(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099200
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】抜け止め構造、及び、その抜け止め構造に用いる抜け止め具
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20240718BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240718BHJP
F16B 4/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F16L57/00 A
H02G3/04 081
F16B4/00 P
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002966
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 悟史
【テーマコード(参考)】
3H024
5G357
【Fターム(参考)】
3H024AA03
3H024AB01
3H024AC03
5G357DA10
5G357DD02
5G357DD05
5G357DG05
(57)【要約】
【課題】内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバーを適切な状態に維持して、内側カバーと外側カバーとの接続状態を適切に維持する。
【解決手段】配管用の内側カバー2とその内側カバー3の端部に外嵌接続される配管用の外側カバー3との相対的な抜けを防止するための抜け止め構造において、内側カバー2の端部に取付自在で、内側カバー2に取り付けた状態において、外側カバー3の内面部に対して係止して、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め具5が備えられ、内側カバー2は、複数の分割体を組み合わせて形成されており、抜け止め具5は、内側カバー2に取り付けた状態において、内側カバー2に対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部が備えられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管用の内側カバーとその内側カバーの端部に外嵌接続される配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造において、
前記内側カバーの端部に取付自在で、内側カバーに取り付けた状態において、外側カバーの内面部に対して係止して、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め具が備えられ、
前記内側カバーは、複数の分割体を組み合わせて形成されており、
前記抜け止め具は、内側カバーに取り付けた状態において、内側カバーに対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部が備えられている抜け止め構造。
【請求項2】
前記組立状態維持作用部は、複数の分割体に対して噛み込み自在な複数の爪部を有し、それら複数の爪部を複数の分割体に噛み込ませて分割体のズレを防止するズレ止め作用を発揮するズレ止め作用部として備えられている請求項1に記載の抜け止め構造。
【請求項3】
前記ズレ止め作用部は、前記分割体の内面側と外面側とを挟み込む挟持体が備えられ、その挟持体に前記爪部が配設されている請求項2に記載の抜け止め構造。
【請求項4】
前記複数の分割体の夫々には、他の分割体の嵌合部と嵌合自在な嵌合部が備えられ、
前記内側カバーは、複数の分割体における嵌合部同士を嵌合させて組立状態としており、
前記組立状態維持作用部は、嵌合された嵌合部同士の周囲を囲む囲み部を有し、その囲み部にて囲んだ嵌合部同士の嵌合外れを防止する嵌合外れ防止作用を発揮する嵌合外れ防止作用部として備えられている請求項1に記載の抜け止め構造。
【請求項5】
前記嵌合外れ防止作用部は、嵌合された嵌合部同士が嵌合外れ方向に移動するのを規制する規制壁部が備えられている請求項4に記載の抜け止め構造。
【請求項6】
配管用の内側カバーとその内側カバーの端部に外嵌接続される配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造に用いる抜け止め具において、
前記内側カバーの端部に取付自在な取付部と、
前記内側カバーに取り付けた状態において、外側カバーの内面部に対して係止して内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め作用部と、
前記内側カバーに取り付けた状態において、内側カバーに対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部とが備えられている抜け止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管用の内側カバーと配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造、及び、その抜け止め構造に用いる抜け止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
配管用のカバーを配管経路に沿って設置するに当たり、例えば、配管経路が屈曲している屈曲経路部位、分岐箇所や合流箇所等では、内側カバーとその内側カバーよりも大径の外側カバーとが備えられ、内側カバーと外側カバーとを配管経路に沿って連続させて配設させている(例えば、特許文献1参照)。内側カバーと外側カバーとの接続箇所では、内側カバーの端部に外側カバーを外嵌接続することで、外側カバー内に内側カバーを挿入する挿入代を一定量確保して、内側カバーと外側カバーとを二重に配設している。
【0003】
内側カバーと外側カバーとを二重に配設する内側カバーと外側カバーとの接続箇所では、内側カバーや外側カバーがその長手方向に移動してしまうと、挿入代が無くなってしまい、内側カバーと外側カバーとが相対的に抜けてしまう可能性がある。そこで、特許文献1では、配管用の内側カバーと配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造が採用されている。
【0004】
