(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099226
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】圧電振動デバイス
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
H03B5/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003014
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100196623
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 計介
(72)【発明者】
【氏名】古城 琢也
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079BA53
5J079HA03
5J079HA06
5J079HA25
(57)【要約】
【課題】モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】少なくとも振動子2と、少なくとも圧電振動子2を保護するモールド部12と、一方の主面に、複数の接続端子11dを含む配線パターンを有する第1実装面11aと、複数の外部接続端子11gを有する第2実装面11bとが構成された基板11と、を有する圧電振動デバイス1である。圧電振動デバイス1は、少なくとも圧電振動子2が複数の接続端子11dに接続され、少なくとも圧電振動子2を含むようにモールド部12によって覆われている。基板11は、第2実装面側に外部接続端子11gを介さずに圧電振動子2が搭載された接続端子11dに電気的に接続される検査端子11kを有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも圧電振動子と、
少なくとも前記圧電振動子を保護する樹脂モールド部と、
一方の主面に複数のパッドを含む配線パターンを有する部品搭載面と、前記一方の主面に平行な他方の主面に、前記配線パターンと接続されるとともに外部基板に接続するための複数の外部接続端子を有する実装面とが構成された樹脂基板と、を有し、
少なくとも前記圧電振動子が前記複数のパッドに接続された状態で前記部品搭載面に搭載され、前記部品搭載面の少なくとも一部が少なくとも前記圧電振動子を含むように前記樹脂モールド部によって覆われた圧電振動デバイスであって、
前記樹脂基板は、
前記実装面側に前記外部接続端子を介さずに前記圧電振動子が搭載されたパッドに電気的に接続される検査端子を有する、
圧電振動デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記検査端子は、
前記実装面に垂直な方向に見て、前記圧電振動子が搭載されたパッド及び前記複数の外部接続端子と重ならない位置に配置されている、
圧電振動デバイス。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂基板は、
ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される、
圧電振動デバイス。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記検査端子は、
前記樹脂基板を厚み方向に貫通する貫通孔の内部に充填された導体と電気的に接続され、前記導体が前記圧電振動子に電気的に接続されている、
圧電振動デバイス。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の圧電振動デバイスにおいて、
少なくとも前記検査端子は、
絶縁用樹脂で覆われている、
圧電振動デバイス。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電振動デバイスにおいて、
前記樹脂基板は、
少なくとも前記実装面の一部が絶縁用樹脂で覆われている、
圧電振動デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
圧電振動デバイスは、例えば水晶振動片を用いた水晶振動子が含まれる。前記水晶振動子は、圧電素子である水晶振動片と、前記水晶振動片を保持する保持部材と、前記保持部材を密閉する蓋部材とを有する。前記水晶振動子は、セラミック等の絶縁体から構成される箱状の前記保持部材内に前記水晶振動片が保持されている。前記水晶振動子は、前記水晶振動片の電極と前記保持部材の電極とが接合された状態で前記蓋部材によって前記保持部材内の前記水晶振動片が密閉されている。
【0003】
基板上に前記圧電素子と集積回路素子とを実装した圧電振動デバイスは、各種電子機器の小型化に伴い、パッケージの小型化が求められている。そこで、前記基板上に積層構造の前記圧電振動子と前記集積回路素子を実装した圧電振動デバイスが知られている。例えば、特許文献1に記載の前記圧電振動子(圧電部品)内蔵の圧電振動デバイス(電子部品)は、下面に外部接続端子(実装端子)が形成された第1絶縁体及び上面に前記外部接続端子と電気的に接続されている配線電極が形成された第2絶縁体が積層された基板と、前記第2絶縁体の前記配線電極が形成された面に配置され、前記配線電極に電気的に接続される圧電振動子と、前記圧電振動子を含み、前記第2絶縁体上を覆うモールド樹脂と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の圧電振動デバイスは、前記第1絶縁体の側面に前記第1絶縁体の内側に凹んだキャスタレーションを有している。前記キャスタレーションには、前記外部接続端子に電気的に接続されるキャスタレーション金属膜が形成されている。前記圧電振動デバイスは、前記キャスタレーション金属膜によって、前記外部接続端子が前記第1絶縁体の側面まで拡大されている。つまり、前記キャスタレーション金属膜は、前記外部接続端子の一部として機能している。よって、前記圧電振動デバイスは、はんだによって外部基板の端子に接続される際、前記外部接続端子と前記キャスタレーション金属膜とにはんだが付着することで接合強度を向上させることができる。
【0006】
