(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099336
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置
(51)【国際特許分類】
G03B 5/00 20210101AFI20240718BHJP
G03B 30/00 20210101ALI20240718BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240718BHJP
【FI】
G03B5/00 J
G03B30/00
G02B7/04 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003201
(22)【出願日】2023-01-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝本 征宏
(72)【発明者】
【氏名】荒内 正彦
【テーマコード(参考)】
2H044
2K005
【Fターム(参考)】
2H044BE02
2H044BE10
2K005CA02
2K005CA23
2K005CA34
2K005CA45
2K005CA53
(57)【要約】
【課題】光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置の小型化と量産性とを両立すること。
【解決手段】光学素子駆動装置は、光学素子を保持可能な可動部及び可動部を収容する収容部を、固定部の上方で支持部により支持し、駆動部の駆動により移動させる光学素子駆動装置であって、支持部は、互いに並んで配置され、固定部と収容部とを夫々連結し、固定部の電気部品に夫々接続される、複数本のワイヤ部材を少なくとも一組有し、固定部は、上下方向で凹み、その底部上で電気部品と各ワイヤ部材との接続部を露出させる凹部を有し、凹部の側壁は、複数本のワイヤ部材の並ぶ方向において各ワイヤ部材に対応する位置にある第1部分と、隣接する第1部分の間の位置にある第2部分と、を有し、第1部分では対応するワイヤ部材を迂回するように窪み、第2部分では隣接するワイヤ部材の間の隙間に向かって突出する形状を有する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子を保持可能な可動部及び前記可動部を収容する収容部を、固定部の上方で支持部により支持し、駆動部の駆動により移動させる光学素子駆動装置であって、
前記支持部は、互いに並んで配置され、前記固定部と前記収容部とを夫々連結し、前記固定部の電気部品に夫々接続される、複数本のワイヤ部材を少なくとも一組有し、
前記固定部は、上下方向で凹み、その底部上で前記電気部品と各ワイヤ部材との接続部を露出させる凹部を有し、前記凹部の側壁は、前記複数本のワイヤ部材の並ぶ方向において各ワイヤ部材に対応する位置にある第1部分と、隣接する前記第1部分の間の位置にある第2部分と、を有し、前記第1部分では対応するワイヤ部材を迂回するように窪み、前記第2部分では隣接するワイヤ部材の間の隙間に向かって突出する形状を有する、
光学素子駆動装置。
【請求項2】
前記側壁は、前記第1部分では前記上下方向で前記電気部品に重ならず、前記第2部分では前記上下方向で前記電気部品に重なる、
請求項1に記載の光学素子駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光学素子駆動装置と、
前記光学素子と、
前記光学素子により結像される被写体像を撮像する撮像部と、を備える、
カメラモジュール。
【請求項4】
情報機器又は輸送機器であるカメラ搭載装置であって、
請求項3に記載のカメラモジュールと、
前記カメラモジュールで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える、
カメラ搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スマートフォン等の携帯端末には、小型のカメラモジュールが搭載されている。このようなカメラモジュールには、光学素子を駆動する光学素子駆動装置が使用されている。
【0003】
光学素子駆動装置は、オートフォーカス機能(以下「AF機能」と称する、AF:Auto Focus)及び振れ補正機能(以下「OIS機能」と称する、OIS:Optical Image Stabilization)を有している。光学素子駆動装置は、AF機能により、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行い、OIS機能により、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して画像の乱れを軽減している。
【0004】
例えば特許文献1には、AF機能とOIS機能とを有する光学素子駆動装置が示されている。特許文献1に示される光学素子駆動装置は、光学素子を保持可能であり、コイルを有する可動部と、磁石を有し、可動部を光軸の方向(光軸方向)に移動可能に収容する四角筒状の収容部と、可動部及び収容部を光軸と交差する方向(光軸直交方向)に移動可能に支持する固定部と、を備える。
【0005】
