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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099196
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ゲーム用具
(51)【国際特許分類】
   A63F 3/00 20060101AFI20240718BHJP
   G09B 19/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A63F3/00 504Z
G09B19/00 Z
A63F3/00 511F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002958
(22)【出願日】2023-01-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-01
(71)【出願人】
【識別番号】523135528
【氏名又は名称】前川 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】110000464
【氏名又は名称】弁理士法人いしい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 浩一
(57)【要約】
【課題】ゲーム盤にコマを配置するゲーム用具であって、汎用性が高いゲーム用具を提供する。
【解決手段】ゲーム盤10にコマ20を配置するゲーム用具であって、第1条件(商圏領域11)が円状のゲーム盤10を同心円状にm領域に分割されて規定されるとともに、第2条件(価格帯領域12)がゲーム盤10を放射状にn領域に分割されて規定されている。ここで、上記m、nそれぞれは、2以上の整数である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム盤にコマを配置するゲーム用具であって、
第1条件が円状の前記ゲーム盤を同心円状にm領域に分割されて規定されるとともに、
第2条件が前記ゲーム盤を放射状にn領域に分割されて規定される、ことを特徴とするゲーム用具。
【請求項2】
前記第1条件は商圏又は価格帯の一方であり、
前記第2条件は前記商圏又は価格帯の他方である、請求項1に記載のゲーム用具。
【請求項3】
前記コマは店舗である、請求項1又は2に記載のゲーム用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、事業経営の教育のために使用されるゲーム用具や事業経営における会計を学習するためのゲーム用具が提供されている(特許文献1)。特許文献1のゲーム用具は、ゲームの習熟度に応じて、ゲームにかかる時間を変更できるものとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-200030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のゲーム用具は、事業経営に特化したものであり、経済活動に伴う会計の学習ゲームやその他のゲームに使用できず、汎用性がないという問題があった。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、ゲーム盤にコマを配置するゲーム用具であって、汎用性が高いゲーム用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゲーム盤にコマを配置するゲーム用具であって、第1条件が円状の前記ゲーム盤を同心円状にm領域に分割されて規定されるとともに、第2条件が前記ゲーム盤を放射状にn領域に分割されて規定される、ことを特徴とするものである。ここで、上記m、nそれぞれは、2以上の整数であり、同じ値であっても構わないし、互いに異なる値であっても構わない。
【0007】
本発明のゲーム用具において、例えば、前記第1条件は商圏又は価格帯の一方であり、前記第2条件は前記商圏又は価格帯の他方であるようにしても構わない。ただし、第1条件及び第2条件は、商圏及び価格帯に限定されず、他の条件であっても構わない。
【0008】
また、本発明のゲーム用具において、前記コマは店舗であるようにしても構わない。ただし、上記コマは店舗に限定されず、他の設定のコマであっても構わない。
【発明の効果】
【0009】
本発明のゲーム用具によれば、上記第1条件と第2条件を適宜設定することで、いろいろな種類のゲームに応用できるので汎用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態におけるゲーム用具の構成を示す概略図である。
図2】プレイヤーの前に配置されるゲーム用具の構成を示す図である。
図3】ゲーム盤を商品コマ回収容器とともに示す分離斜視図である。
図4】(A)は商品コマを示し斜視図、(B)は店舗コマを示す斜視図である。
図5】価格表を示す平面図である。
図6】(A)は第1サイコロを示す斜視図、(B)は第2サイコロを示す斜視図である。
図7】商品コマ容器を示す斜視図である。
図8】(A)は商品在庫容器を示す斜視図、(B)は商品コマを配置した商品在庫容器の一例を示す斜視図である。
図9】管理帳票の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<ゲーム用具の基本構成>
図1に示すように、一実施形態のゲーム用具は、ゲーム盤10にコマの一例である店舗コマ20を配置するゲーム用具である。そして、ゲーム盤10は円状であり、商圏(第1条件)がゲーム盤10を同心円状にm領域(本実施形態では3領域)に分割されて規定される。さらに、価格帯(第2条件)がゲーム盤10を放射状にn領域(本実施形態では3領域)に分割されて規定されている。本実施形態では、価格帯(第2条件)はゲーム盤10を放射状に等間隔に分割されて規定されている。
【0012】
本実施形態では、上記第1条件を商圏(商圏領域11)とし、上記第2条件を価格帯(マーケット領域12)としており、商品コマ1(図4(A)、図7等参照)を商品としてゲーム上の取引を行う取引ゲーム用具に適用している。このように、上記第1条件と第2条件とを適宜設定することで、いろいろな種類のゲームに応用できるので汎用性が高い。
【0013】
また、ゲーム盤10は円状であり、商圏(第1条件)がゲーム盤10を同心円状に分割されて規定されるとともに、価格帯(第2条件)がゲーム盤10を放射状に分割されて規定されている。これにより、ゲーム盤10を取り囲んでプレイする各プレイヤーPに対する各商圏領域11へのアクセス距離を短くできるとともに、プレイヤーP間でゲーム盤10までの距離が平等になるから、ユーザーフレンドリーである。
【0014】
本実施形態では、プレイヤーPごとに同心円状の商圏の領域数(本実施形態では3領域)と同じ数の店舗コマ20が配布される。これにより、各プレイヤーPは3つの商圏それぞれに自分の店舗コマ20を配置してゲームを行うことができる。そして、各プレイヤーPは3つの商圏それぞれについて商品の取引を行うゲームを行うことができ、例えば商圏(セグメント)ごとの管理会計処理などの会計処理を学習できる。
【0015】
なお、各プレイヤーPに配布される店舗コマ20の個数は、商圏(第1条件)の領域数(m領域)よりも少なくても構わないし、多くても構わない。また、各プレイヤーPに配布される店舗コマ20の個数は、価格帯(第2条件)の領域数(n領域)よりも少なくても構わないし、多くても構わない。
【0016】
また、本実施形態では、商圏(第1条件)のm領域の数と、価格帯(第2条件)のn領域の数それぞれが3つずつで同じである。これにより、商圏および価格帯の各条件が複雑になりすぎず、かつ単純にもならない。なお、整数である上記mとnは、ともに2であっても構わないし、4以上であっても構わない。また、上記mとnは互いに異なる整数であっても構わない。例えば、上記mとnは、ともに2以上の整数kの倍数であって互いに異なる整数であっても構わない。
【0017】
また、第1条件としての商圏と第2条件としての価格帯を入れ替えても構わない。すなわち、価格帯(第1条件)がゲーム盤10を同心円状にm領域に分割されて規定されるとともに、商圏(第2条件)がゲーム盤10を放射状にn領域に分割されて規定されても構わない。
【0018】
次に、本発明の実施形態となるゲーム用具の具体例について、図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明のゲーム用具を取引ゲーム用具に適用した例を説明する。図1は、本実施形態におけるゲーム用具の構成を示す概略図である。図2は、各プレイヤーの前に配置されるゲーム用具の構成を示す図である。図3は、本実施形態で用いるゲーム盤を商品コマ回収容器とともに示す分離斜視図である。図4は、本実施形態で用いるコマを示す斜視図であり、(A)は商品コマ、(B)は店舗コマを示す。図5は、価格表を示す平面図である。図6は、第1サイコロと第2サイコロを示す斜視図である。図7は、商品コマ容器を示す斜視図である。図8は、商品在庫容器を示す斜視図である。図9は、本実施形態で使用する管理帳票の一例を示す図である。
【0019】
<ゲーム用具の全体構成>
取引ゲーム用具としての本実施形態のゲーム用具は、3個の商圏領域11(第1条件)をそれぞれ有する3個のマーケット領域12(第2条件)を備えたゲーム盤10と、プレイヤーPごとに3個ずつ配布されてゲーム盤10上の商圏領域11のいずれかに配置される、プレイヤーPが数値を設定可能な店舗コマ20と、3つのマーケット領域12のいずれかに対応する選択肢を各面に有する6面体の第1サイコロ31と、1つの商圏領域11に複数の店舗コマ20が配置されているときの店舗コマ20の数値の高低関係を表す選択肢を各面に有する6面体の第2サイコロ32と、を備えている。各商圏領域11は店舗コマ20が配置されるコマ配置領域を構成する。
【0020】
また、本実施形態のゲーム用具は、仕入及び売却する商品を表す多数の商品コマ1(図4図7及び図8参照)と、収容した商品コマ1の個数によって商品の在庫数を表す商品在庫容器30と、仕入用の商品コマ1を収容する商品コマ容器40と、売却された商品コマ1を収容する商品コマ回収容器50と、商圏領域11ごとの最高販売価格を示す価格表60と、月毎の商品の取引数量を記録するための管理帳票70と、商品の販売促進イベントに使用する販促チケット80とを備える。価格表60は、各商圏領域11に配置する店舗コマ20に設定できる最高価格を表示している。商品在庫容器30及び価格表60それぞれはプレイヤーPごとに配布される。
【0021】
また、各プレイヤーPに、プレイヤー番号を表すプレイヤー番号表示具90が配布される。本実施形態では、例えば2~6名のプレイヤーPの参加を想定しており、1番~6番のプレイヤー番号表示具90が用意されている。プレイヤー番号表示具90は、例えば立方体からなり、各面にプレイヤー番号1~6が表示されている。なお、プレイヤー番号表示具90は、プレイヤー番号を表示できるものであればどのような態様であっても構わない。なお、参加可能なプレイヤーPの人数は7名以上であっても構わない。
【0022】
