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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099280
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】車両用サイドミラー構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20240718BHJP
   B60Q 1/00 20060101ALI20240718BHJP
   B60R 1/12 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60R1/06 D
B60Q1/00 G
B60R1/12 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003117
(22)【出願日】2023-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年2月7日にマツダ株式会社に販売
(71)【出願人】
【識別番号】000147660
【氏名又は名称】株式会社ペンストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新酒 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】池田 伸志
【テーマコード(参考)】
3D053
3K339
【Fターム(参考)】
3D053FF31
3D053GG06
3D053HH44
3D053HH47
3D053HH60
3D053JJ48
3K339AA50
3K339BA22
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA02
3K339GB13
3K339GC06
3K339HA04
(57)【要約】
【課題】ミラーの鏡面と反対側に設けられた光源によって警告マークをミラーの表面に表示させる場合に、経時的な警告マークの光量不足を抑制するとともに警告マークが不鮮明になるのを回避する。
【解決手段】車両用サイドミラー構造Aは、警告マークを表示させるための光源ユニット4を備えている。光源ユニット4は、光源40が収容されるユニットケース50と、光源40とミラー2との間に設けられ、光源40から照射された光を警告マークの形状にするための透光窓部61aが貫通形成されるとともにユニットケース50に固着された遮光性両面テープ61と、遮光性両面テープ61よりもミラー2に近い箇所に設けられ、透光窓部61aを通過した光を拡散させる拡散フィルム62と、拡散フィルム62とミラー2との間に介在し、拡散フィルム62とミラー2との間に空気層が形成されないように連続して延びる透明両面テープ63とを備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミラーの鏡面と反対側に配置された光源ユニットから照射された光が前記ミラーを透過することによって前記ミラーの鏡面に警告マークを表示させる車両用サイドミラー構造であって、
前記光源ユニットは、前記ミラーに向けて光を照射する光源と、前記光源が収容されるユニットケースと、前記光源と前記ミラーとの間に設けられ、前記光源から照射された光を警告マークの形状にするための透光窓部が貫通形成されるとともに前記ユニットケースに固着された遮光性両面テープと、前記遮光性両面テープよりも前記ミラーに近い箇所に設けられるとともに前記遮光性両面テープに固着され、前記透光窓部を通過した光を拡散させる拡散フィルムと、前記拡散フィルムと前記ミラーとの間に介在し、前記拡散フィルムと前記ミラーとの間に空気層が形成されないように前記拡散フィルム及び前記ミラーに沿って連続して延びる透明両面テープとを備えていることを特徴とする車両用サイドミラー構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サイドミラー構造において、
前記透明両面テープの厚みは、前記拡散フィルムの厚みよりも薄く設定されていることを特徴とする車両用サイドミラー構造。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用サイドミラー構造において、
前記遮光性両面テープの厚みは、前記透明両面テープの厚みよりも厚く設定されていることを特徴とする車両用サイドミラー構造。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用サイドミラー構造において、
前記ユニットケースは、前記光源が実装された基板を収容するとともに前記光源の光照射方向に開放されたケース本体と、前記ケース本体の開放部分を覆うように形成され、前記ケース本体に固定された透明なカバー部材とを有し、
前記遮光性両面テープは、前記カバー部材に固着されていることを特徴とする車両用サイドミラー構造。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用サイドミラー構造において、
