(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099216
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
B60N 2/879 20180101AFI20240718BHJP
A47C 7/38 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60N2/879
A47C7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023002995
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000219668
【氏名又は名称】東海化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 雅士
(72)【発明者】
【氏名】加納 勇毅
(72)【発明者】
【氏名】金 俊
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084DB14
3B084DD02
3B087DC05
(57)【要約】
【課題】質量体の可動域をより広くしつつ各ケースを適切に組み付けられるヘッドレストを提供すること。
【解決手段】ヘッドレストは、ヘッドレストステー3に組み付けられるケース5と、ケース5に配置される質量体7と、質量体7を支持する弾性体6と、を有する。ケース5が前側ケース10と後側ケース20とを有する。弾性体6が、前側ケース10の後面に係止される前側係止孔34と前側係止孔34から後面に沿って延びる前側延長部30aとを有する前側弾性体30と、後側ケース20の前面に係止される後側係止孔44と後側係止孔44から前面に沿って延びる後側延長部40aとを有する後側弾性体40と、を有し、前側延長部30aと後側延長部40aとの間で質量体7を前後に挟み込み状に支持する。前側係止孔34と後側係止孔44とが、質量体7を間に挟む高さ方向の一方と他方とに分かれて配置される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの上部に装着される脚部を備えるヘッドレストステーと、該ヘッドレストステーの上部に組み付けられるケースと、該ケースを覆う緩衝材としてのヘッドレストパッドと、を有するヘッドレストであって、
前記ケースの内部に配置される振動抑制用の質量体と、
前記ケースの内部に配置され、前記質量体を前記ケースに対して弾性的に支持する弾性体と、を有し、
前記ケースが、互いに前後に組み付けられるように分割された前側ケースと後側ケースとを有し、
前記弾性体が、前記前側ケースの後面に係止される前側係止部と、該前側係止部から前記後面に沿って延びる前側延長部と、を有する前側弾性体と、前記後側ケースの前面に係止される後側係止部と、該後側係止部から前記前面に沿って延びる後側延長部と、を有する後側弾性体と、を有し、前記前側延長部と前記後側延長部との間で前記質量体を前後に挟み込み状に支持し、
前記前側係止部と前記後側係止部とが、前記質量体を間に挟む高さ方向又は幅方向の一方と他方とに分かれて配置されるヘッドレスト。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドレストであって、
前記前側ケースが、前記後面から突出して前記前側延長部に前側から線状に当たる前側リブを有し、
前記後側ケースが、前記前面から突出して前記後側延長部に後側から線状に当たる後側リブを有するヘッドレスト。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のヘッドレストであって、
前記前側係止部が、前記前側弾性体の前記質量体よりも上側領域に配置され、
前記後側係止部が、前記後側弾性体の前記質量体よりも下側領域を配置されるヘッドレスト。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のヘッドレストであって、
前記前側ケースが、前記後面から突出する前側ピンを有し、該前側ピンが前記前側弾性体の前記前側係止部を成す前側係止孔を貫通して前記前側弾性体から後方に突出して、
前記後側ケースが、前記前面から突出する後側ピンを有し、該後側ピンが前記後側弾性体の前記後側係止部を成す後側係止孔を貫通して前記後側弾性体から前方に突出するヘッドレスト。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のヘッドレストであって、