また、前記第1絶縁体の側面に位置するキャスタレーション金属膜は、前記外部接続端子を介してモールド樹脂によってモールドされた前記圧電振動子と電気的に接続されている。よって、前記圧電振動デバイスは、前記キャスタレーション金属膜を用いて、モールドされた前記圧電振動子の特性を測定することができる。前記圧電振動子の特性は、前記第1絶縁体の側面に位置する前記キャスタレーション金属膜に検査装置のプローブを接触させることで測定可能である。一方、シート状に多数個連なった状態でモールドした後に個々に切断する製法によって製造される圧電振動デバイスは、切断面である基板の側面にキャスタレーション金属膜を設けることが難しい。よって、前記製法によって製造され、キャスタレーション金属膜を有さない圧電素子デバイスは、モールドされた圧電振動子の特性の確認のためにモールド樹脂を除去する必要が生じる。しかしながら、前記圧電振動子は、モールド樹脂の除去によって特性が変化してしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる圧電振動デバイスについて検討した。鋭意検討の結果、本発明者らは、以下のような構成に想到した。
【0009】
少なくとも圧電振動子と、少なくとも前記圧電振動子を保護する樹脂モールド部と、一方の主面に複数のパッドを含む配線パターンを有する部品搭載面と、前記一方の主面に平行な他方の主面に、前記配線パターンと接続されるとともに外部基板に接続するための複数の外部接続端子を有する実装面とが構成された樹脂基板と、を有し、少なくとも前記圧電振動子が前記複数のパッドに接続された状態で前記部品搭載面に搭載され、前記部品搭載面の少なくとも一部が少なくとも前記圧電振動子を含むように前記樹脂モールド部によって覆われた圧電振動デバイスである。前記樹脂基板は、前記実装面側に前記外部接続端子を介さずに前記圧電振動子が搭載されたパッドに接続される検査端子を有する。
【0010】
上述の構成では、圧電振動デバイスは、樹脂基板の実装面側に圧電振動子が搭載されたパッドと電気的に接続される検査端子を有している。前記検査端子は、樹脂モールド部によってモールドされていない前記樹脂基板の実装面側に位置している。よって、前記圧電振動デバイスは、前記圧電振動子の前記樹脂モールド部を除去することなく前記検査端子によって前記圧電振動子の特性を確認可能である。また、前記圧電振動子の特性を確認するための回路は、前記パッドと、前記検査端子と、前記パッドと前記検査端子を電気的に接続する回路配線によって構成されている。よって、前記圧電振動子の特性の測定結果は、前記パッドと、前記検査端子と、前記パッド及び前記検査端子を電気的に接続する回路配線と、に含まれる寄生容量の影響しか受けない。つまり、前記圧電振動子を検査するための回路は、前記検査端子から前記圧電振動子までの経路ができるだけシンプルになるように構成されている。これにより、寄生容量の影響を抑制した状態で圧電振動子の特性を確認することができる。
【0011】
また、前記検査端子は、前記樹脂基板の実装面側に位置している。よって、本発明の圧電振動デバイスが有する検査端子は、集合基板を用いて一括して複数個のデバイスを製造した後に単体に分離されるモールド封止タイプの圧電振動デバイスに設けることができる。
【0012】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記検査端子は、前記実装面に垂直な方向に見て、前記圧電振動子が搭載されたパッド及び前記複数の外部接続端子と重ならない位置に配置されている。
【0013】
上述の構成では、検査端子は、実装面に垂直な方向に見て、圧電振動子が搭載されたパッド及び複数の外部接続端子のいずれとも重複しない。つまり、前記検査端子は、前記パッド及び前記外部接続端子に直接的に接続していない。よって、前記圧電振動子を検査するための回路は、前記検査端子から前記圧電振動子までの経路がシンプルなるように構成されている。また、前記検査端子は、回路配線を介して前記パッドに電気的に接続されている。よって、前記パッドは、前記検査端子が直接的に接続されることによって生じる前記パッド表面の凹凸等が生じないので、前記パッドに前記圧電振動子を実装した際のボイド等の発生を防止する。これにより、前記圧電振動子と前記パッドとの接続信頼性を維持することができる。また、モールド樹脂を除去することなく且つ寄生容量の影響を抑制した状態で圧電振動子の特性を確認することができる。
【0014】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記樹脂基板は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される。
【0015】
上述の構成では、樹脂基板は、加工が容易な絶縁性材料によって構成されている。よって、検査端子は、前記圧電振動子を検査するための回路ができるだけシンプルになる位置に形成することができる。また、前記樹脂基板は、セラミック材料からなる基板に比べて、モールド樹脂との熱膨張係数の差を小さくすることができるため、熱膨張率の差による応力の影響を低減することができる。これにより、モールドによる影響を抑制しつつ圧電振動子の特性を確認することができる。
【0016】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記検査端子は、前記樹脂基板を厚み方向に貫通する貫通孔の内部に充填された導体と電気的に接続され、前記導体が前記圧電振動子に電気的に接続されている。
【0017】
上述の構成では、検査端子は、樹脂基板が有する貫通孔の内部に充填された導体と電気的に接続されている。よって、圧電振動デバイスは、前記貫通孔の内部にモールド樹脂が入り込むことなく前記実装面側から前記部品搭載面側への導通を確保することができる。また、前記検査端子は、前記樹脂基板を厚み方向に貫通する、部品搭載面から実装面までの最短経路で前記パッドに接続されている。よって、前記検査端子から前記圧電振動子までの経路がシンプルになるように構成されている。これにより、モールド樹脂を除去することなく且つ寄生容量の影響を抑制した状態で圧電振動子の特性を確認することができる。
【0018】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。少なくとも前記検査端子は、絶縁用樹脂で覆われている。
【0019】
上述の構成では、絶縁用樹脂で覆われている前記検査端子は、樹脂基板が外部基板等に接触しても前記外部基板等に電気的に接続されることがない。よって、圧電振動デバイスは、前記検査端子と前記外部基板等との接触による圧電振動子の特性の変動を防止することができる。一方、前記検査端子を覆っている絶縁用樹脂は、モールド樹脂よりも容易に除去可能である。これにより、前記圧電振動子の特性の確認が必要な場合に、モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる。
【0020】
他の観点によれば、本発明の圧電振動デバイスは、以下の構成を含むことが好ましい。前記樹脂基板は、少なくとも前記実装面の一部が絶縁用樹脂で覆われている。
【0021】
