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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099264
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】空調設備架台
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0317 20190101AFI20240718BHJP
   F24F 1/0047 20190101ALI20240718BHJP
   F24F 13/32 20060101ALI20240718BHJP
   F16B 1/00 20060101ALI20240718BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20240718BHJP
   E04B 9/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F24F1/0317
F24F1/0047
F24F13/32
F16B1/00 A
F16B7/18 E
E04B9/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003079
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】391037478
【氏名又は名称】NS建材薄板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】長見 憲一
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA04
3J039AB01
3J039BB03
3J039GA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】現場の状況に応じて柔軟に寸法を調整可能な耐震架台を提供する。
【解決手段】空調設備架台は、一対の吊り部材及び、ベース部材と、一対の連結部材を備える。吊り部材及には、複数のボルト孔が形成され、ベース部材の一面17にも、複数のボルト孔が形成されている。連結部材は、吊り部材と接続するための複数のボルト孔が形成された垂直接合部34と、ベース部材と接続するための複数のボルト孔26が形成された水平接合部を備える。ベース部材の両端と連結部材間の接続は、ベース部材側の二つのボルト孔と連結部材側の二つのボルト孔を位置合わせし、ボルト孔にボルトを挿通してナット締めすることで実現される。吊り部材と連結部材間の接続も同様にナット締めすることで実現される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔をおいて平行に配置され、それぞれの上端が天井側に固定される一対の吊り部材と、
空調設備を載置するためのベース部材と、
各吊り部材の下端とベース部材の両端間を接続する一対の連結部材を備え、
各吊り部材の一面には、複数のボルト孔が所定ピッチで形成されており、
ベース部材の一面にも、複数のボルト孔が所定ピッチで形成されており、
各連結部材は、吊り部材と接続するための複数のボルト孔が所定ピッチで形成された接合部と、ベース部材と接続するための複数のボルト孔が所定ピッチで形成された接合部を備えており、
ベース部材の両端と各連結部材間の接続が、ベース部材側の少なくとも二つのボルト孔と連結部材側の少なくとも二つのボルト孔とを位置合わせし、各ボルト孔にボルトを挿通してナット締めすることによって実現され、
各吊り部材の下端と各連結部材間の接続が、吊り部材側の少なくとも二つのボルト孔と連結部材側の少なくとも二つのボルト孔とを位置合わせし、各ボルト孔にボルトを挿通してナット締めすることによって実現されることを特徴とする空調設備架台。
【請求項2】
上記連結部材側に形成されたボルト孔のピッチと、上記吊り部材及びベース部材側に形成されたボルト孔のピッチが異なることを特徴とする請求項1に記載の空調設備架台。
【請求項3】
上記連結部材の各接合部が、それぞれ複数のボルト孔が所定ピッチで形成され、相互間に所定の間隔が確保された二つの接合領域を備えており、
ベース部材との接続に際しては、各接合領域毎に少なくとも一つのボルト孔とベース部材側のボルト孔との位置合わせがなされた上で、各ボルト孔にボルトが挿通され、
吊り部材との接続に際しても、各接合領域毎に少なくとも一つのボルト孔と吊り部材側のボルト孔との位置合わせがなされた上で、各ボルト孔にボルトが挿通されることを特徴とする請求項1に記載の空調設備架台。
【請求項4】
上記吊り部材、ベース部材及び連結部材が、それぞれアングル材よりなることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空調設備架台。
