(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099276
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電源回路
(51)【国際特許分類】
H02J 1/10 20060101AFI20240718BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H02J1/10
H02J1/00 306K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003108
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀川 敦
(72)【発明者】
【氏名】稲川 慎吾
【テーマコード(参考)】
5G165
【Fターム(参考)】
5G165BB04
5G165CA01
5G165DA01
5G165EA04
5G165FA01
5G165GA04
5G165HA02
5G165HA03
5G165HA08
5G165JA09
5G165MA01
5G165NA06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源失陥時に、負荷に対して過電流を流さずに電力供給する電源回路を提供する。
【解決手段】高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2に接続される電源回路100において第1電源ライン11と第2電源ライン12との間に接続される変換回路20と、高電圧バッテリ1の出力と第1電源ライン11上の接続点bとの間に接続される第1導通回路31と、低電圧バッテリ2の出力と第2電源ライン12上の接続点dとの間に接続される第2導通回路32と、変換回路の出力と接続点bとを接続する第1電流経路41に接続される第3導通回路33と、変換回路の出力と接続点dとを接続する第2電流経路42に接続される第4導通回路34と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧バッテリと低電圧バッテリに接続される電源回路において、
前記高電圧バッテリと高負荷機器とを接続する第1電源ラインと、
前記低電圧バッテリと低負荷機器とを接続する第2電源ラインと、
前記第1電源ラインと前記第2電源ラインとの間に接続され、前記高電圧バッテリから入力される電圧を変換し、変換された電圧を前記低負荷機器に出力し、前記低電圧バッテリから入力される電圧を変換し、変換された電圧を前記高負荷機器に出力する変換回路と、
前記高電圧バッテリの出力と前記第1電源ライン上の第1接続点との間に接続され、前記高電圧バッテリの出力から前記第1電源ラインを通り前記第1接続点に向かって流れる第1順方向電流を導通する第1導通回路と、
前記低電圧バッテリの出力と前記第2電源ライン上の第2接続点との間で前記第2電源ラインに接続され、前記低電圧バッテリの出力から前記第2電源ラインを通り前記第2接続点に向かって流れる第2順方向電流を導通する第2導通回路と、
前記変換回路の出力と前記第1接続点とを接続する第1電流経路に接続され、前記変換回路の出力から前記第1電流経路を通り前記第1接続点に向かって流れる第3順方向電流を導通する第3導通回路と、
前記変換回路の出力と前記第2接続点とを接続する第2電流経路に接続され、前記変換回路の出力から前記第2電流経路を通り前記第2接続点に向かって流れる第4順方向電流を導通する第4導通回路と備える電源回路。
【請求項2】
請求項1記載の電源回路において、
前記第1導通回路は、前記第1電源ラインに接続されるダイオードを有し、
前記第2導通回路は、前記第2電源ラインに接続されダイオードを有す電源回路。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電源回路において、
前記第3導通回路は、前記第1電流経路に接続されるダイオードを有し、
前記第4導通回路は、前記第2電流経路に接続されるダイオードを有す電源回路。
【請求項4】
請求項1又は2記載の電源回路において、
前記第3導通回路は、前記第3順方向電流を流す定電流源を有し、
前記第4導通回路は、前記第4順方向電流を流す定電流源を有す電源回路。
【請求項5】
請求項1又は2記載の電源回路において、
前記変換回路は、
前記変換回路の出力電流を前記第1電源ラインに流す場合には、入力電圧を昇圧し、
前記変換回路の出力電流を前記第2電源ラインに流す場合には、入力電圧を降圧する電源回路。
【請求項6】
請求項1又は2記載の電源回路において、