上述の構成では、前記検査端子に加えて少なくとも樹脂基板の実装面の一部は、絶縁用樹脂で覆われているので、樹脂基板が外部基板等に接触しても前記検査端子が外部基板等に電気的に接続されることがない。また、前記実装面における前記検査端子以外の端子、配線回路及び外部接続端子等が絶縁用樹脂によって保護されている。よって、圧電振動デバイスは、前記検査端子及び前記検査端子以外の端子等と前記外部基板等との接触を防止することができる。一方、前記検査端子を覆っている前記絶縁用樹脂は、モールド樹脂よりも容易に除去可能である。これにより、前記圧電振動子の特性の測定が必要な場合には、前記絶縁用樹脂を除去して検査端子を露出させることができる。これにより、モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施形態によれば、モールド樹脂を除去することなく圧電振動子の特性を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの平面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける振動子の側面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける振動子の底面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスが樹脂モールドされた状態での
図1におけるA矢視断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の部品搭載面である第1実装面を示す平面図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスの変形例の平面図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の実装面である第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図である。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の第2実装面の絶縁用樹脂の一部を除去した状態を示す平面図である。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイスの平面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイスにおける振動子の長手方向断面図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の第1実装面を示す平面図である。
【
図14】
図14は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイスにおける樹脂基板の第2実装面を第1実装面側から見た透過平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下で、各実施形態について、図面を参照しながら説明する。各図において、同一部分には同一の符号を付して、その同一部分の説明は繰り返さない。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表していない。なお、以下の実施形態において、「主面」とは、対象部材において最も面積が大きい面、または板状部材において、厚み方向に見た際に見える最も面積が大きい面を意味する。
【0025】
なお、以下の本発明の実施の形態である圧電振動デバイス1の説明において、振動子2、22及び基板11、hの長手方向を「X方向」、短手方向を「Y方向」、振動子22における枠部24の開口方向であってX方向とY方向に直交する方向及び基板11、31において主面に垂直な方向を「Z方向」とする。また、本実施形態において、X方向及びY方向は、水平面上の方向である。Z方向は、鉛直方向である。ただし、この方向の定義により、圧電振動デバイス1の使用時の向きを限定する意図はない。
【0026】
また、以下の説明において、“固定”、“接続”、“接合”及び“取り付ける”等(以下、固定等)の表現は、部材同士が直接、固定等されている場合だけでなく、他の部材を介して固定等されている場合も含む。すなわち、以下の説明において、固定等の表現には、部材同士の直接的及び間接的な固定等の意味が含まれる。
【0027】
[実施形態1]
<圧電振動デバイス1の構成>
次に、
図1から
図5を用いて、本発明の圧電振動デバイスの実施形態1である圧電振動デバイス1について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る圧電振動デバイス1の平面図である。
図2は、圧電振動デバイス1における振動子2の側面図である。
図3は、
図2におけるB矢視断面図である。
図4は、圧電振動デバイス1における振動子2の底面図である。
図5は、圧電振動デバイス1が樹脂モールドされた状態での
図1におけるA矢視断面図である。
【0028】
図1に示すように、圧電振動デバイス1は、振動子2と、集積回路素子10と、基板11と、モールド部12(
図5参照)と、を有する。
【0029】
図2から
図4に示すように、振動子2は、加えられた力を電圧に変換し、または印加された電圧を力に変換する圧電体を有する圧電振動子である。振動子2は、圧電振動板3と、第1封止部材6と、第2封止部材7とを有する圧電振動子である。振動子2は、圧電振動板3を第1封止部材6と第2封止部材7とによって挟んでいるサンドイッチ構造である。
【0030】
図3に示すように、圧電振動板3は、圧電材料である水晶から構成されている矩形の板状部材である。圧電振動板3の一方の主面及び他方の主面は、一対の励振電極4aを有している。また、圧電振動板3は、一部を残して一対の励振電極4aを囲うように一方の主面から他方の主面に向かって貫通する切り欠き部4bを有している。これにより、一対の励振電極4aが位置している部分は、Z方向に振動可能な片持ち構造の振動部4として構成される。圧電振動板3は、両方の主面に、振動部4を囲むように第1封止部材6及び第2封止部材7と接合される接合材5を有している。
【0031】
図2に示すように、第1封止部材6及び第2封止部材7は、圧電振動板3の振動部4を封止する部材である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、圧電振動板3と同一の水晶から構成されている矩形の板状部材である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、主面を圧電振動板3の主面に対向させた際、圧電振動板3の主面の全面を覆うことができる形状である。第1封止部材6及び第2封止部材7は、一方の主面に、圧電振動板3の接合材5と接合する接合材5を有している。
【0032】
