(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099350
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】おむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/505 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A61F13/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003232
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】519401332
【氏名又は名称】イントロン・スペース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100168871
【弁理士】
【氏名又は名称】岩上 健
(72)【発明者】
【氏名】今井 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 隆
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 博明
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA13
3B200CA02
(57)【要約】
【課題】尿を収集する尿収集用具を装着した着用者の使用に適したおむつを提供する。
【解決手段】おむつ1は、前身頃2と、股下部4と、後身頃6と、を有するおむつ本体を備え、前身頃又は股下部に、着用者に装着された尿収集用具を着用者の身体側から身体とは反対側に通す開口部10が形成されている。また、おむつは、おむつ本体における身体とは反対側の面に設けられ、尿収集用具を保持する保持部材12を備え、保持部材は、開口部を覆うように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃と、股下部と、後身頃と、を有するおむつ本体を備え、
前記前身頃又は前記股下部に、着用者に装着された尿収集用具を前記着用者の身体側から前記身体とは反対側に通す開口部が形成されている、
おむつ。
【請求項2】
前記おむつ本体における前記身体とは反対側の面に設けられ、前記尿収集用具を保持する保持部材を備える、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記開口部を覆うように形成されている、
請求項2に記載のおむつ。
【請求項4】
前記保持部材の下端部が、前記開口部の下方において前記おむつ本体に固定され、
前記保持部材は、前記下端部を支点として開閉自在に前記おむつ本体に取り付けられる、
請求項3に記載のおむつ。
【請求項5】
前記保持部材は、前記保持部材における前記身体側の面に、前記尿収集用具の左右方向の動きを規制する固定部材を備える、
請求項2に記載のおむつ。
【請求項6】
前記開口部を囲むように配置された第1のギャザーと、前記おむつ本体における前記身体側の面において前記開口部の下方で前記股下部の幅方向に延びるように配置された第2のギャザーと、の一方又は両方を備える、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のおむつ。
【請求項7】
前記おむつ本体における前記身体とは反対側の面において前記開口部を囲むように配置された第1のギャザーを備え、
前記第1のギャザーは、前記第1のギャザーの周方向に沿って延びて前記第1のギャザーを締める締め付け部材を備える、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のおむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、尿を吸収する吸水性材料を備え、尿を吸収・保持できるようにしたおむつが用いられている。さらに近年では、例えば、着用者の身体に便等が直接付着しないようにしつつ、尿を吸収する吸収性物品の交換を可能とするために、排尿用開口部および/または排便用開口部と、それらの開口部を囲むように配設されて身体側に突出する弾性体と、開口部に対応する位置に着脱自在に取り付けられた吸収性物品とを備えた、使い捨て衛生用品が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の一般的なおむつでは、尿と便が混ざることにより、臭いや皮膚疾患の原因になる等の問題がある。この問題を避けるためには、排尿のたびにおむつの交換をしなければならず、介護者にとって大きな負担となっている。また、特許文献1に記載されているような技術でも、弾性体と身体との密着が不十分である場合や、開口部と身体の排尿部・排便部との位置がずれている場合などに、尿や便がおむつの内部に漏出する可能性がある。
