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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099238
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】シャッター構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20240718BHJP
   B60N 3/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003036
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中郡 弥生
【テーマコード(参考)】
3B088
3D022
【Fターム(参考)】
3B088LA02
3B088LB01
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC19
3D022CD19
(57)【要約】
【課題】シャッターを開閉する際の操作性の低下を抑制する。
【解決手段】シャッター構造は、車室内に配設され、上方に向けて開口している開口部4と、開口部4を開閉可能に移動するシャッター10と、を備える。また、シャッター10の移動方向に垂直な幅方向における当該シャッター10の端部11aを摺動可能に支持するレール部20aを備える。シャッター10の端部11aのうち、レール部20aよりも幅方向内方の部分には、レール部20aに沿って延在する第1縦壁部13が立設されている。第1縦壁部13は、シャッター10が開口部4を閉塞する閉状態においてシャッター10の上面10aから上方に向けて延出している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に配設され、上方に向けて開口している開口部と、
前記開口部を開閉可能に移動するシャッターと、
前記シャッターの移動方向に垂直な幅方向における当該シャッターの端部を摺動可能に支持するレール部と、
を備え、
前記シャッターの端部のうち、前記レール部よりも前記幅方向内方の部分には、前記レール部に沿って延在する第1縦壁部が立設され、
前記第1縦壁部は、前記シャッターが前記開口部を閉塞する閉状態において前記シャッターの上面から上方に向けて延出している、シャッター構造。
【請求項2】
前記シャッターの端部は、前記第1縦壁部よりも前記幅方向外方に向けて突出した複数の凸部を有し、
前記閉状態において、前記複数の凸部の各々の上方側には、前記複数の凸部の各々の間に形成された隙間に向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面が形成され、
前記傾斜面は、前記複数の凸部の各々のうち、前記第1縦壁部よりも前記幅方向外方であって、前記レール部よりも前記幅方向内方の領域に形成されている、請求項1に記載のシャッター構造。
【請求項3】
前記複数の凸部の各々における、前記傾斜面よりも前記幅方向外方の領域には、前記レール部に沿って延在する第2縦壁部が立設され、
前記第2縦壁部の前記幅方向内方側の面は前記レール部よりも前記幅方向内方に位置している、請求項2に記載のシャッター構造。
【請求項4】
前記レール部を上方から覆うカバー部材を更に備え、
前記カバー部材の前記幅方向内方側の縁部は、前記閉状態において前記第1縦壁部よりも前記幅方向内方に位置し、かつ、前記第1縦壁部の上端部よりも下方に位置している、請求項1に記載のシャッター構造。
【請求項5】
前記カバー部材のうち、前記シャッターが前記移動方向に移動する際に前記第1縦壁部と上下方向において対向する部分は、上方に膨出するように形成されている、請求項4に記載のシャッター構造。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記移動方向に延在すると共に下方に延出する第3縦壁部を有し、
前記第3縦壁部は、前記閉状態において、前記幅方向における前記レール部と前記第1縦壁部との間に配設され、
