(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099309
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】リザーブタンク
(51)【国際特許分類】
F01P 11/18 20060101AFI20240718BHJP
F01P 11/00 20060101ALI20240718BHJP
G01F 23/58 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F01P11/18 B
F01P11/00 C
G01F23/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003156
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 和弘
(72)【発明者】
【氏名】林 暁彦
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013AA04
2F013AB03
2F013BG01
2F013CA21
2F013CB02
(57)【要約】
【課題】リザーブタンク内の冷却液の液量確認を、簡易な構成で容易にする。
【解決手段】リザーブタンク10のタンク本体22は、第1タンクハーフ20と第2タンクハーフ24を接合して形成される。第1および第2タンクハーフ20,24の互いに対向する面20a,24aには、水平方向に対して傾斜して設けられたガイドリブ34,36が立設されている。タンク本体22内に収容されるフロート30は、冷却液の液面の昇降によってガイドリブ34,36に沿って移動する。フロート30と一体の指針40が注入口27の近傍に位置しており、フロート30と共に移動する指針40の位置によって、冷却液の液量が確認できる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を冷却する冷却液を予備的に蓄えるリザーブタンクであって、
互いに向かい合って接合されてタンク本体を形成する1対のタンクハーフであって、互いに対向する面にそれぞれ、水平方向に対して傾斜して延びるフロートガイドが設けられたタンクハーフと、
前記タンク本体内に配置され、前記フロートガイドに係合して、タンク本体内の冷却液の液面の昇降に応じて前記フロートガイドに沿って移動するフロートと、
前記フロートと一体に設けられ、前記タンク本体上部の注入口近傍の下方において、前記フロートの移動に伴って移動する指針と、
前記タンク本体の前記注入口近傍に配置され、前記指針の位置を示す目盛が記されたゲージと、
を含むリザーブタンク。
【請求項2】
請求項1に記載のリザーブタンクであって、
前記フロートガイドは、前記1対のタンクハーフにそれぞれ設けられた、水平方向に対して傾斜して互いに平行に延びる2本のリブであり、
前記フロートは、前記2本のリブの間に位置している、
リザーブタンク。
【請求項3】
請求項1に記載のリザーブタンクであって、前記ゲージは、前記注入口内側の、一方のタンクハーフの壁面に立設している、リザーブタンク。
【請求項4】
請求項1に記載のリザーブタンクであって、さらに前記注入口を閉じる透明または半透明のキャップを含む、リザーブタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器を冷却する冷却液を予備的に蓄えるリザーブタンク、特にそのレベルゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン、モータ、電池などの発熱体を液体で冷却する技術が知られている。冷却用の液体(以下、冷却液と記す。)の循環流路内の過不足を調整するために、冷却回路には、予備的に冷却液を蓄えるリザーブタンクが備わる場合がある。循環流路中の冷却液が不足すると、不足分がリザーブタンクから補われ、冷却液が過剰となると過剰分がリザーブタンクに収容される。したがって、リザーブタンクには、多すぎず、少なすぎない適量の冷却液が蓄えられている必要がある。
【0003】
下記特許文献1には、蓄えた液体(燃料)の量を示すレベルゲージを備えたタンクが示されている。タンク内には、液面に浮き、液面と共に昇降するフロート(18)が備えられている。フロート(18)は、枢軸(16)に支持されて枢軸(16)周りに揺動可能なアーム(17)の一端に取り付けられている。アーム(17)の他端には計量指針(9)が設けられ、計量指針(9)はフロート(18)の昇降に伴って、タンク天板(7)に設けられた覗き窓(1)の直下において左右に振れてタンク内の液量を示す。なお、上記の( )内の符号は、下記特許文献1で用いられている符号であり、本願の実施形態の説明で用いられる部材名および符号とは関連しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両において、リザーブタンクは、エンジン、モータ等の原動機を収容する原動機室に配置されるのが一般的である。原動機室には、原動機の他にも多くの機器が収容され、周囲の機器が妨げとなってリザーブタンク内の冷却液の量を確認することが難しい場合がある。上記特許文献1のタンクのように天板に覗き窓を設けるスペースもない場合がある。また、上記特許文献1では、液面の昇降を、枢軸周りのアームの揺動に変換しており、このため、アームを覗き窓の直下の位置から側方に向けて延ばす必要がある。よって、タンクの形状に制約を受ける。
