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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099229
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/44 20060101AFI20240718BHJP
   F23B 30/04 20060101ALI20240718BHJP
   F23B 90/04 20110101ALI20240718BHJP
   F23G 5/20 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F23G5/44 D
F23B30/04
F23B90/04
F23G5/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003022
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】308030570
【氏名又は名称】株式会社エム・アイ・エス
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】小田 要
【テーマコード(参考)】
3K046
3K065
3K261
【Fターム(参考)】
3K046AB03
3K046AD08
3K046BA01
3K046BA04
3K065AA07
3K065AB01
3K065AC01
3K065AC13
3K065AC17
3K065AC20
3K065BA06
3K065FA03
3K065FA11
3K065FA16
3K065FB11
3K065FC02
3K261AA06
3K261DA02
3K261DA06
3K261DA13
3K261DA21
(57)【要約】
【課題】クリンカ発生と不完全燃焼を抑制して、高効率での完全燃焼を行える燃焼装置を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼装置は、外筒と内筒を有する燃焼筒と、前記燃焼筒により形成され燃焼対象物を燃焼させる内部空間と、前記内部空間の先端で開口している開口部と、前記外筒と前記内筒の間に形成される空気層と、前記内部空間の内壁に形成される耐火壁と、前記空気層から、前記耐火壁を介して前記内部空間に空気を供給する空気供給孔と、前記内部空間の根元側において、前記燃焼対象物を第1温度によりガス化させる一次燃焼空間と、前記一次燃焼空間の前方において、前記ガス化で得られたガスを、第2温度で燃焼させる二次燃焼空間と、前記開口部に設けられる環状部材と、を備え、前記第2温度は、前記第1温度より高く、前記環状部材の内径は、前記二次燃焼空間の内径より小さく、前記開口部に前記環状部材が備わることで、前記内部空間において火炎の滞留が促される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と内筒を有する燃焼筒と、
前記燃焼筒により形成され燃焼対象物を燃焼させる内部空間と、
前記内部空間の先端で開口している開口部と、
前記外筒と前記内筒の間に形成される空気層と、
前記内部空間の内壁に形成される耐火壁と、
前記空気層から、前記耐火壁を介して前記内部空間に空気を供給する空気供給孔と、
前記内部空間の根元側において、前記燃焼対象物を第1温度によりガス化させる一次燃焼空間と、
前記一次燃焼空間の前方において、前記ガス化で得られたガスを、第2温度で燃焼させる二次燃焼空間と、
前記開口部に設けられる環状部材と、を備え、
前記第2温度は、前記第1温度より高く、
前記環状部材の内径は、前記二次燃焼空間の内径より小さく、
前記開口部に前記環状部材が備わることで、前記内部空間において火炎の滞留が促される、燃焼装置。
【請求項2】
前記環状部材は、前記二次燃焼空間の前方に、三次燃焼空間を形成し、
前記三次燃焼空間は、未燃焼物およびすすを燃焼させる、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記環状部材は金属製であり、
前記環状部材で温度上昇した上昇熱および二次燃焼空間からの二次燃焼熱との両方により、前記未燃焼物およびすすを燃焼させる、請求項2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記上昇熱および前記二次燃焼熱により、前記三次燃焼空間は第3温度で燃焼させ、
前記第3温度は、前記第2温度より高い、請求項2記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記開口部に、複数の前記環状部材が備わり、
前記複数の環状部材のそれぞれの内径は、前方ほど小さくなる、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記複数の環状部材は、前記内部空間での火炎の滞留を高めると共に前方から噴出される火炎の到達位置をより前方に延伸させる、請求項5記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記複数の環状部材同士の間に隙間を有する、請求項5記載の燃焼装置。
【請求項8】