前記第3縦壁部の下端部は、前記閉状態において前記第1縦壁部の上端部よりも下方に位置している、請求項4又は5に記載のシャッター構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1が開示する収納装置用カバー体では、シャッターの端部と左右各上面化粧部との間に隙間が形成されている。この隙間側におけるシャッターの端部は、遮蔽部材によって構成される。この遮蔽部材は、左右各上面化粧部と枠部側レール部との間に向けて伸び、左右各上面化粧部の下方側に至っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-62763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば車室内に配設された収容スペースは、シャッターによって閉塞可能に構成される場合が有る。そのような場合には、シャッターをレール部に沿って移動させることで、収容スペースが閉塞された状態と、収容スペースが開放された状態と、を切替えることができる。ここで、シャッターとレール部との間に例えば砂等の異物が侵入することにより、シャッターの開閉を行う際の操作性が低下するおそれが有った。
【0005】
本発明の目的は、シャッターを開閉する際の操作性の低下を抑制するシャッター構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るシャッター構造は、車室内に配設された開口部と、前記開口部を開閉可能に移動するシャッターと、前記シャッターの端部を支持するレール部と、を備え、前記シャッターの端部のうち、前記レール部よりも前記幅方向内方の部分には、前記レール部に沿って延在する第1縦壁部が立設され、前記第1縦壁部は、前記シャッターが前記開口部を閉塞する閉状態において前記シャッターの上面から上方に向けて延出している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シャッターを開閉する際の操作性の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るシャッター構造の、シャッター部の配設位置の一例を示す斜視図である。
図2】実施形態に係るシャッター構造の、シャッター部を示す平面図であって、シャッターと、レール部と、カバー部材と、の配設関係を示す図である。
図3】実施形態に係るシャッター構造の、開状態におけるシャッター部を示す部分斜視図であって、シャッターと、サイドパネルと、カバー部材と、の配設関係を示す図である。
図4】実施形態に係るシャッター構造の、閉状態におけるシャッターと、レール部と、サイドパネルと、の配設関係を示す斜視図である。
図5】実施形態に係るシャッター構造の、閉状態におけるシャッターと、レール部と、サイドパネルと、の配設関係を示す図であって、図2のV-V線に沿った部分断面図である。
図6】実施形態に係るシャッター構造の、開状態におけるシャッターと、レール部と、サイドパネルと、の配設関係を示す図であって、図5に相当する部分断面図である。
図7】実施形態に係るシャッター構造の、閉状態におけるシャッターと、レール部と、カバー部材と、の配設関係を示す図であって、図2のVII-VII線に沿った部分断面図である。
図8】実施形態に係るシャッター構造の、シャッターの側端部の構造を示す斜視図である。
図9】実施形態に係るシャッター構造の、閉状態におけるシャッターの上面に存在する異物が第1縦壁部を越えて移動した場合の、当該異物の移動経路について説明するための説明図であって、図7のIX-IX線に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係るシャッター構造について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両前後方向前方、後方のそれぞれを示す。LH,RHは、車幅方向左方、右方のそれぞれを示す。UP,DNは、車両上下方向上方、下方のそれぞれを示す。以下の説明では、車両前後方向前方、後方、車幅方向左方、右方、車両上下方向上方、下方を、それぞれ単に「車両前方」「車両後方」「車両左方」「車両右方」「上方」「下方」と称する。なお、以下の説明では同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
実施形態に係るシャッター構造は、例えば車室内に配設されたシャッター部1の構造として適用することができる。シャッター部1は車室内に設けられた開閉可能な構造を有する部分であり、例えばセンターコンソール2に配設されている(図1参照)。図3に例示されるように、シャッター部1の内部には例えば収容スペース3が形成されてもよい。またシャッター部1には、車室内に配設され上方に向けて開口する開口部4が形成されている。図に例示された開口部4は収容スペース3の上方側を構成するが、これに限定されない。開口部4は他の目的で使用されるスペースの上方側を構成してもよい。
【0011】
