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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099317
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】車両用のルーバおよび風向調整装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240718BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60H1/34 611C
F24F13/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003173
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508348657
【氏名又は名称】イオインダストリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】江口 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】竹尾 勝哉
(72)【発明者】
【氏名】前橋 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大井 理
(72)【発明者】
【氏名】松井 亮介
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081AB01
3L081FB01
3L081FC02
3L211BA22
3L211BA52
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】ルーバの取付時におけるブッシュ部の摩耗や変形を抑制して安定な支持状態を実現できる車両用のルーバを提供する。
【解決手段】ルーバ1は、ルーバ支持部52の側壁に形成されている軸受部53に取り付けられる軸部12を有し、該軸部12を中心に回動可能な状態でルーバ支持部52に支持される。軸部12は、ルーバ支持部52の側壁に対向配置されるルーバ1の外側面11Aから、軸部12の軸方向Daの外側向かって延びる軸心部21と、軸心部21における軸方向Daに垂直な径方向Dr1~Dr4の外側に設けられ、軸心部21の硬度よりも低い硬度を有するブッシュ部22と、を有し、軸心部21における軸方向Daの外側端21Aが、ブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられたルーバ支持部の側壁に形成されている軸受部に取り付けられる軸部を有し、該軸部を中心に回動可能な状態で前記ルーバ支持部に支持される車両用のルーバであって、
前記軸部は、
前記ルーバ支持部の前記側壁に対向配置される前記ルーバの外側面から、前記軸部の軸方向の外側に向かって延びる軸心部と、
前記軸心部における前記軸方向に垂直な径方向の外側に設けられ、前記軸心部の硬度よりも低い硬度を有するブッシュ部と、を有し、
前記軸心部における前記軸方向の外側端が、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端よりも前記軸方向の外側に配置されていることを特徴とする車両用のルーバ。
【請求項2】
前記軸心部は、少なくとも前記軸部の軸中心から前記径方向にオフセットした部分における前記軸方向の外側端が、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端よりも前記軸方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用のルーバ。
【請求項3】
前記軸心部は、
前記軸部の軸中心を含み前記軸方向に延びる軸柱部分と、
前記軸柱部分から前記径方向に延出する延出部分と、を有し、
前記軸柱部分における前記軸方向の外側端および前記延出部分における前記軸方向の外側端が、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端よりも前記軸方向の外側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用のルーバ。
【請求項4】
前記延出部分は、前記軸柱部分から、前記径方向のうちの一方向である取付方向に延出していることを特徴とする請求項3に記載の車両用のルーバ。
【請求項5】
前記延出部分は、
前記軸柱部分から前記取付方向に延出する主要延出部分と、
前記軸柱部分から前記径方向のうちの前記取付方向とは異なる補助方向に延出する補助延出部分と、を含むことを特徴とする請求項4に記載の車両用のルーバ。
【請求項6】
前記補助方向は、前記取付方向に対して反対の方向であることを特徴とする請求項5に記載の車両用のルーバ。
【請求項7】
前記補助方向は、前記取付方向に対して垂直な方向であることを特徴とする請求項5に記載の車両用のルーバ。
【請求項8】
前記補助延出部分の延出長は、前記主要延出部分の延出長よりも短く、
前記ブッシュ部は、前記補助延出部分の延出方向の外側を覆うように設けられていることを特徴とする請求項5に記載の車両用のルーバ。
【請求項9】
前記主要延出部分の延出長は、前記軸部が前記軸受部に取り付けられた状態において、前記軸柱部分から前記軸受部における軸孔の内周壁までの距離よりも短いことを特徴とする請求項8に記載の車両用のルーバ。
【請求項10】
軸受部が形成されている側壁を有するルーバ支持部と、
前記軸受部に取り付けられる軸部を有し、該軸部を中心に回動可能な状態で前記ルーバ支持部に支持されるルーバと、
を備えた車両用の風向調整装置であって、
前記軸部は、
前記ルーバ支持部の前記側壁に対向配置される前記ルーバの外側面から、前記軸部の軸方向の外側に延びる軸心部と、
前記軸心部の前記軸方向に垂直な径方向の外側に設けられ、前記軸心部の硬度よりも低い硬度を有するブッシュ部と、を有し、
前記軸心部における前記軸方向の外側端が、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端よりも前記軸方向の外側に配置されていることを特徴とする風向調整装置。
【請求項11】
前記ルーバ支持部の前記側壁は、前記ルーバ支持部に対する前記ルーバの取付方向に沿って前記軸受部まで延び、前記軸受部に近づくほど前記ルーバの側に傾斜しているテーパ部を有し、
前記ルーバは、前記ルーバ支持部への取付時に形成される前記軸心部と前記テーパ部との摺接状態において、前記ブッシュ部と前記テーパ部との非接触状態が維持されるように、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端に対する前記軸心部における前記軸方向の外側端の位置が決められていることを特徴とする請求項10に記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用のルーバおよび風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に搭載された空調機器等に接続する空気の流路には、該流路から車室内の空間に吹き出される空気の方向(風向)を調整可能にするルーバ機構が設けられている場合がある。このような車両用のルーバ機構は、構成部品の公差や製造誤差に起因して、ルーバの回動中心となる軸部および軸受部の間に隙間が形成されると、車両が凹凸のある道等を走行中にルーバが振動してラトル音(異音)が発生する。
