(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099329
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】検査プログラム及び検査システム
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20240718BHJP
A63H 33/42 20060101ALI20240718BHJP
A63H 3/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G01N21/88 J
A63H33/42 Z
A63H3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003190
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】近藤 創
(72)【発明者】
【氏名】小林 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】青山 高
(72)【発明者】
【氏名】原 大
【テーマコード(参考)】
2C150
2G051
【Fターム(参考)】
2C150BC08
2C150CA01
2C150FD00
2G051AA90
2G051AB02
2G051AC04
2G051AC21
2G051EB01
2G051EC01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】キャラクター商品の品質を判定可能として製品管理に役立てることのできる検査プログラムと検査システムを提供する。
【解決手段】キャラクター商品の外観設計情報を取得する第1ステップと、製造されたキャラクター商品の外観情報を取得する第2ステップと、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、当該差異を提示する制御を行う第3ステップと、を含む処理をプロセッサ11に実行させる、検査プログラム。キャラクター商品の外観設計情報を記憶する記憶部12と、製造されたキャラクター商品の外観情報を読み取る読み取り装置30と、プロセッサ11と、を備え、プロセッサ11は、記憶部から外観設計情報を取得し、読み取り装置から外観情報を取得し、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、当該差異を提示する制御を行う、検査システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャラクター商品の品質を検査する検査プログラムであって、
キャラクター商品の外観設計情報を取得する第1ステップと、
製造された前記キャラクター商品の外観情報を取得する第2ステップと、
前記外観設計情報と前記外観情報とに基づいて、前記外観設計情報と前記外観情報との差異を判定し、当該差異を提示する制御を行う第3ステップと、を含む処理をプロセッサに実行させる、検査プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記外観設計情報に含まれるキャラクターと、前記外観情報に含まれるキャラクターとが同一である場合に、前記差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の検査プログラムであって、
前記処理は、前記外観設計情報に含まれているキャラクターと、前記外観情報に含まれているキャラクターとが異なる場合に、エラー情報を提示する制御を行う第4ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載の検査プログラムであって、
前記処理は、前記外観情報に基づく画像を提示する制御を行う第5ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の検査プログラムであって、
前記処理は、前記外観設計情報と前記外観情報とを対比して提示する制御を行う第6ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の検査プログラムであって、
前記キャラクター商品は、立体物である、検査プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の検査プログラムであって、
前記立体物は、扁平形状の立体物と、非扁平形状の立体物の少なくとも一方を含んでいる、検査プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の検査プログラムであって、
前記第2ステップでは、第1装置から前記扁平形状の立体物の前記外観情報を取得し、第2装置から前記非扁平形状の立体物の前記外観情報を取得する、検査プログラム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として、色要素の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として、色要素の面積の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項11】
