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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099268
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240718BHJP
   B23Q 11/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B23Q11/00 U
B23Q11/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003089
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100125737
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 昭博
(72)【発明者】
【氏名】合津 秀雄
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011BB32
3C011BB34
3C011EE09
(57)【要約】
【課題】質の高いクーラントを供給するクーラント装置を備えた工作機械を提供すること。
【解決手段】ワークの加工を行う加工室に噴射された使用済みのクーラントが流れ込む第1クーラントタンクと、前記第1クーラントタンクから汲み上げられたクーラントが濾過および調温されることにより供給される第2クーラントタンクと、前記第2クーラントタンクから前記第1クーラントタンクへとクーラントを戻すための前記第2クーラントタンクに設けられた取水堰と、前記第1クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第1クーラントポンプと、前記第2クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第2クーラントポンプと、を有するクーラント装置を備えた工作機械。
【選択図】図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの加工を行う加工室に噴射された使用済みのクーラントが流れ込む第1クーラントタンクと、
前記第1クーラントタンクから汲み上げられたクーラントが濾過および調温されることにより供給される第2クーラントタンクと、
前記第2クーラントタンクから前記第1クーラントタンクへとクーラントを戻すための前記第2クーラントタンクに設けられた取水堰と、
前記第1クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第1クーラントポンプと、
前記第2クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第2クーラントポンプと、
を有するクーラント装置を備えた工作機械。
【請求項2】
前記第2クーラントタンクへクーラントを供給する配管の排出口が、前記取水堰によって設定される液面下に位置するように配置された請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記取水堰によって設定された液面をハイレベルとし、そこから一定の深さをローレベルとした場合に、前記排出口が前記ハイレベルと前記ローレベルとの間に配置された請求項2に記載の工作機械。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工室へと供給するクーラントの質を高めるようにしたクーラント装置を備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、加工部を冷却するため、また切粉や切削片などの切屑を洗浄するためにクーラントが使用される。そのクーラントは、使用後も切屑が除去されて繰り返し使用できるように、工作機械にはクーラントを循環させるクーラント装置が設けられている。下記特許文献1にもクーラントを循環させるクーラント装置が開示されている。同文献に記載されたクーラント装置は、クーラントタンクの底板中央に水平パイプが取り付けられ、その水平パイプが外部のポンプに連結されている。そのポンプには垂直パイプを介してサイクロンフィルタが接続され、クーラントが送り込まれている。
【0003】