前記質量体が、左右方向に軸を向ける円柱形状とされるヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドレストに関する。詳しくは、シートバックの上部に装着される脚部を備えるヘッドレストステーと、ヘッドレストステーの上部に組み付けられるケースと、ケースを覆う緩衝材としてのヘッドレストパッドと、を有するヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、振動抑制用のダイナミックダンパを備えたヘッドレストが開示されている。具体的には、前後に分かれた樹脂ケースにそれぞれ面状のスラブウレタンをセットし、各ケースの組み付けにより錘を成す質量体を各スラブウレタンで挟み込むように構成される。各ケースは、互いに組み付けられることで前後に突き合わされるように突出した環状のリブをそれぞれ有する。各スラブウレタンは、外周縁に沿って上記各リブに押し挟まれることでケースに対して固定される。また、質量体は、各リブの突き合わせにより形成される内部領域に位置するように設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記スラブウレタンは、その周縁全体を各ケースの各リブにより押し挟まれている。これにより、質量体の可動域が狭められてしまい、十分な振動抑制ができない懸念がある。また、各スラブウレタンをケースにセットする際に、スラブウレタンがリブに当たることでケースに対して浮き上がってしまう。これにより、各ケースを互いに組み付けた際にスラブウレタン同士が干渉することで適切に組み付けられない懸念がある。そこで、質量体の可動域をより広くしつつケースを適切に組み付けられるヘッドレストを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のヘッドレストは次の手段をとる。
【0006】
すなわち、本発明のヘッドレストは、シートバックの上部に装着される脚部を備えるヘッドレストステーと、ヘッドレストステーの上部に組み付けられるケースと、ケースを覆う緩衝材としてのヘッドレストパッドと、を有する。更に、ケースの内部に配置される振動抑制用の質量体と、ケースの内部に配置され、質量体をケースに対して弾性的に支持する弾性体と、を有する。ケースが、互いに前後に組み付けられるように分割された前側ケースと後側ケースとを有する。弾性体が、前側ケースの後面に係止される前側係止部と、前側係止部から後面に沿って延びる前側延長部と、を有する前側弾性体と、後側ケースの前面に係止される後側係止部と、後側係止部から前面に沿って延びる後側延長部と、を有する後側弾性体と、を有し、前側延長部と後側延長部との間で質量体を前後に挟み込み状に支持する。前側係止部と後側係止部とが、質量体を間に挟む高さ方向又は幅方向の一方と他方とに分かれて配置される。
【0007】
このように、前側係止部と後側係止部とが質量体を挟む高さ方向又は幅方向の一方と他方とに分かれて配置されることで、前側弾性体の全周と後側弾性体の全周とがそれぞれ係止される構成と比べて、弾性体の突っ張りや浮き上がりを抑制できる。これにより、前側ケースと後側ケースを組み付けた際に前側弾性体と後側弾性体とを互いに干渉しにくくして、ケースの組付不良を軽減させることができる。また、前側弾性体の全周と後側弾性体の全周とがそれぞれ係止される構成と比べて質量体の可動域を広げることができる。このようにして、質量体の可動域をより広くしつつケースを適切に組み付けることができる。
【0008】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側ケースが、後面から突出して前側延長部に前側から線状に当たる前側リブを有する。後側ケースが、前面から突出して後側延長部に後側から線状に当たる後側リブを有する。このため、前側ケースが前側延長部に面当たりしたり、後側ケースが後側延長部に面当たりしたりする構成と比べて、質量体が弾性体を押し潰しやすくなる。これにより、質量体の可動域をより広げることができる。
【0009】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側係止部が、前側弾性体の質量体よりも上側領域に配置される。後側係止部が、後側弾性体の質量体よりも下側領域を配置される。これにより、前側ケースと後側ケースとの組み付け作業を、後側ケースを設置面においてその上から前側ケースを被せる形で行う場合に、作業者が前側ケースの上端側から前側係止部をのぞき込みながら組み付け作業を行うことができる。このため、作業者が、前側弾性体が前側ケースから脱落していないかを効率よく確認しながら、ケースの組み付け作業を行うことができる。
【0010】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側ケースが、後面から突出する前側ピンを有し、前側ピンが前側弾性体の前側係止部を成す前側係止孔を貫通して前側弾性体から後方に突出する。後側ケースが、前面から突出する後側ピンを有し、後側ピンが後側弾性体の後側係止部を成す後側係止孔を貫通して後側弾性体から前方に突出する。これにより、前側ピン及び後側ピンに例えばフックのような弾性体に係止する係止部を設けなくても、前側弾性体を前側ピンに対して抜けにくいように係止させることができる。また、後側弾性体を後側ピンに対して抜けにくいように係止させることができる。
【0011】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。質量体が、左右方向に軸を向ける円柱形状とされる。これにより、質量体の上端側と下端側の振幅の差を小さくすることができ、質量体の振動をコントロールしやすくなる。その結果、質量体を用いた振動抑制をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1の実施形態に係るヘッドレストの斜視図である。
【
図2】ヘッドレストの内部構造を示す斜視図である。
【
