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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099197
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】コンクリート型枠のクランプ機構
(51)【国際特許分類】
   B28B 7/30 20060101AFI20240718BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B28B7/30
F16B2/06 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002963
(22)【出願日】2023-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納品日 2022年6月25日など 納品場所 松岡コンクリート工業株式会社 本社工場 公開者 鶴田製作株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592011516
【氏名又は名称】鶴田製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100210295
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 誠心
(74)【代理人】
【識別番号】100088133
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正道
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 祥司
【テーマコード(参考)】
3J022
4G053
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022FA01
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA07
3J022GA16
3J022GA17
4G053AA07
4G053BC08
4G053BC16
4G053BD11
(57)【要約】
【課題】作業従事者の労力の負担を軽減して、なるべく小さな力で長い移動距離を確保できるコンクリート型枠の移動用のクランプ機構を提供すること。
【解決手段】コンクリート型枠のクランプ機構1は、基部リンク2、中間リンク3及び揺動リンク4を備える。基端部を型枠に軸支された基部リンク2と、先端部を移動部材に係止された揺動リンク4の間に中間リンク3が互いに回動可能に軸支される。基部リンク2の型枠への軸支部分、及び、基部リンク2と中間リンク3との軸支部分を夫々のクランプ軸21,31として回動可能にした。中間リンク3に二か所の係合部32A,32Bを中間リンク軸31の同心円上に設け、係合する係止部22を基部リンク2の基部リンク軸21と中間リンク軸31との直線上に設ける。基部リンク2及び中間リンク3の回動前後時において、中間リンク3の係合部32A,32Bの何れかが基部リンク2の係止部22に係合するようにする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート型枠の型抜き時に移動部材を横移動させるクランプ機構であって、基部リンク、中間リンク及び揺動リンクを備え、
基端部を型枠に軸支された基部リンクと、先端部を移動部材に係止された揺動リンクの間に中間リンクが互いに回動可能に軸支され、
基部リンクの型枠への軸支部分、及び、基部リンクと中間リンクとの軸支部分を夫々のクランプ軸として回動可能にしたことを特徴とするコンクリート型枠のクランプ機構。
【請求項2】
中間リンクに二か所の係合部を中間リンク軸の同心円上に設け、係合する係止部を基部リンクの基部リンク軸と中間リンク軸との直線上に設けてあり、
基部リンク及び中間リンクの回動前後時において、中間リンクの係合部の何れかが基部リンクの係止部に係合することを特徴とする請求項1に記載のコンクリート型枠のクランプ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンクリート型枠のクランプ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
型枠によりコンクリート製品を成形する工程において、型組された型枠内にコンクリート詰めし、凝固したコンクリート製品を型枠から取り出す型抜き工程がある。
【0003】
型抜き工程では、コンクリート製品と接着状態にある型枠材とを剥離せるための間隙を生じさせる必要がある。
【0004】
そのため、この種のコンクリート型枠装置は、例えば、型枠を構成する妻板や中仕切り板等を連係して横移動させて各コンクリート製品との間に間隙を形成する構成を具備するものと成っている。
【0005】
そして、妻板や中仕切板等を連係して横移動させる工程において、通常はクランプ機構(トグル機構)を利用したものが多く、型枠装置の台枠等にクランプの基端部のクランプ軸を軸支し、先端部に揺動リンクの基端部を連結し、揺動リンクの先端部を移動部材(例えば妻板等)に係止した構成を採用している。
【0006】
このような製品の型抜きにおける型枠の横移動を行うクランプ機構において、型組時は、回動リンクと揺動リンクが略水平の一直線状の位置関係にある。
