(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099284
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】鞍乗型車両用灯具及び鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20240718BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240718BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20240718BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240718BHJP
F21S 43/40 20180101ALI20240718BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240718BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240718BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20240718BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20240718BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240718BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S43/14
F21S43/243
F21S43/245
F21S43/40
F21V8/00 330
F21W103:10
F21W103:55
F21W102:10
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003123
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 忠信
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA05
3K244BA16
3K244CA02
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA04
3K244EA12
3K244EA16
3K244EC17
3K244ED22
(57)【要約】
【課題】簡便な構成により鞍乗型車両の存在を喚起させると共に、その相対的な距離感も認識させることを可能とした鞍乗型車両用灯具を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両100に搭載される鞍乗型車両用灯具1であって、鞍乗型車両100の前方に向けて光を照射する灯具ユニットを備え、灯具ユニットは、鞍乗型車両100の前方に向けて照射される光とは別に、鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて光Lを照射する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型車両に搭載される鞍乗型車両用灯具であって、
前記鞍乗型車両の前方に向けて光を照射する灯具ユニットを備え、
前記灯具ユニットは、前記鞍乗型車両の前方に向けて照射される光とは別に、前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて光を照射することを特徴とする鞍乗型車両用灯具。
【請求項2】
前記灯具ユニットは、前記光を出射する光源と、前記光源から出射された光を導光させる導光体とを有し、前記導光体により導光された光の一部を前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射することを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用灯具。
【請求項3】
前記灯具ユニットは、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させると共に、
前記導光体の先端側から出射された光を前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射することを特徴とする請求項2に記載の鞍乗型車両用灯具。
【請求項4】
前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射される光の照射範囲が、前記鞍乗型車両の前輪の中心よりも前方、且つ、前記前輪に沿ったフロントフェンダを照射する範囲を含むことを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両用灯具。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の鞍乗型車両用灯具を備えることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項6】
前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射される光の一部を前方に向けて反射する反射部材を備えることを特徴とする請求項5に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両用灯具及び鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動二輪車や自動三輪車などの鞍乗型車両がある。このような鞍乗型車両に搭載される車両用灯具(以下、「鞍乗型車両用灯具」という。)では、前面が開口したハウジングと、ハウジングの開口を覆うレンズカバーとにより構成される灯体の内部に、複数の光源を配置し、各光源から出射された光をリフレクタにより反射しながら、車両前方に向けて光を照射する構成となっている(例えば、下記特許文献1~3を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-030470号公報