図5】スラブウレタンをケースに組み付けた状態を示す分解斜視図である。
【
図7】質量体とヘッドレストステーを後側ケースに組み付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を、
図1-11を用いて説明する。以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。
【0014】
<第1の実施形態>
始めに、本発明の第1の実施形態に係るヘッドレスト1について説明する。
図1に示すように、ヘッドレスト1は、自動車のシート(不図示)の頭凭れ部として構成されている。また、ヘッドレスト1は、振動抑制用のダイナミックダンパDを備える。具体的には、ヘッドレスト1は、発泡ウレタン製のヘッドレストパッド2と、ヘッドレストパッド2を覆うファブリック製のヘッドレストカバー4と、ヘッドレストパッド2から下方に延び出るヘッドレストステー3と、を備える。ヘッドレストステー3は2本の脚部3aを有する。ヘッドレストステー3は、各脚部3aの下端が不図示のシートバックの上端部に組み付けられることで、シートバックに一体的に組み付けられる。また、ヘッドレスト1は、ヘッドレストパッド2の内部に埋設されるヘッドレストケース5を有する。
【0015】
図2に示すように、ヘッドレストケース5は樹脂から成る箱状部材である。ヘッドレストケース5は、ヘッドレストステー3の上部に組み付けられる。ヘッドレスト1は、ヘッドレストケース5に収容される質量体7と、ヘッドレストケース5内で質量体7を覆うスラブウレタン6と、を有する。質量体7は、ダイナミックダンパDにおける錘の機能を有する。スラブウレタン6は、ダイナミックダンパDにおける弾性体の機能を有する。具体的には、質量体7がヘッドレストケース5の内部で揺動可能に設けられており、ヘッドレスト1が衝撃や振動を受けた際に、質量体7が振動する。これにより、ヘッドレスト1の振動による運動エネルギーを質量体7の振動による運動エネルギーに変換することができる。そして、質量体7を覆ったスラブウレタン6が質量体7を弾性的に受け止めて振動を吸収する。このようにして、スラブウレタン6と質量体7とがヘッドレスト1の振動を抑制することができる。ここで、スラブウレタン6が本発明の「弾性体」に相当する。
【0016】
<ヘッドレスト1>
以下、上述したヘッドレスト1の各構成について詳しく説明する。
図3に示すように、ヘッドレストステー3は、各脚部3aと、各脚部3aの上端部を連結して左右方向に延びる連結部3bと、を有する。ヘッドレストステー3は、正面視で逆U字状を成す。各脚部3aは、連結部3bの左右端部から下方にまっすぐ延びたのち、上下方向の略中央部で下方斜め前に向かって屈曲するように延びる。
【0017】
<ヘッドレストケース5/前側ケース10>
図3及び
図4に示すように、ヘッドレストケース5は、前後に分割可能な前側ケース10と後側ケース20とを有する。前側ケース10は、前後に面を向ける略矩形状の一般面部11と、一般面部11の周縁部から後方に向かってフランジ状に延びる側面部12と、を有する。
図4に示すように、前側ケース10は、一般面部11の後面上部に上下方向に延びる2つのステー係止リブ14を有する。各ステー係止リブ14は、凹湾曲面形状の窪み14aをそれぞれ有する。各窪み14aには、ヘッドレストステー3の連結部3bが後側から当てられるようになっている。また、側面部12は、一般面部11を挟む左右2箇所に形成される凹湾曲面形状の窪み12aを有する。各窪み12aには、ヘッドレストステー3の各脚部3aが後側から当てられるようになっている。ここで、ヘッドレストケース5が本発明の「ケース」に相当する。
【0018】
図4に示すように、前側ケース10は、一般面部11の後面の中央部にスラブウレタン6の前側スラブウレタン30を支持する前側ウレタン支持部13を有する。前側ウレタン支持部13は、背面視で下方に開口するコ字状を成す上側リブ13aと、背面視で上方に開口するコ字状を成す下側リブ13bと、を有する。上側リブ13aは、その左右部の内側面から突出する2つの上側方リブ13a1を有する。また、上側リブ13aは、その左右部の各下端に凹湾曲状に切り欠かれた切欠13a2を有する。
【0019】
図4に示すように、下側リブ13bは、その左右部の内側面から突出する2つの下側方リブ13b1を有する。また、下側リブ13bは、その左右部の各上端に凹湾曲状に切り欠かれた切欠13b2を有する。上側リブ13aの各切欠13a2と下側リブ13bの各切欠13b2とは、互いに上下方向に略隣接するように形成されており、併せて略半円状の切欠を形成する。
【0020】
図4に示すように、前側ウレタン支持部13は、上下方向に延びる4本の前側リブ13cを有する。各前側リブ13cは、前側ウレタン支持部13の上下方向の中央部から下部にかけて形成される。各前側リブ13cは、左右方向に所定間隔で並んで形成される。各前側リブ13cは、凹湾曲形状の前側受け面13c1をそれぞれ有する。
図11に示すように、各前側受け面13c1は、前側ウレタン支持部13の上下方向の略中央に位置するように形成される。また、各前側リブ13cは、前側受け面13c1の下方において後方に大きく張り出した前側張出部13c2を有する。
【0021】
