(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099275
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】レーザ加工機、及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/03 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B23K26/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003107
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 研
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太郎
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA16
4E168CB15
4E168EA17
(57)【要約】
【課題】静電容量式のセンサに起因する加工ヘッドの振幅を抑制する。
【解決手段】レーザ加工機は、ワークWにレーザビームを照射する加工ヘッド10と、ワークWの面直方向である上下方向に沿って加工ヘッド10を移動させるZ軸モータ30と、ワークWと加工ヘッド10の先端とのギャップGpを検出する静電容量式のセンサ11と、ギャップGpが指令ギャップを維持するように、センサ11の検出値と制御ゲインとから演算される制御量に基づいて加工ヘッド10を上下方向に移動させる倣い制御を行う制御装置50と、を備える。制御装置50は、指令ギャップが小さいほど制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じて制御ゲインを可変的に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークにレーザビームを照射する加工ヘッドと、
前記ワークの面直方向である上下方向に沿って前記加工ヘッドを移動させる駆動部と、
前記ワークと前記加工ヘッドの先端とのギャップを検出する静電容量式のセンサと、
前記ギャップが指令ギャップを維持するように、前記センサの検出値と制御ゲインとから演算される制御量に基づいて前記加工ヘッドを上下方向に移動させる倣い制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記指令ギャップが小さいほど前記制御ゲインが大きくなるように、前記指令ギャップに応じて前記制御ゲインを可変的に設定する
レーザ加工機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ワークをレーザ加工するための加工条件から前記指令ギャップを取得する
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項3】
複数の数値範囲に予め区分けされた前記指令ギャップと対応付けられた複数の制御ゲインが用意されており、
前記制御装置は、
前記加工条件から取得した前記指令ギャップが該当する区分に応じて、複数の制御ゲインの中から前記制御量を演算するための前記制御ゲインを選択する
請求項2記載のレーザ加工機。
【請求項4】
ワークと、前記ワークにレーザビームを照射する加工ヘッドとのギャップを静電容量式のセンサで検出し、
指令ギャップが小さいほど制御ゲインが大きくなるように、前記指令ギャップに応じて前記制御ゲインを可変的に設定し、
前記ギャップが前記指令ギャップを維持するように、前記センサの検出値と前記制御ゲインとから演算される制御量に基づいて前記加工ヘッドを前記ワークの面直方向である上下方向に移動させる
レーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機、及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金などのワークに対して切断加工を行う加工機として、レーザビームを用いて加工を行うレーザ加工機が知られている。レーザ加工機は、ワークにレーザビームを照射することで、熱エネルギーによってワークを切断する。レーザ加工機は、ワークから切り出すパーツの形状に応じて、レーザビームを照射する加工ヘッドを前後方向及び左右方向に移動させる制御を行う。また、レーザ加工機は、ワークと加工ヘッドの先端とのギャップが一定の値を維持するように、加工ヘッドを上下方向に移動させる倣い制御を行う。
【0003】
例えば特許文献1、2には、ワークと加工ヘッドとのギャップを一定の値に保つ際の加工ヘッドの移動応答特性である制御ゲインを切り替える手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-235309号公報
【特許文献2】特開2004-34051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
静電容量式のセンサは安価であることから、ギャップの検出に用いられている。静電容量式のセンサを用いて倣い制御を行うと、指令ギャップによっては加工ヘッドの上下方向の振れ(振幅)が大きくなるという問題があった。特許文献1、2に開示される手法であっても、静電容量式のセンサに起因する加工ヘッドの振幅という課題を解決するものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のレーザ加工機は、ワークにレーザビームを照射する加工ヘッドと、ワークの面直方向である上下方向に沿って加工ヘッドを移動させる駆動部と、ワークと加工ヘッドの先端とのギャップを検出する静電容量式のセンサと、ギャップが指令ギャップを維持するように、センサの検出値と制御ゲインとから演算される制御量に基づいて加工ヘッドを上下方向に移動させる倣い制御を行う制御装置と、を備え、制御装置は、指令ギャップが小さいほど制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じて制御ゲインを可変的に設定する。