この特許文献1に記載の抜け止め構造では、内側カバーの端部に取付自在であり、内側カバーに取り付けた状態において外側カバーの内面部に対して係止作用する抜け止め具が用いられている。
【0005】
外側カバーの内面部に、内方側に突出するストッパ部が備えられ、抜け止め具には、そのストッパ部に当接自在な当接部が備えられている。内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態では、内側カバーや外側カバーがその長手方向に移動しても、抜け止め具の当接部がストッパ部に当接することで、外側カバーの内面部に対して係止作用して、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の抜け止め構造では、抜け止め具を用いているが、この抜け止め具としては、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め機能だけを有するものとなっている。
【0008】
しかしながら、内側カバーと外側カバーとの接続状態を適切に維持するためには、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバーや外側カバーを適切な状態に維持することが求められる。例えば、内側カバーは、複数の分割体を組み合わせて接続した分割構造となっているので、分割体同士の間でズレが生じたり、分割体同士の接続が外れてしまうと、外側カバーにて内側カバーを外嵌接続した状態が崩れてしまい、内側カバーと外側カバーとの接続状態を適切に維持できなくなる可能性がある。
【0009】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバーを適切な状態に維持して、内側カバーと外側カバーとの接続状態を適切に維持することができる抜け止め構造、及び、その抜け止め構造に用いる抜け止め具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1特徴構成は、配管用の内側カバーとその内側カバーの端部に外嵌接続される配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造において、
前記内側カバーの端部に取付自在で、内側カバーに取り付けた状態において、外側カバーの内面部に対して係止して、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め具が備えられ、
前記内側カバーは、複数の分割体を組み合わせて形成されており、
前記抜け止め具は、内側カバーに取り付けた状態において、内側カバーに対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部が備えられている点にある。
【0011】
本構成によれば、抜け止め具を内側カバーに取り付けた状態において、抜け止め具が外側カバーの内面部に対して係止して抜け止め作用を発揮するので、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止することができる。しかも、抜け止め具には、組立状態維持作用部が備えられているので、その組立状態維持作用部が組立状態維持作用を発揮して、内側カバーにおいて、複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持することができ、内側カバーを適切な状態に維持することができる。よって、抜け止め具を内側カバーに取り付けるだけで、構成の簡素化を図りながら、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバーを適切な状態に維持して、内側カバーと外側カバーとの接続状態を適切に維持することができる。
【0012】
本発明の第2特徴構成は、前記組立状態維持作用部は、複数の分割体に対して噛み込み自在な複数の爪部を有し、それら複数の爪部を複数の分割体に噛み込ませて分割体のズレを防止するズレ止め作用を発揮するズレ止め作用部として備えられている点にある。
【0013】
本構成によれば、ズレ止め作用部は、複数の爪部を複数の分割体に噛み込ませて分割体のズレを防止するズレ止め作用を発揮するので、複数の分割体の間での分割体のズレを防止することができ、内側カバーを適切な状態に維持することができる。
【0014】
本発明の第3特徴構成は、前記ズレ止め作用部は、前記分割体の内面側と外面側とを挟み込む挟持体が備えられ、その挟持体に前記爪部が配設されている点にある。
【0015】
本構成によれば、ズレ止め作用部は、挟持体にて分割体の内面側と外面側とを挟み込む状態で分割体に対して爪部を噛み込ませることができるので、分割体の移動を適切に防止することができ、ズレ止め作用を適切に発揮することができる。
【0016】
本発明の第4特徴構成は、前記複数の分割体の夫々には、他の分割体の嵌合部と嵌合自在な嵌合部が備えられ、
前記内側カバーは、複数の分割体における嵌合部同士を嵌合させて組立状態としており、
前記組立状態維持作用部は、嵌合された嵌合部同士の周囲を囲む囲み部を有し、その囲み部にて囲んだ嵌合部同士の嵌合外れを防止する嵌合外れ防止作用を発揮する嵌合外れ防止作用部として備えられている点にある。
【0017】
本構成によれば、嵌合外れ防止作用部は、嵌合された嵌合部同士の周囲を囲み部にて囲むことで、嵌合部同士の嵌合外れを防止する嵌合外れ防止作用を発揮するので、嵌合部同士の嵌合が外れて、分割体同士が分割状態となるのを防止することができ、内側カバーを適切な状態に維持することができる。
【0018】
本発明の第5特徴構成は、前記嵌合外れ防止作用部は、嵌合された嵌合部同士が嵌合外れ方向に移動するのを規制する規制壁部が備えられている点にある。
【0019】
嵌合された嵌合部同士に対して、何らかの外力等が作用して嵌合部が嵌合外れ方向に移動してしまうと、嵌合部同士の嵌合が外れてしまう。そこで、本構成によれば、嵌合外れ防止作用部は、単なる規制壁部を備えるだけで、何らかの外力等が作用しても、その規制壁部によって嵌合部の嵌合外れ方向への移動を規制して、構成の簡素化を図りつつ、嵌合部同士が外れるのを適切に防止することができる。
【0020】
本発明の第6特徴構成は、配管用の内側カバーとその内側カバーの端部に外嵌接続される配管用の外側カバーとの相対的な抜けを防止するための抜け止め構造に用いる抜け止め具において、
前記内側カバーの端部に取付自在な取付部と、
