(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099240
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】建設機械の作業管理方法
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240718BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240718BHJP
【FI】
E02F9/20 N
G06Q50/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003039
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三浦 悟
(72)【発明者】
【氏名】浜本 研一
(72)【発明者】
【氏名】高見 聡
(72)【発明者】
【氏名】出石 陽一
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 出
(72)【発明者】
【氏名】青木 恒
(72)【発明者】
【氏名】小熊 正
(72)【発明者】
【氏名】服部 良彦
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 孝治
(72)【発明者】
【氏名】仲村 滋夫
【テーマコード(参考)】
2D003
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AA02
2D003BA02
2D003BA03
2D003BA04
2D003BA06
2D003BA07
2D003DB02
2D003DB05
2D003DB06
2D003DC01
2D003DC02
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】自動運転可能な建設機械を含む複数の建設機械が所定の作業領域内で作業を行う場合の施工効率を向上させる。
【解決手段】建設機械2の作業管理方法は、作業管理システム100から自動運転する建設機械2に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、自動運転する建設機械2による作業が行われる自動作業エリアAを設定するとともに、自動作業エリアAを含み自動作業エリアAよりも広いエリアを他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定するエリア設定工程と、を有し、自動作業エリアAは、自動作業内容において位置情報として設定され、自動運転する建設機械2は、位置情報に基づいて作業を行う。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転可能な建設機械による作業を含む複数の建設作業を管理する作業管理システムによる作業管理方法であって、
前記作業管理システムから自動運転する前記建設機械に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、
自動運転する前記建設機械による作業が行われる自動作業エリアを設定するとともに、前記自動作業エリアを含み前記自動作業エリアよりも広いエリアを他の建設機械や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアとして設定するエリア設定工程と、を有し、
前記自動作業エリアは、前記自動作業内容において位置情報として設定され、
自動運転する前記建設機械は、前記位置情報に基づいて作業を行う、
作業管理方法。
【請求項2】
前記進入禁止エリアは、前記自動作業エリアにおいて自動運転する前記建設機械の機体の全長の2.5倍を超えない所定の長さだけ前記自動作業エリアより大きく設定される、
請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項3】
前記進入禁止エリアは、前記自動作業エリアにおいて自動運転する前記建設機械の機体の全長の0.1倍以上の所定の長さだけ前記自動作業エリアより大きく設定される、
請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項4】
自動運転可能な建設機械による作業を含む複数の建設作業を管理する作業管理システムによる作業管理方法であって、
前記作業管理システムから自動運転する前記建設機械に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、
自動運転する前記建設機械による作業が行われる自動作業エリアを設定するとともに、前記自動作業エリアを含み前記自動作業エリアよりも広いエリアを他の建設機械や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアとして設定するエリア設定工程と、を有し、
前記自動作業内容には、自動運転する前記建設機械の作業対象である被作業物の目標値が含まれ、
自動運転する前記建設機械は、前記自動作業エリア内の前記被作業物の状態が前記目標値を満たすように作業を行う、
作業管理方法。
【請求項5】
自動運転する前記建設機械は、敷き均し機械であり、
前記被作業物は、運搬されて荷卸しされる盛土材であり、
前記自動作業エリアは、前記盛土材が敷き均される範囲に基づいて設定される、
請求項4に記載の作業管理方法。
【請求項6】
前記エリア設定工程では、自動運転する前記建設機械により先行して作業が行われる先行自動作業エリアと、自動運転する他の前記建設機械によって前記先行自動作業エリアで行われる作業よりも後行して作業が行われる後行自動作業エリアとが、互いに重複しないように設定され、
前記作業管理方法は、前記先行自動作業エリア内で行われる作業の完了を判定する先行作業完了判定工程をさらに含み、
前記エリア設定工程では、前記先行作業完了判定工程において前記先行自動作業エリア内で行われる作業が完了したと判定された後に、前記先行自動作業エリアに対して設定された先行進入禁止エリアを解除し、前記後行自動作業エリアに対して設定された後行進入禁止エリアを、前記先行進入禁止エリアの一部が含まれるように更新する、
請求項1から5の何れか1つに記載の作業管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の作業管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、オペレータによる操作を必要としない自動運転が可能な建設機械が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、施工効率を向上させるために、特許文献1に記載されるような自動(自律)運転可能な建設機械の導入が進められている。自動運転される建設機械による作業によってすべての施工を完了させることが望ましいが、例えば、精緻な作業や仕上げ工程では、オペレータが手動操作する建設機械による作業が必要となる場合がある。つまり、作業領域内には自動運転状態の建設機械と手動運転状態の建設機械とが混在することとなる。
【0005】
自動運転状態の建設機械と手動運転状態の建設機械との間では意思の疎通を図ることが難しいことから、これらを混在させた場合、互いの作業や通行を阻害してしまう可能性が高くなり、結果として施工効率の低下や安全性の低下を招くおそれがある。
【0006】
本発明は、自動運転可能な建設機械を含む複数の建設機械が所定の作業領域内で作業を行う場合の施工効率を向上させるとともに安全性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、自動運転可能な建設機械による作業を含む複数の建設作業を管理する作業管理システムによる作業管理方法であって、作業管理システムから自動運転する建設機械に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、自動運転する建設機械による作業が行われる自動作業エリアを設定するとともに、自動作業エリアを含み自動作業エリアよりも広いエリアを他の建設機械や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアとして設定するエリア設定工程と、を有し、自動作業エリアは、自動作業内容において位置情報として設定され、自動運転する建設機械は、位置情報に基づいて作業を行う。
【0008】
また、本発明は、自動運転可能な建設機械による作業を含む複数の建設作業を管理する作業管理システムによる作業管理方法であって、作業管理システムから自動運転する建設機械に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、自動運転する建設機械による作業が行われる自動作業エリアを設定するとともに、自動作業エリアを含み自動作業エリアよりも広いエリアを他の建設機械や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアとして設定するエリア設定工程と、を有し、自動作業内容には、自動運転する建設機械の作業対象である被作業物の目標値が含まれ、自動運転する建設機械は、自動作業エリア内の被作業物の状態が目標値を満たすように作業を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、自動運転可能な建設機械を含む複数の建設機械が所定の作業領域内で作業を行う場合の施工効率を向上させるとともに安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る作業管理方法の実行に適した作業管理システムの全体構成を示す概念図である。
【
図2】作業管理システムにおける現場管理部及び建設機械の概略構成を示す構成図である。
【
図3】作業管理システムの作業管理部の機能を説明するためのブロック図である。