請求項9に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として色要素の差異がある場合には、前記外観設計情報に含まれている色要素とは異なる色要素を用いて、当該差異を提示する制御を行う検査プログラム。
【請求項12】
請求項9に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として色要素の差異がある場合には、前記外観情報に含まれている色要素とは異なる色要素を用いて、当該差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項13】
請求項9に記載の検査プログラムであって、
前記外観設計情報は、キャラクターに設定されている複数の領域の情報と、前記複数の領域のそれぞれの色要素の情報と、を含んでいる、検査プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として色要素の差異がある場合には、前記外観情報における前記領域に対応している対応領域であって当該差異のあった対応領域毎に、当該差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項15】
請求項14に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として色要素の差異がある場合には、当該差異のあった前記対応領域を、当該差異の大きさに応じた色にて提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項16】
請求項1から8のいずれか1項に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として、キャラクターの輪郭の形状の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項17】
請求項1から8のいずれか1項に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異として、キャラクターの輪郭の位置の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【請求項18】
請求項1から8のいずれか1項に記載の検査プログラムであって、
前記第3ステップでは、前記差異を判定するための基準を複数の基準のいずれかに設定する、検査プログラム。
【請求項19】
請求項18に記載の検査プログラムであって、
前記複数の基準は、第1基準と、前記第1基準より厳しい第2基準と、前記第2基準より厳しい第3基準と、を含んでいる、検査プログラム。
【請求項20】
請求項18に記載の検査プログラムであって、
前記複数の基準は、第1基準と、前記第1基準より厳しい第2基準と、前記第2基準より厳しい第3基準と、を含み、
前記第3ステップでは、前記第1基準を設定して前記差異を判定して当該差異を提示する制御と、前記第2基準を設定して前記差異を判定して当該差異を提示する制御と、前記第3基準を設定して前記差異を判定して当該差異を提示する制御と、をこの順で行う、検査プログラム。
【請求項21】
請求項18に記載の検査プログラムであって、
前記外観設計情報は、キャラクターに設定されている複数の領域の情報を含み、
前記第3ステップでは、前記差異がある場合には、前記外観情報における前記領域に対応している対応領域であって当該差異のあった対応領域毎に、当該差異を提示する制御を行い、更に、当該差異の判定に用いた前記基準の種類及び当該差異の大きさに応じて、2色以上の色を用いて当該差異を提示する、検査プログラム。
【請求項22】
キャラクター商品の品質を検査する検査システムであって、
キャラクター商品の外観設計情報を記憶する記憶部と、
製造された前記キャラクター商品の外観情報を読み取る読み取り装置と、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記記憶部から前記外観設計情報を取得し、前記読み取り装置から前記外観情報を取得し、前記外観設計情報と前記外観情報とに基づいて、前記外観設計情報と前記外観情報との差異を判定し、当該差異を提示する制御を行う、検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査プログラム及び検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、製品を生産するための工程の実行に関わる時刻又は時間を示す工程情報を記憶部から取得するステップと、前記工程の実行に要した時間である工程所要時間と前記工程の理想的な所要時間である理想工程所要時間との差分を工程遅れ時間とし、前記工程を実行した設備が停止した時間を停止時間とした場合に、前記工程遅れ時間と前記停止時間との差分である停止外ロス時間の少なくとも一部を、前記工程情報に基づいて算出するステップと、を含む、情報処理方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、キャラクター商品の品質を判定可能として製品管理に役立てることのできる検査プログラムと検査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の検査プログラムは、キャラクター商品の品質を検査する検査プログラムであって、キャラクター商品の外観設計情報を取得する第1ステップと、製造された前記キャラクター商品の外観情報を取得する第2ステップと、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、差異を提示する制御を行う第3ステップと、を含む処理をプロセッサに実行させる、ものである。