【請求項5】
上記吊り部材、ベース部材及び連結部材が、それぞれ溝型鋼よりなることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の空調設備架台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は空調設備架台に係り、特に、空調機のダクト等を天井裏において天井スラブから吊り下げる機能を担う構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の天井裏に空調ダクトや空調用配管等の空調設備を設置する方法の一つとして、天井躯体から垂下された一対の吊りボルトによって支持板を吊り下げ、この支持板上に空調ダクト等を載置するものがある。
この方法では、複数の支持板を所定の間隔で天井から吊り下げることにより、比較的長い空調ダクト等を配置することができるが、横揺れに弱いため耐震性を付与するには耐震ブレース等の補強手段を設ける必要があった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2016-23505号公報
【0003】
吊りボルトの代わりに、断面L字状のアングル材等よりなる一対の支柱で支持板を天井スラブから吊り下げる方法もある。
この場合、各支柱の下端と支持板の両端間はガセットプレート等を介して強固に溶接またはボルト止めされるため、支持架台は全体として高い剛性を示し、余計な補強手段を講じなくても所定の耐震性を具備することができる。
【0004】
この種の耐震架台は予め工場で製造され、現場に搬送して設置されるのが一般的であるが、現場における具体的な状況(躯体面の仕上がり具合や他の設備の設置状況、支持対象物の変更等)によっては設計段階での寸法設定では対応できない場面も生じる。
このような場合、現場において部材に切断や溶接等の加工を施したり、工場において製造し直したりする必要があり、大きな手間とコストが追加的に発生することとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、従来の上記課題を解決するために案出されたものであり、現場の状況に応じて柔軟に寸法を調整可能な耐震架台を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、この発明に係る空調設備架台は、所定の間隔をおいて平行に配置され、それぞれの上端が天井側に固定される一対の吊り部材と、空調設備を載置するためのベース部材と、各吊り部材の下端とベース部材の両端間を接続する一対の連結部材を備え、各吊り部材の一面には、複数のボルト孔が所定ピッチで形成されており、ベース部材の一面にも、複数のボルト孔が所定ピッチで形成されており、各連結部材は、吊り部材と接続するための複数のボルト孔が所定ピッチで形成された接合部と、ベース部材と接続するための複数のボルト孔が所定ピッチで形成された接合部を備えており、ベース部材の両端と各連結部材間の接続が、ベース部材側の少なくとも二つのボルト孔と連結部材側の少なくとも二つのボルト孔とを位置合わせし、各ボルト孔にボルトを挿通してナット締めすることによって実現され、各吊り部材の下端と各連結部材間の接続が、吊り部材側の少なくとも二つのボルト孔と連結部材側の少なくとも二つのボルト孔とを位置合わせし、各ボルト孔にボルトを挿通してナット締めすることによって実現されることを特徴としている。
【0007】
連結部材側に形成されたボルト孔のピッチと、吊り部材及びベース部材側に形成されたボルト孔のピッチを異ならせることが望ましい。
また、連結部材の各接合部が、それぞれ複数のボルト孔が所定ピッチで形成され、相互間に所定の間隔が確保された二つの接合領域を備えており、ベース部材との接続に際しては、各接合領域毎に少なくとも一つのボルト孔とベース部材側のボルト孔との位置合わせがなされた上で、各ボルト孔にボルトが挿通され、吊り部材との接続に際しても、各接合領域毎に少なくとも一つのボルト孔と吊り部材側のボルト孔との位置合わせがなされた上で、各ボルト孔にボルトが挿通されるように構成することもできる。
上記吊り部材、ベース部材及び連結部材は、例えばアングル材(不等辺アングル材を含む)または溝型鋼(リップ溝形鋼を含む)によって形成される。あるいは、これらの部材を角パイプやフラットバーによって形成することもできる。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る空調設備架台にあっては、一対の連結部材の各接合部が、相互に所定の距離を隔てて配置された少なくとも2本のボルトを介して一対の吊り部材及びベース部材と連結されるため、部材間の回転方向の動きが規制され、高い耐震性を発揮することができる。
