(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099269
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】まつ毛エクステンションの方法
(51)【国際特許分類】
A41G 5/02 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A41G5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003090
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】513182868
【氏名又は名称】株式会社あすなろ
(74)【代理人】
【識別番号】100165685
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信治
(72)【発明者】
【氏名】藤井 律子
(57)【要約】
【課題】接着剤を使用していても温度や湿度環境に左右されることが無いと共に、接着剤及び硬化剤の長期間の保存後であっても十分な機能を発揮するまつ毛エクステンションの方法を提供することを目的とする。
【解決手段】まつ毛エクステンションを行う直前に接着剤と硬化剤とを混合して人工まつ毛と人のまつ毛を固定するための溶液を作製する溶液作製工程と、人工まつ毛の末端部に硬化剤入り接着剤を塗布する塗布工程と、人工まつ毛を人のまつ毛に装着する装着工程と、を備えることを特徴とするまつ毛エクステンションの方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
まつ毛エクステンションの方法であって、
まつ毛エクステンションを行う直前に接着剤と硬化剤とを混合して人工まつ毛と人のまつ毛を固定するための接着溶液を作製する溶液作製工程と、
前記人工まつ毛の末端部に前記接着溶液を塗布する塗布工程と、
前記人工まつ毛を前記人のまつ毛に装着する装着工程と、
を備えることを特徴とするまつ毛エクステンションの方法。
【請求項2】
前記接着剤がシアノアクリレート系接着剤であることを特徴とする請求項1に記載のまつ毛エクステンションの方法。
【請求項3】
前記硬化剤が光硬化剤であり、前記人工まつ毛と前記人のまつ毛との接着部分の前記接着溶液を光照射装置により重合硬化させる硬化促進工程をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のまつ毛エクステンションの方法。
【請求項4】
前記光照射装置がLED硬化ライトであることを特徴とする請求項3に記載のまつ毛エクステンションの方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まつ毛エクステンションの方法に関する。
【背景技術】
【0002】
まつ毛に長さやボリュームを与えて目もとを魅力的に演出するためのアイテムとして、まつ毛エクステンションがよく用いられている。まつ毛エクステンションは自分のまつ毛のそれぞれに人工まつ毛を接着剤で固定してまつ毛を長く太く見せる技術であるが、まつ毛と人工まつ毛とを接着剤で固定することがなされているため、温度及び湿度環境によって接着強度が左右され、クレンジング、洗顔、お風呂等の物理的刺激により人工まつ毛が剥がれたりするという問題があった。また、接着剤の強度が環境によって左右されないように硬化剤を含む接着剤が開発されていたが、当該接着剤が高価であることと長期間保存すると接着能力が低下するため、まつ毛エクステンションには積極的に利用されてこなかった。
【0003】
このような問題を解決するために、これまでは、エクステンション用人工まつ毛の構造を工夫することによって人工まつ毛を剥がれにくくする工夫がなされていた(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-285802号公報
【特許文献2】特開2010-24579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2には、人工まつ毛を袋状にしてまつ毛一本一本に覆いかぶせることが記載されている。これにより、人工まつ毛と人のまつ毛との接着面積を大きくして人工まつ毛を取れにくくしている。しかし、使用する接着剤は温度や湿度の環境によって接着強度が変わるため、環境によっては十分な接着効果は得られなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、接着剤を使用していても温度や湿度環境に左右されることが無いと共に、接着剤及び硬化剤の長期間の保存後であっても十分な機能を発揮するまつ毛エクステンションの方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は以下の発明を含む。
[発明1]
まつ毛エクステンションの方法であって、
まつ毛エクステンションを行う直前に接着剤と硬化剤とを混合して人工まつ毛と人のまつ毛を固定するための接着溶液を作製する溶液作製工程と、
人工まつ毛の末端部に接着溶液を塗布する塗布工程と、
人工まつ毛を人のまつ毛に装着する装着工程と、
を備えることを特徴とするまつ毛エクステンションの方法。
[発明2]
接着剤がシアノアクリレート系接着剤であることを特徴とする発明1に記載のまつ毛エクステンションの方法。
[発明3]
硬化剤が光硬化剤であり、人工まつ毛と人のまつ毛との接着部分の接着溶液を光照射装置により重合硬化させる硬化促進工程をさらに備えることを特徴とする発明1又は2に記載のまつ毛エクステンションの方法。
[発明4]