図4に示すように、前側ウレタン支持部13は、その上部と下部とにおいて左右方向に延びる2本の補強リブ13dを有する。具体的には、各補強リブ13dのうち一方は、上側リブ13aの左右部間を繋ぐように形成される。また、各補強リブ13dのうち他方は、下側リブ13bの左右部間を繋ぐように形成される。各補強リブ13dは、各前側リブ13cを左右に跨って延びるように形成される。
【0022】
図4に示すように、前側ウレタン支持部13は、後方に向かって突出する2本の前側ピン13eを有する。各前側ピン13eは、左右方向に並んで形成される。各前側ピン13eは、各前側リブ13cの上方に配置される。
図6に示すように、各前側ピン13eは、前側スラブウレタン30の前側係止孔34に差し込まれるようになっている。この差し込みにより、前側ウレタン支持部13は、前側スラブウレタン30をセットさせた状態に保持できる。
【0023】
図4に示すように、前側ケース10は、側面部12の内側面において、前側ウレタン支持部13を挟んだ上下左右の4箇所から側面部12よりも後方に向かって張り出す張出部15を有する。上下に配置された各張出部15は、その後端に上下方向の外側に向かって張り出す嵌合爪15aを有する。また左右に配置された各張出部15は、その後端に左右方向の外側に向かって張り出す嵌合爪15aを有する。
【0024】
<後側ケース20>
図3に示すように、後側ケース20は、前後に面を向ける略矩形状の一般面部21と、一般面部21の周縁部から前方に向かってフランジ状に延びる側面部22と、を有する。後側ケース20は、一般面部21の前面上部に上下方向に延びる2つのステー係止リブ24を有する。各ステー係止リブ24は、凹湾曲面形状の窪み24aをそれぞれ有する。各窪み24aには、ヘッドレストステー3の連結部3bが前側から当てられるようになっている。また、側面部22は、一般面部21を挟む左右2箇所に形成される凹湾曲面形状の窪み22aを有する。各窪み22aには、ヘッドレストステー3の各脚部3aが前側から当てられるようになっている。
【0025】
図3に示すように、後側ケース20は、一般面部21の前面の中央部にスラブウレタン6の後側スラブウレタン40を支持する後側ウレタン支持部23を有する。後側ウレタン支持部23は、正面視で下方に開口するコ字状を成す上側リブ23aと、正面視で上方に開口するコ字状を成す下側リブ23bと、を有する。上側リブ23aは、その左右部の内側面から突出する2つの上側方リブ23a1を有する。また、上側リブ23aは、その左右部の各下端に凹湾曲状に切り欠かれた切欠23a2を有する。
【0026】
図3に示すように、下側リブ23bは、その左右部の内側面から突出する2つの下側方リブ23b1を有する。また、下側リブ23bは、その左右部の各上端に凹湾曲状に切り欠かれた切欠23b2を有する。上側リブ23aの各切欠23a2と下側リブ23bの各切欠23b2とは、互いに上下方向に略隣接するように形成されており、併せて略半円状の切欠を形成する。
【0027】
図3に示すように、後側ウレタン支持部23は、上下方向に延びる4本の後側リブ23cを有する。各後側リブ23cは、後側ウレタン支持部23の上部から上下方向の中央部にかけて形成される。各後側リブ23cは、左右方向に所定間隔で並んで形成される。各後側リブ23cは、凹湾曲形状の後側受け面23c1をそれぞれ有する。
図11に示すように、各後側受け面23c1は、後側ウレタン支持部23の上下方向の略中央に位置するように形成される。前側ウレタン支持部13の前側受け面13c1と後側ウレタン支持部23の後側受け面23c1とは、上下方向の配置が略重なるように形成される。また、各後側リブ23cは、後側受け面23c1の上方において前方に大きく張り出した後側張出部23c2を有する。
【0028】
図3に示すように、後側ウレタン支持部23は、その上部と下部とにおいて左右方向に延びる2本の補強リブ23dを有する。具体的には、各補強リブ23dのうち一方は、上側リブ23aの左右部間を繋ぐように形成される。また、各補強リブ23dのうち他方は、下側リブ23bの左右部間を繋ぐように形成される。各補強リブ23dは、各後側リブ23cを左右に跨って延びるように形成される。
【0029】
図3に示すように、後側ウレタン支持部23は、前方に向かって突出する2本の後側ピン23eを有する。各補強リブ23dは、左右方向に並んで形成される。各後側ピン23eは、各後側リブ23cの下方に配置される。
図5に示すように、各後側ピン23eは、後側スラブウレタン40の後側係止孔44に差し込まれるようになっている。この差し込みにより、後側ウレタン支持部23は、後側スラブウレタン40をセットさせた状態に保持できる。
【0030】
図3に示すように、後側ケース20は、側面部22の内側面において後側ウレタン支持部23を挟んだ上下左右の4箇所に矩形孔状に貫通した嵌合孔25を有する。各嵌合孔25は、前側ケース10の各張出部15と上下及び左右方向の配置が重なるように形成される。
図9に示すように、各嵌合孔25に各張出部15の各嵌合爪15aがスナップフィット嵌合するようになっている。この嵌合により、前側ケース10と後側ケース20とが一体的に組み付けられる。
【0031】
<スラブウレタン6>
図3及び