また、例えば特許文献1記載の光学素子駆動装置は、収容部に搭載されて可動部を可動部の上方向の開口側から支持した板バネ部材と、収容部の4つ角の隅部に各々対応して固定部と板バネ部材との間に延伸されて収容部を支持する2本のワイヤ部材と、を備える。そして、収容部の4つ角の隅部の各々に2本のワイヤ部材の各々が互いに別の板バネ部材に接続されている。各ワイヤ部材は、固定部に設けられた電気部品に電気的に接続され、電力供給や信号伝送に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、従来の光学素子駆動装置において、ワイヤ部材と電気部品との接続部を露出させつつ電気部品を固定部に埋設して、装置の小型化を図る場合がある。このような場合、固定部は、その構造によっては、ワイヤ部品と電気部品との接続作業時に接続部に加えられる熱の影響を受け、望ましくない変形を生じるおそれがある。すなわち、装置の量産性の面で課題が生じ得る。
【0008】
本発明の目的は、小型化と量産性とを両立することができる光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光学素子駆動装置の一態様は、
光学素子を保持可能な可動部及び前記可動部を収容する収容部を、固定部の上方で支持部により支持し、駆動部の駆動により移動させる光学素子駆動装置であって、
前記支持部は、互いに並んで配置され、前記固定部と前記収容部とを夫々連結し、前記固定部の電気部品に夫々接続される、複数本のワイヤ部材を少なくとも一組有し、
前記固定部は、上下方向で凹み、その底部上で前記電気部品と各ワイヤ部材との接続部を露出させる凹部を有し、前記凹部の側壁は、前記複数本のワイヤ部材の並ぶ方向において各ワイヤ部材に対応する位置にある第1部分と、隣接する前記第1部分の間の位置にある第2部分と、を有し、前記第1部分では対応するワイヤ部材を迂回するように窪み、前記第2部分では隣接するワイヤ部材の間の隙間に向かって突出する形状を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、光学素子駆動装置、カメラモジュール及びカメラ搭載装置の小型化と量産性とを両立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1Aは、本発明の実施形態に係るカメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置の一例の正面図であり、
図1Bは、本発明の実施形態に係る同カメラ搭載装置の一例の背面図である。
【
図2】
図2Aは、本発明の実施形態に係るカメラモジュールを搭載するカメラ搭載装置の他の例の正面図であり、
図2Bは、本発明の実施形態に係る同カメラ搭載装置の他の例の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールの構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールの光学素子駆動装置の外観斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールにおいてカバーを光学素子駆動装置から取り外した状態を上方から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係る
図5に示す状態を下方から見た分解斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る
図5に示す光学素子駆動装置においてカバーを外した内部構成を示す分解斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールにおいてベース部材と配線部材とを分解した状態を示す分解斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るカメラモジュールにおいて配線部材とワイヤ部材との接続部を露出させつつ配線部材をベース部材に埋設した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[カメラ搭載装置の構成について]
まず、本発明の実施形態に係るカメラモジュールが適用されるカメラ搭載装置について説明する。
【0014】
図1A、
図1Bは、カメラモジュールAを搭載するスマートフォンM(カメラ搭載装置の一例)を示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。スマートフォンMは、一つ以上の背面カメラOCを有する。背面カメラOCには、カメラモジュールAが適用されている。
【0015】
スマートフォンMは、情報機器であるカメラ搭載装置である。スマートフォンMは、カメラモジュールAと、カメラモジュールAで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える。カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うと共に、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影できる。
【0016】
図2A、
図2Bは、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載する自動車V(カメラ搭載装置の他の例)を示す図である。
図2Aは自動車Vの正面図であり、
図2Bは自動車Vの後方斜視図である。
図2A及び