前記変換回路は、前記高電圧バッテリを降圧する降圧回路と、前記低電圧バッテリを昇圧する昇圧回路を有す電源回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、冗長電源の構成が可能な車両用電源システムが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載の車両用電源システムは、それぞれ独立して設けられる第1系統の電源ライン及び第2系統の電源ラインの一方又は両方から電力供給を受けることが可能な負荷と、第1のバッテリーと、第2のバッテリーと、車両の状態に基づいて電源ラインとバッテリーとの接続を制御する接続制御装置と、を備え、接続制御装置は、車両が手動運転状態である場合は、第1のバッテリー及び第2のバッテリーの両方を第1系統の電源ラインに並列接続する。第1系統の電源ラインで電源失陥が発生した場合には、接続制御装置は、第1のバッテリー及び第2のバッテリーの両方を第2系統の電源ラインに並列接続して、負荷への電力供給を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両用電源システムでは、第1系統の電源ラインで電源失陥が発生した場合、第1のバッテリーと第2のバッテリーの互いの電圧が異なる状態で第2系統の電源ラインに並列接続すると、負荷に過電流が流れるおそれがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、電源失陥時に、負荷に対して過電流を流さずに電力供給できる電源回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1電源ラインと第2電源ラインに接続される変換回路と、高電圧バッテリの出力と第1電源ライン上の第1接続点との間に接続される第1導通回路と、低電圧バッテリ2の出力と第2電源ライン上の第2接続点との間に接続される第2導通回路と、変換回路の出力と第1接続点とを接続する第1電流経路に接続される第3導通回路と、変換回路の出力と第2接続点とを接続する第2電流経路に接続される第4導通回路とを備えることによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電源失陥時に、負荷に対して継続的に電力を供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における電源システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の変形例に係る電源システムのブロック図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の変形例に係る電源システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る電源システムの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る電源システムのブロック図である。電源システムは、バッテリをモータ駆動用の電源とする車両に搭載されるシステムであって、複数のバッテリの電力を車載装置に供給するための電源システムである。なお、以下の説明では、電源システムを車両に適用した例を説明するが、電源システムは車両に限らず、例えば、2つの電源を有した定置用のシステム等、車両以外のシステムに適用してもよい。
【0010】
図1に示すように、電源システムは、高電圧バッテリ1と、低電圧バッテリ2と、高負荷機器3と、低負荷機器4と、電源回路100とを備えている。高電圧バッテリ1は、二次電池を複数有しており、バッテリコントローラの制御により充放電可能な蓄電池である。高電圧バッテリ1の電力は、主に高負荷機器3で消費される。低電圧バッテリ2は、高電圧バッテリ1よりも定格電圧の低いバッテリであり、二次電池を有している。低電圧バッテリ2は、バッテリコントローラの制御により充放電可能な蓄電池である。低電圧バッテリ2の電力は、主に低負荷機器4で消費される。低電圧バッテリには、例えば12Vの補器類用電源が使用される。高電圧バッテリ1及び低電圧バッテリ2に含まれる二次電池には、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などが使用される。
【0011】
高負荷機器3は、モータ等、消費電力の大きな負荷である。低負荷機器4は、バッテリコントローラ等のコントールユニット(制御回路)、通信装置(通信回路)、及び車載ディスプレイ等、消費電力の小さな負荷である。
【0012】
電源回路100は、高電圧バッテリ1及び/又は低電圧バッテリ2の電圧を変換して、変換した電圧を、高負荷機器3及び/又は低負荷機器4に出力して、高電圧バッテリ1及び/又は低電圧バッテリ2の電力を高負荷機器3及び/又は低負荷機器4に供給する。電源回路100は、高電圧バッテリ1及び低電圧バッテリ2を入力側に、高負荷機器3及び低負荷機器4を出力側に接続する。電源回路100は、高電圧バッテリ1及び低電圧バッテリ2のいずれか一方の電源(バッテリ)が失陥した場合に、他方の電源(バッテリ)から電圧を供給する。電源回路100は、第1電源ライン11、第2電源ライン12、変換回路20、第1導通回路31、第2導通回路32、第3導通回路33及び第4導通回路34を備えている。