【0006】
本発明の一態様の検査システムは、キャラクター商品の品質を検査する検査システムであって、キャラクター商品の外観設計情報を記憶する記憶部と、製造された前記キャラクター商品の外観情報を読み取る読み取り装置と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、記憶部から外観設計情報を取得し、読み取り装置から外観情報を取得し、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、差異を提示する制御を行う、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャラクター商品の品質を判定可能として製品管理に役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の検査プログラムを用いた検査システムの一態様を示すブロック図である。
【
図2】本発明の検査システムの検査対象の一例のキャラクター商品の斜視図である。
【
図3】表示装置の表示画面の一例を示す平面図である。
【
図4】判定結果の第1基準の提示画面を示す説明図である。
【
図5】判定結果の第2基準の提示画面を示す説明図である。
【
図6】判定結果の第3基準の提示画面を示す説明図である。
【
図7】キャラクターの検査領域の設定の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一側面を表す一態様について、図を参照して説明する。
図1は、本発明の検査プログラムを用いた検査システムの一態様を示すブロック図である。
図2は、検査対象の一例のキャラクター商品の斜視図である。
図1に示す検査システム1は、
図2に示すキャラクターCを含むキャラクター商品50の品質を検査するシステムである。検査システム1は、
図1に示すように、大きく分けて、管理装置10と読み取り装置30とから構成されている。管理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等で構成されており、少なくとも、CPUなどのプロセッサ11と、記憶部12と、表示装置13と、操作部14と、を備える。読み取り装置30は、製造されたキャラクター商品の外観情報を読み取るスキャナにて構成されている。
【0010】
管理装置10における記憶部12は、キャラクター商品50の外観設計情報等を記憶する、例えばフラッシュメモリなどの記録媒体を有している。この記憶部12には、後述する、第1ステップ~第6ステップの処理を行う検査プログラムが記憶されている。プロセッサ11は、記憶部12、表示装置13、操作部14、読み取り装置30を制御する。例えば、プロセッサ11は、記憶部12から外観設計情報を取得し、読み取り装置30から外観情報を取得し、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、この差異を提示する制御を行う。表示装置13は、液晶ディスプレイ等の画像表示が可能なものである。操作部14は、キーボードやマウス、タッチパネルなどである。
【0011】
キャラクター商品50は、
図2に示すように、若干の厚みを有する扁平形状の商品本体部材50bの表面部50aに、例えば、髪の毛を編んだ女の子のキャラクターCの絵柄が描かれている。表面部50aに描かれたキャラクターCは、その外周輪郭線51(絵柄の最も外側のエッジ部分)が商品本体部材50bの本体部材端部50eに対して所定の間隔を開けて内側に位置するように描かれている。例えば、髪の毛の編んだ部分の外側並びに下肢周囲は、本体部材端部50eから外周輪郭線51までの間隔が狭い間隔d1にて構成されている。一方、キャラクターCの頭部の下側及び上部側等の比較的広い間隔d2,d3を有するように構成されている。なお、キャラクターCの頭部の上部側にはストラップなどを通す孔50hが設けられている。
【0012】
ここで、前掲の外観情報は、
図2に示したキャラクター商品50を読み取り装置30にて撮像して得られる情報である。例えば、キャラクター商品50において、キャラクターCの外周輪郭線51(最も外側の輪郭)の形状、及び本体部材端部50eに対する配置(間隔d1,d2,d3等)、キャラクターCの絵柄輪郭線52(図柄を区画する輪郭)で区分けされた領域の位置や大きさ、各領域の色、等の外観に関わる情報である。
【0013】
また、外観設計情報とは、キャラクターCの外周輪郭線51の形状及びキャラクターCの絵柄輪郭線52の配置、絵柄輪郭線52で区分けされた各図柄領域の形や色、等の設計外観に関わる予め設計された情報である。なお、外観設計情報は、例えば、SVGの画像フォーマットにて記録された設計データ、又は、設計通りに製造されたサンプル商品を撮像した画像データとして提供される。