前記空気供給孔を通じて供給される空気において、
前記一次燃焼空間に供給される空気量 < 前記二次燃焼空間に供給される空気量
である、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項9】
前記空気供給孔の個数、内径面積の合計および内部体積の合計の少なくとも一つが、前記一次燃焼空間よりも前記二次燃焼空間において多いもしくは大きい、請求項8記載の燃焼装置。
【請求項10】
前記耐火壁は、複数の耐火材ユニットにより構成される、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項11】
前記耐火壁表面は、凸凹を有する、請求項10記載の燃焼装置。
【請求項12】
前記凸凹は、前記複数の耐火材ユニット同士の組み合わせにより形成される、請求項11記載の燃焼装置。
【請求項13】
前記燃焼筒は、使用時において設置面に対して略水平に設定される、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項14】
前記二次燃焼空間の内径は、前記一次燃焼空間の内径より小さい、請求項1記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリンカの発生や不完全燃焼を抑制しつつ、効率的な燃焼を実現する燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な目的のために燃焼装置が用いられる。廃棄物を燃焼処理するためであったり、燃焼によって生じる熱を利用するためであったりで、燃焼装置が用いられる。ここで、廃棄物などの燃焼対象物を燃焼処理するためには、完全に燃焼させるための高温での燃焼を必要とする。例えば、近年問題となっている廃棄プラスチックなどを燃焼処理するためには、十分な高温での燃焼処理が必要である。
【0003】
また、燃焼熱を得るための燃焼においても、不完全燃焼が生じることは好ましくない。このため、十分な温度での燃焼処理を行うことが必要である。
【0004】
十分な燃焼温度での燃焼がなされないと、燃焼において、多くの残渣が残ってしまったり不完全燃焼の残存物が残ってしまったりすることがある。また、燃焼が不十分であることで、毒性につながるガスが発生してしまったりすることもある。また、燃焼が不十分となることで、燃焼装置そのものが、破損や故障してしまうこともある。
【0005】
燃焼が燃焼温度の不足となることは、燃焼対象物の燃焼が不十分になるなどして好ましくない。逆に、燃焼温度が高すぎると、クリンカが発生して、燃焼装置の内壁にクリンカが大量に付着するなどの問題がある。クリンカの付着は、燃焼装置の性能低下や破損などに繋がる。また、クリンカ除去のために、燃焼装置の運転を中止してメンテナンスをしなければならないデメリットもある。
【0006】
このように、完全燃焼を十分に行えるような燃焼装置の技術が幾つか提案されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6164220号公報
【特許文献2】特開2007-303737号公報
【特許文献3】特開2010-96446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、回転部と静止部継ぎ手の気密性改良と構造の簡略化を目的とし、一端を閉じた外側胴と同軸配置とし、環状空間を燃焼空気路、中央空間を燃焼室として、内側胴端板に接続する燃料供給管と外側胴端板接続の回転駆動間も同軸配置とし、環状の燃焼空気流路を形成し、駆動間外面に設置される気密性保持機構の冷却可能な構造としている、回転燃焼器を、開示する。
【0009】
しかしながら、特許文献1の燃焼器では、根元側における空気吹き出し口が多く、根元側において多量の空気が供給される。根元側は、燃料へ着火する場所であり、着火部位における多量の空気によって、一次燃焼領域での燃焼温度が1000℃以上などの高温になってしまう問題がある。このため、灰が溶解して多量のクリンカが発生する問題がある。特に、燃料としてのバイオマス燃料が、自然由来のものから廃プラスチックなどになってくることで、一次燃焼領域で一気に高温燃焼となってしまい、クリンカの発生が多くなってしまう問題がある。
【0010】
特に、固形物である燃焼対象物(燃料)に着火して燃焼させる場合には、まず燃焼対象物を燃焼させてガス化させる一次燃焼から、このガス化で得られたガスを燃焼させる二次燃焼に繋がる燃焼であることが好ましい。一次燃焼の燃焼温度よりも二次燃焼の燃焼温度が高い。このような2段階の燃焼により、灰の融解によるクリンカの発生を抑制できる。また、ガス化した後での高温燃焼での二次燃焼により、完全燃焼が実現され、不完全燃焼が生じにくい。この一次燃焼と二次燃焼が燃焼装置のなかで実現されることが好ましい。
【0011】
特許文献1では、この一次燃焼領域での空気量供給が過剰となることで、固形の燃焼対象物がガス化する前に燃えてしまって灰が生じてクリンカとなってしまう。また、ガス化が不十分であることで、二次燃焼の不十分さが生じてしまい、全体としての完全燃焼の度合いが不十分となる。
【0012】