【0013】
第1電源ライン11は、高電圧バッテリ1と高負荷機器3とを接続する配線である。第2電源ライン12は、低電圧バッテリ2と低負荷機器4とを接続する配線である。第1電源ライン11には耐圧の高いハーネスが使用され、第2電源ライン12には耐圧の低いハーネスが使用される。
【0014】
変換回路20は、双方向DCDCコンバータであり、高電圧バッテリ1から入力される電圧(高電圧バッテリ1のバッテリ電圧)を変換し、変換された電圧を低負荷機器4に出力し、低電圧バッテリ2から入力される電圧(低電圧バッテリ2のバッテリ電圧)を変換し、変換された電圧を高負荷機器3に出力する。高電圧バッテリ1から入力される電圧を変換して、変換された電圧を低負荷機器4に出力する場合には、変換回路20は、低負荷機器4に含まれる負荷のうち、電力供給の対象となる負荷の動作電圧に合わせて、出力電圧を調整する。低電圧バッテリ2から入力される電圧を変換して、変換された電圧を高負荷機器3に出力する場合には、変換回路20は、高負荷機器3に含まれる負荷のうち、電力供給の対象となる負荷の動作電圧に合わせて、出力電圧を調整する。
【0015】
変換回路20は第1電源ライン11と第2電源ライン12との間に接続されている。変換回路20は入力端子を複数有しており、一方の入力端子は配線を介して、第1電源ライン11の接続点аに接続され、他方の入力端子は、配線を介して、第2電源ライン12の接続点cに接続されている。変換回路20は出力端子を複数有しており、一方の出力端子は配線(以下、第1電流経路41とも称する)を介して、第1電源ライン11の接続点bに接続され、他方の出力端子は、配線(以下、第2電流経路42とも称する)を介して、第2電源ライン12の接続点dに接続されている。接続点bは、第1電源ライン11上の接続点であり、第1電流経路41を第1電源ライン11に接続する接続点である。接続点dは、第2電源ライン12上の接続点であり、第2電流経路42を第2電源ライン12に接続する接続点である。また接続点а、cは変換回路20に対して上流側(変換回路20の入力側)に位置し、接続点b、dは変換回路20に対して下流側(変換回路20の入力側)に位置する。
【0016】
変換回路20は、
図1の点線で示すように、接続点аに接続される方の入力端子と、接続点dに接続される方の出力端子との間を電気的に接続する内部配線を有し、接続点cに接続される方の入力端子と、接続点bに接続される方の出力端子との間を電気的に接続する内部配線を有している。なお、それぞれの内部配線には、スイッチが接続されてもよい。なお変換回路20は、車両のECUの内部やバッテリ近傍に設置されるとよい。
【0017】
第1導通回路31、第2導通回路32、第3導通回路33、及び第4導通回路34は、順方向電流を導通する回路であって、一方向の電流(順方向電流)を導通し、他方向の電流(逆方向電流)を遮断する。第1導通回路31、第2導通回路32、第3導通回路33、及び第4導通回路34は、それぞれダイオードを有している。
【0018】
第1導通回路31は、高電圧バッテリ1の出力と接続点bとの間で第1電源ライン11に接続される。これにより、第1導通回路31は、高電圧バッテリ1から第1電源ライン11を通り接続点bに向かって流れる電流(「第1順方向電流」に相当)を導通し、接続点bから第2電源ライン12を通り高電圧バッテリ1に向かう方向の電流を遮断する。なお、
図1の例では、第1導通回路31は、接続点аと接続点bとの間に接続されているが、高電圧バッテリ1の出力と接続点аとの間に接続されてもよい。
【0019】
第2導通回路32は、低電圧バッテリ2の出力と接続点dとの間で第2電源ライン12に接続される。これにより、第2導通回路32は、低電圧バッテリ2から第2電源ライン12を通り接続縁dに向かって流れる電流(「第2順方向電流」に相当)を導通し、接続点dから第2電源ライン12を通り低電圧バッテリ2に向かう方向の電流を遮断する。なお、
図1の例では、第2導通回路32は、接続点cと接続点dとの間に接続されているが、低電圧バッテリ2の出力と接続点cとの間に接続されてもよい。
【0020】
第3導通回路33は、変換回路20の出力と接続点bとを接続する第1電流経路41に接続されている。これにより、第3導通回路33は、変換回路30の出力から第1電流経路41を通り接続点bに流れる電流(「第3順方向電流」に相当)を導通し、接続点bから第1電流経路41を通り変換回路20の出力に向かう方向の電流を遮断する。
【0021】
第4導通回路34は、変換回路20の出力と接続点dとを接続する第2電流経路42に接続されている。これにより、第4導通回路34は、変換回路30の出力から第2電流経路42を通り接続点dに流れる電流(「第4順方向電流」に相当)を導通し、接続点dから第2電流経路42を通り変換回路20の出力に向かう方向の電流を遮断する。
【0022】