収容スペース3は例えば飲料容器や被収容物等の物体を配設することができる空間であり、図3に示された例では、載置部5によって画成されている。載置部5には収容スペース3に収容する物体の形状等に合わせて所定の位置に凹凸が形成されている。収容スペース3の上方側には開口部4が形成されている。そのため、後述するシャッター10が図に例示される開状態のとき、乗員は開口部4を介して収容スペース3に物体を収容し、又は収容スペース3から物体を取り出すことができる。なお、開口部4は平面視で略矩形の形状を有してもよい。
【0012】
なお、図3に例示されるように、シャッター10が収容スペース3の開口部4を開放している状態を「開状態」という。開状態では、収容スペース3と車室内の空間とが開口部4を介して連通する。開状態では、シャッター10の前端部11cは位置P2に配置されてもよい。前端部11cはシャッター10の車両前方側の端部である。また、図2に例示されるように、シャッター10が収容スペース3の開口部4を閉塞している状態を「閉状態」という。閉状態では収容スペース3と車室の空間とがシャッター10によって仕切られる。そのため、開口部4を介して砂等の異物が収容スペース3に浸入することを抑制することができる。閉状態では、シャッター10の前端部11cは位置P1に配置される。
【0013】
図3に例示されるように、開状態において開口部4の少なくとも一部はシャッター部1の内周縁部により画成されている。当該内周縁部の少なくとも一部は後述するカバー部材40によって形成されてもよい。当該内周縁部は側縁部41a,41bと、後縁部41dと、を含んでもよい。また、当該内周縁部は前縁部2c(図1参照)を含んでもよい。図に例示された前縁部2cはセンターコンソール2の外装部材の一部を形成しており、閉状態おいてシャッター10の前端部11cが当接する部分であってもよい。
【0014】
図3に例示されるように、側縁部41aは開口部4の車両右方側を画成し、側縁部41bは開口部4の車両左方側を画成する。前縁部2cは開口部4の車両前方側を画成する(図1参照)。また、開状態において開口部4の車両後方側はシャッター10の前端部11cにより画成されてもよい。
【0015】
実施形態に係るシャッター構造はシャッター10と、レール部20aと、を備える。また、シャッター構造はカバー部材40を備えてもよい。
【0016】
シャッター10は開口部4を開閉可能に移動する部材である。図4図6に例示されるシャッター10は、収容スペース3の上方側の所定位置において、レール部20a,20bに沿って移動可能に配設されている。また、図2に例示されるように、閉状態において、シャッター10は平面視で略矩形の形状を有し、例えば樹脂から構成されてもよい。閉状態ではシャッター10の上面10aがシャッター部1の車室側の面の一部を構成する。上面10aは閉状態におけるシャッター10の上方側の面である。
【0017】
図4に例示されるように、シャッター10は、側端部11a、側端部11b、前端部11c、及び後端部11dを有する。側端部11a,11bはシャッター10の幅方向における端部である。側端部11aはシャッター10の車両右方側の端部を形成する。側端部11bはシャッター10の車両左方側の端部を形成する。前端部11cはシャッター10の車両前方側の端部を形成する。後端部11dはシャッター10の車両後方側の端部を形成する。なお、側端部11a,11bはシャッター10のうち、例えば閉状態において平面視でカバー部材40と重なる領域であってもよい。もっとも、側端部11a,11bのシャッター10の幅方向における寸法はこれに限定されず、例えばシャッター部1の形状、寸法、又は構造等に応じて適宜設定されてもよい。
【0018】
なお、シャッター10の幅方向とは、シャッター10の移動方向に垂直な方向であり、図示された例では車幅方向に相当する。シャッター10の幅方向を「シャッター幅方向」と称する。また、シャッター幅方向における、シャッター10の幅方向中心を向く方向をシャッター幅方向における内方とし、「シャッター幅方向内方」と称する。シャッター幅方向内方とは反対を向く方向をシャッター幅方向における外方とし、「シャッター幅方向外方」と称する。
【0019】
シャッター10の移動方向とは、開口部4を開閉する際にシャッター10が移動される方向である。また、当該移動方向は、シャッター10が開口部4を開閉する際に前端部11cが移動する方向であってもよい。図2に示された閉状態において、前端部11cを車両後方に向けて移動させることにより、開口部4を開放し開状態にすることができる。また、図3に示された開状態において、前端部11cを車両前方に向けて移動させることにより、開口部4を閉塞し閉状態にすることができる。即ち、図示された例ではシャッター10の移動方向は車両前後方向に相当する。もっとも、シャッター10の移動方向は車両前後方向に限定されない。当該移動方向は、例えばシャッター部1の車室内における位置、配設される向き等に応じて、適宜設定することができる。