【0014】
なお、本発明で言う「提示する制御」とは、後述するように領域毎の差異の有無、差異のある領域の位置、差異の大きさ等を表示装置13に表示(提示)させる制御である。具体的には、キャラクターCの設計画像とキャラクター商品50の製品画像の相違箇所を特定できるように画面に提示する。例えば、設計画像と製品画像とを重ねて、当該相違箇所を色で分かり易いように提示する。また、提示の形態としては、重ねて表す以外に、設計画像と製品画像とを同一画面に併記して提示、或いは設計画像、製品画像、及び重ね画像、を同時に提示するようにしても良い。
【0015】
読み取り装置30は、フラットスキャナ31、3Dスキャナ32、の少なくともいずれか一方にて構成されている。すなわち、キャラクター商品50が扁平形状(キャラクターCを平面的に表す形状)の立体物の場合には、フラットスキャナ31を使用し、キャラクター商品50が非扁平形状(キャラクターCを立体的に表す形状)の立体物の場合には、3Dスキャナ32を使用する。
【0016】
プロセッサ11が行うキャラクター商品50の品質を検査する検査プログラムは、キャラクター商品50の外観設計情報を取得する第1ステップと、製造されたキャラクター商品50の外観情報を取得する第2ステップと、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、当該差異を提示する制御を行う第3ステップと、を含む処理を実行する。
【0017】
なお、検査プログラムの第3ステップでは、外観設計情報に含まれているキャラクターCと、製造品の外観情報に含まれているキャラクターCとが同じものである場合に、外観設計情報のキャラクターCと、製造品のキャラクターCとの差異を提示する。一方、検査プログラムにおける処理は、外観設計情報に含まれているキャラクターCと、外観情報に含まれているキャラクターCとが異なる場合には、エラー情報を提示する第4ステップを実行する。
【0018】
また、検査プログラムにおける処理としては、外観情報に基づく画像を提示する第5ステップを含む。
【0019】
更に、検査プログラムの処理は、外観設計情報と外観情報とを対比して提示する第6ステップを含むものである。なお、対比して提示するとは、具体的には、例えば、外観設計情報である正解画像と外観情報である製品画像とを同一画面に提示して比較可能にすることである。
【0020】
また、検査プログラムは、キャラクター商品50が
図2に示すような扁平形状の立体物の場合は、それに対応する検査プログラムとなっており、キャラクター商品50が非扁平形状の立体物(不図示)の場合には、非扁平形状の立体物に対応する検査プログラムが組まれている。本態様においては、キャラクター商品50が扁平形状、非扁平形状の何れの場合に対応できるように両方の検査プログラムが組まれている。例えば、第2ステップにおいて、第1装置のフラットスキャナ31から扁平形状の立体物の外観情報を取得したときには、扁平形状用の検査プログラムを作動させる。一方、第2装置の3Dスキャナ32から非扁平形状の立体物の外観情報を取得したときには、非扁平形状用の検査プログラムを作動させる。
【0021】
図3は、表示装置の表示画面の一例を示す平面図である。
図3に示すように、表示装置13の表示画面20には、予め取り込まれた外観設計情報を提示可能な検証用データ画面20aと、キャラクター商品50のスキャンデータを提示するスキャンデータ画面20bと、検査結果を表示する判定画面20dと、が設けられている。
【0022】
第3ステップでは、外観設計情報のキャラクターCと、製品のキャラクターCとの差異がある場合、
図3に示すように、キャラクターCにおける差異個所において、色要素(赤色R)、色要素(黄色Y)を使って提示する。例えば、色要素(赤色R)、色要素(黄色Y)で示した差異箇所は、例えば、判定画面20dにおいて、他の部分の暗い墨状部Bに比べて明るく提示する。
【0023】
また、第3ステップにおいては、他の例として、外観設計情報のキャラクターCと、製品のキャラクターCとの差異として、キャラクターCにおける同じ個所において、色要素の面積の差異が生じていることを提示する。すなわち、絵柄の一部の色面積が異なるということは、色要素のはみ出しや不足(小さい面積)、更には絵柄輪郭線52のズレ等が生じている場合である。この場合においても、色要素の面積に差異が生じている箇所を画面上において提示(
図7参照)する。
【0024】
また、上述のように、第3ステップでは、差異が生じている箇所の提示は、外観設計情報に含まれている色要素、製品の外観情報に含まれている色要素、の少なくとも一方、好ましくは双方の色要素とは異なる色要素(R、Y)を用いて行うことができる。これにより、差異部分の誤認を防止する。
【0025】
検査手順について、表示装置13の表示画面20を使って具体的に説明する。