特許文献2は、熱分解炉装置10は燃焼室27と、燃焼室27を貫通して設けられた回転ドラム11と、回転ドラム11の入口側非加熱領域11a内に設けられた投入スクリュー22とを備えている。回転ドラム11の入口側非加熱領域11aに設けられた投入スクリュー22のスクリューケーシング23の上部に掻取板33が固定され、この掻取板33は半径方向外方へ回転しながら湾曲する形状を有している熱分解路装置を開示する。
【0013】
特許文献2も特許文献1と同様の問題を有する。
【0014】
特許文献3は、開口部である前端と閉塞部である後端とを有し、同軸において回動可能な外筒と内筒との二重構造を有する筒体と、開口部において筒体の外筒と接続されるノズルと、閉塞部に形成され、内筒と外筒との間の通風路を経由してノズルの内部空間に空気を供給する通風口と、通風路を流れる空気の一部を内筒の内部空間に吹き出させる吹出口と、閉塞部側から内筒の内部空間と連通され、内筒の内部空間に固体燃料を供給する供給路と、通風口に空気を供給する送風機と、筒体を回動させる回動駆動手段とを備え、筒体はノズルが上向きとなるように傾斜させ、開口部において外筒と内筒との間の開口面積は吹出口の開口面積以上とし、内筒の内部空間に固体燃料を粉砕する粉砕部材を収納した燃焼装置を開示する。
【0015】
特許文献3は、一次燃焼と二次燃焼の空間を燃焼装置に構成することで、特許文献1の問題を解消しようとしている。
【0016】
しかしながら、特許文献3は、一次燃焼空間への空気供給が多すぎて、ガス化前に高温燃焼してしまう問題がある。このため、クリンカの発生が問題となる。また、上方に向けた角度で固定されていることで、生じたクリンカが燃焼筒内部(特に根元)に集積して、燃焼への悪影響が生じる。あるいは、損耗に繋がってしまう。
【0017】
また、燃焼筒の先端が大きく開口していることで、二次燃焼での火炎がすぐに外部に漏れ出てしまう。これにより、燃焼筒内部での火炎の滞留時間が短くなり、不十分な燃焼のままで燃焼が続く問題もある。これを防ぐために燃焼筒内部への空気供給を増やすと一酸化炭素が増加する問題にも繋がってしまう。
【0018】
本発明は、これらの課題に鑑み、クリンカ発生と不完全燃焼を抑制して、高効率での完全燃焼を行える燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の水冷式燃焼装置は、外筒と内筒を有する燃焼筒と、
前記燃焼筒により形成され燃焼対象物を燃焼させる内部空間と、
前記内部空間の先端で開口している開口部と、
前記外筒と前記内筒の間に形成される空気層と、
前記内部空間の内壁に形成される耐火壁と、
前記空気層から、前記耐火壁を介して前記内部空間に空気を供給する空気供給孔と、
前記内部空間の根元側において、前記燃焼対象物を第1温度によりガス化させる一次燃焼空間と、
前記一次燃焼空間の前方において、前記ガス化で得られたガスを、第2温度で燃焼させる二次燃焼空間と、
前記開口部に設けられる環状部材と、を備え、
前記第2温度は、前記第1温度より高く、
前記環状部材の内径は、前記二次燃焼空間の内径より小さく、
前記開口部に前記環状部材が備わることで、前記内部空間において火炎の滞留が促される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の燃焼装置は、一次燃焼と二次燃焼のそれぞれが十分に役割を果たし、燃焼対象物のガス化とガス化したガスの燃焼とが適切に行われる。これにより、クリンカ発生や不完全燃焼が抑制できる。一酸化炭素の発生も抑えることができる。
【0021】
また、効率的な燃焼が行われることで、完全燃焼となり、燃焼対象物の十分な燃焼や、燃焼熱の効率的な利用もできる。
【0022】
耐火壁が内部に形成されていることで、耐久性も高まる。また、クリンカ発生の抑制によっても、耐久性が高まる。これらにより、燃焼装置の使用耐久性が高まり、使用コストなども軽減できるメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態1における燃焼装置の側面図である。
図2】複数の環状部材の構成を分解した模式図である。
図3】本発明の実施の形態1における環状部材の模式図である。
図4図1のA-A‘の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の第1の発明に係る燃焼装置は、外筒と内筒を有する燃焼筒と、
前記燃焼筒により形成され燃焼対象物を燃焼させる内部空間と、
前記内部空間の先端で開口している開口部と、
前記外筒と前記内筒の間に形成される空気層と、
前記内部空間の内壁に形成される耐火壁と、
前記空気層から、前記耐火壁を介して前記内部空間に空気を供給する空気供給孔と、
前記内部空間の根元側において、前記燃焼対象物を第1温度によりガス化させる一次燃焼空間と、
前記一次燃焼空間の前方において、前記ガス化で得られたガスを、第2温度で燃焼させる二次燃焼空間と、
前記開口部に設けられる環状部材と、を備え、
前記第2温度は、前記第1温度より高く、
前記環状部材の内径は、前記二次燃焼空間の内径より小さく、
前記開口部に前記環状部材が備わることで、前記内部空間において火炎の滞留が促される。
【0025】
この構成により、クリンカ発生を抑制しつつ完全燃焼をより確実に実現できる。
【0026】
本発明の第2の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記環状部材は、前記二次燃焼空間の前方に、三次燃焼空間を形成し、