【0006】
本発明は、スペースが限られた状況下において、リザーブタンク内の冷却液の量の確認を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るリザーブタンクは、機器を冷却する冷却液を予備的に蓄えるリザーブタンクであって、互いに向かい合って接合されてタンク本体を形成する1対のタンクハーフと、タンク本体内に配置されたフロートと、フロートと一体に設けられ、タンク本体上部の注入口近傍の下方に位置する指針と、タンク本体の注入口近傍に配置され、指針の位置を示す目盛が記されたゲージと、を含む。1対のタンクハーフの、互いに対向する面にそれぞれ、水平方向に対して傾斜して延びるフロートガイドが設けられている。フロートは、フロートガイドに係合し、タンク本体内の冷却液の液面の昇降に応じてフロートガイドに沿って移動する。指針は、フロートの移動に伴って移動し、リザーブタンク内の冷却液の量を示す。
【0008】
注入口近傍に指針とゲージを設けたことにより、指針およびゲージの視認性が向上する。フロートがフロートガイドに沿って水平方向にも移動することにより、フロートを揺動するアームに取り付けられた場合とは異なり、フロートを注入口の直下に配置することができる。
【0009】
上記のリザーブタンクにおいて、フロートガイドは、1対のタンクハーフにそれぞれ設けられた、水平方向に対して傾斜して互いに平行に延びる2本のリブとすることができ、フロートは、この2本のリブの間に位置するものとできる。
【0010】
上記のリザーブタンクにおいて、ゲージは、注入口内側の、一方のタンクハーフの壁面に立設するものとできる。
【0011】
上記のリザーブタンクにおいて、さらに注入口を閉じる透明または半透明のキャップを含むものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
注入口近傍に指針とゲージを設けたことにより、指針およびゲージの視認性が向上する。フロートがフロートガイドに沿って水平方向にも移動することにより、フロートを注入口の直下に配置することができ、リザーブタンクの形状に対する制約が減じる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】リザーブタンクが一体に形成されたラジエータ組立体を、車両の斜め後方から視た状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。以下の説明において、特段の断りがない限り、前後左右上下等の相対位置および向きを表す語句は、車両に関する相対位置および向きを表す。各図において、矢印FRの向きが前方、矢印UPの向きが上方、矢印LHの向きが左方である。
【0015】
図1および2は、本実施形態に係るエンジン冷却液のリザーブタンク10の概略構成を示す図であり、
図1は斜視図、
図2は断面図である。
図1は、車両のラジエータ組立体12を車両の斜め後方から視た状態を示している。ラジエータ組立体12は、通過するエンジン冷却液から放熱するラジエータ14と、ラジエータ14の後方に配置され、ラジエータ14を通過する気流を発生させるラジエータファン16と、ラジエータ14の後面の一部を覆うシュラウド18を含む。詳細には、シュラウド18は、ラジエータファン16の後方に開口が形成されており、ラジエータ14のラジエータファン16に対向していない部分を覆っている。ラジエータファン16により生成される気流は、ラジエータ14およびラジエータファン16を通過し、シュラウド18に形成された開口から後方に送出される。シュラウド18を設けることによって、ラジエータファン16が発生させたラジエータ14を通過する気流が、ラジエータ14の全体にわたって分布するようになる。
【0016】
リザーブタンク10は、ラジエータ組立体12の一部として形成される。具体的には、シュラウド18の後面にタンク部品20を接合してリザーブタンク10の、冷却液を蓄える空間を画定するタンク本体22が形成される。タンク部品20と、シュラウド18の、タンク部品20に対向する部分24とでタンク本体22が構成され、その内部に冷却液が蓄えられる。タンク部品20の上部には、筒状の注入管26が設けられている。注入管26の上端の注入口27(
図3参照)はキャップ28で塞がれている。キャップ28は、注入管26から取り外すことができる。冷却液を補充する際には、キャップ28を外して、注入管26から冷却液をリザーブタンク10内に注入する。
【0017】
図3は、リザーブタンク10を模式的に示す分解斜視図である。前述のように、リザーブタンク10は、シュラウド18の一部分24とタンク部品20を接合して形成される。
図3において、シュラウド18は、タンク部品20の対向する部分24のみが示されている。タンク部品20とシュラウドの部分24は、互いに向かい合って接合されてタンク本体22を形成する1対のタンクハーフである。以下、タンク部品20を第1タンクハーフ20、シュラウド18のタンク本体22の一部を形成する部分24を第2タンクハーフ24と記す。