図4に示すように、スラブウレタン6は、前側スラブウレタン30と後側スラブウレタン40とを有する。前側スラブウレタン30は、中央部から上下左右に凸状に張り出した十字形状の面状部材である。前側スラブウレタン30は、左右に並んだ丸孔状に形成された2つの前側係止孔34を有する。また、前側スラブウレタン30は、各前側係止孔34から下方に延びる前側延長部30aを有する。ここで、前側スラブウレタン30が本発明の「前側弾性体」に相当する。また、前側係止孔34が本発明の「前側係止部」に相当する。
【0032】
図4に示すように、前側スラブウレタン30は、質量体7の左右幅よりも長く延びる横長部31と、横長部31からそれぞれ上下に張り出す上側張出部32及び下側張出部33と、を有する。上述の各前側係止孔34は、上側張出部32を前後方向に貫通するように形成される。
【0033】
図6に示すように、前側スラブウレタン30は、各前側係止孔34に前側ウレタン支持部13の各前側ピン13eが前側から差し込まれるように、前側ウレタン支持部13にセットされる。これにより、前側スラブウレタン30は前側ケース10の後面に片持ち状に係止される。
図10に示すように、前側スラブウレタン30が前側ケース10の後面まで適切にセットされることで、各前側ピン13eの先端が各前側係止孔34を通り抜けて前側スラブウレタン30の後面から突き出るようになっている。
【0034】
図6に示すように、前側スラブウレタン30の前側ウレタン支持部13へのセットにより、上側張出部32が、各上側方リブ13a1に左右から挟まれる。また、下側張出部33が、各下側方リブ13b1に左右から挟まれる。また、横長部31の左右に張り出した端部が、各上側方リブ13a1と各下側方リブ13b1とに上下から挟まれる。
【0035】
図3に示すように、後側スラブウレタン40は、中央部から上下左右に凸状に張り出した十字形状の面状部材である。後側スラブウレタン40は、左右に並んだ丸孔状に形成された2つの後側係止孔44を有する。また、後側スラブウレタン40は、各後側係止孔44から上方に延びる後側延長部40aを有する。ここで、後側スラブウレタン40は本発明の「後側弾性体」に相当する。また、後側係止孔44が本発明の「後側係止部」に相当する。
【0036】
図3に示すように、後側スラブウレタン40は、質量体7の左右幅よりも長く延びる横長部41と、横長部41からそれぞれ上下に張り出す上側張出部42及び下側張出部43と、を有する。上述の各後側係止孔44は、下側張出部43を前後方向に貫通するように形成される。
【0037】
図5に示すように、後側スラブウレタン40は、各後側係止孔44に後側ウレタン支持部23の各後側ピン23eが後側から差し込まれるように、後側ウレタン支持部23にセットされる。これにより、後側スラブウレタン40は後側ケース20の前面に片持ち状に係止される。
図10に示すように、後側スラブウレタン40が後側ケース20の前面まで適切にセットされることで、各後側ピン23eの先端が各後側係止孔44を通り抜けて後側スラブウレタン40の前面から突き出るようになっている。
【0038】
図5に示すように、後側スラブウレタン40の後側ウレタン支持部23へのセットにより、上側張出部42が、各上側方リブ23a1に左右から挟まれる。また、下側張出部43が、各下側方リブ23b1に左右から挟まれる。また、横長部41の左右に張り出した端部が、各上側方リブ23a1と各下側方リブ23b1とに上下から挟まれる。
【0039】
<質量体7>
図3及び
図8に示すように、質量体7は、ステンレス等の金属部材からなる円柱部材である。質量体7は、その左右端部が角を落とすように丸くカットされている。質量体7は、左右方向に軸を向けるように配置される。このように質量体7を横向きに配置することで、質量体7が揺動した際の上端側と下端側の振幅の差を小さくすることができる。これにより、質量体7の振動をコントロールしやすくなり、振動抑制を適切に行うことができる。
【0040】
<ダイナミックダンパDの組み付け>
以下、上述したダイナミックダンパDを成す各構成の組み付けについて詳しく説明する。始め、
図3-4に示すように、ヘッドレストケース5の前側ケース10と後側ケース20とは、互いに前後に分割された状態とされる。まず、
図6に示すように、前側スラブウレタン30を前側ウレタン支持部13に後方から組み付ける。具体的には、各前側係止孔34に各前側ピン13eを前側から挿通させる。そして、前側延長部30aを各前側リブ13cの前側受け面13c1(
図4参照)に後方から押し当てる。
【0041】
次に、
図5に示すように、後側スラブウレタン40を後側ウレタン支持部23に前方から組み付ける。具体的には、各後側係止孔44に各後側ピン23eを後側から挿通させる。そして、後側延長部40aを各後側リブ23cの後側受け面23c1(
図3参照)に前方から押し当てる。
【0042】
次に、
図7に示すように、ヘッドレストステー3を後側ケース20に組み付ける。具体的には、ヘッドレストステー3の連結部3bを、各ステー係止リブ24の窪み24a(
図3参照)に前側から嵌める。また、ヘッドレストステー3の各脚部3aを、側面部22の各窪み22a(
図3参照)に前側から嵌める。次に、質量体7を後側ケース20に組み付ける。具体的には、質量体7の軸を左右に向けた状態で、後側スラブウレタン40の横長部41(後側延長部40a)に前側から押し当てる。これにより、質量体7は、後側スラブウレタン40を押し潰して各後側リブ23cの後側受け面23c1に嵌め付けられる。上記ヘッドレストステー3及び質量体7の組み付けの際には、後側ケース20は、その前面を上方に向けるように設置面に置くことが好ましい。それにより、ヘッドレストステー3と質量体7とが重力作用により下方に落下することを防止できる。
