IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図1
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図2
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図3
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図4
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図5
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図6
  • 特開-鉄道車両用の空調装置の室外送風機 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099344
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】鉄道車両用の空調装置の室外送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/38 20060101AFI20240718BHJP
   F04D 29/66 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F04D29/38 D
F04D29/38 A
F04D29/66 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003218
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】岩田 宜之
(72)【発明者】
【氏名】小山 泰平
(72)【発明者】
【氏名】祐川 直純
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB05
3H130AB07
3H130AB13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC11
3H130BA13C
3H130BA68C
3H130CB02
3H130EA07C
3H130EA08C
3H130EB04C
3H130EB05C
3H130ED04C
(57)【要約】
【課題】高流量と低騒音性を両立することができる、鉄道車両用の空調装置の室外送付機を提供する。
【解決手段】本実施の形態の鉄道車両用の空調装置の室外送風機は、軸流送風機であり、回転中心を中心に回転するハブと、ハブの外周に設けられる複数の翼とを備え、翼は前進翼構造を有し、翼の前縁基端は、回転中心と翼の前縁先端とを結ぶ直線上にある。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両用の空調装置の室外送風機であって、
前記室外送風機は、軸流送風機であり、
回転中心を中心に回転するハブと、
前記ハブの外周に設けられる複数の翼と
を備え、
前記翼は前進翼構造を有し、前記翼の前縁基端は、前記回転中心と前記翼の前縁先端とを結ぶ直線上にある、室外送風機。
【請求項2】
前記翼の前記前縁上の任意の中間点は、前記前縁先端と前記前端基端とを結ぶ直線よりも翼後縁側にある、請求項1に記載の室外送風機。
【請求項3】
前記翼の前記前縁上の最も翼後縁側にある特定点は、前記前縁先端と前記前縁基端とを結ぶ直線の前記前縁基端から30パーセント付近にある、請求項2に記載の室外送風機。
【請求項4】
前記翼の前記前縁における前記前縁基端から前記特定点までの部分に、切り込みが形成される、請求項3に記載の室外送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施の形態は、鉄道車両用の空調装置の室外送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両用の空調装置は、冷媒を冷却するための室外送風機を備えている。送風機には軸流送風機や遠心送風機等の種類があるが、鉄道車両用の室外送風機では、大きな流量を得ることができる軸流送風機が採用されることが多い。しかしながら、一般的に送風機の騒音は流速に比例するため、高流量の軸流送風機は騒音も大きくなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6745902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施の形態は、高流量と低騒音性を両立することができる、鉄道車両用の空調装置の室外送付機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本実施の形態に係る鉄道車両用の空調装置の室外送風機は、軸流送風機であり、回転中心を中心に回転するハブと、ハブの外周に設けられる複数の翼とを備え、翼は前進翼構造を有し、翼の前縁基端は、回転中心と翼の前縁先端とを結ぶ直線上にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施の形態1に係る鉄道車両用の空調装置の構成を示す図。
図2】実施の形態1に係る室外送風機の構造を示す図。
図3】実施の形態1に係る室外送風機の構造を示す図。
図4】実施の形態2に係る室外送風機の構造を示す図。
図5】実施の形態2に係る室外送風機の構造を示す図。
図6】実施の形態1、2に係る室外送風機と従来形状の前進翼を有する軸流送風機との性能比較を示す図。
図7】実施の形態1、2に係る室外送風機と従来形状の前進翼を有する軸流送風機との騒音比較を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、図面を参照しながら、本実施の形態について説明する。図面において同一または対応する要素には同じ参照符号を付して、詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る鉄道車両用の空調装置1の構成を示す図である。空調装置1は、室内送風機2と、室内熱交換器3と、コンプレッサー4と、室外送風機5と、室外熱交換器6とを備えている。