【0007】
本発明の一態様のレーザ加工機によれば、指令ギャップが小さい状況では、制御ゲインが大きくなるので、ワークに対する加工ヘッドの追従性が向上し、ギャップ誤差、すなわち指令ギャップと現実のギャップとの差を小さくすることができる。制御ゲインを大きくすると加工ヘッドの振幅は大きくなるが、指令ギャップが小さい状況では振幅の影響は小さい。一方で、指令ギャップが大きい状況では、制御ゲインが小さくなるので、加工ヘッドの上下方向の振幅を抑制することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、静電容量式のセンサに起因する加工ヘッドの振幅を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係るレーザ加工機の要部を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係るレーザ加工方法におけるギャップ制御ゲインの設定手順を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、Z軸振幅とギャップ制御ゲインとの関係を示す図である。
【
図4】
図4は、静電容量とギャップとの関係を示す図である。
【
図5】
図5は、Z軸振幅とギャップとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本実施形態に係るレーザ加工機、及びレーザ加工方法について説明する。本明細書では、水平方向において直交する左右方向及び前後方向と、左右方向及び前後方向それぞれに直交する上下方向とをレーザ加工機の方向の定義として用いる。左右方向及び前後方向は、ワーク支持部に載置されるワークの面内方向と対応し、上下方向は、ワーク支持部に載置されるワークの面直方向に対応する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るレーザ加工機の要部を示すブロック図である。本実施形態に係るレーザ加工機は、ワークWにレーザビームを照射する加工ヘッド10と、ワークWの面直方向である上下方向に沿って加工ヘッド10を移動させるZ軸モータ(駆動部)30と、ワークWと加工ヘッド10の先端とのギャップGpを検出する静電容量式のセンサ11と、ギャップGpが指令ギャップを維持するように、センサ11の検出値とギャップ制御ゲインとから演算される制御量に基づいて加工ヘッド10を上下方向に移動させる倣い制御を行う制御装置50と、を備え、制御装置50は、指令ギャップが小さいほどギャップ制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じてギャップ制御ゲインを可変的に設定する。
【0012】
以下、本実施形態に係るレーザ加工機の詳細を説明する。レーザ加工機は、加工ヘッド10と、Z軸モータ30と、制御装置50と、を主体に構成されている。
【0013】
加工ヘッド10は、ワークWの上方からワークWにレーザビームを照射して、ワークWに対してレーザ加工を行う。加工ヘッド10には、プロセスファイバ15を介して、レーザ発振器16から出射されたレーザビームが伝送されている。加工ヘッド10の先端には、レーザビームを出射するノズルが着脱自在に取り付けられている。ノズルの先端部には、円形の開口が設けられており、レーザビームは、ノズルの先端部の開口からワークWに照射される。
【0014】
ワークWは、図示しないワーク搬送装置によって搬送されて、ワーク支持部20に支持されている。
【0015】
Z軸モータ30は、加工ヘッド10を上下方向に移動させるためのZ軸駆動部であり、例えばサーボモータである。Z軸モータ30を駆動することにより、加工ヘッド10をワークWの面直方向である上下方向に移動させることができる。
【0016】
Z軸モータ30には、Z軸モータ30の回転動作を検出するエンコーダ31が設けられている。エンコーダ31の検出結果を示すエンコーダ信号は、制御装置50に出力される。
【0017】
なお、レーザ加工機は、加工ヘッド10を左右方向に移動させるためのX軸駆動部及び加工ヘッド10を前後方向に移動させるためのY軸駆動部をさらに備えている。X軸駆動部及びY軸駆動部が駆動することにより、加工ヘッド10をワークWと平行な左右方向及び前後方向にそれぞれ移動させることができる。
【0018】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置50が備える種々の機能が実現される。
【0019】
制御装置50には、加工ヘッド10に搭載されたセンサ11から出力されるセンサ信号が入力されている。センサ11は、ワークWと加工ヘッド10の先端(ノズル)との間の距離、すなわちワークWと加工ヘッド10の先端とのギャップGpを検出する。センサ11は、例えば静電容量によってギャップGpを検出する静電容量式のセンサである。
【0020】
本実施形態の関係において、制御装置50は、メモリから加工プログラムを呼び出して実行し、レーザ加工機の各部の動作を制御してワークWに対してレーザ加工を行う。例えば、制御装置50は、ワークWから所定形状のパーツを切り出すように、加工ヘッド10を左右方向及び前後方向に移動させる。