光照射装置がLED硬化ライトであることを特徴とする発明3に記載のまつ毛エクステンションの方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るまつ毛エクステンションの方法は、接着剤と硬化剤とを別々に保存し、まつ毛エクステンションの仕様直前に混合することから、人工まつ毛を人のまつ毛に強固に固定することができるとともに、接着剤と硬化剤の保存安定性を延ばすことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に係るまつ毛エクステンションの方法を説明する図であり、(A)は接着剤と硬化剤とを混合して人工まつ毛と人のまつ毛を固定するための接着溶液を作製する図であり、(B)は人工まつ毛の末端部に接着溶液を塗布する図であり、(C)は人工まつ毛を人のまつ毛に装着する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意検討を重ねた結果、人工まつ毛を取り付ける直前に接着剤と硬化剤とを混合して使用することにより、人工まつ毛と人のまつ毛とを強固に固定できると共に、接着剤と硬化剤を長期間保存できることを見出し、本発明を完成させた。ここで、本明細書中で「まつ毛エクステンション」とは、人のまつ毛のそれぞれに人工まつ毛を接着剤で固定してまつ毛を長く、太く見せる技術のことであり、本明細書中で「人工まつ毛」とは、まつ毛エクステンションに使用される人工まつ毛のことをいう。
【0011】
本発明に係るまつ毛エクステンションの方法を、以下詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に記載される構成に限定されることを意図しない。
【0012】
まつ毛エクステンションは、接着剤の種類やそのつけ方によって、人工まつ毛部分の脱落が大きく左右されるため、専門のサロンにおいて、熟練の専門家に取り付けてもらうことが多い。しかし、熟練の専門家に取り付けてもらったとしても、接着強度が温度や湿度環境に左右されるため、人工まつ毛の剥離が度々起こる。
【0013】
本発明のまつ毛エクエクステンションの方法は、人工まつ毛を装着する直前に硬化剤を接着剤に混ぜるため、人工まつ毛と人のまつ毛との接着部分の強度を向上させることができる。これにより、クレンジング、洗顔、お風呂等の物理、化学的刺激が人工まつ毛に加わっても簡単に取れることはなく、まつ毛エクステンションを長期間維持することができる。接着剤及び硬化剤の保存安定性に関しては、別々に保存するため保存安定性は高く、硬化剤入り接着剤の安定性が1、2か月程度であるのに対して長期保存(1年以上)した後でも、接着強度は殆ど落ちない。
【0014】
まつ毛エクステンションに使用される接着剤としては、その手間の良さからシアノアクリレート系の瞬間接着剤(グルー)が多く用いられている。グルーに用いられるシアノアクリレート系接着剤には、ホルムアルデヒドの放散量が多いエチルシアノアクリレートとホルムアルデヒドの放散量が少ないブチルシアノアクリレートがあり、ブチルシアノアクリレートは低刺激であるが強度が弱く硬化速度もゆっくりで、環境中の温度や湿度の影響を受けやすい。
【0015】
シアノアクリレート系接着剤は、重合反応開始剤として水分が必要となるが、まつ毛と人工まつ毛の間の厚膜の中央部分や接着箇所からはみ出た部分では水分が少なくなるため、未硬化の部分が残存してしまい、十分な強度が確保できないことがある。また、未反応のモノマーにより白化現象が生じてしまうことがある。
【0016】
本発明は硬化剤を使用することにより、未硬化の部分が無くなり、十分な強度が確保され、さらに未反応モノマーが無くなるため白化現象も生じない。本発明で用いる硬化剤としては、アセトン系硬化剤、シクロペンタン系硬化剤、アルコール系硬化剤などの溶媒系の硬化剤、光硬化剤などがあるが、安全性の観点から光硬化剤が好ましい。
【0017】
光硬化剤は、紫外線硬化型、可視光硬化型の2種類があり、各々の光照射装置により発生する波長領域に高感度に反応して重合硬化する。光照射装置には、ランプ方式、LED方式があるが、好ましくはLED方式である。LED方式は、熱線(赤外線)を含まないため、近接照射が可能である。
【0018】
シアノアクリレート系接着剤に硬化剤を配合した接着剤は上市されているが、保存安定性が低く、また硬化剤の濃度が一定であり、まつ毛エクステンションで利用するには問題があった。しかし、接着剤と硬化剤を別々で使用することにより、個々の保存安定性は延びると共に、まつ毛エクステンションの施術者の利便性に合わせて個々に配合することが出来る。
【0019】
図1は、本発明に係るまつ毛エクステンションの方法を説明する図である。本発明に係るまつ毛エクステンションの方法は、まつ毛エクステンションを行う直前に接着剤1と硬化剤2とを混合して人工まつ毛10と人のまつ毛11を固定するための接着溶液3を作製する溶液作製工程と、人工まつ毛10の末端部10aに接着溶液3を塗布する塗布工程と、人工まつ毛10を人のまつ毛11に装着する装着工程と、を含んでいる。使用される硬化剤の量は、接着剤が十分硬化できる量であれば問題はなく、まつ毛エクステンションの施術者によって適宜設定され得る。使用する硬化剤が光硬化剤である場合、人工まつ毛10と人のまつ毛11との接着部分11aの接着溶液3を光照射装置により重合硬化させる硬化促進工程をさらに備える。
【0020】
具体的なまつ毛エクステンションの方法としては、まず、まつ毛エクステンションを行う直前にまつ毛エクステンションに使用される接着剤1をポリエチレンフィルムなどの表面に数ml配置し、その上から硬化剤2をピペット50などで少量滴下した後、ピペット50などの先端で十分に混合して人工まつ毛10と人のまつ毛11を固定するための接着溶液3を作製する。次いで、ピンセット12などを用いて人工まつ毛10の末端部10aを硬化剤2が入った接着溶液3につけて末端部10a全体に接着溶液3を塗布する。人工まつ毛10は、末端部10aから先端部10bに行くほど細く形成され、さらにカールが施されている。接着溶液3が塗布された人工まつ毛10は、ピンセット12などを用いて人のまつ毛11に装着する。使用される硬化剤が光硬化剤の場合は、人工まつ毛10と人のまつ毛11との接着部分11aの接着溶液3に光照射装置であるLED硬化ライトなどを照射して、接着剤の硬化を促進させる。これにより、接着剤の未硬化の部分が無くなり、十分な強度が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係るまつ毛エクエクステンションの方法は、まつ毛エクステンション業界において利用することができる。
【符号の説明】
【0022】
1 接着剤
2 硬化剤
3 接着溶液
10 人工まつ毛
10a 末端部
11 人のまつ毛
11a 接着部分