【0003】
このようなラトル音の発生を防止するために、例えば、特許文献1には、空気吹出口を設けたバレルのバレル軸(以下、「ルーバの軸部」とする)が、ゴム状弾性体製の荷重付与部材(以下、「ブッシュ部」とする)を介して、リテーナ(以下、「ルーバ支持部」とする)の内側に設けた軸受部に回動可能に支持されたレジスタが開示されている。このレジスタでは、ルーバの一方の軸部がブッシュ部の軸孔に挿入された状態で、ルーバ支持部の一方の軸受部に設けた八角形凹部にブッシュ部の八角形外周部が嵌入されるとともに、ルーバの他方の軸部がルーバ支持部の他方の軸受部に嵌入される。そして、ルーバ支持部に設けた係合片に、ブッシュ部の外周部に設けた切欠溝を係合させることで、ブッシュ部が熱により変形或いは収縮した場合でも、ブッシュ部にガタツキが生じない構造として、ルーバを安定に支持できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-16827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のようにルーバの軸部における軸方向の外側にブッシュ部を設ける場合、ルーバ支持部における軸受部周辺の壁面にブッシュ部を摺動させながら軸受部に嵌入しようとすると、当該摺動によってブッシュ部が摩耗或いは変形してしまい、ルーバの軸部が安定して支持されなくなるおそれがあった。特に、ルーバ支持部の軸受部が形成される壁面において、軸受部がルーバの取付方向の奥側に配置されている場合、摺動距離が長くなるので、ブッシュ部の摩耗或いは変形の問題が発生しやすくなり、改善の余地があった。
【0006】
本発明は上記の点に着目してなされたもので、ルーバの取付時におけるブッシュ部の摩耗や変形を抑制して安定な支持状態を実現できる車両用のルーバおよび風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため本発明の一態様は、車両に設けられたルーバ支持部の側壁に形成されている軸受部に取り付けられる軸部を有し、該軸部を中心に回動可能な状態で前記ルーバ支持部に支持される車両用のルーバを提供する。この車両用のルーバにおける前記軸部は、前記ルーバ支持部の前記側壁に対向配置される前記ルーバの外側面から、前記軸部の軸方向の外側に向かって延びる軸心部と、前記軸心部における前記軸方向に垂直な径方向の外側に設けられ、前記軸心部の硬度よりも低い硬度を有するブッシュ部と、を有し、前記軸心部における前記軸方向の外側端が、前記ブッシュ部における前記軸方向の外側端よりも前記軸方向の外側に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用のルーバによれば、軸部をルーバ支持部の軸受部に取り付ける際に、軸部の硬い軸心部が柔らかいブッシュ部よりも先にルーバ支持部の側壁に当接するので、ブッシュ部の摩耗や変形を抑制することができ、ルーバの安定した支持状態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る車両用のルーバの一実施形態を示す分解斜視図である。
図2図1のルーバが車両のインストルメントパネルに取り付けられた状態を車室内側から見た正面図である。
図3図2におけるインストルメントパネルの開口部付近をルーバが取り外された状態で車室内側から見た拡大斜視図である。
図4図3のインストルメントパネルを車室外側から見た斜視図である。
図5図4のA-A線断面図とルーバの上面図とを組み合わせてインストルメントパネルへのルーバの取付位置を示す概念図である。
図6】上記実施形態のルーバを第1軸部の側から見た側面図である。
図7図6における第1軸部の付近を拡大した斜視図である。
図8図7の第1軸部における第1軸心部の構成例を示す斜視図である。
図9図7の第1軸部におけるブッシュ部の構成例を示す斜視図である。
図10図7の第1軸部における第1軸心部とブッシュ部との位置関係を説明するための側面図である。
図11】上記実施形態のルーバにおける第2軸部の構成例を示す斜視図である。
図12図11の第2軸部の分解下面図である。
図13】上記実施形態におけるルーバの取付動作を説明する図である。
図14】上記実施形態における第1軸部に関する第1変形例を示す斜視図である。
図15】上記実施形態における第1軸部に関する第2変形例を示す斜視図である。
図16】上記実施形態における第1軸部に関する第3変形例を示す斜視図である。
図17】上記実施形態における第1軸部に関する第4変形例を示す斜視図である。
図18】上記実施形態における第1軸部に関する第5変形例を示す斜視図である。
図19】上記実施形態における第1軸部に関する第6変形例を示す斜視図である。
図20】上記実施形態のルーバを有する風向調整装置の構成例を示す分解斜視図である。
図21】上記実施形態のルーバを有する風向調整装置の他の構成例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る車両用のルーバの一実施形態を示す分解斜視図である。また、図2は、図1のルーバが車両のインストルメントパネルに取り付けられた状態を車室内側から見た正面図である。なお、以下で説明する各図面において、矢印Da方向は、ルーバ支持軸の軸方向を示し、矢印Dr1~Dr4方向は、軸方向Daに垂直な径方向をそれぞれ示している。また、矢印Fr方向は、ルーバが取り付けられる車両の前後方向で前方を示し、矢印U方向は、該車両の上下方向で上方を示し、矢印R方向および矢印L方向は、車室内から車両前方を見たときの右方および左方を示している。
【0011】
本実施形態のルーバ1は、例えば図1に示すように、断面略長方形の筒状に形成された本体部11と、本体部11における横方向(略長方形の長手方向)の両端にそれぞれ設けられた第1軸部12および第2軸部13と、本体部11の内側に設けられた複数のベーン(風向調整板)14および操作部(つまみ)15と、を備えている。ルーバ1は、例えば図2に示すように、自動車等の車両に設けられているインストルメントパネル5に取り付けられる。
【0012】
ルーバ1の本体部11は、例えば、高衝撃に耐え得るポリプロピレン(PP)等の樹脂材料を用いて形成されている。本体部11の内側の空間には、ルーバ1がインストルメントパネル5に取り付けられた状態(以下、「ルーバ1の取付状態」とする)において、当該車両に搭載された空調機器等(図示せず)から送風される空気が導入される。本体部11における横方向の一端側(ルーバ1の取付状態で車両左側)に位置する外側面11Aには、第1軸部12が設けられている。また、本体部11における横方向の他端側(ルーバ1の取付状態で車両右側)に位置する外側面11Bには、第1軸部12と同軸上に第2軸部13が設けられている。つまり、第1軸部12および第2軸部13は、本体部11の横方向に沿って延びる共通の軸Ax(図1の一点鎖線)上に配置されている。
【0013】
第1軸部12は、第1軸心部21と、ブッシュ部22と、を有している。第1軸心部21は、本体部11の外側面11Aから、第1軸部12の軸方向Daの外側に向かって延びている。換言すると、第1軸心部21は、本体部11の外側面11Aから、軸Axに沿って本体部11の外方に延出している。第1軸心部21は、例えば、ポリアセタール或いはナイロン等の摺動性に優れ且つ熱変形が小さい樹脂材料を用いて形成されるようにするのが好ましい。ただし、本体部11および第1軸心部21に同一材料を使用して一体成形するようにしてもよい。ブッシュ部22は、第1軸心部21の軸方向Daに垂直な径方向Dr1~Dr4の外側に設けられている。ブッシュ部22は、第1軸心部21の硬度よりも低い硬度を有しており、例えば、ゴム、エラストマー、樹脂等の弾性軟質材料を用いて形成されている。
