(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099339
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】平型ショーケース
(51)【国際特許分類】
A47F 3/04 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A47F3/04 H
A47F3/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003207
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸嗣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 敬春
【テーマコード(参考)】
3B110
【Fターム(参考)】
3B110AA11
3B110BA04
3B110CA02
3B110CA19
(57)【要約】
【課題】コーナーカバーがビスで固定されている平型ショーケースにおいて、ビスを見えなくして意匠性(見栄え)が損なわれることを防ぐとともに、ビス周辺への汚れの膠着を防いで清掃性と衛生性の向上を図る。
【解決手段】本発明の平型ショーケースでは、支柱19の上面及び外側面と、透明板14の突き合わせ部分の各外側面を覆うように支柱19に装着されるコーナーキャップ21と、支柱19の基端部外側のケース本体1の上端面に設けられ、隣り合う手摺モール15・15の突き合わせ部分に固定されるコーナーカバー20と、コーナーカバー20の上方からねじ込まれて、該コーナーカバー20をケース本体1の上端面に締結固定するためのカバービス42とを備えるものとし、支柱19に対してコーナーキャップ21を装着したとき、コーナーキャップ21によりコーナーカバー20の上面に位置するカバービス42の操作頭部42aが覆い隠されるように構成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の上方開口を有するケース本体(1)と、
四角枠状のケース本体(1)の上端面の各辺部に沿って立設される透明板(14)と、
透明板(14)の基端部外側に沿ってケース本体(1)の上端面に固定される手摺モール(15)と、
ケース本体(1)の上端面の各コーナー部に設けられ、隣り合う透明板(14・14)の突き合わせ部分を支持する支柱(19)と、
支柱(19)の上面及び外側面と、透明板(14・14)の突き合わせ部分の各外側面を覆うように支柱(19)に装着されるコーナーキャップ(21)と、
支柱(19)の基端部外側のケース本体(1)の上端面に設けられ、隣り合う手摺モール(15・15)の突き合わせ部分に固定されるコーナーカバー(20)と、
コーナーカバー(20)の上方からねじ込まれて、該コーナーカバー(20)をケース本体(1)の上端面に締結固定するためのカバービス(42)と、
を備え、
支柱(19)に対してコーナーキャップ(21)を装着したとき、当該コーナーキャップ(21)が、コーナーカバー(20)の上面に位置するカバービス(42)の操作頭部(42a)を覆い隠すように構成されていることを特徴とする平型ショーケース。
【請求項2】
手摺モール(15)は、ケース本体(1)の上端面を覆うモール主壁(15a)を備えており、
手摺モール(15・15)の突き合わせ部分に、カバービス(42)がねじ込まれるカバーブラケット(41)が設けられており、
カバーブラケット(41)は、手摺モール(15・15)の突き合わせ部分の各モール主壁(15a・15a)の端部に跨るように設けられて、モール主壁(15a)の下面側に配置されており、
コーナーカバー(20)は、各モール主壁(15a・15a)の端部に上方から重畳する状態でケース本体(1)の上端面を覆うカバー主壁(39)を備えており、
カバー主壁(39)とカバーブラケット(41)とにより手摺モール(15・15)の突き合わせ部分の各モール主壁(15a・15a)を上下に挟持する状態で、コーナーカバー(20)がカバーブラケット(41)にカバービス(42)で締結固定されている請求項1に記載の平型ショーケース。
【請求項3】
手摺モール(15)のモール主壁(15a)、及びコーナーカバー(20)のカバー主壁(39)が、平坦な水平壁で構成されている請求項2に記載の平型ショーケース。
【請求項4】
コーナーキャップ(21)は、支柱(19)の上面及び透明板(14・14)の突き合わせ部分の各上面を覆う上キャップ壁(48)と、上キャップ壁(48)から下方に伸びて、支柱(19)の外側面及び透明板(14・14)の突き合わせ部分の各外側面を覆う外キャップ壁(49)と、上キャップ壁(48)から下方に伸びて、支柱(19)の内側面を覆う固定片(50)と、外キャップ壁(49)の下端面よりも下方に伸びる係合爪(51)とを備えており、