【0009】
空調装置1の冷房機能は、液体の冷媒が室内熱交換器3内で気化する際に周囲から熱を奪うことによって実現される。したがって、室内熱交換器3に供給される冷媒は液体である必要がある。しかしながら、冷媒を循環させる圧力を生み出すコンプレッサー4において、液体の冷媒は圧縮されて高温高圧の気体となる。そのため、気化した冷媒を室外熱交換器6内で冷却して液体に戻す必要がある。室外送風機5は、この際の冷却に使用される。
【0010】
室外送風機5は、大きな流量を得ることができる軸流送風機である。図2および図3は、図1の室外送風機5の構造を示す図である。室外送付機5は、回転中心Oを中心に回転する円筒状のハブ7と、ハブ7の外周に設けられる複数の翼8とを備えている。翼8は前進翼構造を有しており、翼8の前縁先端8aは、回転中心Oと翼8の根元の基準点8b(従来形状の前進翼における前縁基端)と、その延長線上にある外縁との交点Bの位置ではなく、回転方向側に前進したAの位置にある。
【0011】
本実施の形態1では、翼8の前縁基端8cは、回転中心Oと翼8の前縁先端8aとを結ぶ直線上にある。また、翼8の前縁8a~8c上の任意の中間点は、直線8a-8cよりも翼後縁側、すなわち回転方向と反対側にある。特に、翼8の前縁8a~8c上の最も翼後縁側にある特定点8dは、翼8の前縁先端8aと前縁基端8cとを結ぶ直線8a-8cの前縁基端8cから30パーセント付近にある。
【0012】
従来の軸流送風機の騒音は、翼の根元付近から発生する渦に起因する。この渦に起因する騒音の周波数は500Hz前後であり、人間の聴覚が敏感な周波数帯域に含まれている。したがって、翼の根元付近での渦の発生を抑制することができれば、軸流送風機の騒音は、音圧、聴感ともに低減される。
【0013】
本実施の形態1に係る室外送風機5では、翼8の根元付近の面積が、従来形状の前進翼の根元付近の面積と比較して、図3の(8b-8c-8d)で囲まれる領域の分だけ大きくなっている。このような構造により、翼8の根元付近での渦の発生が抑制され、騒音が低減される。
【0014】
図6に示されるように、本実施の形態1に係る室外送風機5の性能は、従来形状の前進翼を有する軸流送風機の性能を上回っている。また、図7に示されるように、本実施の形態1に係る室外送風機5の騒音は、従来形状の前進翼を有する軸流送風機の騒音を下回っている。
【0015】
なお、特許文献1では、騒音の原因となる渦の発生を抑制するために、ハブの直径を大きくして入口側の周速度を大きくしている。ただし、単純にハブの直径を大きくすると流量が低下してしまうため、ハブの内部にもう一組の翼を設けている。しかしながら、この構造では、ハブの内部にモーターを収容することはできず、小型化が困難になる。これに対して、本実施の形態1に係る室外送風機5では、ハブ7の構造に変更を加える必要がなく、小型化が容易である。
【0016】
以上説明したように、本実施の形態1に係る鉄道車両用の空調装置1の室外送風機5は、軸流送風機であり、回転中心Oを中心に回転するハブ7と、ハブ7の外周に設けられる複数の翼8とを備えている。翼8は前進翼構造を有し、翼8の前縁基端8cは、回転中心Oと翼8の前縁先端8aとを結ぶ直線上にある。このような特徴により、本実施の形態1に係る室外送風機5は、高流量と低騒音性を両立することができる。
【0017】
なお、翼8の前縁8a~8c上の任意の中間点は、前縁先端8aと前端基端8cとを結ぶ直線8a-8cよりも翼後縁側にあることが好ましい。また、翼8の前縁8a~8c上の最も翼後縁側にある特定点8dは、前縁先端8aと前縁基端8cとを結ぶ直線8a-8cの前縁基端8cから30パーセント付近にあることが特に好ましい。
【0018】
(実施の形態2)
図4および図5は、実施の形態2に係る室外送風機の構造を示す図である。本実施の形態2では、翼208の前縁(8a~8c)における前縁基端8cから特定点8dまでの部分に、複数の切り込み208eが形成されている。これら複数の切り込み208eにより、翼208の根元付近から発生する渦が細分化され、騒音の周波数が可聴域外になる。切り込み208eの間隔は、低減したい騒音の周波数によって決定される。例えば、500Hz付近の騒音を低減したい場合には、切り込み208eの間隔は68cm以下であることが好ましい。
【0019】
図6に示されるように、本実施の形態2に係る室外送風機の性能は、上記の実施の形態1と同様に、従来形状の前進翼を有する軸流送風機の性能を上回っており、特に高流量の領域における性能劣化が抑えられている。また、図7に示されるように、本実施の形態2に係る室外送風機の騒音は、上記の実施の形態1に係る室外送風機の騒音をさらに下回っている。
【0020】
以上説明したように、本実施の形態2に室外送風機では、翼208の前縁8a~8cにおける前縁基端8cから特定点8eまでの部分に、切り込み208eが形成されている。このような特徴により、本実施の形態2に係る室外送風機は、特に高流量の領域における性能劣化が抑えられるとともに、高い低騒音性が得られる。
【0021】
幾つかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は例として提示したものであり、実施の形態の範囲を限定することは意図していない、これらの実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、実施の形態の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施の形態やその変形は、実施の形態の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0022】
1 空調装置
2 室内送風機
3 室内熱交換器
4 コンプレッサー
5 室外送風機
6 室外熱交換器
7 ハブ
8 翼
8a 前縁先端
8b 基準点
8c 前縁基端
8d 特定点
208 翼
208e 切り込み
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7