次に、変換回路20の回路動作について説明する。高電圧バッテリ1及び低電圧バッテリ2の双方の電源が失陥しておらず、通常状態時には、高電圧バッテリ1から高負荷機器3に正常に電力を供給でき、低電圧バッテリ2から高負荷機器3に正常に電力を供給できる。変換回路20は、双方向の電圧変換を行う。具体的には、変換回路20は、高電圧バッテリ1から接続点аを介して入力される電圧を降圧して、降圧された電圧を、接続点dを介して低負荷機器4に出力する。このとき変換回路20は、低電圧バッテリ2から低負荷機器4に出力される電圧に合わせて、降圧する電圧(変換回路20の出力電圧)を調整するとよく、低電圧バッテリ2から低負荷機器4に出力される電圧と同一電圧、又は、近い電圧になるよう、降圧電圧を調整すればよい。また変換回路20は、低電圧バッテリ2から接続点cを介して入力される電圧を昇圧して、昇圧された電圧を、接続点bを介して高負荷機器3に出力する。このとき変換回路20は、高電圧バッテリ1から高負荷機器3に出力される電圧に合わせて、昇圧する電圧(変換回路20の出力電圧)を調整するとよく、高電圧バッテリ1から高負荷機器3に出力される電圧と同一電圧、又は、近い電圧になるよう、昇圧電圧を調整すればよい。つまり変換回路20は、変換回路20の出力電流を第1電源ライン11に流す場合には入力電圧を昇圧し、変換回路20の出力電流を第2電源ライン12に流す場合には入力電圧を降圧する。
【0023】
このように、高負荷機器3には、高電圧バッテリ1の電圧と、変換回路20で昇圧された電圧が入力される。また、低負荷機器4には、低電圧バッテリ2の電圧と、変換回路20で降圧された電圧が入力される。そのため、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2のいずれか一方のバッテリの電圧が瞬間的に降下しても、他方のバッテリの電圧が維持されるため、高負荷機器3及び低負荷機器4への入力電圧を安定化できる。
【0024】
高電圧バッテリ1から高負荷機器3に電力を供給する際には、第3導通回路33が第1電流経路41に接続されているため、電流が変換回路20の出力に向かって流れるような逆流を防ぐ。低電圧バッテリ2から低負荷機器4に電力を供給する際には、第4導通回路34が第2電流経路42に接続されているため、電流が変換回路20の出力に向かって流れるような逆流を防ぐ。なお、通常状態の場合は、変換回路20は必ずしも動作させる必要はなく、変換回路20は接続点a、cから入力された電圧を変換しなくてよく、また変換回路20から接続点b、dに電圧を出力しなくてもよい。
【0025】
高電圧バッテリ1の電源が失陥した場合には、変換回路20は、高負荷機器3へ電力供給を維持するために、次のように動作する。変換回路20は、接続点аと接続点dとの間で電圧変換はしない。変換回路20は、低電圧バッテリ2から接続点cを介して入力される電圧を昇圧して、昇圧された電圧を、接続点bを介して高負荷機器3に出力する。つまり、変換回路20の出力電流は、第1電流経路41を通り、接続点bから第1電源ライン11を通り、高負荷機器3に流れる。これにより、高電圧バッテリ1の電源失陥時に、低電圧バッテリ2を用いて、高負荷機器3への電力供給を維持できる。低電圧バッテリ2から変換回路20を介して高負荷機器3に電力を供給する際には、第1導通回路31が第1電源ライン11に接続されているため、電流が高電圧バッテリ1に流れるような逆流を防ぐ。また低電圧バッテリ2の出力電流は、第2電源ライン12を通り低負荷機器4に流れる。そのため、低電圧バッテリ2から低負荷機器4への電力供給も継続できる。
【0026】
低電圧バッテリ2の電源が失陥した場合には、変換回路20は、低負荷機器4へ電力供給を維持するために、次のように動作する。変換回路20は、接続点bと接続点cとの間で電圧変換はしない。変換回路20は、高電圧バッテリ1から接続点аを介して入力される電圧を降圧して、降圧された電圧を、接続点dを介して低負荷機器4に出力する。つまり、変換回路20の出力電流は、第2電流経路42を通り、接続点dから第2電源ライン12を通り、低負荷機器4に流れる。これにより、低電圧バッテリ2の電源失陥時に、高電圧バッテリ1を用いて、低負荷機器4への電力供給を維持できる。高電圧バッテリ1から変換回路20を介して低負荷機器4に電力を供給する際には、第2導通回路32が第2電源ライン12に接続されているため、電流が低電圧バッテリ2に流れるような逆流を防ぐ。また高電圧バッテリ1の出力電流は、第1電源ライン11を通り高負荷機器3に流れる。そのため、高電圧バッテリ1から高負荷機器3への電力供給も継続できる。
【0027】
高電圧バッテリ1の出力と接続点bとの間で、第1電源ライン11に短絡が発生した場合には、変換回路20は、高電圧バッテリ1の電源が失陥した場合と同じ回路動作で、低電圧バッテリ2の電圧を昇圧して、高負荷機器3に電圧を出力する。第1導通回路31が第1電源ライン11に接続されているため、変換回路20から出力し接続点bに流れる電流は、第1導通回路31で遮断される。これにより、短絡部分に電流が流れることを防止できる。