<ゲーム上での商品の取引の概要>
本実施形態のゲーム用具を使用したゲーム上での商品の取引の一例を説明する。各プレイヤーPは、手持ちの3個の店舗コマ20それぞれに商品価格(数値)を設定し、9つの商圏領域11のいずれかに設置する。各プレイヤーPは、他のプレイヤーPの店舗コマ20が置かれている商圏領域11に自分の店舗コマ20を配置しても構わない。なお、各店舗コマ20に設定された商品価格は、すべてのプレイヤーPが把握可能に店舗コマ20に表示される。
【0023】
各プレイヤーPは、プレイヤー順に第1サイコロ31と第2サイコロ32との両方を振ってゲームを進める。プレイ回ごとに、第1サイコロ31の出目によって、今回のプレイ回で商品取引を行えるマーケット領域12が選択される。選択されたマーケット領域12に店舗コマ20を配置しているプレイヤーPは、自分のプレイ回であっても自分のプレイ回でなくても、店舗コマ20に設定されている商品価格で商品コマ1によるゲーム上での商品の取引を行う機会を得る。
【0024】
ただし、選択されたマーケット領域12内の3つの商圏領域11のうち同一の商圏領域11に複数の店舗コマ20が配置されていることがある。このときは、各店舗コマ20に設定された商品価格の高低と第2サイコロ32の出目とによって、今回のプレイで商品取引を行えるプレイヤーPを決定できる。
【0025】
第2サイコロ32の各面には、店舗コマ20の商品価格の高低関係を表す選択肢が表示されている。例えば、第2サイコロ32の各面には、同一の商圏領域11に配置された複数の店舗コマ20のうち、最も高い商品価格を設定している店舗コマ20を選択する「高」マーク、最も低い商品価格を設定している店舗コマ20を選択する「低」マーク、最高でも最低でもない商品価格を設定している店舗コマ20を選択する「中」マークのいずれかが表示されている。そして、選択された商品価格の高低関係に該当する店舗コマ20を配置しているプレイヤーPが、店舗コマ20に設定されている商品価格で商品コマ1によるゲーム上での商品の取引を行う機会を得る。
【0026】
各プレイヤーPがプレイヤー順に第1サイコロ31と第2サイコロ32とを振るプレイを繰り返す。各プレイ回において取引を行う機会を得たプレイヤーPは、売却した商品コマ1の個数と商品価格とを記録する。このように、本実施形態のゲーム用具は、各プレイヤーPが店舗コマ20ごとに商品価格(数値)を設定してゲーム盤10のいずれかの商圏領域11に設置するという簡易な行為を行うだけでプレイを開始できるので、ゲーム上での商品の取引を短時間かつ簡易に行える。
【0027】
また、各プレイヤーPは、例えば自分のプレイ回のときに、自分の店舗コマ20を配置する商圏領域11の変更や、各店舗コマ20の商品価格を変更できる。各プレイヤーPは、自分のプレイ回でなくても、商品コマ1を取引する機会がある。その機会を増やすために、各プレイヤーPは、ゲーム盤10の各商圏領域11に設置されている各プレイヤーPの店舗コマ20の配置状況や各店舗コマ20に設定されている商品価格を把握した上で、自分の店舗コマ20の配置や設定商品価格を再設定することで、ゲーム上での取引を行う機会を増やす工夫を検討できるので、飽きることなく楽しみながら、ゲーム上での取引を行うことができる。
【0028】
なお、第2サイコロ32の出目に関し、同じ商圏領域11に同じ商品価格を設定している2つ以上の店舗コマ20が配置されている場合や、同一の商圏領域11に「中」マークに対応する店舗コマ20がない(同一の商圏領域11に配置された店舗コマ20に設定されている商品価格が高低の2つのみ)場合などがある。このような場合、例えば1回のプレイ回で取引できる商品の最大取引個数を商圏領域11ごとに設定しておき、第2サイコロ32で選択された商品価格の高低関係に該当する複数の店舗コマ20を設置しているプレイヤーPで商品を販売する権利を分け合うなどすればよい。各商圏領域11における商品の最大取引個数は、同じであっても構わないし、互いに異なっていても構わない。
【0029】
また、本実施形態のゲーム用具は、X個(3個)の商圏領域11(コマ配置領域)をそれぞれ有するY個(3個)のマーケット領域12を備えたゲーム盤10と、プレイヤーPごとにZ個(3個)ずつ配布されて商圏領域11のいずれかに配置される、プレイヤーPが数値を設定可能な店舗コマ20と、マーケット領域12のいずれかに対応するN個(6個)の選択肢を有する第1サイコロ31(第1操作具)と、1つの商圏領域11に複数の店舗コマ20が配置されているときの店舗コマ20の数値の高低関係を表すM個(6個)の選択肢を有する第2サイコロ32(第2操作具)と、を備え、上記M、N、X、Y、Zが全て整数3(整数K)の倍数になっている。これにより、本実施形態のゲーム用具を使用したゲーム上の商品の取引が、複雑になりすぎず、かつ単純にもならないので、各プレイヤーPは、本実施形態のゲーム用具を使用したゲーム上の商品の取引を飽きることなく楽しみながら行うことができる。
【0030】
なお、上記整数Kは、3に限定されず、例えば2や5であっても構わない。また、本発明のゲーム用具は、上記M、N、X、Y、Zの全てが整数Kの倍数になっている構成でなくても構わない。例えば、各マーケット領域12に設けられる商圏領域11の個数(X個)と、ゲーム盤10に設けられるマーケット領域12の個数(Y個)は、互いに異なる整数の倍数(例えばX=3、Y=2など)であっても構わない。また、上記X個およびY個の個数は特に限定されず、2個または4個以上であっても構わない。
【0031】
また、第1サイコロ31は、各マーケット領域12に対応する表示面の数が異なっていて、各マーケット領域12を選択する確率が異なっていても構わない。第2サイコロ32は、「高」、「中」、「低」の表示面の数が異なっていて、店舗コマ20に設定された商品価格の高低関係を表す「高」、「中」、「低」を選択する確率が異なっていても構わない。このような第1サイコロ31及び第2サイコロ32それぞれは、各プレイヤーPが、自分の店舗コマ20のゲーム盤10における配置や店舗コマ20に設定する商品価格を決定したり再検討したりする際の要素になるので、ゲーム上の商品の取引をより飽きることなく楽しみながら行うことができる。
【0032】
なお、マーケット領域12のいずれかに対応するN個の選択肢を有する第1操作具は、立方体の第1サイコロ31に限らず、Y個(マーケット領域12の個数)以上の選択肢を有するものであればよい。また、1つの商圏領域11に複数の店舗コマ20が配置されているときの店舗コマ20の数値の高低関係を表すM個の選択肢を有する第2操作具は、立方体の第2サイコロ32に限らず、2個以上の選択肢(例えば上記「高」と「低」とを1個ずつ)を有するものであればよい。
【0033】
また、第1操作具及び第2操作具それぞれは、無作為(ランダム)に複数の選択肢のうちのいずれかを決定できるものであれば、アナログ式、電子式を問わず、どのような構成のものであっても構わない。例えば、第1操作具及び第2操作具それぞれは、立方体以外の多面体(例えば正八面体などの正多面体や、切頂二十面体(サッカーボール)などの半正多面体)で構成されても構わないし、電子式のルーレットゲーム装置であっても構わない。
【0034】
<ゲーム盤の構成>
図1及び図3に示すように、ゲーム盤10は、3個のマーケット領域12を環状に配置し、各マーケット領域12内で3個の商圏領域11を上記環状の径方向に並べるものである。本実施形態では、ゲーム盤10は、同心円状に3個に分画したドーナツ状の円環を放射状に3個に分割したマーケット領域12A、12B、12Cを備えている。そして、各マーケット領域12には、ゲーム盤10の径方向に分画された3個の商圏領域11が設けられている。
【0035】
本実施形態では、円環状のゲーム盤10は例えば木製であり、3つの環状扇形状のマーケット領域12A、12B、12Cに等間隔に分画されている。そして、ゲーム盤10は、マーケット領域12A、12B、12Cに分離可能に構成されている。各マーケット領域12A、12B、12Cは、それぞれ内角が120°の環状扇形状の形態を有し、同じ外形を有している。これにより、ゲーム盤10の持ち運び時および収納時には、マーケット領域12A、12B、12Cを積層して配置することで、ゲーム盤10のコンパクト化を実現でき、利便性が向上する。なお、ゲーム盤10の素材は特に限定されず、例えば樹脂製や紙製であっても構わない。
【0036】
ゲーム盤10は、9つの商圏領域11が互いに異なる色に彩色されている。本実施形態では、各マーケット領域12内で3つの商圏領域11が異なる色相(色み)で色分けされている。また、環状に配置されたマーケット領域12間で隣り合う商圏領域11が同じ色相で色分けされている。例えば、各マーケット領域12でゲーム盤10の径方向に並ぶ3つの商圏領域11は、ゲーム盤10の中央側から順に、青、緑、黄に色分けされている。
【0037】
さらに、ゲーム盤10は、マーケット領域12A、12B、12C間で色のトーンが異なっている。ここで、色のトーンとは、色の三属性である色相、明度(明るさ)、彩度(あざやかさ)のうち、明度と彩度を複合した概念であり、色の調子(色調)とも呼ばれるものである。例えば、マーケット領域12Aは比較的濃いトーン、マーケット領域12Cは比較的淡いトーン、マーケット領域12Bはマーケット領域12A、12Cの中間のトーンで彩色されている。
【0038】
本実施形態では、例えば、マーケット領域12Aにおいて、商圏領域11Abは濃い青、商圏領域11Agは濃い緑、商圏領域11Ayは濃い黄に彩色されている。マーケット領域12Bにおいて、商圏領域11Bbは商圏領域11Abよりも淡い青、商圏領域11Bgは商圏領域11Agよりも淡い緑、商圏領域11Byは商圏領域11Ayよりも淡い黄に彩色されている。マーケット領域12Cにおいて、商圏領域11Cbは商圏領域11Bbよりも淡い青、商圏領域11Cgは商圏領域11Bgよりも淡い緑、商圏領域11Cyは商圏領域11Byよりも淡い黄に彩色されている。
【0039】
換言すると、同心円上に位置する商圏領域11Ab、11Bb、11Cbは青に彩色されるとともに互いにトーンが異なっている。また、同心円上に位置する商圏領域11Ag、11Bg、11Cgは緑に彩色されるとともに互いにトーンが異なっている。また、同心円上に位置する商圏領域11Ay、11By、11Cyは黄に彩色されるとともに互いにトーンが異なっている。このように、ゲーム盤10の9つの商圏領域11は互いに色が異なっている。
【0040】
本実施形態では、ゲーム盤10の径方向に並ぶ3つの商圏領域11それぞれの径方向長さは等しく設けられている。ただし、これらの径方向長さは互いに異なっていても構わない。例えば、ゲーム盤10の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbの径方向長さは、それらの商圏領域11よりも外周側の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgなどの径方向長さよりも長く設けられているようにしても構わない。これにより、径方向に並ぶ3つの商圏領域11を径方向に等間隔に分画する場合比べて、商圏領域11Ab、11Bb、11Cbの面積を大きくすることができ、複数の店舗コマ20を配置できる十分なスペースを確保できる。