クーラントが供給されたサイクロンフィルタではクーラントと切粉などが分離され、排出口から排出された切屑が下方に配置された回収容器へと落下して回収される。また、サイクロンフィルタには排出パイプが接続され、それがクーラントタンク内へ延びて濾過されたクーラントが送り込まれる。一方、クーラントタンク内のクーラントは、送出しポンプによって工作機械の加工室へと供給される。こうした従来の工作機械では、繰り返し使用されるクーラント内の切屑等がサイクロンフィルタによって完全に除去できないため、クーラントタンク内では絶えずクーラントが旋回運動をすることで沈降を防ぎながら、効率良く微細な切屑を除去してクーラントの浄化度を上げるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-230188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工作機械では、加工部の冷却や切屑の洗浄といった異なる目的でクーラントが噴出されるようにクーラント装置が構成されている。その際、工具やワークなどに使用されるクーラントと、加工によって発生した切屑を洗い流すためのクーラントを共通のものにした場合、容積の大きなクーラントタンクが必要になり、サイクロンフィルタに関しても出力の大きなものが必要になる。また、加工室からのクーラントが送り込まれたクーラントタンクから再び加工室へとクーラントを供給するような構成では、質の良いクーラントを工具やワークなどに使用することができない。
【0006】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、質の高いクーラントを供給するクーラント装置を備えた工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る工作機械は、ワークの加工を行う加工室に噴射された使用済みのクーラントが流れ込む第1クーラントタンクと、前記第1クーラントタンクから汲み上げられたクーラントが濾過および調温されることにより供給される第2クーラントタンクと、前記第2クーラントタンクから前記第1クーラントタンクへとクーラントを戻すための前記第2クーラントタンクに設けられた取水堰と、前記第1クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第1クーラントポンプと、前記第2クーラントタンク内のクーラントを前記加工室へ供給する第2クーラントポンプと、を有するクーラント装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
前記構成によれば、第1クーラントタンクと第2クーラントタンクとがクリーン槽とダーティ槽とに分けられるため、クリーンなクーラントを工具の冷却や清掃に使用することができ、また、第2クーラントタンクには調温装置によって冷やされたクーラントが貯められ、それが第1クーラントタンクにも戻るため、第1クーラントタンクおよび第2クーラントタンクから加工室へ噴射されるクーラントの温度上昇を抑えた使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】工作機械の一実施形態について主要な内部構造を示した斜視図である。
図2】工作機械の一実施形態について全体を示した外観斜視図である。
図3】クーラント装置の主要部を示す斜視図である。
図4】クーラント装置を簡略化して示したシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る工作機械の一実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本実施形態の工作機械について主要な内部構造を示した斜視図である。この工作機械1は、NC旋盤とマシニングセンタの両方の機能を持つようにした複合加工機である。この複合加工機を構成する各加工装置は、ワークWを把持する第1ワーク主軸装置3および第2ワーク主軸装置5、複数の工具Tを有する第1タレット装置4および第2タレット装置6であり、それぞれが左右対称に配置された対向2軸旋盤を構成し、更に加工装置として機体中央に工具主軸装置2が設けられている。
【0011】
対称的に構成された第1および第2ワーク主軸装置3,5は同じ構造であり、主軸台12にスピンドルが回転自在に組み込まれ、そこに加工対象であるワークWを把持するチャック機構11が組付けられている。チャック機構11はスピンドルモータ13の駆動によって回転し、そこに把持されたワークWに対する加工時の位相決めや所定速度での回転が与えられる。主軸台12やスピンドルモータ13は、搭載された主軸スライド14がガイドレール15に沿って摺動自在であり、ボールネジ機構に連結されたZ軸サーボモータの制御によって位置決め移動が可能になっている。