前記遮光性両面テープの前記透光窓部の内部に形成されている空間は、前記カバー部材と前記拡散フィルムとによって密閉されていることを特徴とする車両用サイドミラー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば後続車の接近を警告する警告機能を持たせた車両用サイドミラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、表面から入射された光を反射し、裏面から入射した光を透過させる半透過反射鏡が開示されている。半透過反射鏡はミラーホルダに保持されており、半透過反射鏡の裏側には、ミラーホルダに保持された発光ユニットが設けられている。発光ユニットは、発光体と、発光体から照射された光を拡散させる拡散板と、拡散板を透過した光を所定の形状にして出射する整光性フィルタとを備えている。整光性フィルタを透過した光が半透過反射鏡の裏側に照射された後、当該半透過反射鏡を透過して表面から出射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-107518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、発光ユニットをミラーホルダに形成された一対の保持爪で保持するようにしているので、経年変化等に起因して発光ユニットと半透過反射鏡との間には隙間ができる可能性がある。発光ユニットと半透過反射鏡との間に隙間ができると、その隙間から水や埃等が入り込んで整光性フィルタの前面に付着し、ひいては半透過反射鏡の表面から出射される光が弱まったり、不鮮明になったりする。
【0005】
ここで、後続車の接近を警告マークの発光によって運転者に警告する警告機能を車両用サイドミラーに持たせる場合があるが、この警告装置として特許文献1の発光ユニットを用いた場合を想定すると、上述した隙間が生じることにより、光量が不足した警告マークになったり、不鮮明な警告マークになったりすることが考えられる。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みたものであり、その目的とするところは、ミラーの鏡面と反対側に設けられた光源によって警告マークをミラーの表面に表示させる場合に、経時的な警告マークの光量不足を抑制するとともに警告マークが不鮮明になるのを回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、ミラーの鏡面と反対側に配置された光源ユニットから照射された光が前記ミラーを透過することによって前記ミラーの鏡面に警告マークを表示させる車両用サイドミラー構造を前提とすることができる。前記光源ユニットは、前記ミラーに向けて光を照射する光源と、前記光源が収容されるユニットケースと、前記光源と前記ミラーとの間に設けられ、前記光源から照射された光を警告マークの形状にするための透光窓部が貫通形成されるとともに前記ユニットケースに固着された遮光性両面テープと、前記遮光性両面テープよりも前記ミラーに近い箇所に設けられるとともに前記遮光性両面テープに固着され、前記透光窓部を通過した光を拡散させる拡散フィルムと、前記拡散フィルムと前記ミラーとの間に介在し、前記拡散フィルムと前記ミラーとの間に空気層が形成されないように前記拡散フィルム及び前記ミラーに沿って連続して延びる透明両面テープとを備えている。
【0008】
この構成によれば、光源から照射された光が遮光性両面テープの透光窓部を透過することで警告マークの形状とされた後、拡散フィルムを透過して拡散されて光の強度が面方向に均一化されてから透明両面テープを透過する。透明両面テープを透過することによっても輝度ムラが抑制される。透明両面テープを透過した光は、ミラーに対して裏側(鏡面と反対側)から入射する。ミラーに入射した光により、ミラーの鏡面に警告マークが表示される。
【0009】
また、上記構成によれば、光源が収容されるユニットケースと拡散フィルムとが遮光性両面テープを介して一体化され、拡散フィルムが透明両面テープを介してミラーに固着される。このとき、透明両面テープが拡散フィルム及びミラーに沿って連続して延びていて、拡散フィルムとミラーとの間に空気層が形成されないので、経年的に、拡散フィルムとミラーとの間に隙間が形成されにくくなる。これにより、拡散フィルムとミラーとの間に水や埃等が入り込みにくくなるとともに、ミラーの裏面に結露が発生しにくくなるので、警告マークの光量不足が抑制されるとともに、警告マークが不鮮明になるのが回避される。
【0010】
前記透明両面テープの厚みを前記拡散フィルムの厚みよりも薄く設定することができる。すなわち、透明両面テープは拡散フィルムとミラーとを一体化できればよいので、透明両面テープをできるだけ薄くすることで、光学的な性能劣化を抑制できる。
【0011】
前記遮光性両面テープの厚みを前記透明両面テープの厚みよりも厚く設定することができる。これにより、遮光性両面テープの厚みが十分に確保されるので、不要な光を確実に遮光できる。
【0012】
前記ユニットケースは、前記光源が実装された基板を収容するとともに前記光源の光照射方向に開放されたケース本体と、前記ケース本体の開放部分を覆うように形成され、前記ケース本体に固定された透明なカバー部材とを有していてもよい。この場合、前記遮光性両面テープは、前記カバー部材に固着することができる。
【0013】