【0028】
低電圧バッテリ2の出力と接続点dとの間で、第2電源ライン12に短絡が発生した場合には、変換回路20は、低電圧バッテリ2の電源が失陥した場合と同じ回路動作で、高電圧バッテリ1の電圧を降圧して、低負荷機器4に電圧を出力する。第2導通回路32が第2電源ライン12に接続されているため、変換回路20から出力し接続点dに流れる電流は、第2導通回路32で遮断される。これにより、短絡部分に電流が流れることを防止できる。
【0029】
上記のように本実施形態に係る電源回路100は、第1電源ライン11と第2電源ライン12との間に接続される変換回路20と、高電圧バッテリ1の出力と第1電源ライン11上の接続点b(「第1接続点」に相当)との間に接続される第1導通回路31と、低電圧バッテリ2の出力と第2電源ライン12上の接続点d(「第2接続点」に相当)との間に接続される第2導通回路32と、第1電流経路41に接続される第3導通回路33と、第2電流経路42に接続される第4導通回路34とを備える。これにより、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2のいずれか一方の電源が失陥した時には、他方のバッテリ(電源)から負荷に電圧を出力できるため、電源失陥時に、負荷に対して過電流を流さずに電力供給できる。また、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2のいずれか一方の電源が失陥した時には、他方のバッテリ(電源)から、高負荷機器3と低負荷機器4に電力供給できる。その結果として、電源失陥時に、負荷に対して継続的に電力を供給できる。
【0030】
ところで、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2のような異なる電圧をもつ電源に接続される電源回路100において、片側の電源失陥した場合、や、電源ラインがショートした場合に対応できるよう冗長化する方法としては、高電圧の電源ラインと、低電圧の電源ラインをそれぞれ増やす方法がある。しかしながら、このような冗長化方法は、必要な配線数が増えるという問題がある。本実施形態に係る電源回路100は、電源ライン11、12の本数を少なくし、変換回路20と第1~第4導通回路31~34を含む回路構成で冗長化を実現している。これにより、ハーネスを必要以上に増やすことなく、異なる電圧をもつバッテリ(電源)間で冗長化できる。さらに、本実施形態では、冗長化のために、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2の数をそれぞれ増やさなくてもよい。
【0031】
さらに、高電圧バッテリ1と低電圧バッテリ2のいずれか一方の電源が失陥した時には、他方のバッテリ(電源)から流れる電流が、電源回路内で逆流することを防止できる。
【0032】
また本実施形態では、変換回路20は、出力電流を第1電源ライン11に流す場合には入力電圧を昇圧し、出力電流を第2電源ライン12に流す場合には入力電圧を降圧する。これにより、高負荷機器3及び低負荷機器4への入力電圧を安定化できる。
【0033】
また本実施形態の変形例において、第3導通回路33はダイオードの代わりに電流源でもよく、第4導通回路34はダイオードの代わりに電流源でもよい。
図2は、本実施形態の変形例に係る電源システムのブロック図である。
【0034】
また本実施形態の変形例において、変換回路20は、双方向DCDCコンバータの代わりに、2つの単方向DCDCコンバータ21、22で構成されてもよい。
図2は、本実施形態の変形例に係る電源システムのブロック図である。単方向DCDCコンバータ21は、接続点аと接続点dとの間に接続されている。単方向DCDCコンバータ21は、高電圧バッテリ1から接続点аを介して入力される電圧を降圧して、降圧された電圧を、接続点dを介して低負荷機器4に出力する。単方向DCDCコンバータ21は降圧回路である。単方向DCDCコンバータ22は、接続点bと接続点cとの間に接続されている。単方向DCDCコンバータ22は、低電圧バッテリ2から接続点cを介して入力される電圧を昇圧して、昇圧された電圧を、接続点bを介して高負荷機器3に出力する。単方向DCDCコンバータ22は昇圧回路である。第3導通回路33は、単方向DCDCコンバータ22の出力と接続点bとの間に接続されている。第4導通回路34は、単方向DCDCコンバータ21の出力と接続点dとの間に接続されている。
【0035】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0036】
1 高電圧バッテリ
2 低電圧バッテリ
3 高負荷機器
4 低負荷機器
11 第1電源ライン
12 第2電源ライン
20 変換回路
21、22 単方向DCDCコンバータ
30 変換回路
31 第1導通回路
32 第2導通回路
33 第3導通回路
34 第4導通回路