【0041】
なお、本実施形態における商圏領域11及びマーケット領域12の色は一例であり、ゲーム盤10において商圏領域11やマーケット領域12を色分けする方法は適宜変更可能である。例えば、色相(色み)として赤や紫などを採用しても構わない。また、商圏領域11やマーケット領域12は色分けされていなくても構わない。また、ゲーム盤10は、3つのパーツ(本実施形態では3つのマーケット領域12)に分解可能なものに限定されず、分解不能なものであっても構わないし、2つ又は4つ以上の分割可能なものであっても構わない。
【0042】
また、ゲーム盤10の外形は特に限定されず、例えば三角形や四角形、六角形などの多角形であっても構わない。また、環状に配置した3つのマーケット領域12内で3個の商圏領域11を上記環状の径方向に並べるにあたり、径方向に並ぶ商圏領域11の境界の線形状は円弧に限定されず、例えば直線であっても構わないし、湾曲または屈曲した線であっても構わない。
【0043】
<商品コマの構成>
図4(A)に示すように、商品コマ1は、多面体となる立体形状を有しており、本実施形態では立方体形状を有する。商品コマ1は例えば木製であり、商圏領域11の色相に合わせて色分けされている。本実施形態では、青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbに対応した商品取引に使用する商品コマ1bは青に彩色されている。また、緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgに対応した商品取引に使用する商品コマ1gは緑に彩色されている。そして、黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cyに対応した商品取引に使用する商品コマ1yは緑に彩色されている。
【0044】
なお、商品コマ1の形状は、立方体に限らず、適宜変更可能である。また、商品コマ1は、商圏領域11の色相に合わせた色分けがされていなくても構わない。例えば、商品コマ1は1種類であっても構わない。また、商品コマ1の素材は特に限定されず、例えば紙製や樹脂製であっても構わない。
【0045】
<商品コマ回収容器の構成>
図1及び図3に示すように、ゲーム盤10には複数の商品コマ回収容器50が配設される。これらの商品コマ回収容器50それぞれは、例えば木製であり、有底円筒状の形態を有し、ゲーム盤10に対して着脱可能に設けられる。ゲーム盤10には、商品コマ回収容器50を位置決めするための複数の容器配置孔13が設けられている。本実施形態では、ゲーム盤10に13個の容器配置孔13が設けられている。容器配置孔13に商品コマ回収容器50を嵌め込むことで、例えばプレイヤーPの手が意図せずに当たった場合などに商品コマ回収容器50の転倒を防止できる。
【0046】
商品コマ回収容器50として、青に彩色された1つの商品コマ回収容器50bと、緑に彩色された6つの商品コマ回収容器50gと、黄に彩色された6つの商品コマ回収容器50yとが設けられている。商品コマ回収容器50bは、青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbに対応した商品取引に使用する青色の商品コマ1bの回収に使用され、ゲーム盤10の中央の容器配置孔13に配置される。なお、本実施形態では、ゲーム盤10の中央の容器配置孔13は、3つのマーケット領域12A、12B、12Cそれぞれに形成された扇形状の切欠き13aが近接配置されて形成されている。
【0047】
また、商品コマ回収容器50gは、緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgに対応した商品取引に使用する緑色の商品コマ1gの回収に使用され、商圏領域11Ag、11Bg、11Cgの周方向両縁部それぞれに設けた容器配置孔13に配置される。そして、商品コマ回収容器50yは、黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cyに対応した商品取引に使用する黄色の商品コマ1yの回収に使用され、商圏領域11Ay、11By、11Cyの周方向両縁部それぞれに設けた容器配置孔13に配置される。
【0048】
本実施形態では、回収する商品コマ1の色に合わせた複数の商品コマ回収容器50が設けられており、プレイヤーPは売却する商品コマ1b、1g、1yを同じ色の商品コマ回収容器50に入れる。これにより、色の異なる商品コマ1が混ざり合うことを防止し、商品コマ1を準備したり片付けたりする際に色ごとに商品コマ1を選り分ける必要がなくなり、利便性が向上する。
【0049】
なお、ゲーム盤10は容器配置孔13を備えていなくても構わない。この場合、各商品コマ回収容器50は、ゲーム盤10上に載置されても構わないし、ゲーム盤10の周辺でテーブルT上に配置されても構わない。また、商品コマ回収容器50の素材は特に限定されず、例えば樹脂製や金属製であっても構わない。また、商品コマ回収容器50は色分けされていなくても構わない。
【0050】
<店舗コマの構成>
図4(B)に示すように、各店舗コマ20は、例えば木製であり、横姿勢に配置される略直方体の形態を有する。店舗コマ20は価格設定ラベル21を保持可能な凹状のラベル保持部22を備えている。店舗コマ20の上面、長手方向両端面および両側面それぞれに、プレイヤー番号表示部23が設けられている。
【0051】
各プレイヤーPに、プレイヤー番号表示具90の番号に合わせたプレイヤー番号表示部23を有する3つの店舗コマ20が配布される。3つの店舗コマ20は、ゲーム盤10の商圏領域11の3色の色味(本実施形態では、青、緑、黄)に合わせて彩色されている。すなわち、各プレイヤーPに、青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbのいずれかに配置する青色の店舗コマ20bと、緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgのいずれかに配置する緑色の店舗コマ20gと、黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cyのいずれかに配置する黄色の店舗コマ20yとが配布される。
【0052】
店舗コマ20のラベル保持部22は、店舗コマ20の上面および長手方向一端面に開口するように店舗コマ20の長手方向に延設されており、店舗コマ20の幅方向に沿った縦断面が凸形(略逆T字形)の形態を有している。すなわち、ラベル保持部22は、上部寄り部位の溝幅寸法(店舗コマ20の上面における開口幅寸法)が底部寄り部位の溝幅寸法よりも小さくなっている。ラベル保持部22の深さは、例えば、店舗コマ20の厚み(高さ)の4分の1程度である。
【0053】
価格設定ラベル21は、例えば紙製であり、長方形板状の形態を有している。価格設定ラベル21の幅寸法は、ラベル保持部22の底部寄り部位の溝幅寸法よりも少し小さく、かつラベル保持部22の上部寄り部位の溝幅寸法よりも大きい寸法に設けられている。これにより、価格設定ラベル21を、店舗コマ20の一端面におけるラベル保持部22の開口端部から、ラベル保持部22の底部寄り部位に挿し込み可能になっている。また、価格設定ラベル21の長さ寸法は、ラベル保持部22の長さ寸法よりも長く設けられている。
【0054】
各プレイヤーPは、価格設定ラベル21に商品価格(数値)を記入し、その価格設定ラベル21を店舗コマ20の端面からラベル保持部22に挿し込んで、店舗コマ20に商品価格を設定する。ラベル保持部22に挿し込まれた価格設定ラベル21に表示された商品価格は、店舗コマ20の上面側から視認可能である。各プレイヤーPは、各店舗コマ20に設定された商品価格を把握できる。
【0055】
価格設定ラベル21をラベル保持部22の奥まで差し込むと、価格設定ラベル21の長手方向一端寄り部位はラベル保持部22からはみ出した状態になる。これにより、店舗コマ20のラベル保持部22から価格設定ラベル21を取り外す際に、価格設定ラベル21のはみ出した部分を掴んでラベル保持部22から容易に抜き出すことができ、ユーザーフレンドリーである。
【0056】
また、ラベル保持部22は、複数枚の価格設定ラベル21を重ねて保持可能に設けられている。プレイヤーPは、店舗コマ20の商品価格を変更するときに、新たな商品価格を表示した価格設定ラベル21を、すでにラベル保持部22に保持されている価格設定ラベル21の上に重ねるようにしてラベル保持部22に差し込んで保持できる。これにより、1つの店舗コマ20に対する商品価格の変更履歴を残すことができる。
【0057】
また、本実施形態では、プレイヤーPごとに、マーケット領域12内の商圏領域11と同じ数の店舗コマ20を配布する。これにより、各プレイヤーPは、マーケット領域12の個数に関わらず、同心円上に位置する3つの商圏領域11ごとに店舗コマ20を1つずつ配置できる。
【0058】
また、価格設定ラベル21には、商品価格とともに、店舗コマ20を配置するマーケット領域12A、12B、12Cを表す表示(例えば、「A」、「B」、「C」のいずれか)を記入しても構わない。これにより、プレイヤーPは店舗コマ20を配置したマーケット領域12の履歴を残すことができるとともに、店舗コマ20を配置するマーケット領域12の間違いを防止できる。
【0059】
なお、商品コマ1の形状は、立方体に限らず、適宜変更可能である。また、商品コマ1は、商圏領域11の色相に合わせた色分けがされていなくても構わない。例えば、商品コマ1は1種類であっても構わない。また、商品コマ1の素材は特に限定されず、例えば紙製や樹脂製であっても構わない。
【0060】
<価格表60の構成>
図2及び図5に示すように、価格表60は、例えばシート状に設けられ、ゲーム盤10を縮小して表示した構成を有する。価格表60は、ゲーム盤10のマーケット領域12A、12B、12Cに対応する扇形のマーケット領域表示部12a、12b、12cを有する。マーケット領域表示部12aは、マーケット「A」で表示されるとともに、ゲーム盤10の商圏領域11Ab、11Ag、11Ayに対応する環状扇形状の商圏領域表示部11ab、11ag、11ayを有する。同様に、マーケット領域表示部12bは、マーケット「B」で表示されるとともに、商圏領域表示部11bb、11bg、11byを有する。また、マーケット領域表示部12cは、マーケット「C」で表示されるとともに、商圏領域表示部11cb、11cg、11cyを有する。
【0061】
価格表60の各商圏領域表示部は、ゲーム盤10の商圏領域11の色に合わせて、互いに異なる色に彩色されている。すなわち、マーケット領域表示部12aにおいて、商圏領域表示部11abは濃い青、商圏領域表示部11agは濃い緑、商圏領域表示部11ayは濃い黄に彩色されている。マーケット領域表示部12bにおいて、商圏領域表示部11bbは商圏領域表示部11abよりも淡い青、商圏領域表示部11bgは商圏領域表示部11agよりも淡い緑、商圏領域表示部11byは商圏領域表示部11ayよりも淡い黄に彩色されている。マーケット領域表示部12cにおいて、商圏領域表示部11cbは商圏領域表示部11cbよりも淡い青、商圏領域表示部11cgは商圏領域表示部11cgよりも淡い緑、商圏領域表示部11cyは商圏領域表示部11cyよりも淡い黄に彩色されている。
