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  • 特開-ハイブリッド車両の充電制御装置 図1
  • 特開-ハイブリッド車両の充電制御装置 図2
  • 特開-ハイブリッド車両の充電制御装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099246
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両の充電制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20240718BHJP
   B60K 6/46 20071001ALI20240718BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20240718BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20240718BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20240718BHJP
   B60L 1/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60K6/46 ZHV
B60W20/20
B60L50/61
B60L58/13
B60L1/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003048
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001520
【氏名又は名称】弁理士法人日誠国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 充
【テーマコード(参考)】
3D202
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA07
3D202BB19
3D202DD00
3D202DD14
3D202DD45
3D202EE00
5H125AA01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA09
5H125BC13
5H125BC25
5H125CD08
5H125EE27
5H125EE51
5H125EE64
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】冷房装置の作動のみを目的としてエンジンが運転される時間を短くでき、燃費を向上させることができるハイブリッド車両の充電制御装置を提供すること。
【解決手段】ハイブリッド車両は、エンジンの動力によって発電する発電用モータと、発電用モータで発電された電力またはバッテリに蓄電された電力によって駆動輪を駆動する駆動用モータと、バッテリに蓄電された電力を用いて車室を冷房する冷房装置と、を備える。ECUは、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定する。ECUは、車両走行中であって冷房装置が作動中であることを含む所定条件が成立している場合は、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定し、所定条件が成立していない場合は、目標充電状態を一定値に設定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力によって発電する発電機と、
前記発電機で発電された電力またはバッテリに蓄電された電力によって駆動輪を駆動する回転電機と、
前記バッテリに蓄電された電力を用いて車室を冷房する冷房装置と、を備えるハイブリッド車両に搭載され、
前記バッテリの充電状態を所定の目標充電状態に制御する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、
前記制御部は、外気温が高いほど前記目標充電状態を高く設定することを特徴とするハイブリッド車両の充電制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、車両走行中であって前記冷房装置が作動中であることを含む所定条件が成立している場合は、外気温が高いほど前記目標充電状態を高く設定し、前記所定条件が成立していない場合は、前記目標充電状態を一定値に設定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の充電制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両の充電制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、エンジンとモータとを備えるハイブリッド車両において、バッテリの温度が第1の所定温度以下、又は車両の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げるようにした技術が記載されている。これにより、特許文献1に記載のものは、バッテリ温度に起因するバッテリ出力の低下が生じる可能性がある場合に、バッテリ充電率を高めに維持し、充電率に起因するバッテリ出力の低下を防止し、バッテリ全体として出力性能を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-68381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、エンジンとモータとを備えるハイブリッド車両においては、熱効率の優れる動作点でエンジンの運転を行い、車両停止時や低速走行時等の熱効率の劣る動作点となる状況ではエンジンの運転を停止してバッテリからモータに電力が供給される。
【0005】