前記遮光性両面テープの前記透光窓部の内部に形成されている空間を前記カバー部材と前記拡散フィルムとによって密閉することもできる。これにより、透光窓部の内部に形成されている空間内に水や埃等が入り込まないようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、光源ユニットの拡散フィルムとミラーとの間に空気層が形成されないように、拡散フィルムとミラーとを透明両面テープで一体化するようにしたので、経時的な警告マークの光量不足を抑制できるとともに警告マークが不鮮明になるのを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る車両用サイドミラー装置を後方から見た斜視図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3】ミラーを鏡面側から見た斜視図である。
図4】ミラーを裏面側から見た斜視図である。
図5】光源ユニットの分解斜視図である。
図6図4におけるVI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用サイドミラー構造Aを備えたサイドミラー装置1を後方から見た斜視図である。サイドミラー装置1は、例えば自動車の側部に配設されるドア等に取り付けられ、乗員が後方確認のために使用するものであり、ドアミラー装置とも呼ばれる。本実施形態では、自動車の右側に設けられるサイドミラー装置1について説明するが、本発明は自動車の左側に設けられるサイドミラー装置(図示せず)にも適用することができる。左側に設けられるサイドミラー装置は、右側に設けられるサイドミラー装置1と左右対称に構成される。
【0018】
尚、本実施形態では、各図に示すように前後方向、左右方向を定義しており、前後方向は車両の前後方向に対応し、左右方向は車両の左右方向(車幅方向)に対応している。右側に設けられるサイドミラー装置1を前提とした場合、サイドミラー装置1の左側がサイドミラー装置1の車幅方向内側となり、サイドミラー装置1の右側がサイドミラー装置1の車幅方向外側となる。
【0019】
図2にも示すように、サイドミラー装置1は、ミラー2と、ミラー2を収容するミラーハウジング3とを備えている。ミラー2は左右方向の寸法が上下方向の寸法よりも長く形成された横長形状を有している。ミラー2の鏡面は当該ミラー2の後面であり、この面を表面ともいう。一方、ミラー2の鏡面と反対側は前側であり、裏側ともいう。
【0020】
ミラー2の右端部近傍には、例えば三角形状の警告マークMが表示可能になっている。すなわち、図示しないが、本実施形態の自動車には、後続車が接近しているか否かを検出するセンサが設けられている。このセンサによって後続車が接近していることが検出された場合には、ミラー2の鏡面と反対側に配置された光源ユニット4(図4に示す)から照射された光がミラー2を透過することによってミラー2の鏡面に警告マークMを表示させることができるようになっている。つまり、車両用サイドミラー構造Aは、後続車の接近を警告する警告機能を持っており、この機能は、ブライドスポットモニタ等と呼ばれている。
【0021】
ミラー2における警告マークMが表示される部分は、裏側から表面へ向けて光が透過可能な光透過部となっている。光透過部の構成は従来から周知である。警告マークMの形状や大きさは特に限定されるものではなく、どのような形状であってもよいし、どのような大きさであってもよい。また、警告マークMの数は複数であってもよく、この場合、複数の警告マークMを1つの光源ユニット4によって表示することが可能である。また、警告マークMの位置についても任意に設定することができる。
【0022】
図1に示すミラーハウジング3は、支持部(図示せず)を介して自動車のドア(図示せず)に取り付けられる。図2に示すように、ミラーハウジング3は、前方に向けて窪むように形成され、かつ、後方に向けて開放されたミラー収容凹部3aを有している。ミラー2は、ミラー収容凹部3aに収容された状態で、ミラーホルダ21及び図示しない角度調整機構を介してミラー収容凹部3aの奥側(前側)に位置する壁部3bに支持される。
【0023】
ミラーホルダ21は、例えば樹脂材等で構成され、上下方向及び左右方向に延びるように形成されている。ミラー2は、ミラーホルダ21の後側に配置された状態で当該ミラーホルダ21に固定される。
【0024】
図4に示すように、ミラー2の前側における右端部近傍には、光源ユニット4が設けられている。この光源ユニット4が設けられる位置に対応するように、ミラーホルダ21には開口部21a(図2に示す)が形成されている。光源ユニット4は、ミラーホルダ21の開口部21aに嵌め込まれた状態でミラー2に取り付けられる。
【0025】
以下、光源ユニット4について具体的に説明する。図5及び図6に示すように、光源ユニット4は、光源40と、光源40が実装された基板41と、ユニットケース50と、積層フィルム60とを備えている。光源40は、例えば発光ダイオード(LED)等で構成されており、ミラー2に向けて光を照射するように、即ち、光の照射方向が後方向となるように配置される。光源40の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。また、光源40はLED以外の発光体で構成されていてもよい。