【0005】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究を進めた結果、収集した尿の漏出を抑制することができ、かつ使用性が良好な収集用具を開発した(国際出願番号PCT/JP2020/28923)。この収集用具は、柔軟性かつ伸長性を有する筒状の本体部と、本体部に形成された中空部とを有し、中空部は、本体部の一端側が開口して尿が導入される導入部と、導入部から連続して形成され尿を収容する収集部とを備えている。このように構成された収集用具は、着用者の排泄部位(例えば排尿部)に装着されて使用される。従来このような収集用具は存在しなかったので、当然、この収集用具を装着した着用者による使用を想定したおむつも従来存在していない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、尿を収集し保持する尿収集用具を装着した着用者の使用に適したおむつを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明によるおむつは、前身頃と、股下部と、後身頃と、を有するおむつ本体を備え、前身頃又は股下部に、着用者に装着された尿収集用具を着用者の身体側から身体とは反対側に通す開口部が形成されている。
【0008】
このように構成された本発明によれば、着用者に装着された尿収集用具を、おむつ本体の外側に配置することができる。これにより、尿収集用具を装着した着用者がおむつを着用した状態で、尿収集用具に収集された尿の処理等の尿収集用具の操作を行うことができ、着用者及び介護者の双方の負担を軽減することができる。なお、尿収集用具を使用することにより、おむつの中に尿が溜まることがないので、排便後だけおむつを交換すればよく、着用者及び介護者の負担を軽減することができる。また、尿と便が混ざることによる臭いや皮膚疾患の発生も抑制することができる。さらに、着用者に尿漏れ・尿失禁の症状があり且つ脚が不自由であること等により自らおむつの着脱が困難な場合であっても、介護者に頼らずに着用者が自分でトイレルームに行き、おむつを着脱することなく尿収集用具を衣服の外に露出させ、収容された尿をトイレに排出することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、おむつは、おむつ本体における身体とは反対側の面に設けられ、尿収集用具を保持する保持部材を備える。
【0010】
このように構成された本発明によれば、保持部材により尿収集用具をおむつの外側に確実に固定することができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、保持部材は、開口部を覆うように形成されている。
【0012】
このように構成された本発明によれば、開口部からおむつの外側に出ている尿収集用具を、保持部材により確実に保護することができる。また、尿収集用具が見えることを防止できるので、脱衣時における着用者の羞恥心や自尊心に配慮し、着用者の心理的負担を軽減することができると共に、介護する側の負担も軽減することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、保持部材の下端部が、開口部の下方においておむつ本体に固定され、保持部材は、下端部を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられる。
【0014】
このように構成された本発明によれば、容易に保持部材の開閉操作を行うことができ、尿収集用具を操作する際の着用者及び介護者の負担を軽減することができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、保持部材は、保持部材における身体側の面に、尿収集用具の左右方向の動きを規制する固定部材を備える。
【0016】
このように構成された本発明によれば、固定部材により尿収集用具の左右方向の動きが規制されるので、尿収集用具が左右に倒れて保持部材から外に露出することが防止される。
【0017】
本発明において、好ましくは、おむつは、おむつ本体における身体側の面において、開口部を囲むように配置された第1のギャザーと、おむつ本体における身体側の面において開口部の下方で股下部の幅方向に延びるように配置された第2のギャザーと、の一方又は両方を備える。
【0018】
このように構成された本発明によれば、第1のギャザー及び/又は第2のギャザーが隔壁となることにより、肛門から排泄された排泄物が前方に広がって尿収集用具を汚染したり、排泄物が開口部から外側に漏れ出たりすることを防止できる。
【0019】
本発明において、好ましくは、おむつは、おむつ本体における身体とは反対側の面において開口部を囲むように配置された第1のギャザーを備え、第1のギャザーは、第1のギャザーの周方向に沿って延びて第1のギャザーを締める締め付け部材を備える。
