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特開2024-99277レーザ加工機、及びレーザ加工機の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099277
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】レーザ加工機、及びレーザ加工機の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/70 20140101AFI20240718BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20240718BHJP
【FI】
B23K26/70
B23K26/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003112
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】宮代 祐也
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓嗣
(72)【発明者】
【氏名】岸本 博紀
(72)【発明者】
【氏名】村山 一平
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CA11
4E168DA13
4E168DA26
4E168DA28
4E168EA08
4E168EA17
(57)【要約】
【課題】結露抑制効果と消費電力抑制効果とを両立させる。
【解決手段】レーザ加工機1は、レーザビームを生成するレーザ発振器20と、レーザビームをワークWに照射する加工ヘッド12とを含む加工機本体10と、レーザ発振器20及び加工ヘッド12にパージエアを供給するパージユニット30と、加工機本体10、及びパージユニット30を制御する制御装置50と、を備え、制御装置50は、切り替え可能な、パージユニット30の動作モードとして、パージエアを定常的に供給する通常動作と、パージエアの供給とパージエアの停止とを交互に行う間欠動作とを有し、間欠動作においては、加工機本体10の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを生成するレーザ発振器と、前記レーザビームをワークに照射する加工ヘッドとを含む加工機本体と、
前記レーザ発振器及び前記加工ヘッドにパージエアを供給するパージユニットと、
前記加工機本体、及び前記パージユニットを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
切り替え可能な、前記パージユニットの動作モードとして、前記パージエアを定常的に供給する通常動作と、前記パージエアの供給と前記パージエアの停止とを交互に行う間欠動作とを有し、
前記間欠動作においては、前記加工機本体の温度に応じて、前記間欠動作における前記パージエアの供給時間と前記パージエアの停止時間との時間割合を切り替える
レーザ加工機。
【請求項2】
前記制御装置は、
通常運転モードから、前記加工機本体の動作を停止させるアイドリングストップモードへと移行した場合に、前記パージユニットの動作モードを、前記通常動作から前記間欠動作に切り替える
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記レーザ発振器の温度を検出する温度センサを有し、
前記温度センサによって検出される温度を、前記加工機本体の温度として読み込む
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項4】
前記間欠動作では、前記パージエアの供給と前記パージエアの停止とが規定のサイクルで繰り返され、
前記制御装置は、1サイクルの時間内における前記時間割合を切り替える
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項5】
前記パージユニットは、
前記レーザ発振器及び前記加工ヘッドに前記パージエアを供給するエア供給路に設けられた駆動弁を備え、
前記制御装置は、
前記駆動弁を開閉することにより、前記パージエアの供給と前記パージエアの停止とを切り替える
請求項1記載のレーザ加工機。
【請求項6】
レーザビームを生成するレーザ発振器と、前記レーザビームをワークに照射する加工ヘッドとを含む加工機本体と、前記加工機本体にパージエアを供給するパージユニットと、を備えるレーザ加工機の制御方法において、
前記パージユニットの動作モードを、前記パージエアを定常的に供給する通常動作から、前記パージエアの供給と前記パージエアの停止とを交互に行う間欠動作に切り替え、
前記加工機本体の温度に応じて、前記間欠動作における前記パージエアの供給時間と前記パージエアの停止時間との時間割合を切り替える
レーザ加工機の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機、及びレーザ加工機の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
板金などのワークに対してレーザビームを用いて切断加工を行うレーザ加工機が知られている。レーザ加工機は、ワークにレーザビームを照射することで、熱エネルギーによってワークを切断する。この類のレーザ加工機には、加工機本体に対してパージエアを供給するパージユニットを備えたものが知られている。パージエアは、機械の結露を防ぐ観点から、加工ヘッド及びレーザ発振器といった部位に供給されている。