【0026】
基板41は、上下方向に延びる姿勢とされており、基板41の後面に光源40が実装されている。図5に示すように、基板41の周縁部近傍には、複数の固定穴41aが互いに間隔をあけて設けられている。基板41には、外部から電力が供給されるようになっている。光源40は外部から供給された電力により、必要時にのみ点灯し、不要時には消灯するようになっている。
【0027】
ユニットケース50は、光源40が実装された基板41を収容するとともに光源40の光照射方向(後方)に開放されたケース本体51と、ケース本体51の開放部分を覆うように形成され、ケース本体51に固定された透明なカバー部材52とを有している。ケース本体51は、当該ケース本体51の底板を構成する縦板部51aと、縦板部51aの周縁から後方へ突出するとともに縦板部51aの周方向に延びる周壁部51bと、周壁部51bの後端部から当該周壁部51bの外方へ向けて突出するフランジ部51cとを有している。縦板部51a、周壁部51b及びフランジ部51cは樹脂材により一体成形されている。フランジ部51cの周縁部には、後方へ突出するとともにフランジ部51cの周方向に延びる環状突条部51dが形成されている。
【0028】
縦板部51aの後面には、基板41の前面が当接する複数の台部51eが後方へ突出するように形成されている。複数の台部51eは、互いに間隔をあけて設けられている。さらに、縦板部51aの後面には、基板41を固定するための複数の柱状部51fが後方へ突出するように形成されている。複数の柱状部51fは、基板41の固定穴41aに差し込まれた状態で基板41における固定穴41aの周縁部に対して係合するようになっている。これにより、基板41がユニットケース50内の所定位置に固定される。
【0029】
ケース本体51は、例えば黒色等のような可視光を遮光する色に着色されている。一方、カバー部材52は、無色透明な部材で構成されている。したがって、光源40から出射された光は、カバー部材52のみを後方へ透過し、ケース本体51は透過しない。
【0030】
カバー部材52を構成する材料としては、例えばポリカーボネートのような硬質樹脂材を挙げることができる。カバー部材52は、ケース本体51の環状突条部51dの内方に配置され、カバー部材52の周縁部の前面がフランジ部51cの後面に当接するようになっている。カバー部材52には、ケース本体51の柱状部51fの先端部が固定されている。柱状部51fにカバー部材52や基板41を固定する際には、例えば熱溶着法や接着剤を用いた接着法等を用いることができる。尚、カバー部材52は、省略してもよい。カバー部材52を省略する場合には、柱状部51fによるカバー部材52の溶着は不要になり、積層フィルム60によってケース本体51の後方への開放部分を覆うようにすればよい。
【0031】
積層フィルム60は、光源40とミラー2との間、より具体的にはカバー部材52の後面とミラー2の裏面との間に介在するように設けられる。この積層フィルム60は、ユニットケース50をミラー2に対して固着する固着機能と、光源40から照射された光を警告マークMの形状にする警告マーク形成機能と、警告マークMの輝度ムラを抑制する輝度ムラ抑制機能とを有する部材である。積層フィルム60の形状は、カバー部材52の形状と対応している。カバー部材52が無い場合には、ケース本体51を積層フィルム60によってミラー2に固着することができる。
【0032】
図6に断面を示すように、積層フィルム60は、遮光性両面テープ61と、拡散フィルム62と、透明両面テープ63とが重ね合わされた状態で一体化された部材である。拡散フィルム62は積層フィルム60の中間層を構成しており、遮光性両面テープ61及び透明両面テープ63は積層フィルム60の外層を構成している。
【0033】
遮光性両面テープ61は、光源40から照射された光を遮光する色とされており、両面に粘着剤または接着剤が塗布されることによってできている。遮光性両面テープ61の色は、典型的には黒色が好ましいが、紺色等であってもよい。遮光性両面テープ61に顔料を分散させることによって上記色を付けてもよいし、染料による着色で上記色を付けてもよい。遮光性両面テープ61には、光源40から照射された光を警告マークMの形状にするための透光窓部61aが貫通形成されている。透光窓部61aは、警告マークMの外形状と同じ形状とされており、遮光性両面テープ61の一部を抜くことによって構成されている。したがって、透光窓部61a内は空間となり、光源40から照射された光は、透光窓部61a内のみ透過する。透光窓部61aの形状が警告マークMの形状になる。
【0034】
遮光性両面テープ61の前面の全領域がユニットケース50のカバー部材52の後面に固着されている。これにより、積層フィルム60がユニットケース50側に強固に固定されることになる。
【0035】
拡散フィルム62は、遮光性両面テープ61の後面に固着されており、従って、遮光性両面テープ61よりもミラー2に近い箇所に設けられることになる。拡散フィルム62は、入射した光を拡散させて出射させる光拡散部材で構成されている。この実施形態では、光源40から照射されて遮光性両面テープ61の透光窓部61aを通過した光が拡散フィルム62に入射して拡散し、拡散フィルム62から出射する。光を拡散フィルム62によって拡散させることで、警告マークMの輝度ムラが抑制される。