前記内側カバーに取り付けた状態において、外側カバーの内面部に対して係止して内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め作用部と、
前記内側カバーに取り付けた状態において、内側カバーに対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部とが備えられている点にある。
【0021】
本構成によれば、抜け止め具は、取付部にて内側カバーの端部に取り付けることができ、その内側カバーに取り付けた状態において、抜け止め作用部にて内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮するだけでなく、組立状態維持作用部にて複数の分割体を組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮することができる。よって、抜け止め具を内側カバーに取り付けるだけで、構成の簡素化を図りながら、内側カバーと外側カバーとの相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバーを適切な状態に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】配管及び配管用のカバーの配設状態を示す断面図
【
図3】(A)抜け止め具の正面側の斜視図、(B)抜け止め具の背面側から見た図
【
図4】第1外側カバー、第4内側カバー、第2外側カバー、抜け止め具を分解した斜視図
【
図5】(A)第4内側カバーに抜け止め具を取り付ける過程を示す図、(B)第4内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態を示す図
【
図6】(A)第4内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態での第1爪部を示す断面図、(B)第4内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態での第2爪部を示す断面図
【
図7】(A)第4内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態での抜け止め作用部を示す断面図、(B)第4内側カバーに抜け止め具を取り付けた状態で抜け止め作用部が抜け止め作用を発揮した状態を示す断面図
【
図8】(A)嵌合部同士の嵌合状態を示す図、(B)嵌合部同士に対して抜け止め具を取り付けた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る抜け止め構造、及び、その抜け止め構造に用いる抜け止め具の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1及び
図2では、配管1(
図2において一点鎖線にて示す)の分岐箇所又は合流箇所を示しており、
図1では、配管1を覆う配管用のカバー2、3を取り付けた状態での外観図を示しており、
図2では、
図1における断面図を示している。
【0024】
図1及び
図2に示すように、配管1の周囲を覆う配管用のカバーとして、内側カバー2とその内側カバー2よりも大径の外側カバー3とが備えられ、内側カバー2と外側カバー3とを配管経路に沿って連続させて配設させている。内側カバー2と外側カバー3との接続箇所では、内側カバー2の端部に外側カバー3の端部を外嵌接続しており、この内側カバー2と外側カバー3との接続箇所において、本発明に係る抜け止め構造が適用されている。
【0025】
配管1として、
図2の左右方向に延びる第1配管11と第2配管12とを、
図2の上下方向に間隔を隔てて平行状態で配置し、第1配管11の中央部位にて第2配管12を接している。
図2の上下方向での第1配管11と第2配管12との間の間隔は、狭い間隔となっており、第1配管11と第2配管12とを極力近づけた状態で配置されている。第1配管11の中央部位には、第2配管12の端部部位を屈曲させる状態で接続されている。ちなみに、図示は省略するが、
図2に示すように、第1配管11と第2配管12とを配設する場合には、例えば、第1配管11と第2配管12とを直接接続するのではなく、第1配管11と第2配管12との間に直角形状の接続管等を接続して、第1配管11と第2配管12との間に接続管等を介在させる状態で接続することができる。
【0026】
内側カバー2は、
図1、
図2及び
図4に示すように、例えば、直線状の円筒状カバーにて構成されている。この実施形態では、内側カバー2として、第1~第4内側カバー21~24の4つの内側カバー2が備えられている。ちなみに、
図4では、内側カバー2としての第4内側カバー24を示している。
【0027】
図1及び
図2に示すように、第1内側カバー21及び第2内側カバー22は、第1配管11の周囲を覆うものであり、第3内側カバー23及び第4内側カバー24は、第2配管12の周囲を覆うものである。
図2では、第1内側カバー21は、第1配管11の右側部位を覆うように、左右方向に延びる姿勢で右上方側に配設され、第2内側カバー22は、第1配管11の左側部位を覆うように、左右方向に延びる姿勢で左上方側に配設されている。第3内側カバー23は、第2配管12の直線部位を覆うように、左右方向に延びる姿勢で右下方側に配設され、第4内側カバー24は、第2配管12の屈曲部位を覆うように、上下方向に延びる姿勢で配設されている。
【0028】
外側カバー3は、
図1及び
図2に示すように、内側カバー2同士を接続するために用いられ、複数の方向において内側カバー2を接続可能な筒状カバーにて構成されている。この実施形態では、外側カバー3として、第1内側カバー21と第2内側カバー22と第4内側カバー24との間を接続する第1外側カバー31と、第3内側カバー23と第4内側カバー24との間を接続する第2外側カバー32とが備えられている。
【0029】
第1外側カバー31は、第1内側カバー21と第2内側カバー22と第4内側カバー24との間を接続するために、
図1及び
図2において左右方向の両側と下方側との3方向において、内側カバー2を接続可能な形状(例えば、T字状)に形成されている。第2外側カバー32は、直交する第3内側カバー23と第4内側カバー24とを接続するために、
図1及び
図2において上方側と右側との2方向において、内側カバー2を接続可能な形状(例えば、L字状)に形成されている。
【0030】
第1配管11は、
図1及び
図2に示すように、第1内側カバー21、第1外側カバー31、第2内側カバー22によって、一連に連続してその周囲が覆われている。第1内側カバー21と第1外側カバー31との接続箇所では、