圧電振動板3の一方の主面は、第1封止部材6によって覆われている。圧電振動板3の他方の主面は、第2封止部材7によって覆われている。この際、圧電振動板3の接合材5と第1封止部材6及び第2封止部材7の接合材5とが拡散結合する。これにより、圧電振動板3の振動部4は、第1封止部材6及び第2封止部材7によって気密封止される。
【0033】
図4に示すように、第2封止部材7は、他方の主面に、基板11の電極と電気的に接続する4つの振動子実装端子7aを有している。4つの振動子実装端子7aは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。4つの振動子実装端子7aは、矩形の4隅にそれぞれ位置している。
【0034】
このように構成される振動子2は、圧電振動板3の両方の主面を第1封止部材6と第2封止部材7とによってそれぞれ封止した3層構造のパッケージとして構成される。また、振動子2は、圧電振動板3の両方の主面を第1封止部材6と第2封止部材7とによって覆うことで、圧電振動板3が有する振動部4を内部に含む内部空間が形成される。つまり、振動子2は、このパッケージの内部空間に、一対の励振電極4aを含む振動部4が気密封止されている。内部空間内には、窒素ガス等の不活性ガスが封入されている。振動子2は、印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0035】
図1に示すように、集積回路素子10は、振動子2を制御するICである。集積回路素子10は、周囲の温度状態を検知する感温素子(サーミスタ)に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等の電子回路等を有している。集積回路素子10は、発振回路で生成された発振出力をクロック信号等の基準信号として集積回路素子実装端子10aを通じて外部に出力する。集積回路素子10は、集積回路素子実装端子10a以外の部分を樹脂で覆われている。
【0036】
基板11は、振動子2と集積回路素子10とを配線パターンによって電気的に接続し且つ一体に構成する樹脂基板である。基板11は、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つから構成される。基板11は、単一の層からなる基板である。基板11における一対の主面のうち一方の主面は、銅等の導体によって形成された4つの接続端子11d、パッド、ランド等を含む前記配線パターンを有する第1実装面11aとして構成されている。4つの接続端子11dは、内部配線11cを介して第1実装面11aの複数のパッドを含む前記配線パターンと電気的に接続されている。内部配線11cは、少なくとも一部が絶縁用樹脂で覆われている。このように、単層の基板11は、第1実装面11aと第2実装面11bとしかないため内部配線11cをシンプルに構成することができる。
【0037】
基板11の第1実装面11aには、振動子2と集積回路素子10がそれぞれ搭載されている。振動子2は、第2封止部材7(
図2参照)を第1実装面11aと対向するようにして基板11に配置されている。第2封止部材7が有している4つの振動子実装端子7a(
図4参照)は、導電性のはんだHによって第1実装面11aの4つの接続端子11dにそれぞれ電気的に接続されている。同様に、集積回路素子10の集積回路素子実装端子10aは、ワイヤー10b及び第1実装面11aのワイヤー接続用パッドであるワイヤー接続端子11pを介して第1実装面11aの配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。このように、振動子2と集積回路素子10とは、基板11の第1実装面11a上に並んで位置している。
【0038】
図5に示すように、基板11における前記一方の主面に平行な他方の主面は、図示しない外部基板に実装するための外部接続端子11gを有する第2実装面11bとして構成されている。外部接続端子11gは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。外部接続端子11gは、内部配線11c(図示省略)を介して第1実装面11aの複数のパッドを含む前記配線パターンと電気的に接続されている。
【0039】
基板11は、第1実装面11aに実装された振動子2と集積回路素子10とを第1実装面11a上の図示しない配線パターン、内部配線11c及び第2実装面11bの外部接続端子11gを介して、図示しない外部基板に電気的に接続可能に構成されている。これにより、振動子2は、外部基板から印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0040】
図5に示すように、モールド部12は、基板11と、基板11に実装された振動子2及び集積回路素子10とのうち少なくとも振動子2を保護する。モールド部12は、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂である。モールド部12は、基板11と、基板11に実装された振動子2及び集積回路素子10とのうち少なくとも振動子2の一部を、熱硬化したエポキシ樹脂で覆っている。本実施形態において、モールド部12は、基板11の第1実装面11aと、基板11の第1実装面11aに実装された振動子2及び集積回路素子10とを覆っている。一方、基板11の第2実装面11bは、モールド部12によってモールドされていない。
【0041】
次に、
図6を用いて、基板11の第1実装面11a及び接続端子11dについて詳細に説明する。
図6は、圧電振動デバイス1における基板11の部品搭載面である第1実装面11aを示す平面図である。
【0042】
図6に示すように、基板11の第1実装面11aは、振動子2及び集積回路素子10と電気的に接続される一方の主面である。第1実装面11aは、凹部11fを有している。凹部11fは、Z方向に見て、X方向及びY方向に広がる矩形状の窪みである。凹部11fは、振動子2の振動子実装端子7a(
図2参照)をそれぞれ内部に配置可能な形状である。凹部11f内には、それぞれ略L字状の接続端子11dが位置している。つまり、基板11は、4つの接続端子11dを有している。接続端子11dは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。
【0043】
接続端子11dは、それぞれの凹部11fの底面からZ方向に突出している。4つの接続端子11d(以下、単に「接続端子11d」と記す)の主面は、振動子2の4つの振動子実装端子7aにそれぞれ接合する接合面11eとして構成されている。接合面11eは、第1実装面11aよりも第2実装面11b側に位置している。つまり、接合面11eは、第1実装面11aよりも凹んでいる。接合面11eは、基板11の絶縁性の基材で覆われずに露出している。
【0044】
