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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099281
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】爪切り具
(51)【国際特許分類】
   A45D 29/02 20060101AFI20240718BHJP
   A47G 29/10 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A45D29/02 Z
A45D29/02 K
A47G29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003118
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】520139273
【氏名又は名称】木村 全宏
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】木村 全宏
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100BA08
3K100BC10
(57)【要約】
【課題】全体としてコンパクトな形態を有し、かつ、安全に携帯することのできる爪切り具の提供。
【解決手段】爪切り具1の爪切り具本体10は、第1刃部60が旋回可能に取り付けられた第1部材20と、第2刃部80が旋回可能に取り付けられた第2部材30と、第1部材20の内面と第2部材30の内面とが互いに対向した状態でロックするためのロック機構と、ロック機構によってロックされた状態において形成される内部空間Sとを備える。第1部材20と第2部材30とは、刃ユニット15を介して連結されており、ロックされた状態において、内部空間S内に刃ユニット15が収容されて外部に露出されない。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1刃部と第2刃部とを有する刃ユニットと、爪切り具本体とを備えた爪切り具であって、
前記爪切り具本体は、前記第1刃部が旋回可能に取り付けられた第1部材と、前記第2刃部が旋回可能に取り付けられた第2部材と、前記第1部材の内面と前記第2部材の内面とが互いに対向した状態でロックするためのロック機構と、前記ロック機構によってロックされた状態において形成される内部空間とを備え、
前記第1部材と前記第2部材とは前記刃ユニットを介して連結されており、
前記ロックされた状態において、内部空間内に前記刃ユニットが収容されて外部に露出されないことを特徴とする前記爪切り具。
【請求項2】
前記第1部材は、前記第1刃部が取り付けられた第1ベースを有し、前記第2部材は前記第2刃部が取り付けられた第2ベースを有し、前記第1及び第2ベースは、底面と、両側壁部とを有し、前記ロック機構は、前記第1ベースの前記両側壁部に形成された凹部と、前記第2ベースの前記両側壁部に形成された係止突起とを備え、前記係止突起が前記凹部に係止されることによって、ロックされた状態となる請求項1に記載の爪切り具。
【請求項3】
前記第1部材は、先端部と基端部とを有し、前記先端部の先端縁には、指当て凹部が位置する請求項1又は2に記載の爪切り具。
【請求項4】
前記第2部材は、先端部と基端部とを有し、前記先端部には連結部を介してキーリングを取り付けるための取付部が位置する請求項3に記載の爪切り具。
【請求項5】
前記第1及び第2部材の前記先端部には、略台形状のやすり部が位置する請求項4に記載の爪切り具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爪切り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、爪切り具は公知である。例えば、特許文献1には、一対の板状刃部材と、板状刃部材に旋回可能に取り付けられた操作レバーとを備えた爪切り具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平7-43818号
【0004】