コーナーカバー(20)に、係合爪(51)が上方から差込み係合される係合孔(55)が形成されており、
コーナーキャップ(21)が、固定片(50)を介して支柱(19)にねじ込まれるキャップビス(54)で支柱(19)に固定されるとともに、外キャップ壁(49)の下端面がコーナーカバー(20)の上面と密接する状態で、係合孔(55)に係合する係合爪(51)でコーナーカバー(20)に固定されている請求項1に記載の平型ショーケース。
【請求項5】
支柱(19)は、ケース本体(1)の上端面から立設されて、透明板(14・14)の突き合わせ部分の各内側端部に接する柱本体(24)と、柱本体(24)に対して近接離間方向に移動可能に設けられ、透明板(14・14)の突き合わせ部分の各外側端部に接する押えプレート(25)と、柱本体(24)に対して押えプレート(25)を近接離間方向に操作する締付構造とを備えており、
締付構造で柱本体(24)側に引き寄せられた押えプレート(25)と柱本体(24)とで内外に挟持されることで、透明板(14・14)が支柱(19)で支持される請求項1に記載の平型ショーケース。
【請求項6】
締付構造は、押えプレート(25)に設けられるねじ孔(34)と、支柱(19)の内面側から柱本体(24)に設けられたビス通孔(36)を水平方向に貫通してねじ孔(34)にねじ込まれる締付ビス(35)とを含み、締付ビス(35)の操作頭部(35a)が支柱(19)の内面側の柱本体(24)の表面に配置されており、
締付ビス(35)の操作頭部(35a)を含む支柱(19)の内面側の柱本体(24)の表面を覆い隠す内カバー(59)が支柱(19)に設けられている請求項5に記載の平型ショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平型ショーケースに関し、なかでも上方開口を有するケース本体の上端面に透明板が立設される平型ショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
平型ショーケースにおいて透明板を立設することは、例えば特許文献1に公知である。特許文献1の平型ショーケースでは、貯蔵室を区画するケース本体(本体)の開口縁の各辺部に透明板(透明壁)がそれぞれ立設されており、透明板の基端部外側には手摺モール(ハンドレール)が取り付けられている。隣り合う透明板及び手摺モールの突き合わせ部分、すなわちケース本体の各コーナー部には、透明板を支持する支柱と、手摺モールの突き合わせ部分の外側を覆うコーナーカバーとが設けられている。支柱の外側はコーナーキャップでカバーされており、このコーナーキャップは貯蔵室側から支柱の上端にねじ込まれるビスで支柱に固定される。コーナーカバーは、ハンドレールに対して係合し、さらにコーナーキャップで上方から押えられることでハンドレールの突き合わせ部分に固定される。同様の構成の平型ショーケースは特許文献2にも開示されており、この特許文献2のコーナーカバーは、同カバーの外面側から手摺モールにビスで固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-196980号公報
【特許文献2】特開平3-106310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のコーナーカバーは、平型ショーケースの角部を保護するためのものであるため、買い物客や商品カートに接触されやすいが、先の特許文献1の平型ショーケースでは、接触による衝撃がコーナーカバーに加わると、コーナーカバーを手摺モールに固定するための係合構造が解除され、コーナーカバーが分離するおそれがある。特許文献2の平型ショーケースのコーナーカバーは、ビスで固定されているため、コーナーカバーに衝撃が加わった場合にも分離し難いが、コーナーカバーの外面側からねじ込まれたビスが買い物客に目視されることによって平型ショーケースの意匠性が損なわれる不利がある。また、コーナーカバーの締結面とビスの操作頭部との入隅部やビスの操作溝に汚れが膠着しやすく、清掃に手間が掛かる点や不衛生となりやすい点に不利がある。
【0005】