【特許文献2】特開2018-083474号公報
【特許文献3】特開2003-300488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1には、ヘッドランプやテールランプとは別に、被視認性のライトを設けて、車体の側面及び乗員を照らす構成が開示されている。
【0005】
また、上記特許文献2には、駐停車状態にある鞍乗型車両の駐停車照明器を備え、この駐停車照明器が車体の側方と後方との少なくとも一方の路面に照明光を照射する構成が開示されている。
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載の発明は、何れも鞍乗型車両の存在を喚起させるものの、例えば対向車両のドライバーに対して鞍乗型車両の相対的な距離感を認識させるものではない。
【0007】
一方、上記特許文献3には、スクータ本体と、このスクータ本体の進行方向前面に装備されたフロントフェンダと、このフロントフェンダの両側端面から下方に向けてスクータ本体の両側面の前部分に固定装備されたレッグシールドとを有するスクータにおいて、各レッグシールドのフロントフェンダ側に、それぞれポジションランプを装備した構成が開示されている。
【0008】
この構成の場合、前照灯と、この前照灯の下方に配置された一対のポジションランプとにより、対向車両のドライバーに対して鞍乗型車両の相対的な距離感を認識させることが可能である。
【0009】
しかしながら、上述した特許文献3に記載の発明では、前照灯とは別に一対のポジションランプを追加する必要があり、部品点数の増加により製造コストも嵩むことになる。
【0010】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、簡便な構成により鞍乗型車両の存在を喚起させると共に、その相対的な距離感も認識させることを可能とした鞍乗型車両用灯具、並びに、そのような鞍乗型車両用灯具を備えた鞍乗型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 鞍乗型車両に搭載される鞍乗型車両用灯具であって、
前記鞍乗型車両の前方に向けて光を照射する灯具ユニットを備え、
前記灯具ユニットは、前記鞍乗型車両の前方に向けて照射される光とは別に、前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて光を照射することを特徴とする鞍乗型車両用灯具。
〔2〕 前記灯具ユニットは、前記光を出射する光源と、前記光源から出射された光を導光させる導光体とを有し、前記導光体により導光された光の一部を前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射することを特徴とする前記〔1〕に記載の鞍乗型車両用灯具。
〔3〕 前記灯具ユニットは、前記光源から出射された光を前記導光体の基端側に設けられた入射部から前記導光体の内部へと入射し、前記導光体の先端側に向けて光を導光させると共に、前記導光体の背面側に設けられた複数の反射カットで反射された光を前記導光体の正面側から前記導光体の外部へと出射することによって、前記導光体の正面側に設けられた発光部を発光させると共に、
前記導光体の先端側から出射された光を前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射することを特徴とする前記〔2〕に記載の鞍乗型車両用灯具。
〔4〕 前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射される光の照射範囲が、前記鞍乗型車両の前輪の中心よりも前方、且つ、前記前輪に沿ったフロントフェンダを照射する範囲を含むことを特徴とする前記〔1〕に記載の鞍乗型車両用灯具。
〔5〕 前記〔1〕~〔4〕の何れか一項に記載の鞍乗型車両用灯具を備えることを特徴とする鞍乗型車両。
〔6〕 前記鞍乗型車両の少なくとも車体の一部と路面とに向けて照射される光の一部を前方に向けて反射する反射部材を備えることを特徴とする前記〔5〕に記載の鞍乗型車両。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本発明によれば、簡便な構成により鞍乗型車両の存在を喚起させると共に、その相対的な距離感も認識させることを可能とした鞍乗型車両用灯具、並びに、そのような鞍乗型車両用灯具を備えた鞍乗型車両を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る鞍乗型車両用灯具を備える鞍乗型車両を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【
図2】(A)は鞍乗型車両との距離が相対的に遠い状態を示す正面図、(B)は鞍乗型車両との距離が相対的に近い状態を示す正面図である。
【
図3】鞍乗型車両用灯具の構成を示す正面図である。
【
図4】鞍乗型車両用灯具の構成を示す断面図である。
【
図5】鞍乗型車両用灯具の変形例を示す下面図である。
【
図6】
図5中に示す線分C-Cによる鞍乗型車両用灯具の断面図である。
【
図7】鞍乗型車両の別の構成例を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0016】
本発明の一実施形態として、例えば
図1~
図11に示す鞍乗型車両用灯具1を備えた鞍乗型車両100について説明する。
【0017】
なお、
図1は、鞍乗型車両用灯具1を備える鞍乗型車両100を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
図2は、鞍乗型車両100が手前に位置する状態と、奥に位置する状態を示す正面図である。
図3は、鞍乗型車両用灯具1の構成を示す正面図である。
図4は、鞍乗型車両用灯具1の構成を示す断面図である。
図5は、鞍乗型車両用灯具1の変形例を示す下面図である。
図6は、
図5中に示す線分C-Cによる鞍乗型車両用灯具1の断面図である。
図7は、鞍乗型車両100の別の構成例を示し、(A)はその正面図、(B)はその側面図である。