【
図4A】作業エリアで行われる作業の一例を説明するための図である。
【
図4B】作業エリアで行われる作業の一例を説明するための図である。
【
図4C】作業エリアで行われる作業の一例を説明するための図である。
【
図5】
図4Aに示される作業に対して設定される進入禁止エリアについて説明するための図である。
【
図6】
図4Cに示される作業に対して設定される進入禁止エリアについて説明するための図である。
【
図7】
図6に示される進入禁止エリアの更新方法について説明するための図である。
【
図8】
図6に示される進入禁止エリアの更新方法の他の例について説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る作業管理方法の処理の流れを示す図である。
【
図10A】作業エリアで行われる作業の他の例を説明するための図である。
【
図10B】作業エリアで行われる作業の他の例を説明するための図である。
【
図10C】作業エリアで行われる作業の他の例を説明するための図である。
【
図11】
図10Aに示される作業に対して設定される進入禁止エリアについて説明するための図である。
【
図12】
図10Cに示される作業に対して設定される進入禁止エリアについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る作業管理方法について説明する。
【0012】
まず、
図1~3を参照して、本発明の実施形態に係る作業管理方法の実行に適した作業管理システム100について説明する。
【0013】
作業管理システム100は、
図1に示すように、複数の作業現場1A,1B,1Cに配備された自動運転及び手動運転可能な複数の建設機械2による作業を一括して管理するために構築されたシステムである。作業管理システム100により管理される複数の作業現場1A,1B,1Cは、例えば、互いに数百km以上離れた場所に設定された土木作業領域である。なお、複数の作業現場1A,1B,1Cは、1つの土木工事現場内に設定された複数の作業領域であってもよい。
【0014】
また、作業現場1A,1B,1Cは、国内の土木作業現場に限らず、海外の土木作業現場であってもよいし、月面といった地球外の土木作業現場であってもよい。また、管理される作業現場1A,1B,1Cの数は、2か所以上であれば、何か所であってもよい。
【0015】
作業管理システム100は、各作業現場1A,1B,1C(作業領域)にそれぞれ設置される現場管理部30と、各作業現場1A,1B,1Cに配備された複数の建設機械2の作業状況を、現場管理部30を介して管理する作業管理部10と、を備える。作業管理部10と各現場管理部30とは、公衆回線等の通信ネットワーク50を介して互いに接続される。なお、以下では、作業管理システム100が、CSG(Cemented Sand and Gravel)等の盛土材を盛って台形ダム等の堤体を構築する土木作業に携わる建設機械2の作業を管理する場合について説明する。
【0016】
作業管理部10は、制御部11としてのCPU(Central Processing Unit)や、記憶部15としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータと、通信ネットワーク50を介して各現場管理部30とデータのやり取りを行う通信部12と、制御部11で演算された結果や各作業現場1A,1B,1Cの作業状況をリアルタイムで表示可能な表示部13と、作業を管理するオペレータの入力操作を受け付ける入力部14と、で主に構成される。記憶部15には、制御部11で実行されるプログラムやプログラムの実行に必要なデータが予め記憶されるとともに、制御部11において演算された結果が順次記憶される。なお、制御部11により行われる具体的な制御については、後述する。
【0017】
作業管理部10は、各作業現場1A,1B,1Cに配備された複数の建設機械2の作業を一括して管理するために、各作業現場1A,1B,1Cからは離れた場所に設置される。なお、作業管理部10は、何れかの作業現場1A,1B,1Cに設置されてもよい。
【0018】
次に、
図2を参酌し、各作業現場1A,1B,1Cに設置される現場管理部30及び各作業現場1A,1B,1Cに配備される建設機械2について説明する。なお、
図2には、複数の作業現場1A,1B,1Cのうちの1つの作業現場1Aにおける概略構成が示されている。
【0019】
現場管理部30は、作業管理部10と同様に、制御部31としてのCPU(Central Processing Unit)や、記憶部35としてのROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)を備えたマイクロコンピュータと、通信ネットワーク50を介して作業管理部10とデータのやり取りを行う通信部32と、作業管理部10の制御部11で演算された結果や作業現場1A内の状況、各建設機械2の状態をリアルタイムで表示可能な表示部33と、作業を管理するオペレータの入力操作を受け付ける入力部34と、で主に構成される。
【0020】
また、現場管理部30は、各建設機械2とデータのやり取りを行う送受信部36と、作業現場1A内を撮像する撮像部37と、をさらに備える。送受信部36は、LTE(Long Term Evolution)や5G、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信手段であり、撮像部37は、作業現場1A内の複数個所に設置されたカメラである。なお、他の作業現場1B,1Cに設置された現場管理部30も同様の構成となっている。
【0021】
作業現場1Aに配備された建設機械2は、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を構成するGPS衛星等からの信号を受信可能な位置取得部42と、加速度、角速度及び地磁気を検知可能な状態検知部43と、周囲の障害物等を検知可能な周囲検知部44と、現場管理部30とデータのやり取りを行う送受信部45と、これら各部で取得された情報に基づいて建設機械2の作動を制御する制御部41と、を汎用の建設機械に搭載することによって、自動(自律)運転することが可能な構成となっている。
【0022】
位置取得部42は、複数の測位衛星からの信号に基づいて建設機械2の位置(緯度,経度,高度)を検出可能な測位センサであり、状態検知部43は、建設機械2の状態を検知可能な加速度センサ、ジャイロセンサ、気圧センサ及び地磁気センサがユニット化された、いわゆる、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)であり、また、状態検知部43は、建設機械2の状態である稼働状況を検知するエンジン稼動検知センサ、建設機械2のバッテリや電装品の電圧・電流を検知する電圧計・電流計等である。周囲検知部44は、光を照射し物体で反射された反射光を計測することで周囲の空間を認識可能なレーザスキャナ等の三次元測域センサ、いわゆる、3D-LiDAR(light detection and ranging)センサや電波を使って計測対象物までの距離を計測可能なレーダセンサ(RADAR:Radio Detection and Ranging)であり、送受信部45は、現場管理部30の送受信部36と同様の無線通信手段である。
【0023】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)を主体として構成され、建設機械2に予め設置されている既存制御部48に接続されることにより、周囲検知部44により検知された結果から盛土材等の被作業物の状態や形状を検出するとともに周囲の安全性を確認する一方、位置取得部42や状態検知部43により検知された結果から自己位置や姿勢を確認することによって、指示された作業を自律して行うように建設機械2の操舵等を制御する。なお、建設機械2の自動(自律)運転は、予め定められた順番や判断に基づいて制御するシーケンス制御によって行われてもよいし、周囲検知部44によって計測された盛土材等の被作業物の形状や量に基づいて制御するフィードバック制御によって行われてもよいし、これらの制御を組み合わせることで行われてもよい。
【0024】
ここで、既存制御部48は、操舵等を手動で行うために建設機械2に予め設置されたハンドルやレバー等の既存操作部49がオペレータによって操作されることに応じて建設機械2の操舵やエンジン出力等を制御するものである。つまり、既存操作部49を操作した際に生じる信号と同等の信号を制御部41において生成し、生成された擬似信号を既存制御部48へと送信することにより、あたかもオペレータが操作しているかのうように建設機械2を動かすこと、遠隔操作により運転することが可能である。
【0025】
なお、建設機械2には、既存操作部49が設置されたままとなっているため、オペレータが搭乗することにより建設機械2を手動で操作することが可能である。
【0026】
また、建設機械2には、離れた場所からオペレータが建設機械2を操縦できるようにするために、運転室から見える作業現場1Aの状況を撮像可能な撮像部46や建設機械2の作業音等を拾う図示しない集音装置がさらに設けられる。撮像部46は、例えば、建設機械2の全周囲の状況を撮像可能なステレオカメラであり、後述の遠隔操縦部20で操作を行うオペレータの頭の向きや動きに応じて撮像方向が変化するものであることが好ましい。
【0027】
このように建設機械2は、自動(自律)運転可能であるとともに、オペレータが搭乗した状態での手動運転や、遠隔地でオペレータが操作することによる手動運転が可能な構成となっている。つまり、以下で説明される建設機械2の手動運転には、オペレータが建設機械2に搭乗して建設機械2の操縦を行う場合と、建設機械2には搭乗せず後述の遠隔操縦部20から遠隔操作によってオペレータが建設機械2の操縦を行う場合とが含まれる。
【0028】