本発明は、コーナーカバーがビスで固定されている平型ショーケースにおいて、ビスを見えなくして意匠性(見栄え)が損なわれることを防ぐとともに、ビス周辺への汚れの膠着を防いで清掃性と衛生性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の平型ショーケースは、四角形状の上方開口を有するケース本体1と、四角枠状のケース本体1の上端面の各辺部に沿って立設される透明板14と、透明板14の基端部外側に沿ってケース本体1の上端面に固定される手摺モール15と、ケース本体1の上端面の各コーナー部に設けられ、隣り合う透明板14・14の突き合わせ部分を支持する支柱19と、支柱19の上面及び外側面と、透明板14・14の突き合わせ部分の各外側面を覆うように支柱19に装着されるコーナーキャップ21と、支柱19の基端部外側のケース本体1の上端面に設けられ、隣り合う手摺モール15・15の突き合わせ部分に固定されるコーナーカバー20と、コーナーカバー20の上方からねじ込まれて、該コーナーカバー20をケース本体1の上端面に締結固定するためのカバービス42とを備える。そして、支柱19に対してコーナーキャップ21を装着したとき、当該コーナーキャップ21が、コーナーカバー20の上面に位置するカバービス42の操作頭部42aを覆い隠すように構成されていることを特徴とする。
【0007】
手摺モール15は、ケース本体1の上端面を覆うモール主壁15aを備えており、手摺モール15・15の突き合わせ部分に、カバービス42がねじ込まれるカバーブラケット41が設けられている。カバーブラケット41は、手摺モール15・15の突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aの端部に跨るように設けられて、モール主壁15aの下面側に配置されている。コーナーカバー20は、各モール主壁15a・15aの端部に上方から重畳する状態でケース本体1の上端面を覆うカバー主壁39を備えている。カバー主壁39とカバーブラケット41とにより手摺モール15・15の突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aを上下に挟持する状態で、コーナーカバー20がカバーブラケット41にカバービス42で締結固定されている。
【0008】
手摺モール15のモール主壁15a、及びコーナーカバー20のカバー主壁39が、平坦な水平壁で構成されている。
【0009】
コーナーキャップ21は、支柱19の上面及び透明板14・14の突き合わせ部分の各上面を覆う上キャップ壁48と、上キャップ壁48から下方に伸びて、支柱19の外側面及び透明板14・14の突き合わせ部分の各外側面を覆う外キャップ壁49と、上キャップ壁48から下方に伸びて、支柱19の内側面を覆う固定片50と、外キャップ壁49の下端面よりも下方に伸びる係合爪51とを備えている。コーナーカバー20に、係合爪51が上方から差込み係合される係合孔55が形成されている。コーナーキャップ21が、固定片50を介して支柱19にねじ込まれるキャップビス54で支柱19に固定されるとともに、外キャップ壁49の下端面がコーナーカバー20の上面と密接する状態で、係合孔55に係合する係合爪51でコーナーカバー20に固定されている。
【0010】
支柱19は、ケース本体1の上端面から立設されて、透明板14・14の突き合わせ部分の各内側端部に接する柱本体24と、柱本体24に対して近接離間方向に移動可能に設けられ、透明板14・14の突き合わせ部分の各外側端部に接する押えプレート25と、柱本体24に対して押えプレート25を近接離間方向に操作する締付構造とを備えている。締付構造で柱本体24側に引き寄せられた押えプレート25と柱本体24とで内外に挟持されることで、透明板14・14が支柱19で支持される。
【0011】
締付構造は、押えプレート25に設けられるねじ孔34と、支柱19の内面側から柱本体24に設けられたビス通孔36を水平方向に貫通してねじ孔34にねじ込まれる締付ビス35とを含み、締付ビス35の操作頭部35aが支柱19の内面側の柱本体24の表面に配置されている。締付ビス35の操作頭部35aを含む支柱19の内面側の柱本体24の表面を覆い隠す内カバー59が支柱19に設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明のように、支柱19に対してコーナーキャップ21を装着したとき、当該コーナーキャップ21が、コーナーカバー20の上面に位置するカバービス42の操作頭部42aを覆い隠すように構成されていると、カバービス42の操作頭部42aが平型ショーケースの外面に露出することを解消することができるので、コーナーカバー20を固定するカバービス42が目視されることにより意匠性が低下することを防ぐことができる。別途専用の部材を設けることなく、支柱19の外側面を覆うコーナーキャップ21を利用するので、構造が煩雑化することを防ぐこともできる。汚れが膠着しやすい部分が外面に露出しないため、清掃の手間を省き汚れ残りも防いで清掃性の向上を図ることができる。汚れの膠着を防ぐことができるので衛生性の向上を図ることもできる。以上より、本発明によれば、コーナーカバー20をカバービス42で固定してなる平型ショーケースにおいて、意匠性(見栄え)が損なわれることを防ぐとともに、ビス周辺への汚れの膠着を防いで清掃性と衛生性の向上を図ることができる。