図2Bに示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば、前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。自動車Vの車載用カメラモジュールVCには、カメラモジュールAが適用されている。
【0017】
車載用カメラモジュールVCは、輸送機器であるカメラ搭載装置である。車載用カメラモジュールVCは、カメラモジュールAと、カメラモジュールAで得られた画像情報を処理する画像処理部と、を備える。車載用カメラモジュールVCは、AF機能及びOIS機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うと共に、撮影時に生じる振れ(振動)を光学的に補正して像ぶれのない画像を撮影できる。
【0018】
なお、光学素子駆動装置は、種々のカメラ搭載装置に適用できる。例えば、カメラ搭載装置は、種々の情報機器及び輸送機器を含む。情報機器は、例えば、カメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機及びwebカメラを含む。また、輸送機器は、例えば、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)や、ドローン等の無人航空機を含む。なお、ドローン等の無人航空機は情報機器の一例でもある。
【0019】
[カメラモジュールAの構成について]
続いて、カメラモジュールAの概略構成について説明する。直交座標系(X,Y,Z)が使用される。なお、形状に関する表現は、簡略的な概形説明のための便宜的な表現であって、幾何学的に正確な図形の定義が必ずしも当てはまるものでないことは、言うまでもない。
【0020】
図3は、カメラモジュールAの構成を模式的に示す斜視図である。カメラモジュールAは、例えばスマートフォンMで撮影が行われる場合には、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光路方向であり、
図3において、図中上側(+Z側)が光路方向の受光側(マクロ位置側とも称される)、下側(-Z側)が光路方向の結像側(無限遠位置側とも称される)である。Z方向に直交する方向は、光路直交方向である。X方向及びY方向は、光路直交方向の例である。
【0021】
図4は、カメラモジュールAの光学素子駆動装置1の外観斜視図である。
図4に示されるように、光の通り道である光路は、カバー3の開口部301と、AFピント合わせ部11においてレンズ部2を収容するレンズ収容開口部110a1と、OIS基礎部20において撮像素子502に対する中央開口部250と、によって形成されている。そして、この光路の延びる方向(各開口部の貫通方向)が光路方向である。光路方向については、光学素子の種類等に基づき、光軸方向や焦点方向(焦点を調整する方向)等、別の呼称を用いてもよい。また、光路直交方向については、光軸直交方向や振れ補正方向等と呼んでもよく、XY平面については、光軸直交面や振れ補正面等と呼んでもよい。
【0022】
また、以下の説明において、特に断らない限り、「径方向」とは、光路又は光軸を中心として放射状又は遠心状に延びる方向を意味し、「周方向」とは、光路周り又は光軸周りに延びる方向を意味する。また、特に断らない限り、「外側」とは光路又は光軸を中心とする径方向における外側を意味し、「内側」とは光路又は光軸を中心とする径方向における内側を意味する。
【0023】
また、以下の説明において、カメラモジュールAの平面視形状(ここでは正方形)の四隅を互いに区別して特定する場合がある。その場合には、便宜上、X方向+側且つY方向+側の隅部を第一隅部といい、X方向-側且つY方向+側の隅部を第二隅部といい、X方向-側且つY方向-側の隅部を第三隅部といい、X方向+側且つY方向-側の隅部を第四隅部という。
【0024】
図3に示すように、カメラモジュールAは、AF機能及びOIS機能を実現する光学素子駆動装置1と、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部2(光学素子の一例)と、レンズ部2により結像される被写体像を撮像する撮像部5と、を備える。
【0025】
光学素子駆動装置1は、外側をカバー3で覆われている。カバー3は、Z方向から見た平面視で矩形状の有蓋四角筒体である。ここでは、カバー3は、平面視で正方形状である。カバー3は、上面(Z方向+側の面)に略円形の開口部301を有する。レンズ部2は、カバー3の開口部301から外部に臨む。カバー3は、光学素子駆動装置1のOIS基礎部20のベース部材25に、例えば接着により固定される(
図4参照)。カバー3は、例えば磁性体からなり、光学素子駆動装置1の外部からの電磁波を遮断したり、光学素子駆動装置1の内部と外部との磁気的な相互作用を防いだりするシールド部材として機能する。
【0026】
撮像部5は、光学素子駆動装置1の結像側(Z方向の-側)に配置されている。撮像部5は、例えば、イメージセンサー基板501、イメージセンサー基板501に実装される撮像素子502及び制御部503を有する。撮像素子502は、例えば、CCD(charge-coupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成され、レンズ部2により結像される被写体像を撮像する。光学素子駆動装置1は、イメージセンサー基板501に実装されてイメージセンサー基板501と電気的に接続されている。