自動運転及び手動運転可能に構成された建設機械2としては、例えば、ブルドーザやダンプトラック、振動ローラ、バックホウであり、作業現場1Aに配備されたこれら異なる種類の建設機械2による作業は、現場管理部30によって管理されるとともに、現場管理部30を介して作業管理部10により管理される。なお、建設機械2の種類によって既存操作部49の構成は異なるが、自動運転や遠隔操作を可能とするために必要な構成はほぼ同じである。
【0029】
作業管理システム100は、各作業現場1A,1B,1Cに配備された建設機械2を各作業現場1A,1B,1Cから離れた場所から遠隔で操縦するための遠隔操縦部20をさらに備える。
【0030】
遠隔操縦部20は、
図1に示されるように、遠隔制御部21としてのCPU(Central Processing Unit)を備えたマイクロコンピュータと、遠隔制御部21に接続される複数の遠隔操縦装置24と、遠隔操縦が行われるスケジュールや遠隔操縦される建設機械2の作業状況をリアルタイムで表示可能な表示部22と、で主に構成される。遠隔操縦部20は、作業管理部10の制御部11に直接接続されていてもよいし、通信ネットワーク50を介して作業管理部10と接続されていてもよい。また、遠隔操縦部20は、作業管理部10と同じ場所に設置されてもよいし、作業管理部10から離れた場所や何れかの作業現場1A,1B,1Cに設置されてもよい。
【0031】
遠隔操縦装置24は、建設機械2の操縦を行うためのハンドルやレバー等の操作部27や、建設機械2に設けられた撮像部46が撮像した映像や作業内容が表示される表示部26、建設機械2の周囲の音を出すための図示しないスピーカ等が設けられ、これらの作動はCPU(Central Processing Unit)を主体として構成された制御部25によって制御される。表示部26は、例えば、オペレータが装着するヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0032】
続いて、このように構成された作業管理システム100において、作業管理部10の制御部11が実行する制御について、
図3を参酌して説明する。
【0033】
制御部11は、
図3に示すように、各作業現場1A,1B,1CのCIM(Construction Information Modeling)データ等の3次元データに基づいて、自動運転可能な建設機械を含む複数の建設機械2が順番に構成作業を行う作業エリアを各作業現場1A,1B,1C内に設定する作業エリア設定部11Aと、作業エリア設定部11Aにより設定された各作業エリアにおいて各建設機械2が行う作業の内容を各建設機械2の諸元等に基づいて計画する作業計画部11Bと、作業エリア設定部11Aにより設定された各作業エリアや作業計画部11Bにより計画された作業内容を表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22に表示する告知部11Cと、各建設機械2の位置情報や各建設機械2から送信される信号に基づいて、作業計画部11Bにより計画された作業の進捗を管理するとともに作業の完了を判定する進捗管理部11Dと、を有する。
【0034】
作業エリア設定部11Aにおいて用いられるCIMデータ等の3次元データは、予め記憶部15や各現場管理部30の記憶部35に保存されている。なお、作業エリア設定部11Aにおいて用いられるデータは、入力部14を介してオペレータにより入力されてもよい。
【0035】
作業エリア設定部11Aは、先行構成作業が行われる先行作業エリアと、先行構成作業が行われた後に行われる後行構成作業が行われる後行作業エリアと、を各作業現場1A,1B,1C(作業領域)内に順次設定する。なお、先行構成作業及び後行構成作業の具体例については後述する。
【0036】
作業エリア設定部11Aにおいて、後行作業エリアは、進捗管理部11Dにより先行構成作業が完了したと判定された先行作業エリアの領域の範囲に、先行作業エリアの領域を超えない範囲内に設定され、先行作業エリアは、進捗管理部11Dにより先行構成作業が完了したと判定された先行作業エリアに隣接し、この領域と重複しないように設定される。このように、作業エリア設定部11Aは、構成作業の完了に応じて、自動運転可能な建設機械を含む複数の建設機械2がそれぞれ順番に構成作業を行う作業エリア(先行作業エリア,後行作業エリア)を各作業現場1A,1B,1C内に順次設定する。
【0037】
作業計画部11Bにおいて用いられる各建設機械2の諸元は、予め現場管理部30の入力部34を介してオペレータにより入力される。例えば、建設機械2がブルドーザである場合にはブレード幅等が、ダンプトラックである場合には最大積載量や走行速度が、振動ローラである場合にはローラ幅等が諸元として入力される。
【0038】
また、作業計画部11Bにおいて作業内容を計画する際、各作業現場1A,1B,1Cに配備された建設機械2のうち、点検中や修理中の建設機械2については計画の対象から除外され、作業を行うことが可能な状態にある建設機械2のみが計画の対象とされる。建設機械2が作業可能な状態にあるか否かについては、現場管理部30の入力部34を介してオペレータにより随時入力される。また、各建設機械2は、元々、図示しない作動油圧力センサや作動油温度センサに基づいて作業機械を作動させるアクチュエータ等の異常を検知する異常検知機能を有していることから、各建設機械2から送信される異常の有無に基づいて建設機械2が作業可能な状態にあるか否かを随時判定するようにしてもよい。
【0039】
作業計画部11Bにおいて計画される作業内容には、作業エリア設定部11Aで設定された作業エリア(先行作業エリア,後行作業エリア)内において、各建設機械2が作業を担当する作業担当範囲が含まれる。作業担当範囲は、具体的には、1つの作業エリアにおける構成作業が複数の建設機械2によって行われる場合、各建設機械2の作業能力に応じて設定され、例えば、建設機械2がブルドーザである場合には、ブレード幅が大きいものほど作業担当範囲が広めに設定され、建設機械2が振動ローラである場合には、ローラ幅が大きいものほど作業担当範囲が広めに設定される。
【0040】
また、建設機械2が自動運転により作業を行う場合、作業計画部11Bにおいて計画される作業内容には、自動運転作業を開始する開始位置や自動運転作業を終了する終了位置、開始位置から終了位置に至るまでの経路等が位置情報として含まれ、これらはデータ化されて、現場管理部30を介して作業を担当する建設機械2へと自動作業内容として送信される。
【0041】
また、自動作業内容には、例えば、盛土材等の被作業物に対する作業の内容であって、自動で作業が行われる自動作業エリアに関する情報と、自動作業エリア内における被作業物の目標値(目標形状、目標仕様)が含まれており、後述のように各建設機械2が行う構成作業に応じてそれぞれ設定される。このように作業担当範囲内における自動作業エリアの位置や自動作業エリア内における目標値が設定されることにより、自動運転により作業を行う建設機械2は、被作業物の状態が目標値を満たす状態となるように、自動作業内容に含まれる位置情報に従って自動作業エリア内で作業を行うことになる。
【0042】
また、作業計画部11Bにおいて計画される作業内容には、作業エリア内において建設機械2が手動運転により作業を行う作業範囲である手動作業エリアに関する位置情報等が手動作業内容として含まれる。手動作業内容は、オペレータが建設機械2に搭乗する場合、現場管理部30を介して建設機械2に装備された端末やオペレータが所持するタブレット端末等に送信され、オペレータが遠隔操縦部20において建設機械2を遠隔操作する場合、遠隔操縦装置24に送信される。
【0043】
進捗管理部11Dにおいて取得された作業の進捗状況や作業の完了状況は、告知部11Cを介して、作業エリア設定部11Aにより設定された各作業エリア等と同様に、表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22に表示される。また、各表示部には、作業計画部11Bにより計画された作業が行われる順序や時刻がガントチャート等の工程表として表示される。これにより、作業の進捗状況を容易に把握することができる。
【0044】
また、進捗管理部11Dは、作業エリア設定部11Aにより設定された各作業エリア(先行作業エリア,後行作業エリア)内での各建設機械2の作業を監視する監視部としても機能する。進捗管理部11Dは、例えば、作業エリア設定部11Aにより設定された作業エリア内で建設機械2が指示通りに構成作業を行っているか否かを、位置取得部42で取得された建設機械2の位置情報等に基づいて監視し、建設機械2が設定された作業エリアの外に移動したと判定されると、告知部11Cを介して警報を発する。警報は、例えば、表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22、建設機械2の図示しない表示部に、警告メッセージ等を点滅表示させるとともに、警告音を流すことによってオペレータに報知される。
【0045】
なお、これら作業エリア設定部11A等は、制御部11の各機能を、仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。また、上記機能は、制御部11が実行する制御の一部であり、制御部11では、これら以外の機能に関連する制御も随時実行される。
【0046】
次に、
図4~9を参酌し、上記構成の作業管理システム100により行われる建設機械2の作業管理方法について、具体的に説明する。以下では、
図4A,
図4B及び
図4Cに示されるような複数の構成作業を繰り返すことで複数の層を形成し、堤体を構築する土木工事を例にして説明する。
【0047】
図4Aに示す構成作業は、自動運転のダンプトラック2B(運搬機械)によって運搬された盛土材を自動運転のブルドーザ2A(敷均し機械)によって敷き均す第1構成作業であり、
図4Bに示す構成作業は、手動運転のブルドーザ2C(敷均し機械)によって盛土材をさらに敷き均す第2構成作業であり、第1構成作業が行われた後に行われる構成作業である。また、