前記三次燃焼空間は、未燃焼物およびすすを燃焼させる。
【0027】
この構成により、これにより、燃焼効率をさらに向上させ、完全燃焼を更に進めることができる。
【0028】
本発明の第3の発明に係る燃焼装置では、第2の発明に加えて、前記環状部材は金属製であり、
前記環状部材で温度上昇した上昇熱および二次燃焼空間からの二次燃焼熱との両方により、前記未燃焼物およびすすを燃焼させる。
【0029】
この構成により、三次燃焼空間での燃焼熱を上昇させることができる。
【0030】
本発明の第4の発明に係る燃焼装置では、第2の発明に加えて、前記上昇熱および前記二次燃焼熱により、前記三次燃焼空間は第3温度で燃焼させ、
前記第3温度は、前記第2温度より高い。
【0031】
この構成により、三次燃焼で未燃焼物やすすの確実な燃焼が実現できる。
【0032】
本発明の第5の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記開口部に、複数の前記環状部材が備わり、
前記複数の環状部材のそれぞれの内径は、前方ほど小さくなる。
【0033】
この構成により、火炎の到達位置をより遠方にできる。
【0034】
本発明の第6の発明に係る燃焼装置では、第5の発明に加えて、前記複数の環状部材は、前記内部空間での火炎の滞留を高めると共に前方から噴出される火炎の到達位置をより前方に延伸させる。
【0035】
この構成により、火炎を利用する発電装置やボイラーなどとの組み合わせを容易化できる。
【0036】
本発明の第7の発明に係る燃焼装置では、第5の発明に加えて、前記複数の環状部材同士の間に隙間を有する。
【0037】
この構成により、クリンカや未燃焼物が、外部に排出されやすくなる。燃焼筒の使用耐久性が向上する。
【0038】
本発明の第8の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記空気供給孔を通じて供給される空気において、
前記一次燃焼空間に供給される空気量 < 前記二次燃焼空間に供給される空気量
である。
【0039】
この構成により、一次燃焼空間での過剰燃焼が抑制されると共に二次燃焼空間での完全燃焼も実現しやすくなる。結果として、クリンカ発生と不完全燃焼の抑制が可能となる。
【0040】
本発明の第9の発明に係る燃焼装置では、第8の発明に加えて、前記空気供給孔の個数、内径面積の合計および内部体積の合計の少なくとも一つが、前記一次燃焼空間よりも前記二次燃焼空間において多いもしくは大きい。
【0041】
この構成により、第1温度より第2温度を高くできる。
【0042】
本発明の第10の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記耐火壁は、複数の耐火材ユニットにより構成される。
【0043】
この構成により、耐火壁のメンテナンスが容易となる。
【0044】
本発明の第11の発明に係る燃焼装置では、第10の発明に加えて、前記耐火壁表面は、凸凹を有する。
【0045】
この構成により、内部空間における燃焼対象物の攪拌が容易となる。
【0046】
本発明の第12の発明に係る燃焼装置では、第11の発明に加えて、前記凸凹は、前記複数の耐火材ユニット同士の組み合わせにより形成される。
【0047】
この構成により、凸凹を容易に形成できる。
【0048】
本発明の第13の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記燃焼筒は、使用時において設置面に対して略水平に設定される。
【0049】
この構成により、クリンカなどが内部空間に残りにくくなり、使用耐久性が上がる。
【0050】
本発明の第14の発明に係る燃焼装置では、第1の発明に加えて、前記二次燃焼空間の内径は、前記一次燃焼空間の内径より小さい。
【0051】
この構成により、火炎や燃焼を内部空間により留めることができる。結果として、完全燃焼をより効率的に実現できる。
【0052】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0053】
(実施の形態1)
【0054】
(全体概要)
図1は、本発明の実施の形態1における燃焼装置の側面図である。燃焼装置1の側面から見て内部構成も分かるような透視状態で示している。
【0055】
燃焼装置1は、燃焼筒2、内部空間21、開口部3、空気層5、耐火壁7、空気供給孔51、一次燃焼空間22、二次燃焼空間23、環状部材7を備える。更に、燃料供給部4、支持部10を備える。
【0056】
燃焼筒2は、外筒25と内筒26とを有し、筒状の部材である。円筒状や楕円筒状であってもよいし、角筒状の形態を持っていてもよい。筒状であることで、内部空間21が形成される。内部空間21は、燃焼対象物を燃焼させる空間となる。燃料供給部4から燃焼対象物が内部空間21に供給され、発火されてから内部空間21において燃焼対象物が燃焼する。
【0057】
燃焼筒2の先端であって内部空間21の先端で、開口している部分が開口部3である。開口部3が備わることで、内部空間21での燃焼による火炎は、開口部3から外部に放出される。また、内部空間21の通気性を実現し、内部空間21のメンテナンスなどの作業も、開口部3を通じて行うことができる。