【0003】
特許文献1には、レーザ加工機制御装置が開示されている。このレーザ加工機制御装置は、レーザ加工機のレーザ加工動作が停止しており且つレーザ加工機に対するユーザの操作が無くなった最終トリガ時からの経過時間を計測する計測手段を備えている。また、レーザ加工機制御装置は、最終トリガ時の後、経過時間が要素手段毎の起動所要時間に基づいて予め定められた停止時間を越えた時に要素手段を別個に停止する制御手段を備えている。また、特許文献1には、光路パージの間欠運転についても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2012/053297号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなレーザ加工機においては、パージユニットを動作させることで得られる結露抑制効果と、パージユニットを停止させることで得られる消費電力抑制効果とを両立させることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のレーザ加工機は、レーザビームを生成するレーザ発振器と、レーザビームをワークに照射する加工ヘッドとを含む加工機本体と、レーザ発振器及び加工ヘッドにパージエアを供給するパージユニットと、加工機本体、及びパージユニットを制御する制御装置と、を備え、制御装置は、切り替え可能な、パージユニットの動作モードとして、パージエアを定常的に供給する通常動作と、パージエアの供給とパージエアの停止とを交互に行う間欠動作とを有し、間欠動作においては、加工機本体の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替える。
【0007】
本発明の一態様のレーザ加工機によれば、パージユニットを通常動作から間欠動作へと切り替えることで、パージエアの供給に係る電力負荷を低減させることができるので、消費電力の抑制を図ることができる。また、間欠動作の1サイクルにおけるパージエアの供給時間は、高温多湿の環境と低温多湿の環境とで異なる。そのため、間欠動作における時間割合を、加工機本体の温度により変化させることで、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを両立させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係るレーザ加工機の構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
図3図3は、間欠動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本実施形態に係るレーザ加工機、及びレーザ加工機の制御方法について説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るレーザ加工機の構成を模式的に示す図である。本実施形態に係るレーザ加工機1は、レーザビームを生成するレーザ発振器20と、レーザビームをワークWに照射する加工ヘッド12とを含む加工機本体10と、レーザ発振器20及び加工ヘッド12にパージエアを供給するパージユニット30と、加工機本体10、及びパージユニット30を制御する制御装置50と、を備え、制御装置50は、切り替え可能な、パージユニットの動作モードとして、パージエアを定常的に供給する通常動作と、パージエアの供給とパージエアの停止とを交互に行う間欠動作とを有し、間欠動作においては、加工機本体10の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替える。
【0012】
以下、本実施形態に係るレーザ加工機1の詳細を説明する。レーザ加工機1は、加工機本体10と、パージユニット30と、制御装置50と、を主体に構成されている。
【0013】
加工機本体10は、ワークWに対してレーザビームを照射し、ワークWに対してレーザ加工を行う。加工機本体10は、加工ヘッド12、ワーク支持部18、及びレーザ発振器20を備えている。
【0014】
加工ヘッド12は、ワークWの上方からワークWにレーザビームを照射する。加工ヘッド12には、プロセスファイバFB1を介して、レーザ発振器20から出射されたレーザビームが伝送されている。
【0015】
加工ヘッド12は、コリメートレンズ13、ベンドミラー14、集束レンズ15、及びノズル16を備えている。
【0016】
コリメートレンズ13は、プロセスファイバFB1の出口端面から出射された発散光のレーザビームを略平行なコリメート光に変換する。コリメートレンズ13から射出されるレーザビームは、ベンドミラー14で反射し、集束レンズ15に入射する。集束レンズ15は、入射した平行光のレーザビームを集束させて、ワークWの表面にビームスポットを形成する。ノズル16は、加工ヘッド12の先端に着脱自在に取り付けられている。ノズルの先端部には、円形の開口が設けられており、レーザビームは、ノズル16の先端部の開口からワークWに照射される。
【0017】
ワークWは、図示しないワーク搬送装置によって搬送されて、ワーク支持部18に支持される。
【0018】
レーザ発振器20は、レーザビームを生成する。レーザ発振器20において生成されたレーザビームは、加工ヘッド12に供給される。レーザ発振器20は、例えばファイバレーザ発振器であるが、これに限定されず、固体レーザ発振器、ダイレクトダイオードレーザ発振器などであってもよい。
【0019】