【0027】
制御部503は、例えば、制御IC(Integrated Circuit)で構成され、光学素子駆動装置1の駆動制御を行う。制御部503は、イメージセンサー基板501に設けられてもよいし、カメラモジュールAが搭載されるカメラ搭載機器(ここでは、スマートフォンM)に設けられてもよい。
【0028】
なお、ここでは、位置が固定されたイメージセンサー基板501に対し、光学素子駆動装置1においてOIS補正部10のレンズ部2を光軸方向及び光軸直交方向に移動可能とする構成が採られている。しかし、ピント合わせ或いは振れ補正を目的としては、光軸方向及び光軸直交方向のうちの少なくとも一方においてレンズ部2を固定(移動不能)とし撮像素子502を可動(移動可能)としてもよい。この場合には、撮像素子502は、AFピント合わせ部11又はOIS補正部10に保持される光学素子の一例となる。
【0029】
[光学素子駆動装置1の構成について]
続いて、光学素子駆動装置1の構成について、
図5~10を用いて説明する。なお、光学素子駆動装置1の構成の説明においては、便宜上、Z方向+側を「上」とし、Z方向-側を「下」とする。
【0030】
図5は、カメラモジュールAにおいてカバー3を光学素子駆動装置1から取り外した状態を上方から見た分解斜視図である。
図6は、
図5に示す状態を下方から見た分解斜視図である。
図7は、
図5に示す光学素子駆動装置1においてカバー3を外した内部構成を示す分解斜視図である。さらに、
図8は、カメラモジュールAにおいてベース部材25と配線部材27とを分解した状態を示す分解斜視図である。
図9は、カメラモジュールAにおいて配線部材27とワイヤ部材30との接続部を露出させつつ配線部材27をベース部材25に埋設した状態を示す斜視図である。
図10A、
図10B及び
図10Cは、カメラモジュールAのベース部材25の
図9のA部を拡大し、
図9のa方向(-Y方向に平行)、b方向(+Z方向に平行)及びc方向(ベース部材25の対角方向)から夫々見た図である。なお、
図4乃至6に示す構成と
図7乃至9に示す構成との間には、端子の配置や微細な形状に若干の相違部分があるが、それらは、本実施形態において本発明の主要な特徴部分以外の形状や配置に関しては様々なバリエーションが適用可能であることを例示するものである。
【0031】
光学素子駆動装置1は、OIS補正部10、OIS基礎部20、及びワイヤ部材としてのサスペンションワイヤ30を有する。
【0032】
[OIS補正部10について]
OIS補正部10は、OIS駆動部の一例であるOIS用ボイスコイルモーターを構成するOISマグネット部を有し、振れ補正時に光軸直交面内で揺動する部分である。OIS基礎部20は、OISコイル部を有する部分である。すなわち、光学素子駆動装置1のOIS駆動部には、ムービングマグネット方式が採用されている。OIS補正部10は、AF駆動部を含む「AFユニット」でもある。
【0033】
OIS補正部10は、OIS基礎部20上に、OIS基礎部20からZ方向+側(光軸方向受光側又は上側)に離間して配置され、サスペンションワイヤ30によってOIS基礎部20と連結される。
【0034】
OIS補正部10は、AFピント合わせ部11、AF保持部12、及びAF板バネ支持部13(上側板バネ部材13a及び下側板バネ部材13b)を有する。
【0035】
[AFピント合わせ部11について]
AFピント合わせ部11は、AF保持部12に対して径方向における内側に離間して配置され、上側板バネ部材13a及び下側板バネ部材13bによってAF保持部12と連結されている。
【0036】
AFピント合わせ部11は、AF駆動部の一例であるAF用ボイスコイルモーターを構成するコイル部を有し、ピント合わせ時にAF保持部12に対してZ方向(光軸方向)に移動する部分である。AF保持部12は、AF用ボイスコイルモーターを構成したマグネット部を有する部分である。すなわち、光学素子駆動装置1のAF駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。
【0037】
AFピント合わせ部11は、可動部であるレンズホルダ110及びAFコイル部111を有する。
【0038】
レンズホルダ110は、光学素子としてのレンズ部2を保持可能である。レンズホルダ110は、筒状のレンズ保持部110aを有する。レンズ保持部110aの開口部(レンズ収容開口部)110a1の内周面には、レンズ部2が例えば接着により固定される。なお、レンズホルダ110へのレンズ部2の固定方法は、接着に限定されず、他の方法であってもよい。
【0039】
レンズホルダ110は、例えば、ポリアリレート(PAR)又はPARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)からなる成形材料で形成される。これにより、従来の成形材料、例えば、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)よりもウェルド強度が高まるので、レンズホルダ110を薄肉化しても靭性及び耐衝撃性を確保できる。したがって、光学素子駆動装置1の外形サイズを小さくでき、小型化及び軽量化が図れる。
【0040】