【0014】
本実施形態では、第1軸部12、第1軸心部21およびブッシュ部22が、本発明の「軸部」、「軸心部」および「ブッシュ部」に相当している。なお、第1軸部12における第1軸心部21およびブッシュ部22の具体的な構成例については後で詳しく説明する。
【0015】
第2軸部13は、第2軸心部31と、スペーサ部32と、を有している。第2軸心部31は、本体部11の外側面11Bに形成されている後述する第2窪み部11Eの内部に、スペーサ部32を介して嵌め込まれている。第2軸心部31およびスペーサ部32のそれぞれは、前述した第1軸部12のブッシュ部22と同様な弾性軟質材料を用いて形成されている。なお、第2軸部13における第2軸心部31およびスペーサ部32の具体的な構成例についても後で詳しく説明する。
【0016】
複数のベーン14は、本体部11の内側で縦方向(略長方形の短手方向)にそれぞれ延びており、横方向(略長方形の長手方向)に等間隔で設けられている。複数のベーン14は、操作部15を横方向に移動させることで連動して回動するように構成されている。このような複数のベーン14によって、本体部11の内側の空間を通って開口端から吹き出される空気の方向がルーバ1の横方向に調整可能になっている。
【0017】
上記ルーバ1が取り付けられる車両側のインストルメントパネル5は、車室内の前部に配置されている内装部材の一部である。インストルメントパネル5は、車室内を臨む面の所定位置に開口部51を有している(図2)。開口部51は、略長方形の形状を有しており、車両に搭載された空調機器等に接続する空気流路(図示せず)の吹出口となっている。本実施形態のルーバ1は、インストルメントパネル5の開口部51に取り付けられる。
【0018】
図3は、インストルメントパネル5の開口部51付近をルーバ1が取り外された状態で車室内側から見た拡大斜視図である。また、図4は、図3のインストルメントパネル5を車室外側から見た斜視図である。さらに、図5は、図4のA-A線断面図とルーバ1の上面図とを組み合わせてインストルメントパネル5へのルーバ1の取付位置を示す概念図である。なお、図3および図4に示す2点鎖線は、前述したルーバ1の軸Axに対応した仮想軸線Ax’を表している。
【0019】
図3図5に示すように、インストルメントパネル5には、開口部51から車両前方に向かって延びるルーバ支持部52が一体成形されている。ルーバ支持部52は、断面略長方形の筒状に形成されている。ルーバ支持部52における車幅方向の両側に位置する左側壁52Aおよび右側壁52Bには、第1軸受部53および第2軸受部54がそれぞれ形成されている。
【0020】
第1軸受部53は、ルーバ支持部52の左側壁52Aを貫通する円形の軸孔53Aを有し、軸孔53Aに対してルーバ1の第1軸部12が車両前側から取り付けられる。左側壁52Aの内側面における軸孔53Aの周囲には、軸孔53Aに取り付けられた第1軸部12のブッシュ部22と当接する当接部53Bが形成されている(図5)。
【0021】
第1軸受部53への第1軸部12の取り付けは、第1軸部12の第1軸心部21を、左側壁52Aの内側面に形成されているテーパ部55に強干渉させて車両の前側から後側に摺動させながら行われる。テーパ部55は、ルーバ支持部52に対するルーバ1の取付方向(車両後方)に沿って、左側壁52Aの前端部から第1軸受部53まで延びており、第1軸受部53に近づくほどルーバ1の側(車両右側)に傾斜している(図4および図5)。このようなテーパ部55をルーバ支持部52の左側壁52Aに設けておくことによって、ルーバ1の取付時に、第1軸部12の第1軸心部21がルーバ支持部52の左側壁52Aと摺動する距離を短くすることができる。
【0022】
第2軸受部54は、ルーバ支持部52の右側壁52Bを貫通する矩形の軸孔54Aを有し、軸孔54Aに対してルーバ1の第2軸部13が車両前側から取り付けられる。右側壁52Bの内側面における軸孔54Aの周囲には、軸孔54Aに取り付けられた第2軸部13の第2軸心部31と当接する当接部54Bが形成されている(図5)。
【0023】
ルーバ支持部52の右側壁52Bにおける第2軸受部54の車両前側には、右側壁52Bを貫通する回転止孔56が設けられている。回転止孔56は、第2軸受部54を中心とする円弧帯状に形成されている。回転止孔56には、ルーバ1の第2軸部13に隣接して設けられた回転止突起部16が挿入される(図5)。また、右側壁52Bの内側面にも、前述した左側壁52Aのテーパ部55と同様にして、車両前後方向に沿って右側壁52Bの前端部から回転止孔56まで延びるテーパ部57が形成されている(図4および図5)。なお、本実施形態では、左側壁52Aおよび右側壁52Bの各々にテーパ部55,57を設けているが、左側壁52Aおよび右側壁52Bのいずれか一方だけにテーパ部を設けるようにしてもよい。また、側壁が傾斜するように弾性変形させてルーバ1を装着可能な場合、テーパ部を設けなくてもよい。
【0024】
ルーバ支持部52の第1および第2軸受部53,54に対して第1および第2軸部12,13が取り付けられたルーバ1は、第1および第2軸部12,13を中心に回動可能な状態でルーバ支持部52に支持される。ルーバ1が第1および第2軸部12,13を中心に回動することにより、本体部11の内側の空間を通って本体部11の開口端から吹き出される空気の方向がルーバ1の縦方向(車両上下方向)に調整可能になっている。つまり、本実施形態のルーバ1をインストルメントパネル5のルーバ支持部52に取り付けることで、インストルメントパネル5の開口部51(吹出口)から吹き出される空気の方向(風向)を、車幅方向および車両上下方向にそれぞれ調整することができるようになる。
【0025】
次に、ルーバ1の第1軸部12における第1軸心部21およびブッシュ部22の具体的な構成例について、図6図11を参照しながら詳しく説明する。
図6は、ルーバ1を第1軸部12の側から見た側面図である。また、図7は、図6における第1軸部12の付近を拡大した斜視図である。さらに、図8は、図7の第1軸部12における第1軸心部21の構成例を示す斜視図である。加えて、図9は、図7の第1軸部12におけるブッシュ部22の構成例を示す斜視図である。
【0026】
本実施形態における第1軸部12の第1軸心部21は、図6図8に示すように、第1軸部12の軸中心12Aを含み軸方向Daに延びる軸柱部分210と、軸柱部分210から、軸方向Daに垂直な第1~第4径方向Dr1~Dr4にそれぞれ延出する第1~第4延出部分211~214と、を有している。換言すると、第1軸心部21は、軸方向Daから見て、十字形に形成されている。なお、第1~第4延出部分211~214は、軸柱部分210と一体的に形成されてもよく、或いは、別体で形成されてもよい。
【0027】
具体的に、第1軸心部21が形成される本体部11の外側面11Aには、軸方向Daで本体部11の内側に窪んだ第1窪み部11Cが設けられている(図8)。第1窪み部11Cは、軸方向Daから見て、第1径方向Dr1側(操作部15側)が円弧状となる略半円形の形状を有している。本体部11の外側面11Aに略半円形の第1窪み部11Cを形成することにより、第1窪み部11Cにブッシュ部22を嵌め込む際に径方向の位置を決めやすくなるとともに、嵌め込まれたブッシュ部22が第1窪み部11C内で回転するのを抑止することができる。また、第1窪み部11Cの操作部15側が円弧状になっていることで、操作部15が車室内側に引っ張られたときに第1軸部12に作用する荷重を第1窪み部11Cの円弧状部分で分散させやすくなる。