【0058】
燃焼筒2は、外筒25と内筒26とを備える二重構造になっている。空気層5は、この外筒25と内筒26との間に形成される。二重構造の隙間領域が、空気層5となる。空気層5の端部は外部と連通しており、この連通部分から外部からの空気が常に供給される構成となっている。
【0059】
耐火壁6は、内部空間21の内壁に備わっている。すなわち、耐火壁6は、空気層5の内側にあり、内部空間21の内側を覆うようになっている。耐火壁6は、内部空間21での燃焼で生じる燃焼熱から燃焼筒2を守る役割を果たす。すなわち、耐火壁6は、熱伝導を遅らせたり、火炎が触接的に燃焼筒2の内壁に当たることでの負荷を抑制したりする。また、耐火壁6は、クリンカなどが燃焼筒2の内壁に付着することも防止できる。
【0060】
耐火壁6においては、空気層5と内部空間21とを連通して、空気層5からの空気を供給する空気供給孔51が備わる。空気供給孔51は、空気層5から内部空間21までを、耐火壁6を貫通した貫通孔である。空気供給孔51は、空気層5から内部空間21に空気を供給できる。空気層5は、外部と連通しているので、空気供給孔51は、継続して空気を内部空間21に供給できる。
【0061】
一燃焼空間22は、内部空間21の根元側において、燃焼対象物を第1温度によりガス化させる空間である。燃料供給部4から燃焼対象物が内部空間21に供給される。発火により燃焼対象物は燃焼させられるので、燃料供給部4がある根元側において、最初の燃焼が生じる。最初の燃焼においては、燃焼対象物が燃焼で温度上昇してガス化する。このため、内部空間21の根元側が、固形物である燃焼対象物をガス化させる一次燃焼空間22である。
【0062】
一次燃焼空間22では、第1温度により燃焼する。なお、後述する第2温度および第1温度は、温度範囲を有する温度であり、絶対値として特定されている温度に限定するものではない。
【0063】
一次燃焼空間22で生じたガスは、内部空間21において根元側から先端側に移動する。ガスであるので、開口部3に向かうからである。また、一次燃焼空間22の熱源による圧力付与により根元側から先端側に移動するからである。
【0064】
このガス化で生じたガスが、内部空間21のより先端側において(二次燃焼空間23)で燃焼する。一次燃焼空間22の前方(開口部3側)において、ガス化で得られたガスを第2温度で燃焼させるのが、二次燃焼空間23である。二次燃焼空間23は、ガス化されたガスを燃焼させて、燃焼対象物を十分に燃焼させる。
【0065】
固形である燃焼対象物を、一次燃焼空間22でガス化させる燃焼を行い、次いで、二次燃焼空間23でガスを燃焼させる。このつながりがあることで、燃焼対象物が十分に燃焼させられる。
【0066】
また、第2温度は第1温度より高い。この温度差での一次燃焼空間での一次燃焼と、二次燃焼空間での二次燃焼とが、内部空間21で備わることで、十分に燃焼される。一次燃焼空間22では、第2温度より低い第1温度であることで、一次燃焼空間22では燃焼対象物をガス化させることが十分に行われる。第2温度よりも低い第1温度であることで、一次燃焼空間22で燃焼対象物がガス化しきれないままで過剰燃焼することが防止できる。これにより、クリンカ発生が抑制できる。また、第2温度より低い第1温度であることで、燃焼対象物が十分にガス化させることができる。
【0067】
一方で、二次燃焼空間23での第2温度が第1温度よりも高いことで、ガスを十分な温度で燃焼させることができる(二次燃焼)。ガスとなった段階での高温での十分な燃焼により、完全燃焼ができる。後述する環状部材7の効果と相まって、完全燃焼することで不完全燃焼が抑制できる。
【0068】
環状部材7は、開口部3に備わる環状の部材である。環状の部材であるので、開口部がある。環状部材7の内径は二次燃焼空間23の内径よりも小さい。すなわち、内部空間21の最終段階である開口部3においては、環状部材7により内径が小さくされている。
【0069】
この環状部材7により、燃焼空間である内部空間21の最後の出口の内径が狭められることになる。このように最後の出口の内径が狭まることで、内部空間21での燃焼で生じる火炎(すなわち燃焼している部分)の滞留が促進される。火炎が滞留しやすくなることで、内部空間21での燃焼がより十分となり、完全燃焼しやすくなる。
【0070】
従来技術のように、開口部からの火炎の抜けが容易であると、内部空間での燃焼が不十分なままに火炎が次々と抜けてしまう。これにより、内部空間での燃焼が不十分となる問題がある(不完全燃焼などの問題がある)。これを防止するために内部空間への空気供給量を増やすと、一酸化炭素の発生が多くなったり、燃焼温度が高すぎることでのクリンカの発生などにも繋がったりしてしまう。
【0071】
本発明の燃焼装置1は、開口部3に環状部材7が備わり、出口の内径を狭めることで、火炎が内部空間21に滞留しやすくなる。すなわち、燃焼が内部空間21に十分に滞留する。この滞留で、十分に完全燃焼することが実現できる。
【0072】
(1)第2温度より低い第1温度での一次燃焼空間22での一次燃焼
まず、この一次燃焼が、燃焼対象物供給後の最初において行われる。第1温度であることと根元側が一次燃焼空間22であることで、燃焼対象物をガス化することが確実に行われる。
【0073】
(2)一次燃焼に続いて第2温度での二次燃焼空間23での二次燃焼