また、接続端子11dには、内部配線11cが接続されている。内部配線11cは、導電性の金属から構成されている。内部配線11cは、第1実装面11aの配線パターンと外部接続端子11g(
図8参照)とを電気的に接続する。内部配線11cは、凹部11f内においてそれぞれの接続端子11dに接続している。
【0045】
図7に圧電振動デバイス1の変形例の平面図を示す。
図7に示すように、圧電振動デバイス1は、振動子2の振動子実装端子7aと第1実装面11aのワイヤー接続端子11pとをワイヤー10bで接続する構成でもよい。振動子2は、基板11の第1実装面11aをZ方向に見て、振動子実装端子7aが視認できるように第1実装面11a上に配置される。振動子実装端子7aは、ワイヤー10bによって及び第1実装面11aのワイヤー接続端子11pを介して第1実装面11aの配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。このように、振動子2及び集積回路素子10は、はんだ、接合材、接着材等を用いて基板11の配線パターンに電気的に接続される構成だけでなく、ワイヤー10bを用いて基板11の配線パターンに電気的に接続される構成でもよい。また、接合材として金属バンプを用いてもよい。
【0046】
次に、
図8を用いて、基板11の第2実装面11b及び外部接続端子11gについて詳細に説明する。
図8は、圧電振動デバイス1における基板11の実装面である第2実装面11bを示す平面図である。
【0047】
図8に示すように、基板11の第2実装面11bは、図示しない外部基板と電気的に接続される他方の主面である。第2実装面11bは、四隅に4つの外部接続端子11gを有する。また、第2実装面11bは、4つの外部接続端子11gに対応した4つの凹部11jを有している。4つの凹部11jは、任意に定められた範囲が第2実装面11bに垂直な方向に窪んだ段差部である。4つの凹部11jは、Z方向に見て基板11の長辺と短辺との交点である頂点を含む4隅にそれぞれ位置している。また、4つの凹部11jは、それぞれ頂点から延びる基板11の外縁である長辺の一部と短辺の一部とを含む範囲が窪んでいる。凹部11jは、外部基板の実装端子をそれぞれ内部に配置可能な形状である。
【0048】
外部接続端子11gは、一方の主面が図示しない外部基板の接続端子に接合する端子として構成されている。4つの外部接続端子11g(以下、単に「外部接続端子11g」と記す)は、導電性の金属から構成されている略矩形の板状の端子である。外部接続端子11gは、4つの凹部11j内にそれぞれ位置している。外部接続端子11gは、それぞれ略矩形状に形成されている。外部接続端子11gは、主面に外部基板の接続端子に接合する接合面11hを有している。接合面11hは、基板11の絶縁性の基材で覆われずに露出している。接合面11hは、第2実装面11bよりも第1実装面11a側に位置している。つまり、接合面11hは、第1実装面11aよりも凹んでいる。
【0049】
外部接続端子11gには、内部配線11cが接続されている。内部配線11cは、基板11の内部を通過して凹部11j内に位置している。外部接続端子11gは、図示しない外部基板の接続端子にはんだ等で接合される。
【0050】
次に、
図6、
図8から
図10を用いて基板11における検査端子11kについて説明する。
図9は、
図6におけるC矢視断面図である。
図10は、圧電振動デバイス1における基板11の第2実装面11bの絶縁用樹脂の一部を除去した状態を示す平面図である。
【0051】
図6、
図8から
図10に示すように、検査端子11kは、基板11の第1実装面11aに搭載されている振動子2の特性を確認する際に使用する端子である。圧電振動デバイス1には、振動子2の両方の電極に対応するように一対の検査端子11kが設けられている。以下の実施形態において、検査端子11kは、特に記載がない限り一対の検査端子11kを意味する。
【0052】
一対の検査端子11k(以下、単に「検査端子11k」と記す)は、振動子2が電気的に接続されている第1実装面11a側の接続端子11dに配線回路等を介して電気的に接続されている端子である。検査端子11kは、第2実装面11b側に位置している。本実施形態において、検査端子11kは、第2実装面11bと略同一平面上に位置している。検査端子11kは、基板11の第1実装面11a側から第2実装面11b側に向かって延びる貫通孔(スルーホール)の少なくとも内周面を覆っている貫通孔内の導体11n(
図9参照)の第2実装面11b側の端部と電気的に接続されている。本実施形態において、検査端子11kは、前記貫通孔内に充填された導体11nと一体に構成されている。導体11nは、接続端子11dと同一種類の導体が好ましい。
【0053】
また、前記貫通孔の両端部には、前記貫通孔の内径よりも大きい外径の円環状の導体であるランドが位置している。検査端子11kは、ランドが電気的に接続されている。このように構成することで、検査端子11kは、基板11の第1実装面11aに垂直に見て、接続端子11d等に比べて面積が小さいので配置の自由度が向上し、基板11の省スペース化を図ることができる。
【0054】
図6に示すように、検査端子11kは、振動子2が搭載されたパッドである4つの接続端子11dに囲まれた領域内に位置している。この際、検査端子11kは、第1実装面11aに垂直な方向に見て、接続端子11dと重ならない位置に配置されている。つまり、検査端子11kに電気的に接続されている導体11nの第1実装面11a側の端部は、接続端子11dと直接に連結されていない。
【0055】
図8に示すように、検査端子11kは、外部接続端子11gに囲まれた領域内に位置している。この際、検査端子11kは、第1実装面11aに垂直な方向に見て、外部接続端子11gと重ならない位置に配置されている。つまり、検査端子11kは、外部接続端子11gと直接に連結されていない。当然ながら、検査端子11kと電気的に接続されている導体11nは、接続端子11d及び外部接続端子11gと直接に連結されていない。
【0056】
図6及び
図9に示すように、一対の検査端子11kがそれぞれ接続されている導体11nの第1実装面11a側の端部は、第1実装面11aと略同一平面上に位置している。導体11nの第1実装面11a側の端部は、それぞれ異なる内部配線11mの一端部にそれぞれ電気的に接続されている。それぞれの内部配線11mの他端部は、対応する前記接続端子11dに電気的に接続されている。つまり、導体11nの第1実装面11a側の端部は、内部配線11mを介して対応する接続端子11dにそれぞれ電気的に接続されている。検査端子11k及び内部配線11mは、絶縁用樹脂で覆われている。
【0057】