図4Cに示す構成作業は、自動運転の振動ローラ2D(転圧機械)によって盛土材の表面を転圧により締め固める第3構成作業であり、第2構成作業が行われた後に行われる構成作業である。なお、第3構成作業が行われた後に図示しない手動運転の振動ローラ(転圧機械)によって盛土材の表面を転圧によりさらに締め固める第4構成作業が行われてもよい。
【0048】
換言すれば、堤体を構築する土木工事において、一つの作業箇所における一つの層は、以下の手順で形成される。
・ダンプトラック2B(運搬機械)により盛土材が運搬される。
・ブルドーザ2A,2C(敷均し機械)により運搬された盛土材を所定の厚さ(敷き均し厚さ25cm)に敷き均す。
・振動ローラ2D(転圧機械)により敷き均しされた盛土材の表面を介して盛土材を締め固める。例えば、所定の回数(3回)にわたって往復して転圧する。
・手動運転の振動ローラ(転圧機械)によって、自動運転の振動ローラ2D(転圧機械)により転圧された盛土材の表面に部分的に発生した不陸や轍を整形しながら転圧する。
【0049】
このように、自動運転により行われる第1構成作業や第3構成作業の作業完了後に、手動運転による第2構成作業や第4構成作業を行うことで、自動運転では不十分だった作業箇所(部分的に発生する不陸や轍)を手動運転により修正することができる。また、自動運転により行われる第1構成作業や第3構成作業は大型の建設機械により作業を行ったり、複数台の建設機械により作業を行い、手動運転により行われる第2構成作業や第4構成作業は小型の建設機械により精度が要求される作業を行ったり、より少ない台数の建設機械により作業を行うことにより、省力化及び施工品質の向上が可能となる。
【0050】
具体的には、例えば、第1構成作業では、3台の大型のブルドーザ2Aで自動運転により作業を行う一方、第2構成作業では、1台の小型のブルドーザ2Cで手動運転により作業を行うようにしてもよく、また、第3構成作業では、5台の振動ローラ2Dで自動運転により作業を行う一方、第4構成作業では、2台の振動ローラで手動運転により作業を行うようにしてもよい。
【0051】
このように、所定の領域である作業エリアに対して、複数の構成作業が順番に行われることで一つの全体作業である盛土作業が完了し、堤体の一つの層が構築される。
【0052】
上述の自動運転のブルドーザ2Aによる第1構成作業は、手動運転のブルドーザ2Cによる第2構成作業に対して先に行われる先行構成作業となり、第2構成作業は、第1構成作業に対して後に行われる後行構成作業となる。また、第2構成作業は、自動運転の振動ローラ2Dによる第3構成作業に対して先に行われる先行構成作業となり、第3構成作業は、第2構成作業に対して後に行われる後行構成作業となる。
【0053】
なお、構成作業は、上述のような作業に限定されるものではなく、例えば、上述の第2構成作業と第3構成作業との間には、自動運転または手動運転のバックホウ(端部整形機械)により法面の端部を整形する構成作業や振動目地切機により目地切板を打ち込む構成作業が行われてもよい。また、手動運転による第2構成作業を行うことなく、自動運転による第1構成作業が行われた後に自動運転による第3構成作業が行われてもよい。また、構成作業の数は、3つに限定されるものではなく、順番に行われる複数の作業であれば、2つの作業であってもよいし、4つ以上の作業であってもよい。
【0054】
本実施形態における被作業物は土砂やセメント混合物といったいわゆる盛土材である。ダンプトラック2Bによって運搬され所定の位置へと荷卸しされた盛土材はブルドーザ2Aによって、予め設定された目標厚さ(目標形状)、例えば、25cmとなるように、すなわち、高さが25cm高くなるように敷き均しされる。その後、振動ローラ2Dによって、目標仕様である所定の回数(例えば6回)にわたって転圧される。
【0055】
したがって、作業計画部11Bにおいて計画される上述の自動作業内容には、ブルドーザ2Aの場合、盛土材が荷卸しされた位置から盛土材を目標形状(敷き均し厚さ25cm)に敷き均すために、作業担当範囲においてダンプトラック2Bにより盛土材が荷卸しされる位置や荷卸し位置に応じたブルドーザ2Aの待機エリア、盛土材が荷卸しされた位置から盛土材を敷き均す作業を行う範囲(自動作業エリア)などの作業範囲である位置情報が含まれ、振動ローラ2Dの場合、目標仕様(所定の回数(例えば6回))通りに転圧を行うために、作業担当範囲(自動作業エリア)において転圧作業を開始する開始位置や転圧作業を終了する終了位置、開始位置から終了位置に至るまでの経路、作業範囲等の位置情報が含まれる。
【0056】
ここで、自動運転の建設機械2は、通常、建設機械2の作業装置(例えば、自動運転のブルドーザ2Aのドーザ(排土板))が、自動作業エリア内の被作業物(盛土材)に対して作業を行うように、自動作業エリアを設定して被作業物に対する作業が管理される。したがって、概ねブルドーザ2Aは自動作業エリアの外に出ないように制御される。しかしながら、作業装置の向きを変えるために切り返しを行う場合や走行装置がスリップしてしまった場合などには、建設機械2の機体の一部が自動作業エリアの外に出ることがある。このため、特に、自動作業エリアに隣接して他の建設機械2が作業を行う自動作業エリアや手動作業エリアが設定されている場合には、他の建設機械2の作業を阻害してしまったり、他の建設機械2に衝突してしまったりするおそれもある。
【0057】
そこで、本実施形態では、
図5及び
図6に示されるように、自動運転する建設機械2による作業が行われる作業エリアとして設定された自動作業エリアAに対して、当該自動作業エリアAよりも広いエリアを、他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定している。また、進入禁止エリアNAへの手動運転の建設機械2の接近または進入を監視し、手動運転の建設機械2が不用意に自動運転の建設機械2に近づくことを抑制することによって、オペレータが操縦する手動運転の建設機械2の安全性を確保している。
【0058】
進入禁止エリアNAは、上述の作業計画部11Bにおいて、自動運転する建設機械2に対して自動作業エリアAを含む自動作業内容が計画される際に、作業計画部11Bにより設定される。
【0059】
このように設定された進入禁止エリアNAは、同じ作業現場1A,1B,1C(作業領域)内で作業を行うすべての建設機械2に対して送信され、建設機械2の図示しない表示部に表示されるとともに、告知部11Cを介して、作業エリア設定部11Aにより設定された各作業エリアと同様に、表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22に表示される。
【0060】
このように作業計画部11Bは、進入禁止エリアNAを設定する進入禁止エリア設定部としても機能する。
【0061】
また、進入禁止エリアNAへの外部からの建設機械2の接近または進入は、位置取得部42で取得された建設機械2の位置情報等に基づいて進捗管理部11Dにより監視される。
【0062】
進捗管理部11Dは、進入禁止エリアNAから所定の距離内に建設機械2が接近した、または、進入禁止エリアNA内に建設機械2が進入したと判定すると、接近または進入した建設機械2が自動運転である場合、安全を確保するため、その建設機械2の作動をその場で停止させる。接近または進入した建設機械2が手動運転である場合、その建設機械2を操縦するオペレータに対して進入禁止エリアNAから離れるよう警告が行われ、例えば、進入禁止エリアNAから離れる操作が所定時間内に行われない場合には、安全を確保するため、その建設機械2の作動をその場で停止させる。なお、外部からの建設機械2の接近または進入が判定された進入禁止エリアNA内の自動作業エリアAにおいて作業を行う自動運転の建設機械2についても、安全を確保するために、その作動が停止される。
【0063】
また、進捗管理部11Dは、進入禁止エリアNAの外部から建設機械2が接近した、または、進入禁止エリアNAに建設機械2が進入したと判定された場合、告知部11Cを介して警報を発する。警報は、例えば、表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22、建設機械2の図示しない表示部に、警告メッセージ等を点滅表示させるとともに、警告音を流すことによってオペレータに報知される。
【0064】
このように進捗管理部11Dは、進入禁止エリアNAへの建設機械2の接近や進入を監視する監視部としても機能する。
【0065】
次に、
図5から
図8を参照し、作業計画部11Bによって設定される進入禁止エリアNAの具体例について説明する。
図5には、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Aである場合に設定される進入禁止エリアNAが示されており、
図6から
図8には、自動運転の建設機械2が振動ローラ2Dである場合に設定される進入禁止エリアNAが示されている。
【0066】
自動運転の建設機械2がブルドーザ2Aである場合、
図5に示されるように、1台のブルドーザ2Aが作業を担当する作業担当範囲RA内には、複数の荷卸し位置が設定され、これらの荷卸し位置から所定の範囲にわたって敷き均し作業が行われる範囲として自動作業エリアが設定される。すなわち、ダンプトラック2Bの荷(土砂)卸し位置を基点として、1台のダンプトラック2Bによる盛土材の運搬量とブルドーザ2Aによる敷均厚さに応じて自動作業エリアの大きさが所定の範囲に設定される。また、ダンプトラック2Bによって荷卸し位置へと盛土材が荷卸しされる間、ブルドーザ2Aが待機する待機エリアが、荷卸し位置に応じて設定されてもよい。
【0067】
ダンプトラック2Bにより盛土材が所定の位置に荷卸しされると、ブルドーザ2Aは、自動作業エリア内において盛土材の厚さが所定の厚さとなるように敷き均し作業を開始するが、自動作業エリア内で敷き均し作業を行っている間や待機エリアから自動作業エリアへと移動する際に、ブルドーザ2Aの機体の一部が自動作業エリアAや待機エリアWAの外に出るおそれがあり、安全性を十分に確保する必要がある。