レンズホルダ110は、レンズ保持部110aの外周面の上部及び下部の各々から径方向外側に突出する上側フランジ及び下側フランジ(図示略)を有し、外周面における上側フランジと下側フランジとの間は、全周にわたり連続した溝となっている。すなわち、レンズホルダ110は、ボビン構造を有する。レンズホルダ110の外周面における溝には、AFコイル部111が配置される。
【0041】
AFコイル部111は、ピント合わせ時に通電されるコイルである。AFコイル部111の両端は、レンズホルダ110に設けられた絡げ部(図示略)に絡げられている。
【0042】
[AF保持部12について]
AF保持部12は、AF板バネ支持部13によりAFピント合わせ部11を光軸方向に移動可能に支持する。AF保持部12は、収容部としてのマグネットホルダ12a及びマグネット部125を有する。
【0043】
マグネットホルダ12aは、Z方向からの平面視で正方形の四角筒状である。マグネットホルダ12aは、レンズホルダ110の外周を囲い、レンズホルダ110を収容する。マグネットホルダ12aは、内周面において四隅に対応する部分に、マグネット部125を配置するマグネット配置部を有する。マグネットホルダ12a及びマグネット配置部に装着されたマグネット部125により画定される内側の空洞部は、AFピント合わせ部11を収容するレンズホルダ収容開口部を構成する。
【0044】
マグネットホルダ12aの外周面における4つ角の隅部に各々対応して、径方向内側に凹んだ溝が形成されている。各溝には、サスペンションワイヤ30が配置されている。この溝には、ダンパ材(例えばシリコーンゲル)を配置してよく、ダンパ材の配置により、不要共振(高次の共振モード)の発生を抑制して、OISの動作が安定化できる。
【0045】
マグネットホルダ12aにおいて、Z方向-側の端面(裏面)には、下側板バネ部材13bが固定され、Z方向+側の面(表面)には、上側板バネ部材13aが固定されている。
【0046】
ここでは、マグネットホルダ12aは、レンズホルダ110と同様に、ポリアリレート(PAR)又はPARを含む複数の樹脂材料を混合したPARアロイ(例えば、PAR/PC)からなる成形材料で形成されている。これにより、ウェルド強度が高まるので、マグネットホルダ12aを薄肉化しても、靭性及び耐衝撃性が確保できる。したがって、光学素子駆動装置1の外形サイズが小さくでき、小型化及び低背化が図れる。
【0047】
マグネット部125は、4つの矩形柱状の永久磁石(マグネットの一例)を有する。マグネット部125は、マグネット配置部に、例えば接着により固定されている。ここでは、マグネット部125は、平面視で、略等脚台形状を有する。
【0048】
これにより、マグネットホルダ12aの4つ角の各隅部のスペース(具体的にはマグネット配置部)が有効利用できる。マグネット部125は、AFコイル部111を径方向に横切り、且つ、OISコイル部22を光軸方向に横切った磁界が形成されるように着磁される。ここでは、マグネット部125は、内周側がN極に着磁され、外周側がS極に着磁されている。
【0049】
マグネット部125のZ方向-側の端面(裏面)は、マグネットホルダ12aよりもZ方向-側に突出する。すなわち、OIS補正部10の高さは、マグネット部125によって規定されている。これにより、磁力を確保するためのマグネット部125のサイズに応じてOIS補正部10の高さが最小限に抑えられ、光学素子駆動装置1の低背化が図れる。
【0050】
以上のようなマグネット部125及びAFコイル部111によって、AF用ボイスコイルモーター(AF駆動部)が構成されている。また、マグネット部125は、AFマグネット部とOISマグネット部とに兼用されている。
【0051】
[AF板バネ支持部13について]
AF板バネ支持部13は、AF保持部12に対してAFピント合わせ部11を弾性的に支持する。AF板バネ支持部13は、上側板バネ部材13a及び下側板バネ部材13bを有する。ここでは、上側板バネ部材13a及び下側板バネ部材13bを構成する板バネは、例えば、ベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレスからなる。
【0052】
上側板バネ部材13aは、マグネットホルダ12aに搭載され、レンズホルダ110をレンズホルダ110の上方向の開口側から支持している。上側板バネ部材13aは、外側でマグネットホルダ12aのZ方向+側の面(表面)に固定され、内側でレンズホルダ110のZ方向+側の面(表面)に固定されている。上側板バネ部材13aにおいて、外側と内側との中間部分に延びるアーム形状が弾性変形可能であり、これにより、上側板バネ部材13aの内側部分は上側板バネ部材13aの外側部分に対してZ方向に相対変位可能である。
【0053】
上側板バネ部材13aは、AF制御部(図示略)への給電経路として使用されるサスペンションワイヤ30と接続される給電経路部分と、AF制御部(図示略)に制御信号を伝達する信号経路として使用されるサスペンションワイヤ30と接続される信号経路部分と、に分離している。給電経路部分を構成する上側板バネ部材13aは、マグネットホルダ12aに設けられた絡げ部で、はんだによりAFコイル部111に接続されている。なお、本実施形態では、上側板バネ部材13aを2つに分離して半体に構成したが、更に分離することも可能である。
【0054】