しかも、各接合箇所には複数のボルト孔が形成されているため、現場においてボルトを挿通する孔を変更することにより、柔軟に寸法を調整することが可能となる。
連結部材側に形成されたボルト孔のピッチと、ベース部材及び吊り部材側に形成されたボルト孔のピッチに差異を設けておくことにより、同じピッチでボルト孔が形成された場合に比べ、より微妙な寸法調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の空調設備架台の構成部材を示す分解正面図である。
図2】第1の空調設備架台の第1の吊り部材及び第2の吊り部材を示す斜視図である。
図3】第1の吊り部材及び第2の吊り部材の下端を示す平面図である。
図4】第1の空調設備架台の第1のベース部材、第1の連結部材及び第2の連結部材を示す斜視図である。
図5】第1の空調設備架台を天井スラブに装着した使用状態を示す正面図である。
図6】第1の空調設備架台を天井スラブに装着した他の使用状態を示す正面図である。
図7】第2の空調設備架台の第3の吊り部材及び第4の吊り部材を示す斜視図である。
図8】第3の吊り部材及び第4の吊り部材の下端を示す平面図である。
図9】第2の空調設備架台の第2のベース部材、第3の連結部材及び第4の連結部材を示す斜視図である。
図10】第2の空調設備架台を天井スラブに装着した使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、この発明に係る第1の空調設備架台10は、第1の吊り部材12及び第2の吊り部材14と、第1のベース部材16と、第1の連結部材18及び第2の連結部材20を備えている。
【0011】
第1の吊り部材12及び第2の吊り部材14は、図2及び図3に示すように、それぞれ断面L字状のアングル材よりなる本体部22と、アングル材の上端に溶接された矩形状の鋼板よりなる取付部24とからなる。
各本体部22の一面23には、複数のボルト孔26が所定のピッチ(例えば40mm間隔)で一列に形成されている。形成されるボルト孔26の数については、図面に記載の数に限定されるものではない(以降も同様)。
また各取付部24にも、複数のボルト孔26が形成されている。
【0012】
第1のベース部材16は、図4に示すように、断面L字状のアングル材よりなる。
第1のベース部材16の一面17には、複数のボルト孔26が所定ピッチ(例えば40mm間隔)で一列に形成された左側接合領域30と、同じく複数のボルト孔26が所定ピッチ(例えば40mm間隔)で一列に形成された右側接合領域32が設けられている。
左側接合領域30と右側接合領域32との間には、所定の間隔33が確保されている。この間隔33は、例えば140mmに設定されている。
【0013】
第1の連結部材18及び第2の連結部材20は、それぞれアングル材の一端を斜めに切り欠いた垂直接合部34と、同じくアングル材の一端を斜めに切り欠いた水平接合部36を備えている。
垂直接合部34と水平接合部36の切欠部分を突き合わせ、接合ライン38に沿って溶接することにより、垂直接合部34と水平接合部36は直角に接続されている。
【0014】
各垂直接合部34の一面35には、それぞれ複数のボルト孔26が所定ピッチ(例えば30mm間隔)で形成された第1の接合領域40と、同じく複数のボルト孔が所定ピッチ(例えば30mm間隔)で一列に形成された第2の接合領域42が設けられている。
第1の接合領域40と第2の接合領域との間には、所定の間隔43が確保されている。この間隔43は、例えば60mmに設定されている。
【0015】
また、各水平接合部36の一面37にも、それぞれ複数のボルト孔26が所定ピッチ(例えば30mm間隔)で一列に形成された第3の接合領域44と、同じく複数のボルト孔26が所定ピッチ(例えば30mm間隔)で一列に形成された第4の接合領域46が設けられている。
第3の接合領域44と第4の接合領域46との間には、所定の間隔47が確保されている。この間隔47は、例えば60mmに設定されている。
【0016】
以下に、第1の空調設備架台10の組立方法及び設置方法について説明する。
ただし、各部材間の連結の順番は以下に限定されるものではない。
(1)第1のベース部材16と第1の連結部材18との連結
図5に示すように、第1のベース部材16の左側接合領域30と第1の連結部材18の水平接合部36を当接させ、それぞれのボルト孔26を位置合わせして水平接合部36側からボルト50を挿通し、左側接合領域30の裏側でナット締めすることにより、両者を連結する。
この際、水平接合部36の第3の接合領域44と第4の接合領域46のそれぞれに少なくとも1本のボルト50が挿通される。
【0017】
(2)第1のベース部材16と第2の連結部材20との連結
第1のベース部材16の右側接合領域32と第2の連結部材20の水平接合部36を当接させ、それぞれのボルト孔26を位置合わせして水平接合部36側からボルト50を挿通し、右側接合領域32の裏側でナット締めすることにより、両者を連結する。