【0020】
図2に示された閉状態では、シャッター10の前端部11cは位置P1に配置されている。このとき、開口部4はシャッター10によって閉塞されている。即ち、位置P1は閉状態において前端部11cが配置される位置である。なお、後端部11dは後縁部41dよりも車両後方に位置してもよい。
【0021】
閉状態から、前端部11cを所定の方向に移動させることにより、開状態にすることができる。図示された例では、前端部11cを、位置P1から車両後方に移動させて位置P2に配置することにより、開状態にすることができる(図3参照)。即ち、位置P2は開状態において前端部11cが配置される位置である。なお、開状態において前端部11cは後縁部41dよりも車両前方に位置してもよい。その場合、開口部4は側縁部41aの少なくとも一部と、側縁部41bの少なくとも一部と、前縁部2cと、前端部11cとによって画成されることとなる。
【0022】
シャッター10は複数のスラット12を含んでもよい(図8参照)。スラット12はシャッター10の遮蔽面を構成する部材であり、シャッター幅方向に延在する角柱状の形状を有してもよい。シャッター10は複数のスラット12を移動方向に並列配置し組み合わせることにより構成されている。また、シャッター10は隣り合うスラット12同士の間に溝が形成されるように、屈曲可能に構成されている。
【0023】
図4に例示されるシャッター部1では、シャッター10はサイドパネル30a及びサイドパネル30bによって車幅方向に挟持される。サイドパネル30a,30bは、シャッター部1の所定位置において車両前後方向に延在すると共に、上下方向に立設されている。なお、サイドパネル30aはシャッター10の車両右方に配設され、サイドパネル30bはシャッター10の車両左方に配設される。
【0024】
サイドパネル30a,30bの上方側の縁部は略車両前後方向に延在してもよい。また、サイドパネル30a,30bの下方側の縁部は略車両前後方向に延在してもよい。サイドパネル30a,30bの車両後方側の部分は、車両前方側の部分よりも上下方向の寸法が大きくなるように設定されてもよい。また、サイドパネル30a,30bの車両後方側の縁部は、車両後方に向けて凸となるように湾曲してもよい。
【0025】
サイドパネル30a,30bにはレール部20a,20bが形成されている。図示された例では、レール部20aはサイドパネル30aに形成され、レール部20bはサイドパネル30bに形成される。レール部20aはシャッター10の側端部11aを摺動可能に支持し、レール部20bはシャッター10の側端部11bを摺動可能に支持する。
【0026】
シャッター10はレール部20a,20bによって摺動可能に支持されているため、乗員の開閉操作に応じてレール部20a,20bに沿って移動可能である。即ち、レール部20a,20bはシャッター10が所定の経路に従って移動するように、シャッター10を案内する。例えば、図5に例示される閉状態において、位置P1に配置された前端部11cを、図中の矢印Aに示すように車両後方に移動させ、図6に例示されるように位置P2に配置することにより、開状態に切替えることができる。
【0027】
図4図6に例示されるように、レール部20aはサイドパネル30aの車両左方側の面において、サイドパネル30aの上方側の縁部、車両後方側の縁部、及び下方側の縁部に沿うようにして、滑らかに連続するように形成されてもよい。レール部20aは、上部21a1、後部21a2、及び下部21a3を含んでもよい。上部21a1はサイドパネル30aの上方側の縁部に沿うようにして、車両前後方向に延在してもよい。後部21a2はサイドパネル30aの車両後方側の縁部に沿うようにして、車両後方に向けて凸となるように湾曲しながら延在してもよい。下部21a3はサイドパネル30aの下方側の縁部に沿うようにして、車両前後方向に延在してもよい。
【0028】
レール部20bはレール部20aと同様に構成されてもよい。即ち、レール部20bはサイドパネル30bの車両右方側の面において、サイドパネル30bの上方側の縁部、車両後方側の縁部、及び下方側の縁部に沿うようにして、滑らかに連続するように形成されてもよい(図4参照)。レール部20bは、上部21b1、後部21b2、及び下部21b3を含んでもよい。上部21b1はサイドパネル30aの上方側の縁部に沿うようにして、車両前後方向に延在してもよい。後部21b2はサイドパネル30aの車両後方側の縁部に沿うようにして、車両後方に向けて凸となるように湾曲しながら延在してもよい。下部21b3はサイドパネル30aの下方側の縁部に沿うようにして、車両前後方向に延在してもよい。
