドア5と自動車本体6との間でトノカバー本体31を挟み込む不具合も生じない。
【0058】
そして、このように両取付部32,33を介して後部座席2の背凭れ部12及びバックドア5に取り付けられたシート状のトノカバー本体31は、例えば背凭れ部12が起立姿勢の場合においては、図5(a)に示すように、背凭れ部12の後面に沿って位置してその後面を被覆した第1シート部36が二つ折りの折畳状態となっており、荷室3内の荷物W(W1)は弛んだ状態の第2シート部37で覆われている。
【0059】
また、図5(b)に示すように、トノカバー本体31が第1取付部32の取付部分61,62及び取付部材66,67と第2取付部33の長手状部材70とを介して起立姿勢の背凭れ部12及びバックドア5に取り付けられた状態のまま、バックドア5を上方に回動させて開状態にすることが可能である。それゆえ、使用者はバックドア5を開状態にするだけで、容易に荷室3内の荷物W(W1)にアクセスできる。
【0060】
他方、例えば背凭れ部12が起立姿勢ではなく前方倒伏姿勢の場合においては、図6(a)に示すように、面ファスナー38の両係合部材51,52の係合解除によって第1シート部36が展開状態となっており、荷室3内の荷物W(W2)は第1シート部36及び第2シート部37で覆われている。
【0061】
この際、図6に示す荷物W(W2)は、例えば細長い長尺物であることから、それを積載するために背凭れ部12が前方に倒されており、この前方倒伏姿勢の背凭れ部12の後面から第1取付部32の取付部材66,67が取り外されている。つまり、両取付部材66,67と背凭れ部12のカバー材26との係合が解除され、展開状態の第1シート部36と前方倒伏姿勢の背凭れ部12との間に長尺状の荷物W(W2)の前部が挿入されている。なお、荷物W2の形状や大きさ等によっては、前方倒伏姿勢の背凭れ部12の後面に取付部材66,67を取り付けた状態でトノカバー4を使用することも可能である。
【0062】
またこの場合も、図6(b)に示すように、トノカバー本体31が第1取付部32の取付部分61,62と第2取付部33の長手状部材70とを介して前方倒伏姿勢の背凭れ部12及びバックドア5に取り付けられた状態のまま、バックドア5を上方に回動させて開状態にすることが可能であり、使用者はバックドア5を開状態にするだけで容易に荷室3内の荷物W(W2)にアクセスできる。
【0063】
そして、上記トノカバー4によれば、トノカバー本体31が第1取付部32及び第2取付部33によって自動車1の後部座席2の背凭れ部12及びバックドア5にこれら両者間に架け渡されるように取り付けられた状態で、バックドア5を開閉動作(上下方向に回動)させることが可能であり、かつ、後部座席2の背凭れ部12を前方に倒して起立姿勢から前方倒伏姿勢に変更した場合でも当該トノカバー4を使用可能であるため、後部座席2の背凭れ部12が起立姿勢ではなく前方倒伏姿勢であっても、トノカバー4を使用して荷室3内の荷物Wを適切に覆うことができる。
【0064】
したがって、後部座席2の背凭れ部12を前方に倒してもシート状のトノカバー4によって荷室3内の荷物Wを車外から見えないように適切に覆って目隠しでき、しかも、従来のトノカバーとは異なり、リアシートバックやバックドア等に被係止部を設ける加工も不要であるため、取付作業が容易である。
【0065】
また、トノカバー本体31は、背凭れ部12の起立姿勢に対応する折畳状態及び背凭れ部12の前方倒伏姿勢に対応する展開状態になる第1シート部36と、この第1シート部36の後端部に設けられた可撓性のあるシート状の第2シート部37と、第1シート部36を折畳状態に維持するための面ファスナー38とを有するため、背凭れ部12が前方倒伏姿勢であっても第1シート部36を展開状態にすることで適切に対応でき、また面ファスナー38で第1シート部36を折畳状態に適切に維持でき、しかも、その折畳状態の第1シート部36で背凭れ部12の後面全体を保護できる。
【0066】
なお、上記実施の形態では、第1取付部及び第2取付部がトノカバー本体に一体的に設けられた構成について説明したが、例えば第1取付部や第2取付部はトノカバー本体に対して着脱可能な構成等でもよい。
【0067】
また、第1取付部は、取付部分及び取付部材の両方を有するものには限定されず、例えば取付部分及び取付部材のうちいずれか一方のみを有したものでもよい。
【0068】
さらに、第2取付部は、左右2本ずつで合計4本の長手状部材(取付部材)を有する構成が好ましいが、例えば左右1本ずつで合計2本の長手状部材を有する構成等でもよい。
【0069】
また、トノカバー本体の素材(材質)は任意であり、例えば織物、編み物或いは不織布等の布(生地)を用いたものが好ましいが、例えば天然皮革や合成皮革等の皮革を用いてもよく、弾性変形可能なゴムや樹脂等の弾性部材等を用いてもよい。
【0070】
さらに、トノカバー本体の第1シート部を折畳状態に維持するための維持手段は、面ファスナーには限定されず、例えばボタンやスナップボタン等でもよく任意である。
【0071】
また、第1シート部は、互いに独立した左右2枚のシート部材からなるものには限定されず、例えば後部座席が一体の構成であれば1枚のシート部材からなるものでもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 車両である自動車
2 座席である後部座席
3 荷室
4 トノカバー
5 バックドア
12 背凭れ部
17 ヘッドレストサポート
28 フレーム
29 窓ガラス
30 隙間
31 トノカバー本体
32 第1取付部
33 第2取付部
36 第1シート部
37 第2シート部
38 維持手段である面ファスナー
61 取付部分である左側取付部分
62 取付部分である右側取付部分
66 取付部材である左側取付部材
67 取付部材である右側取付部材
70 長手状部材
72 弾性変形部
W 荷物
図1
図2
図3
図4
図5
図6