【0036】
上述したように、遮光性両面テープ61の透光窓部61aの内部には空間が形成されることになり、この空間が外部に開放されていると、空間内に水や埃等が入り込むおそれがある。このことに対し、本実施形態では、遮光性両面テープ61における透光窓部61aの周囲をカバー部材52と拡散フィルム62に固着させており、これにより、遮光性両面テープ61の透光窓部61aの内部に形成されている空間がカバー部材52と拡散フィルム62とによって密閉される。
【0037】
透明両面テープ63は、拡散フィルム62とミラー2との間に介在している。透明両面テープ63を構成する材料は無色透明であり、両面に粘着剤または接着剤が塗布されることによってできている。透明両面テープ63には、開口部が形成されておらず、よって、開口部を有さない両面テープ、即ち、開口部非形成の両面テープとなる。透明両面テープ63の前面の全領域が拡散フィルム62の後面に固着され、また、透明両面テープ63の後面の全領域がミラー2に固着されている。これにより、固着面積が広く確保されるので、光源ユニット4をミラー2に強固に固定できる。
【0038】
透明両面テープ63が開口部を有していないので、拡散フィルム62とミラー2との間には空気が存在し得る空間が形成されない。つまり、透明両面テープ63は、拡散フィルム62とミラー2との間に空気層が形成されないように、拡散フィルム62及びミラー2に沿って連続して延びている。
【0039】
透明両面テープ63の厚みは、拡散フィルム62の厚みよりも薄く設定されている。具体的には、透明両面テープ63の厚みを拡散フィルム62の厚みの1/2以下とすることができ、透明両面テープ63の厚み範囲を0.03mm以上0.08mm以下とすることができる。すなわち、透明両面テープ63は拡散フィルム62とミラー2とを一体化できればよいので、透明両面テープ63をできるだけ薄くすることで、固着機能を満足させつつ、光学的な性能劣化を抑制できる。
【0040】
遮光性両面テープ61の厚みは、透明両面テープ63の厚みよりも厚く設定されている。具体的には、遮光性両面テープ61の厚みを透明両面テープ63の厚みの5倍以上、または10倍以上とすることができる。これにより、遮光性両面テープ61の厚みが十分に確保されるので、不要な光を確実に遮光できる。
【0041】
上記実施形態では、遮光性両面テープ61、拡散フィルム62及び透明両面テープ63を重ね合わせることによって積層フィルム60を構成しているが、これに限らず、遮光性両面テープ61、拡散フィルム62及び透明両面テープ63を別々にしてもよい。すなわち、カバー部材52に遮光性両面テープ61のみを固着した後、遮光性両面テープ61に拡散フィルム62を固着し、その後、拡散フィルム62に透明両面テープ63を固着してもよい。また、ミラー2に透明両面テープ63を固着した後、透明両面テープ63に拡散フィルム62を固着し、その後、拡散フィルム62に遮光性両面テープ61を固着してもよい。また、遮光性両面テープ61及び拡散フィルム62で積層フィルムを構成してもよいし、拡散フィルム62及び透明両面テープ63で積層フィルムを構成してもよい。
【0042】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態によれば、後続車が接近している場合には、光源ユニット4に内蔵されている光源40から照射された光が遮光性両面テープ61の透光窓部61aを透過することで警告マークMの形状とされた後、拡散フィルム62を透過して拡散されて光の強度が面方向に均一化されてから透明両面テープ63を透過する。透明両面テープ63を透過することによっても輝度ムラが抑制され、透明両面テープ63を透過した光は、ミラー2を透過して鏡面に警告マークMを表示させることができる。これにより、乗員は、後続車が接近していることに注意して運転できる。
【0043】
また、光源40が収容されるユニットケース50と拡散フィルム62とが遮光性両面テープ61を介して一体化され、拡散フィルム62が透明両面テープ63を介してミラー2に強固に固着される。このとき、透明両面テープ63が拡散フィルム62及びミラー2に沿って連続して延びていて、拡散フィルム62とミラー2との間に空気層が形成されないので、経年的に、拡散フィルム62とミラー2との間に隙間が形成されにくくなる。これにより、拡散フィルム62とミラー2との間に水や埃等が入り込みにくくなるとともに、ミラー2の裏面に結露が発生しにくくなるので、警告マークMの光量不足が抑制されるとともに、警告マークが不鮮明になるのが回避される。
【0044】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明に係る車両用サイドミラー構造は、例えば自動車の側部に設けられるサイドミラー装置に利用できる。
【符号の説明】
【0046】
A 車両用サイドミラー構造
M 警告マーク
2 ミラー
4 光源ユニット
40 光源
50 ユニットケース
51 ケース本体
52 カバー部材
61 遮光性両面テープ
61a 透光窓部
62 拡散フィルム
63 透明両面テープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6