【0028】
第1窪み部11Cの周壁面における円弧状の部分とは反対側の直線部分には、第3径方向Dr3に凹んだ溝部11Dが設けられている。溝部11Dは、第1窪み部11Cに嵌め込まれたブッシュ部22を取り外す際に利用される。このようにブッシュ部22を取り外すための溝部11Dをブッシュ部22側ではなく第1窪み部11C側に設けるようにすれば、ブッシュ部22の過度な変形を抑えやすくなる。
【0029】
第1軸心部21は、上記第1窪み部11Cの底壁面における中央部分から、軸方向Daの外側に向かって所定の長さで延びている(図8)。第1軸心部21における軸柱部分210と第1~第4延出部分211~214との境界は、軸方向Daから見て、略長方形の形状を有している(図6図8の破線部分)。
【0030】
第1延出部分211は、軸柱部分210における軸方向Daに平行な4つの側面(境界面)の中で、軸方向Daに垂直な径方向のうちの一方向である第1径方向Dr1に配置されている側面から、第1径方向Dr1に延出している。本実施形態における第1径方向Dr1は、ルーバ支持部52に対するルーバ1の取付方向(車両後方)に対応するように設定されている。第1延出部分211の延出長L1は、図6右上の拡大図に示すように、第1軸部12がルーバ支持部52の第1軸受部53に取り付けられた状態において、軸柱部分210から第1軸受部53の軸孔53Aの内周壁(2点鎖線)までの距離L2よりも短くなるように設定されている。具体的に、第1延出部分211の延出長L1は、距離L2よりも0.25mm程度短くなるようにするのが好ましいが、これに限定されない。
【0031】
第2延出部分212は、軸柱部分210における上記4つの側面の中で、第1径方向Dr1に対して垂直な方向となる第2径方向Dr2に配置されている側面から、第2径方向Dr2に延出している。第2延出部分212の延出長は、第1延出部分211の延出長L1よりも短くなるように設定されている。
【0032】
第3延出部分213は、軸柱部分210における上記4つの側面の中で、第1径方向Dr1に対して反対の方向となる第3径方向Dr3に配置されている側面から、第3径方向Dr3に延出している。第3延出部分213の延出長は、第1延出部分211の延出長L1と略等しくなるように設定されている。したがって、前述した第1延出部分211の場合と同様に、第3延出部分213の延出長も、軸柱部分210から第1軸受部53の軸孔53Aの内周壁までの距離L2よりも短くなるように設定されている。
【0033】
第4延出部分214は、軸柱部分210における上記4つの側面の中で、第1径方向Dr1に対して垂直な方向(第2径方向Dr1に対して反対の方向)となる第4径方向Dr4に配置されている側面から、第4径方向Dr4に延出している。第4延出部分214の延出長は、第1延出部分211の延出長L1よりも短くなる(第2延出部分212の延出長と概ね同じとなる)ように設定されている。
【0034】
本実施形態では、第1径方向Dr1および第1延出部分211が、本発明の「取付方向」および「主要延出部分」に相当するとともに、第2~第4径方向Dr2~Dr4および第2~第4延出部分が、本発明の「補助方向」および「補助延出部分」に相当する。また、第1軸心部21の第1~第4延出部分211~214は、第1軸部12の軸中心12Aから径方向Dr1~Dr4に「オフセットした部分」に相当している。
【0035】
本実施形態における第1軸部12のブッシュ部22は、図6図7および図9に示すように、軸方向スペーサ部分221と、一対の径方向スペーサ部分222,223と、第1軸心部21が挿通される貫通孔224と、を有している。
【0036】
軸方向スペーサ部分221は、本体部11の外側面11Aの第1窪み部11Cに合わせた外形を有し、軸方向Daに所定の厚さで形成されている。軸方向スペーサ部分221の中央部分には、軸方向Daに貫通する十字形の貫通孔224が形成されている(図9)。
【0037】
一対の径方向スペーサ部分222,223は、軸方向スペーサ部分221の表面(軸方向Daの外側面)における貫通孔224の周縁部のうちで、第1径方向Dr1および第3径方Dr3に位置する部分を除いた残りの部分から、軸方向Daの外側にそれぞれ突出している。第2径方向Dr2の側に配置されている径方向スペーサ部分222は、貫通孔224に挿通された第1軸心部21における第2延出部212の側壁面を覆うように設けられている。また、第4径方向Dr4の側に配置されている径方向スペーサ部分223は、貫通孔224に挿通された第1軸心部21における第4延出部214の側壁面を覆うように設けられている。換言すると、一対の径方向スペーサ部分222,223は、貫通孔224に挿通された第1軸心部21を挟んで対向するように配置されている。一対の径方向スペーサ部分222,223に第2および第4延出部212,214にそれぞれ対応した凹部が形成されていることで、第1軸心部21へのブッシュ部22の組付け性が向上するようになる。
【0038】
一対の径方向スペーサ部分222,223それぞれの径方向外側に位置する外周面は、軸方向Daから見て、同心の円弧状に形成されている。各円弧の半径は、前述したルーバ支持部52の第1軸受部53における軸孔53Aの半径と略等しくなるように設定されている(図6)。つまり、第1軸部12が第1軸受部53に取り付けられた状態において、一対の径方向スペーサ部分222,223と第1軸受部53の軸孔53Aとは径方向で嵌め合うようになっている。
【0039】
また、一対の径方向スペーサ部分222,223それぞれにおける軸方向Daの外側端部のうちで第1軸心部21の第1延出部分211に隣接する箇所222A,223Aは、各々の角部分が丸められている。これにより、ルーバ1の取付時に、各径方向スペーサ部分222,223がルーバ支持部52の左側壁52Aに更に接触し難くなる。具体的には、後述する図13(C)に示すタイミングにおいて、径方向スペーサ部分222,223の丸め箇所222A,223Aとルーバ支持部52の左側壁52A(テーパ部55)との間に距離を置くことができるので、径方向スペーサ部分222,223の丸め箇所222A,223Aがルーバ支持部52と接触するのを抑制することが可能になる。なお、本実施形態では、一対の径方向スペーサ部分222,223それぞれにおける軸方向Daの外側端部のうちで第1軸心部21の第3延出部分213に隣接する箇所222B,223Bについても、各々の角部分が丸められている。
【0040】
ここで、ルーバ1の第1軸部12における第1軸心部21とブッシュ部22との詳細な位置関係について説明する。
図10は、第1軸心部21とブッシュ部22との位置関係を説明するための側面図である。図10には、図7の第1軸部12を第1径方向Dr1の側から見た側面図が上段に示されており、第2径方向Dr2の側から見た側面図が下段に示されている。
【0041】