【0012】
また、対照的に構成された第1タレット装置4および第2タレット装置6も互いに同じ構造であり、刃物台16に複数の工具T(タレット工具)が円周方向に等間隔で取り付けられ、割出し用サーボモータ17の回転制御によって、任意の工具Tを円周上の加工位置に位置決めできるよう構成されている。第1および第2タレット装置4,6は、刃物台16をZ軸に直交する2方向に移動させるようにした駆動機構が設けられている。略三角形状のベーススライド18がベッド10に対して前方斜め45度上方にスライド可能であり、刃物台16を搭載したタレットスライド19がベーススライド18に対して前方斜め45度下方にスライド可能に組み付けられている。そして、ベーススライド18やタレットスライド19は、各々のサーボモータによって回転するネジ軸のボールネジ機構を介して各方向に移動するよう構成されている。
【0013】
中央に位置する工具主軸装置2は、主軸ヘッド21内に工具用モータや工具スピンドルが内蔵されたビルトインタイプであり、下端部に設けられた工具装着部に対して様々な工具T(主軸ヘッド工具)の取り換えが行われるようになっている。主軸ヘッド21は、主軸スライド22に対して回転可能に取り付けられ、回転伝達機構を介してB軸モータ23の回転が伝達されるよう構成されている。工具主軸装置2は、機体前後方向の水平なY軸に沿ってガイドレールが固定され、そこにベーススライド25が摺動可能に組付けられている。また、ベーススライド25は、その前面側に機体上下方向の鉛直なX軸に沿ってレール部が固定され、主軸スライド22が摺動可能に組付けられている。ベーススライド25と主軸スライド22は、ともにボールネジ機構が設けられ、Y軸サーボ―モータまたはX軸サーボモータの駆動によって、主軸ヘッド21が各軸方向に移動可能になっている。
【0014】
図2は、工作機械1全体の外観斜視図である。工作機械1は、ベッド10上の第1ワーク主軸装置3など各種加工装置が機体カバー30によって覆われている。機体正面には中央に操作表示装置31が設けられ、その左右両側には左正面扉33と右正面扉34とが形成されている。機体の正面中央には工具主軸装置2に対して工具Tの交換を行う自動工具交換装置8が設けられ、複数の工具を収納したツールマガジン35が機体前面上部に配置されている。また、工作機械1にはガントリ式のワーク自動搬送装置9が設けられ、機体内部にてワークWを3軸方向に移動させるよう構成されている。
【0015】
工作機械1には左右に不図示のワークストッカが配置され、例えば図面左から右へとワーク自動搬送装置9によってワークWが運ばれる。従って、加工時にはワークWが第1ワーク主軸装置3から第2ワーク主軸装置5へと運ばれ、各々でチャック機構11に把持される。第1および第2タレット装置4,6で旋回割出しされた工具Tは、ベーススライド18やタレットスライド19の移動によりワークWに対する加工位置へと送られる。そうした工具Tに対して主軸スライド24がZ軸方向に移動し、回転するワークWに工具Tが当てられることにより外径旋削や中ぐり加工などの切削加工が行われる。
【0016】
第1ワーク主軸装置3で把持されたワークWに対する第1加工は、第1タレット装置4による加工のほか、工具主軸装置2を加えた加工、或いは工具主軸装置2のみによる加工が行われる。第2ワーク主軸装置5で把持されたワークWに対する第2加工でも同様である。こうしたワーク加工にはクーラントが使用される。クーラントは、工具の摩耗や切削の抵抗を少なくする潤滑効果、切削加工時の発熱を抑える冷却効果、切削中に発生する切屑を流し落とす洗浄効果を有し、加工精度を高めるために重要や役割を果たすものである。
【0017】
工作機械1では、第1ワーク主軸装置3側の第1加工部と、第2ワーク主軸装置5側の第2加工部の各々の加工室内おいてクーラントが噴射されるが、そのクーラントは、流れ落ちたタンク内に貯められて繰り返し使用される。工作機械1には、そのためのクーラント装置が設けられている。図3は、クーラント装置の主要部を示す斜視図である。本実施形態のクーラント装置7は、2つのクーラントタンクを有し、機体内に収められた第1クーラントタンク51と機体の外に設けられた第2クーラントタンク52である。
【0018】
第1クーラントタンク51は、ベッド10の前に横長に配置されたものであり、その中にはチップコンベアが組み込まれている。チップコンベアは、切屑をクーラントと分けて機外へと搬出するものである。第1クーラントタンク51内には、投入口61が上方に大きく開いた貯留槽が設けられ、そこには第1及び第2加工部で発生した切屑を含んだ使用済みのクーラントが流れ込むようになっている。チップコンベアは、そうした貯留槽内の切屑を図面右側へと機外へ搬送するように、無端ベルトのベルトコンベアによって構成されている。チップコンベアは、貯留槽から連続する上昇搬送部62が機外へと突き出し、その先端部では切屑がベルトコンベアから落下し、下のボックス63内に回収されるようになっている。