【0062】
また、価格表60の各商圏領域表示部には、プレイヤーPが店舗コマ20を商圏領域11のいずれかに配置する際にその店舗コマ20に設定できる設定可能最高価格(最大数値)が表示されている。本実施形態では、ゲーム盤10における同心円上の3つの商圏領域11に対する各設定可能最高価格は、マーケット領域12Aの商圏領域11が最も高く、マーケット領域12Cの商圏領域11が最も低くなるように設けられる。
【0063】
すなわち、価格表60において、マーケット領域12A、12B、12Cの商圏領域11Ab、11Bb、11Cbに対応する商圏領域表示部11ab、11bb、11cbに表示された設定可能最高価格S1、S2、S3の数値は、S1>S2>S3の関係を有する。同様に、商圏領域11Ag、11Bg、11Cgに対応する商圏領域表示部11ag、11bg、11cgに表示された設定可能最高価格J1、J2、J3の数値は、J1>J2>J3の関係を有する。また、商圏領域11Ay、11By、11Cyに対応する商圏領域表示部11ay、11by、11cyに表示された設定可能最高価格K1、K2、K3の数値は、K1>K2>K3の関係を有する。
【0064】
また、本実施形態では、各マーケット領域12において、ゲーム盤10の中央側に位置する商圏領域11ほど設定できる設定可能最高価格が高くなるように設けられている。すなわち、価格表60のマーケット領域表示部12aの商圏領域表示部11ab、11ag、11ayに表示された設定可能最高価格S1、J1、K1の数値は、S1>J1>K1の関係を有する。同様に、マーケット領域表示部12bの商圏領域表示部11bb、11bg、11byに表示された設定可能最高価格S2、J2、K2の数値は、S2>J2>K2の関係を有する。また、マーケット領域表示部12cの商圏領域表示部11cb、11cg、11cyに表示された設定可能最高価格S3、J3、K3の数値は、S3>J3>K3の関係を有する。
【0065】
各プレイヤーPは、各店舗コマ20を配置する商圏領域11を決めるとともに、価格表60を参照しながら店舗コマ20に設定する商品価格を決めて、価格設定ラベル21に商品価格(数値)を記入する。このとき、価格設定ラベル21に商品価格とともに、店舗コマ20を配置するマーケット領域12を表すマーケット表示(例えば「A」、「B」、「C」のいずれか)を記入しても構わない。各プレイヤーPは、商品価格(及びマーケット表示)を記入した価格設定ラベル21を店舗コマ20のラベル保持部22に差し込んで保持させ、その店舗コマ20をゲーム盤10における所望の商圏領域11に配置する。なお、店舗コマ20に設定できる商品価格について、各プレイヤーPは、各商圏領域11の設定可能最高価格以下の価格(数値)であれば自由に決めることができる。
【0066】
このように、本実施形態では、各商圏領域11に配置する各店舗コマ20に設定できる設定可能最高価格(設定可能最大数値)をゲーム盤10に表示するのではなく、価格表60に表示している。これにより、各商圏領域11の設定可能最高価格を変更した価格表60を用意するだけで、取引のゲーム性を容易に変更できる。なお、各商圏領域11の設定可能最高価格はゲーム盤10に表示されていても構わない。
【0067】
<サイコロの構成>
図6(A)に示すように、第1サイコロ31は立方体(6面体)であり、3つのマーケット領域12A、12B、12Cに対応する選択肢としてA表示面31a、B表示面31b、C表示面31cのいずれかを各面に有している。本実施形態では、第1サイコロ31は、マーケット領域12Aに対応するA表示面31aを1面、マーケット領域12Bに対応するB表示面31bを2面、マーケット領域12Cに対応するC表示面31cを3面備えている。すなわち、プレイヤーPが第1サイコロ31を振った時に、各マーケット領域が選択される確率は、マーケット領域12Aが6分の1、マーケット領域12Bが3分の1、マーケット領域12Cが2分の1になっている。
【0068】
図6(B)に示すように、第2サイコロ32は立方体(6面体)であり、1つの商圏領域11に複数の店舗コマ20が配置されているときの店舗コマ20の商品価格(数値)の高低関係を表す選択肢として高表示面32a、中表示面32b、低表示面32cのいずれかを各面に有している。本実施形態では、第2サイコロ32は、より高い商品価格を設定している店舗コマ20を選択する高表示面32aを1面、より低い商品価格を設定している店舗コマ20を選択する低表示面32cを3面、最高でも最低でもない中間の商品価格を設定している店舗コマ20を選択する中表示面32bを2面備えている。すなわち、プレイヤーPが第2サイコロ32を振った時に、商品価格の各高低関係が選択される確率は、より高い商品価格「高」が6分の1、中間の商品価格「中」が3分の1、より低い商品価格「低」が2分の1になっている。
【0069】
なお、第1サイコロ31は、マーケット領域12A、12B、12Cを同じ確率で選択するものであっても構わない。また、第2サイコロ32は、より高い商品価格、中間の商品価格、より低い商品価格を同じ確率で選択するものであっても構わない。
【0070】
<商品コマ容器の構成>
図1図2及び図7に示すように、本実施形態では2つの商品コマ容器40を備えている。各商品コマ容器40は、例えば木製であり、上面に開口した3つの凹状のコマ収容部40b、40g、40yを有する板状の形態を有する。コマ収容部40bには多数の青色の商品コマ1bが収容され、コマ収容部40gには多数の緑色の商品コマ1gが収容され、コマ収容部40yには多数の黄色の商品コマ1yが収容される。
【0071】
本実施形態では、1回のプレイ回で取引できる商品個数が、「黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cy」>「緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cg」>「青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cb」の順に設定される。そこで、「黄色の商品コマ1yの個数」>「緑色の商品コマ1gの個数」>「青色の商品コマ1bの個数」の順に商品コマ1が用意される。それに応じて、商品コマ容器40において、黄色の商品コマ1yを収容するコマ収容部40yが最も大きく設けられ、青色の商品コマ1bを収容するコマ収容部40bが最も小さく設けられ、緑色の商品コマ1yを収容するコマ収容部40gがそれらの間の大きさに設けられている。
【0072】
このように、商品コマ容器40は、互いに色が異なる商品コマ1b、1g、1yを色分けして収容するコマ収容部40b、40g、40yを備えているので、商品コマ1の準備および片づけが容易になるとともに、ゲーム進行がスムーズになる。
【0073】
なお、商品コマ容器40の個数や形状、大きさは、特に限定されず、例えば1つのみ又は3つ以上の商品コマ容器40が設けられている構成であっても構わない。また、商品コマ容器40は、商品コマ1bを収容する容器、商品コマ1gを収容する容器、商品コマ1yを収容する容器に分離されていても構わない。また、商品コマ容器40の素材は特に限定されず、例えば金属や樹脂製であっても構わない。
【0074】
<商品在庫容器の構成>
図1図2及び図8に示すように、各プレイヤーPに商品在庫容器30が配布される。各商品在庫容器30は、例えば木製であり、平面視矩形の板状の形態を有する。商品在庫容器30は、上面に開口した凹状の在庫コマ収容部30aと仕入コマ収容部30bとを有する板状の形態を有する。
【0075】
本実施形態では、在庫コマ収容部30aは平面視矩形であって24個の商品コマ1を収容可能に設けられている。在庫コマ収容部30aには、商品コマ1の1面(正方形)の大きさのマス目が2行×12列に表示されている。仕入コマ収容部30bは平面視矩形であって、在庫コマ収容部30aの長辺(マス目の行方向の辺)に隣接して設けられている。
【0076】
仕入コマ収容部30bは、長辺が在庫コマ収容部30aと同じで短辺(マス目の列方向の辺)が在庫コマ収容部30aよりも長く設けられている。仕入コマ収容部30bには、在庫コマ収容部30aとは間隔をあけた位置に、在庫コマ収容部30aと同様に、商品コマ1の1面の大きさのマス目が2行×12列に表示されている。
【0077】
図8(A)に示すように、在庫コマ収容部30aの凹部は仕入コマ収容部30bの凹部よりも深く設けられている。これにより、在庫コマ収容部30aと仕入コマ収容部30bとの間に段差30cが形成されている。この段差30cにより、在庫コマ収容部30aに配置された商品コマ1に対して仕入コマ収容部30bへの移動を規制できる。
【0078】
また、在庫コマ収容部30a及び仕入コマ収容部30bの深さは、商品コマ1の高さ寸法よりも小さく設けられている。これにより、商品コマ1が商品在庫容器30から零れ落ちにくい構成でありながら、プレイヤーPが商品在庫容器30から商品コマ1を取り出しやすい構成が実現されている。
【0079】
本実施形態では、各プレイヤーPは、最大で24個の商品コマ1の在庫をもつことができる。在庫の商品コマ1は商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに配置するものとする。各プレイヤーPが商品コマ1を仕入れることができるタイミングは、ゲーム開始時と自分のプレイ回のときとする。本実施形態では、各プレイヤーPは、他人のプレイ回のときにも商品コマ1を販売する機会が得られるので、自分のプレイ回で商品コマ1の仕入れを行うときに、商品在庫容器30の商品コマ1の在庫が24個未満になっていることが多い。
【0080】
商品在庫容器30は、在庫コマ収容部30aにマス目を表示することでプレイヤーPが在庫の商品コマ1の個数および仕入可能な商品コマ1の個数を容易に把握できるようになっている。さらに、プレイヤーPが商品コマ1の仕入れを行う際に、商品在庫容器30で商品コマ1が配置されていないマス目の個数及び位置に対応して仕入コマ収容部30bのマス目に仕入れを行う商品コマ1を配置することで、最大在庫個数(24個)を超えないように商品コマ1の仕入れ作業を行うことができる。
【0081】
例えば、図8(B)に示すように、商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに9個の商品コマ1(青色の商品コマ1bが2個、緑色の商品コマ1gが1個、黄色の商品コマ1yが6個)が配置されているとき、プレイヤーPは15個の商品コマ1を仕入れることができる。ここで、プレイヤーPは、例えば2個の商品コマ1b、3個の商品コマ1g、10個の商品コマ1yの仕入れを選択したとすると、これらの商品コマ1を在庫コマ収容部30aで空いているマス目の位置に対応させて、仕入コマ収容部30bのマス目に配列する。詳細は後述するが、この状態で、プレイヤーPは仕入れる商品コマ1の個数及び種類(商品コマ1b、1g、1y)を管理帳票70に記録する。
【0082】
これにより、各プレイヤーPは、仕入れる商品コマ1の個数及び種類を容易に把握できるとともに、管理帳票70に正確に記録できる。なお、仕入れる商品コマ1の個数及び種類は、在庫最大個数(24個)を超えない範囲で、プレイヤーPが適宜選択できる。