【0018】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を鞍乗型車両用灯具1(鞍乗型車両100)の前後方向(長さ方向)、Y軸方向を鞍乗型車両用灯具1(鞍乗型車両100)の左右方向(幅方向)、Z軸方向を鞍乗型車両用灯具1(鞍乗型車両100)の上下方向(高さ方向)として、それぞれ示すものとする。
【0019】
本実施形態は、例えば、
図1(A),(B)に示すように、自動二輪車や自動三輪車などの鞍乗型車両100の前側に搭載される鞍乗型車両用灯具1に本発明を適用したものである。
【0020】
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、鞍乗型車両用灯具1(鞍乗型車両100)を正面(車両前方)から見たときのそれぞれの方向を意味するものとする。
【0021】
本実施形態の鞍乗型車両用灯具1は、鞍乗型車両100の前方に向けて光を照射する灯具ユニット2を備えている。灯具ユニット2については、例えば
図3及び
図4に示すようなポジションランプPOLを構成している。
【0022】
なお、鞍乗型車両用灯具1は、上述したポジションランプPOLを構成する灯具ユニット2の他にも、前照灯(ヘッドランプ)や方向指示器(ターンランプ)などの灯具ユニットを備えている。
【0023】
灯具ユニット2は、光源3と、導光体4と、エクステンション5とを有して、これらが灯体6の内側に配置された構成を有している。
【0024】
灯体6は、前面が開口したハウジング7と、このハウジング7の開口を覆う透明なアウターレンズ8とにより構成される。なお、灯体6の形状については、車両のデザイン等に合わせて、適宜変更することが可能である。
【0025】
光源3は、例えば白色光を発するLEDからなり、このLEDを駆動する駆動回路が設けられた回路基板(図示せず。)の面上に実装されて、導光体4の基端側に向けて光Lを放射状に出射する。
【0026】
導光体4は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなる。導光体4は、車幅方向に延在し、且つ、車幅方向の内側よりも外側が後退する方向に向かって湾曲しながら、全体として傾斜した長尺形状を有している。
【0027】
灯具ユニット2は、光源3から出射された光Lを導光体4の基端側に設けられた入射部9から導光体4の内部へと入射し、導光体4の先端側に向けて光Lを導光させると共に、導光体4の背面側に設けられた複数の反射カット10で反射された光Lを導光体4の正面側に設けられた発光部11から導光体4の外部へと出射する。
【0028】
入射部9は、光源3と対向する平坦(平面)な入射面を有して、この入射面から光源3から出射された光Lを導光体4の内部へと入射する。
【0029】
なお、入射部9については、上述した平坦(平面)な入射面を有する構成に限らず、光源3から放射状に出射された光Lを平行化又は集光しながら、導光体4の内部へと入射するレンズ形状を有する構成であってもよい。
【0030】
複数の反射カット10は、導光体4の背面側に入射した光Lを導光体4の正面側から外部へと出射(透過)する角度で反射させるものであればよく、その形状や大きさ、数等について、特に限定されるものではない。
【0031】
本実施形態では、反射カット10として、例えば、導光体4の背面側の中央部を導光体4の軸線方向とは直交する鉛直方向(本実施形態では上下方向)に切り欠く断面略三角形状の溝部が導光体4の軸線方向(本実施形態では左右方向)に並ぶことによって構成されている。また、複数の反射カット10は、導光体4の背面側に、発光部11の軸線方向の長さ範囲に対応して設けられている。
【0032】
なお、複数の反射カット10については、導光体4の軸線方向において、後述する発光部11をより均一に発光させるため、導光体4の基端側から先端側に向かって、この反射カット10を形成する溝部の隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよく、若しくは、この反射カット10を形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。
【0033】
また、導光体4の背面側の複数の反射カット10を挟んだ両側には、導光体4の内部で導光される光Lを反射する一対の反射面(図示せず。)が設けられている。一対の反射面は、導光体4の鉛直断面において、円弧状に湾曲した凹状の曲面により構成されている。
【0034】
発光部11は、導光体4の軸線方向に連続した出射面を有して、この出射面から光Lを外部へと出射することにより発光する。出射面は、導光体4の鉛直断面において、円弧状に湾曲した凸状の曲面により構成されている。
【0035】
なお、発光部11には、この出射面から外部に向けて出射される光Lを拡散させるための複数の拡散カット(図示せず。)が設けられた構成であってもよい。
【0036】
拡散カットとしては、例えば、フルートカットや魚眼カットと呼ばれるレンズカットや、ローレット加工やシボ加工等を施すことによって形成された凹凸構造などを挙げることができる。
【0037】
また、この拡散カットの形状等を調整することによって、出射面から出射される光Lの拡散度合いを制御することが可能である。また、出射面の正面側に別の拡散レンズを配置した構成としてもよい。
【0038】
エクステンション5は、有色(例えば黒色)の遮光部材からなり、発光部11に対応した開口部5aを有して、この開口部5aの周囲を覆うように配置されている。エクステンション5は、開口部5aの周囲を覆うことで、この開口部5a以外から出射される光Lを遮光する。
【0039】
以上のような構成を有する灯具ユニット2では、光源3から出射された光Lを導光体4の基端側に設けられた入射部9から導光体4の内部へと入射し、導光体4の先端側に向けて光Lを導光させると共に、導光体4の背面側に設けられた複数の反射カット10で反射された光Lを導光体4の正面側に設けられた発光部11から導光体4の外部へと出射する。
【0040】
これにより、鞍乗型車両100のポジションランプPOLとして、導光体4の正面側に設けられた発光部11を白色発光させることが可能である。
【0041】
ところで、本実施形態の鞍乗型車両用灯具1において、灯具ユニット2は、
図1(A),(B)に示すように、鞍乗型車両100の前方に向けて照射される光とは別に、鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部(