【0068】
このため、作業計画部11Bは、
図5に示されるように、自動作業エリアAよりも広いエリアを他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定する。なお、
図5に示されるように、自動作業エリアAとは別に待機エリアWAが設定されている場合は、自動作業エリアA及び待機エリアWAを含みこれらのエリアよりも広いエリアが進入禁止エリアNAとして設定されることが好ましい。
【0069】
進入禁止エリアNAを自動作業エリアAよりも広く(大きく)設定することにより、自動運転のブルドーザ2Aが他の建設機械2等に衝突することは避けられるものの、あまり広く(大きく)してしまうと、他の建設機械2の作業が制限されることとなり、全体的な作業効率が低下するおそれがある。
【0070】
一方で、自動運転のブルドーザ2Aは、基本的に作業中は自動作業エリアAの外に出ないように、位置情報に基づいて作業を行うことから大幅に逸走する可能性は低い。
【0071】
このため、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Aである場合、進入禁止エリアNAは、ブルドーザ2Aの機体の全長L1を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましく、より安全性を確保するためには、進入禁止エリアNAは、ブルドーザ2Aの機体の全長L1の2.5倍を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましい。なお、建設機械2の機体の全長L1とは、作業装置を含む長さであって、作業装置を建設機械2の移動方向に最大限作動させた時の最大長さであり、建設機械2がブルドーザ2Aである場合、作業装置であるドーザを移動方向に最大限作動させた時の機体全体の長さである。
【0072】
また、最低限の安全性を確保し、他の建設機械2の作業を可能な限り制限しないようにするためには、進入禁止エリアNAを、ブルドーザ2Aの機体の全長L1の0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよく、比較的近隣で他の建設機械2が作業を行っており、ある程度の安全性を確保する必要がある場合には、進入禁止エリアNAを、ブルドーザ2Aの機体の全長L1の0.5倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよい。
【0073】
このように進入禁止エリアNAは、安全性を確保と周囲で作業を行う他の建設機械2の作業進捗に及ぼす影響とのバランスを考慮し、ブルドーザ2Aの機体の全長L1の0.1~2.5倍の範囲で設定された所定の長さL2だけ自動作業エリアAより大きく設定される。なお、所定の長さL2は、自動作業エリアAの全周にわたって同じ長さである必要はなく、場所によって異なる長さに設定されてもよい。
【0074】
また、所定の長さL2は、自動運転の建設機械2の種類によって変更されてもよく、上述のように、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Aである場合、自動作業エリアA内では移動と停止とを繰り返すブルドーザ2Aが移動方向を頻繁に転換することにより敷き均し作業が行われるため、外部からはその危険性を予測しにくいことから、所定の長さL2をブルドーザ2Aの機体の全長L1の1.0倍程度や1.5倍程度とし、安全性を十分に確保するようにしてもよい。
【0075】
このように設定された進入禁止エリアNAは、自動作業エリアAでの作業が完了し、次の荷卸し位置へとブルドーザ2Aが移動すると解除される。なお、ブルドーザ2Aが次の荷卸し位置へと移動する間の安全性を確保するために、ブルドーザ2Aが移動している間は、進入禁止エリアNAを、作業が終わった自動作業エリアAと、次に作業が行われる自動作業エリアAと、を含むように設定してもよい。なお、自動作業エリアAとは別に待機エリアWAが設定されている場合には、次に作業が行われる自動作業エリアA及び待機エリアWAを含むように進入禁止エリアNAが設定されることが好ましい。
【0076】
自動運転の建設機械2が振動ローラ2Dである場合、
図6に示されるように、複数の振動ローラ2D1,2D2がそれぞれ作業を担当する作業担当範囲RAが、自動作業エリアA1,A2として設定される。
図6に示される例では、第1振動ローラ2D1は、第1自動作業エリアA1内において所定の回数(3回)にわたって往復して、すなわち6回の転圧による転圧作業を行い、第2振動ローラ2D2は、第2自動作業エリアA2内において所定の回数(3回)にわたって往復して転圧作業を行う。なお、振動ローラ2Dの台数は2台に限定されず、3台以上であってもよい。
【0077】
各振動ローラ2D1,2D2は、自動作業内容に含まれる位置情報に従って、自動作業エリアA1,A2内をそれぞれ往復して転圧作業を行うが、移動方向を変える際に、振動ローラ2D1,2D2の機体の一部が自動作業エリアA1,A2の外に出るおそれがあることから、作業計画部11Bは、各自動作業エリアA1,A2に対して進入禁止エリアNA1,NA2を設定する。
【0078】
ここで、
図6に示されるように、自動作業エリアA1,A2が互いに重複しないように隣接して設定されている場合、各自動作業エリアA1,A2の大きさに応じて進入禁止エリアNA1,NA2を単に設定すると、第1進入禁止エリアNA1と第2進入禁止エリアNA2とに重なり合う範囲が生じ、この範囲には何れの振動ローラ2D1,2D2も進入できなくなることから、当該範囲において作業を行うことができなくなってしまう。
【0079】
このため、作業計画部11Bは、自動作業エリアA1,A2が隣接して設定されている場合、何れか一方を先行して作業が行われる先行自動作業エリアとし、他方を先行自動作業エリアで行われる作業よりも後行して作業が行われる後行自動作業エリアとし、先行自動作業エリアに対して設定される進入禁止エリアを、後行自動作業エリアの一部を含むように設定する一方、後行自動作業エリアに対して設定される進入禁止エリアを、先行自動作業エリアに対して設定された進入禁止エリアと重なり合わないように設定している。なお、
図6に示される例では、第1自動作業エリアA1が先行自動作業エリアであり、第2自動作業エリアA2が後行自動作業エリアである。
【0080】
これにより第1振動ローラ2D1と第2振動ローラ2D2とが互いに衝突することや自動運転の振動ローラ2D1,2D2が他の建設機械2等に衝突することを回避しつつ各自動作業エリアA1,A2での作業を進めることができる。
【0081】
そして、第1自動作業エリアA1(先行自動作業エリア)に対して設定された第1進入禁止エリアNA1(先行進入禁止エリア)は、
図7に示すように、第1自動作業エリアA1での作業が完了すると解除され、第2自動作業エリアA2(後行自動作業エリア)に対して設定された第2進入禁止エリアNA2(後行進入禁止エリア)は、解除された第1進入禁止エリアNA1の一部を含むように更新される。
図7には、第1振動ローラ2D1による転圧作業が完了し、第2振動ローラ2D2による転圧作業がまだ完了していない状態が示されている。
【0082】
このように第1自動作業エリアA1での作業の完了に応じて、第2自動作業エリアA2(後行自動作業エリア)の一部を含むように設定された第1進入禁止エリアNA1を解除することで、第2自動作業エリアA2での第2振動ローラ2D2による転圧作業を滞りなく進めることが可能となる。また、第1進入禁止エリアNA1の解除に伴って第2進入禁止エリアNA2を拡大するように更新することで自動運転の第2振動ローラ2D2が他の建設機械2等に衝突することを確実に回避することができる。
【0083】
なお、第1進入禁止エリアNA1及び第2進入禁止エリアNA2は、
図8に示されるように、作業の進捗に応じて随時変更して更新されてもよい。
図8には、第1振動ローラ2D1による転圧作業及び第2振動ローラ2D2による転圧作業の何れも完了していない状態が示されている。
【0084】
図8に示される例では、進入禁止エリアNA1,NA2が、自動作業エリアA1,A2全体ではなく、自動作業エリアA1,A2のうち、作業が完了していない範囲のみを含むように設定される。つまり、進入禁止エリアNA1,NA2は、自動作業エリアA1,A2での作業の進捗に応じて変更するように(この例においては、徐々に小さくなるように)随時更新される。
【0085】
このように第1自動作業エリアA1での作業の進捗に応じて第1進入禁止エリアNA1の位置を、作業未完了範囲に移動して変更することによって、第1進入禁止エリアNA1の位置を適切に設定することにより、第2自動作業エリアA2での第2振動ローラ2D2による転圧作業を滞りなく進めることが可能になる。また、自動作業エリアA1,A2での作業の進捗に応じて進入禁止エリアNA1,NA2の大きさが徐々に小さくなるようにすることによって、他の建設機械2の作業が長時間にわたって進入禁止エリアNA1,NA2により制限されることを回避することができる。
【0086】
なお、
図6に示す例においても、進入禁止エリアNA1,NA2を自動作業エリアA1,A2よりも広く(大きく)設定することにより、自動運転の振動ローラ2Dが他の建設機械2等に衝突することは避けられるものの、あまり広く(大きく)してしまうと、他の建設機械2の作業が制限されることとなり、全体的な作業効率が低下するおそれがある。
【0087】
一方で、自動運転の振動ローラ2Dは、基本的に作業中は自動作業エリアAの外に出ないように、位置情報に基づいて作業を行うことから大幅に逸走する可能性は低い。
【0088】