【0029】
図に例示された後部21a2は、上部21a1と下部21a3とを連続的かつ滑らかに接続する。また、後部21b2は、上部21b1と下部21b3とを連続的かつ滑らかに接続する。そのため、閉状態から開状態に切替える際、シャッター10の後端部11d側の所定領域はレール部20a,20bに沿うように屈曲しながら、サイドパネル30aの車両後方側の部分と、サイドパネル30bの車両後方側の部分と、の間で挟持されることとなる。
【0030】
カバー部材40はレール部20a,20bを上方から覆う部材である(図2及び図3参照)。カバー部材40を備えることにより、シャッター部1の剛性がより向上される。カバー部材40は平面視で略C字状の形状を有する樹脂製の部材であってもよい。また、閉状態においてカバー部材40はシャッター10の側端部11a,11bを上方から覆ってもよい。図示された例では、カバー部材40はレール部20aを上方から覆う第1カバー領域42aと、レール部20bを上方から覆う第2カバー領域42bと、を有する。第1カバー領域42aはサイドパネル30aを車両右方から覆ってもよく、第2カバー領域42bはサイドパネル30bを車両左方から覆ってもよい。
【0031】
第1カバー領域42aと第2カバー領域42bとは連結されてもよい。図示された例では、第1カバー領域42aの車両後方側の部分と、第2カバー領域42bの車両後方側の部分とが、車幅方向に延在する第3カバー領域42cによって接続されている。これにより、カバー部材40の剛性をより向上させることができる。なお、第1カバー領域42a、第2カバー領域42b、及び第3カバー領域42cは一体的に成形されていてもよい。これによ、カバー部材40をより簡易な構造にすることができる。
【0032】
また、図7に例示されるように、カバー部材40は、複数のカバー部材を組み合わせることにより構成されてもよい。これにより、より複雑な形状を有するカバー部材40をより容易に形成することができる。図に例示されたカバー部材40は、アウターカバー43と、インナーカバー44とを備える。アウターカバー43は、カバー部材40における車室側の外装面の少なくとも一部を構成する部材である。インナーカバー44は、カバー部材40のうちレール部20a,20b側の部分を構成する部材である。
【0033】
なお、図2及び図3に示されるように、側縁部41aは第1カバー領域42aにおけるアウターカバー43の車両左方側を構成してもよい。側縁部41bは第2カバー領域42bにおけるアウターカバー43の車両右方側を構成してもよい。後縁部41dは第3カバー領域42cにおけるアウターカバー43の車両前方側を構成してもよい。
【0034】
なお、アウターカバー43とインナーカバー44とを組み合わせる際の固定方法は特に限定されない。例えば、アウターカバー43の所定位置に形成された突起部を、インナーカバー44の所定位置に設けられた開口に嵌合させることにより、アウターカバー43にインナーカバー44を固定し、カバー部材40を構成してもよい。また、アウターカバー43とインナーカバー44とを一体的に成形することにより、カバー部材40を構成してもよい。
【0035】
次に、図5図9を参照しながら、シャッター部1のうち車両右方側の部分を例にとって、シャッター10、レール部20a、及びカバー部材40の構造及び配設関係について更に説明する。
【0036】
なお、実施形態に係るシャッター構造では、シャッター部1は、シャッター幅方向における中心線を通る、上下方向に平行な面に対して、面対称の形状を備えてもよい。もっとも、シャッター部1の構造は各図に示された態様に限定されない。例えば、シャッター部1のうち車両左方側の部分には、車両右方側の部分と異なる構造が適用されてもよい。
【0037】
図5図7に例示されるように、レール部20aは第1壁部22を備える。第1壁部22は閉状態においてシャッター10の側端部11aが載置される部分である。即ち、第1壁部22は、レール部20aの上部21a1のうち下方側の部分を構成し、側端部11aを直接支持する部分である。第1壁部22はサイドパネル30aの上方側の縁部において、車両左方に向けて延出するように形成されてもよい。また、第1壁部22は、レール部20aにおいて後部21a2の車両前方側の部分を構成し、下部21a3の上方側の部分を構成してもよい(図5及び図6参照)。