検査手順としては、表示装置13の表示画面20上に、予め管理装置10に取り込まれた外観設計情報を検証用データ画面20aに提示する。次に、製造されたキャラクター商品50を無作為にピッキングし、フラットスキャナ31にセットした製品のスキャンデータを取得する。このスキャンデータを検証用データ画面20aの下のスキャンデータ画面20bに提示する。その後、判定ボタン20cを操作し、スキャンデータ画面20bの右横の判定画面20dに判定結果が提示される。なお、判定結果は、下記する判定基準の設定に従う。
【0026】
第3ステップの判定においては、差異を判定するための複数の基準設定が可能となっている。この基準としては、例えば、第1基準、第2基準、第3基準、の設定を行うことができる。この複数の判定基準は、第1基準と、第1基準より厳しい第2基準と、第2基準より厳しい第3基準と、となっており、具体的には、例えば、色味判定「ゆるめ」を指定するゆるめボタン21、色味判定「ふつう」を指定するふつうボタン22、色味判定「きびしめ」を指定するきびしめボタン23、の判定基準ボタンが、判定画面20dの直ぐ上に用意されている。
【0027】
また、外周輪郭線51の位置の差異を見る「線画」の線画判定ボタン24、更には、後述する特定の領域E1,E2・・を指定する「領域」の領域設定ボタン25などが用意されている。なお、「領域設定」は、例えば、その操作ボタンを操作しない限り、キャラクター商品50の全域を対象とする判定となる。
【0028】
色味判定において、
図3の判定画面20dに示すように、色の差異が生じている箇所を、他の箇所よりも分かり易いように、前述の如く明るくして提示する。また、色味判定の提示においては、色違いの領域がある箇所の提示だけでなく、色味の差異の大きさを提示することができる。この色味の差異の大きさの提示は、例えば、判定画面20dに示すように、差異が大きければ赤色(図示においてはRにて示す部分)、差異が小さければ黄色(図示においてはYにて示した部分)で提示する。
【0029】
なお、画面表示の仕方としては、差異が生じている部分については、色表示と共に明るく提示する一方、差異が生じていない箇所は、前述の如く、暗い墨状の墨状部Bとして表示する。これにより、差異部分の提示を分かり易くする。また、差異部分の提示の色に関しては、製品画像、設計データに含まれていない色を使って差異を提示することが望ましい。
【0030】
図4は、判定結果の第1基準の提示画面を示す説明図である。
検査プログラムにおける第3ステップでは、例えば、まず初めに、第1基準(「ゆるめ」)を設定して差異を判定して当該差異を提示する制御の場合には、
図4の第1基準の画面に示すように、2ヶ所の差異が提示される。
【0031】
図5は、判定結果の第2基準の提示画面を示す説明図である。
次に、第2基準(「ふつう」)を設定して差異を判定して当該差異を提示する制御の場合には、
図5の第2基準の画面に示すように、4ヶ所の差異が提示される。
【0032】
図6は、判定結果の第3基準の提示画面を示す説明図である。
更に、第3基準「きびしめ」を設定して差異を判定して当該差異を提示する制御の場合には、(c)の第3基準の画面に示すように、7ヶ所の差異が提示される。
【0033】
このように、判定結果を、例えば、「ゆるめ」、「ふつう」、「きびしめ」の順に判定を実施する。この検査手順によって、差異のある部分を順次増やして確認することができ差異の見逃しミスを少なくできる。また、色味の差異の大きさについては、その大きさの順に、例えば、R(赤色)、Y(黄色)、X(緑)、Z(青)の4段階で提示する。
【0034】
本態様の場合、領域設定ボタン25を操作しなかったので、キャラクターCの外周輪郭線51や絵柄輪郭線52については全域を対象として対比する設定となっている。したがって、例えば、差異として、キャラクターCの外周輪郭線51、絵柄輪郭線52の設計で決められた形状と、製造商品の形状との差異がある箇所を検査結果の画面に提示する。例えば、輪郭線の差異がある場合には、
図6に示すように、差異が生じている輪郭線差異部gとして色味判定とは異なるマーキングで示すことができる。
【0035】
図7は、キャラクターの検査領域の設定の説明図である。
外観設計情報においては、キャラクターCにその検査領域として特定の領域を設定することができる。例えば、検査を行う特定の領域として、
図7に示すように、領域E1,E2・・の複数の領域を領域情報として設定する。この領域設定においては、更に、各領域E1,E2・・内の外周輪郭線51、絵柄輪郭線52、絵柄の色要素の情報等が設定される。
【0036】
一方、前掲の設計情報の各領域E1,E2・・に対応させて、キャラクター商品50の対応領域50E1,50E1・・を設定する。すなわち、設計情報の各領域E1,E2・・と、キャラクター商品50の対応領域50E1,50E1・・と、が一対一の対応になるように、キャラクター商品50の取得画像(製品画像)上で同じ領域を設定する。そして、設定された領域ごとに、例えば、色要素等の各種情報を用いて、差異判断を行う。この場合、キャラクターC全体の比較をせずに設定された領域毎のみの比較を行う。
【0037】
検査プログラムの第3ステップでは、差異として色要素などの差異がある場合には、製品画像における領域で差異のあった対応領域50E1,50E1・・毎に、当該差異を