このため、自動運転の建設機械2が振動ローラ2Dである場合、進入禁止エリアNA1,NA2は、振動ローラ2Dの機体の全長L1を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアA1,A2より大きく設定されることが好ましく、より安全性を確保するためには、進入禁止エリアNAは、振動ローラ2Dの機体の全長L1の2.5倍を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましい。なお、建設機械2の機体の全長L1とは、作業装置を含む最大長さであって、建設機械2が振動ローラ2Dである場合、作業装置であるローラを含む機体全体の長さである。
【0089】
また、最低限の安全性を確保し、他の建設機械2の作業を可能な限り制限しないようにするためには、進入禁止エリアNAを、振動ローラ2Dの機体の全長L1の0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよく、比較的近隣で他の建設機械2が作業を行っており、ある程度の安全性を確保する必要がある場合には、進入禁止エリアNAを、振動ローラ2Dの機体の全長L1の0.5倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよい。
【0090】
このように進入禁止エリアNAは、安全性を確保と周囲で作業を行う他の建設機械2の作業進捗に及ぼす影響とのバランスを考慮し、振動ローラ2Dの機体の全長L1の0.1~2.5倍の範囲で設定された所定の長さL2だけ自動作業エリアAより大きく設定される。なお、所定の長さL2は、自動作業エリアAの全周にわたって同じ長さである必要はなく、場所によって異なる長さに設定されてもよい。
【0091】
また、所定の長さL2は、自動運転の建設機械2の種類によって変更されてもよく、上述のように、自動運転の建設機械2が振動ローラ2Dである場合、自動作業エリアA内では比較的低速で走行する振動ローラ2Dが往復移動することにより転圧作業が行われることから、比較して小さい範囲に進入禁止エリアNAを設定することで足りるため、所定の長さL2を振動ローラ2Dの機体の全長L1の0.2倍程度や0.4倍程度とし、最低限の安全性を確保するようにしてもよい。
【0092】
なお、
図6から
図8に示される例では、互いに重複しないように隣接して設定された先行自動作業エリアと後行自動作業エリアとで行われる作業が転圧作業という同じ構成作業である場合について説明したが、先行自動作業エリアと後行自動作業エリアとで自動運転の建設機械2により行われる作業は、異なる構成作業であってもよい。具体的には、例えば、先行自動作業エリアでは、自動運転のブルドーザ2Aにより盛土材を敷き均す作業が行われ、後行自動作業エリアでは、ブルドーザ2Aによって敷き均された盛土材の表面を自動運転の振動ローラ2Dにより締め固める作業が行われてもよい。
【0093】
このように先行自動作業エリアと後行自動作業エリアとで異なる種類の建設機械2により異なる構成作業がそれぞれ行われる場合であっても、
図6から
図8に示される例と同じように進入禁止エリアNAを設定、解除及び更新することにより、各構成作業を滞りなく進めることができるとともに、自動運転のブルドーザ2A及び振動ローラ2Dが互いに衝突することや自動運転のブルドーザ2A及び振動ローラ2Dが他の建設機械2等に衝突することを確実に回避することができる。
【0094】
また、
図6に示す例においても、進入禁止エリアNAを、
図8に示される例のように、自動作業エリアA内での敷き均し作業の進捗に応じて随時変更して更新されてもよい。
【0095】
続いて、
図9に示されるフロー図を参酌して、作業管理部10において実行される制御の流れについて説明する。
【0096】
まず、ステップS10において、作業管理部10は、制御部11の作業計画部11Bによって、自動運転する建設機械2毎に、上述のように、自動作業エリアAを設定するとともに、当該自動作業エリアAよりも広いエリアを、他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定する(エリア設定工程)。なお、作業計画部11Bによって設定された自動作業エリアAに関する位置情報を含む自動作業内容は、自動運転の建設機械2に対してそれぞれ送信され(自動作業内容送信工程)、また、作業計画部11Bによって設定された手動作業内容は、手動運転の建設機械2に対してそれぞれ送信される。
【0097】
続くステップS11では、ステップS10で設定された進入禁止エリアNAが、同じ作業現場1A,1B,1Cで作業を行うすべての建設機械2に対して送信される。これにより、自動運転する建設機械2は、自動運転する他の建設機械2に対して設定された進入禁止エリアNAに進入しないように制御され、手動運転する建設機械2は、進入禁止エリアNAに進入しないようにオペレータにより操縦されることになる。なお、ステップS10で設定された進入禁止エリアNAは、制御部11の告知部11Cを介して表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22にも送信され、これら表示部に表示される。
【0098】
各建設機械2が作業を開始すると、作業管理部10は、続くステップS12において、制御部11の進捗管理部11Dの監視機能によって、作業計画部11Bにより設定された進入禁止エリアNAへの各建設機械2の接近や進入を監視する。
【0099】
進入禁止エリアNAの外部から建設機械2が接近または進入したと判定されると、上述のように告知部11Cを介して警報が発せられる。そして、接近または進入した建設機械2が自動運転である場合、安全を確保するため、進捗管理部11Dは、その建設機械2の作動をその場で停止させる。一方、接近または進入した建設機械2が手動運転である場合、進捗管理部11Dは、その建設機械2を操縦するオペレータに対して進入禁止エリアNAから離れるよう警告する。
【0100】
続いて、ステップS13において、作業管理部10は、制御部11の進捗管理部11Dにより、進入禁止エリアNAが設定された自動作業エリアAにおいて作業を行う自動運転の建設機械2による作業が完了したか否かを判定する(作業完了判定工程)。
【0101】
自動運転の建設機械2による作業が完了したか否かは、例えば、建設機械2から作業完了信号を受信したか否かや建設機械2が自動作業エリア内において作業完了位置として指定された位置に到達したことが確認されたか否か等により判定される。
【0102】
また、自動運転の建設機械2による作業が完了したか否かは、上記判定に代えて、または、上記判定に加えて、盛土材(被作業物)に対する各建設機械2による作業が目標値に達したか否かで判定されてもよく、ブルドーザ2Aの場合、盛土材の敷き均し厚さが設定された目標値(例えば、25cm)に達したか否か、例えば、位置取得部42や状態検知部43の検出値から求められるブルドーザ2Aの高さ(高度)が、作業エリア内において目標とされる敷き均し厚さ分だけ高くなったか否かにより判定され、振動ローラ2Dの場合は、例えば、位置取得部42の検出値に基づいて求められる盛土材の表面を振動ローラ2Dが移動した軌跡が目標軌跡(例えば転圧6回)となっているか否かで判定されてもよい。
【0103】
ステップS13において、進入禁止エリアNAが設定された自動作業エリアAでの自動運転の建設機械2による作業が完了したと判定されると、ステップS14に進み、作業管理部10は、作業計画部11Bにより作業が完了した自動作業エリアAに設定された進入禁止エリアNAを解除するとともに、解除された進入禁止エリアNAに関する情報を、同じ作業現場1A,1B,1Cで作業を行うすべての建設機械2へと送信する。
【0104】
このように、進入禁止エリアNAの解除に関する情報が同じ作業現場1A,1B,1Cで作業を行う建設機械2に送信されることで、各建設機械2は、進入禁止エリアNAが設定されていたことによって作業を行うことができなかったエリアがある場合、当該エリアでの作業を進めることが可能となる。なお、進入禁止エリアNAの解除に関する情報は、告知部11Cを介して、表示部13や各現場管理部30の表示部33、遠隔操縦部20の表示部22にも送信され表示される。
【0105】
一方、ステップS13において、何れの自動作業エリアAにおいても作業が完了していないと判定されると、ステップS12に戻り、進入禁止エリアNAへの各建設機械2の接近または進入の監視が継続される。
【0106】
ステップS14において進入禁止エリアNAを解除が完了すると、ステップS15に進み、解除された進入禁止エリアNAが設定されていた自動作業エリアAで作業を行っていた自動運転の建設機械2により行われる予定であった作業がすべて完了したか否かの判定が制御部11の進捗管理部11Dにおいて行われる。
【0107】
ステップS15において、予定されていた全ての作業が完了したと判定された場合、当該建設機械2に対して行われる制御は一旦、終了する。一方、予定されていた全ての作業がまだ完了していない場合は、ステップS10に戻り、制御部11の作業計画部11Bによって、自動作業エリアA及び進入禁止エリアNAが当該建設機械2に対して新たに設定される。
【0108】
以上のような工程を経て、建設機械2同士の衝突等を回避しつつ、各建設機械2によって所定の構成作業が進められ、徐々に堤体が構築される。
【0109】
なお、
図6に示されるように、先行自動作業エリアと、先行自動作業エリアに隣接して設定される後行自動作業エリアと、がある場合、ステップS13での作業完了判定工程は、先行自動作業エリア内で行われる作業の完了を判定する先行作業完了判定工程となる。また、ステップS13における作業完了判定工程は、作業の進捗状況を判定する工程であってもよく、この場合、
図8に示されるように、進入禁止エリアNAは自動作業エリアAの中で作業が完了していない範囲に基づいて随時更新される。
【0110】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0111】