図2に示すように、第1外側カバー31の一端側が第1内側カバー21の接続側端部に外嵌接続され、第1外側カバー31内に第1内側カバー21を挿入する挿入代を一定量確保して、第1内側カバー21と第1外側カバー31とを内外の二重に配設している。第2内側カバー22と第1外側カバー31との接続箇所も同様に、第2外側カバー32の他端側が第2内側カバー22の接続側端部に外嵌接続されている。
【0031】
第2配管12は、
図1及び
図2に示すように、第3内側カバー23、第2外側カバー32、第4内側カバー24、第1外側カバー31によって、一連に連続してその周囲が覆われている。第3内側カバー23と第2外側カバー32との接続箇所では、
図2に示すように、第2外側カバー32の一端側が第3内側カバー23の接続側端部に外嵌接続されている。
【0032】
第1外側カバー31と第2外側カバー32とは、
図1及び
図2において上下方向に突き合わせる状態で接続されており、
図2に示すように、その突き合わせ接続箇所の内部に、第4内側カバー24が配設されている。これにより、第1外側カバー31と第2外側カバー32との突き合わせ接続箇所において、第1外側カバー31と第2外側カバー32との間に多少の隙間が生じても、第4内側カバー24にて配管1が露出されるのを防止することができる。第4内側カバー24は、外側カバー3同士の突き合わせ接続箇所に配設されているので、その長さが外側カバー3同士の突き合わせ接続箇所内に収まる長さに制限されており、第1~第3内側カバー21~23よりも第4内側カバー24の長さが短く設定されている。
【0033】
第4内側カバー24と第1外側カバー31との接続箇所、及び、第4内側カバー24と第2外側カバー32との接続箇所については、
図2に示すように、他の内側カバー2と外側カバー3との接続箇所と同様に、外側カバー3の端部が内側カバー2の端部に外嵌接続されている。
【0034】
本発明に係る抜け止め構造は、
図1及び
図2に示すように、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所において、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止するための構造である。そのために、本発明に係る抜け止め構造は、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所に適用されているが、この実施形態では、
図1及び
図2に示すように、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所として、合計5箇所存在する。
【0035】
図1及び
図2に示すように、1つ目は、第1内側カバー21に第1外側カバー31を外嵌接続する右上方側の接続箇所であり、2つ目は、第2内側カバー22に第1外側カバー31を外嵌接続する左上方側の接続箇所であり、3つ目は、第3内側カバー23に第2外側カバー32を外嵌接続する右下方側の接続箇所である。4つ目と5つ目は、第1外側カバー31と第2外側カバー32との突き合わせ接続箇所に相当し、
図2に示すように、その内部において、第4内側カバー24に第1外側カバー31を外嵌接続する中央上方側の接続箇所と、第4内側カバー24に第2外側カバー32を外嵌接続する中央下方側の接続箇所となっている。
【0036】
以下、本発明に係る抜け止め構造について説明するが、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所のうち、どの接続箇所に適用するものも同様の構造であるので、第1外側カバー31と第2外側カバー32との突き合わせ接続箇所に適用したものについて説明する。
【0037】
第1外側カバー31と第2外側カバー32との突き合わせ接続箇所では、
図1及び
図2に示すように、第1外側カバー31と第2外側カバー32とを突き合わせ接続しているが、
図2に示すように、その内部に配設される第4内側カバー24に対して、第4内側カバー24の一方側端部(
図2において上端部)に第1外側カバー31を外嵌接続し、第4内側カバー24の他端側端部(
図2において下端部)に第2外側カバー32を外嵌接続している。
【0038】
第1外側カバー31及び第2外側カバー32は、どちらも、
図4に示すように、複数(例えば、2つ)の分割外側カバー31a、32aを組み合わせて1つの外側カバー3を構成している。この実施形態では、第1外側カバー31について、半割の半円形状の分割第1外側カバー31aをお互いに嵌合接続して固定具取付部34(
図1及び
図2参照)にビス等の固定具を取り付けて固定することで、筒状の第1外側カバー31が構成されている。第2外側カバー32についても、同様に、半割の半円形状の分割第2外側カバー32aをお互いに嵌合接続して固定具取付部34(
図1、
図2及び
図4参照)にビス等の固定具を取り付けて固定することで、筒状の第2外側カバー32が構成されている。
【0039】
第1外側カバー31及び第2外側カバー32の内面部には、
図4に示すように、内方側に突出するカバーガタツキ防止部33が備えられている。このカバーガタツキ防止部33は、第1外側カバー31や第2外側カバー32に内嵌される内側カバー2の外面部に当接して内側カバー2のガタツキを抑制している。また、第1外側カバー31及び第2外側カバー32の内方側には、
図2及び
図3に示すように、ビス等の固定具を取り付ける固定具取付部34が突出する状態で備えられ、この固定具取付部34が内嵌される内側カバー2の端部等に当接することで、内側カバー2の挿入長さを規制することができる。
【0040】
第4内側カバー24も、第1外側カバー31や第2外側カバー32と同様に、
図4に示すように、複数(例えば、2つ)の分割第4内側カバー24aを組み合わせて1つの第4内側カバー24を構成している。この実施形態では、2つの半割の分割第4内側カバー24aの夫々が、同一の半円形状に形成されている。2つの分割第4内側カバー24aの夫々には、その周方向の両端部に嵌合部4が備えられ、その嵌合部4同士を嵌合接続することで、2つの分割第4内側カバー24a同士を嵌合接続して、円筒状の第4内側カバー24が構成されている。
【0041】
嵌合部4については、
図4や
図5(A)に示すように、第4内側カバー24の長さ方向の全長に亘る状態で配設されており、例えば、