図10に示すように、ルーバ1の第1軸部12における第1軸心部21の軸方向Daの外側端21Aは、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されている。つまり、第1軸心部21の軸方向Daの外側端21Aは、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端22Aに対して、軸方向Daの外側(本体部11の外側面11Aから遠ざかる側)に突出している。当該突出量P(第1軸心部21の外側端21Aとブッシュ部22の外側端22Aとの間の距離)は、例えば、0.5mm等とすることが可能である。ただし、突出量Pはこれに限定されない。
【0042】
また、図10の下段に示すように、第1軸心部21の第1径方向Dr1の外側端21Bは、ブッシュ部22の第1径方向Dr1の外側端22Bよりも僅かに第1径方向Dr1の外側に配置されている。同様に、第1軸心部21の第3径方向Dr3の外側端21Cは、ブッシュ部22の第3径方向Dr3の外側端22Cよりも僅かに第3径方向Dr3の外側に配置されている。
【0043】
次に、ルーバ1の第2軸部13における第2軸心部31およびスペーサ部32の具体的な構成例について、図11および図12を参照しながら詳しく説明する。
図11は、ルーバ1の第2軸部13の構成例を示す斜視図である。また、図12は、図11の第2軸部13の分解下面図である。なお、図11の上段には、ルーバ1の本体部11の外側面11Bに形成されている第2窪み部11Eから第2軸心部31およびスペーサ部32を取り除いた状態が図示されている。また、図11の中段には、上記第2窪み部11Eにスペーサ部32を嵌め込んだ状態が図示されている。さらに、図11の下段には、上記第2窪み部11Eに嵌め込まれたスペーサ部32に第2軸心部31を嵌め合わせた状態が図示されている。
【0044】
図11および図12に示すように、第2軸部13が設けられる本体部11の外側面11Bには、軸方向Daで本体部11の内側に窪んだ第2窪み部11Eが設けられている。第2窪み部11Eは、軸方向Daから見て、第1径方向Dr1側(操作部15側)が円弧状となる略半円形の形状を有している。第2窪み部11Eの底壁面には、軸方向Daの外側に突出した円柱状の位置決め突起11Fが複数(ここでは2つ)設けられている。位置決め突起11Fは、第2窪み部11E内の所定位置にスペーサ部32を配置するために利用される。
【0045】
また、本体部11の外側面11Bには、軸方向Daの外側に突出し、第2窪み部11Eの周縁に沿って延びる嵌合突起11Gが設けられている。第2窪み部11Eの底壁面から嵌合突起11Gの頂面までの高さ(第2窪み部11Eの深さ)は、スペーサ部32の厚みと概ね等しくなるように設定されている。さらに、本体部11の外側面11Bには、第2窪み部11Eに対して第3径方向Dr3に間隔を空けて回転止突起部16が設けられている。回転止突起部16は、外側面11Bから軸方向Daの外側に突出した円柱状の形状を有している。
【0046】
スペーサ部32は、図11の中段および図12に示すように、第2窪み部11Eに合わせた外形を有し、軸方向Daに所定の厚さで形成されている。スペーサ部32の中央部分には、軸方向Daに貫通する円形の貫通孔32Aが形成されている(図9)。貫通孔32Aの中心は、ルーバ1の軸Ax上に位置している。貫通孔32Aの脇には、軸方向Daに貫通する円形の位置決め孔32Bが複数(ここでは2つ)設けられている。スペーサ部32は、本体部11の位置決め突起11Fが位置決め孔32Bに挿通するように、本体部11の第2窪み部11Eに嵌め込まれる。スペーサ部32の外周面には、スペーサ部32の内側に凹んだ凹部32Cが形成されている。凹部32Cは、本体部11の第2窪み部11Eからスペーサ部32を取り外す際に利用される。
【0047】
第2軸心部31は、図11の下段および図12に示すように、回転軸部分31Aと、軸方向スペーサ部分31Bと、径方向スペーサ部分31Cと、を有している。回転軸部分31Aは、軸方向Daに延びる円柱状に形成されている。回転軸部分31Aの半径は、スペーサ部32の貫通孔32Aの半径と略等しくなるように設定されている。軸方向スペーサ部分31Bは、回転軸部分31Aの軸方向Daの外側面に連結し、回転軸部分31Aよりも大きな半径で軸方向Daに延びる略円柱状に形成されている。径方向スペーサ部分31Cは、軸方向スペーサ部分31Bの軸方向Daの外側面に連結し、軸方向スペーサ部分31Bを挟んで回転軸部分31Aと同軸上で軸方向Daに延びる四角柱状に形成されている。
【0048】
第2軸心部31は、本体部11の第2窪み部11Eに嵌め込まれたスペーサ部32の貫通孔32A内に嵌入されることで、スペーサ部32を介して本体部11の外側面11Bに取り付けられる。このとき、第2軸心部31における軸方向Daの外側面(径方向スペーサ部分31Cの先端面)は、本体部11の外側面11Bに設けられている回転止突起部16の先端面よりも軸方向Daの外側に飛び出している。これにより、ルーバ1の第2軸部13をルーバ支持部52の第2軸受部54に取り付ける際に、ルーバ1の硬い部分(回転止突起部16)が柔らかい部分(第2軸心部31)よりも内側に位置するようになるため、第2軸受部54に第2軸部13を取り付けやすくなる。
【0049】
ルーバ1の第2軸部13がルーバ支持部52の第2軸受部54に取り付けられた状態において、第2軸心部31は、径方向スペーサ部分31Cが第2軸受部54の軸孔54Aに嵌め合わされ、かつ、軸方向スペーサ部分31Bがルーバ支持部52の右側壁52Bに設けられた当接部54Bに当接する。ルーバ1の本体部11を第1および第2軸部12,13を中心に回動させようとすると、第2軸心部31の回転軸部分31Aとスペーサ部32の貫通孔32Aとが摺動するとともに、ルーバ1側の回転止突起部16がルーバ支持部52側の回転止孔56内を移動する。ルーバ1の回動範囲は、回転止孔56の円弧の長さに応じて決まる。
【0050】
次に、本実施形態のルーバ1をインストルメントパネル5の開口部51(ルーバ支持部52)に取り付ける際の動作について、図13を参照しながら詳しく説明する。
まず、図13(A)に示すように、本実施形態のルーバ1は、インストルメントパネル5のルーバ支持部52に対して車両前方側、つまり、インストルメントパネル5の裏側(車室外側)から取り付けられる。このとき、ルーバ1の第1軸部12よりも先に、第2軸部13および回転止突起部16がルーバ支持部52の第2軸受部53および回転止孔56に挿入されるように、ルーバ支持部52の第1および第2軸受部53,54の中心を通る仮想軸線Ax’に対して、ルーバ1の第1および第2軸部12,13に共通な軸Axを傾けた姿勢が取られる。
【0051】
そして、上記姿勢を維持したルーバ1をルーバ支持部52の右側壁52Bに近づけていくと、図13(B)に示すように、ルーバ1の回転止突起部16の先端部分が回転止孔56に挿入される。この際、第2軸部13が回転止突起部16よりもルーバ1の取付方向(車両の前側から後側に向かう方向)の奥側に配置されていることにより、第2軸部13の弾性軟質材料からなる第2軸心部31が、ルーバ支持部52のテーパ部57に接触し難くなっている。これにより、第2軸心部31の摩耗或いは変形が抑制される。
【0052】
続けて、回転止突起部16の先端部分を中心にルーバ1を車両後方側に回転させると、図13(C)に示すように、ルーバ1の第1軸部12がルーバ支持部52のテーパ部55に当接した状態となる。このとき、第1軸部12における第1軸心部21の軸方向Daの外側端21Aが、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されていることにより、ルーバ支持部52のテーパ部55には、硬い第1軸心部21だけが当接し、柔らかいブッシュ部22は非接触となる(図13(C)の右側に示す拡大図を参照)。