【0043】
次に、
図2及び
図8に示すように、前側ケース10と後側ケース20とを互いに組み付ける。具体的には、
図9に示すように、前側ケース10の側面部12と後側ケース20の側面部22とを互いに突き合わせるように重ね合わせる。これにより、前側ケース10の各張出部15の嵌合爪15aが、後側ケース20の各嵌合孔25にスナップフィット嵌合する。それにより、前側ケース10と後側ケース20とが互いに一体的に組み付けられる。
【0044】
図11に示すように、前側ケース10と後側ケース20との互いに組み付けにより、各ステー係止リブ14の窪み14aが、ヘッドレストステー3の連結部3bに前側から当てられる。これにより、連結部3bが、前側ケース10のステー係止リブ14と後側ケース20のステー係止リブ24とに前後から挟まれるようにセットされる。また、前側ケース10の各窪み12aが、ヘッドレストステー3の各脚部3aに前側から当てられる。これにより、各脚部3aが、前側ケース10の各窪み12aと後側ケース20の各窪み22aとに前後から挟まれるようにセットされる。このようにして、ヘッドレストステー3とヘッドレストケース5とが互いに組み付けられる。
【0045】
また、
図11に示すように、前側スラブウレタン30の横長部31(前側延長部30a)が、質量体7に前側から押し当てられる。これにより、質量体7は、前側スラブウレタン30を押し潰して各前側リブ13cの前側受け面13c1に嵌め付けられる。このように、前側ケース10と後側ケース20とが組み付けられることで、前側スラブウレタン30の前側延長部30aは、各前側受け面13c1の形状に沿って湾曲するように押し潰される。これにより、前側延長部30aが、質量体7の上下に掛かる広い範囲で質量体7を前側から支持する。また、後側スラブウレタン40の後側延長部40aも、各後側受け面23c1の形状に沿って湾曲するように押し潰される。これにより、後側延長部40aが、質量体7の上下に掛かる広い範囲で質量体7を後側から支持する。このため、質量体7は、前側延長部30aと後側延長部40aとの間で前後に挟み込み状に支持される。
【0046】
図8に示すように、質量体7の左右端部は、前側ウレタン支持部13の左右部の内側面との間に左右方向の隙間を有する。
図6及び
図8に示すように、前側スラブウレタン30の横長部31の左右端部は、前側ウレタン支持部13の左右部の内側面に面当たりする構成とされる。これにより、前側スラブウレタン30が質量体7に押し当てられた際に、横長部31の左右端部は、前側ウレタン支持部13の左右部の内側面と質量体7との間の隙間に入り込んで、質量体7を左右方向の外側から覆うことができる。また、後側スラブウレタン40についても同様であって、質量体7の左右端部は、後側ウレタン支持部23の左右部の内側面との間に左右方向の隙間を有する。
図5及び
図8に示すように、後側スラブウレタン40の横長部41の左右端部は、後側ウレタン支持部23の左右部の内側面に面当たりする構成とされる。これにより、質量体7が後側スラブウレタン40に押し当てられた際に、横長部41の左右端部は、後側ウレタン支持部23の左右部の内側面と質量体7との間の隙間に入り込んで、質量体7を左右方向の外側から覆うことができる。
【0047】
図8及び
図10に示すように、前側スラブウレタン30の前側係止孔34は、質量体7よりも上側領域に形成される。また、後側スラブウレタン40の後側係止孔44は、質量体7よりも下側領域に形成される。すなわち、前側係止孔34と後側係止孔44とは、質量体7を挟む高さ方向の上方と下方とに分かれて配置されている。これにより、前側スラブウレタン30の全周と後側スラブウレタン40の全周とがそれぞれ係止される構成と比べて、質量体7の可動域を広げることができる。また、前側スラブウレタン30及び後側スラブウレタン40の突っ張りや浮き上がりを抑制することもできる。それにより、前側ケース10と後側ケース20とを互いに組み付けた際に、前側スラブウレタン30と後側スラブウレタン40とを互いに干渉させにくくできる。
【0048】
また、前側係止孔34が、質量体7よりも上側領域に形成されることで、例えば前側ケース10と後側ケース20との組み付け作業を、後側ケース20を設置面においてその上から前側ケース10を被せる形で行う場合に、作業者が前側ケース10の上端側から前側係止孔34をのぞき込みながら組み付け作業を行うことができる。このため、前側スラブウレタン30が前側ケース10から脱落していないかを効率よく確認しながら、前側ケース10と後側ケース20との組み付け作業を行うことができる。
【0049】
<質量体7の動き>
上述したように、質量体7は、その周囲を前側スラブウレタン30と後側スラブウレタン40とに覆われて弾性的に支持される。上記構成により、質量体7は、前側スラブウレタン30と後側スラブウレタン40とを押し潰しながら揺動する。質量体7が前後に大きく揺動した際には、質量体7は各前側受け面13c1及び各後側受け面23c1に当接して、それ以上の動きを規制される(