この際にも、水平接合部36の第3の接合領域44と第4の接合領域46のそれぞれに少なくとも1本のボルト50が挿通される。
【0018】
(3)第1の連結部材18と第1の吊り部材12との連結
第1の吊り部材12の一面23と、第1の連結部材18の垂直接合部34を当接させ、それぞれのボルト孔26を位置合わせして垂直接合部34側からボルト50を挿通し、第1の吊り部材12の裏側でナット締めすることにより、両者を連結する。
この際にも、垂直接合部34の第1の接合領域40と第2の接合領域42のそれぞれに少なくとも1本のボルト50が挿通される。
【0019】
(4)第2の連結部材20と第2の吊り部材14との連結
第2の吊り部材14の一面23と、第2の連結部材20の垂直接合部34を当接させ、それぞれのボルト孔26を位置合わせして垂直接合部34側からボルト50を挿通し、第2の吊り部材14の裏側でナット締めすることにより、両者を連結する。
この際にも、垂直接合部34の第1の接合領域40と第2の接合領域42のそれぞれに少なくとも1本のボルト50が挿通される。
【0020】
(5) 天井スラブ52への固定
第1の吊り部材12及び第2の吊り部材14の各取付部24を天井スラブ52に当接させ、ボルト孔26にアンカーボルト54を打ち込むことで、第1の空調設備架台10が天井スラブ52に固定される。
この第1の空調設備架台10は、相互に所定の間隔をおいて天井スラブ52に複数取り付けられ、それぞれの第1のベース部材16の上に空調ダクト56が載置・固定される。
【0021】
第1の連結部材18及び第2の連結部材20の各垂直接合部34は、相互に所定の距離(間隔43の距離+α)を隔てて配置された少なくとも2本のボルト50を介して第1の吊り部材12及び第2の吊り部材14と連結され、またそれぞれの水平接合部36も、相互に所定の距離(間隔47の距離+α)を隔てて配置された少なくとも2本のボルト50を介して第1のベース部材16と連結されるため、部材間の回転方向の動きが有効に規制され、高い耐震性を発揮することができる。
【0022】
しかも、各接合箇所には複数のボルト孔26が形成されているため、現場においてボルト50を挿通する孔を変更することにより、柔軟に寸法を調整することが可能となる。
例えば図6には、ボルト50の挿通位置を変更することにより、図5の場合に比べて縦方向に若干長く、横方向に若干短く寸法調整された第1の空調設備架台10が示されている。
【0023】
上記のように、第1の連結部材18及び第2の連結部材20側に形成されたボルト孔26のピッチ(例えば30mm)と、第1のベース部材16、第1の吊り部材12及び第2の吊り部材14側に形成されたボルト孔26のピッチ(例えば40mm)に差異を設けておくことにより、同じピッチでボルト孔26が形成された場合に比べ、より微妙な寸法調整が可能となる。
【0024】
アングル材の代わりに、溝型鋼(C型チャンネル)を用いてこの発明に係る空調設備架台を構成することもできる。
図7及び図8は、溝形鋼によって形成した第3の吊り部材112及び第4の吊り部材114を示しており、図9は、溝形鋼によって形成した第2のベース部材116と、溝形鋼によって形成した第3の連結部材118及び第4の連結部材120を示している。
また図10は、溝形鋼よりなる第3の吊り部材112、第4の吊り部材114、第2のベース部材116、第3の連結部材118及び第4の連結部材120を組み立てて第2の空調設備架台110を構成した例を示している。
【0025】
溝形鋼は2枚のフランジとウェブから構成され、アングル材に比べて高い剛性を確保できる利点を備えている。
図示の通り、第2の空調設備架台110は溝形鋼のウェブの部分にボルト孔26が形成されている点に特徴があるが、それ以外の構成(ボルト孔26の数やピッチ、分布領域、組立方法及び設置方法等)は上記した第1の空調設備架台10と実質的に同じであるため、対応する箇所に共通の符号を付すことにより、重複の説明は省略する。
【符号の説明】
【0026】
10 第1の空調設備架台
12 第1の吊り部材
14 第2の吊り部材
16 第1のベース部材
18 第1の連結部材
20 第2の連結部材
22 本体部
24 取付部
26 ボルト孔
30 左側接合領域
32 右側接合領域
33 間隔
34 垂直接合部
36 水平接合部
38 接合ライン
40 第1の接合領域
42 第2の接合領域
43 間隔
44 第3の接合領域
46 第4の接合領域
47 間隔
50 ボルト
52 天井スラブ
54 アンカーボルト
56 空調ダクト
110 第2の空調設備架台
112 第3の吊り部材
114 第4の吊り部材
116 第2のベース部材
118 第3の連結部材
120 第4の連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10