検査端子11kは、第2実装面11bと略同一平面上に位置している。検査端子11kが接続されている導体11nの第1実装面11a側の端部は、接続端子11d及び内部配線等に電気的に接続されている。つまり、一対の検査端子11kは、第2実装面11b側の外部接続端子11gを介さずに第1実装面11a側の接続端子11dにそれぞれ電気的に接続されている。
【0058】
図8に示すように、第2実装面11bのうち、少なくとも検査端子11kは、絶縁用樹脂で覆われている。さらに、基板11は、少なくとも第2実装面11bの一部が絶縁用樹脂で覆われている。つまり、検査端子11kと、第2実装面11bの少なくとも一部とは、絶縁用樹脂によって覆われている。絶縁用樹脂は、物理的または科学的な方法によって、検査端子11kから除去可能な樹脂である。検査端子11kを覆っている絶縁用樹脂は、外部から絶縁用樹脂を透過して検査端子11kを視認可能な程度の厚さを有している。よって、圧電振動デバイス1は、絶縁用樹脂の上から絶縁用樹脂に覆われた検査端子11kの位置を把握可能に構成されている。これにより、圧電振動デバイス1は、検査端子11kの端部を露出させるための除去対象位置を容易に特定することができる。
【0059】
検査端子11kは、導体11n、内部配線11m及び接続端子11dを介して振動子2と電気的に接続されている。また、検査端子11kは、モールド部12(
図5参照)よってモールドされていない第2実装面11b側に位置している。よって、検査端子11kは、モールド部12によってモールドされた振動子2に対して、第2実装面11b側の端部から電気的な接続状態を確立することができる。
【0060】
このように検査端子11kを有する圧電振動デバイス1は、振動子2及び集積回路素子10がモールド部12によってモールドされた状態において外部基板に電気的に接続可能に構成される。この際、基板11の第2実装面11bが外部基板に接触しても、第2実装面11b側に位置する検査端子11kは、絶縁用樹脂によって覆われているので、外部基板に電気的に接続されることがない。また、基板11は、第2実装面11bにおける検査端子11k以外の端子、配線回路及び外部接続端子等が絶縁用樹脂によって保護されている。よって、圧電振動デバイス1は、検査端子11k及び検査端子11k以外の端子等と外部基板等との接触を防止することができる。一方、圧電振動デバイス1は、絶縁用樹脂を透過して検査端子11kを視認可能に構成されている。よって、圧電振動デバイス1は、検査端子11kを露出させるために、検査端子11kを覆っている絶縁用樹脂を容易に除去することができる。
【0061】
図10に示すように、圧電振動デバイス1は、モールド部12によってモールドされた振動子2の特性を測定する場合、検査端子11kを覆っている絶縁領域11oの絶縁用樹脂が除去される。圧電振動デバイス1は、基板11の第2実装面11b側に露出した一対の検査端子11kにそれぞれ図示しない検査装置のプローブ等を接触させる。振動子2は、一対の検査端子11k、導体11n及び内部配線11mを介して検査装置と電気的に接続される。振動子2は、所定の手順に沿って特性が測定される。
【0062】
このように構成される圧電振動デバイス1は、基板11の第1実装面11a側の振動子2に電気的に接続可能な検査端子11kを有している。検査端子11kは、樹脂モールド部12によってモールドされていない基板11の第2実装面11b側に位置している。よって、圧電振動デバイス1は、振動子2の樹脂モールドを除去することなく検査端子11kによって振動子2の特性を確認可能である。
【0063】
また、振動子2を検査するための回路は、できるだけ短くシンプルになるように接続端子11dと、検査端子11kと、接続端子11dと検査端子11kを電気的に接続する導体11n及び内部配線11mとによって構成されている。これにより、振動子2の測定結果は、接続端子11dと、検査端子11kと、接続端子11d及び検査端子11kを電気的に接続する導体11n及び内部配線11mと、に含まれる寄生容量の影響しか受けない。
【0064】
また、検査端子11kは、内部配線11mを介して接続端子11dに電気的に接続されている。よって、接続端子11dは、基板11の貫通孔に充填された導体である検査端子11kが直に接続されることによる凹凸等が接続端子11dに生じないので、接続端子11dに振動子2を実装した際のボイド等の発生を防止する。これにより、検査端子11kを設けても、振動子2と接続端子11dとの接続信頼性を損なうことがない。
【0065】
また、検査端子11kは、基板11に形成された貫通孔の内部に充填された導体11nに電気的に接続されている。よって、圧電振動デバイス1は、前記貫通孔の内部にモールド樹脂が入り込むことなく第1実装面11a側から第2実装面11bへの導通を確保することができる。また、検査端子11kは、基板11を厚み方向に貫通する最短経路で接続端子11dに接続されている。よって、検査端子11kから振動子2までの経路がシンプルになるように構成されている。
【0066】
よって、これにより、モールド樹脂を除去することなく且つ寄生容量の影響を抑制した状態で振動子2の特性を確認することができる。
【0067】
また、基板11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂等の加工が容易な絶縁性材料によって構成されている。よって、検査端子11kは、振動子2を検査するための回路ができるだけシンプルになる位置に形成することができる。また、基板11は、セラミック材料からなる基板に比べて、モールド樹脂との熱膨張係数の差を小さくすることができるため、膨張率の差による応力の影響を低減することができる。
【0068】
[実施形態2]
<圧電振動デバイス21の構成>
次に、
図11から
図14を用いて、本発明の圧電振動デバイスの実施形態2である圧電振動デバイス21について説明する。
図11は、本発明の実施形態2に係る圧電振動デバイス21の平面図である。
図12は、圧電振動デバイス21における振動子22の長手方向断面図である。
図13は、圧電振動デバイス21における基板31の第1実装面を示す平面図である。
図14は、圧電振動デバイス21における基板31の第2実装面を示す平面図である。
図15は、
図14におけるD矢視断面図である。なお、以下の実施形態において、既に説明した実施形態と同様の点に関してはその具体的説明を省略し、相違する部分を中心に説明する。
【0069】
図11に示すように、圧電振動デバイス21は、振動子22と、集積回路素子30と、基板31と、モールド部12(
図5参照)と、を有する。
【0070】
図12に示すように、振動子22は、加えられた力を電圧に変換し、または印加された電圧を力に変換する圧電体を有する圧電振動子である。振動子22は、圧電振動板23と、第1封止部材27と、第2封止部材28とを有する。
【0071】