下側板バネ部材13bは、外側でマグネットホルダ12aのZ方向-側の面(裏面)に固定され、内側でレンズホルダ110のZ方向-側の面(裏面)に固定されている。下側板バネ部材13bにおいて、外側と内側との中間部分に延びるアーム形状が弾性変形可能であり、これにより、下側板バネ部材13bの内側部分が下側板バネ部材13bの外側部分に対してZ方向に相対変位可能である。
【0055】
[OIS基礎部20について]
OIS基礎部20は、サスペンションワイヤ30によりOIS補正部10を光軸直交方向に揺動可能に支持する。OIS基礎部20は、OISコイル部22、磁気センサー部23、保護部材24、固定部としてのベース部材25及び配線部材27を有する。
【0056】
[OISコイル部22について]
OIS基礎部20は、Z方向(光軸方向)においてマグネット部125に対向する四隅各々の位置にOISコイル部22を有する。OISコイル部22は、振れ補正時に通電されるコイルである。OISコイル部22は、マグネット部125に対応して4つ設けられる。4つのOISコイル部22は、ここでは、空芯コイルである。
【0057】
OISコイル部22のそれぞれの長辺部分を、マグネット部125の底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、OISコイル部22及びマグネット部125の大きさや配置が設定される。マグネット部125とOISコイル部22との組合せは、OIS用ボイスコイルモーター(OIS駆動部)を構成する。
【0058】
各OISコイル部22の両端に各々設けられたリード線の端部は、ベース部材25に設けられた配線部材27のコイル用端子要素27a1(コイル用端子の一例)に、はんだにより接続されている。すなわち、各OISコイル部22は、基板を介さず直接的にコイル用端子要素27a1に接続されている。ベース部材25には、各OISコイル部22を配置するためのコイル用凹部(第二凹部の一例)252が設けられており、各OISコイル部22は、四隅のコイル用凹部252に各々配置されている。ベース部材25への各OISコイル部22の配置等の詳細については後述する。
【0059】
[磁気センサー部23について]
OIS基礎部20は、四隅のうちの第一隅部及び第四隅部において、対応するOISコイル部22の中央の空洞部内に磁気センサー部23を有する。磁気センサー部23は、マグネット部125によって形成される磁界をホール素子によって検出することにより特定されるOIS補正部10の光軸直交面における位置を検出する。その特定は、光軸直交面におけるマグネット部125とホール素子との相対位置に基づく。磁気センサー部23は、ホール素子チップアセンブリを有する。ホール素子チップアセンブリは、ホール素子(磁気センサーの一例)と、ホール素子のチップが実装された磁気センサー基板と、を有する。磁気センサー基板は、例えばプリント基板(PWB:Printed Wiring Board)である。
【0060】
ホール素子は、磁気センサー基板の主面の中央部に設けられ、その周辺部には、基板側端子部が設けられている。基板側端子部は、ベース部材25に設けられた配線部材27の基板用端子要素27b1(基板用端子の一例)に、はんだにより接続されている。すなわち、各ホール素子は、磁気センサー基板を介して基板用端子要素27b1に接続されている。ベース部材25には、各ホール素子チップアセンブリを配置するための基板用凹部(第一凹部の一例)が設けられている。各ホール素子チップアセンブリは、四隅の基板用凹部に各々配置されている。
【0061】
[ベース部材25について]
ベース部材25は、光路又は光軸が通過する中央開口部250を有する平面視正方形の部材である。ベース部材25は、レンズホルダ110及びマグネットホルダ12aを双方の下方向の開口側から支持している。ベース部材25は、合成樹脂などの非導電性材料、例えば、液晶ポリマー(LCP:Liquid Crystal Polymer)からなる。ベース部材25には、配線部材27がインサート成型されている。配線部材27は、ベース部材25に設けられる電気部品の一例である。
【0062】
配線部材27は、ベース部材25にインサート成型された金属製の板状部材である。配線部材27は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等の導電性材料からなる。
【0063】
配線部材27は、コイル用端子部材と、基板用端子部材と、ワイヤ用端子部材と、を含む。
【0064】
コイル用端子部材は、コイル用端子要素27a1と、コイル用端子接続部27a2と、を有する。コイル用端子要素27a1は、ベース部材25に設けられたコイル用凹部252の底部で上方に露出している。コイル用端子要素27a1は、コイル用凹部252に配置されたOISコイル部22のリード線に、はんだにより直接接続されている。コイル用端子接続部27a2は、ベース部材25の外縁から突出して、外部のイメージセンサー基板501に接続可能とされている。コイル用端子部材において、ベース部材25から露出又は突出している部分以外の部分は、ベース部材25の内部に埋設されている。
【0065】
基板用端子部材は、基板用端子要素27b1と、基板用端子接続部27b2と、を有する。基板用端子要素27b1は、ベース部材25に設けられた基板用凹部の底部で上方に露出している。基板用端子要素27b2は、基板用凹部に配置された磁気センサー部23のホール素子チップアセンブリの基板側端子部に、はんだにより直接接続されている。基板用端子接続部27b2は、ベース部材25の外縁から突出して、外部のイメージセンサー基板501に接続可能とされている。基板用端子部材において、ベース部材25から露出又は突出している部分以外の部分は、ベース部材25の内部に埋設されている。