【0013】
例えばコーナーカバーを手摺モールに直接締結する構成を採った場合には、コーナーカバーに大きな衝撃が作用したときに手摺モールがずれ動く、或いは手摺モールが破損するおそれがある。これに対して、本発明のように、コーナーカバー20のカバー主壁39とカバーブラケット41とにより、手摺モール15・15の突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aを上下に挟持する状態で、コーナーカバー20がカバーブラケット41にカバービス42で締結固定されていると、手摺モール15に対してコーナーカバー20が挟持方向に直交する方向にずれ動くことができる余地を与えることができるので、コーナーカバー20に作用する衝撃が手摺モール15に直接及ぶことを防ぐことができる。これにより手摺モール15がずれ動く、或いは手摺モール15が破損することを防ぐことができる。
【0014】
手摺モール15のモール主壁15a、及びコーナーカバー20のカバー主壁39が、平坦な水平壁で構成されていると、これらが外突状或いは内凹み状の曲面壁で形成されている場合に比べて、ケース本体1の上端面の外観上の印象をシャープ且つシンプルなものにして、平型ショーケースの意匠性の向上を図ることができる。
【0015】
コーナーキャップ21は、支柱19の上面及び透明板14・14の突き合わせ部分の各上面を覆う上キャップ壁48と、上キャップ壁48から下方に伸びて、支柱19の外側面及び透明板14・14の突き合わせ部分の各外側面を覆う外キャップ壁49と、上キャップ壁48から下方に伸びて、支柱19の内側面を覆う固定片50と、外キャップ壁49の下端面よりも下方に伸びる係合爪51とを備えており、コーナーカバー20に、係合爪51が上方から差込み係合される係合孔55が形成されており、コーナーキャップ21が、固定片50を介して支柱19にねじ込まれるキャップビス54で支柱19に固定されるとともに、外キャップ壁49の下端面がコーナーカバー20の上面と密接する状態で、係合孔55に係合する係合爪51でコーナーカバー20に固定されている形態を採ることができる。このような構成によれば、支柱19の内外に配置される固定片50と外キャップ壁49とを固定することで、支柱19にコーナーキャップ21を強固に固定することができる。また、コーナーキャップ21に外力が加わった場合でも、係合孔55に係合する係合爪51で外キャップ壁49の下端がコーナーカバー20から浮き離れるのを防ぐことができるので、外キャップ壁49の下端とコーナーカバー20との間に隙間が形成されることによる意匠性の低下を防ぐことができる。
【0016】
支柱19は、ケース本体1の上端面から立設されて、透明板14・14の突き合わせ部分の各内側端部に接する柱本体24と、柱本体24に対して近接離間方向に移動可能に設けられ、透明板14・14の突き合わせ部分の各外側端部に接する押えプレート25と、柱本体24に対して押えプレート25を近接離間方向に操作する締付構造とを備えるものとしていると、締付構造で柱本体24と押えプレート25との距離を透明板14の厚みより僅かに大きくしたうえで、これら押えプレート25と柱本体24との間に透明板14を配置するだけで、支柱19に対して透明板14を仮保持させることができる。また、締付構造で柱本体24側に引き寄せられた押えプレート25と柱本体24とで内外に挟持されることで、透明板14・14が支柱19で支持されるように構成されていると、前記仮保持状態から締付構造により、押えプレート25を柱本体24側に引き寄せることで、透明板14を柱本体24と押えプレート25との間に挟持させて、支柱19に対して透明板14を固定することができる。したがって、支柱19に対する透明板14の一連の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0017】
締付構造は、押えプレート25に設けられるねじ孔34と、支柱19の内面側から柱本体24に設けられたビス通孔36を水平方向に貫通してねじ孔34にねじ込まれる締付ビス35とを含み、締付ビス35の操作頭部35aが支柱19の内面側の柱本体24の表面に配置されており、締付ビス35の操作頭部35aを含む支柱19の内面側の柱本体24の表面を覆い隠す内カバー59が支柱19に設けられていると、締付構造を構成する締付ビス35の操作頭部35aを含む支柱19の内面側を内カバー59で隠蔽することができるので、支柱19の内面側の意匠性(見栄え)を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る平型ショーケースの縦断面図であり、