ガス化により生じたガスが、一次燃焼空間22の前方で、より高い第2温度で二次燃焼する。これにより、一次燃焼と二次燃焼との燃焼ステージが切り替わりつつ接続する。これにより、燃焼対象物、ガス化、ガスの燃焼との順を追った適切な燃焼が実現される。
【0074】
(3)環状部材7による火炎の滞留
さらに、環状部材7が内部空間21の出口の内径を小さくして火炎の突き抜けを抑制できる。この抑制により、内部空間21に火炎が滞留する。この滞留により内部空間21での燃焼が十分な時間で行える。
【0075】
このように、本発明の燃焼装置1は、(1)~(3)の構成と機能を有することで、不完全燃焼や過剰燃焼などを抑制でき、クリンカ発生や燃焼環境悪化を抑制できる。また、これらと耐火壁6とが相まって、燃焼筒2の損耗を抑えて使用耐久性を高めることができる。
【0076】
次に、各部の詳細などについて説明する。
【0077】
(支持部)
支持部10は、燃焼筒2を支持する。支持部10が備わることで、燃焼筒2を備える燃焼装置1を適切な場所に設置することができる。また、燃焼筒2の角度などを調整することができる。
【0078】
また、支持部10が、車輪などを備えることで、燃焼装置1の移動を可能とすることもできる。勿論、燃焼筒2の支持を確実にして、燃焼装置1の使用における安定性や安全性を高めることができる。
【0079】
(燃料供給部)
燃料供給部4は、内部空間21に燃焼対象物を供給する。このとき、燃焼対象物の燃焼を促進するために、燃焼させやすい燃料を合わせて供給することもよい。例えば、バイオマス燃料や化石燃料などである。また、燃焼対象物は、廃棄物、廃プラスチックなどの燃焼処理が必要なものである。
【0080】
また、燃料供給部4は、回転羽根41を備えることもよい。回転羽根41は、燃焼対象物や燃料を攪拌しながら、内部空間21に供給できる。攪拌することで、燃焼がさらに効率的かつ確実になる。また、燃焼対象物と燃料の両方が供給される場合には、燃焼対象物と燃料とが混ざり合って燃焼がより効率的になる。
【0081】
なお、燃焼対象物と燃料は、厳密に区別する意図ではない。
【0082】
(環状部材)
環状部材7は、開口部3において備わる。すなわち、二次燃焼空間23の前方に備わる。この結果、環状部材7は、二次燃焼空間23の前方に、三次燃焼空間27を形成できる。三次燃焼空間27は、環状部材7により囲われる空間が、三次燃焼空間27である。
【0083】
三次燃焼空間27は、未燃焼物およびすすを燃焼させる。三次燃焼空間27は、燃焼における最終位置にある。一次燃焼空間22では燃焼対象物をガス化させる一次燃焼が行われる。二次燃焼空間23ではガスを燃焼させる二次燃焼が行われる。しかし、ガス化していてもまだ固形物が残っていることもあり、二次燃焼空間23では、ガスおよび残った固形物を燃焼させる。
【0084】
さらに、二次燃焼空間23でも燃え残る未燃焼物やすすが残る。三次燃焼空間27は、外部と接しつつ内部空間21での燃焼の最終段階にある。このため、強い火炎と高い燃焼温度となっている。第2温度よりも高い第3温度となって燃焼を行える空間である。
【0085】
この第3温度による三次燃焼は、二次燃焼空間23で残った未燃焼物や生じたすすを燃焼させることができる。固形物である燃焼対象物が多く残っている空間ではないので、高い温度でこれらを完全燃焼させても、クリンカが発生しにくい。
【0086】
このように、第1温度 < 第2温度 <第3温度 という関係での一次燃焼、二次燃焼、三次燃焼という段階が続く。
【0087】
(一次燃焼)
固形物である燃焼対象物への最初の燃焼において、燃焼温度が高くなりすぎないので、クリンカ発生を抑制できる。固形物の燃焼段階での不具合が、クリンカ発生をより多く出すが、これを抑制できる。上記の条件での第1温度であることで、ガス化も十分に進む。
【0088】
(二次燃焼)
ガス化されたガスおよび固形物を第2温度で燃焼させることで、より高温での完全燃焼が行える。これにより、不完全燃焼が抑制できる。
【0089】
(三次燃焼)
三次燃焼空間27での三次燃焼は、最も高い第3温度での燃焼となる。二次燃焼によっても燃え残る未燃焼物が残ったり、すすが生じたりする。三次燃焼により、これらの未燃焼物やすすも燃焼させることができる。二次燃焼だけで不足する燃焼も、三次燃焼空間27での三次燃焼で解決できる。未燃焼物やすすも燃焼させられることで、不要な残渣が生じることも抑制できる。
【0090】
これらのように、一次燃焼から三次燃焼に連続性がありつつそれぞれで異なる機能での燃焼が生じることで、燃焼対象物の完全燃焼が確実に行える。また、その過程での不完全燃焼やクリンカ発生も抑制できる。
【0091】
環状部材7の内径が二次燃焼空間23の内径より小さいことで、三次燃焼空間27が形成できる。
【0092】
ここで、環状部材7は、金属製である。金属製であることで、環状部材7は、内部空間21での燃焼により温度上昇する。すなわち、環状部材7は、温度上昇した上昇熱を放出するようになる。また、二次燃焼空間23での二次燃焼により温度上昇した熱や火炎が、三次燃焼空間に付与される。すなわち、三次燃焼空間27には、上昇熱と二次燃焼熱(二次燃焼でさらに温度上昇した燃焼熱も含む)との両方により第3温度にまで到達する。この高い第3温度による熱によって、未燃焼物およびすすを燃焼させる。