【0083】
また、商品コマ1を仕入れる際に、例えば商品在庫容器30に手が当たるなどして在庫コマ収容部30aに配置された商品コマ1に水平方向の力が加わっても、段差30cによって在庫コマ収容部30aに配置された商品コマ1の仕入コマ収容部30b側への移動が規制される。これにより、商品在庫容器30に配置された在庫としての商品コマ1と仕入としての商品コマ1とが意図せずに混ざり合うのを防止できる。また、プレイヤーPは、仕入れる商品コマ1を仕入コマ収容部30bに配置して管理帳票70に個数及び種類を記録した後、それらの商品コマ1を在庫コマ収容部30aに向けてスライド移動させることで、段差30cの上を通過させて在庫コマ収容部30aに容易かつ迅速に収容できる。
【0084】
<管理帳票の構成>
図9は、管理帳票の一例を示す図である。図9に示すように、シート状の管理帳票70は、仕入記録欄71と売上記録欄72とを備えている。本実施形態では、管理帳票70を使用して管理会計を学習できるものとし、ゲーム盤10の青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbを「商業地域」、緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgを「住宅地域」、黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cyを「観光地域」と想定している。
【0085】
仕入記録欄71は、3つのセグメント(商業地域「商」、住宅地域「住」、観光地域「観」)に分けて、商品コマ1の仕入れ個数を記録できるように構成されている。仕入記録欄71の仕入見出し欄71aに、青色の商品コマ1bに対応する「商」欄と、緑色の商品コマ1gに対応する「住」欄と、黄色の商品コマ1yに対応する「観」欄とが設けられている。仕入見出し欄71aは、商品コマ1b、1g、1yの色相に合わせて色分けされている。仕入見出し欄71aには、商圏(セグメント)とともに各商品コマ1b、1g、1yの仕入単価(数字)が表示されている。
【0086】
売上記録欄72は、3つのセグメント(「商」、「住」、「観」)に分けて、販売した商品コマ1の単価、数量及び金額を記録できるように構成されている。商品コマ1の単価はプレイヤーPが店舗コマ20に設定した商品価格に対応する。売上記録欄72の売上見出し欄72aに、青色の商品コマ1bに対応する「商」欄と、緑色の商品コマ1gに対応する「住」欄と、黄色の商品コマ1yに対応する「観」欄とが設けられている。売上見出し欄72aは、仕入見出し欄71aと同様に、商品コマ1b、1g、1yの色相に合わせて色分けされている。売上見出し欄72aには、商圏(セグメント)とともに1回のプレイ回での各商品コマ1b、1g、1yの最大販売可能個数(かっこ数字)が表示されている。
【0087】
管理帳票70には、仕入記録欄71、売上記録欄72の他、人件費欄73、地代家賃欄74、販促チケット管理欄75、損益計算書欄76、固変分解欄77、消費税計算欄78が設けられている。これらの詳細については後述する。
【0088】
<ゲームの流れ>
本実施形態のゲーム用具を用いたゲームの流れについて、以下に説明する。ゲームを始めるに当たり、まず、ゲームに参加するプレイヤーPが第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振る順番(プレイヤー番号)を決定する。このとき、プレイヤーPの順番を決定する方法は特に限定されず、例えば、くじやじゃんけんなどで順番を決定するものとしても構わない。
【0089】
<1.ゲームの準備>
全てのプレイヤーPの順番を決定すると、各プレイヤーPは、テーブルTの上に設置したゲーム盤10を中心に、プレイヤー番号順に右回りに着座する。図1及び図2に示すように、各プレイヤーPは、自分のプレイヤー番号に応じたプレイヤー番号表示具90及び3つの店舗コマ20b、20g、20yと、商品在庫容器30と、価格表60と管理帳票70とを自分の前のテーブルT上に配置する。
【0090】
<1-1.店舗コマの配置および商品価格の設定>
各プレイヤーPは、青色の店舗コマ20bをゲーム盤10の青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbのいずれに配置するかを決める。そして、プレイヤーPは、価格表60に表示された商圏領域11Ab、11Bb、11Cbに対応する商圏領域表示部11ab、11bb、11cbの設定可能最高価格S1、S2、S3以下の数値で商品価格を決める。そして、プレイヤーPは、決めた商圏領域11Ab、11Bb又は11Cbに対応するマーケット領域12を表す「A」、「B」又は「C」の表示と商品価格とを価格設定ラベル21に記入し、その価格設定ラベル21を店舗コマ20bのラベル保持部22に差し込んで保持し、その店舗コマ20bをゲーム盤10の商圏領域11Ab、11Bb又は11Cbに設置する。
【0091】
各プレイヤーPは、緑色の店舗コマ20gと黄色の店舗コマ20yについても同様に、マーケット領域12を表す「A」、「B」又は「C」の表示と商品価格とを記入した価格設定ラベル21をラベル保持部22に保持させた店舗コマ20g、20yをゲーム盤10の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgのいずれかと商圏領域11Ay、11By、11Cyのいずれかに設置する。
【0092】
ここで、商品コマ1b、1g、1yの仕入単価(例えば、それぞれの単価は「20」、「6」、「10」、図9の仕入見出し欄71a参照)は、どの商圏領域11で商品コマ1b、1g、1yを販売する場合も同じである。したがって、店舗コマ20b、20g、20yに設定する商品価格を高く設定するほど、商品コマ1b、1g、1yを販売したときの1個あたりの利益が大きくなる。なお、商品コマ1b、1g、1yそれぞれの仕入単価の数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0093】
例えば、青色の商品コマ1bの取引に対応する店舗コマ20bについて、商圏領域11Abにおける設定可能最高価格S1を価格設定すれば、商品コマ1bを販売したときの1個あたりの利益は大きくなる。一方、第1サイコロ31の出目によって商圏領域11Ab(マーケット領域12A)が選択される確率(6分の1)は他の商圏領域11Bb又は11Cbが選択される確率(3分の1又は2分の1)よりも低く設定されている。
【0094】
また、商圏領域11Abに設定可能最高価格S1よりも低い商品価格を設定した他のプレイヤーPの店舗コマ20bが配置されている場合、第2サイコロ32の出目によって、最も高い商品価格を設定している店舗コマ20bに対応する高表示面32aが選択される確率(6分の1)は、中表示面32b又は低表示面32cが選択される確率(3分の1又は2分の1)よりも低く設定されている。つまり、他のプレイヤーPの店舗コマ20bの配置状況及び設定商品価格によって、商品コマ1bを販売できる確率が高くなったり低くなったりする。緑色の店舗コマ20gおよび黄色の店舗コマ20yの配置および価格設定についても同様である。
【0095】
なお、自分の店舗コマ20を配置した商圏領域11に他のプレイヤーPの店舗コマ20が配置されていない場合、その商圏領域11のマーケット領域12が第1サイコロ31によって選択されたときには第2サイコロ32の出目に関わらず、商品コマ1を販売できるものとする。
【0096】
各プレイヤーPは、これらのルールを考慮して、店舗コマ20b、20g、20yを配置する商圏領域11および店舗コマ20b、20g、20yごとに設定する商品価格を決める。なお、詳細は後述するが、各プレイヤーPは、店舗コマ20を配置する商圏領域11や店舗コマ20に設定する商品価格を自分のプレイ回のときに変更できるものとしても構わない。
【0097】
<1-2.商品コマの仕入>
各プレイヤーPは、商品コマ容器40から所望の個数の商品コマ1b、1g、1yを取出し、自分の商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに配置する。商品コマ1b、1g、1yの個数および組合せは各プレイヤーPが適宜選択できるが、本実施形態では、商品在庫容器30に在庫として配置できる商品コマ1の個数は最大24個である。
【0098】
なお、1回のプレイ回で商品コマ1b、1g、1yを販売できる個数は決められている。本実施形態では、図9の売上見出し欄72aに示すように、1回のプレイ回で商品コマ1を販売できる個数は、例えば、商品コマ1bが2個、商品コマ1gが4個、商品コマ1yが10個である。
【0099】
ここで、第1サイコロ31及び第2サイコロ32の出目によって、1つの商圏領域11に配置された複数の店舗コマ20に商品コマ1の販売権利が与えられる場合がある。例えば、1つの商圏領域11に、同価格の商品価格が設定された複数の店舗コマ20が配置されている場合や、第1サイコロ31の出目で複数の店舗コマ20が配置された商圏領域11が選択されたものの第2サイコロ32の出目に該当する店舗コマ20が無い場合(1つの商圏領域11に、異なる商品価格が設定された2つの店舗コマ20(一方の店舗コマ20が商品価格「高」、他方の店舗コマ20が商品価格「低」に該当する)が配置されているときに第2サイコロ32の出目が中表示面32bである場合)などが考えられる。このような場合、1回のプレイ回で商品コマ1を販売できる個数を、商品コマ1の販売権利が与えられた複数の店舗コマ20で分け合えばよい。
【0100】
本実施形態では、各プレイヤーPが商品コマ1を仕入れる機会を得るのは自分のプレイ回のときのみである。一方、各プレイヤーPは、上述のように、他のプレイヤーPのプレイ回のときにも商品コマ1を販売する機会がある。各プレイヤーPは、1回のプレイ回で商品コマ1b、1g、1yを販売できる個数や、自分の店舗コマ20b、20g、20yのゲーム盤10上での配置や設定した商品価格を考慮して、商品コマ1b、1g、1yを仕入れることができる。
【0101】
そして、各プレイヤーPは、商品コマ1b、1g、1yごとの仕入個数(合計で最大24個)を決め、その個数に応じた商品コマ1b、1g、1yを商品在庫容器30の仕入コマ収容部30bに配置する。そして、プレイヤーPは、管理帳票70の仕入記録欄71の「期首」行に、仕入れた商品コマ1b、1g、1yごとに仕入れ個数を記入する。その記入をした後、プレイヤーPは商品在庫容器30の仕入コマ収容部30bに配置した商品コマ1を在庫コマ収容部30a側へスライド移動させて在庫コマ収容部30aに収容する。
【0102】
以上により、ゲームの基本的な準備が完了する。なお、本実施形態では、この基本的な準備に加え、各プレイヤーPは、「その他販管費」として計上する販促チケット80(例えば1枚あたりの価格「10」)を複数枚手元に置き、少なくとも1枚以上(例えば4枚)をゲーム中に使用するようにしても構わない。
【0103】