図8(A)に示すように、分割第4内側カバー24aによって異なる形状の嵌合部4が備えられている。2つの分割第4内側カバー24aのうち、一方の分割第4内側カバー24a(
図8(A)において右側の分割第4内側カバー24a)には、先端側が湾曲している鉤状の第1嵌合部41が備えられ、他方の分割第4内側カバー24a(
図8(A)において左側の分割第4内側カバー24a)には、第1嵌合部41に嵌合するL字状の第2嵌合部42が備えられている。嵌合部4の形状については、適宜変更が可能であり、嵌合接続可能なものであれば、各種の形状を適用可能である。
【0042】
この抜け止め構造では、
図2及び
図5(B)に示すように、抜け止め具5を第4内側カバー24の一端部と他端部との両端部に取り付けることで、第4内側カバー24と第1外側カバー31との相対的な抜けを防止するとともに、第4内側カバー24と第2外側カバー32との相対的な抜けを防止している。ここで、
図1、
図2等に示すように、内側カバー2である第4内側カバー24の長さ方向を「カバー長さ方向X」とし、内側カバー2である第4内側カバー24の径方向を「カバー径方向Y」として説明する。
【0043】
抜け止め具5は、
図2及び
図5(B)に示すように、第4内側カバー24の端部に取り付けた状態において、カバー径方向Yにおいて第4内側カバー24の外側に位置する外側部位51と、カバー径方向Yにおいて第4内側カバー24の内側に位置する内側部位52と、外側部位51と内側部位52とを連結する連結部位53とが備えられている。
【0044】
外側部位51は、
図3(A)に示すように、カバー長さ方向Xに沿って基端側から先端側に延びる板状に形成され、その先端側部位がカバー径方向Yの外方側に傾斜させた傾斜部位54となっている。外側部位51の先端中央部には、
図3(B)に示すように、開口部55が備えられ、その開口部55内には、外側部位51の先端側から基端側に延びる第1爪部56が備えられている。この第1爪部56は、
図3(A)に示すように、傾斜部位54を利用して、カバー径方向Yの外方側から内方側に斜めに延びる姿勢で備えられ、第1爪部56の先端部がカバー径方向Yで外側部位51よりも内方側(
図3(A)において下方側)に突出している。
【0045】
内側部位52は、
図3(A)に示すように、外側部位51と同様に、カバー長さ方向Xに沿って基端側から先端側に延びる板状の内側中央部位57が備えられ、その内側中央部位57の左右方向の両端部には、カバー径方向Yの内方側から外方側に延びる左右一対の内側起立壁部58が備えられている。左右一対の内側起立壁部58の夫々には、連結部位53とは離れる側に、カバー径方向Yの内方側から外方側に延びる第2爪部59が備えられている。この第2爪部59は、その先端部が、内側起立壁部58において、カバー径方向Yで一番外方側(
図3(A)において上方側)に突出している部位となっている。
【0046】
連結部位53は、
図3(A)に示すように、カバー径方向Yに沿って延びる板状に形成されている。外側部位51と連結部位53と内側部位52における内側中央部位57とによって、側面視で、一連に連続するコ字状に形成されている。内側部位52は、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とによって、正面視で、一連に連続するコ字状に形成されている。抜け止め具5は、内側部位52における内側中央部位57を共通化して2つのコ字形状のものを組み合わせた形状に形成されている。
【0047】
連結部位53の左右方向の幅H1は、
図3(B)に示すように、外側部位51の左右方向の幅と同一なっている。それに対して、内側部位52における内側中央部位57の左右方向の幅H2は、連結部位53の左右方向の幅H1よりも所定量だけ幅広となっている。これにより、左右方向において、外側部位51と左右一対の内側起立壁部58とが、重なり合うことなく、個々が間隔を隔てて独立する状態で配設されている。
【0048】
抜け止め具5は、
図3(A)に示すように、カバー径方向Yにおいて、外側部位51と左右一対の内側起立壁部58との間に隙間が形成されており、
図5(A)に示すように、その隙間に第4内側カバー24を挿入させることで、第4内側カバー24の端部に取付自在に構成されている。抜け止め具5は、
図6(B)に示すように、第4内側カバー24の端部に取り付けた状態において、外側部位51と内側部位52における左右一対の内側起立壁部58とによって第4内側カバー24を挟み込む状態となる。このように、抜け止め具5には、分割第4内側カバー24aの内面側と外面側とを挟み込む状態で第4内側カバー24の端部に取付自在な取付部70が備えられている。この取付部70が、
図2及び
図6に示すように、外側部位51と内側部位52と連結部位53とにより構成されている。
【0049】
外側部位51には、
図3及び
図6に示すように、第1爪部56が配設され、左右一対の内側起立壁部58の夫々には、第2爪部59が配設されているので、取付部70には、分割第4内側カバー24aに対して噛み込み自在な第1爪部56及び第2爪部59が備えられている。第1爪部56は、
図6(A)に示すように、分割第4内側カバー24aの外面部に噛み込み自在である。第2爪部59は、
図6(B)に示すように、分割第4内側カバー24aの内面部に噛み込み自在である。第1爪部56と第2爪部59とによって分割第4内側カバー24aを内外の両側から挟み込む状態で噛み込んでいる。
【0050】
抜け止め具5は、
図3に示すように、外側部位51と内側起立壁部58との間に隙間が形成されており、
図5に示すように、外側部位51と内側起立壁部58との間の隙間に対して、内側カバー2を挿入させることで、内側カバー2の端部に抜け止め具5を取り付けている。このとき、例えば、内側カバー2の厚みが、外側部位51と内側起立壁部58との間の隙間よりも大きいことから、外側部位51と内側起立壁部58とを離間させるように弾性変形させながら、外側部位51と内側起立壁部58との間の隙間に対して内側カバー2を挿入させる。よって、その弾性変形による弾性復帰力の作用により、
図6に示すように、外側部位51と内側起立壁部58とによって内側カバー2を挟み込み、第1爪部56及び第2爪部59が内側カバー2に噛み込むことになって、内側カバー2への抜け止め具5の取り付けを容易に且つ確実に行うことができる。
【0051】
第1爪部56及び第2爪部59は、
図3(A)及び
図6に示すように、どちらも、第4内側カバー24の挿入方向の奥側(