【0019】
ここで、図4は、クーラント装置7を簡略化して示したシステム構成図である。第1クーラントタンク51は、前述したチップコンベアを内蔵しており、切屑を含むクーラントが溜められるダーティ漕である。チップコンベアの貯留槽にはパンチングメタルが設けられ、貯留槽から第1クーラントタンク51内には大きな切屑が流れ出ないようになっている。しかし、切粉などの細かい切屑は通ってしまうため、第1クーラントタンク51には切粉を含んだクーラントが溜まることになる。そのため、第1クーラントタンク51に溜められたクーラントから更に切粉などを取り除くため、濾過装置であるサイクロンフィルタ54を介して、第2クーラントタンク52がクリーン槽として接続されている。
【0020】
第1クーラントタンク51の汲み上げポンプ53は、供給パイプ65を介してサイクロンフィルタ54が接続され、そのサイクロンフィルタ54に接続された排出パイプ66は第2クーラントタンク52内へと延びている。サイクロンフィルタ54は、第1クーラントタンク51から汲み上げポンプ66によって汲み上げられたクーラントが送り込まれ、そのクーラントから質量のある切粉などが分離され、下方に接続された回収容器67へと落下して回収される。一方、切粉などが除去されたクーラントは、第2クーラントタンク52へと送り込まれる。その第2クーラントタンク52には、貯められたクリーンなクーラントを工作機械1の第1および第2加工部へと送るための第2クーラントポンプ55が設けられている。
【0021】
第2クーラントタンク52は、図2に示すように第1クーラントタンク51よりも深さのある容器あり、貯められたクーラントの液面が高くなる。その液面は堰56によって設定されている。第2クーラントタンク52は、側面に排出口57が形成され、その周りを囲むようにして壁面内部に堰56がつくられている。排出口57には戻りパイプ58が接続され第1クーラントタンク51へと延びている。そのため、堰56を越えて流れ出たクリーンなクーラントは、第1クーラントタンク51へと流れ込むようになっている。すなわち、クーラント装置7の堰56は、第2クーラントタンクの液面高さの確保することにより第1クーラントタンクへとクーラントを戻すための取水堰となっている。
【0022】
クーラント装置7は、クリーン槽である第2クーラントタンク52内のクーラントだけではなく、ダーティ槽である第1クーラントタンク51のクーラントも使用される。そのため、第1クーラントタンク51にもクーラントを工作機械1の第1および第2加工部へと送るための第1クーラントポンプ59が設けられている。特に、第1クーラントタンク51のクーラントは、加工室床面に落ちる切屑などの洗い流しに使用される。一方で、第2クーラントタンク51のクーラントは、加工部分の潤滑や冷却に使用される。クーラント装置7は、繰り返し使用されるクーラントの温度を下げるため調温装置68が設けられ、サイクロンフィルタ54から排出パイプ66を流れて第2クーラントタンク52へと送られるクーラントの温度を下げる構成となっている。
【0023】
ここで、第1クーラントタンク51内のクーラントは、加工室での熱を奪って流れてきたものであるため、第1クーラントポンプ59によって再度加工室へと供給するには、第2クーラントタンク52からの冷やされたクーラントを混ぜることで温度を下げることが好ましい。従って、本実施形態のクーラント装置7は、調温装置68によって冷えたクーラントが堰56を越えて第1クーラントタンク51へと効率よく流れる構成がとられている。特に、第2クーラントタンク52内の液面が適切な高さになるよう構成されている。
【0024】
クーラント装置7は、前述したように第2クーラントタンク52の液位が第1クーラントタンク51よりも高くなっている。従って、汲み上げポンプ53が停止した場合には、サイフォン現象によって第2クーラントタンク52のクーラントが第1クーラントタンク51へと逆流することになる。そのため、排出パイプ66の排出口660が深い位置にあると、その高さ以上のクーラントを逆流させてしまうことになるので、第2クーラントポンプ55の吸い込み口550は高い位置にあることが好ましい。
【0025】