販促チケット80は、後述する、自分のプレイ回で実施可能な、店舗コマ20の引っ越し(他の商圏領域11への移動)や、店舗コマ20の商品価格の再設定、独占販売チャレンジに使用するものである。詳細は後述するが、各プレイヤーPは、使用した販促チケット80の枚数を管理帳票70の販促チケット管理欄75に記入する。ここで、販促チケット管理欄75は、商業地域に対応する「商」行、住宅地域に対応する「住」行、観光地域に対応する「観」行、本社に対応する「本」行が設けられており、使用した販促チケット80の枚数は、いずれの行に記入しても構わないものとする。なお、販促チケット80の価格の数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0104】
<2.ゲームの進行>
ゲームの準備が完了した後、最初のプレイヤーPが第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振ることで最初のプレイ回が実行される。第1サイコロ31の出目によって選択されたマーケット領域12A、12B又は12Cの各商圏領域11に配置された店舗コマ20のうち、第2サイコロ32の出目に該当する店舗コマ20に商品コマ1を販売する権利が付与される。具体的には、今回のプレイ回で選択された店舗コマ20b、20g、20yに対応して商品コマ1b、1g又は1yを販売する権利が付与される。なお、第1サイコロ31で選択されたマーケット領域12の3つの商圏領域11のうち店舗コマ20が配置されていない商圏領域11については、今回のプレイ回で商品コマ1を販売する権利の付与は無しとする。
【0105】
<2-1.商品の販売および記録>
商品コマ1を販売する権利を得た店舗コマ20を所有するプレイヤーPは、1回のプレイ回で販売可能な商品コマ1b、1g、1yの個数(管理帳票70の売上見出し欄72aのかっこ数字を参照)の範囲内で、自分の商品在庫容器30から販売権利を得た商品コマ1b、1g、1yを対応する商品コマ回収容器50b、50g、50yへ移動させる。そして、プレイヤーPは、管理帳票70の売上記録欄72の該当商圏列(商業地域「商」列、住宅地域「住」列又は観光地域「観」列)に、販売権利を得た店舗コマ20b、20g又は20yの価格設定ラベル21に表示されている単価(商品価格)と、販売した商品コマ1b、1g、1yの数量とを記入し、さらにその売上金額を計算して記入する。なお、販売対象となる商品コマ1b、1g、1yが商品在庫容器30に無い場合は、商品コマ1の販売を行えないものとする。
【0106】
プレイヤーPがプレイヤー番号順に第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振ることでプレイ回が重ねられる。各プレイ回で、商品コマ1を販売する権利を得た店舗コマ20b、20g、20yを所有するプレイヤーPは、対応する商品コマ1b、1g、1yの商品在庫容器30から商品コマ回収容器50への移動(販売)と、管理帳票70の売上記録欄72への記録を行う。上述のように、各プレイヤーPは他人のプレイ回のときにも商品コマ1を販売する機会が得られる。したがって、自分のプレイ回のときには、商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに空きがあることが多い。
【0107】
<2-2.商品の仕入>
各プレイヤーPは、自分のプレイ回のときに、商品在庫容器30から商品コマ1を仕入れることができる。ここで仕入れることができる商品コマ1の個数は、商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに在庫として配置する商品コマ1の個数が24個よりも多くならない個数である。プレイヤーPは、仕入れる商品コマ1b、1g、1yを、在庫コマ収容部30aの空きマスに対応させて商品在庫容器30の仕入コマ収容部30bに配置する。
【0108】
そして、プレイヤーPは、仕入れる商品コマ1b、1g、1yの個数を管理帳票70の仕入記録欄71に記録する。その後、プレイヤーPは仕入コマ収容部30bに配置した商品コマ1を在庫コマ収容部30a側へスライド移動させて、在庫コマ収容部30aに収容する。なお、上述のように、在庫コマ収容部30aに在庫として配置する商品コマ1b、1g、1yそれぞれの個数は、プレイヤーPが適宜選択可能である。
【0109】
なお、管理帳票70の仕入記録欄71および売上記録欄72への記入回数に関し、仕入記録欄71の記入回数はゲーム開始時の1回と自分のプレイ回の回数である一方、売上記録欄72への記入回数は他のプレイヤーPのプレイ回のときにも機会が得られるので不規則である。したがって、仕入記録欄71の記入行数、売上記録欄72の商業地域「商」列の記入行数、住宅地域「住」列の記入行数、観光地域「観」列の記入行数は、必ずしも一致せず、むしろ互いに異なることが多い。
【0110】
<2-3.店舗コマの商品価格の再設定>
各プレイヤーPは、自分のプレイ回のときに、サイコロ31、32を振る前に、他のプレイヤーPの店舗コマ20の配置や商品価格などを考慮して、自分の店舗コマ20b、20g、20yに設定した商品価格を再設定できるものとする。例えば、商品価格の再設定には、店舗コマ20ごとに2枚の販促チケット80を必要とするものとする。商品価格の再設定を実施するにあたり、使用する販促チケット80の枚数を管理帳票70の販促チケット管理欄75に記録する。なお、使用した販促チケット80の枚数の販促チケット管理欄75への記録は、商品価格の変更を行う店舗コマ20が配置されている商圏行(「商」行、「住」行又は「観」行)に記入してもよいし、本社行(「本」行)に記入してもよいものとする。
【0111】
プレイヤーPは、店舗コマ20の商品価格を再設定するにあたり、新たな価格設定ラベル21に、店舗コマ20を配置しているマーケット領域12の表示「A」、「B」又は「C」と、新たな商品価格とを記入して、商品価格を再設定する店舗コマ20のラベル保持部22に差し込んで保持させる。このとき、ラベル保持部22にすでに保持されている価格設定ラベル21の上に重ねて新たな価格設定ラベル21を差し込むことで、新たな商品価格を視認可能な状態にできるとともに、その店舗コマ20に対する商品価格変更の履歴を残すことができる。
【0112】
<2-4.店舗コマの引っ越し>
各プレイヤーPは、自分のプレイ回のときに、サイコロ31、32を振る前に、他のプレイヤーPの店舗コマ20の配置や商品価格などを考慮して、自分の店舗コマ20b、20g、20yを配置している商圏領域11から別の商圏領域11に引っ越し(移動)できるものとする。例えば、店舗コマ20の引っ越しには、店舗コマ20ごとに3枚の販促チケット80を必要とするものとする。上記の商品価格の再設定のときと同様に、店舗コマ20の引っ越しを実施するにあたり、使用した販促チケット80の枚数を管理帳票70の販促チケット管理欄75に記録する。
【0113】
プレイヤーPは、店舗コマ20の引っ越しを実施するにあたり、新たな価格設定ラベル21に、移動先のマーケット領域12の表示「A」、「B」又は「C」と、商品価格とを記入して、商品価格を再設定する店舗コマ20のラベル保持部22に差し込んで保持させる。このとき、上記の商品価格の再設定のときと同様に、ラベル保持部22にすでに保持されている価格設定ラベル21の上に重ねて新たな価格設定ラベル21を差し込むことで、マーケット領域表示「A」、「B」又は「C」と商品価格を視認可能な状態にできるとともに、その店舗コマ20に対する引っ越しの履歴を残すことができる。プレイヤーPは、新たな価格設定ラベル21を保持させた店舗コマ20を移動先のマーケット領域12の商圏領域11に配置する。
【0114】
なお、本実施形態では、各商圏(青色の商業地域、緑色の住宅地域、黄色の観光地域)における商圏領域11ごとに設定可能な最高商品価格が異なっているので、店舗コマ20の引っ越しを実施するにあたり、商品価格を再設定できるものとする。
【0115】
<2-5.独占販売チャレンジ>
各プレイヤーPは、自分のプレイ回のときに、第1サイコロ31及び第2サイコロ32の出目によって、自分の店舗コマ20b、20g、20yの全部について商品コマ1を販売する権利を得る独占販売に挑戦できるものとする。例えば、独占販売に挑戦には、4枚の販促チケット80を必要とするものとする。上記の商品価格の再設定、店舗コマ20の引っ越しのときと同様に、独占販売に挑戦するにあたり、使用した販促チケット80の枚数を管理帳票70の販促チケット管理欄75に記録する。
【0116】
プレイヤーPは、独占販売の挑戦を宣言し、販促チケット80の使用枚数(ここでは4枚)について管理帳票70の販促チケット管理欄75への記録を行った後、第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振る。第1サイコロ31の出目がA表示面31a、第2サイコロ32の出目が高表示面32aの少なくとも一方の条件を満たすと、プレイヤーPは自分の店舗コマ20b、20g、20yの全部について商品コマ1を販売する権利を得ることができる。
【0117】
なお、独占販売の挑戦が宣言されたプレイ回において、第1サイコロ31の出目がA表示面31a以外(B表示面31b又はC表示面31c)、かつ第2サイコロ32の出目が高表示面32a以外(中表示面32b又は低表示面32c)であって、独占販売の挑戦が失敗に終わった場合には、第1サイコロ31及び第2サイコロ32の出目に該当する店舗コマ20を所有するプレイヤーPは、独占販売の挑戦を失敗したプレイヤーPを含め、商品コマ1の販売を実施できるものとする。
【0118】
<2-6.ゲームの終了>
プレイヤーPがプレイヤー番号順に第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振るプレイ回を繰り返し、各プレイヤーPが少なくとも4回程度の自分のプレイ回を実施した段階でゲームを終了するものとする。なお、プレイヤー番号が1番で最初に第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振ったプレイヤーPは、他のプレイヤーPと比較して商品コマ1を仕入れる回数が1回少なくなる。そこで、最後にプレイヤー番号が1番のプレイヤーPが第1サイコロ31及び第2サイコロ32を振って、商品コマ1の取引が行われたときに、ゲームを終了するものとする。また、管理帳票70の仕入記録欄71には、15回の仕入回数が記載されているが、各プレイヤーPが15回未満の仕入回数を行った段階でゲーム終了としても構わない。
【0119】
本実施形態のゲーム用具は、各プレイヤーPが店舗コマ20b、20g、20yごとにマーケット領域12と商品価格(数値)とを記入した価格設定ラベル21をラベル保持部22に保持させてゲーム盤10のいずれかの商圏領域11に設置する簡易な行為と、商品コマ1b、1g、1yを商品コマ容器40から仕入れて商品在庫容器30に配置するとともに管理帳票70に記入するという簡易な行為とを行うだけでプレイを開始できる。
【0120】
さらに、各プレイヤーPは、他のプレイヤーPのプレイ回にも商品コマ1を販売する機会を得ることができる一方、商品コマ1を仕入れる機会は自分のプレイ回のときだけである。したがって、比較的時間がかかる商品コマ1の仕入作業の機会に比べて、比較的短時間で行える商品コマ1の販売作業の機会を増やすことができ、ゲーム上でのより多くの商品の取引を短時間かつ簡易に行える。