図6において左側)ほど外側部位51と爪部56、59との間の隙間を小さくする側に傾斜する傾斜状に形成されている。よって、第4内側カバー24に抜け止め具5を取り付けるに当たり、第4内側カバー24を外側部位51と内側起立壁部58との間の隙間に挿入させるときに、第1爪部56や第2爪部59が第4内側カバー24の外面部や内面部に引っ掛かることもなく、第4内側カバー24の挿入をスムーズに行うことができ、抜け止め具5の取付作業を簡易に行うことができる。内側カバー2の端部に抜け止め具5を取り付けた際には、
図5(B)及び
図6に示すように、弾性力の作用により外側部位51と内側起立壁部58とによって内側カバー2を挟み込むので、第1爪部56と第2爪部59とによって内側カバー2を内外の両側から挟み込む状態で噛み込むことができる。
【0052】
左右一対の内側起立壁部58の夫々には、
図3及び
図6(B)に示すように、第2爪部59に加えて、抜け止め具ガタツキ防止部60が備えられている。抜け止め具ガタツキ防止部60は、第2爪部59とは逆に、連結部位53に接近する側に配設されている。抜け止め具ガタツキ防止部60は、第1爪部56及び第2爪部59が内側カバー2に噛み込んだ状態において、内側カバー2の内面部に当接自在に構成されている。抜け止め具ガタツキ防止部60は、
図3(A)に示すように、連結部位53に接近する側ほど外側部位51に接近する側(上方側)となる傾斜状に形成され、連結部位53に最も接近する部位が当接部位60aとなっている。抜け止め具ガタツキ防止部60の当接部位60aは、
図6(B)に示すように、第2爪部59の先端部よりも所定量だけ外側部位51よりも離れる側(下方側)に配設されており、第2爪部59が内側カバー2の内面部に噛み込んだ状態で、はじめて、第4内側カバー24の内面部に当接可能となる。抜け止め具ガタツキ防止部60の当接部位60aが内側カバー2に当接することで、抜け止め具5のガタツキを抑制している。
【0053】
(抜け止め作用部)
抜け止め具5は、
図7に示すように、第4内側カバー24に取り付けた状態において、外側カバー3(第1外側カバー31や第2外側カバー32)の内面部に対して係止して第4内側カバー24と外側カバー3との相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮する抜け止め作用部71が備えられている。ちなみに、
図7は、
図1において、第4内側カバー24と第1外側カバー31との接続箇所の右側部位を拡大した断面図を示している。
【0054】
抜け止め作用部71は、
図3(A)及び
図7に示すように、外側部位51の傾斜部位54にて構成されており、
図7(B)に示すように、その傾斜部位54を外側カバー3の抜け止め係止部35に当接させることで、外側カバー3の内面部に対して係止して、抜け止め作用を発揮している。
【0055】
抜け止め具5を第4内側カバー24の端部に取り付けた状態では、
図7(A)に示すように、外側部位51の傾斜部位54が、外側部位51の先端側(下方側)ほど第1外側カバー31の内面部に接近する傾斜姿勢となっている。第1外側カバー31の内面部には、内方側に突出する抜け止め係止部35が備えられている。この抜け止め係止部35は、固定具取付部34の一部を内方側に突出させることで、第1外側カバー31の周方向の全長に亘って配設されている(
図4参照)。
図7(A)に戻り、第4内側カバー24の端部に第1外側カバー31を外嵌接続する際には、第4内側カバー24と第1外側カバー31とが二重となる挿入代を確保しているので、抜け止め具5の傾斜部位54と第1外側カバー31の抜け止め係止部35とは離れた状態となっている。
【0056】
このとき、何らかの原因で、第4内側カバー24と第1外側カバー31とが相対的に移動してしまうと、第4内側カバー24と第1外側カバー31とが二重となる挿入代が無くなり、第4内側カバー24と第1外側カバー31との相対的な抜けが生じる可能性がある。そこで、第4内側カバー24と第1外側カバー31との相対的な移動が生じても、
図7(B)に示すように、抜け止め具5の傾斜部位54と第1外側カバー31の抜け止め係止部35とを当接させることで、それ以上の相対的な移動を阻止して、第4内側カバー24と第1外側カバー31との相対的な抜けを防止している。
【0057】
図7(B)に示すように、抜け止め具5の傾斜部位54と第1外側カバー31の抜け止め係止部35とが当接することで、抜け止め具5に対しては第4内側カバー24から外れる側の力(
図7(B)において矢印参照)が作用する。しかしながら、
図6に示すように、その力(
図6において矢印参照)が作用することで、第1爪部56及び第2爪部59に対しては、噛み込む側の力が作用することになる。よって、第1爪部56及び第2爪部59の噛み込み力が強固になり、第4内側カバー24から抜け止め具5が外れることなく、第4内側カバー24の端部に抜け止め具5を取り付けた状態を保持することができ、第4内側カバー24と第1外側カバー31との相対的な抜けを適切に防止することができる。
【0058】
抜け止め具5には、抜け止め作用部71だけでなく、
図6に示すように、分割第4内側カバー24aのズレを防止するズレ止め作用を発揮するズレ止め作用部72と、
図8(B)に示すように、分割第4内側カバー24aにおける嵌合部4同士の嵌合外れを防止する嵌合外れ防止作用を発揮する嵌合外れ防止作用部73とが備えられている。
【0059】
(ズレ止め作用部)
ズレ止め作用部72は、
図3(A)及び
図6に示すように、抜け止め具5において、外側部位51と左右一対の内側起立壁部58と第1爪部56と第2爪部59を備えて構成されている。ズレ止め作用部72は、
図6に示すように、外側部位51と左右一対の内側起立壁部58とによって挟持体74を構成しており、この挟持体74によって分割第4内側カバー24aの内面側と外面側とを挟み込んでいる。挟持体74となる外側部位51及び左右一対の内側起立壁部58に配設された第1爪部56及び第2爪部59(爪部に相当する)により、分割第4内側カバー24aの内面側と外面側との両側に対して噛み込んでいる。
【0060】
このようにして、ズレ止め作用部72は、
図6に示すように、外側部位51と左右一対の内側起立壁部58と第1爪部56と第2爪部59とによって、分割第4内側カバー24aの内面側と外面側とを挟み込む状態で噛み込むことで、分割第4内側カバー24aが移動するのを防止して、分割第4内側カバー24a(分割体に相当する)のズレを防止するズレ止め作用を発揮している。
【0061】
抜け止め具5を第4内側カバー24の端部に取り付けた状態では、