図4におけるA-A線断面を示している。
【
図2】平型ショーケースの全体を示す斜視図、及びコーナー部の拡大図である。
【
図3】平型ショーケースの縦断面図であり、
図4におけるB-B線断面を示している。
【
図4】平型ショーケースのコーナー部の横断平面図である。
【
図5】支柱及びコーナーカバーを分解した状態を示す斜視図である。
【
図6】コーナーキャップを組み付ける前のコーナー部の横断平面図である。
【
図7】コーナーブラケットを配置した状態のコーナー部の横断平面図である。
【
図8】コーナーキャップを分解した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態)
図1から
図8に、本発明に係る平型ショーケースの実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、
図2から
図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において平型ショーケースは、左右方向に長い長方形状(四角形状)の上方開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の下側に配置される架台2とを備える。ケース本体1で囲まれる内部空間には、ケース本体1の前壁、底壁、及び後壁に正対する断面コ字状の仕切壁3が設けられており、仕切壁3の内方空間が商品の陳列室4を構成し、ケース本体1と仕切壁3との間に冷気ダクト5が形成される。仕切壁3の前壁上部には吹出口6が設けられ、仕切壁3の後壁上部には吸込口7が設けられる。
【0020】
架台2は冷凍機器を収納する機械室を兼ねており、架台2の内部には、図示しない圧縮機及び凝縮器と、これら圧縮機及び凝縮器を冷却する冷却ファンなどが設置されている。これら機器とともに冷凍機器を構成する蒸発器は、循環ファンとともに冷気ダクト5に設けられている。循環ファンが駆動されると、吸込口7から吸い込まれた陳列室4の空気が蒸発器で熱交換されて冷却され、冷却された空気が吹出口6から陳列室4へと吹き出される。
【0021】
図3に示すように、ケース本体1は、上方開口を有する四角箱状の外箱10及び内箱11と、これら両箱10・11の間に充填される断熱材12とで構成される。ケース本体1の四角枠状の上端面には、内箱11側が一段低い、段付き部13が周回状に設けられている。ケース本体1の上端面には、各辺部に沿って透明板14が上向きに立設されており、各透明板14の基端部外側には、透明板14に沿うように手摺モール15が固定されている(
図2参照)。透明板14は水平方向に長い長方形状のガラス板からなり、内箱11の上端に一体に形成された断面L字状の支持枠16により支持されている。支持枠16は、その水平壁で透明板14の下面を受け止め支持し、垂直壁で透明板14の下部外側を受け止め支持する。
図2等において符号14aは、透明板14の上端部を保護する保護モールを示す。
【0022】
手摺モール15はアルミニウムの押出し成形品からなり、水平壁からなるモール主壁15aと、モール主壁15aの下面において、内外の端部及び内外方向の中途部から下向きに伸びて、手摺モール15の強度を担保する3個の補強壁15bとで断面横臥E字状に形成されている(
図5参照)。手摺モール15は、両箱10・11の上縁間の隙間を覆うように、モール主壁15aが透明板14の外側と外箱10との間のケース本体1の上端面を被覆しており、不図示の固定具でケース本体1に固定されている。内外方向の中途部の補強壁15bは他の補強壁15bよりも長く形成されており、その先端側が断熱材12に食い込んでいる。また、内端部の補強壁15bは透明板14と当接しており、外端部の補強壁15bは外箱10の上端外面に重畳している。
【0023】
図4に示すように、ケース本体1の上端面の各辺部に沿って設けられる透明板14及び手摺モール15は、ケース本体1の上端面の各コーナー部で、その伸び方向が直角に公差する状態で突き合わせられている。各コーナー部において、透明板14・14の突き合わせ部分には、透明板14を支持する支柱19が設けられ、手摺モール15・15の突き合わせ部分には、ケース本体1のコーナー部上端を保護するコーナーカバー20が設けられている。また、支柱19にはコーナーキャップ21が装着される。コーナー部における両箱10・11の上縁間の隙間には、コーナーカバー20が被せられる。各コーナー部の構成は、四隅とも同一の構成であるため、以下では、ケース本体1の右前部分のコーナー部分について説明する。
【0024】
図1及び