【0038】
レール部20aは第2壁部23を備えてもよい。第2壁部23はサイドパネル30aの上方側の縁部において、第1壁部22よりも上方の領域から車両左方に向けて延出してもよい。第2壁部23は第1壁部22と略平行に延在してもよい。第2壁部23は、レール部20aの上部21a1のうち上方側の部分を構成し、後部21a2の車両後方側の部分を構成し、下部21a3の下方側の部分を構成してもよい(図5及び図6参照)。
【0039】
第1壁部22と第2壁部23との間には溝24が形成されており、溝24内にシャッター10の側端部11aを摺動可能に配設することにより、シャッター10をレール部20aに沿って移動可能に取り付けることができる。
【0040】
図7及び図8に例示されるように、シャッター10の側端部11aには第1縦壁部13が立設されている。第1縦壁部13は、閉状態においてシャッター10の上面10aから上方に向けて延出している。第1縦壁部13は、側端部11aのうち、レール部20aよりもシャッター幅方向内方の部分に形成されている。また、第1縦壁部13はレール部20aに沿って延在する。例えば、閉状態において第1縦壁部13は、側端部11aから上方に向けて延出すると共に、レール部20aの第2壁部23に沿って延在してもよい。また、図に例示されたシャッター10は複数のスラット12を組み合わせることにより形成されている。そのため、シャッター幅方向における、複数のスラット12の各々の端部に第1縦壁部13が立設されている。なお、第1縦壁部13は、シャッター幅方向外方側の側面が、端部22aよりもシャッター幅方向内方に位置するように構成されてもよい。端部22aは、第1壁部22のシャッター幅方向内方側の端部である。
【0041】
シャッター10の側端部11aは複数の凸部15を有してもよい(図7図9参照)。複数の凸部15の各々は、側端部11aのうち、第1縦壁部13よりもシャッター幅方向外方に向けて突出するように形成された部分であってもよい。また、シャッター幅方向における、複数のスラット12の各々の端部に凸部15が形成されてもよい。また、複数の凸部15の各々の間には隙間17が形成されてもよい。隙間17は閉状態において上下方向に貫通する空間である。シャッター10がレール部20aに取り付けられた状態において、隙間17は、レール部20aのシャッター幅方向内方側の端部よりもシャッター幅方向内方まで延在している。また、隙間17は第1縦壁部13のシャッター幅方向外方側の側面よりも、シャッター幅方向内方まで延在してもよい。
【0042】
図示された例では、レール部20aに側端部11aを取り付ける際、溝24内に複数の凸部15の各々が配置される。ここで、シャッター幅方向において、凸部15の寸法は第2壁部23の寸法よりも大きい。そのため、第2壁部23の、シャッター幅方向内方側の端部と、第1縦壁部13との間には隙間が形成される。
【0043】
複数の凸部15の各々は傾斜面16を備えてもよい。傾斜面16は閉状態において凸部15の上方側を形成する。また、閉状態において、傾斜面16は隙間17に向けて、下り勾配に傾斜する(図9参照)。なお、図に例示された傾斜面16は平面によって構成されているが、これに限定されない。傾斜面16は閉状態において隙間17に向けて、下り勾配に傾斜する曲面であってもよい。なお、図示された例では、傾斜面16は、閉状態における凸部15の車両前方側及び車両後方側の各々に形成されているが、これに限定されない。例えば、傾斜面16は、閉状態における凸部15の車両前方側及び車両後方側のいずれか一方にのみ形成されてもよい。
【0044】
図7に例示されるように、傾斜面16は、凸部15のうち第1縦壁部13よりもシャッター幅方向外方の部分に形成されている。また、傾斜面16は、凸部15のうちレール部20aよりも、シャッター幅方向内方の部分に形成されている。即ち、傾斜面16は複数の凸部15の各々のうち、第1縦壁部13よりもシャッター幅方向外方であって、レール部20aよりもシャッター幅方向内方の部分に形成されてもよい。なお、凸部15のうち、端部22aよりもシャッター幅方向内方の部分に、傾斜面16を配設してもよい。
【0045】