一方、ハイブリッド車両に搭載される空調装置は、エンジンの冷却水をヒータコアに供給して車室の暖房を行う暖房装置や、バッテリの電力によりコンプレッサを作動させて車室の冷房を行うヒートポンプ式の冷房装置から構成される場合がある。このような空調装置において、暖房装置を作動させるためには熱源としてのエンジンを運転することが必要であり、冷房装置を作動させるためにはバッテリの充電状態が管理範囲の下限値以上であること、または発電のためにエンジンを運転することが必要である。このため、空調装置の作動のみを目的として熱効率の劣る動作点でエンジンが運転された場合に燃費が悪化する。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、バッテリの温度が所定温度以下の場合に目標充電率を引き上げてバッテリの充電状態(バッテリ充電率)を高めに維持しているが、外気温が高いためにバッテリの温度が所定温度以下ではない状況で冷房装置を作動させる場合の充電状態については検討されていない。このため、外気温が高い状況でエンジンの運転を停止してバッテリを電力源として冷房装置を作動させる場合、充電状態が短時間で管理範囲の下限値に到達してしまい、その後はエンジンを始動して冷房用の動力源としてのみ運転することになってしまう。このため、特許文献1に記載のものは、冷房装置の作動時の燃費の悪化を抑制することができないという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、冷房装置の作動のみを目的としてエンジンが運転される時間を短くでき、燃費を向上させることができるハイブリッド車両の充電制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明は、エンジンの動力によって発電する発電機と、前記発電機で発電された電力またはバッテリに蓄電された電力によって駆動輪を駆動する回転電機と、前記バッテリに蓄電された電力を用いて車室を冷房する冷房装置と、を備えるハイブリッド車両に搭載され、前記バッテリの充電状態を所定の目標充電状態に制御する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、前記制御部は、外気温が高いほど前記目標充電状態を高く設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
このように、本発明によれば、冷房装置の作動のみを目的としてエンジンが運転される時間を短くでき、燃費を向上させることができるハイブリッド車両の充電制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施例に係る充電制御装置を備えるハイブリッド車両の構成図である。
図2図2は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の充電制御装置における目標充電状態と外気温との関係を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両の充電制御装置における冷房装置の作動時の充電状態の推移を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の充電制御装置は、エンジンの動力によって発電する発電機と、発電機で発電された電力またはバッテリに蓄電された電力によって駆動輪を駆動する回転電機と、バッテリに蓄電された電力を用いて車室を冷房する冷房装置と、を備えるハイブリッド車両に搭載され、バッテリの充電状態を所定の目標充電状態に制御する制御部を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、制御部は、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定することを特徴とする。これにより、本発明の一実施の形態に係るハイブリッド車両の充電制御装置は、冷房装置の作動のみを目的としてエンジンが運転される時間を短くでき、燃費を向上させることができる。
【実施例0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施例に係る充電制御装置を搭載したハイブリッド車両について詳細に説明する。図1において、本発明の一実施例に係るハイブリッド車両1は、エンジン2と、発電機としての発電用モータ3と、高電圧バッテリ9と、回転電機としての駆動用モータ4とを備えている。
【0013】
エンジン2には、複数の気筒が形成されている。本実施例において、エンジン2は、各気筒に対して、吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行うように構成されている。
【0014】
発電用モータ3はエンジン2に連結されており、エンジン2の動力によって発電する。高電圧バッテリ9は、例えばリチウムイオン電池などの二次電池によって構成されている。
【0015】
駆動用モータ4は、発電用モータ3で発電された電力または高電圧バッテリ9に蓄電された電力によって左右の駆動輪6を駆動する。詳しくは、駆動用モータ4は、高電圧バッテリ9から供給される電力によって駆動輪6を駆動する電動機の機能と、駆動輪6から入力される逆駆動力によって回生発電を行う発電機の機能とを有する。駆動用モータ4と駆動輪6とは減速機5を介して接続されている。減速機5は、駆動用モータ4から出力された回転を減速して左右の駆動輪6に出力する。
【0016】
ハイブリッド車両1はPCU7(Power Control Unit)を備えている。PCU7には図示しないインバータおよびDCDCコンバータが設けられている。PCU7は、高電圧バッテリ9から供給される電力によって駆動用モータ4を駆動する機能と、逆駆動力によって駆動用モータ4の回生発電を行う機能とを有する。
【0017】