図4に示すように、支柱19は、ケース本体1の上端面に立設されて、透明板14・14の突き合わせ部分の各内側端部に接する柱本体24と、柱本体24に対して近接離間方向(内外方向)に移動可能に設けられ、透明板14・14の突き合わせ部分の各外側端部に接する押えプレート25などを備える。柱本体24は、ケース本体1への固定を担う断面V字状の固定部26と、押えプレート25とともに透明板14の支持を担う支持部27と、固定部26と支持部27との間に設けられて、ケース本体1で受け止められる座部28とを備える。固定部26と支持部27とは、内外に異なる軸線上で上下に伸びており、座部28で連結されて一体的に構成される。
【0025】
図1及び
図6に示すように、支持部27は、上下に伸びる一対の受止壁27a・27aと、両壁27a・27aを連結する連結壁27bとを備える。一方の受止壁27aは前後に壁面を有し、その前壁面が前側の透明板14の内側右端部に接している。他方の受止壁27aは左右に壁面を有し、その右壁面が透明板14の内側前端部に接している。連結壁27bは、一対の受止壁27a・27aに対して傾斜する傾斜壁で形成されている。ケース本体1に対して支柱19は、ケース本体1のコーナー部分において、段付き部13の下面、すなわち内箱11の支持枠16の水平壁で座部28が受け止め支持された状態で、固定部26が段付き部13よりも下側の内箱11に固定ビス29により締結固定されている(
図3参照)。仕切壁3を取り付けた状態において、固定部26及び座部28は仕切壁3で覆い隠される。
【0026】
図5及び
図6に示すように、押えプレート25は、支持部27とともに透明板14の支持を担う、上下に長い一対の押圧板32と、両押圧板32・32の間に形成されて支柱19への固定を担う締結板33とを備える。一方の押圧板32は前後に板面を有し、その後板面が前側の透明板14の外側右端部に接し、他方の押圧板32は左右に板面を有し、その左板面が透明板14の外側前端部に接する。締結板33は、これら一対の押圧板32・32に対して傾斜する傾斜壁で形成されている。締結板33の中央には、透明板14を支持するための締付構造を構成するねじ孔34が形成されている。
【0027】
押えプレート25は、ねじ孔34とともに締付構造を構成する締付ビス35により、支柱19の柱本体24に対して近接離間方向に移動可能に設けられる。締付ビス35は、連結壁27bに形成されたビス通孔36を水平方向に貫通してねじ孔34にねじ込まれており、押えプレート25の姿勢を維持しながら、ねじ孔34に対して締付ビス35を締緩操作することで、当該押えプレート25を柱本体24に対して近接し或いは離間させることができる。締付ビス35を操作して柱本体24と押えプレート25との距離を透明板14の厚みより僅かに大きく設定した状態で、受止壁27aと押圧板32との間に上方から透明板14を差し込み、支持枠16で受け止め支持させることで、これら柱本体24と押えプレート25との間に透明板14を起立状に仮保持させることができる。また、この仮保持状態から締付ビス35を締込み操作して、押えプレート25を柱本体24に対して近接移動させることで、透明板14を両者(受止壁27aと押圧板32)の間に挟持された状態で支柱19に支持させることができる。
図6等において符号37は、連結壁27bと締結板33との間に配置されたスポンジからなるスペーサーを示す。
【0028】
図5において、コーナーカバー20はアルミニウムの成形品からなり、水平板からなるカバー主壁39と、カバー主壁39の縁部から下向きに伸びるスカート壁40とを備える。カバー主壁39は、平面視でケース本体1の上端部のコーナー部分に合致する略L字状に形成されており、スカート壁40は、ケース本体1の外箱10に臨む外側縁部に設けられている。コーナーカバー20は、手摺モール15・15の突き合わせ部分に設けられるカバーブラケット41と、カバーブラケット41にねじ込まれるカバービス42でケース本体1の上端面に固定される。カバー主壁39には、カバービス42用のビス通孔43が2箇所に形成されている。
【0029】
カバーブラケット41は、コ字状断面を備える平面視でL字状に形成された金具からなる。カバーブラケット41の各先端部の上壁には、カバービス42がねじ込まれるねじ孔44と、取り付け時に手摺モール15の内外方向の中途部の補強壁15bとの接触を回避する逃げ切欠き45とが形成されている。コーナーカバー20は、同カバー20とカバーブラケット41とで、手摺モール15・15の突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aの端部を上下に挟む状態で、両者20・41をカバービス42で締結することにより、ケース本体1に固定される。具体的には、