レーザ発振器20は、レーザビームを生成するレーザモジュール、電源部、これらの要素を収容する筐体などで構成されている。また、レーザ発振器20には、冷却水を流してレーザモジュール及び電源部の冷却を行う冷却部が設けられている。
【0020】
レーザ発振器20には、レーザ発振器20の温度を検出するための温度センサ25が設けられている。
【0021】
パージユニット30は、加工ヘッド12及びレーザ発振器20にパージエアを供給する。パージユニット30は、エア供給路AR1、AR2、AR3と、駆動弁32とを主体に構成されている。
【0022】
エア供給源100は、電動のコンプレッサなどであり、必要なパージエアを供給する。エア供給源100は、レーザ加工機1に付帯する専用の機器である必要はなく、レーザ加工機1が設置された工場などで利用されている機器を流用することができる。
【0023】
エア供給路AR1、AR2、AR3は、エア供給源100からパージエアを供給する。エア供給路AR1、AR2、AR3は、エア供給源100と接続する第1エア供給路AR1と、この第1エア供給路AR1から分岐する、第2エア供給路AR2と、第3エア供給路AR3とを含んでいる。第2エア供給路AR2は、レーザ発振器20にパージエアを供給し、第3エア供給路AR3は、加工ヘッド12にパージエアを供給する。
【0024】
駆動弁32は、弁体の開閉を切り替えることにより、パージエアの供給とパージエアの停止を切り替える開閉弁である。駆動弁32は、例えば第1エア供給路AR1に設けられている。
【0025】
なお、パージユニット30は、エア供給源100から供給されるパージエアに含まれる油分、異物、水滴などの異物を除去するフィルタなども備えている。
【0026】
制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサと、メモリと、各種のインターフェースとを有するコンピュータによって構成されている。メモリ、各種のインターフェースは、バスを介してハードウェアプロセッサに接続されている。ハードウェアプロセッサによってメモリに格納されたプログラムを実行させることにより、制御装置50が備える種々の機能が実現される。
【0027】
制御装置50には、各種の制御入力が入力されている。制御入力には、レーザ発振器20に設けられた温度センサ25から出力される、レーザ発振器20の検出温度を示すセンサ信号が含まれる。また、制御入力には、オペレータの操作に応じて操作パネルから出力される操作信号が含まれる。
【0028】
制御装置50は、加工機本体10及びパージユニット30に対して制御出力である制御信号を出力し、加工機本体10及びパージユニット30を制御する。
【0029】
制御装置50は、加工機本体10を制御するための動作モードとして、通常運転モードと、アイドリングストップモードとを有している。制御装置50は、通常運転モードと、アイドリングストップモードとで動作モードの切り替えを行う。通常運転モードは、加工機本体10が運転中の状態、すなわち加工動作を実行している状態、或いは、加工機本体10に電力が供給されており、加工機本体10が運転を待機している状態をいう。一方、アイドリングストップモードは、加工機本体10に供給される電力が最小限に抑えられており、加工機本体10の動作が停止している状態をいう。
【0030】
制御装置50は、通常運転モードであるときに、アイドリングストップ移行条件が成立したことを判断すると、通常運転モードからアイドリングストップモードへ移行する。一方、制御装置50は、アイドリングストップモードであるときに、アイドリングストップ解除条件が成立したことを判断すると、アイドリングストップモードから通常運転モードへ復帰する。
【0031】
本実施形態との関係において、制御装置50は、切り替え可能な、パージユニット30の動作モードとして、パージエアを定常的に供給する通常動作と、パージエアの供給とパージエアの停止とを交互に行う間欠動作とを有している。例えば、制御装置50は、通常運転モードからアイドリングストップモードへの移行を判断した場合には、パージユニット30の動作モードを通常動作から間欠動作に切り替える。この間欠動作において、制御装置50は、レーザ発振器20の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替える。
【0032】
つぎに、図2を参照し、本実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法を説明する。ここで、図2は、本実施形態に係るレーザ加工機の制御方法を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップS10において、制御装置50は、アイドリングストップ移行条件が成立したか否かを判断する。アイドリングストップ移行条件は、操作パネルから操作信号が入力されたタイミングを起点に、その後操作信号が入力されることもなく一定の待機時間が継続したこと、或いは、操作パネルから、アイドリングストップモードへの移行を示す操作信号が入力されたことである。
【0034】
アイドリングストップ移行条件が成立した場合には、ステップS10で肯定判定され、ステップS11に進む。一方、アイドリングストップ移行条件が成立していない場合には、ステップS10で否定判定され、ステップS20に進む。
【0035】
ステップS11において、制御装置50は、通常運転モードからアイドリングストップモードへ移行する。制御装置50は、加工機本体10の動作を停止させる。
【0036】