【0121】
なお、本実施形態のゲーム用具は、販促チケット80を使用した上記「2-3.店舗コマの商品価格の再設定」や、上記「2-4.店舗コマの引っ越し」、上記「2-5.独占販売チャレンジ」を設定していなくても構わない。この場合でも、各プレイヤーPは、ゲームにおける商品コマ1の取引を実施することが可能である。
【0122】
<3.管理帳票の記入>
ゲームの終了後、各プレイヤーPは、管理帳票70の仕入記録欄71及び売上記録欄72に記入された、取引を行った商品コマ1の単価および数量をもとに、損益計算書欄76などの表を埋める作業を行って、管理会計を疑似体験する。
【0123】
<3-1.仕入記録欄の記入>
プレイヤーPは、仕入記録欄71について、期首に記入した商品コマ1の個数を含め、今回のゲームで仕入れた商品コマ1の個数を「合計」行に、商品コマ1b(商)、商品コマ1g(住)、商品コマ1y(観)ごとに記入する。また、プレイヤーPは、仕入記録欄71の「在庫」行に、商品在庫容器30の在庫コマ収容部30aに残っている商品コマ1の個数を商品コマ1b、1g、1yごとに記入する。なお、商品在庫容器30に商品コマ1が残っていない場合は「在庫」行に「0」を記入する。
【0124】
プレイヤーPは、仕入記録欄71の「売数」行に、「合計」行の数値から「在庫」行の数値を差し引いた数値を商品コマ1b、1g、1yごとに記入する。これにより、プレイヤーPは、商業地域「商」に対応する商品コマ1b、住宅地域「住」に対応する商品コマ1g、観光地域「観」に対応する商品コマ1yそれぞれについて、今回のゲームで販売した数量を把握できる。
【0125】
<3-2.売上記録欄の記入>
プレイヤーPは、売上記録欄72について、今回のゲームで販売した商品コマ1の数量の合計および金額の合計を「合計」行に、商品コマ1b、1g、1yごとに記入する。これにより、プレイヤーPは、商業地域「商」に対応する商品コマ1b、住宅地域「住」に対応する商品コマ1g、観光地域「観」に対応する商品コマ1yそれぞれについて、今回のゲームで販売した個数と売上高を把握できる。
【0126】
なお、仕入記録欄71および売上記録欄72における計算が合っていれば、仕入記録欄71の「売数」行の各商品コマ1b、1g、1yの数量と、売上記録欄72の「合計」行の各商品コマ1b、1g、1yの数量とが一致する。したがって、プレイヤーPは、商品コマ1b、1g、1yごとに、仕入記録欄71の「売数」行の数量と、売上記録欄72の「合計」行の数量とを比較することで、仕入記録欄71および売上記録欄72についての記入ミスの有無を確認できる。
【0127】
<3-3.人件費欄について>
本実施形態では、ゲーム上での商品コマ1の取引に関し、1回のゲームごとに人件費が発生するものとしている。管理帳票70の人件費欄73に示すように、商業地域「商」および住宅地域「住」それぞれの販売員の人件費「30」と、商品コマ1を運搬するドライバーの人件費「30」と、本社(本)の事務員の人件費「30」および役員の人件費「60」とが発生するものとする。なお、観光地域「観」の人件費は発生しないものとする。
【0128】
そして、本実施形態では、1回のゲームごとに合計の人件費「180」が発生するものとする。詳細は後述するが、商圏(商業地域、住宅地域、観光地域)ごとに人件費を設定しておくことで、商圏ごとの管理会計を疑似体験できるようになっている。なお、これらの人件費の数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0129】
<3-4.地代家賃欄の記入>
本実施形態では、1回のゲームごとに、地代家賃が発生するものとしている。管理帳票70の地代家賃欄74に示すように、住宅地域「住」の店舗の賃料「50」と、本社(本)の事務所および倉庫の賃料「100」とが発生するものとする。さらに、商業地域「商」の店舗の賃料は、商品コマ1bの売上高に応じて変動するものとしている。なお、観光地域「観」の地代家賃は発生しないものとする。
【0130】
例えば、本実施形態では、商業地域「商」の店舗の賃料は商品コマ1bの売上高の25%に設定される。プレイヤーPは、ゲームの終了後、売上記録欄72の商業地域「商」列の「合計」行の金額の25%の金額を商業地域「商」の店舗の賃料として算出し、算出した賃料を地代家賃欄74の「商」行に記入する。そして、プレイヤーPは、地代家賃欄74の「商」行、「住」行、「観」行、「本」行それぞれの金額を合算し、「合計」行に記入する。なお、商業地域「商」の店舗の賃料は変動費として計上する。また、これらの地代家賃の数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0131】
<3-5.販促チケット管理欄の記入>
プレイヤーPは、販促チケット管理欄75の「商」行、「住」行、「観」行、「本」行のうちの少なくとも1つに、ゲーム中に使用した販促チケット80の使用枚数を記録している。プレイヤーPは、販促チケット管理欄75の「商」行、「住」行、「観」行、「本」行それぞれについて、記録した使用枚数に販促チケット80の価格「10」を掛け算して3つの商圏および本社ごとの販促チケット80の使用金額を算出する。算出した使用金額を「商」行、「住」行、「観」行、「本」行それぞれの右側マスに記入する。また、プレイヤーPは、販促チケット管理欄75の「商」行、「住」行、「観」行、「本」行それぞれの金額を合算し、「合計」行に記入する。
【0132】
販促チケット80の使用金額は、後述する損益計算書欄76の「その他販管費」行に対応するものである。本実施形態では、商圏(商業地域、住宅地域、観光地域)ごとに「その他販管費」を計上可能にしておくことで、商圏ごとの管理会計を疑似体験できるようになっている。なお、販促チケット80の価格(単価)は一例であり、適宜変更可能である。
【0133】
<3-6.損益計算書欄の記入>
損益計算書欄76には、商圏(商業地域、住宅地域、観光地域)ごとの損益計算書欄76s、76j、76kと、本社の損益計算書欄76hと、企業全体での合計の損益計算書欄76tとが設けられている。各損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれに、上から順に、「売上高」行、「期首商品棚卸高」行、「当期商品仕入高」行、「期末商品棚卸高」行、「売上原価」行、「売上総利益」行、「人件費」行、「地代家賃」行、「その他販管費」行、「減価償却費」行、「販管費合計」行、「営業利益」行が設けられている。さらに、商業地域「商」の損益計算書欄76s、住宅地域「住」の損益計算書欄76j、観光地域「観」の損益計算書欄76kには、商品1個あたりの売上総利益を表す「売上総利益/商品1個」行が設けられている。
【0134】
「売上高」行、「売上原価」行、「売上総利益」行、「人件費」行、「地代家賃」行、「その他販管費」行、「減価償却費」行、「販管費合計」行、「営業利益」行の記入欄は、左側に数値記入欄、右側に割合(%)記入欄が設けられている。
【0135】
プレイヤーPは、商業地域「商」の損益計算書欄76s、住宅地域「住」の損益計算書76j、観光地域「観」の損益計算書76kそれぞれの「売上高」行に、売上記録欄72の「商」列、「住」列、「観」列それぞれの「合計」行の金額(売上高)を書き写す。次に、損益計算書欄76s、76j、76kの「期首商品棚卸高」行に、仕入記録欄71の「商」列、「住」列、「観」列の「期首」行の数量に、仕入見出し欄71aの仕入単価(ここでは「20」、「6」、「10」)それぞれを積算した金額を記入する。さらに、損益計算書欄76s、76j、76kの「期首商品棚卸高」行の金額の合計金額を損益計算書欄76tの「期首商品棚卸高」行に記入する。なお、本実施形態での仕入単価の数値は一例であり、適宜変更可能である。
【0136】
次に、損益計算書欄76s、76j、76kの「当期商品仕入高」行に、仕入記録欄71の「商」列、「住」列、「観」列の「合計」行の数量から「期首」行の数量を差し引いた数量(当期商品仕入数量)に、仕入見出し欄71aの仕入単価それぞれを積算した金額を記入する。さらに、損益計算書欄76s、76j、76kの「当期商品仕入高」行の合計金額を損益計算書欄76tの「当期商品仕入高」行に記入する。また、損益計算書欄76s、76j、76kの「期末商品棚卸高」行に、仕入記録欄71の「商」列、「住」列、「観」列の「在庫」行の数量に仕入見出し欄71aの仕入単価それぞれを積算した金額を記入する。さらに、損益計算書欄76s、76j、76kの「期末商品棚卸高」行の合計金額を損益計算書欄76tの「期末商品棚卸高」行に記入する。
【0137】
次に、損益計算書欄76s、76j、76k、76tそれぞれについて、「期首商品棚卸高」行と「当期商品仕入高」行の合計金額から「期末商品棚卸高」行の金額を差し引いた金額を「売上原価」行に記入する。企業全体の損益計算書欄76tの「売上原価」行の金額は、各商圏の損益計算書欄76s、76j、76kの「売上原価」行の合計金額でもある。また、損益計算書欄76s、76j、76kそれぞれの「売上原価」行の金額は、仕入記録欄71の「売数」行に仕入見出し欄71aの仕入単価を積算した金額でもある。これらを確認することで、損益計算書欄76の記入ミスや計算ミスを排除できる。
【0138】
また、損益計算書欄76s、76j、76k、76tそれぞれについて、「売上高」行の金額から「売上原価」行の金額を差し引いた金額を「売上総利益」行に記入する。ここで、企業全体の損益計算書欄76tの「売上総利益」行の金額は、各商圏の損益計算書欄76s、76j、76kの「売上総利益」行の合計金額でもある。なお、本実施形態では、本社については売上がないものとし、本社の損益計算書欄76hの「売上高」行、「期首商品棚卸高」行、「当期商品仕入高」行、「期末商品棚卸高」行、「売上原価」行、「売上総利益」行には予め「0」が記入されている。
【0139】
次に、損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれについて、「人件費」行の記入を行う。ここで、各商圏および本社の人件費は人件費欄73に記載されている。なお、人件費欄73の「ドライバー」行の人件費は、3つの商圏で均等に分配するものとする。すなわち、損益計算書欄76s、76j、76kそれぞれの「人件費」行に、人件費欄73に記載された商圏ごとの人件費の金額と、「ドライバー」行の人件費の3分の1の金額とを合計した金額を記入する。本社の損益計算書欄76の「人件費」行には、人件費欄73の「本、事務員」行の金額と「本、役員」行の金額との合計金額を記入する。また、企業全体の損益計算書欄76tの「人件費」行に人件費欄73の「合計」行の金額を記入する。なお、損益計算書欄76tの「人件費」行の金額は、損益計算書欄76s、76j、76k、76hの「人件費」行の金額の合計金額でもある。
【0140】
次に、損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれについて、上記で「商」行及び「合計」行を記入した地代家賃欄74をもとに、「地代家賃」行の記入を行う。また、損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれについて、販促チケット管理欄75をもとに、「その他販管費」行の記入を行う。なお、商業地域「商」の損益計算書欄76sの「地代家賃」行の金額は変動費として計上する。