図6に示すように、カバーブラケット41をその各端部がモール主壁15a(手摺モール15)の下面側に位置するように、コーナー部に配置する。次いで、コーナーカバー20を各モール主壁15aの端部に重畳するように手摺モール15上に載置し、2個のカバービス42をビス通孔43を介してねじ孔44にねじ込みカバーブラケット41に締結する。以上より、
図7に示すように、カバー主壁39及びカバーブラケット41により突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aを上下に挟持する状態で、コーナーカバー20を手摺モール15を介してケース本体1に固定することができる。カバービス42の操作頭部42aは、カバー主壁39(コーナーカバー20)の上面に配置される。
【0030】
図1及び
図8に示すように、支柱19に装着されるコーナーキャップ21は、上面を構成する異形八角形状の上キャップ壁48と、コーナーカバー20に臨む上キャップ壁48の複数の辺部から下向きに伸びる外キャップ壁49と、外キャップ壁49に対向する上キャップ壁48の辺部から下向きに伸びる固定片50とを備える中空状に形成されている。外キャップ壁49の下端には、係合爪51が形成されている。支柱19に対してコーナーキャップ21を装着した状態において、支柱19の上方及び透明板14・14の突き合わせ部分の各上面は、上キャップ壁48により上方から覆われる。また、この装着状態において、外キャップ壁49により、支柱19の外側面及び透明板14・14の突き合わせ部分の各外側面が覆われる。
【0031】
固定片50は、外キャップ壁49に対向する上キャップ壁48の辺部から下向きに伸びる四角板状に形成されており、その中央には、厚み方向に貫通するビス通孔52が設けられている。係合爪51は、外キャップ壁49の下端内方から外キャップ壁49の下端面よりも下方に伸びるように形成されている。係合爪51は、前方と右方に位置する辺部と、これら辺部の間に位置する辺部の計3か所に形成されている。コーナーカバー20のカバー主壁39には、各係合爪51に対応して係合爪51が差込み係合される係合孔55が形成されている。
図6等において符号56は、係合孔55に差し込まれた係合爪51が、カバーブラケット41に接触することを回避する逃げ孔を示す。
【0032】
図4及び
図8に示すように、先の固定片50と支柱19との間には、支柱19の支持部27の内面側(陳列室4側)を覆う内カバー59が設けられている。内カバー59は、支持部27の内面側を覆う覆壁60と、覆壁60の両側縁から折り曲げ形成される取付壁61とを備え、キャップビス54により固定片50とともに支柱19に対して共止めされる。覆壁60には、キャップビス54が挿通されるビス通孔62が設けられている。内カバー59とコーナーキャップ21は、透明板14を支柱19で支持しコーナーカバー20を取り付け、さらに仕切壁3をケース本体1の内部空間に固定したのちに取り付けられる。
【0033】
コーナーキャップ21は、係合孔55の縁部に係合爪51が係合することでコーナーカバー20に固定され、ビス通孔52を介して支柱19の連結壁27bに設けられたねじ孔53にキャップビス54をねじ込むことで支柱19に固定される。
【0034】
具体的には、支柱19の支持部27の内面側に内カバー59を装着した状態で、コーナーキャップ21を上方側から支柱19及び内カバー59に被せ付け、各係合爪51をそれぞれ係合孔55に差し込んで係合爪51と係合孔55とを係合させる。次いで、陳列室4側からキャップビス54をビス通孔52・62に挿通し、ねじ孔53にねじ込む。これにて、コーナーキャップ21は、外キャップ壁49の下端面がカバー主壁39(コーナーカバー20)の上面と密接する状態で、カバービス42の操作頭部42aを含むカバー主壁39の上面の一部を覆い隠すように支柱19に装着される。コーナーキャップ21を取り外す場合には、キャップビス54を緩め操作して分離し、外キャップ壁49を内側に押し込むように撓ませる。これにより、係合孔55に対する係合爪51の係合が解除されるので、支柱19に対してコーナーキャップ21を分離することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態においては、支柱19に対してコーナーキャップ21を装着したとき、当該コーナーキャップ21が、コーナーカバー20の上面に位置するカバービス42の操作頭部42aを覆い隠すように構成した。これによれば、カバービス42の操作頭部42aが平型ショーケースの外面に露出することを解消することができるので、コーナーカバー20を固定するカバービス42が目視されることにより意匠性が低下することを防ぐことができる。別途専用の部材を設けることなく、支柱19の外側面を覆うコーナーキャップ21を利用するので、構造が煩雑化することを防ぐこともできる。汚れが膠着しやすい部分が外面に露出しないため、清掃の手間を省き汚れ残りも防いで清掃性の向上を図ることができる。汚れの膠着を防ぐことができるので衛生性の向上を図ることもできる。以上より、本実施形態によれば、コーナーカバー20をカバービス42で固定してなる平型ショーケースにおいて、意匠性(見栄え)が損なわれることを防ぐとともに、ビス周辺への汚れの膠着を防いで清掃性と衛生性の向上を図ることができる。