図11参照)。このため、前側受け面13c1と後側受け面23c1とは、質量体7が前側スラブウレタン30及び後側スラブウレタン40から脱落することを防止できる。また、質量体7が左右に大きく揺動した際には、質量体7は前側ウレタン支持部13と後側ウレタン支持部23との各左右部に当接するようになっている。
【0050】
図8及び
図11に示すように、各前側リブ13cの前側受け面13c1は、前側スラブウレタン30に対して線当たりする。また、後側リブ23cの後側受け面23c1は、後側スラブウレタン40に対して線当たりする。これにより、前側ケース10が前側スラブウレタン30に対して面当たりしたり、後側ケース20が後側スラブウレタン40に対して面当たりしたりする構成と比べて、質量体7が前側スラブウレタン30及び後側スラブウレタン40を押し潰しやすくなる。このため、質量体7の可動域を広げることができる。
【0051】
図10に示すように、各前側ピン13eは突出するピン形状となっている。このため、質量体7が各前側受け面13c1に覆われていない前側上方向に移動した際に、各前側ピン13eに当接することでそれ以上の移動を規制することができる。また、各後側ピン23eも突出するピン形状となっている。このため、質量体7が各後側受け面23c1に覆われていない後側下方向に移動した際に、各後側ピン23eに当接することでそれ以上の移動を規制することができる。
【0052】
以上をまとめると、第1の実施形態に係るヘッドレストは、次のような構成とされている。以下において、括弧書きで示す符号は上記実施形態に示した各構成に対応する符号である。
【0053】
すなわち、シートバックの上部に装着される脚部(3a)を備えるヘッドレストステー(3)と、ヘッドレストステー(3)の上部に組み付けられるケース(5)と、ケース(5)を覆う緩衝材としてのヘッドレストパッド(2)と、を有する。更に、ケース(5)の内部に配置される振動抑制用の質量体(7)と、ケース(5)の内部に配置され、質量体(7)をケース(5)に対して弾性的に支持する弾性体(6)と、を有する。ケース(5)が、互いに前後に組み付けられるように分割された前側ケース(10)と後側ケース(20)とを有する。弾性体(6)が、前側ケース(10)の後面に係止される前側係止部(34)と、前側係止部(34)から後面に沿って延びる前側延長部(30a)と、を有する前側弾性体(30)と、後側ケース(20)の前面に係止される後側係止部(44)と、後側係止部(44)から前面に沿って延びる後側延長部(40a)と、を有する後側弾性体(40)と、を有し、前側延長部(30a)と後側延長部(40a)との間で質量体(7)を前後に挟み込み状に支持する。前側係止部(34)と後側係止部(44)とが、質量体(7)を間に挟む高さ方向又は幅方向の一方と他方とに分かれて配置される。
【0054】
このように、前側係止部(34)と後側係止部(44)とが質量体(7)を挟む高さ方向又は幅方向の一方と他方とに分かれて配置されることで、前側弾性体(30)の全周と後側弾性体(40)の全周とがそれぞれ係止される構成と比べて、弾性体(6)の突っ張りや浮き上がりを抑制できる。これにより、前側ケース(10)と後側ケース(20)を組み付けた際に前側弾性体(30)と後側弾性体(40)とを互いに干渉しにくくして、ケース(5)の組付不良を軽減させることができる。また、前側弾性体(30)の全周と後側弾性体(40)の全周とがそれぞれ係止される構成と比べて質量体(7)の可動域を広げることができる。このようにして、質量体(7)の可動域をより広くしつつケース(5)を適切に組み付けることができる。
【0055】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側ケース(10)が、後面から突出して前側延長部(30a)に前側から線状に当たる前側リブ(13c)を有する。後側ケース(20)が、前面から突出して後側延長部(40a)に後側から線状に当たる後側リブ(23c)を有する。このため、前側ケース(10)が前側延長部(30a)に面当たりして、後側ケース(20)が後側延長部(40a)に面当たりする構成と比べて、質量体(7)が弾性体(6)を押し潰しやすくなる。これにより、質量体(7)の可動域をより広げることができる。
【0056】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側係止部(34)が、前側弾性体(30)の質量体(7)よりも上側領域に配置される。後側係止部(44)が、後側弾性体(40)の質量体(7)よりも下側領域を配置される。これにより、前側ケース(10)と後側ケース(20)との組み付け作業を、後側ケース(20)を設置面においてその上から前側ケース(10)を被せる形で行う場合に、作業者が前側ケース(10)の上端側から前側係止部(34)をのぞき込みながら組み付け作業を行うことができる。このため、作業者が、前側弾性体(30)が前側ケース(10)から脱落していないかを効率よく確認しながら、ケース(5)の組み付け作業を行うことができる。