複数の凸部15の各々には第2縦壁部14が立設されてもよい。図に例示された第2縦壁部14は閉状態において凸部15から上方に延出するように形成されている。また、第2縦壁部14は、傾斜面16よりも、シャッター幅方向外方の領域に形成され、レール部20aに沿って延在してもよい。第2縦壁部14の側面14aは、レール部20aよりもシャッター幅方向内方に位置してもよい。側面14aは、第2縦壁部14のシャッター幅方向内方側の面である。なお、第2縦壁部14は、端部22aよりもシャッター幅方向内方に側面14aが位置するように形成されてもよい。第2縦壁部14はシャッター幅方向において傾斜面16と直接隣接するように形成されてもよい。また、シャッター10がレール部20aに取り付けられた状態において、隙間17は側面14aよりもシャッター幅方向外方まで延在してもよい。
【0046】
カバー部材40の側縁部41aは、閉状態において第1縦壁部13よりも、シャッター幅方向内方に位置してもよい。また、側縁部41aは、第1縦壁部13の上端部13aよりも下方に位置してもよい。側縁部41aは、カバー部材40のシャッター幅方向内方側の縁部である。図示された例では、側縁部41aが第1縦壁部13よりも車両左方に位置し、かつ、上端部13aよりも下方に位置する。
【0047】
カバー部材40は膨出部45を備えてもよい。膨出部45はカバー部材40の少なくとも一部を上方に膨出させることにより形成された領域である。また、膨出部45は、カバー部材40のうち、シャッター10が移動方向に移動する際に第1縦壁部13と上下方向において対向する部分に形成されてもよい。図7に例示された膨出部45は、カバー部材40の側縁部41a側の所定領域を上方に膨出させることにより形成されている。また、膨出部45はシャッター10の移動方向である車両前後方向に延在してもよい。膨出部45はアウターカバー43に形成されてもよい。膨出部45を形成することにより、閉状態においてアウターカバー43と第1縦壁部13との間に形成される空間Sの、上下方向における寸法を比較的大きく設定することができる。そして、シャッター10が開閉操作される際には、第1縦壁部13は空間Sを移動することとなる。
【0048】
カバー部材40は第3縦壁部46を有してもよい。第3縦壁部46は、カバー部材40の所定位置から下方に延出すると共に、シャッター10の移動方向に延在してもよい。図に例示された第3縦壁部46は、インナーカバー44の上方側の部分における、シャッター幅方向内方側の端部から下方に延出するように形成されている。また、第3縦壁部46は、閉状態においてレール部20aと第1縦壁部13との間に配設されてもよい。図に例示された第3縦壁部46は、第2壁部23のシャッター幅方向内方側の端部と、第1縦壁部13との間に形成された隙間に配設されている。第3縦壁部46の下端部46aは、閉状態において第1縦壁部13の上端部13aよりも下方に位置してもよい。なお、下端部46aは、閉状態において第2縦壁部14の上端部よりも下方に位置してもよい。また、シャッター幅方向において、第3縦壁部46のシャッター幅方向内方側の側面は、傾斜面16のシャッター幅方向内方側の縁部よりも、シャッター幅方向外方に位置してもよい。
【0049】
なお、第3縦壁部46と第1縦壁部13とは、シャッター幅方向において離隔し、かつ、下端部46aと凸部15とは上下方向に離隔してもよい。即ち、第3縦壁部46は閉状態においてシャッター10の側端部11aと接触しないように形成されてもよい。これにより、シャッター10の開閉操作を行う際に、第3縦壁部46とシャッター10との接触を抑制し、シャッター10の開閉をより容易に行うことができる。
【0050】
以下、実施形態に係るシャッター構造の作用効果について説明する。
【0051】
(1)実施形態に係るシャッター構造は、車室内に配設され、上方に向けて開口している開口部4と、開口部4を開閉可能に移動するシャッター10と、を備える。また、当該シャッター構造は、シャッター10の移動方向に垂直な幅方向における当該シャッター10の端部11aを摺動可能に支持するレール部20aを備える。シャッター10の端部11aのうち、レール部20aよりも幅方向内方の部分には、レール部20aに沿って延在する第1縦壁部13が立設されている。第1縦壁部13は、シャッター10が開口部4を閉塞する閉状態においてシャッター10の上面10aから上方に向けて延出している。
【0052】
実施形態に係るシャッター構造によれば、例えば車室内に設けられた収容スペース3を開閉可能なシャッター10には第1縦壁部13が形成されている。そのため、閉状態のシャッター10の上面10aに例えば砂等の異物が存在する場合であっても、当該異物の移動が第1縦壁部13によって規制される。例えば、図7に例示されたシャッター10の上面10aに当該異物が存在したとしても、当該異物のシャッター幅方向への移動は第1縦壁部13に規制されることとなる。これにより、当該異物が上面10aからレール部20aに向けて侵入することを抑制することができる。従って、レール部20aに侵入した異物に起因する、シャッター10の開閉操作における摩擦抵抗の増大を抑制することができる。その結果、シャッター10を開閉する際の操作性の低下を抑制することができる。