【0020】
このように構成された本発明によれば、締め付け部材によって第1のギャザーを締め、開口部を貫通した尿収集用具の外周に第1のギャザーを密着させることができる。また、第1のギャザーがおむつ本体の外側に配置されているので、尿収集用具に対する第1のギャザーの位置や締め付け部材の締め具合等を、着用者がおむつを着用した状態のまま調整することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のおむつによれば、尿を収集する尿収集用具を装着した着用者の使用に適したおむつを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態によるおむつの斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態によるおむつの側断面図である。
【
図3】本発明の実施形態によるおむつの側部を分割して広げた展開図である。
【
図4】本発明の実施形態によるおむつの斜視図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた状態を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態によるおむつの側断面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態の変形例による保持部材の斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態の変形例による保持部材の斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態の変形例による外側面側の第1のギャザーの斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態の変形例によるおむつの閉状態を示す正面図である。
【
図10】本発明の実施形態の変形例によるおむつの開状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態によるおむつを説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、実施形態及び変形例は、独立して説明されているが、互いの構成要素を組み合わせて、おむつを構成することを排除するものではない。
【0024】
[おむつの構成]
まず、
図1乃至
図5を参照して、本発明の一実施形態に係るおむつの構成について、具体的に説明する。
図1は、本実施形態によるおむつの斜視図である。
図2は、本実施形態によるおむつの側断面図である。
図3は、本実施形態によるおむつの側部を分割して広げたものを身体に接する側から見た展開図である。
図4は、本実施形態によるおむつの斜視図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた状態を示す図である。
図5は、本実施形態によるおむつの側断面図であって、尿収集用具が尿を収集して貯めた状態を示す図である。各図において、おむつが着用者に着用されたときの着用者の腹側の方向を前方、背側の方向を後方というものとする。また、おむつが着用者に着用されたときの着用者の左右方向(おむつの前後方向に直交する方向)を幅方向というものとする。さらに、おむつが着用者に着用されたときに身体に接する面(身体側の面)を身体面といい、身体の外側に向かう面(身体とは反対側の面)を外側面というものとする。
【0025】
本実施形態において例示するおむつ1は、予めパンツ型に形成され、必要に応じて側部を分割することも可能な2WAYパンツタイプの使い捨て紙おむつである。しかしながら、テープタイプやパンツタイプのおむつにも、本発明を適用することができる。
【0026】
図1乃至
図3に示すように、おむつ1は、着用者の腹側に位置する前身頃2と、着用者の股下に位置する股下部4と、着用者の背側に位置する後身頃6とを有するおむつ本体を備えている。前身頃2の左右の端部と、後身頃6の左右の端部には、それぞれ対になる面ファスナー8が設けられており、これらの面ファスナー8を貼り合わせることにより、おむつ本体を
図1に示すようなパンツ型に形成することができ、面ファスナー8をはがすことにより、おむつ本体を
図3に示すように開くことができる。
【0027】
股下部4及び後身頃6は、それぞれ、身体面に設けられた透水性のトップシートと、外側面に設けられた非透水性のバックシートと、これらのトップシートとバックシートとの間に配置され水分を吸収する吸収材とを備えた三層構造を有している(図示省略)。一方、前身頃2は、身体面に設けられた透水性のトップシートと、トップシートの外側に設けられた吸収材とを備えているが、外側面には非透水性のバックシートを設けなくてもよい。
【0028】