【0093】
三次燃焼空間27では、二次燃焼から繋がる燃焼熱だけでなく、環状部材7が金属製であることでの上昇熱も加わることで、十分に高温である第3温度(第2温度より高い)となることが実現できる。
【0094】
(複数の環状部材)
開口部3に複数の環状部材7が備わることも好適である。ここで、複数の環状部材7のそれぞれの内径は、前方ほど小さくなることも好適である。図2は、複数の環状部材の構成を分解した模式図である。開口部3に設けられた複数の環状部材7を見やすい状態に分解した図面である。環状部材7A、7B、7Cが並んでいる状態を示している。
【0095】
図2に示されるように、複数の環状部材7のそれぞれの内径は、前方ほど小さくなる。
【0096】
環状部材7Aの内径 < 環状部材7Bの内径 < 環状部材7Cの内径
【0097】
このように内径が徐々に小さくなることで、内部空間21での火炎や燃焼を、内部に留めつつ滞留させやすくすることができる。これにより、内部空間21での完全燃焼をより確実に実現できる。
【0098】
加えて、複数の環状部材7が備わり、その内径が前方ほど狭まっていくことで、開口部3から前方に噴出される火炎の到達位置を、より前方に延伸できる。例えば、燃焼装置1からの火炎を利用する発電機やボイラーなどがある場合には、燃焼装置1との距離を十分に取って設置することができる。これにより、発電機やボイラーの利用態様が拡がる。
【0099】
(環状部材同士の隙間)
複数の環状部材7同士の間に、隙間が存在することも好適である。図3は、本発明の実施の形態1における環状部材の模式図である。複数の環状部材7A~7Cが、三次燃焼空間27を形成する。環状部材同士には隙間75が形成されている。
【0100】
3次燃焼空間においてもあるいは内部空間21の別の空間においても微小なクリンカなどが発生することはある。あるいは、燃え残る残渣が生じることもある。これらは、隙間75から外部に落下して排出される。内部空間21においては、燃焼熱による空気圧が開口部3に向けて付与されている。空気の流れもある。この付与にのって、内部空間21において生じたクリンカや残った残渣が、隙間75から落下して排出される。
【0101】
クリンカや残渣は、一次燃焼空間22,二次燃焼空間23,三次燃焼空間27のいずれでも発生する可能性がある。これらが、内部空間21に残ることは、動作性能の維持や使用耐久性の面から好ましくない。また、残ったクリンカなどを人為的に排出するには、燃焼装置1の動作を止めて冷却を待ち、メンテナンス作業で取り除く必要がある。
【0102】
隙間75から燃焼中に排出されることで、これらの問題が減少し、メンテナンスに要する時間やコストを抑えることができる。完全燃焼が十分であってもどうしても残りうるクリンカや残渣による種々の問題を解決できる。
【0103】
以上のように、環状部材7は、三次燃焼空間を形成して、燃え残る未燃焼物やすすなども燃焼させる。これにより、完全燃焼をより確実化できる。また、火炎の到達位置の延伸や微小なクリンカ等の排出もできることで、利用態様の拡大やメンテナンス向上なども実現できる。
【0104】
(空気供給孔)
空気供給孔51は、空気層5から内部空間21に空気を供給する。ここで、複数の空気供給孔51は、内部空間21の内壁に貫通するように、設けられる。ここで、単一の空気供給孔は、内径面積、内部体積などを異ならせることで供給できる空気量を調整できる。あるいは、ある空間における複数の空気供給孔51の個数を異ならせることにより、供給できる空気量を調整できる。
【0105】
すなわち、空気供給孔51の個数、内径面積の合計および内部体積の合計の少なくとも一つにより、内部空間21のある空間に供給される空気量を調整することができる。
【0106】
ここで、空気供給孔51を通じて供給される空気において、
一次燃焼空間22に供給される空気量 < 二次燃焼空間23に供給される空気量
であることが、好ましい。
【0107】
このように調整されることで、一次燃焼空間22での燃焼温度が過剰にならずに、固形物である燃焼対象物の過剰温度での燃焼によるクリンカ発生を抑制できる。また、第1温度 < 第2温度を実現できる。この温度関係により、二次燃焼空間23での燃焼温度が相対的に高くなり、ガス化したガスの十分な燃焼を実現できる。
【0108】
このため、空気供給孔51の個数、内径面積の合計および内部体積の合計の少なくとも一つが、一次燃焼空間22においてよりも二次燃焼空間23において多いもしくは大きいことが好適である。これにより、上述のような空気量の差分を生じさせることができる。
【0109】
これにより、一次燃焼から二次燃焼に繋がっていく効率の良い燃焼を実現できる。
【0110】
(一次燃焼空間)
内部空間21の根元側は、一次燃焼空間22である。一次燃焼空間22は、上述したように供給された燃焼対象物をガス化させる燃焼を行う。空気供給量が二次燃焼空間23より少ないことで、燃焼温度の第1温度は、第2温度よりも低い。
【0111】
第2温度よりも低い第1温度で一次燃焼することで、燃焼温度が過剰に高温となり過ぎず、固形の燃焼対象物の燃焼においてクリンカの発生を抑制できる、第1温度での燃焼が適当に行われることで、ガス化が適切に行われる。
【0112】
一次燃焼空間22での一次燃焼で生じたガスは、内部空間21の前方に移動する。前方は、二次燃焼空間23であり、二次燃焼空間23での二次燃焼にもちいられる。