【0021】
制御装置50は、ワークWのレーザ加工に伴って加工ヘッド10を左右方向及び前後方向に移動させるときに倣い制御を行う。倣い制御とは、検出したギャップGpが制御上の指令値である指令ギャップを維持するように、加工ヘッド10を上下方向に移動させるフィードバック制御をいう。
【0022】
制御装置50は、ギャップ検出部51と、偏差計算部52と、ゲイン切り替え部53と、制御器54と、サーボアンプ55とを備えている。
【0023】
ギャップ検出部51は、センサ11から入力されるセンサ信号から、センサ11の検出値、すなわちセンサ11によって検出されたギャップGpである検出ギャップを特定する。特定された検出ギャップは、偏差計算部52に出力される。
【0024】
偏差計算部52は、指令ギャップから検出ギャップを減算した偏差を計算する。偏差計算部52は、ワークWをレーザ加工するための加工プログラムに規定される加工条件から指令ギャップを取得することができる。計算された偏差は、ゲイン切り替え部53に出力される。
【0025】
ゲイン切り替え部53には、複数の数値範囲に予め区分けされた指令ギャップと対応付けられた複数のギャップ制御ゲインが用意されている。
図1に示す例では、3つのギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3が示されており、個々のギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3は、後述するように、3つ数値範囲に区分けされた指令ギャップと対応付けられている。ゲイン切り替え部53は、3つのギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3を切り替えることにより、指令ギャップが小さいほどギャップ制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じてギャップ制御ゲインを可変的に設定する。
【0026】
なお、切り替え可能なギャップ制御ゲインの個数は複数であればよく、上記の3つに限定されない。ゲイン切り替え部53は、偏差計算部52と同様、ワークWをレーザ加工するための加工プログラムに規定される加工条件から指令ギャップを取得することができる。
【0027】
ギャップ制御ゲインは、ギャップGpの変化量に対する、加工ヘッド10の上下方向の移動量の比率を定めるパラメータであり、加工ヘッド10の移動応答特性に相当する。ゲイン切り替え部53は、設定されたギャップ制御ゲインと、偏差計算部52が計算した偏差とに基づいて、加工ヘッド10を上下方向に移動させる制御量を演算する。演算された制御量は、制御器54に出力される。
【0028】
制御器54は、ゲイン切り替え部53によって演算された制御量に応じた制御信号を生成し、この制御信号をサーボアンプ55に出力する。
【0029】
サーボアンプ55は、制御器54から出力された制御信号とエンコーダ31からのエンコーダ信号とが一致するように、Z軸モータ30に対する制御量とZ軸モータ30の実際の動作量との誤差に応じた電力をZ軸モータ30に供給する。
【0030】
つぎに、
図1及び
図2を参照し、本実施形態に係るレーザ加工方法を説明する。ここで、
図2は、本実施形態に係るレーザ加工方法におけるギャップ制御ゲインの設定手順を示すフローチャートである。本実施形態に係るレーザ加工方法は、ワークWのレーザ加工に伴う倣い制御において実現される。
【0031】
まず、
図1に示すように、センサ11により、ワークWと加工ヘッド10の先端とのギャップGpが検出される。ギャップ検出部51は、センサ11から出力されるセンサ信号から、検出ギャップを特定する。
【0032】
偏差計算部52は、加工条件に定義される指令ギャップを読み込む。偏差計算部52は、指令ギャップから検出ギャップを減算した偏差を計算する。
【0033】
図2のステップS10において、ゲイン切り替え部53は、偏差計算部52と同様、加工条件に定義される指令ギャップを読み込む。
【0034】
ステップS11において、ゲイン切り替え部53は、指令ギャップが第1閾値X1以下であるか否かを判断する。第1閾値X1は、指令ギャップを3つの数値範囲に区分けするための第1及び第2閾値X1、X2のうちの一つであり、第2閾値X2よりも小さな値となっている。
【0035】
指令ギャップが第1閾値X1以下の場合には、ステップS11で肯定判定され、ステップS12に進む。一方、指令ギャップが第1閾値X1よりも大きい場合には、ステップS11で否定判定され、ステップS13に進む。
【0036】
ステップS12において、ゲイン切り替え部53は、3つのギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3のうち、最も大きなギャップ制御ゲインKg1を選択する。
【0037】
ステップS13において、ゲイン切り替え部53は、指令ギャップが第1閾値よりも大きく、且つ第2閾値X2以下か否かを判断する。指令ギャップが第1閾値X1よりも大きく、且つ第2閾値X2以下の場合には、ステップS13で否定判定され、ステップS14に進む。一方、指令ギャップが第2閾値X2よりも大きい場合には、ステップS13で否定判定され、ステップS15に進む。
【0038】
ステップS14において、ゲイン切り替え部53は、3つのギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3のうち、中間のギャップ制御ゲインKg2を選択する。