図6に示すように、分割第4内側カバー24aの端部を抜け止め具5の連結部位53に当接させている。これにより、連結部位53によっても、分割第4内側カバー24aの移動を防止することができるので、連結部位53についても、ズレ止め作用部72として備えることもできる。
【0062】
(嵌合外れ防止作用部)
嵌合外れ防止作用部73は、
図3(A)及び
図8(B)に示すように、抜け止め具5において、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とを備えて構成されている。嵌合外れ防止作用部73は、
図5(B)及び
図7(B)に示すように、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とにより、嵌合された嵌合部4同士を囲み込むことで、嵌合部4の嵌合外れを防止している。
【0063】
図5(A)に示すように、2つの分割第4内側カバー24aの夫々には、その周方向の両端部に嵌合部4が備えられ、その嵌合部4同士を嵌合接続することで、円筒状の第4内側カバー24が構成されている。抜け止め具5を第4内側カバー24の端部に取り付けるに当たり、嵌合された嵌合部4同士に対して抜け止め具5を取り付けている。抜け止め具5は、
図3(A)に示すように、内側部位52として、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とが備えられているので、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とにより3方向が囲まれた空間61が形成されている。よって、
図5(A)に示すように、この空間61に嵌合された嵌合部4同士を挿入させることで、嵌合された嵌合部4同士に対して抜け止め具5を取り付けることができる。
【0064】
このようにして、嵌合された嵌合部4同士に対して抜け止め具5を取り付けた場合には、
図5(B)及び
図8(B)に示すように、嵌合された嵌合部4同士に対して、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とにより、第4内側カバー24の内方側と周方向の両側との3方向を囲むことができる。
【0065】
これにより、例えば、
図8(A)の矢印にて示すように、第4内側カバー24の外方側から内方側に向けて斜めに外力が作用しても、
図8(B)に示すように、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とにより、第4内側カバー24の内方側と周方向の両側との3方向において、嵌合された嵌合部4が移動するのを規制することができ、嵌合部4同士が外れるのを適切に防止することができる。
【0066】
図8(B)に示すように、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とにより、嵌合された嵌合部4同士を囲んでおり、嵌合部4同士と当接することで、嵌合部4同士が嵌合外れ方向に移動するのを規制しているので、内側中央部位57と左右一対の内側起立壁部58とが囲み部75及び規制壁部76として備えられている。
【0067】
ちなみに、嵌合された嵌合部4同士に対して抜け止め具5を取り付けた場合には、嵌合された嵌合部4同士に対して、第4内側カバー24の長さ方向では、抜け止め具5の連結部位53が存在することになる。この連結部位53によって、嵌合された嵌合部4同士の第4内側カバー24の長さ方向での移動も規制されている。
【0068】
上述の如く、第4内側カバー24は、他の第1~第3内側カバー21~23よりも長さが短くなっているので、嵌合部4同士が嵌合する長さが短くなっている。よって、第4内側カバー24は、他の第1~第3内側カバー21~23よりも小さな外力を受けるだけで、嵌合部4同士が外れてしまう可能性がある。そのために、長さの短い第4内側カバー24において、嵌合外れ防止作用部73にて分割第4内側カバー24aにおける嵌合部4同士の嵌合外れを防止する嵌合外れ防止作用を発揮することで、特に有用なものとなる。
【0069】
内側カバー2については、2つの分割第4内側カバー24a(分割体に相当する)同士の位置を合わせて嵌合部4同士を嵌合させることで、分割第4内側カバー24aのズレが生じることなく、嵌合部4同士の嵌合接続により、第4内側カバー24を組立状態とすることができる。この組立状態を維持するに当たり、ズレ止め作用部72によって分割第4内側カバー24aのズレを防止することで、第4内側カバー24を組立状態に維持することができ、嵌合外れ防止作用部73によって嵌合部4の嵌合外れを防止することでも、第4内側カバー24を組立状態に維持することができる。よって、第4内側カバー24を組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮する組立状態維持作用部は、ズレ止め作用部72及び嵌合外れ防止作用部73の少なくともどちらか一方にて構成することができる。
【0070】
以上の如く、抜け止め具5は、抜け止め作用部71とズレ止め作用部72と嵌合外れ防止作用部73とが備えられ、内側カバー2に取り付けた状態において、抜け止め作用とズレ止め作用と嵌合外れ止め作用の3つの機能を発揮している。これにより、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所では、抜け止め具5を用いることで、それら3つの機能を有する抜け止め構造とすることができ、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバー2を適切な状態に維持して、内側カバー2と外側カバー3との接続状態を適切に維持することができる。
【0071】
抜け止め具5については、例えば、金属板を打ち抜き、曲げ加工により製作することができる。このように、抜け止め具5を金属製とすることで、適切に噛み込むことができる第1爪部56と第2爪部59とを形成することができる。しかも、抜け止め具5を金属製の薄板状とすることで、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所において、内側カバー2の外面部と外側カバー3の内面部との間等の狭いスペースであっても、そのスぺースに入り込ませることができ、内側カバー2の端部に適切に設置することができる。
【0072】