詳しくは、PCU7は、ECU8の制御により、高電圧バッテリ9から供給された直流電力をインバータによって三相の交流電力に変換して駆動用モータ4を駆動する。また、PCU7は、駆動用モータ4によって生成された三相の交流電力をインバータによって直流電力に変換して高電圧バッテリ9を充電する。また、PCU7は、DCDCコンバータによって高電圧と低電圧との電圧変換を相互に行う。
【0018】
ハイブリッド車両1は、いわゆるシリーズハイブリッド方式の車両であり、エンジン2の動力によって発電された電力により駆動用モータ4を駆動して走行する。シリーズハイブリッド方式のハイブリッド車両1にあっては、駆動用モータ4による駆動力のみで走行を行い、駆動用モータ4の駆動に必要な電力をエンジン2を動力源として発電用モータ3によって発生させる。
【0019】
ハイブリッド車両1は、エンジン2との間で冷却水が循環されるラジエータ11を備えている。ラジエータ11は、外気との熱交換により冷却水を冷却する。
【0020】
ハイブリッド車両1は、エンジン2の冷却水を熱源として車室を暖房する暖房装置12を備えている。暖房装置12は、エンジン2との間で冷却水が循環されるヒータコア13を備えている。ヒータコア13は、車室内の空気との熱交換により車室を暖房する。
【0021】
ハイブリッド車両1は、機械式ウォータポンプ14を備えており、この機械式ウォータポンプ14は、エンジン2の動力により作動する。機械式ウォータポンプ14は、エンジン2とラジエータ11との間で冷却水を循環させる。また、機械式ウォータポンプ14は、エンジン2とヒータコア13との間で冷却水を循環させる。このため、機械式ウォータポンプ14は暖房装置12の一部に含まれる。
【0022】
ハイブリッド車両1は、高電圧バッテリ9に蓄電された電力を用いて車室を冷房するヒートポンプ式の冷房装置16を備えている。冷房装置16は、電力により作動して冷媒を圧縮する電動コンプレッサ17を備えている。
【0023】
ハイブリッド車両1は、ECU(Electronic Control Unit)8を備えている。ECU8は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)と、バックアップ用のデータなどを保存するフラッシュメモリと、入力ポートと、出力ポートとを備えたコンピュータユニットによって構成されている。
【0024】
コンピュータユニットのROMには、各種定数や各種マップ等とともに、当該コンピュータユニットをECU8として機能させるためのプログラムが格納されている。すなわち、CPUがRAMを作業領域としてROMに格納されたプログラムを実行することにより、コンピュータユニットは、本実施例におけるECU8として機能する。
【0025】
ECU8は、高電圧バッテリ9の充電状態を上限値と下限値とに規定される管理範囲となるように制御する。また、ECU8は、高電圧バッテリ9の充電状態を、管理範囲内の所定の目標充電状態に制御する。なお、目標充電状態は制御目標値であるため、実際の充電状態は、高電圧バッテリ9に対する電力の出入りに応じて、管理範囲内で目標充電状態を挟み込むように変動しながら推移する。
【0026】
ECU8は、熱効率の優れる動作点でエンジン2の運転を行い、発電用モータ3から駆動用モータ4、高電圧バッテリ9および電動コンプレッサ17等の電装品に電力を供給する。また、ECU8は、車両停止時や低速走行時等の、エンジン2への負荷トルクが小さく熱効率の劣る動作点となる状況では、高電圧バッテリ9の充電状態が下限値未満ではなく管理範囲内にあること等を条件として、いわゆるアイドリングストップとしてエンジン2の運転を停止し、高電圧バッテリ9から駆動用モータ4に電力を供給する。エンジン2の動作点とは、負荷トルクとエンジン回転数との組み合わせからなる点である。
【0027】
ここで、本実施例の冷房装置16は、高電圧バッテリ9の電力により電動コンプレッサ17を作動させて車室を冷房する構造である。このため、冷房装置16が作動するためには、高電圧バッテリ9の充電状態が下限値以上であること、またはエンジン2の運転により発電が行われていることが必要となる。
【0028】
高電圧バッテリ9による冷房装置16の作動時間を長くするためには、高電圧バッテリ9を大容量化することが考えられるが、この場合、高電圧バッテリ9が高額で大型なものになってしまい、車両価格や車両重量の上昇を引き起こすという問題がある。また、シリーズハイブリッド方式においては、エンジン2を運転することで発電が可能なため、高電圧バッテリ9を大容量化する必要性は低い。
【0029】
したがって、車両価格や車両重量等を考慮すると、高電圧バッテリ9を大容量化することは好ましくないが、高電圧バッテリ9を大容量化しない場合、高電圧バッテリ9の充電状態が下限値に達した後は、エンジン2を熱効率の劣る動作点で冷房用の電力源としてのみ運転させることになってしまい、燃費の悪化を引き起こす。このような燃費の悪化は、アイドリングストップによりエンジン2の運転を停止することが好ましい、車両停止時や低速走行時等の熱効率の劣る状況でエンジン2を運転する場合に顕著である。
【0030】
そこで、本実施例では、ECU8は、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定するようになっている。外気温は、ハイブリッド車両1の外部の空気(外気)の温度であり、図示しない温度センサにより取得される。また、ECU8は、車両走行中であって冷房装置16が作動中であることを含む所定条件が成立している場合は、外気温が高いほど高電圧バッテリ9の目標充電状態を高く設定し、所定条件が成立していない場合は、目標充電状態を一定値に設定する。この所定条件には、車両走行中であること、および冷房装置16が作動中であることが少なくとも含まれるが、ハイブリッド車両1の減速に伴う駆動用モータ4の回生発電により高電圧バッテリ9が充電されていることを含んでいてもよい。車両減速時の駆動用モータ4の回生発電中に、より多くの電力を高電圧バッテリ9に充電させることで、車両減速時でない状況においてエンジン2の動力を用いて発電用モータ3で発電する電力を少なくでき、総合的なエネルギ効率を向上させることができるからである。