図7に示すように提示する。また、差異のあった対応領域50E1,50E1・・を提示するときには、その提示の仕方として、前掲と同様に差異の大きさに応じた色(R、Y、X等)を使用することができる。その他の差異の提示の仕方としては、例えば、対応領域50E1,50E1・・を示す領域外縁線(判定画面20dにおいて墨状部Bの外周縁の線)の色を変える提示、又は、判定画面20d内に差異レベルの大きさを表す差異レベル提示部を設けて色やマークでレベル差の提示を行うことができる。
【0038】
なお、この特定の領域E1,E2・・の選定に当たっては、差異が生じる頻度の高い領域が選択される。これにより効果的な差異判断の実施が可能になる。
【0039】
図8は、検査結果の提示例を示す説明図である。
また、対応領域50E1,50E1・・の提示形態としては、前掲のように色要素の差異の提示と共に、
図8に示すように、外周輪郭線51、絵柄輪郭線52のズレを表示することができる。輪郭線のズレの提示については、前掲の
図6に示した輪郭線差異部gの提示形態でも良いが、対応領域50E1,50E1・・の提示画面に拡大画像として提示することで、ズレ表示を提示し易い。
【0040】
上述したように、本態様の検査プログラムにおいては、第3ステップでは、差異がある場合には、キャラクター商品50の外観情報における領域に対応する対応領域50E1,50E1・・で当該差異のあった対応領域50E1,50E1・・毎に、当該差異の大きさに応じた色要素(R,Y,X,Z)の提示をするようにした。しかし、変形例として、当該差異の判定に用いた基準レベル(例えば、第1基準、第2基準、第3基準)の種類に応じて、更に、色を変える追加色表示を用いて提示するようにしても良い。なお、この場合の提示形態としては、例えば、4色(R,Y,X,Z)の提示と、3段階の基準色の提示と、を併記する形態、又は4色(R,Y,X,Z)に3基準をかけ合わせた合計12色を使って差異部分を直接示すことができる。
【0041】
以上述べたように、本態様においては、検査プログラムは、外観設計情報を取得する第1ステップ、製造後外観情報を取得する第2ステップ、両外観情報の差異判定の制御、及び差異判定の提示の制御を行う第3ステップ、を含む処理を実行することにより、製造される商品品質を向上させることが可能となる。
【0042】
本態様においては、第3ステップにおいて、外観設計情報(第1ステップ)に含まれているキャラクターCと、製造後の外観情報(第2ステップ)に含まれているキャラクターCとが同じである場合に、差異を提示する制御を行うことにより、プログラムの複雑化が回避され、プロセッサ11の負荷を少なくして、処理速度の速い検査プログラムを提供することができる。例えば、第1ステップと第2ステップのキャラクターが異なる場合にエラー情報(第4ステップ)を提示することにより、プロセッサ11の効率的な処理を行うことができる。
【0043】
本態様においては、検査プログラムの処理は、外観情報に基づくスキャンされた製品画像を提示する第5ステップ、当該製品画像と外観設計情報とを対比して提示する、すなわち、正解画像と製品画像を同一画面に含める第6ステップ、を含むことで、対比検査を容易にする。
【0044】
本態様においては、検査プログラムは、斜視画像(立体画像)に対応可能であることで、立体物のキャラクター商品50にも対応することができる。
【0045】
本態様においては、第2ステップでは、フラットスキャナ31(第1装置)から扁平形状の立体物(扁平型商品)の外観情報を取得し、3Dスキャナ32(第2装置)から非扁平形状の立体物(立体型商品)の外観情報を取得するように構成されていることで、扁平型商品、立体型商品の何れにも対応可能な検査プログラムを提供することができる。
【0046】
本態様の検査プログラムの第3ステップにおいては、差異として、色要素の差異、色要素の面積の差異などを提示する制御を実施することにより、キャラクターCの配色や色合いを検査することができる。
【0047】
また、第3ステップにおける色要素の差異の提示においては、外観設計画像に含まれている色要素とは異なる色要素、若しくは製造品の外観画像とは異なる色要素、或いは外観設計画像及び製造品の外観画像の双方とは異なる色要素を用いて、当該差異を提示する。このことで、例えば、キャラクターCの外観設計画像、製造品の外観画像、検査結果の画像との区別をし易くできる。特に、キャラクターCの外観設計画像、製造品の外観画像、検査結果の画像、を同じ表示画面上に同時に表示する場合には、キャラクターCに実際に使われていない色要素を使うことで検査結果を確認し易くできる。
【0048】
本態様の検査プログラムにおいて、外観設計情報は、キャラクターCに設定された複数の領域の情報と、複数の領域のそれぞれの色要素の情報と、を含むことで、特定の領域(例えば、色間違いや配色間違いが起こり易い領域)を集中的に検査対象とすることができるので、キャラクター全体を検査する場合に比べて、情報量を少なくでき検査結果を迅速に提示することができる。
【0049】
本態様の検査プログラムは、第3ステップにおいて、差異として色要素の差異がある場合、製品画像における設計画像の各領域に対応した対応領域50E1,50E2,・・で差異のあった当該対応領域毎に画像提示をすることで、対応した1つの領域ごとに差異の内容を容易に確認することができ、差異が把握し易い。
【0050】