【0007】
そして、型抜き時に、回動リンクを移動部材の反対方向へ回動させることで、従動する揺動リンクが揺動しながら型枠本体の外側方向へ移動させられる。揺動リンクが係止する移動部材も横方向へスライドし、コンクリート製品と接着状態にある型枠材とを剥離させ間隙を生じさせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-67855号公報
【特許文献2】特開2011―148220号公報
【特許文献3】特開2004―1568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、製品の型抜きにおけるコンクリート型枠の横移動を行うクランプ機構において、移動部材が横移動する距離(長さ)は、回動リンクの回動軸と、揺動リンクとの連結軸との間の長さとなる。
【0010】
したがって、横移動の距離は概ね回動リンクの長さに比例し、回動リンクの長さを長尺に設計すれば大きな移動距離を得られることになる。
【0011】
しかし、横移動の距離を長くするため回動リンクを長くすれば、回動させるために大きな力が必要となってしまう。回動リンクの回動は、作業従事者の人力で行うことが多い。そのため、作業従事者の労力の負担の増大、回動に時間がかることによる生産効率の低下といった問題がある。
【0012】
また、回動する範囲は、回動リンクと揺動リンクが略水平の一直線状の位置関係から移動部材の反対方向へ概ね180度である。回動リンクが上死点の位置にあるときに、揺動リンクの傾斜角度が大きくなると、移動部材を水平方向へ引く力にロスが生じる。そのため、更に回動に必要な力が大きくなり、作業従事者の労力の負担がさらに増大してしまう。
【0013】
そこで、本発明は作業従事者の労力の負担を軽減して、なるべく小さな力で長い移動距離を確保できるコンクリート型枠の移動用のクランプ機構を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の請求項1のコンクリート型枠のクランプ機構は、コンクリート型枠の型抜き時に移動部材を横移動させるクランプ機構であって、基部リンク、中間リンク及び揺動リンクを備え、基端部を型枠に軸支された基部リンクと、先端部を移動部材に係止された揺動リンクとの間に中間リンクが互いに回動可能に軸支され、基部リンクの型枠への軸支部分、及び、基部リンクと中間リンクとの軸支部分を夫々のクランプ軸として回動可能にしたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2のコンクリート型枠のクランプ機構は、請求項1の発明において、中間リンクに二か所の係合部を中間リンク軸の同心円上に設け、係合する係止部を基部リンクの基部リンク軸と中間リンク軸との直線上に設けてあり、基部リンク及び中間リンクの回動前後時において、中間リンクの係合部の何れかが基部リンクの係止部に係合することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
基部リンクの型枠への軸支部及び基部リンクと中間リンクとの軸支部を夫々のクランプ軸として回動することで、移動部材を、基部リンクと中間リンクを加えた長さの距離を横移動させることができる効果があり、2回に分けた各クランプ軸の回動において、回動に必要な力を小さくできる効果を得られ、作業従事者の負担を軽減できる効果も有する。
【0017】
また、一つのクランプで行うのに比べて、2回に分けた各クランプの長さが短いことに加えて、各上死点における揺動リンクの傾斜角度が小さくなるため、横移動に作用する引き方向のロスを少なくできる。これにより、回動に必要な力を小さくすることができ、作業従事者の負担を更に軽減できる効果を有する。
【0018】
請求項2の発明は請求項1の効果に加えて、基部リンク及び中間リンクの回動前後時において、中間リンクの一方の係合部が基部リンクの係止部に係合するため、回動前は基部リンクが中間リンクを軸支部(中間リンクのクランプ軸)と一方の係合部で支えることになり、また、上死点を越えると他方の係合部と係合して中間リンク3が型枠側に自重で回動して戻るのを防止し、中間リンクの体勢を安定させ、基部リンクの回動の円滑化と中間リンクの体勢の維持を図る効果を発揮する。
【0019】
また、中間リンク軸の回動により、基部リンクの係止部との係合が、他方の係合部から一方の係合部に移るため、中間リンクの不必要な回動が阻止され、当該係合によりストッパーとしての効果を奏するのである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態のクランプ機構の側面図
図2】本発明の一実施形態のクランプ機構の側面図
図3】本発明の一実施形態のクランプ機構の側面図
図4】本発明の一実施形態のクランプ機構の側面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図面は、コンクリート型枠の型抜き時に移動部材を横移動させるクランプ機構1であって、基部リンク2と中間リンク3及び揺動リンク4より成る。
【0023】
そして、基部リンク2と揺動リンク4との間に中間リンク3が互いに回動可能に連結されている。
【0024】
基部リンク2は、基端部の基部リンク軸21が型枠装置に起設した軸受(図示せず。)に回動可能に軸支される。基部リンク2は、一方の回動限界及び他方の回動限界において、基端部より先端部が水平より稍下がる位置で、型枠装置の他の部材に当接するようになっている。