図1中に示す囲み部分Aを参照。)と路面T(
図1中に示す囲み部分Bを参照。)とに向けて光Lを照射することを特徴とする。
【0042】
鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて照射される光Lの照射範囲は、鞍乗型車両100の前輪102の中心Oよりも前方、且つ、前輪102に沿ったフロントフェンダ103を照射する範囲を含むことが好ましい。
【0043】
これにより、本実施形態の鞍乗型車両用灯具1では、フロントフェンダ103に向けて照射された光Lが前方に向けて反射され、例えば対向車両のドライバーに対して、鞍乗型車両100の存在を喚起させる。
【0044】
すなわち、対向車両のドライバーに対しては、車体101の一部と路面Tとの間が視覚的に強調され、光Lの照射領域Eとして視認されることになる。これにより、対向車両のドライバーに対して、鞍乗型車両100の存在を喚起させることが可能である。
【0045】
また、本実施形態の鞍乗型車両用灯具1では、灯具ユニット2から下方に向けて出射された光Lが、車体101の一部と路面Tとの間に亘って照射されることで、対向車両のドライバーに対して、鞍乗型車両100の相対的な距離感を認識させることが可能である。
【0046】
具体的に、光Lの照射領域Eは、車体101の一部と路面Tとの間で上下方向にほぼ一定である。このため、対向車両のドライバーからは、鞍乗型車両100との距離に応じて、この照射領域Eの大きさが変化して見える。
【0047】
すなわち、
図2(A)に示すように、鞍乗型車両100の距離が相対的に遠い状態では、鞍乗型車両100の照射領域Eが上下方向において相対的に短く見える。
【0048】
一方、
図2(B)に示すように、鞍乗型車両100の距離が相対的に近い状態では、鞍乗型車両100の照射領域Eが上下方向において相対的に長く見える。
【0049】
これにより、夜間等において、鞍乗型車両100の車体101が全体的に視認できない状況であっても、照射領域Eの大きさの変化に応じて、対向車両のドライバーに対して鞍乗型車両100の相対的な距離感を認識させることが可能である。また、照射領域Eの変化の度合いに応じて、互いの相対速度の認識を高めることが可能である。
【0050】
以上のように、本実施形態の鞍乗型車両用灯具1では、導光体4により導光された光Lの一部、すなわち、導光体4の先端側から出射された光Lを鞍乗型車両100の下方に向けて照射することで、上述した鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて照射される光Lとして利用している。
【0051】
これにより、本実施形態の鞍乗型車両用灯具1では、新たな光源を追加することなく、簡便な構成により鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて光Lを照射することが可能である。
【0052】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0053】
例えば、上記鞍乗型車両用灯具1では、上述した構成に必ずしも限定されるものではなく、
図5及び
図6に示すような構成とすることも可能である。
【0054】
具体的に、
図5及び
図6に示す構成では、上述した導光体4の先端側から出射された光Lを鞍乗型車両100の下方に向けて照射するため、灯体6の下面に導光体4の先端が望む開口部6aが設けられている。
【0055】
また、灯体6の開口部6aの正面側の周囲には、リブ壁6bが設けられている。この構成の場合、開口部6aを通して導光体4の先端側から出射された光Lが正面側に漏れ出さないように、リブ壁6bにより遮光することが可能である。
【0056】
また、上記鞍乗型車両100では、例えば
図7(A),(B)に示すような構成とすることも可能である。具体的に、
図7(A),(B)に示す構成では、鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて照射される光Lの一部を前方に向けて反射するリフレクタ104が設けられている。
【0057】
この構成の場合、車体101の一部に照射される光Lがリフレクタ104により前方に向けて反射されるため、対向車両のドライバーに対して、鞍乗型車両100の存在をより喚起させることが可能である。
【0058】
なお、
図7(A),(B)に示す構成では、反射部材として、リフレクタ104が設けられた構成となっているが、それ以外にも、反射板や反射テープなどを設けた構成とすることも可能である。
【0059】
なお、上記灯具ユニット2では、実際の鞍乗型車両100のデザイン等に合わせて、上記導光体4の形状などを適宜変更することが可能である。
【0060】
また、上記灯具ユニット2では、上述した光源3やインナーレンズとなる導光体4の他にも、例えば、別のインナーレンズやリフレクタなどの他の部材と組み合わせることが可能である。
【0061】
なお、上記鞍乗型車両用灯具1では、上述したポジションランプPOLの構成する灯具ユニット2において、鞍乗型車両100の前方に向けて照射される光Lとは別に、鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて光Lを照射する構成となっている。
【0062】
これに対して、灯具ユニット2については、上述したポジションランプPOLに限らず、前照灯(ヘッドランプ)や、昼間点灯ランプ(DRL)などを利用することも可能である。
【0063】
また、本発明を適用した鞍乗型車両用灯具1については、上述した鞍乗型車両100のフロント側に適用したものに限らず、鞍乗型車両100のリア側に適用することも可能である。
【0064】
具体的には、テールランプの構成する灯具ユニットにおいて、鞍乗型車両100の後方に向けて照射される光とは別に、鞍乗型車両100の少なくとも車体101の一部と路面Tとに向けて光を照射する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…鞍乗型車両用灯具 2…灯具ユニット 3…光源 4…導光体 5…エクステンション 6…灯体 100…鞍乗型車両 101…車体 102…前輪 103…フロントフェンダ 104…リフレクタ(反射部材) T…路面 L…光