【0039】
ステップS15において、ゲイン切り替え部53は、3つのギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3のうち、最も小さなギャップ制御ゲインKg3を選択する。
【0040】
再び
図1に示すように、ゲイン切り替え部53は、設定されたギャップ制御ゲインと、偏差計算部52が計算した偏差とに基づいて、加工ヘッド10の制御量を演算する。具体的には、ギャップ制御ゲインと偏差とを積算することにより、制御量を演算する。
【0041】
制御器54は、ゲイン切り替え部53によって演算された制御量に応じた制御信号をサーボアンプ55に出力する。
【0042】
サーボアンプ55は、制御器54から出力された制御信号とエンコーダ31からのエンコーダ信号とが一致するように、両者の誤差に応じた電力をZ軸モータ30に供給する。これにより、Z軸モータ30が駆動し、制御量に応じて加工ヘッド10が上方向及び下方向に移動させられる。
【0043】
以下、
図3から
図5を参照し、ギャップGpと加工ヘッド10の上下方向の振れ(以下「Z軸振幅」という)との関係について説明する。ここで、
図3は、Z軸振幅とギャップ制御ゲインとの関係を示す図である。
図4は、静電容量とギャップとの関係を示す図である。
図5は、Z軸振幅とギャップとの関係を示す図である。
【0044】
ギャップ制御ゲインが大きいほど、指令ギャップと検出ギャップとの差が小さくなることから、一般には、ギャップ制御ゲインは大きい方が好ましい。しかしながら、
図3に示すように、ギャップ制御ゲインが大きくなると、Z軸振幅も大きくなる傾向にある。このため、ギャップ制御ゲインを大きい値で固定したままにしておくことは、Z軸振幅の観点から好ましいとは言えない。
【0045】
図4に示すように、静電容量式のセンサ11の検出特性として、ギャップGpが大きいほど静電容量が小さくなるため、ギャップGpが大きくなるとセンサ11の分解能が小さくなる。このため、静電容量式のセンサ11を用いて倣い制御を行った場合には、
図5に示すように、ギャップGpが大きいほどZ軸振幅が大きくなる傾向にある。
【0046】
この点、本実施形態に係るレーザ加工機によれば、制御装置50は、指令ギャップが小さいほどギャップ制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じてギャップ制御ゲインを可変的に設定している。
【0047】
これにより、指令ギャップが小さい状況では、ギャップ制御ゲインが大きくなるので、加工ヘッド10のワークWへの追従性が向上し、ギャップ誤差、すなわち指令ギャップと検出ギャップとの差を小さくすることができる。ギャップ制御ゲインを上げるとZ軸振幅は大きくなるが、指令ギャップが小さい状況ではその影響は小さい。一方で、指令ギャップが大きい状況では、ギャップ制御ゲインが小さく設定されるので、Z軸振幅を抑えることができる。したがって、静電容量式のセンサに起因する加工ヘッドの振幅を抑制することができる。
【0048】
本実施形態において、制御装置50は、ワークWをレーザ加工するための加工条件から指令ギャップを取得している。
【0049】
この構成によれば、加工態様によって変化する指令ギャップを適切に取得することができる。これにより、ギャップ制御ゲインの設定を適切に行うことができる。
【0050】
本実施形態において、複数の数値範囲に予め区分けされた指令ギャップと対応付けられた複数のギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3が用意されており、制御装置50は、加工条件から取得した指令ギャップが該当する区分に応じて、複数のギャップ制御ゲインKg1、Kg2、Kg3の中から制御量を演算するためのギャップ制御ゲインを選択している。
【0051】
この構成によれば、指令ギャップに応じたギャップ制御ゲインを適切に特定することができる。
【0052】
また、本実施形態に係るレーザ加工方法は、ワークWと、ワークWにレーザビームを照射する加工ヘッド10とのギャップGpを静電容量式のセンサ11で検出し、ギャップGpに対する指令ギャップが小さいほどギャップ制御ゲインが大きくなるように、指令ギャップに応じてギャップ制御ゲインを可変的に設定し、ギャップGpが指令ギャップを維持するように、センサ11の検出値とギャップ制御ゲインとから演算される制御量に基づいて加工ヘッド10を上下方向に移動させる。
【0053】
この方法によれば、指令ギャップが小さい状況では、ギャップ制御ゲインが大きくなるので、加工ヘッド10のワークWへの追従性が向上し、ギャップ誤差、すなわち指令ギャップと検出ギャップとの差を小さくすることができる。ギャップ制御ゲインを上げるとZ軸振幅は大きくなるが、指令ギャップが小さい状況ではその影響は小さい。一方で、指令ギャップが大きい状況では、ギャップ制御ゲインが小さくなるので、Z軸振幅を抑えることができる。したがって、静電容量式のセンサに起因する加工ヘッドの振幅を抑制することができる。
【0054】
なお、本実施形態で示すギャップ制御ゲインとしては、フィードバック制御系の応答周波数によって変化するようなゲインを対象としてもよい。
【0055】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0056】
10 加工ヘッド
11 センサ
15 プロセスファイバ
16 レーザ発振器
20 ワーク支持部
30 Z軸モータ
31 エンコーダ
50 制御装置
51 ギャップ検出部
52 偏差計算部
53 ゲイン切り替え部
54 制御器
55 サーボアンプ