【0025】
また、基部リンク2の先端部には嵌挿孔が穿設され、軸受部として中間リンク3の基端部に設けた中間リンク軸31が挿通されて回動可能に軸支される。
【0026】
さらに、基部リンク2に、基部リンク軸21と前期嵌挿孔(中間リンク軸31)との直線上に係止部22が突設してある。
【0027】
一方、中間リンク3には、中間リンク軸31の同心円上の外周端に、凹欠した係合部32A,32Bを二か所形成してある。
【0028】
そして、図1(A)に示すように、型組時における基部リンク2の係止部22に一方の係合部32Aが被さるように係合した状態となっている。図1(B)及び図2(A)に示すように、また、型抜き時に基部リンク軸21を回動させて基部リンク2が回動し、上死点辺りから他方の係合部32Bを係止部22で受けるように係合する互いの配置となっている。
【0029】
中間リンク3の先端部と揺動リンク4の基端部とには、揺動リンク軸41が挿通されて回動可能に軸支される。
【0030】
揺動リンク4の先端部には、図示は省略しているが移動部材が互いに回動可能に連結してある。
【0031】
移動部材は、型枠装置の種類によって妻板や中子の開閉を操作するシャフト等の部材である。
【0032】
揺動リンク4は、基部リンク2及び中間リンク3の回動に揺動して従動し、係止した移動部材を型枠本体から離反する外側方向へ横移動させ、コンクリート製品と接着状態にある型枠材とを剥離させるための間隙を生じさせる。
【0033】
そこで、型組時及び型枠内にコンクリートを詰めて養生後の型抜きに取り掛かる時点では、図1(A)に示すように、移動部材と基部リンク軸21との間に基部リンク2の大部分、中間リンク3及び揺動リンク4が一直線上に並んでいる。
【0034】
基部リンク2の係止部22に中間リンク3の一方の係合部32Aが被さるように係合した状態である。
【0035】
型抜きのため、図1(B)に示すように、基部リンク軸21を型枠装置の外側(反対側)へ基部リンク軸21周りに回動させる。
【0036】
図2(A)に示すように基部リンク2の回動に伴い、一方の係合部32Aを離れて上死点辺りで他方の係合部32Bを係止部22で受けるように係合する。
【0037】
他方の係合部32Bを係止部22で受けた状態では、中間リンク3が型枠側に自重で回動して戻るのを防止し、基部リンク2と中間リンク3との位置関係が一定の状態を維持したまま基部リンク2が基部リンク軸21周りに回動していくこととなる。
【0038】
図2(B)に示すように、基部リンク2は、中間リンク軸31と共に中間リンク3を安定した状態で支承して回動を終える。これにより、図1(A)の状態から図2(B)の状態に至るまでに、基部リンク軸21と中間リンク軸31との長さ分、移動部材を図中の右方向である型枠装置の外側へ移動させることができる。
【0039】
次に、図3(A)及び(B)に示すように、中間リンク軸31を型枠装置の外側方向へ中間リンク3を中間リンク軸31周りに回動させる。
【0040】
中間リンク軸31は、基部リンク2の嵌挿孔に挿通して回動可能に軸支されているから、中間リンク軸31が回動しても基部リンク2は影響を受けずに存置されることとなる。
【0041】
また、係合部32Bを係止部22で受けるように係合している。図3(A)及び(B)に示すように、相対的に係合部32Bが係止部22から離れる方向へ中間リンク3が回動可能となっている。
【0042】
さらに、中間リンク軸31を型枠装置の外側方向へ中間リンク軸31周りに回動させると、図4に示すように、中間リンク3が水平になる位置まで回動する。
【0043】
図4の状態よりさらに中間リンク3が回動すると、基部リンク2の係止部22に一方の係合部32Aが当たって係合する状態となる。これにより、中間リンク3の回動のストッパーの作用を奏する。
【0044】
図4に示すように、基部リンク軸21の右側に中間リンク3及び基部リンク2が一直線状となる位置にまで回動することになる。これにより、図1(A)の状態から図4の状態に至るまでに、移動部材は、基部リンク軸21から揺動リンク軸41までの長さ分、移動部材を図中の右方向である型枠装置の外側へ移動させることができる。
【0045】
図1(A)から図2(B)までの基部リンク2が回動する過程と、図3(A)から図4までの中間リンク3が回動する過程とに、分けることとなる。、二つの過程それぞれで回動させる基部リンク2及び中間リンク3を短くすることができるので、回動に必要な力を小さくできる。
【0046】
加えて、各上死点である図1(B)及び図3(A)における揺動リンク4の傾斜角度が小さくなるため、横移動に作用する引き方向のロスを少なくでき、回動に必要な力を小さくができる。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を図面に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の思想を逸脱することのない範囲の他の実施の形態にも適用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 クランプ機構
2 基部リンク
21 基部リンク軸
22 係止部
3 中間リンク
31 中間リンク軸
32A,32B 係合部
4 揺動リンク
41 揺動リンク軸
図1
図2
図3
図4