特許文献1に開示された爪切り具は、一対の板状刃部材の先端に刃部が位置し、操作レバーを操作することによって、爪を切ることができる。一方で、複数の板状部材から構成されていることから、例えば、鞄やキーケース等に取り付けてコンパクトに携帯することができず、また、そのまま携帯した場合には、外部に露出した刃部によって使用者の身体を傷つけるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の爪切り具の改良であって、全体としてコンパクトな形態を有し、かつ、安全に携帯することのできる爪切り具の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1刃部と第2刃部とを有する刃ユニットと、爪切り具本体とを備えた爪切り具に関する。
【0007】
本発明に係る爪切り具は、前記爪切り具本体は、前記第1刃部が旋回可能に取り付けられた第1部材と、前記第2刃部が旋回可能に取り付けられた第2部材と、前記第1部材の内面と前記第2部材の内面とが互いに対向した状態でロックするためのロック機構と、前記ロック機構によってロックされた状態において形成される内部空間とを備え、前記第1部材と前記第2部材とは前記刃ユニットを介して連結されており、前記ロックされた状態において、内部空間内に前記刃ユニットが収容されて外部に露出されないことを特徴とする。
【0008】
本発明の爪切り具は、以下の実施態様を含む。
(1)前記第1部材は、前記第1刃部が取り付けられた第1ベースを有し、前記第2部材は前記第2刃部が取り付けられた第2ベースを有し、前記第1及び第2ベースは、底面と、両側壁部とを有し、前記ロック機構は、前記第1ベースの前記両側壁部に形成された凹部と、前記第2ベースの前記両側壁部に形成された係止突起とを備え、前記係止突起が前記凹部に係止されることによって、ロックされた状態となる。
(2)前記第1部材は、先端部と基端部とを有し、前記先端部の先端縁には、指当て凹部が位置する。
(3)前記第2部材は、先端部と基端部とを有し、前記先端部には連結部を介してキーリングを取り付けるための取付部が位置する。
(4)前記第1及び第2部材の前記先端部には、略台形状のやすり部が位置する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る爪切り具は、爪切り本体がロック機構によってロックされた状態において、内部空間内に刃ユニットが収容されて外部に露出されないことから、全体としてコンパクトな形態を有し、かつ、安全に携帯することのできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面は、本発明に係る爪切り具の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的及び好ましい実施の形態を含む。
図1】本発明に係る爪切り具を前方から視た斜視図。
図2】爪切り具を後方から視た斜視図。
図3】爪切り具本体の一部破断図。
図4図3のIV-IV線に沿う断面図。
図5】爪切り具本体の展開図。
図6】第1部材と第2部材との外面どうしが対向した状態における図。
図7】爪切り具本体の分解斜視図。
図8】爪切り具の使用状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照して、本発明に係る爪切り具の構成について詳細を説明すると、以下のとおりである。また、以下の実施形態は、本発明の欠くことのできない要件を含むほかに、選択的に採用することのできる要件及び適宜に組み合わせることのできる要件を含んでいる。
【0012】
図1図3を参照すると、爪切り具1は、幅方向Xと、長さ方向Yと厚さ方向Zとを有し、爪切り具本体10と、爪切り具本体10に連結部11を介して連結されたキーリング12とを備える。
【0013】
爪切り具本体10は、先端部10aと、先端部10aよりも幅広の基端部10bとを有し、平面視において略台形状であって、全体としてコンパクトな形態をなしている。爪切り具本体10の両側面10c,10dには、先端部10a側に位置する第1凹曲面13と、角部を挟んで第1凹曲面13の基端部10b側に位置する第2凹曲面14と有する。第1及び第2凹曲面13,14は、爪切り具10を展開する際の指当て部として機能しうる。
【0014】
図3図5を参照すると、爪切り具本体10は、互いに旋回可能に取り付けられた、第1刃部60を有する第1部材20と、第2刃部を有する第2部材30と、第1及び第2刃部からなる刃ユニット15とを有する。
【0015】
図4を参照すると、爪切り具本体10は、後記のロック機構によってロックされた状態において形成される内部空間Sを備え、第1部材20と第2部材30とが刃ユニット15を介して連結されており、ロックされた状態において、内部空間S内に刃ユニット15が収容されて外部に露出されない。したがって、爪切り具1の未使用状態(ロック状態)において、使用者の肌等に刃ユニット15が触れることはない。