【0053】
さらに、回転止突起部16の先端部分を支点にしてルーバ1を車両後方側に回転させることにより、第1軸部12の第1軸心部21がテーパ部55に強干渉して取付方向(車両の前側から後側に向かう方向)に摺動する。この際、第1軸心部21の第1延出部分211、軸柱部分210および第3延出部分213が順番にテーパ部55に当接していく。この第1軸心部21とテーパ部55の摺接状態においても、第1軸心部21の軸方向Daの外側端21Aとブッシュ部22の軸方向Daの外側端22Aとの位置関係によって、ブッシュ部22とテーパ部55との非接触状態が維持される。
【0054】
そして、ルーバ1の回転が進み、図13(D)に示すように、第1および第2軸部12,13がルーバ支持部52の第1および第2軸受部53,54に嵌入されるとともに、回転止突起部16が回転止孔56に挿入される。これにより、ルーバ1が第1および第2軸部12,13を中心に回動可能な状態でルーバ支持部52に支持される。
【0055】
第1軸受部53に嵌入された第1軸部12は、ブッシュ部22における一対の径方向スペーサ部分222,223が、第1軸受部53の軸孔53Aに径方向で嵌め合うとともに、ブッシュ部22の軸方向スペーサ部分221が、第1軸受部53の当接部53Bに軸方向Daで当接している(図5および図13(D))。このとき、第1および第3延出部分211,213の各延出長L1が軸柱部分210から第1軸受部53の軸孔53Aの内周壁までの距離L2よりも短く設定されていることにより(図6)、第1軸部12の第1軸心部21は、第1軸受部53における軸孔53Aの内周壁には接触していない状態にある。
【0056】
また、第2軸受部54に嵌入された第2軸部13は、第2軸心部31の径方向スペーサ部分31Cが、第2軸受部54の軸孔54Aに径方向で嵌め合うとともに、第2軸心部31の軸方向スペーサ部分31Bが第2軸受部54の当接部54Bに軸方向Daで当接している(図5および図13(D))。さらに、回転止孔56に挿入された回転止突起部16は、回転止孔56の円弧方向に沿って移動可能な状態にある。
【0057】
次に、本実施形態のルーバ1による効果について説明する。
上述したように本実施形態のルーバ1では、第1軸部12の第1軸心部21における軸方向Daの外側端21Aが、第1軸心部21よりも硬度の低いブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されている。これにより、ルーバ1の第1軸部12をルーバ支持部52の第1軸受部53に取り付ける際に、第1軸部12の硬い第1軸心部21が柔らかいブッシュ部22よりも先にルーバ支持部52の左側壁52Aに当接するので、ブッシュ部22の摩耗や変形を抑制することができ、ルーバ1の安定した支持状態を実現することが可能になる。
【0058】
また、本実施形態のルーバ1における第1軸心部21では、少なくとも第1軸部12の軸中心12Aから径方向にオフセットした部分における軸方向Daの外側端が、ブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されている。このような第1軸心部21によれば、当該オフセット部分がルーバ支持部52の左側壁52Aの側に位置するようにルーバ1の取り付けを行うことで、ブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aに対する第1軸心部21における軸方向Daの外側端21Aの軸方向突出量Pを抑えつつ、ブッシュ部22がルーバ支持部52の左側壁52Aと接触するのを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態のルーバ1では、第1軸心部21が、第1軸部12の軸中心12Aを含み軸方向Daに延びる軸柱部分210と、軸柱部分210から径方向Dr1~Dr4に延出する第1~第4延出部分211~214と、を有し、軸柱部分210における軸方向Daの外側端および第1~第4延出部分211~214における軸方向Daの外側端が、ブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの外側に配置されている。このような構成によれば、第1軸心部21における軸方向Daの外側端21Aの表面積が増加するので、ブッシュ部22がルーバ支持部52の左側壁52Aと接触するのを効果的に防止することができる。これに加えて、軸柱部分210から第1~第4径方向Dr1~Dr4に第1~第4延出部分211~214を延出させることにより、ブッシュ部22における軸方向Daの外側端22Aに対する軸柱部分210における軸方向Daの外側端の軸方向突出量Pを抑えることができるので、ルーバ1の取付作業をしやすくなる。
【0060】
また、本実施形態のルーバ1における第1延出部分211は、軸柱部分210からルーバ1の取付方向に延出している。このように第1延出部分211が延出方向(第1径方向Dr1)とルーバ1の取付方向とを一致させてルーバ1を取り付けるようにすれば、第1軸心部21における軸方向Daの外側端21Aの表面積を必要以上に増大させることなく、ブッシュ部22がルーバ支持部52の左側壁52Aと接触するのを防止することができる。これにより、ブッシュ部22の摩耗や変形を効果的に抑制することが可能になる。
【0061】
また、本実施形態のルーバ1における第1軸心部21は、軸柱部分210から第1径方向Dr1(取付方向)に延出する第1延出部分211(主要延出部分)と、軸柱部分210から第2~第4径方向Dr2~Dr4(補助方向)に延出する第2~第4延出部分212~214(補助延出部分)と、を含んでいる。これにより、第1径方向Dr1に一致させてルーバ1を取り付ける際に、ルーバ1が第1径方向Dr1(取付方向)とは異なる径方向に傾いた場合でも、ブッシュ部22がルーバ支持部52の左側壁52Aと接触するのを防止することができる。
【0062】
特に、第1径方向Dr1(取付方向)に対して反対の方向に延出する第3延出部分213が設けられていれば、ルーバ1の取付時に、第1軸心部21の軸柱部分210が第1軸受部53の軸孔53Aの縁を通過する際、第3延出部分213がルーバ支持部52の左側壁52Aに当接した状態にあるため、当該通過時にブッシュ部22がルーバ支持部52の左側壁52Aと接触するのを防止することができる。また、第1径方向Dr1(取付方向)に対して垂直な方向に延出する第2および第4延出部分212,214が設けられていれば、ルーバ1の取付時に、第1軸心部21を摺動させる際の反力の変化に応じて、第1軸心部21とルーバ支持部52の左側壁52Aとの接触位置を把握しやすくなる。これにより、例えば、ルーバ1の取付作業時における取付方向の間違い等に気づきやすくなる。
【0063】
また、本実施形態のルーバ1では、第2および第4延出部分212,214の各延出長が第1延出部分211の延出長よりも短くなっており、ブッシュ部22(一対の径方向スペーサ部分222,223)が第2および第4延出部分212,214の延出方向の外側を覆うように設けられている。これにより、一対の径方向スペーサ部分222,223における第2および第4径方向Dr2,Dr4の寸法を大きくすることが可能になるので、径方向スペーサ部分222,223が弾性変形しやすくなる。その結果、車両走行中のルーバ1の振動によるラトル音の発生を効果的に抑制することができる。加えて、第1延出部分211(および第3延出部分213)の延出方向の外側には径方向スペーサ部分を設けずに、第1延出部分211(および第3延出部分213)の延出長を長くとるようにすれば、当該延出部分211(213)の剛性が高まるので、ブッシュ部22とルーバ支持部52の左側壁52Aとが更に接触し難くなる。