上述のように、本実施形態に係る作業管理方法は、作業管理システム100から自動運転する建設機械2に対して自動運転により行われる作業である自動作業内容を送信する自動作業内容送信工程と、自動運転する建設機械2による作業が行われる自動作業エリアAを設定するとともに、自動作業エリアAを含み自動作業エリアAよりも広いエリアを他の建設機械や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定するエリア設定工程と、を有する。
【0112】
このように、本実施形態に係る作業管理方法によれば、自動運転の建設機械2が作業を行う自動作業エリアA全体を含み、当該自動作業エリアA全体よりも広いエリアが、他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定され、特に、手動運転の建設機械2が進入禁止エリアNA内に進入することを防止することによって、オペレータが操縦する手動運転の建設機械2の安全性を確保することが可能である。したがって、自動運転の建設機械2と手動運転の建設機械2とが作業領域内に混在する場合であっても、互いの作業の進行を阻害することなく、作業が安全に行われることから、作業を効率よく行うことが可能になる。このため、自動運転可能な建設機械2を含む複数の建設機械2が所定の作業領域内で作業を行う場合の施工効率を向上させることができる。
【0113】
なお、次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0114】
上記実施形態に係る作業管理方法は、堤体を構築する土木作業に携わる建設機械2の作業を管理している。これに代えて、作業管理システム100により行われる建設機械2の作業管理方法は、
図10A,
図10B及び
図10Cに示されるような、掘削工事に携わる建設機械2G,2H,2Jの作業を管理するものであってもよく、また、作業管理システム100で管理される各作業現場1A,1B,1Cで行われる土木工事は、盛土工事と掘削工事とのように異なる形態の工事であってもよい。
【0115】
この変形例では、
図10A,
図10B及び
図10Cに示されるような複数の構成作業を繰り返すことで地山に所定の幅の施工基面(平坦面)が形成される。
図10Aに示す構成作業は、自動運転のブルドーザ2G(掘削機械)によって地山を掘削し掘削床を形成する第1構成作業であり、
図10Bに示す構成作業は、手動運転のブルドーザ2H(掘削機械)によって法尻近傍を精度よく掘削する第2構成作業であり、第1構成作業が行われた後に行われる構成作業である。また、
図10Cに示す構成作業は、自動運転のバックホウ2J(法面整形機械)によって法面を締固める第3構成作業であり、第2構成作業が行われた後に行われる構成作業である。
【0116】
換言すれば、施工基面を形成する土木工事において、一つの作業箇所における掘削床は以下の手順で形成される。
・ブルドーザ2G(掘削機械)により地山を所定の深さだけ掘削する。
・ブルドーザ2H(掘削機械)により掘削が不十分である箇所、例えば法尻近傍を掘削する。
・バックホウ2J(法面整形機械)により掘削によって生じた法面を締固める。
【0117】
このように、所定の領域である作業エリアに対して、複数の構成作業が順番に行われることで一つの全体作業である掘削作業が完了し、掘削床の高さが低くなる。
【0118】
この変形例においても、自動運転により行われる第1構成作業の作業完了後に、手動運転による第2構成作業を行うことで、自動運転では不十分だった掘削作業箇所(例えば法尻近傍や部分的に発生する不陸)を手動運転により修正することができる。また、自動運転により行われる第1構成作業は大型の建設機械により作業を行ったり、複数台の建設機械により作業を行い、手動運転により行われる第2構成作業は小型の建設機械により精度が要求される作業を行ったり、より少ない台数の建設機械により作業を行うことにより、省力化及び施工品質の向上が可能となる。
【0119】
具体的には、例えば、第1構成作業では、2台以上の大型のブルドーザ2Gで自動運転により作業を行う一方、第2構成作業では、1台の小型のブルドーザ2Hで手動運転により作業を行うようにしてもよい。
【0120】
図10A,
図10B及び
図10Cに示される例において、被作業物は地山であり、地山は、掘削床の高さが所定の高さ(目標形状)となるように、ブルドーザ2G,2Hによって徐々に掘削され、その後、法面がバックホウ2Jによって目標形状である所定の形状に締め固められる。なお、掘削によって生じた掘削土砂は図示しないダンプトラックにより随時搬出される。
【0121】
この例において、作業計画部11Bにおいて計画される作業内容としては、ブルドーザ2Gの場合は、所定の範囲内において掘削床の高さが所定の高さだけを低くなるように掘削することであり、バックホウ2Jの場合は、所定の範囲内において法面を目標形状(所定の角度(例えば45度))で締め固めることである。
【0122】
ここで、自動運転の建設機械2は、通常、建設機械2の作業装置(例えば、自動運転のブルドーザ2Gのドーザ(排土板))が、自動作業エリア内の被作業物(地山)に対して作業を行うように、自動作業エリアの外に出ないように制御される。しかしながら、作業装置の向きを変えるために切り返しを行う場合や走行装置がスリップしてしまった場合などには、建設機械2の機体の一部が自動作業エリアの外に出ることがある。このため、特に、自動作業エリアに隣接して他の建設機械2が作業を行う自動作業エリアや手動作業エリアが設定されている場合には、他の建設機械2の作業を阻害してしまったり、他の建設機械2に衝突してしまったりするおそれもある。
【0123】
また、自動運転の建設機械2が、法面を締固めるバックホウ2Jである場合、作業装置(アーム、ブーム、法面整形バケット)は自動作業エリアである法面に対して作業を行う一方、走行装置は、自動作業エリアではなく掘削床を移動することになる。このため、自動作業エリアの範囲を他の建設機械2や作業員に認識させるだけでは、周囲の安全性を確保することが困難である。
【0124】
そこで、この変形例においても、上記実施形態と同様に、
図11及び
図12に示されるように、自動運転する建設機械2による作業が行われる作業エリアとして設定された自動作業エリアAに対して、当該自動作業エリアAよりも広いエリアを、他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定している。また、進入禁止エリアNAへの手動運転の建設機械2の接近または進入を監視し、手動運転の建設機械2が不用意に自動運転の建設機械2に近づくことを抑制することによって、オペレータが操縦する手動運転の建設機械2の安全性を確保している。
【0125】
具体的には、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Gである場合、
図11に示されるように、複数のブルドーザ2G1,2G2がそれぞれ作業を担当する作業担当範囲RAが、自動作業エリアA1,A2として設定される。なお、
図11は、
図10Aを上方から見た図である。
【0126】
図11に示される例では、第1ブルドーザ2G1は、第1自動作業エリアA1内において掘削床の高さが所定の高さだけを低くなるように掘削作業を行い、第2ブルドーザ2G2は、第2自動作業エリアA2内において掘削床の高さが所定の高さだけを低くなるように掘削作業を行う。なお、ブルドーザ2Gの台数は2台に限定されず、3台以上であってもよい。
【0127】
各ブルドーザ2G1,2G2は、自動作業内容に含まれる位置情報に従って、自動作業エリアA1,A2内において掘削作業を行うが、移動方向を変える際に、ブルドーザ2G1,2G2の機体の一部が自動作業エリアA1,A2の外に出るおそれがあることから、作業計画部11Bは、各自動作業エリアA1,A2に対して進入禁止エリアNA1,NA2を設定する。
【0128】
ここで、
図11に示されるように、自動作業エリアA1,A2が互いに重複しないように隣接して設定されている場合、各自動作業エリアA1,A2の大きさに応じて進入禁止エリアNA1,NA2を単に設定すると、第1進入禁止エリアNA1と第2進入禁止エリアNA2とに重なり合う範囲が生じ、この範囲には何れのブルドーザ2G1,2G2も進入できなくなることから、当該範囲において作業を行うことができなくなってしまう。
【0129】
このため、作業計画部11Bは、自動作業エリアA1,A2が隣接して設定されている場合、何れか一方を先行して作業が行われる先行自動作業エリアとし、他方を先行自動作業エリアで行われる作業よりも後行して作業が行われる後行自動作業エリアとし、先行自動作業エリアに対して設定される進入禁止エリアを、後行自動作業エリアの一部を含むように設定する一方、後行自動作業エリアに対して設定される進入禁止エリアを、先行自動作業エリアに対して設定された進入禁止エリアと重なり合わないように設定している。なお、
図11に示される例では、第1自動作業エリアA1が先行自動作業エリアであり、第2自動作業エリアA2が後行自動作業エリアである。
【0130】
これにより第1ブルドーザ2G1と第2ブルドーザ2G2とが互いに衝突することや自動運転のブルドーザ2G1,2G2が他の建設機械2等に衝突することを回避しつつ各自動作業エリアA1,A2での作業を進めることができる。
【0131】
そして、第1自動作業エリアA1(先行自動作業エリア)に対して設定された第1進入禁止エリアNA1は、第1自動作業エリアA1での作業が完了すると解除され、第2自動作業エリアA2(後行自動作業エリア)に対して設定された第2進入禁止エリアNA2は、解除された第1進入禁止エリアNA1の一部を含むように更新される。
【0132】
このように第1自動作業エリアA1での作業の完了に応じて、第2自動作業エリアA2(後行自動作業エリア)の一部を含むように設定された第1進入禁止エリアNA1を解除することで、第2自動作業エリアA2での第2ブルドーザ2G2による掘削作業を滞りなく進めることが可能となる。また、第1進入禁止エリアNA1の解除に伴って第2進入禁止エリアNA2を拡大するように更新することで自動運転の第2ブルドーザ2G2が他の建設機械2等に衝突することを確実に回避することができる。