図2に示すように、内側カバー2と外側カバー3との接続箇所は5箇所あることから、それら5箇所の接続箇所の夫々において、抜け止め具5を内側カバー2の端部に取り付けて、5箇所の全てにおいて、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止するだけでなく、内側カバー2を適切な状態に維持して、内側カバー2と外側カバー3との接続状態を適切に維持することができる抜け止め構造としている。
【0073】
ここで、
図7(B)に示すように、抜け止め作用部71が抜け止め作用を発揮する際に、抜け止め具5の傾斜部位54が当接する当接対象となる抜け止め係止部35について説明を加える。
【0074】
図4に示すように、第1外側カバー31では、内側カバー2の接続箇所となる左右両端部及び下端部に、その周方向の全長に亘る状態で抜け止め係止部35が配設されている。第2外側カバー32では、内側カバー2の接続箇所となる上端部及び右端部に、その周方向の全長に亘る状態で抜け止め係止部35が配設されている。このように、外側カバー3には、内側カバー2の接続箇所となる端部に抜け止め係止部35が配設されているので、内側カバー2と外側カバー3とのどの接続箇所であっても、抜け止め具5の傾斜部位54が抜け止め係止部35に当接することで、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止する抜け止め作用を適切に発揮することができる。
【0075】
この抜け止め係止部35は、元々、別の用途に用いるために備えられている。例えば、固定具を用いて壁面等に内側カバー2や外側カバー3等を固定するに当たり、その固定具を内側カバー2と外側カバー3との間の隙間を通して外側カバー3内に差し込み、固定具を抜け止め係止部35に引っ掛けて係止させることができる。
【0076】
このように、抜け止め係止部35は、内側カバー2や外側カバー3を固定するための用途に用いられているものであり、その抜け止め係止部35を、そのまま、抜け止め具5における傾斜部位54の当接対象として、抜け止め作用を発揮するためにも用いている。これにより、抜け止め作用を発揮するために、抜け止め係止部35を新たに備えるのではなく、別の用途で用いられている部材の兼用化によって、抜け止め作用を発揮することができ、それだけ構成の簡素化を図ることができる。
【0077】
内側カバー2、外側カバー3、抜け止め具5等を設置するに当たり、その施工手順としては、配管取付工程、内側カバー取付工程、抜け止め具取付工程、外側カバー取付工程を順次行うことができる。ちなみに、各工程の順序については、施工状況等に応じて適宜変更することができる。
【0078】
配管取付工程は、配管バンド等の配管止め具にて壁面等の設置対象部位に対して配管1を取り付ける工程である。内側カバー取付工程は、取り付けられた配管1の周囲を覆うように内側カバー2を取り付ける工程である。例えば、
図4に示すように、半割の分割第4内側カバー24a(分割体)にて配管1を覆うようにして、第4内側カバー24(内側カバー2)を組立状態として取り付けることができる。
【0079】
抜け止め具取付工程は、組立状態にある内側カバー2に対して、その端部に抜け止め具5を取り付ける工程である。例えば、
図5(A)に示すように、第4内側カバー24において嵌合された嵌合部4に対して、抜け止め具5を取り付けることができる。外側カバー取付工程は、内側カバー2の端部に外嵌接続する状態で外側カバー3を取り付ける工程である。例えば、
図4に示すように、第4内側カバー24(内側カバー2)の一端部を外側から覆うように、半割の分割第1外側カバー31aを嵌合接続させて第1外側カバー31を組み立てて、第1外側カバー31を第4内側カバー24の一端部に外嵌接続させる状態で取り付け、第4内側カバー24の他端部についても外側から覆うように、半割の分割第2外側カバー32aを嵌合接続させて第2外側カバー32を組み立てて、第1外側カバー31を第4内側カバー24の他端部に外嵌接続させる状態で取り付けることができる。
【0080】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0081】
(1)上記実施形態では、外側カバー3が直線状の内側カバー2同士を接続するために用いているが、逆に、内側カバー2を直線状の外側カバー3同士を接続するために用いることもでき、内側カバー2と外側カバー3とをどのような用途で用いるかは適宜変更が可能である。
【0082】
(2)上記実施形態では、内側カバー2及び外側カバー3を円筒状に形成しているが、内側カバー2及び外側カバー3をどのような形状とするかは適宜変更が可能である。
【0083】
(3)上記実施形態では、
図1及び
図2に示すように、配管1の分岐箇所又は合流箇所において、本発明に係る抜け止め構造を例示したが、例えば、配管1を屈曲させて配設させる屈曲経路部位において、本発明に係る抜け止め構造を適用することもでき、配管経路のどのような箇所において本発明に係る抜け止め構造を適用するかは適宜変更が可能である。
【0084】
(4)上記実施形態では、抜け止め具5を用いた抜け止め構造を例示したが、抜け止め具5については、その形状や構成については適宜変更が可能であり、内側カバー2と外側カバー3との相対的な抜けを防止する抜け止め作用を発揮し、内側カバー2に対して複数の分割体を組み合わせた組立状態に維持する組立状態維持作用を発揮するものであればよい。
【0085】
(5)上記実施形態では、抜け止め作用を発揮するために、外側カバー3の内面部に、抜け止め具5における傾斜部位54と当接する抜け止め係止部35が備えられているが、この抜け止め係止部35を省略することもできる。この場合には、例えば、抜け止め具5における傾斜部位54の先端部を外側カバー3の内面部に当て付けて係止させたり、傾斜部位54に外側カバー3の内面部に噛み込む爪部等を設けることで、抜け止め作用を発揮することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 配管
2 内側カバー
3 外側カバー
4 嵌合部
5 抜け止め具
24a 分割第4内側カバー(分割体)
56 第1爪部(爪部)
59 第2爪部(爪部)
70 取付部(外側部位51、内側部位52、連結部位53)
71 抜け止め作用部(傾斜部位54)
72 ズレ止め作用部(外側部位51、内側起立壁部58、第1爪部56、第2爪部59)
73 嵌合外れ防止作用部(内側中央部位57、内側起立壁部58)
74 挟持体(外側部位51、内側起立壁部58)
75 囲み部(内側中央部位57、内側起立壁部58)
76 規制壁部(内側中央部位57、内側起立壁部58)