【0113】
(二次燃焼空間)
二次燃焼空間23は、内部空間21の前方である。一次燃焼空間22の前方が二次燃焼空間23である。二次燃焼空間23は、一次燃焼により生じたガスを燃焼させる。ガスを燃焼させることで、その燃焼温度は高くなる。また、一次燃焼空間22に供給されるより多くの空気が供給される。これにより、第1温度より高い第2温度で燃焼する。
【0114】
結果として、燃焼対象物を十分に燃焼させる完全燃焼を行える。また、環状部材7により、燃焼や火炎が内部空間21にとどまりやすくなり、その完全燃焼の度合いが高まる。
【0115】
完全燃焼が生じることで、不完全燃焼による問題を解決できる。クリンカ抑制と耐火壁6と相まって、燃焼筒2の使用耐久性も向上する。
【0116】
(実施の形態2)
【0117】
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態2では、各種バリエーションなどについて説明する。
【0118】
(耐火壁)
図4は、図1のA-A‘の断面図である。燃焼筒2の内部を示す断面図である。
【0119】
燃焼筒2の内壁には、耐火壁6が備わる。耐火壁6には、内部空間21まで貫通する空気供給孔51が備わる。耐火壁6は、上述の通り、内部空間21での燃焼に対して燃焼筒2の温度上昇を防止して、使用耐久性を上げる。
【0120】
ここで、耐火壁6は、図4に示されるように複数の耐火材ユニット61により構成されることも好適である。図4では、内部空間21の延伸方向に沿って、複数の耐火材ユニット61が装着されている。
【0121】
複数の耐火壁ユニット61により耐火壁6が構成されることで、耐火壁6を内部空間21の内壁に装着する作業が容易となる。耐火壁6全体が一個である場合には、重量もあり、これを内部空間21に装着することが大変である。これに対して、複数の耐火材ユニット61であることで、一つずつ内部空間21に挿入して装着すればよい。これにより、製作作業の容易性が高まる。
【0122】
また、複数の耐火材ユニット61で構成されることで、一部が損耗しても交換やメンテナンスが容易となる。一部が損耗しても、耐火壁6全部ではなく耐火材ユニット61のいずれかを交換するだけで済むからである。損耗したり、交換の必要となった耐火材ユニット61のみを交換・修理することで、耐火壁6のメンテナンスが実現できる。
【0123】
また、耐火壁6の表面が、凸凹62を有することも好適である。凸凹を有することで、内部空間21での燃焼対象物の攪拌を進めることができる。たとえば、燃焼筒2が回転しながら燃焼させる場合には、凸凹62が攪拌を促す。攪拌されることで、燃焼対象物の燃焼がさらに進む。
【0124】
凸凹62は、複数の耐火材ユニット61同士の組み合わせにより形成されてもよい。図4では、耐火材ユニット61の組み合わせ部分の高さや形状の違いにより、凸凹62が形成されている。このように耐火材ユニット61の組み合わせ部分での凸凹62により、凸凹62の形成が容易である。また、耐火材ユニット61そのものの形状への製作負担が減り、コスト削減にもつながる。
【0125】
(燃焼筒)
燃焼筒2は、使用時において設置面に対して略水平に設置されることも好適である。支持部10は、燃焼筒2の角度を調整できる。この角度調整により、燃焼筒2を略水平にできる。できる。
【0126】
略水平であることで、内部空間21でどうしても発生しうるクリンカや燃え残りが、燃焼筒2の内部空間21の根元に溜まってしまうことを防止できる。根元側にこれらが転がり落ちてくるのを抑制できるからである。
【0127】
また、略水平であることで、内部空間21で発生しうるクリンカや燃え残りは、燃焼熱の圧力や風にあおられて、前方に移動しやすい。前方に移動することで、開口部3や環状部材7同士の隙間から外部に排出される。これにより、内部空間21にこれらが溜まってしまうことでの燃焼筒2の損耗を抑制できる。もちろん、燃焼効率の維持にも役立つ。
【0128】
支持部10により、燃焼筒2の角度は調整できる。このため、燃焼時や運搬時などにより角度を変えてもよいし、燃焼時であっても、燃焼状態により、角度を調整することもよい。
【0129】
また、内部空間21において、二次燃焼空間23の内径は一燃焼空間22の内径よりも小さくされることもよい。内径差があることで、燃焼や火炎が内部空間21によりとどまりやすくなる。これにより、燃焼効率が高まり、完全燃焼をより確実に実現できる。
【0130】
内部に燃焼や火炎が留まることで、燃焼が効率化して、過剰な空気の供給も抑制できる。過剰な空気供給が抑制されることで、一酸化炭素の発生も抑制され、安全性の高さや環境負荷の低さを実現できる。
【0131】
以上のように、実施の形態2における燃焼装置1は、燃焼効率や使用耐久性の向上を実現できる。
【0132】
以上、実施の形態1~2で説明された燃焼装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0133】
1 燃焼装置
2 燃焼筒
21 内部空間
22 一次燃焼空間
23 二次燃焼空間
27 三次燃焼空間
3 開口部
4 燃料供給部
5 空気層
51 空気供給孔
6 耐火壁
61 耐火材ユニット
7 環状部材
10 支持部
図1
図2
図3
図4