【0053】
(2)シャッター10の端部11aは、第1縦壁部13よりも幅方向外方に向けて突出した複数の凸部15を有してもよい。閉状態において、複数の凸部15の各々の上方側には、複数の凸部15の各々の間に形成された隙間17に向けて、下り勾配に傾斜する傾斜面16が形成されてもよい。傾斜面16は、複数の凸部15の各々のうち、第1縦壁部13よりも幅方向外方であって、レール部20aよりも幅方向内方の領域に形成されてもよい。
【0054】
シャッター10の上面10aの異物が、図9の矢印Bに例示されるように、第1縦壁部13を越えてシャッター幅方向外方に移動した場合であっても、当該異物は傾斜面16に向けて落下し、矢印Cに例示されるように傾斜面16に案内されて隙間17に落下する。なお、第1縦壁部13を越えて移動した当該異物は隙間17に直接落下してもよい。これにより、当該異物がレール部20aに浸入することをより確実に抑制することができる。
【0055】
(3)複数の凸部15の各々における、傾斜面16よりも幅方向外方の領域には、レール部20aに沿って延在する第2縦壁部14が立設されてもよい。第2縦壁部14の幅方向内方側の面14aはレール部20aよりも幅方向内方に位置してもよい。
【0056】
これにより、傾斜面16に落下した異物がシャッター幅方向外方に移動した場合であっても、当該異物の移動を第2縦壁部14によって規制することができる。そのため、当該異物をより確実に傾斜面16で隙間17に向けて案内することができる。従って、当該異物がレール部20aに浸入することをより確実に抑制することができる。
【0057】
(4)上記シャッター構造は、レール部20aを上方から覆うカバー部材40を更に備えてもよい。カバー部材40の幅方向内方側の縁部41aは、閉状態において第1縦壁部13よりも幅方向内方に位置し、かつ、第1縦壁部13の上端部13aよりも下方に位置してもよい。
【0058】
これにより、カバー部材40は、第1縦壁部13よりシャッター幅方向内方かつ上端部13aよりも下方まで側端部11aを覆うこととなる。そのため、第1縦壁部13よりもシャッター幅方向外方の領域に砂等の異物が浸入することをより確実に抑制することができる。また、レール部20a及び第1縦壁部13をカバー部材によって覆うことにより、シャッター部1の全体的見栄えをより向上させることができる。更に、カバー部材40で補強することにより、シャッター部1の剛性をより向上させることができる。そのため、シャッター10を開閉する際の操作性をより向上させることができる。
【0059】
(5)カバー部材40のうち、シャッター10が移動方向に移動する際に第1縦壁部13と上下方向において対向する部分は、上方に膨出するように形成されてもよい。
【0060】
これにより、カバー部材40に膨出部45が形成される。そして、シャッター10の開閉時には、第1縦壁部13を膨出部45の下方に形成される空間Sにおいて移動させることができる。これにより、カバー部材40の下面と、第1縦壁部13の上端部13aとの間の隙間をより大きく設定することができる。そのため、第1縦壁部13の高さをより高く設定可能となり、レール部への異物の侵入をより確実に抑制することができる。
【0061】
(6)カバー部材40は、移動方向に延在すると共に下方に延出する第3縦壁部46を有してもよい。第3縦壁部46は、閉状態において、幅方向におけるレール部20aと第1縦壁部13との間に配設され、第3縦壁部46の下端部46aは、閉状態において第1縦壁部13の上端部13aよりも下方に位置してもよい。
【0062】
これにより、シャッター10の上面10aに存在する異物が第1縦壁部13を越えてシャッター幅方向外方に移動した場合であっても、当該異物のレール部20aに向けた移動は第3縦壁部46によって規制されることとなる。そのため、レール部20aへの異物の侵入をより確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0063】
4 開口部
10 シャッター
11a 側端部(端部)
13 第1縦壁部
13a 上端部
14 第2縦壁部
14a 側面(面)
15 凸部
16 傾斜面
17 隙間
20a レール部
40 カバー部材
41a 側縁部(縁部)
45 膨出部
46 第3縦壁部
46a 下端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9