【0064】
また、本実施形態のルーバ1における第1および第3延出部分211,213の延出長L1は、ルーバ1の取付状態において、軸柱部分210から第1軸受部53の軸孔53Aの内周壁までの距離L2よりも短くなっている。これにより、ブッシュ部22の径方向スペーサ部分222,223が第1および第3延出部分211,213の延出方向の外側に設けられていなくても、ルーバ1の取付状態において、第1および第3延出部分211,213が第1軸受部53の軸孔53Aに接触することはない。このため、車両走行中のルーバ1の振動によるラトル音の発生をより効果的に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態のルーバ1が取り付けられるインストルメントパネル5におけるルーバ支持部52の左側壁52Aは、ルーバ支持部52に対するルーバ1の取付方向(Dr1)に沿って第1軸受部53まで延び、第1軸受部53に近づくほどルーバ1の側に傾斜しているテーパ部57を有している。そして、ルーバ1は、ルーバ支持部52への取付時に形成される第1軸心部21とテーパ部57との摺接状態において、ブッシュ部22とテーパ部57との非接触状態が維持されるように、ブッシュ部22における軸方向の外側端22Aに対する第1軸心部21における軸方向Daの外側端21Aの位置が決められている。これにより、ルーバ1の第1軸部12をルーバ支持部52の第1軸受部53に取り付ける際に、ブッシュ部22と左側壁52Aとが接触することを防止して、ブッシュ部22の摩耗や変形を効果的に抑制することができ、ルーバ1の安定した支持状態を実現することが可能になる。
【0066】
次に、本実施形態のルーバ1における第1軸部12に関する各種変形例について説明する。なお、以下の説明で参照する各図面において、上述した実施形態の場合と同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
【0067】
図14は、第1軸部12に関する第1変形例を示す斜視図である。
図14において、第1変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21が軸柱部分210からなり(第1~第4延出部分211~214が設けられていない)、軸柱部分210の周りを囲むようにブッシュ部22の径方向スペーサ部分222が設けられている点である。
【0068】
第1変形例における軸柱部分210は、第1軸部12の軸中心12Aを含み軸方向Daに延びる円柱状に形成されている。径方向スペーサ部分222は、軸方向スペーサ部分221の表面(軸方向Daの外側面)から軸方向Daの外側に突出し、軸柱部分210と同心円状に形成されている。つまり、第1変形例におけるブッシュ部22は、第1軸心部21の径方向外側に放射状に設けられている。第1軸心部21の軸方向Daの外側端は、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端よりも軸方向Daの外側に配置されている。
【0069】
上記のような第1変形例による第1軸部12では、第1軸心部21の外側端とブッシュ部22の外側端との間の距離が、上述した実施形態の場合よりも長くなるように設定される。これにより、ルーバ1の取付時、第1軸部12がルーバ支持部52のテーパ部55に当接した状態において、ルーバ支持部52のテーパ部55には第1軸心部21だけが当接し、ブッシュ部22は非接触となり、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の摩耗や変形を抑制することができる。
【0070】
図15は、第1軸部12に関する第2変形例を示す斜視図である。
図15において、第2変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21が第1延出部分211からなり(軸柱部分210および第2~第4延出部分212~214が設けられていない)、第1延出部分211の周りを囲むようにブッシュ部22の径方向スペーサ部分222が設けられている点である。
【0071】
第2変形例における第1延出部分211は、第1軸部12の軸中心12Aから第1径方向Dr1にオフセットした位置に配置され、軸方向Daに延びる円柱状に形成されている。径方向スペーサ部分222は、軸方向スペーサ部分221の表面(軸方向Daの外側面)から軸方向Daの外側に突出した円柱状に形成されており、第1延出部分211の周りを囲んでいる。径方向スペーサ部分222の中心は、第1軸部12の軸中心12Aと一致している。第2変形例における第1軸心部21の軸方向Daの外側端は、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端よりも軸方向Daの外側に配置されている。
【0072】
上記のような第2変形例による第1軸部12では、第1軸心部21の外側端とブッシュ部22の外側端との間の距離が、上述した実施形態の場合よりも長く、かつ、前述した第1変形例の場合よりも短くなるように設定される。これにより、ルーバ1の取付時、第1軸部12がルーバ支持部52のテーパ部55に当接した状態において、ルーバ支持部52のテーパ部55には第1軸心部21だけが当接し、ブッシュ部22は非接触となり、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の摩耗や変形を抑制することができる。
【0073】
図16は、第1軸部12に関する第3変形例を示す斜視図である。
図16において、第3変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21が軸柱部分210、第1延出部分211および第3延出部分213からなる(第2および第4延出部分212,214が設けられていない)点である。第3変形例におけるブッシュ部22は、第1軸心部21を挟んで一対の径方向スペーサ部分222,223が設けられている。第3変形例における第1軸心部21の軸方向Daの外側端は、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端よりも軸方向Daの外側に配置されている。
【0074】
上記のような第3変形例による第1軸部12では、上述した実施形態の場合と比べて、ブッシュ部22の一対の径方向スペーサ部分222,223における第2および第4径方向の寸法が大きくなるため、各径方向スペーサ部分222,223がより弾性変形しやすくなる。これにより、車両走行中のルーバ1の振動によるラトル音の発生を一層効果的に抑制することができる。
【0075】
図17は、第1軸部12に関する第4変形例を示す斜視図である。
図17において、第4変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21が軸柱部分210、第1延出部分211および第2延出部分212からなる(第3および第4延出部分213,214が設けられていない)点である。第4変形例における第1軸心部21は、軸方向Daから見てL字状の形状を有している。第4変形例におけるブッシュ部22は、第1軸心部21における径方向外側(ただし、第1径方向Dr1の外側を除く)の部分を囲むように径方向スペーサ部分222が設けられている。第4変形例における第1軸心部21の軸方向Daの外側端は、上述した実施形態の場合と同様に、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端よりも軸方向Daの外側に配置されている。このような第4変形例による第1軸部12によっても、上述した実施形態の場合と基本的に同様な効果を得ることができる。