クーラント装置7には液位計が設けられ、第2クーラントタンク52にも堰56の高さをハイレベルHとし、その60mm下の位置をローレベルLとしてクーラントの液面高さが計測されている。そして、第2クーラントポンプ55は、その吸い込み口550がローレベルLよりも下に位置するように組み付けられ、常にクーラントが吸い込める状態がつくられている。従って、排出パイプ66の排出口660は、ローレベルLよりも上に位置する必要がある。
【0026】
一方で、排出パイプ66の排出口660がハイレベルHよりも上、つまり液面から離れた位置に配置された場合には、サイフォン現象の影響を受けることなく、第2クーラントタンク52のクーラントが第1クーラントタンク51へと逆流することはない。従って、第2クーラントタンク52内のクーラントの液面をハイレベルHに保つことができる。しかし、このような配管構造では、サイクロンフィルタ54から送り込まれたクーラントが空気を巻き込んで第2クーラントタンク52内に供給される。そのため、液面が泡立ってしまい時間経過によって第2クーラントタンク52からその泡が溢れ出てしまう。そこで本実施形態のクーラント装置7は、排出パイプ66の排出口660がハイレベルHとローレベルLとの間の高さに位置するよう構成されている。
【0027】
工作機械1は、前述したようにワーク自動搬送装置9によってワークWが運ばれ、第1および第2加工部において切削などの加工が行われる。その際、クーラント装置7は、汲み上げポンプ53によって第1クーラントタンク51内のクーラントがサイクロンフィルタ54へと送り込まれ、そこで切粉などが除去される。サイクロンフィルタ54から排出されたクーラントは、調温装置68によって温度が下げられ第2クーラントタンク52へと送り込まれる。
【0028】
第2クーラントタンク52内のクーラントは、第2クーラントポンプ55によって加工室へと送られ、工具などに噴射される。また、排出パイプ66の排出口660が液面近くにあるため、第2クーラントタンク52内の温度を下げたクーラントが堰56を越えて第1クーラントタンク51へと流れ込む。それにより温度が下がった第1クーラントタンク51内のクーラントも第1クーラントポンプ59によって加工室へと送られ、床面などへ噴射される。
【0029】
よって、本実施形態での工作機械1は、第1クーラントタンク51と第2クーラントタンク52とを有し、クリーン槽とダーティ槽とを分けた構成のクーラント装置7としたため、切粉などを取り除いたクリーンなクーラントを使用することができる。そして、第2クーラントタンク52には調温装置68で冷やされたクーラントが貯められるため、そこから工具などへと噴射されるクーラントの効果を高めることができる。
【0030】
また、本実施形態では、第2クーラントタンク52に設けた取水堰(堰56)によって、調温装置68で冷やされたクーラントが第1クーラントタンク51に戻るため、その第1クーラントタンク51からも温度を下げたクーラントを加工室へと供給することができる。第1クーラントタンク51のクーラントは、加工室の床面に落ちた切屑などを流すために使用されるものであるが、それでも熱を持ったクーラントによって工作機械1の加工に影響が生じてしまう。この点、第1クーラントタンク51のクーラントも温度を下げることにより、クーラントを原因とした熱影響を防止することにより、工作機械1における加工精度を高めることができる。
【0031】
特に、排出パイプ66の排出口660が液面に近いため、温調装置68で冷やされたクーラントを第1クーラントタンク52に戻すことができ、第1クーラントタンク51内のクーラントの温度を下げる効果が大きい。また、排出パイプ66の排出口660がハイレベルHとローレベルLとの間に位置することにより、汲み上げポンプ53が駆動停止した場合にでもサイフォン現象の影響を受けることなく、再駆動時にはクーラントを加工室へと送り込むことができる。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、工作機械として対向2軸旋盤の複合加工機を例に挙げて説明したが、こうした構造のものに限定されるわけではない。
【符号の説明】
【0033】
1…工作機械 2…工具主軸装置 3…第1ワーク主軸装置 4…1タレット装置 5…第2ワーク主軸装置 6…第2タレット装置 7…クーラント装置 8…自動工具交換装置 9…ワーク自動搬送装置 51…第1クーラントタンク 52…第2クーラントタンク 53…汲み上げポンプ 54…サイクロンフィルタ 55…第2クーラントポンプ 56…堰 57…排出口 58…戻りパイプ 59…第1クーラントポンプ 65…供給パイプ 66…排出パイプ … 68…調温装置 660…排出口


図1
図2
図3
図4