【0066】
ワイヤ用端子部材は、ワイヤ用端子要素27c1と、ワイヤ用端子接続部27c2と、を有する。ワイヤ用端子要素27c1は、ベース部材25の四隅に位置するワイヤ配線接続用凹部254の底部254aで下方に露出されるよう配置され、自身に形成された挿通孔に挿通されたサスペンションワイヤ30の下端に、はんだにより直接接続されている。ワイヤ用端子接続部27c2は、ベース部材25の外縁から突出して、外部のイメージセンサー基板501に接続可能とされている。ワイヤ用端子部材において、ベース部材25から露出又は突出している部分以外の部分は、ベース部材25の内部に埋設されている。なお、ワイヤ用端子部材において、ベース部材25から露出又は突出している部分は、光学素子駆動装置1の組立時においては外部に曝されるが、完成時においては樹脂製のシール材28等により被覆されることが好ましい。
【0067】
[保護部材24について]
保護部材24は、ベース部材25において中央開口部250を囲む領域を被覆するように設けられる。保護部材24は、樹脂材料等の非導電材料からなる薄型のプレート部材又はフィルム部材である。保護部材24は、OISコイル部22の配置領域を完全に覆うため、保護部材24は、Z方向においてOISコイル部22とマグネット部125との間に介在する。よって、外部からの衝撃に伴ってOISコイル部22とマグネット部125とが衝突することが防止できる。また、金属製であるOISコイル部22に対して、同じく金属製である下側板バネ部材13bを接触させてしまった時のショートが発生することも防止できる。
【0068】
[サスペンションワイヤ30について]
サスペンションワイヤ30は、Z方向に沿って延在する弾性棒状部材である。サスペンションワイヤ30は、マグネットホルダ12aの4つ角の隅部に各々対応して2本の群として配置されている。なお、サスペンションワイヤ30は、マグネットホルダ12aの4つ角の隅部に各々対応して3本以上の群として配置されてもよい。各サスペンションワイヤ30において、一端(下端)は、OIS基礎部20に固定され、他端(上端)はOIS補正部10(具体的には、上側板バネ部材13a)に固定されている。OIS補正部10は、サスペンションワイヤ30によって、光軸直交面内で揺動可能に支持されている。
【0069】
サスペンションワイヤ30は、ベース部材25と上側板バネ部材13aとの間に延伸され、マグネットホルダ12aを支持している。マグネットホルダ12aの4つ角の隅部に各々配置されたサスペンションワイヤ30の群は、同一の上側板バネ部材13aに接続されている。マグネットホルダ12aの4つ角の隅部に各々配置されたサスペンションワイヤ30の群は、レンズ部2の光軸から等距離に並んでいる。
【0070】
ここでは、サスペンションワイヤ30は、4つ角の隅部に各々対応して一対ずつ配置される。このような配置では、4つ角の隅部に各々対応して一本ずつ配置する場合に比べて、一本当たりのばね定数をより低くしても(換言すれば、可撓性をより高くしても)、同じ重量のOIS補正部10が支持できる。これにより、安定的な支持性能と振れ補正での揺動性能との両立が図れる。また、個々のサスペンションワイヤ30に応力が集中し難くなるため、耐久性の向上も図れる。
【0071】
4つ角の隅部に各々対応して配置されるサスペンションワイヤ30は、全て又は選択的にAFコイル部111への給電経路として使用される。なお、サスペンションワイヤ30の本数は、8本に限定されず、OIS補正部10を揺動可能に支持する性能が維持される限り、8本より多くてもよい。
【0072】
[ベース部材25のワイヤ配線接続用凹部254について]
ベース部材25の底面側の四隅には、ワイヤ配線接続用凹部254が形成されている。ワイヤ配線接続用凹部254は、Z方向において-側から+側に向かって凹む形状であり、ワイヤ配線接続用凹部254の底部254aとベース部材25の底面とで上下に段差を形成している。ワイヤ配線接続用凹部254の底部254a上では、配線部材27のワイヤ用端子要素27c1と各サスペンションワイヤ30の下端部とが接続するワイヤ配線接続部40が下方に露出している。
【0073】
光学素子駆動装置1の組付の際、ワイヤ配線接続用凹部254の空間は、サスペンションワイヤ30の下端を配線部材27のワイヤ用端子要素27c1に接続(はんだ付け)するための作業スペースとなる。したがって、仮にこの作業スペースが著しく狭ければ、サスペンションワイヤ30と配線部材27との接続作業がしづらくなり、また、ワイヤ配線接続用凹部254の側壁254bがワイヤ配線接続部40に近接した位置となり接続作業時にワイヤ配線接続部40に加えられる熱の影響を受けやすくなる。一方、仮にこの作業スペースが著しく広ければ、光学素子駆動装置1の小型化を維持しつつ、ベース部材25に対して配線部材27を位置決めする構成が困難となる。
【0074】
そこで、本実施形態では、作業スペースを囲むワイヤ配線接続用凹部254の側壁254bを、波形形状とした。
【0075】