【0036】
例えばコーナーカバーを手摺モールに直接締結する構成を採った場合には、コーナーカバーに大きな衝撃が作用したときに手摺モールがずれ動く、或いは手摺モールが破損するおそれがある。これに対して、本実施形態のように、コーナーカバー20のカバー主壁39とカバーブラケット41とにより、手摺モール15・15の突き合わせ部分の各モール主壁15a・15aを上下に挟持する状態で、コーナーカバー20がカバーブラケット41にカバービス42で締結固定されていると、手摺モール15に対してコーナーカバー20が挟持方向に直交する方向にずれ動くことができる余地を与えることができるので、コーナーカバー20に作用する衝撃が手摺モール15に直接及ぶことを防ぐことができる。これにより手摺モール15がずれ動く、或いは手摺モール15が破損することを防ぐことができる。
【0037】
手摺モール15のモール主壁15a、及びコーナーカバー20のカバー主壁39を、平坦な水平壁で構成したので、これらが外突状或いは内凹み状の曲面壁で形成されている場合に比べて、ケース本体1の上端面の外観上の印象をシャープでありながらシンプルなものにして、平型ショーケースの意匠性の向上を図ることができる。
【0038】
コーナーキャップ21を、固定片50を介して支柱19にねじ込まれるキャップビス54で支柱19に固定するとともに、外キャップ壁49の下端面がコーナーカバー20の上面と密接する状態で、係合孔55に係合する係合爪51でコーナーカバー20に固定した。このような構成によれば、支柱19の内外に配置される固定片50と外キャップ壁49とを固定することで、支柱19にコーナーキャップ21を強固に固定することができる。また、コーナーキャップ21に外力が加わった場合でも、係合孔55に係合する係合爪51で外キャップ壁49の下端がコーナーカバー20から浮き離れるのを防ぐことができるので、外キャップ壁49の下端とコーナーカバー20との間に隙間が形成されることによる意匠性の低下を防ぐことができる。
【0039】
支柱19は、ケース本体1の上端面から立設されて、透明板14・14の突き合わせ部分の各内側端部に接する柱本体24と、柱本体24に対して近接離間方向に移動可能に設けられ、透明板14・14の突き合わせ部分の各外側端部に接する押えプレート25と、柱本体24に対して押えプレート25を近接離間方向に操作する締付構造とを備えるものとし、締付構造で柱本体24側に引き寄せられた押えプレート25と柱本体24とで内外に挟持されることにより、透明板14・14を支柱19で支持されるように構成した。このような構成によれば、透明板14の組付け時、締付構造で柱本体24と押えプレート25との距離を透明板14の厚みより僅かに大きくしておき、これら両者24・25の間に透明板14を配置すれば、透明板14を支柱19で仮保持できる。さらに仮保持状態の透明板14は、締付構造で押えプレート25を柱本体24側に引き寄せることにより、柱本体24と押えプレート25とで挟持され支柱19に固定される。したがって、支柱19に対する透明板14の一連の組み付け作業を容易に行うことができる。
【0040】
締付構造は、押えプレート25に設けられるねじ孔34と、支柱19の内面側から柱本体24に設けられたビス通孔36を水平方向に貫通してねじ孔34にねじ込まれる締付ビス35とを含んで構成した。また、締付ビス35の操作頭部35aを支柱19の内面側の柱本体24の表面に配置し、締付ビス35の操作頭部35aを含む支柱19の内面側の柱本体24の表面を覆い隠す内カバー59を支柱19に設けた。これによれば、締付構造を構成する締付ビス35の操作頭部35aを含む支柱19の内面側を内カバー59で隠蔽して、支柱19の内面側の意匠性を向上することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 ケース本体
14 透明板
15 手摺モール
15a モール主壁
19 支柱
20 コーナーカバー
21 コーナーキャップ
24 柱本体
25 押えプレート
34 ねじ孔
35 締付ビス
35a 締付ビスの操作頭部
36 ビス通孔
39 カバー主壁
41 カバーブラケット
42 カバービス
42a カバービスの操作頭部
48 上キャップ壁
49 外キャップ壁
50 固定片
51 係合爪
54 キャップビス
55 係合孔
59 内カバー