【0031】
図2において、縦軸は高電圧バッテリ9の目標充電状態(図中、目標SOCと記す)を表し、横軸は外気温を表す。また、図2において、外気温が25℃以上を高外気温と記し、外気温が25℃未満を低外気温と記す。
【0032】
図2において、外気温が低いほど目標充電状態がECU8により低く設定される。また、外気温が高いほど目標充電状態がECU8により高く設定される。具体的な目標充電状態の設定値は、外気温が25℃の場合の目標充電状態の値(A%)を基準値としており、外気温が25℃未満の低外気温の領域では外気温が低いほど目標充電状態が基準値よりも低くなり、外気温が25℃以上の高外気温の領域では外気温が高いほど目標充電状態が基準値よりも高くなるように設定される。
【0033】
図3において、縦軸は高電圧バッテリ9の充電状態(図中、SOCと記す)を表し、横軸は時間を表す。また、本発明の一実施例に係る充電状態の推移を実線で表し、目標充電状態を一定値に設定した比較例を破線で表す。
【0034】
図3において、本発明では、時刻t1において、ハイブリッド車両1は、冷房装置16を作動した状態で走行している。また、ハイブリッド車両1は、外気温が高いほど高電圧バッテリ9の目標充電状態を高くした状態で走行している。これにより、充電状態は、高外気温に応じた目標充電状態と等しいH(%)となっている。
【0035】
その後、時刻t2で、車両減速によりエンジン2がアイドリングストップされ、回生充電により高電圧バッテリ9の充電状態が一時的に上昇するが、その後に車両停止したことで、冷房装置16は高電圧バッテリ9のみを電力源として作動する。これにより充電状態が下降する。
【0036】
その後、時刻t3の後の時刻t4で、充電状態が下限値に到達する。これにより、エンジン2が再始動され、エンジン2は、冷房装置16の動力源としてのみ運転される。
【0037】
このように、本発明では、エンジン2の運転を停止した状態で冷房装置16が作動される期間の長さは、時刻t2から時刻t4までの期間の長さであるT(H)となる。
【0038】
一方、比較例では、時刻t1において、目標充電状態が一定値のA(%)の状態で走行している。これにより、充電状態は、目標充電状態と等しいA(%)となっている。
【0039】
その後、時刻t2で、充電状態が一時的に上昇するが、その後に車両停止したことで、冷房装置16は高電圧バッテリ9のみを電力源として作動し、充電状態が下降する。
【0040】
その後、時刻t3で、充電状態が下限値に到達する。これにより、エンジン2が再始動され、エンジン2は、冷房装置16の動力源としてのみ運転される。
【0041】
このように、比較例では、高電圧バッテリ9の電力により冷房装置16が作動できる期間の長さは、時刻t2から時刻t3までの期間の長さであるT(A)となる。このT(A)は本発明に係るT(H)よりも短いため、比較例では、充電状態が下限値に到達後にエンジン2を冷房用の電力を発電する動力源としてのみ運転する時間が長い。
【0042】
したがって、本発明によれば、目標充電状態を外気温に関わらず一定値とした比較例よりも、充電状態が下限値に到達後にエンジン2を冷房用の動力源としてのみ運転する時間を短くすることができる。
【0043】
以上のように、本実施例では、ECU8は、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定する。
【0044】
これにより、冷房装置16の作動機会が多い高外気温の状況下において、車両停車中に冷房装置16の作動を継続する際に、充電状態の管理範囲の下限値まで高電圧バッテリ9から放電が行われる時間を外気温が高いほど長くすることができる。このため、目標充電状態を外気温に関わらず一定値とした場合よりも、目標充電状態が下限値に到達後にエンジン2を冷房用の動力源としてのみ運転する時間を短くすることができる。
【0045】
この結果、冷房装置16の作動のみを目的としてエンジン2が運転される時間を短くでき、燃費を向上させることができる。なお、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定する手法は、シリーズハイブリッド方式の車両に限らず、電動コンプレッサ17を備える車両において適用することができる。
【0046】
また、本実施例では、ECU8は、車両走行中であって冷房装置16が作動中であることを含む所定条件が成立している場合は、外気温が高いほど目標充電状態を高く設定し、所定条件が成立していない場合は、目標充電状態を一定値に設定する。
【0047】
これにより、少なくとも車両走行中であって冷房装置16が作動中である場合は、車両停車中に冷房装置16の作動を継続する際に、充電状態の管理範囲の下限値まで高電圧バッテリ9から放電が行われる時間を外気温が高いほど長くすることができ、下限値に到達後にエンジン2を冷房用の動力源としてのみ運転する時間を短くすることができる。
【0048】
また、車両走行中であるが冷房装置16が作動中ではない状況では、車両停車中に冷房装置16が作動される機会は少ないため、通常の一定値に目標充電状態を設定することで、高電圧バッテリ9の充電状態を冷房装置16の作動を考慮しない状況に最適化させることができる。なお、所定条件のうち、冷房装置16が作動中であるという条件に代わって、空調システムのコントローラから冷房用の要求信号を受け取っていることを条件としてもよい。
【0049】
本発明の実施例を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0050】
1 ハイブリッド車両
2 エンジン
3 発電用モータ(発電機)
4 駆動用モータ(回転電機)
6 駆動輪
8 ECU(制御部)
9 高電圧バッテリ(バッテリ)
16 冷房装置
図1
図2
図3