【0018】
リザーブタンク10は、タンク本体22内に収容されるフロート30を含む。フロート30は、冷却液よりも比重が小さく、リザーブタンク10内の冷却液に浮いている。タンク本体22の内壁面には、フロート30と係合するフロートガイド32が設けられている。フロートガイド32は、リザーブタンク10内の液面の昇降に応じて昇降するフロート30を水平方向にも移動するよう案内する。フロートガイド32は、より具体的には、第1タンクハーフ20と第2タンクハーフ24の、互いに対向する面20a,24aに設けられ、水平方向に対して傾斜して延びる直線状のリブである。第1タンクハーフ20の面20aには、水平方向に対して傾斜して互いに平行に延びる上下2本のガイドリブ34が立設され、同様に、第2タンクハーフ24の面24aにも上下2本のガイドリブ36が立設されている。第1タンクハーフ20に設けられたガイドリブ34を第1ガイドリブ34、第2タンクハーフ24に設けられたガイドリブ36を第2ガイドリブ36と記す。2本の第1ガイドリブ34と2本の第2ガイドリブ36は、第1タンクハーフ20の面20aと第2タンクハーフ24の面24aの互いに対向する位置に設けられている。
【0019】
第1タンクハーフ20は、樹脂成形品であってよく、第1ガイドリブ34は成形時に第1タンクハーフ20と一体に形成されてよい。第2タンクハーフ24も、樹脂成形品であってよく、第2ガイドリブ36も成形時に第2タンクハーフ24と一体に形成されてよい。
【0020】
フロート30は、2本の第1ガイドリブ34の間に、また2本の第2ガイドリブ36の間に配置されている。第1および第2ガイドリブ34,36それぞれの上側のリブが、フロート30の上面の対向する2辺に各々接し、第1および第2ガイドリブ34,36それぞれの下側のリブが、フロート30の下面の対向する2辺に各々接している。各ガイドリブ34,36は、フロート30の対向する辺全体でフロート30と接してよく、また辺の複数箇所、好ましくは辺の両端の2箇所の、フロート30の表面上に設けられた突起と接するようにしてよい。
【0021】
フロート30は、リザーブタンク10内の冷却液の液面が昇降すると、フロートガイド32に沿ってスライドして移動する。よって、フロート30は、液面の昇降によって昇降すると共に、水平方向にも移動する。
【0022】
フロート30には、ロッド38が立設されている。ロッド38は、注入管26内を延び、上端が注入口27近傍に達している。ロッド38の上端部には、側方に延びる指針40が設けられている。フロート30、ロッド38および指針40は、樹脂成形品であってよく、成形時に一体に形成されてよい。
【0023】
指針40に対応するように、タンク本体22内に、特に注入口27の近傍にゲージ42が配置されている。より具体的には、ゲージ42は、第1タンクハーフ20の面20aと第2タンクハーフ24の面24aの一方に、リブ状に形成されている。
図3は、ゲージ42が第2タンクハーフ24に設けられた態様を示している。ゲージ42は、第2ガイドリブ36と平行に設けられ、フロート30の移動、すなわち指針40の移動方向に沿っている。
図4に示すようにゲージ42には、リザーブタンク10内の冷却液の上限量を示す上限値目盛44と、下限値目盛46が記されている。ゲージ42は、第2タンクハーフ24の成形時に一体に形成されてよい。
【0024】
キャップ28は、透明、すなわちキャップ28を通して指針40およびゲージ42の目盛44,46が透かして見える程度の半透明であってよい。これにより、キャップ28を取らずに冷却液の量を確認することができる。
【0025】
冷却液を補充するとき、作業者は、まずキャップ28を外す。次に、指針40の位置を見ながら注入口27から冷却液を注入する。冷却液の液面が上昇するのにつれて、フロート30がガイドに沿って移動し、指針40がゲージ42に沿って移動する。指針40が上限値目盛44に到達したら、作業者は冷却液に注入を止める。最後に、作業者は、キャップ28により注入口27を閉じる。普段の点検時には、キャップ28越しに指針40の位置を目視確認する。
【0026】
注入口27は、一般的に、作業者が注入作業をしやすい位置に設けられており、注入口27近傍に指針40およびゲージ42を配置することにより、冷却液の量を確認しやすくなる。また、注入口27の直下にフロート30を配置することで、タンク本体22の形状に関する制約が減じる。
【0027】
上述の実施形態では、エンジンの冷却液を蓄えるリザーブタンク10について説明した。しかし、冷却液は、エンジンに加えて、または代えてモータや電池を冷却する冷却液であってもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 リザーブタンク、14 ラジエータ、16 ラジエータファン、18 シュラウド、20 タンク部品(第1タンクハーフ)、22 タンク本体、24 シュラウドのタンクを形成する部分(第2タンクハーフ)、26 注入管、27 注入口、28 キャップ、30 フロート、32 フロートガイド、34 第1ガイドリブ、36 第2ガイドリブ38 ロッド、40 指針、42 ゲージ、44 上限値目盛、46 下限値目盛。