また、前身頃2には、着用者に装着された尿収集用具Cを身体面から外側面に通す開口部10が形成されている。なお、着用者の性別や尿収集用具Cの形状等に応じて、開口部10を股下部4に形成してもよい。
【0029】
尿収集用具Cは、柔軟性かつ伸長性を有する材料(例えば「JIS K 6253」に準拠したデュロメータタイプEによる硬さが硬度20度以下かつ伸長率が70%以上のエラストマー)により形成された筒状の本体部と、本体部に形成された中空部とを有し、中空部は、本体部の一端側が開口して尿が導入される導入部と、導入部から連続して形成され尿を収容する収集部とを備えている。
図1及び
図2において、上記のように構成された尿収集用具Cが男性の着用者の排尿部(陰茎)に装着された状態を、想像線(2点鎖線)により例示している。
【0030】
おむつ本体の外側面には、尿収集用具Cを保持する保持部材12が設けられている。保持部材12は、略台形に形成され、上端部の幅が、下端部の幅よりも広くなっている。また、保持部材12の上下方向及び幅方向の大きさは、開口部10を貫通し、尿を収集することにより膨張した尿収集用具Cの全体を外側から覆うことが可能な大きさとなっている。保持部材12は、例えば伸縮性のある透湿性のシートにより形成されるが、身体面に吸水性材料を設けてもよい。また、保持部材12の外側面には、非透水性の防水材12Aが設けられている。
【0031】
保持部材12の下端部は、開口部10の下方においておむつ本体に固定される。また、保持部材12の上端部においておむつ本体と対向する面(身体側の面)には、面ファスナー14Aが設けられており、おむつ本体の前身頃2の外側面の対応する位置(具体的には尿収集用具Cよりも上方の位置)に取り付けられた面ファスナー14Bに対して着脱可能となっている。さらに、保持部材12の幅方向の両側端部においておむつ本体と対向する面(身体側の面)には、面ファスナー14Cが設けられており、おむつ本体の前身頃2の外側面の対応する位置(具体的には尿収集用具Cの左右の位置)に取り付けられた面ファスナー14Dに対して着脱可能となっている。これにより、保持部材12は、下端部を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられている。即ち、保持部材12の上端部を面ファスナー14A、14B、14C、14Dによっておむつ本体に固定することにより、この保持部材12とおむつ本体との間に尿収集用具Cが保持される。
【0032】
開口部10の周囲には、この開口部10を囲むように第1のギャザー16、18が設けられている。より詳細には、おむつ本体の身体面に第1のギャザー16が設けられ、おむつ本体の外側面に第1のギャザー18が設けられている。身体面側の第1のギャザー16は、おむつ本体の身体面から着用者の身体側に向かって立ち上がるように設けられており、例えば不織布と伸縮性素材によって襞状に形成されている。外側面側の第1のギャザー18は、おむつ本体の外側面から着用者の身体の外側に向かって立ち上がるように設けられており、例えば不織布と伸縮性素材によって襞状に形成されている。更に、外側面側の第1のギャザー18は、第1のギャザー18の周方向に沿って延びるゴム18A(締め付け部材)を備えており、ゴム18Aの弾性力によって第1のギャザー18を締め、開口部10を貫通した尿収集用具Cの外周に第1のギャザー18を密着させられるようになっている。特に、外側面側の第1のギャザー18はおむつ本体の外側に配置されているので、尿収集用具Cに対する第1のギャザー18の位置や密着具合等を、着用者がおむつ1を着用した状態のまま調整することができる。仮におむつ1内に液体状の排泄物が拡がった場合でも、これらの第1のギャザー16、18が隔壁となることにより、排泄物が開口部10から外側に漏れ出ることを防止することができる。
【0033】
また、おむつ本体の身体面において、開口部10の下方で股下部4の幅方向に延びるように、第2のギャザー20が配置されている。第2のギャザー20も、おむつ本体の身体面から着用者の身体側に向かって立ち上がるように設けられており、例えば不織布と伸縮性素材によって襞状に形成されている。この第2のギャザー20が隔壁となることにより、肛門から排泄された排泄物が前方に広がって尿収集用具Cを汚染したり、開口部10から外側に漏れ出でたりすることを防止できる。
【0034】
尿収集用具Cを装着した着用者が尿を排泄すると、
図4及び
図5に示すように、尿収集用具Cの中央部の収集部が膨張してその内部に尿を収集・保持する。上述したように、保持部材12は、尿を収集することにより膨張した尿収集用具Cの全体を外側から覆うことが可能な大きさとなっており、伸縮性も有しているので、尿収集用具Cを圧迫することなく保持することができる。また、保持部材12の幅方向の両側端部が面ファスナー14C、14D(固定部材)によりおむつ本体に固定されているので、尿収集用具Cが左右に倒れて保持部材12から外に露出することが防止される。