【0057】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。前側ケース(10)が、後面から突出する前側ピン(13e)を有し、前側ピン(13e)が前側弾性体(30)の前側係止部(34)を成す前側係止孔(34)を貫通して前側弾性体(30)から後方に突出する。後側ケース(20)が、前面から突出する後側ピン(23e)を有し、後側ピン(23e)が後側弾性体(40)の後側係止部(44)を成す後側係止孔(44)を貫通して後側弾性体(40)から前方に突出する。これにより、前側ピン(13e)及び後側ピン(23e)に例えばフックのような弾性体(6)に係止する係止部を設けなくても、前側弾性体(30)を前側ピン(13e)に対して抜けにくいように係止させることができる。また、後側弾性体(40)を後側ピン(23e)に対して抜けにくいように係止させることができる。
【0058】
また、本発明のヘッドレストは、更に次のように構成されていても良い。質量体(7)が、左右方向に軸を向ける円柱形状とされる。これにより、質量体(7)の上端側と下端側の振幅の差を小さくすることができ、質量体(7)の振動をコントロールしやすくなる。その結果、質量体(7)を用いた振動抑制をより適切に行うことができる。
【0059】
<その他の実施形態>
以上、本発明は1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態の他に各種の形態で実施することができるものである。
【0060】
1.ヘッドレストは、自動車のシートの他に、鉄道等の自動車以外の車両、航空機、船舶等の様々な乗物用に供されるシート、もしくは映画館等の公共施設や家庭などで使用される乗物用以外のシートにも広く適用することができるものである。ヘッドレストは、着座者の頭部を弾性的に支持する構成であれば、例えばヘッドレストケースの前部にのみヘッドレストパッドが設けられる構成など上記実施形態以外の形態であっても広く適用することができる。
【0061】
2.前側ケースと後側ケースとは、嵌合爪のスナップフィット嵌合の他、ビス等の締結具による締結、接着や溶接など任意の方法で互いに一体的に組み付けられる構成であっても良い。前側ケースは前側リブを有しておらず、後側ケースも後側リブを有しない構成でも良い。
【0062】
3.弾性体は、スラブウレタンの他にモールドウレタンでも良いし、その他クッション性を備えたゴム状部材でも良い。弾性体は任意の形状でよい。前側弾性体は、複数に分割されて質量体を前側から支持するものでも良い。後側弾性体は、複数に分割されて質量体を後側から支持するものでも良い。前側延長部は、前側ケースの後面に沿う向きなら前側係止部からどのような方向に延びるものでも良い。例えば上方や下方等の一方向だけでなく、上下や左右といった複数方向に延びる構成でも良い。同様に、後側延長部も、後側係止部からどのような方向に延びるものであっても良い。
【0063】
4.前側係止部と後側係止部とは、係止孔の他に弾性体から突出するピンやフックでケースに対して係止できるものでも良いし、例えば面ファスナ等の接着材でケースと接着させる接着部でも良い。前側係止部と後側係止部とは、質量体を挟む幅方向の一方と他方とに分かれて配置されていても良いし、質量体を挟んで斜めに分かれて配置されていても良い。前側係止部が前側弾性体の質量体よりも下側領域を係止させ、後側係止部が後側弾性体の質量体よりも上側領域を係止させる構成でも良い。前側係止孔は前側弾性体を貫通するものでなくても良いし、後側係止孔も後側弾性体を貫通する構成でなくても良い。
【0064】
5.前側ピンと後側ピンとは、1本ずつ設けられてもいいし、それぞれ3本以上設けられても良い。前側ピンと後側ピンとは、弾性体を貫通して突き出る構成でなくても良い。前側ピンと後側ピンとは、その突出した先端に弾性体に対して抜け止めするフックやフランジ等の係止部を有していても良い。
【0065】
6.質量体は、円柱状の他、角柱状、立方体状、球状、その他任意の形状であっても良い。柱状の質量体は、上下方向に軸を向けるように縦向きに配置されても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 ヘッドレスト
2 ヘッドレストパッド
3 ヘッドレストステー
3a 脚部
3b 連結部
4 ヘッドレストカバー
5 ヘッドレストケース(ケース)
6 スラブウレタン(弾性体)
7 質量体
10 前側ケース
11 一般面部
12 側面部
12a 窪み
13 前側ウレタン支持部
13a 上側リブ
13a1 上側方リブ
13a2 切欠
13b 下側リブ
13b1 下側方リブ
13b2 切欠
13c 前側リブ
13c1 前側受け面
13c2 前側張出部
13d 補強リブ
13e 前側ピン
14 ステー係止リブ
14a 窪み
15 張出部
15a 嵌合爪
20 後側ケース
21 一般面部
22 側面部
22a 窪み
23 後側ウレタン支持部
23a 上側リブ
23a1 上側方リブ
23a2 切欠
23b 下側リブ
23b1 下側方リブ
23b2 切欠
23c 後側リブ
23c1 後側受け面
23c2 後側張出部
23d 補強リブ
23e 後側ピン
24 ステー係止リブ
24a 窪み
25 嵌合孔
30 前側スラブウレタン(前側弾性体)
30a 前側延長部
31 横長部
32 上側張出部
33 下側張出部
34 前側係止孔(前側係止部)
40 後側スラブウレタン(後側弾性体)
40a 後側延長部
41 横長部
42 上側張出部
43 下側張出部
44 後側係止孔(後側係止部)
D ダイナミックダンパ