【0016】
図5図7を参照すると、第1部材20は、平面台形状であって、第1ケース40と、軸部65を介して第1ケース40に旋回可能に取り付けられた第1刃部60とを有する。第1ケース40は、先端部41と、基端部42と、先端部41側に位置する第1配置スペース43と、基端部42側に位置する第2配置スペース44とを有する。
【0017】
第1配置スペース43には、爪を研磨するためのヤスリ目模様を有するヤスリ部45が配置されている。ヤスリ部45は第1配置スペース43の形状に倣う台形状を有し、第1ケース40に接着又は溶着によって取り付けられている。
【0018】
第2配置スペース44には、幅方向Xにおいて互いに対向して位置する一対の第1内壁47が位置し、第1内壁47間には第1ベース50が取り付されている。第1ベース50は、底面51と、一対の両側壁部52とを有する。両側壁部52は、刃ユニット15の収容状態において軸部の先端が位置する凹曲部53と、同じく収容状態において第2ベース90の係止突起94が係止される凹部54と、基端部42側に位置する軸受部55とを備える。第1ベース50は、底面51に貫通孔51aを有し、第1ケース40の底面から延びる係止突起48が貫通孔51aに係止されている。
【0019】
第1刃部60は、刃先部61と、一対の脚部62とを有する。一対の脚部62は、先端側に位置する第1透孔63と、基端側に位置する第2透孔64とを有する。第1刃部60の一対の脚部62が第1ベース50の両側壁部52間に位置し、両側壁部52の軸受部55の貫通孔と脚部62の第1透孔63とを貫通する円棒状の軸部65を介して、第1刃部60は第1ベース50に旋回可能に取り付けられている。
【0020】
第1ケース40の先端縁には、閉止状態(ロック状態)の爪切り具本体10において第1部材20を旋回するときに操作者が指先を宛てるための凹部(指当て部)22が位置している。基端部42には、第1刃部60の脚部62が挿通される一対のスリット23が設けられている。また、第1ケース40の第2配置スペース44を形成する外壁部には、閉止状態において、第2ケースの外壁部の係合凸部25に係合される係合凹部24が位置している。
【0021】
図5図7を参照すると、第2部材30は、平面台形状であって、第2ケース70と、軸部を介して第2ケース70に旋回可能に取り付けられた第2刃部80とを有する。第2ケース70は、先端部71と、基端部72と、先端部71側に位置する第1配置スペース73と、基端部72側に位置する第2配置スペース74とを有する。第2ケース70の先端縁には、連結部12が取り付けられる取付部75が位置している。第2ケース70の第2配置スペース74を形成する外壁部には、閉止状態において、第1ケースの外壁部の係合凹部24に係合される係合凸部25が位置している。
【0022】
第1配置スペース73には、爪を研磨するためのヤスリ目模様を有するヤスリ部79が配置されている。ヤスリ部79は第1配置スペース73の形状に倣う台形状を有し、第2ケース70に接着又は溶着によって取り付けられている。なお、図示していないが、ヤスリ部45,79は、第1及び第2ケース40,70に交換できるように着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0023】
第2配置スペース74には、幅方向Xにおいて互いに対向して位置する一対の第2内壁76が位置し、第2内壁76間には第2ベース90が取り付られている。第2ベース90は、底面91と、一対の両側壁部92とを有する。両側壁部92は、刃ユニットの収容状態において軸部の先端が位置する段差状の凹曲部93と、収容状態において第1ベース50の凹部54に係止される一対の係止突起94と、基端部側に位置する軸受部95とを備える。第2ベース90は、底面91に貫通孔91aを有し、第2ケース70の底面から延びる係止突起78が貫通孔91aに係止されている。
【0024】
第2刃部80は、刃先部81と、一対の脚部82とを有する。一対の脚部82は、先端側に位置する第1透孔83と、基端側に位置する第2透孔84とを有する。第2刃部80の一対の脚部82が第2ベース90の両側壁部92間に位置し、両側壁部92の軸受部95の貫通孔と脚部82の第1透孔83とを貫通する円棒状の軸部85を介して、第2刃部80は第2ベース90に旋回可能に取り付けられている。基端部には、第2刃部80の脚部82が挿通される一対のスリット33が設けられている。
【0025】