圧電振動板23は、水晶を特定の方向で切り出した矩形状の水晶振動片である。圧電振動板23は、枠部24と、振動部25と、連結部26とを有する。圧電振動板23は、枠部24、振動部25及び連結部26が一体成形されている。つまり、枠部24、振動部25及び連結部26は、単一の部材として構成されている。
【0072】
枠部24は、振動部25の周囲を囲む部材である。枠部24は、平面視であるZ方向に見て矩形の板材から構成されている。枠部24は、Z方向に見て、前記一対の主面がそれぞれ矩形の開口部分を有する枠状部材である。つまり、枠部24は、一方の前記主面から他方の前記主面に向かって貫通する矩形の貫通孔24cを有している。
【0073】
振動部25は、圧電体である。振動部25は、面積が最も大きい一対の主面に垂直方向である平面視において略矩形の板材である。振動部25は、枠部24の枠内に位置している。振動部25の一部は、板状の連結部26を介して枠部24に連結されている。振動部25は、連結部26を介して枠部24に片持ち支持の状態で保持されている。振動部25は、一対の励振電極25aを有している。一対の励振電極25aは、振動子実装端子24dに接続されている。
【0074】
封止部材である第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24の枠内を封止する部材である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、Z方向に見て、矩形状の部材である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、例えば、金属製である。第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24よりも小さく枠部24の開口部よりも大きい。第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24の主面が有している接合面24aに熱可塑性の接着剤である接合材33によって接合されている。第1封止部材27及び第2封止部材28は、枠部24の開口部分を塞いでいる。
【0075】
上述のように構成される振動子22は、圧電振動板23と、圧電振動板23の開口部分を塞ぐ第1封止部材27及び第2封止部材28とを有する3層構造に構成されている。振動子22は、圧電振動板23の枠部24、第1封止部材27及び第2封止部材28によって構成される内部空間Sを有する。振動子22は、内部空間S内に振動部25が位置している。また、内部空間S内には、窒素ガス等の不活性ガスが封入されている。振動子22は、各振動子実装端子24dから印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0076】
図11に示すように、集積回路素子30は、振動子22を制御するICである。集積回路素子30の構成は、実施形態1の集積回路素子10と同一であるため説明を省略する。
【0077】
基板31は、振動子22と集積回路素子30とを配線パターン(図示省略)によって電気的に接続し且つ一体に構成する単層の樹脂基板である。基板31は、例えば、切断等の加工が容易な絶縁体であるガラスエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂及びフッ素樹脂のうちいずれか一つを基材としている。基板31は、任意の形状を有する圧電振動デバイス21を容易に構成することができる。基板31は、矩形状の板材である。
【0078】
図13に示すように、基板31の一方の主面は、銅等の導体によって形成されたパッド、ランド等を含む前記配線パターンを有する第1実装面31aとして構成されている。第1実装面31aには、振動子22と集積回路素子30がそれぞれ搭載されている(
図11参照)。振動子2の両方の振動子実装端子24d(
図12参照)は、導電性の接合材によって第1実装面31aの2つの接続端子31dにそれぞれ電気的に接続されている。振動子2は、第2封止部材28が第1実装面31aと対向するように位置している。第2封止部材28は、第1実装面31aに接触している。同様に、集積回路素子30の集積回路素子実装端子30aは、導電性の接合材によって基板31の第1実装面31aの配線パターンにそれぞれ電気的に接続されている。
【0079】
図14に示すように、基板31における一方の主面に平行な他方の主面は、外部基板に実装するための外部接続端子31fを有する第2実装面31bとして構成されている。外部接続端子31fは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。第1実装面31aの前記配線パターンは、内部配線31cを介して外部接続端子31fと電気的に接続されている。
【0080】
図11及び
図12に示すように、基板31に実装された振動子22は、振動子実装端子24dから第1実装面31a上の接続端子31d、内部配線31c及び第2実装面31bの外部接続端子31fを介して、外部基板に電気的に接続している(
図11参照)。また、振動子22の振動部25は、連結部26によって圧電振動板23の枠部24に片持ち支持の状態で保持されている。これにより、振動部25は、外部基板から印加された電圧によって所定の周波数で発振する。
【0081】
図示しないモールド部は、基板31と、基板31に実装された振動子22及び集積回路素子30とのうち少なくとも振動子22を保護する。モールド部は、実施形態1におけるモールド部12と同様であるため説明を省略する。
【0082】
次に、
図13を用いて、基板31の第1実装面31a及び接続端子31dについて詳細に説明する。
【0083】
図13に示すように、第1実装面31aは、2つの接続端子31dが位置している。接続端子31dは、導電性の金属から構成されている板状の端子である。2つの接続端子31d(以下、単に「接続端子31d」と記す)の主面は、振動子22の2つの振動子実装端子24d(
図12参照)にそれぞれ接合する接合面31eとして構成されている。接合面31eは、基板31の絶縁性の基材で覆われずに露出している。
【0084】
また、接続端子31dには、内部配線31cが接続されている。内部配線31cは、導電性の金属から構成されている。内部配線31cは、第1実装面31aの配線パターンと外部接続端子31f(
図14参照)とを電気的に接続する。内部配線31cは、それぞれの接続端子31dに接続している。
【0085】
次に、
図14を用いて、基板31の第2実装面31b及び外部接続端子31fについて詳細に説明する。
図14は、圧電振動デバイス21における基板31の第2実装面31bを示す平面図である。本実施形態において、第2実装面31bには、4つの外部接続端子31fを有しているものとする。
【0086】