ステップS12において、制御装置50は、レーザ発振器20の検出温度が、第1閾値THaよりも小さいか否かを判断する。第1閾値THaは、検出温度を3つの温度範囲に区分けするための第1及び第2閾値THa、THbのうちの一つであり、第2閾値THbよりも小さな値となっている。
【0037】
検出温度が第1閾値THaよりも小さい場合には、ステップS12で肯定判定され、ステップS13に進む。一方、検出温度が第1閾値THa以上の場合には、ステップS12で否定判定され、ステップS14に進む。
【0038】
ステップS13において、制御装置50は、パージユニット30の動作モードを、通常動作から間欠動作に切り替える。図3は、間欠動作を説明する図である。間欠動作は、パージエアの供給(パージON)とパージエアの停止(パージOFF)とが規定のサイクルで繰り返されることで行われる。パージエアを供給する場合、制御装置50は駆動弁32を開に設定し、パージエアを停止する場合、制御装置50は駆動弁32を閉に設定する。
【0039】
このとき、制御装置50は、レーザ発振器20の検出温度に応じて、間欠動作の1サイクルにおけるパージエアの供給時間(ON時間)とパージエアの停止時間(OFF時間)との時間割合を設定する。例えば1サイクルが1時間に設定されている場合、制御装置50は、パージエアの供給時間を1分、パージエアの停止時間を59分として設定する。このように、レーザ発振器20の検出温度が低い温度範囲(検出温度<第1閾値THa)にあるときには、1サイクルのほぼ全時間でパージエアが停止されるように時間割合が設定される。
【0040】
図2に示すように、ステップS14において、制御装置50は、検出温度が第1閾値THa以上、且つ第2閾値THbよりも小さいか否かを判断する。検出温度が第1閾値THa以上、且つ第2閾値THbよりも小さい場合には、ステップS14で肯定判定され、ステップS15に進む。一方、検出温度が第2閾値THb以上の場合には、ステップS14で否定判定され、ステップS16に進む。
【0041】
ステップS15において、制御装置50は、パージユニット30の動作モードを、通常動作から間欠動作に切り替える。また、制御装置50は、レーザ発振器20の検出温度に応じて、間欠動作の1サイクルにおけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を設定する。例えば制御装置50は、パージエアの供給時間を30分、パージエアの停止時間を30分として設定する。このように、レーザ発振器20の検出温度が中間の温度範囲(第1閾値THa≦検出温度<第2閾値THb)にあるときには、1サイクルの半分程度の時間でパージエアが停止されるように時間割合が設定される。
【0042】
ステップS16において、制御装置50は、パージユニット30の動作モードとして、通常動作を継続する。したがって、ステップS16における通常動作は、レーザ発振器20の検出温度が高い温度範囲(第2閾値THb≦検出温度)にあるときには、1サイクルの全部でパージエアの供給されるように時間割合が設定される間欠動作にも相当する。
【0043】
ステップS17において、制御装置50は、アイドリングストップ解除条件が成立したか否かを判断する。アイドリングストップ解除条件は、操作パネルから、操作パネルへのタッチ操作を示す操作信号が入力されたことである。なお、操作パネルに顔認証装置が設けられている場合には、アイドリングストップ解除条件は、顔認証装置によってオペレータの顔が認証されたこと、などであってもよい。
【0044】
アイドリングストップ解除条件が成立した場合には、ステップS17で肯定判定され、ステップS18に進む。一方、アイドリングストップ解除条件が成立していない場合には、ステップS17で否定判定され、ステップS17に戻る。
【0045】
ステップS18において、制御装置50は、アイドリングストップモードから通常運転モードへ復帰する。制御装置50は、加工機本体10に電力を供給し、加工機本体10が運転を待機する状態へと復帰させる。
【0046】
ステップS19において、制御装置50は、パージユニット30の動作モードを、通常動作へと復帰させる。
【0047】
ステップS20において、制御装置50は、処理を終了するか否かを判断する。処理を終了する場合には、ステップS20で肯定判定され、本ルーチンを終了する。一方、処理を終了しない場合には、ステップS20で否定判定され、ステップS10の処理に戻る。
【0048】
このように本実施形態において、制御装置50は、加工機本体10の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替えている。
【0049】
この構成によれば、パージユニット30を通常動作から間欠動作へと切り替えることで、パージエアの供給に係る電力負荷を低減させることができるので、消費電力の抑制を図ることができる。また、間欠動作の1サイクルにおけるパージエアの供給時間は、高温多湿の環境と低温多湿の環境とで異なる。そのため、間欠動作における時間割合を、加工機本体10の温度により変化させることで、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを両立させることができる。
【0050】
本実施形態では、加工機本体10の温度が低い程、パージエアの停止時間を長くすることで、電力削減効果を高めることができる。逆に、加工機本体10の温度が高い程、パージエアの供給時間を長くすることで、結露抑制効果を高めることができる。これにより、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを適切に両立させることができる。
【0051】