第2刃部80の脚部82が第1刃部60の脚部62の内側に位置した状態で、それぞれの脚部62,82の第2透孔84を軸部16が貫通することによって、第1及び第2刃部は互いに連結されて刃ユニット15を形成している。軸部16には板バネからなる付勢手段18が設けられており、第1及び第2刃部60,80の刃先部61,81どうしは、常時互いに離間した状態となるように付勢されている。
【0026】
図3を参照すると、爪切り具本体10は、第1ベース50の両側壁部52に形成された凹部54と、第2ベース90の両側壁部92に形成された一対の係止突起94とを備えたロック機構を有し、爪切り具本体10の閉止状態において、第2ベース90の一対の係止突起94が第1ベース50の凹部54に係止されることで、第1部材20と第2部材30とがロックされた状態となる。
【0027】
具体的には、第2ベース90の一対の係止突起94は可撓性を有し、ロックされる前の状態において一対の係止突起94の長さ寸法L1は、凹部54の長さ寸法L2よりも僅かに大きくなっている。図3の仮想線で示すように、一対の係止突起94どうしを互いに接近させて長さ寸法L1が小さくなるように、係止突起94を僅かに変形させながら凹部54に進入させ、係止突起94の先端に位置する係止爪94aが、係止突起94の復元力によって凹部54の内周面に当接されることで安定的にロックされた状態となる。この際、使用者は係止突起94を凹部54に係止させるために力を強く入れる必要があり、パチンという音が発生する。使用者は、それによって、爪切り具本体10が安全にロックされたことを確認することができる。
【0028】
このように、爪切り具本体10がロック機構によって機械的にロックされることから、例えば、従来の磁性を利用したロック機構等に比べて安全にロックされ、外部衝撃を受けた場合であっても、不意にロックが解除されることはない。
【0029】
爪切り具1を使用する際には、例えば、まず、第2部材30の先端側に位置する第1凹曲面13を一方の手の親指と人差し指とで抑えながら、他方の手の人差し指を第1部材20の先端に位置する指当て部22に当接し、第1部材20を第2部材30から離間するように引き上げることで、爪切り具本体10のロック状態を解除することができる。
【0030】
第1及び第2凹曲面13,14を掴むようにして爪切り具本体10を展開することもできるが、第1部材20の先端に指当て部22が位置することで、人差し指のみで第1部材20を引き上げて、第2部材30から離間することができる。
【0031】
次に、第1及び第2ケース40,70を軸部65,85を介して互いの外面どうしが対向するようにそれぞれ旋回させる。図6を参照すると、第1及び第2刃部60,80の脚部62,82の先端それぞれが、第1及び第2ベース50,90の端縁部59,99に当接することで、第1及び第2ケース40,70の旋回が停止される。
【0032】
図8を参照すると、第1及び第2ケース40,70の旋回が停止された状態において、それらの先端部41,71の内面に一方の手の親指と人差し指とを当接させて、第1ケース40と第2ケース70とが互いに接近するように力を加えることによって、刃ユニット15の付勢手段18に抗して刃先部61,81も互いに接近し、他方の手の指の爪を切断することができる。
【0033】
本発明に係る爪切り具1においては、爪切り具本体10にキーリング12が取り付けられていることから、鞄やキーケースに付けたり、キーホルダーとして使用したりすることができる。また、未使用状態において、刃ユニット15が爪切り具本体10の内部空間Sに完全に収容されていることから、刃先部61、81が使用者の肌に触れて傷つけることはない。さらに、刃ユニット15全体が収容されることから、爪切り具1はコンパクトな形態を有し、携帯性に優れる。
【0034】
また、既述のとおり、爪切り具本体は平面視において略台形状であって、両側において長さ方向Yへ第1凹曲面13と第2凹曲面14とが連なる特異な形状を有していることから、例えば、キャラクターの顔や車のデザイン等からなる装飾要素を外面に施すことによって、意匠性に優れた外観とすることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 爪切り具
11 連結部
12 キーリング
15 刃ユニット
20 第1部材
22 指当て部(凹部)
30 第2部材
41 先端部
42 基端部
45 ヤスリ部
50 第1ベース
51 底面
52 両側壁部
54 凹部
60 第1刃部
71 先端部
72 基端部
79 ヤスリ部
80 第2刃部
90 第2ベース
91 底面
92 両側壁部
94 係止突起
S 内部空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8