【0076】
図18は、第1軸部12に関する第5変形例を示す斜視図である。
図18において、第5変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21の第2および第4延出部分212,214が、軸柱部分210における軸方向Daの外側部分のみから第2および第4径方向Dr2,Dr4にそれぞれ延出している点である(図18の破線部分)。つまり、第5変形例における第2および第4延出部分212,214は、軸柱部分210の基端側部分から第2および第4径方向Dr2,Dr4には延出しておらず、当該部分にはブッシュ部22の径方向スペーサ部分222,223が形成されている。このような第5変形例による第1軸部12では、第2および第4延出部分212,214の軸方向Daの内側端とブッシュ部22が当接するので、ブッシュ部22が外れ難くなる。
【0077】
図19は、第1軸部12に関する第6変形例を示す斜視図である。
図19において、第6変形例による第1軸部12の構成が上述した実施形態の構成と異なる点は、第1軸心部21の軸柱部分210が、第1軸部12の軸中心12Aを含み軸方向Daに延びる円柱状に形成され、その軸柱部分210における軸方向Daの外側端部から径方向に放射状に延出する延出部分215が設けられている点である。つまり、第6変形例における第1軸心部21は、傘のように軸柱部分210の先端部から放射状に径方向へ延出部分215が広がっている。なお、第1軸心部21は、軸方向Daの外側縁が軸中心12Aに近づく程、軸方向Daの外側に位置するドーム状に形成されていてもよい。このような第6変形例による第1軸部12では、放射状に広がる延出部分215の軸方向Daの内側端とブッシュ部22が当接するので、ブッシュ部22が外れ難くなる。
【0078】
以上、本発明の実施形態および変形例について述べたが、本発明は上述した実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形および変更が可能である。
【0079】
例えば、上述した実施形態および変形例では、インストルメントパネル5の開口部51(空調機器等に接続する空気流路の吹出口)から車両前方に向かって延びるルーバ支持部52にルーバ1が取り付けられる一例について説明したが、例えば、図20に示すように、インストルメントパネル5の開口部51に別体で風向調整装置100が装着され、その風向調整装置100のルーバ支持部152にルーバ1が取り付けられるようにしてもよい。
【0080】
風向調整装置100のルーバ支持部152には、上述した実施形態の場合と同様な第1軸受部(図示せず)、第2軸受部154および回転止孔156が形成されている。上述した実施形態または変形例によるルーバ1は、風向調整装置100のルーバ支持部152に対して車両後側から取り付けられる。そして、ルーバ1が取り付けられた風向調整装置100が、インストルメントパネル5の開口部51に車両前側から装着される。このような風向調整装置100によっても、上述した実施形態の場合と同様な効果を得ることができる。
【0081】
上記のような風向調整装置100が装着される場所は、インストルメントパネル5の開口部51に限定されない。例えば、図21に示すように、車両の任意の場所に設けられている空調ダクトの吸排気口200に風向調整装置100を装着することも可能である。図21に例示した風向調整装置100は、一方の開口端部が空調ダクトの吸排気口200に装着され、他方の開口端部に繋がる空気流路の途中にシャッター部150を備えている。シャッター部150と他方の開口端部との間の空気流路を形成しているルーバ支持部152には、第1軸受部153、第2軸受部154および回転止孔156が形成されており、上述した実施形態または変形例によるルーバ1がルーバ支持部152に外側から取り付けられる。
【0082】
また、上述した実施形態または変形例では、第1軸部12における第1軸心部21とブッシュ部22とが別体で構成されている一例を説明したが、第1軸心部21およびブッシュ部22を接着若しくは溶着により一体成形する、または、共通の型を用いて一体成型することも勿論可能である。これにより、ルーバ1の組立工程の簡略化を図ることができる。さらに、第1軸心部21について、ブッシュ部22の軸方向Daの外側端22Aよりも軸方向Daの内側に位置する部分と外側に位置する部分とを別体として、当該内側部分および外側部分を接着、溶接または嵌合等により一体化するようにしてもよい。加えて、第1軸心部21の上記内側部分および外側部分を別素材で構成しても構わない。このようにすれば、ルーバ1の取付時にルーバ支持部52の左側壁52Aと当接する第1軸心部21の外側部分について摺動性に優れ且つ熱変形が小さい樹脂材料を選択的に適用可能になり、ルーバ1の低コスト化を図ることができる。
【0083】
また、上述した実施形態または変形例では、ルーバ1における第1軸部12と第2軸部13とに異なる構成が適用される一例を示したが、第1軸部12と同様な構成を第2軸部13に適用して、構成部品の共通化および簡略化を図ることも可能である。
【0084】
また、上述した実施形態または変形例では、径方向における主要延出部分(第1延出部分211)および補助延出部分(第2~第4延出部分212~214)のなす角度、並びに、補助延出部分同士のなす角度が、90°または180°に設定されている場合を説明したが、補助延出部分の数に応じて上記なす角度を所望の値(例えば、45°や60°など)に設定してもよい。さらに、補助延出部分の数に関しては、2個または4個以上とすることも可能である。
【符号の説明】
【0085】
1…ルーバ
11…本体部
11A,11B…外側面
11C…第1窪み部
11D…溝部
11E…第2窪み部
11F…位置決め突起
11G…嵌合突起
12…第1軸部(軸部)
12A…軸中心
13…第2軸部
14…ベーン(風向調整板)
15…操作部
16…回転止突起部
21…第1軸心部(軸心部)
21A…軸方向の外側端
210…軸柱部分
211…第1延出部分(主要延出部分)
212~214…第2~第4延出部分(補助延出部分)
22…ブッシュ部
22A…軸方向の外側端
221…軸方向スペーサ部分
222,223…径方向スペーサ部分
224…貫通孔
31…第2軸心部
31A…回転軸部分
31B…軸方向スペーサ部分
31C…径方向スペーサ部分
32…スペーサ部
32A…貫通孔
32B…位置決め孔
32C…凹部
5…インストルメントパネル
51…開口部
52,152…ルーバ支持部
52A…左側壁(側壁)
52B…右側壁
53,153…第1軸受部(軸受部)
54,154…第2軸受部
53A,54A…軸孔
53B,54B…当接部
55,57…テーパ部
56,156…回転止孔
100…風向調整装置
Ax…軸
Da…軸方向
Dr1…第1径方向(取付方向)
Dr2~Dr4…第2~第4径方向(補助方向)
図1
図2
図3
図4
図5
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