図14に示すように、基板31の第2実装面31bは、外部基板と電気的に接続される他方の主面である。第2実装面31bは、4つの外部接続端子31fに対応した4つの凹部31gを有している。第2実装面31b及び外部接続端子31fは、実施形態1における第2実装面11b及び外部接続端子11gと同様であるため説明を省略する。
【0087】
次に、
図13から
図15を用いて基板31における検査端子31hについて説明する。
【0088】
図13に示すように、検査端子31hは、基板31の第1実装面31aに搭載されている状態の振動子22の特性を測定する際に使用する端子である。圧電振動デバイス21には、振動子22の両方の電極に対応するように一対の検査端子31hが設けられている。以下の実施形態において、検査端子31hは、特に記載がない限り一対の検査端子31hを意味する。検査端子31hの構成は、実施形態1における検査端子11kと同様であるため説明を省略する。
【0089】
検査端子31hは、第1実装面31aに垂直な方向に見て、振動子22が搭載されたパッドである接続端子31dと重ならない位置に配置されている。つまり、検査端子31hは、接続端子31dと直接に連結されていない。また、検査端子31hと電気的に接続されてる導体31kの第1実装面31a側の端部は、接続端子31dと直接に連結されていない。
【0090】
図14に示すように、検査端子31hは、第1実装面31aに垂直な方向に見て、外部接続端子31fと重ならない位置に配置されている。つまり、検査端子31hは、外部接続端子31fと直接に連結されていない。検査端子31hは、基板31の第1実装面31a側から第2実装面31b側に向かって延びる貫通孔(スルーホール)の少なくとも内周面を覆っている貫通孔内の導体31kの第2実装面31b側の端部と電気的に接続されている。当然ながら、検査端子31hと電気的に接続されている導体31kは、接続端子31d及び外部接続端子31fと直接に連結されていない。
【0091】
図15に示すように、一対の検査端子31hと電気的に接続されている導体31kの第1実装面31a側の端部は、異なる内部配線31jの一端部にそれぞれ電気的に接続されている。それぞれの内部配線31jの他端部は、対応する前記接続端子31dに電気的に接続されている。つまり、一対の検査端子31hは、導体31k及び内部配線31jを介して対応する接続端子31dにそれぞれ電気的に接続されている。
【0092】
検査端子31hは、外部接続端子31f及び内部配線等に電気的に接続されていない。つまり、検査端子31hは、第2実装面31b側の外部接続端子31fを介さずに第2実装面31b側の接続端子31dにそれぞれ電気的に接続されている。検査端子31hの第2実装面31b側の端部及び内部配線31cは、絶縁用樹脂で覆われている。第2実装面31bのうち、少なくとも検査端子31hは、絶縁用樹脂で覆われている。
【0093】
検査端子31hは、導体31k、内部配線31j及び接続端子31dを介して振動子2と電気的に接続されている。また、検査端子31hは、モールド部12よってモールドされていない第2実装面31b側に位置している。よって、検査端子31hは、モールド部12によってモールドされた振動子2に対して、第2実装面31b側の端部から電気的な接続状態を確立することができる。
【0094】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態において、基板11、31は、外部接続端子11g、31f毎に凹部11j、31gを有している。しかしながら、基板は、外部接続端子毎に凹部を有していなくてもよい。基板は、一つの凹部に複数の外部接続端子が位置してもよい。
【0095】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1は、圧電振動板3、第1封止部材6及び第2封止部材8が積層された3層構造の振動子2を有する。しかしながら、圧電振動デバイスは、3層構造以上の振動子を有していてもよい。振動子は、第1封止部材の主面にサーミスタ等のセンサを更に搭載した4層の振動子でもよい。
【0096】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1、21は、単層の基板11、31によって構成されている。しかしながら、圧電振動デバイスは、複数の層を有する積層基板によって構成されていてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態において、検査端子11k、31hは、ランドを有している。しかしながら、検査端子は、ランドを有さなくてもよい。
【0098】
また、上述の実施形態において、検査端子11k、31hは、第2実装面11b、31b及と略同一片面上に位置している。しかしながら、検査端子は、第2実装面よりも第1実装面側に位置していてもよい。すなわち、検査端子、第2実装面よりも窪んでいてもよい。また、検査端子は、第2実装面よりも突出していてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態において、圧電振動デバイス1、21は、振動子2、22及び集積回路素子10、30をモールド部12よってモールドしている。しかしながら、圧電振動デバイスは、振動子及び集積回路素子をモールドしていなくてもよい。圧電振動デバイスは、振動子及び集積回路素子が筐体内に収容されている構成でもよい。
【0100】
また、上述の実施形態において、検査端子11k、31hは、絶縁用樹脂によって覆われている。しかしながら、検査端子は、絶縁用樹脂によって覆われていなくてもよい。
【0101】
また、上述の実施形態において、絶縁用樹脂で覆われた検査端子11k、31hは、外部から視認可能に構成されている。しかしながら、絶縁用樹脂によって覆われた検査端子は、外部から視認できなくてもよい。圧電振動デバイスは、検査端子の位置を特定可能な目印等を有していてもよい。
【0102】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0103】
1、21 圧電振動デバイス
2、22 振動子
3、23 圧電振動板
4、25 振動部
4a、25a 励振電極
4b 切り欠き部
5 接合材
26 連結部
6、27 第1封止部材
7、28 第2封止部材
24 枠部
24c 貫通孔
10、30 集積回路素子
10a、30a 集積回路素子実装端子
10b ワイヤー
11、31 基板
11a、31a 第1実装面
11b、31b 第2実装面
11c、11m、31c、31j 内部配線
11d、31d 接続端子
11g、31f 外部接続端子
11e、11h、24a、31e 接合面
11f、11j、31g 凹部
11k、31h 検査端子
11n、31k 導体
11o 絶縁領域
11p ワイヤー接続端子
12 モールド部
33 接合材
7a、24d 振動子実装端子
S 内部空間