具体的には、側壁254bは、隅部内のワイヤ並び方向において、2本のサスペンションワイヤ30の夫々に対応する位置で、サスペンションワイヤ30を迂回するように円弧状に窪む窪み部254b1と、隅部内のワイヤ並び方向において、隣接するサスペンションワイヤ30間の隙間に向かって突出する突出部254b2と、を交互に有する形状となっている。
【0076】
この形状により、側壁254bが個々のサスペンションワイヤから一定程度離間するため、サスペンションワイヤ30が配線部材27に接続される際に個々のサスペンションワイヤ30の周囲に伝わる熱の影響を、側壁254bが受けにくくなる。よって、望ましくない変形が側壁254bに生じるおそれがない。しかも、隣接するサスペンションワイヤ30の間の部分では、隙間に向かって突出しており、単純に配線部材27の露出面積を増やす形状ではないため、ベース部材25の平面面積を著しく増大させるおそれもない。したがって、光学素子駆動装置1、並びにこれを備えるカメラモジュールA及びカメラ搭載装置の小型化と量産性とを両立することができる。
【0077】
また、この形状を利用して、窪み部254b1はZ方向で配線部材27のワイヤ用端子要素27c1に重ならず、突出部254b2はZ方向で配線部材27のワイヤ用端子要素27c1に重なるようにしてもよい。この場合、サスペンションワイヤ30が配線部材27に接続される際にワイヤ用端子要素27c1に伝わる熱の影響を、窪み部254b1が受けにくくなる。すなわち、側壁254bに対する熱の影響をさらに低減させることができる。
【0078】
この場合はさらに、突出部254b2がワイヤ用端子要素27c1に重なることで、配線部材27をワイヤ配線接続用凹部254の底部254aに対して押さえ付けることが可能となる。したがって、側壁254bを配線部材27のZ方向における位置決めとして機能させることができる。
【0079】
以上説明した通り、本実施形態では、光学素子駆動装置1は、レンズ部2を保持可能なレンズホルダ110及びレンズホルダ110を収容するマグネットホルダ12aを、ベース部材25の上方でAF板バネ支持部13及びサスペンションワイヤ30により支持し、OIS補正部10及びAFピント合わせ部11の駆動により移動させる構成である。かかる構成において、サスペンションワイヤ30は、互いに並んで配置され、ベース部材25とマグネットホルダ12aとを夫々連結し、ベース部材25の配線部材27に夫々接続される、複数本のサスペンションワイヤ30を少なくとも一組有する。ベース部材25は、上下方向(Z方向)で凹み、その底部254a上で配線部材27と各サスペンションワイヤ30との接続部(ワイヤ配線接続部40)を露出させるワイヤ配線接続用凹部254を有し、ワイヤ配線接続用凹部254の側壁254bは、複数本のサスペンションワイヤ30の並ぶ方向において各サスペンションワイヤ30に対応する位置にある第1部分(窪み部254b1)と、隣接する第1部分(窪み部254b1)の間の位置にある第2部分(突出部254b2)と、を有し、第1部分(窪み部254b1)では対応するサスペンションワイヤ30を迂回するように窪み、第2部分(突出部254b2)では隣接するサスペンションワイヤ30の間の隙間に向かって突出する形状を有する。
【0080】
この構成によれば、先述した通り、光学素子駆動装置1、並びにこれを備えるカメラモジュールA及びカメラ搭載装置の小型化と量産性とを両立することができる。
【0081】
また、本実施形態では、側壁254bは、第1部分(窪み部254b1)では上下方向(Z方向)で配線部材27に重ならず、第2部分(突出部254b2)では上下方向(Z方向)で配線部材27に重なる。
【0082】
この構成によれば、先述した通り、側壁254bを配線部材27のZ方向における位置決めとして機能させることができ、これにより、光学素子駆動装置1、並びにこれを備えるカメラモジュールA及びカメラ搭載装置の小型化と量産性とを両立させる効果をさらに高めることができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態について説明した。上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明は、主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 光学素子駆動装置
2 レンズ部(光学素子)
3 カバー
5 撮像部
10 OIS補正部(駆動部)
11 AFピント合わせ部(駆動部)
12 AF保持部
12a マグネットホルダ(収容部)
13 AF板バネ支持部(支持部)
13a 上側板バネ部材(板バネ部材)
13b 下側板バネ部材
20 OIS基礎部
22 OISコイル部
23 磁気センサー部
24 保護部材
25 ベース部材(固定部)
27 配線部材(電気部品)
27a1 コイル用端子要素
27a2 コイル用端子接続部
27b1 基板用端子要素
27b2 基板用端子接続部
27c1 ワイヤ用端子要素
27c2 ワイヤ用端子接続部
28 シール材
30 サスペンションワイヤ(ワイヤ部材、支持部)
40 ワイヤ配線接続部
110 レンズホルダ(可動部)
110a レンズ保持部
110a1 レンズ収容開口部
111 AFコイル部
125 マグネット部
250 中央開口部
252 コイル用凹部
254 ワイヤ配線用凹部
254a 底部
254b 側壁
254b1 窪み部(第1部分)
254b2 突出部(第2部分)
301 開口部
501 イメージセンサー基板
502 撮像素子
503 制御部