【0133】
なお、第1進入禁止エリアNA1及び第2進入禁止エリアNA2は、上記実施形態において
図8に示される例のように、作業の進捗に応じて随時更新されてもよい。
【0134】
進入禁止エリアNAを自動作業エリアAよりも広く(大きく)設定することにより、自動運転のブルドーザ2Gが他の建設機械2等に衝突することは避けられるものの、あまり広く(大きく)してしまうと、他の建設機械2の作業が制限されることとなり、全体的な作業効率が低下するおそれがある。
【0135】
一方で、自動運転のブルドーザ2Gは、基本的に作業中は自動作業エリアAの外に出ないように、位置情報に基づいて作業を行うことから大幅に逸走する可能性は低い。
【0136】
このため、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Gである場合、進入禁止エリアNAは、ブルドーザ2Aの機体の全長L1を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましく、より安全性を確保するためには、進入禁止エリアNAは、ブルドーザ2Gの機体の全長L1の2.5倍を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましい。なお、建設機械2の機体の全長L1とは、作業装置を含む長さであって、作業装置を建設機械2の移動方向に最大限作動させた時の最大長さであり、建設機械2がブルドーザ2Gである場合、作業装置であるドーザを移動方向に最大限作動させた時の機体全体の長さである。
【0137】
また、最低限の安全性を確保し、他の建設機械2の作業を可能な限り制限しないようにするためには、進入禁止エリアNAを、ブルドーザ2Gの機体の全長L1の0.1倍以上、より好ましくは0.2倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよく、比較的近隣で他の建設機械2が作業を行っており、ある程度の安全性を確保する必要がある場合には、進入禁止エリアNAを、ブルドーザ2Gの機体の全長L1の0.5倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよい。
【0138】
このように進入禁止エリアNAは、安全性を確保と周囲で作業を行う他の建設機械2の作業進捗に及ぼす影響とのバランスを考慮し、ブルドーザ2Gの機体の全長L1の0.1~2.5倍の範囲で設定された所定の長さL2だけ自動作業エリアAより大きく設定される。なお、所定の長さL2は、自動作業エリアAの全周にわたって同じ長さである必要はなく、場所によって異なる長さに設定されてもよい。
【0139】
また、所定の長さL2は、自動運転の建設機械2の種類によって変更されてもよく、上述のように、自動運転の建設機械2がブルドーザ2Gである場合、自動作業エリアA内では移動と停止とを繰り返すブルドーザ2Gが移動方向を頻繁に転換することにより掘削作業が行われるため、外部からはその危険性を予測しにくいことから、所定の長さL2をブルドーザ2Gの機体の全長L1の1.0倍程度や1.5倍程度とし、安全性を十分に確保するようにしてもよい。
【0140】
また、自動運転の建設機械2が法面を締固めるバックホウ2Jである場合、
図12に示されるように、1台のバックホウ2Jが作業を担当する作業担当範囲RAが、自動作業エリアAとして法面に設定される。なお、
図12は、
図10Cを上方から見た図である。
【0141】
図12に示される例では、バックホウ2Jは、掘削床を法尻に沿って移動しながら、自動作業エリアA内の法面が目標形状(所定の角度(例えば45度))となるように締め固め作業を行う。
【0142】
バックホウ2Jは、自動作業内容に含まれる位置情報に従って、自動作業エリアA内において締め固め作業を行うが、走行装置は、自動作業エリアAではなく掘削床を移動する。このため、バックホウ2Jの作業装置(アーム、ブーム、法面整形バケット)により作業が行われる法面の自動作業エリアAだけではなく、バックホウ2Jの走行装置が移動する掘削床の範囲を作業において占有されるエリアとして周囲に認識させるために、作業計画部11Bは、
図12に示されるように、自動作業エリアAが設定される法面と走行装置が移動する掘削床とを含む比較的広い範囲に対して進入禁止エリアNAを設定する。
【0143】
このように自動作業エリアAを含みこれよりも広いエリアを他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定することで自動運転のバックホウ2Jが他の建設機械2等に衝突することを回避しつつ自動作業エリアAでの作業を進めることができる。
【0144】
また、設定された進入禁止エリアNAは、自動作業エリアAでの作業が完了し、次の作業位置へとバックホウ2Jが移動すると解除される。なお、自動作業エリアAでの作業の進捗に応じて進入禁止エリアNAを法尻方向において徐々に狭めるようにしてもよい。
【0145】
進入禁止エリアNAを自動作業エリアAよりも広く(大きく)設定することにより、自動運転のバックホウ2Jが他の建設機械2等に衝突することは避けられるものの、あまり広く(大きく)してしまうと、他の建設機械2の作業が制限されることとなり、全体的な作業効率が低下するおそれがある。
【0146】
一方で、自動運転のバックホウ2Jは、基本的に作業中は自動作業エリアAの外に出ないように、位置情報に基づいて作業を行うことから大幅に逸走する可能性は低い。
【0147】
このため、自動運転の建設機械2がバックホウ2Jである場合、進入禁止エリアNAは、バックホウ2Jの機体の全長を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましく、より安全性を確保するためには、進入禁止エリアNAは、バックホウ2Jの機体の全長の2.5倍を超えない所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定されることが好ましい。なお、建設機械2の機体の全長とは、作業装置を含む長さであって、作業装置を建設機械2の移動方向に最大限作動させた時の最大長さであり、建設機械2がバックホウ2Jである場合、作業装置であるアーム、ブーム及び法面整形バケットを移動方向に最大限延ばした時の機体全体の長さである。
【0148】
また、最低限の安全性を確保し、他の建設機械2の作業を可能な限り制限しないようにするためには、進入禁止エリアNAを、バックホウ2Jの機体の全長の0.1倍以上、好ましくは0.2倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよく、比較的近隣で他の建設機械2が作業を行っており、ある程度の安全性を確保する必要がある場合には、進入禁止エリアNAを、バックホウ2Jの機体の全長の0.5倍以上の所定の長さL2(拡張距離L2)だけ、自動作業エリアAより大きく設定するようにしてもよい。
【0149】
このように進入禁止エリアNAは、安全性を確保と周囲で作業を行う他の建設機械2の作業進捗に及ぼす影響とのバランスを考慮し、バックホウ2Jの機体の全長L1の0.1~2.5倍の範囲で設定された所定の長さL2だけ自動作業エリアAより大きく設定される。なお、所定の長さL2は、自動作業エリアAの全周にわたって同じ長さである必要はなく、場所によって異なる長さに設定されてもよい。
【0150】
また、所定の長さL2は、自動運転の建設機械2の種類によって変更されてもよく、上述のように、自動運転の建設機械2がバックホウ2Jである場合、掘削床上でバックホウ2Jが停止した状態で自動作業エリアA内の法面の締め固め作業が行われることから、比較してより大きい範囲で進入禁止エリアNAを設定する必要があるため、所定の長さL2をバックホウ2Jの機体の全長L1の0.5倍程度とし、最低限の安全性を確保するようにしてもよい。
【0151】
このように、
図10A,
図10B及び
図10Cに示されるような掘削工事に携わる各建設機械2の作業についても、上述の作業管理システム100により行われる建設機械2の作業管理方法によって管理し、上記実施形態と同様の手順により、
図11及び
図12に示されるように、自動作業エリアAよりも広いエリアを、他の建設機械2や作業員の進入が禁止される進入禁止エリアNAとして設定することによって、特に手動運転の建設機械2が設定された進入禁止エリアNA内に進入することを防止し、オペレータが操縦する手動運転の建設機械2の安全性を確保することが可能である。
【0152】
したがって、この変形例においても、上記実施形態と同様に、自動運転の建設機械2と手動運転の建設機械2とが作業領域内に混在する場合であっても、互いの作業の進行を阻害することなく、作業が安全に行われることから、作業を効率よく行うことが可能になる。このため、自動運転可能な建設機械2を含む複数の建設機械2が所定の作業領域内で作業を行う場合の施工効率を向上させることができる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0154】
100・・・作業管理システム
1A,1B,1C・・・作業現場(作業領域)
2・・・建設機械
2A・・・ブルドーザ(建設機械)
2B・・・ダンプトラック(建設機械)
2C・・・ブルドーザ(建設機械)
2D・・・振動ローラ(建設機械)
2G・・・ブルドーザ(建設機械)
2H・・・ブルドーザ(建設機械)
2J・・・バックホウ(建設機械)
10・・・作業管理部
11・・・制御部
11A・・・作業エリア設定部
11B・・・作業計画部(進入禁止エリア設定部)
11C・・・告知部
11D・・・進捗管理部(監視部)
13・・・表示部
20・・・遠隔操縦部
26・・・表示部
30・・・現場管理部
33・・・表示部
A,A1,A2・・・自動作業エリア
NA,NA1,NA2・・・進入禁止エリア
WA・・・待機エリア
L1・・・機体の全長
L2・・・拡張距離