また、第3ステップにおいて、差異のあった対応領域50E1,50E2,・・を、当該差異の大きさ(差異レベル)に応じた色にて提示することで、例えば、差異が大きければ赤色R、差異が小さければ黄色Yといった提示によって差異の大きさを指し示すことができ、差異の確認・判定のし易さを向上することができる。
【0051】
本態様の検査プログラムは、第3ステップにおいて、差異として、キャラクターCの外周輪郭線51の商品本体部材に対する位置の差異を提示する制御を行うことで、形状一致しているが外周輪郭線51の位置にずれが生じているような場合において、設計で決められたエッジ(輪郭線)の位置と、実際に製造されたエッジ(輪郭線)の位置とずれを提示することができる。
【0052】
本態様の検査プログラムは、第3ステップにおける差異判定の基準を複数の基準のいずれかに設定することができることにより、製造製品の検査レベルを自由に設定することができる。また、判定の基準を、順次高くするように例えば、第1基準、第2基準、及び第3基準を設けることにより、基準レベルの設定を容易にすることができる。
【0053】
また、第3ステップにおいて、第1基準に基いて差異を提示する制御と、第2基準に基づいて差異を提示する制御と、第3基準に基づいて差異を提示する制御と、を有して基準レベルを段階的に切り替えて判定結果を順次表示していくことができるので、検査の確認ミスを防ぐことができる。また、製品の種類などによって基準を選択するなどして製品品質に関して柔軟な判断が可能となる。
【0054】
本態様においては、検査結果の差異の大きさで色を変える提示に加えて、検査基準で色を更に変えるようにすることで、表示形態を多様化することができる。
【0055】
本態様においては、検査システム1は、キャラクター商品50の外観設計情報を記憶する記憶部12と、製造されたキャラクター商品の外観情報を読み取る読み取り装置30と、プロセッサ11と、を備え、プロセッサ11が、記憶部12から外観設計情報を、読み取り装置30から外観情報を取得し、外観設計情報と外観情報とに基づいて、外観設計情報と外観情報との差異を判定し、当該差異を提示するので、製造されるキャラクター商品50の品質の向上に寄与することができる。
【0056】
以上、本発明の一側面を表す一態様について説明したが、本発明は、上記の態様に限るものではなく、本発明の技術思想の範囲で適宜変更可能である。例えば、上記態様における「提示」には、液晶ディスプレイなどの画像表示手段の表示装置13を使用したが、表示装置13による画像表示による提示に限るものではなく、プリンタによる印刷表示、更には音声を使った表示を合わせた提示形態であっても良い。
【0057】
以上説明したように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0058】
(1)
キャラクター商品の品質を検査する検査プログラムであって、
キャラクター商品の外観設計情報を取得する第1ステップと、
製造された上記キャラクター商品の外観情報を取得する第2ステップと、
上記外観設計情報と上記外観情報とに基づいて、上記外観設計情報と上記外観情報との差異を判定し、その差異を提示する制御を行う第3ステップと、を含む処理をプロセッサに実行させる、検査プログラム。
【0059】
(2)
(1)に記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記外観設計情報に含まれているキャラクターと、上記外観情報に含まれているキャラクターとが同一である場合に、上記差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0060】
(3)
(2)に記載の検査プログラムであって、
上記処理は、上記外観設計情報に含まれているキャラクターと、上記外観情報に含まれているキャラクターとが異なる場合に、エラー情報を提示する制御を行う第4ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【0061】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記処理は、上記外観情報に基づく画像を提示する制御を行う第5ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【0062】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記処理は、上記外観設計情報と上記外観情報とを対比して提示する制御を行う第6ステップを更に含んでいる、検査プログラム。
【0063】
(6)
(1)から(5)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記キャラクター商品は、立体物である、検査プログラム。
【0064】
(7)
(6)に記載の検査プログラムであって、
上記立体物は、扁平形状の立体物と、非扁平形状の立体物の少なくとも一方を含んでいる、検査プログラム。
【0065】
(8)
(7)に記載の検査プログラムであって、
上記第2ステップでは、第1装置から上記扁平形状の立体物の上記外観情報を取得し、第2装置から上記非扁平形状の立体物の上記外観情報を取得する、検査プログラム。
【0066】
(9)