本実施形態において、制御装置50は、通常運転モードから、加工機本体10の動作を停止させるアイドリングストップモードへと移行した場合に、パージユニット30の動作モードを、通常動作から間欠動作に切り替えている。
【0052】
アイドリングモードは、加工機本体10が動作を停止しているので、パージエアを停止することができる状況である。本実施形態の構成によれば、アイドリングモードへの移行に併せて、パージユニット30の動作モードを通常動作から間欠動作へと適切に切り替えることができる。
【0053】
なお、本実施形態において、制御装置50は、通常運転モードからアイドリングストップモードへと移行した場合に、パージユニット30の動作モードを通常動作から間欠動作に切り替えている。しかしながら、動作モードを切り替える手法は、これに限定されない。例えば、パージユニット30の動作モードを間欠動作へと切り替える操作信号が、オペレータの操作に応じて操作パネルから出力された場合に、制御装置50は、パージユニット30の動作モードを通常動作から間欠動作に切り替えてもよい。パージユニット30の動作モードを間欠動作から通常動作に切り替える場合であっても同様である。
【0054】
本実施形態において、制御装置50は、レーザ発振器20の温度を検出する温度センサ25を有し、温度センサ25によって検出される温度を、加工機本体10の温度として読み込んでいる。
【0055】
この構成によれば、結露が発生し易い高温部位であるレーザ発振器20の検出温度に応じて時間割合を切り替えることができる。これにより、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを適切に両立させることができる。なお、露点の算出には温度、湿度の測定が必要となるが、湿度は常に機械の仕様上限を想定することで湿度センサを省き、温度センサのみでシステムを構築することができる。これにより、安価で信頼性よく、時間割合を切り替えることができる。
【0056】
本実施形態において、間欠動作では、パージエアの供給とパージエアの停止とが規定のサイクルで繰り返され、制御装置50は、1サイクルの時間内における時間割合を切り替えている。
【0057】
この構成によれば、パージユニット30の間欠動作を適切に行うことができるので、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを適切に両立させることができる。
【0058】
本実施形態において、パージユニット30は、レーザ発振器20及び加工ヘッド12にパージエアを供給するエア供給路AR1、AR2、AR3に設けられた駆動弁32を備えている。制御装置50は、駆動弁32を開閉することにより、パージエアの供給と前記パージエアの停止とを切り替えている。
【0059】
この構成によれば、エア供給源100の出力を直接制御することなく、駆動弁32を制御することで、パージユニット30の間欠動作を行うことができる。このような構成であっても、駆動弁32を閉じてパージエアを停止することで、エア供給源100の負荷が下がるので、消費電力を抑制することができる。加えて、エア供給源100から供給されるエアを他の機器でも利用しているような場合には、駆動弁32を利用することで、他の機器に対するエアの流れを確保することができる。ただし、駆動弁32を用いることなく、エア供給源100を直接制御することで、パージユニット30の間欠動作を行ってもよい。
【0060】
また、本実施形態に係るレーザ加工機1の制御方法は、レーザビームを生成するレーザ発振器20と、レーザビームをワークWに照射する加工ヘッド12とを含む加工機本体10と、加工機本体10にパージエアを供給するパージユニット30と、を備えるレーザ加工機1の制御方法である。この制御方法では、パージユニット30の動作モードを、パージエアを定常的に供給する通常動作から、パージエアの供給とパージエアの停止とを交互に行う間欠動作に切り替え、加工機本体10の温度に応じて、間欠動作におけるパージエアの供給時間とパージエアの停止時間との時間割合を切り替える。
【0061】
この方法によれば、パージユニット30を通常動作から間欠動作へと切り替えることで、パージエアの供給に係る電力負荷を低減させることができるので、消費電力の抑制を図ることができる。また、間欠動作の1サイクルにおけるパージエアの供給時間は、高温多湿の環境と低温多湿の環境とで異なる。そのため、間欠動作における時間割合を、加工機本体10の温度により変化させることで、結露抑制効果と消費電力抑制効果とを両立させることができる。
【0062】
なお、本実施形態では、検出温度の温度範囲を3つに分けて、この温度範囲に応じて間欠動作の時間割合を切り替えている。しかしながら、温度範囲は複数に分けられていればよく、これに対応する時間割合も複数であればよい。
【0063】
また、本実施形態では、パージエアの供給先として、レーザ発振器20及び加工ヘッド12を例示した。しかしながら、パージエアの供給先は、これに限らない。そして、パージエアの供給先が複数ある場合に、パージエアの供給先毎に間欠動作を個別に制御してもよい。
【0064】
上記のように、本発明の実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0065】
1 レーザ加工機
10 加工機本体
12 加工ヘッド
13 コリメートレンズ
14 ベンドミラー
15 集束レンズ
16 ノズル
18 ワーク支持部
20 レーザ発振器
25 温度センサ
30 パージユニット
32 駆動弁
100 エア供給源
AR1、AR2、AR3 エア供給路
図1
図2
図3