【0141】
損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれの「減価償却費」行には、予め金額が記入されている。損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれについて、「人件費」行、「地代家賃」行、「その他販管費」行、「減価償却費」行の合計金額を「販管費合計」行に記入する。そして、損益計算書欄76s、76j、76k、76h、76tそれぞれについて、「売上総利益」行の金額から「販管費合計」行の金額を差し引いた金額を「営業利益」行に記入する。
【0142】
なお、本実施形態では、本社の損益計算書欄76sについて、「売上総利益」行の金額は「0」であるから、「営業利益」行の金額はマイナスになる。また、企業全体の損益計算書欄76tの「販管費合計」行、「営業利益」行それぞれの金額は、損益計算書欄76s、76j、76k、76hの「販管費合計」行、「営業利益」行それぞれの合計金額である。
【0143】
各商圏(商業地域、住宅地域、観光地域)の損益計算書欄76s、76j、76kの「売上総利益/商品1個」行それぞれについて、「売上総利益」行の金額を仕入記録欄71の各商圏列の「売数」行の数値で割った金額を記入する。なお、「売上総利益/商品1個」行の金額を算出するにあたり、「売上総利益」行の金額を売上記録欄72の各商圏列における「合計」行の数量列の数値で割っても構わない。
【0144】
本実施形態では、商業地域「商」の会計について固変分解欄77の記入を行う。固変分解欄77の「売上高」行に、損益計算書欄76sの「売上高」行の金額を書き写す。また、固変分解欄77の「変動費」行に、損益計算書欄76sの「売上原価」行、「地代家賃」行の合計金額を記入する。そして、「限界利益」行に「売上高」行の金額から「変動費」行の金額を差し引いた金額を記入する。このように、管理会計上の指標として限界利益について学習できる。また、本実施形態では、管理帳票70において、商業地域「商」の損益計算書欄76sの「売上総利益/商品1個」行の右枠に、固変分解欄77の「限界利益」行の金額を、仕入記録欄71の「商」列の「売数」行の数値で割った金額を記入できるようにしている。これにより、商品1個あたりの限界利益を把握できる。
【0145】
最後に、企業全体の会計についての消費税計算欄78を記入する。消費税計算欄78の「仮受消費税欄、売」行に、企業全体の損益計算書欄76tの「売上高」行の金額に0.1(10%)を掛け算した数値を記入する。「仮払消費税、当支」行、「仮払消費税、地」行、「仮払消費税、そ」行それぞれに、損益計算書欄76tの「当期商品仕入高」行、「地代家賃」行、「その他販管費」行それぞれの金額に0.1(10%)を掛け算した数値を記入する。そして、「仮払消費税、当支」行、「仮払消費税、地」行、「仮払消費税、そ」行の合計金額を「仮払消費税、合計」行に記入する。
【0146】
消費税計算欄78の「未払い消費税」行に、「仮受消費税、売」行の金額から「仮払消費税、合計」欄の金額を差し引いた金額を記入する。このように、本実施形態では、消費税の会計処理についても疑似体験できる。
【0147】
本実施形態では、ゲーム盤10が3つの商圏(青色の商圏領域11Ab、11Bb、11Cbと、緑色の商圏領域11Ag、11Bg、11Cgと、黄色の商圏領域11Ay、11By、11Cy)に分割されている。各プレイヤーPは、各商圏それぞれに店舗コマ20を配置して商品コマ1の取引を行う。そして、商品コマ1の取引結果を管理帳票70に記録するにあたり、各商圏について商品コマ1の仕入単価や販売単価、人件費や地代家賃などを異ならせることで、互いに条件が異なる3つの商圏(セグメント)の管理会計を疑似体験できる。なお、本実施形態では、商品コマ1の仕入れや販売などを行ったゲーム上での商品の取引記録を使用して管理会計の学習を行っているが、このような取引記録は、例えば財務会計の学習にも適用できる。また、ゲームに参加する各プレイヤーPが売上高を競うゲームなど、会計の学習以外のゲームにも適用できる。
【0148】
また、本実施形態のゲーム用具は、X個の第1領域11をそれぞれ有するY個の第2領域12を備えたゲーム盤と、プレイヤーごとにZ個ずつ配布されて第1領域11のいずれかに配置される、プレイヤーPが数値を設定可能な店舗コマ20と、第2領域12のいずれかに対応するN個の選択肢を有する第1操作具31と、1つの第1領域11に複数の店舗コマ20が配置されているときの店舗コマ20の数値の高低関係を表すM個の選択肢を有する第2操作具32と、を備えている。ここで、上記M、N、X、Y、Zは2以上の整数である。上記M、N、X、Y、Zそれぞれは、互いに異なっていても構わないし、同じであっても構わない。
【0149】
特許文献1のゲーム用具は、ゲーム用具の部品の種類が多いことからゲーム開始前と終了後も時間がかかるだけでなく、ゲーム上での商品の仕入・販売が複雑であった。一方、本実施形態のゲーム用具は、ゲーム上での商品の取引を短時間かつ簡易に行える。
【0150】
つまり、本実施形態のゲーム用具は、各プレイヤーPが店舗コマ20ごとに商品価格(数値)を設定してゲーム盤10のいずれかの第1領域11に設置するという簡易な行為を行うだけでプレイを開始できるので、ゲーム上での商品の取引を短時間かつ簡易に行える。
【0151】
また、第1操作具31は、各第2領域12に対応する選択肢の数が異なっていて、各第2領域12を選択する確率が異なっている。さらに、第2操作具32は、店舗コマ20に設定された数値の高低関係を表す各選択肢を選択する確率が異なっている。これにより、各プレイヤーPが、自分の店舗コマ20のゲーム盤10における配置や店舗コマ20に設定する商品価格を決定したり再検討したりする要素になるので、ゲーム上の商品の取引をより飽きることなく楽しみながら行うことができる。
【0152】
また、ゲーム盤10は、Y個(3個)の第2領域12を環状に配置し、第2領域12内でX個(3個)の第1領域11を環状の径方向に並べるものであるので、ゲーム盤10を取り囲んでプレイする各プレイヤーPは、ゲーム盤10のどの第1領域11にもアクセスが容易になり、ユーザーフレンドリーである。
【0153】
また、上記実施形態では、ゲーム盤10は、隣り合うマーケット領域12間で隣り合う商圏領域11同士が同じ商圏(商業地域、住宅地域又は観光地域)を表しているが、マーケット領域12内の商圏領域11が同じ商圏であっても構わない。すなわち、3つのマーケット領域12が互いに異なる商圏を表し、各マーケット領域12内の3つの商圏領域11は互いに価格帯が異なっているようにしても構わない。
【0154】
例えば、マーケット領域12Aは商業地域で青色に彩色されて3つの商圏領域11のトーンが異なっており、マーケット領域12Bは住宅地域で緑色に彩色されて3つの商圏領域11のトーンが異なっており、マーケット領域12Cは観光地域で黄色に彩色されて3つの商圏領域11のトーンが異なっているようにしても構わない。この場合、各プレイヤーPは、青色の店舗コマ20bを青色のマーケット領域12A内の3つの商圏領域11のいずれかに配置し、緑色の店舗コマ20gを緑色のマーケット領域12B内の3つの商圏領域11のいずれかに配置し、黄色の店舗コマ20yを黄色のマーケット領域12C内の3つの商圏領域11のいずれかに配置して、商品コマ1の取引ゲームを行うようにすればよい。
【0155】
以上、実施形態を説明したが、本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述した実施形態及び変形例(前記尚書き等)で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 商品コマ
10 ゲーム盤
11 商圏領域
12 マーケット領域(価格帯領域)
13 容器配置孔
20 店舗コマ
30 商品在庫容器
31 第1サイコロ(第1操作具)
32 第2サイコロ(第2操作具)
40 商品コマ容器
50 商品コマ回収容器
60 価格表
70 管理帳票
80 販促チケット
90 プレイヤー番号表示具
T テーブル
P プレイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲーム盤にコマ配置されるゲーム用具であって、
m個の第1領域をそれぞれ有するn個の第2領域を備えた前記ゲーム盤と、
プレイヤーごとに1個又は複数個配布されてプレイヤーが所望する前記第1領域に配置される、プレイヤーが数値を設定可能な前記コマと、
前記第2領域のいずれかに対応する複数の選択肢を有する第1操作具と、
1つの前記第1領域に複数の前記コマが配置されているときの前記コマの数値の高低関係を表す複数の選択肢を有する第2操作具と、を備え、
前記m、nは2以上の整数であり、
前記第1領域及び前記第2領域のうち一方が円状の前記ゲーム盤を同心円状に分割されて区画されるとともに、
他方の前記第2領域又は前記第1領域が前記ゲーム盤を放射状に分割されて区画されている、
ゲーム用具。
【請求項2】
前記第1領域は商圏を表し
前記第2領域は価格帯を表し
前記コマは店舗を表す、
請求項1に記載のゲーム用具。
【請求項3】
多数の商品コマと、プレイヤーごとに配布されて前記商品コマを収容可能な商品在庫容器とを備え、
前記商品在庫容器は、それぞれに前記商品コマを収容できる仕入コマ収容部と在庫コマ収容部とを備え、前記仕入コマ収容部と在庫コマ収容部との間に段差が設けられている、
請求項1又は2に記載のゲーム用具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、ゲーム盤にコマ配置されるゲーム用具であって、m個の第1領域をそれぞれ有するn個の第2領域を備えた前記ゲーム盤と、プレイヤーごとに1個又は複数個配布されてプレイヤーが所望する前記第1領域に配置される、プレイヤーが数値を設定可能な前記コマと、前記第2領域のいずれかに対応する複数の選択肢を有する第1操作具と、1つの前記第1領域に複数の前記コマが配置されているときの前記コマの数値の高低関係を表す複数の選択肢を有する第2操作具と、を備え、前記m、nは2以上の整数であり、前記第1領域及び前記第2領域のうち一方が円状の前記ゲーム盤を同心円状に分割されて区画されるとともに、他方の前記第2領域又は前記第1領域が前記ゲーム盤を放射状に分割されて区画されている、ことを特徴とするものである。ここで、上記m、nそれぞれは、2以上の整数であり、同じ値であっても構わないし、互いに異なる値であっても構わない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明のゲーム用具において、例えば、前記第1領域は商圏を表し、前記第2領域は価格帯を表すようにしても構わない。ただし、第1領域及び第2領域は、商圏及び価格帯に限定されず、他の設定であっても構わない。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明のゲーム用具によれば、上記第1領域と第2領域を適宜設定することで、いろいろな種類のゲームに応用できるので汎用性が高い。