(1)から(8)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として、色要素の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0067】
(10)
(1)から(9)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として、色要素の面積の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0068】
(11)
(9)又は(10)に記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として色要素の差異がある場合には、上記外観設計情報に含まれている色要素とは異なる色要素を用いて、その差異を提示する制御を行う検査プログラム。
【0069】
(12)
(9)又は(10)に記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として色要素の差異がある場合には、上記外観情報に含まれている色要素とは異なる色要素を用いて、その差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0070】
(13)
(1)から(12)のいずれか1項に記載の検査プログラムであって、
上記外観設計情報は、キャラクターに設定されている複数の領域の情報と、上記複数の領域のそれぞれの色要素の情報と、を含んでいる、検査プログラム。
【0071】
(14)
(13)に記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として色要素の差異がある場合には、上記外観情報における上記領域に対応している対応領域であってその差異のあった対応領域毎に、その差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0072】
(15)
(14)に記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として色要素の差異がある場合には、その差異のあった上記対応領域を、その差異の大きさに応じた色にて提示する制御を行う、検査プログラム。
【0073】
(16)
(1)から(8)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として、キャラクターの輪郭の形状の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0074】
(17)
(1)から(8)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異として、キャラクターの輪郭の位置の差異を提示する制御を行う、検査プログラム。
【0075】
(18)
(1)から(8)のいずれかに記載の検査プログラムであって、
上記第3ステップでは、上記差異を判定するための基準を複数の基準のいずれかに設定する、検査プログラム。
【0076】
(19)
(18)に記載の検査プログラムであって、
上記複数の基準は、第1基準と、上記第1基準よりも厳しい第2基準と、上記第2基準より厳しい第3基準と、を含んでいる、検査プログラム。
【0077】
(20)
(18)に記載の検査プログラムであって、
上記複数の基準は、第1基準と、上記第1基準より厳しい第2基準と、上記第2基準より厳しい第3基準と、を含み、
上記第3ステップでは、上記第1基準を設定して上記差異を判定してその差異を提示する制御と、上記第2基準を設定して上記差異を判定してその差異を提示する制御と、上記第3基準を設定して上記差異を判定してその差異を提示する制御と、をこの順で行う、検査プログラム。
【0078】
(21)
(18)に記載の検査プログラムであって、
上記外観設計情報は、キャラクターに設定された複数の領域の情報を含み、
上記第3ステップでは、上記差異がある場合には、上記外観情報における上記領域に対応している対応領域であってその差異のあった対応領域毎に、その差異を提示する制御を行い、更に、その差異の判定に用いた上記基準の種類及びその差異の大きさに応じて、2色以上の色を用いてその差異を提示する、検査プログラム。
【0079】
(22)
キャラクター商品の品質を検査する検査システムであって、
キャラクター商品の外観設計情報を記憶する記憶部と、
製造された上記キャラクター商品の外観情報を読み取る読み取り装置と、
プロセッサと、を備え、
上記プロセッサは、上記記憶部から上記外観設計情報を取得し、上記読み取り装置から上記外観情報を取得し、上記外観設計情報と上記外観情報とに基づいて、上記外観設計情報と上記外観情報との差異を判定し、その差異を提示する制御を行う、検査システム。
【符号の説明】
【0080】
1 検査システム
10 管理装置
11 プロセッサ
12 記憶部
13 表示装置
14 操作部
20 表示画面
30 読み取り装置
31 フラットスキャナ(読み取り装置)
32 3Dスキャナ(読み取り装置)
50 キャラクター商品
51 外周輪郭線(輪郭)
52 絵柄輪郭線(輪郭)
50E1、50E2 対応領域
C キャラクター