【0035】
[変形例]
次に、
図6乃至
図10を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図6は、本実施形態の変形例による保持部材12の斜視図であり、保持部材12を身体面側から見た図である。
図7は、本実施形態の別の変形例による保持部材12の斜視図であり、保持部材12を身体面側から見た図である。
図8は、本実施形態の変形例による外側面側の第1のギャザー18の斜視図である。
図9は、本実施形態の変形例によるおむつ1の閉状態を示す正面図である。
図10は、本実施形態の変形例によるおむつ1の開状態を示す正面図である。
【0036】
上述した実施形態では、面ファスナー14C、14D(固定部材)によって保持部材12の幅方向の両側端部がおむつ本体に着脱自在に固定されるので、尿収集用具Cが左右に倒れて保持部材12から外に露出することが防止される。これらの面ファスナー14C、14Dに代えて、あるいは面ファスナー14C、14Dと共に、尿収集用具Cの先端を保持部材12に固定する固定部材を設けてもよい。
【0037】
例えば、
図6に示す変形例では、保持部材12の身体側の面に、保持部材12の幅方向に延びるベルト22(固定部材)が設けられている。ベルト22は、伸縮性のある素材により形成され、両端が保持部材12に固定されると共に中央部と保持部材12との間に間隙が形成されるようになっている。尿収集用具Cの先端部を、ベルト22の下方からベルト22と保持部材12との間に差し込むことにより、ベルト22が尿収集用具Cの左右方向の動きを規制するので、尿収集用具Cが左右に倒れて保持部材12から外に露出することが防止される。
【0038】
また、
図7に示す変形例では、保持部材12の身体側の面に、保持部材12の下方に向かって開口したポケット24(固定部材)が設けられている。ポケット24は、伸縮性のある素材により形成され、上端及び幅方向両端が保持部材12に固定されると共に中央部及び下端と保持部材12との間に間隙が形成されるようになっている。尿収集用具Cの先端部を、ポケット24の開口からポケット24と保持部材12との間に差し込むことにより、ポケット24が尿収集用具Cの左右方向の動きを規制するので、尿収集用具Cが左右に倒れて保持部材12から外に露出することが防止される。
【0039】
また、上述した実施形態では、外側面側の第1のギャザー18は、第1のギャザー18の周方向に沿って延びるゴム18Aを備えているが、ゴム18Aに代えて、
図8に示すように、外側面側の第1のギャザー18の周方向に沿って延びるテープ18B(締め付け部材)を備えるようにしてもよい。テープ18Bは、一方の端部において外側面側の第1のギャザー18に固定され、第1のギャザー18の周方向に沿って巻き回される。テープ18Bの他方の端部は、粘着材や面ファスナーにより、第1のギャザー18の外周又は巻き回されているテープ18Bの表面の任意の位置に着脱自在に固定される。着用者や介護者が所望の力でテープ18Bを第1のギャザー18の周りに巻き付けて固定することによって第1のギャザー18を締め、開口部10を貫通した尿収集用具Cの外周に第1のギャザー18を密着させられるようになっている。
【0040】
また、
図9及び
図10に示す変形例においては、前身頃2の上端から開口部10を越えて股下部4まで延びる分割部26が形成されており、この分割部26により、前身頃2が左右に分割可能となっている。分割部26の上端と開口部10との間には対になる面ファスナー28が設けられており、これらの面ファスナー28を貼り合わせることにより前身頃2を一体とし、保持部材12を閉じることで(
図4に示す閉状態)、おむつ1をパンツの形状にすることができる。また、保持部材12を開き、分割部26の面ファスナー28をはがして前身頃2を左右に分割することにより(
図5に示す開状態)、着用者がおむつ1を着用したまま、尿収集用具Cに収集された尿の処理や尿収集用具Cの脱着が可能となる。
【0041】
また、上述した実施形態では、尿収集用具Cが男性の着用者の排尿部(陰茎)に装着された状態を例示したが、尿収集用具Cを装着した女性用のおむつ1にも本発明を適用することができる。例えば、開口部10を、女性の着用者の排尿部(外陰部)に装着される尿収集用具Cの位置に対応して、上述した実施形態における開口部10の位置よりも下方、あるいは股下部4の中央に設けてもよい。この場合、例えば保持部材12の後端部が、開口部10の後方においておむつ本体に固定され、保持部材12は、その後端部を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられるようにしてもよい。
【0042】
また、上述した実施形態では、おむつ1は第1のギャザー16、18及び第2のギャザー20を備えているが、第1のギャザー16、18及び第2のギャザー20の何れか1つのみを備えてもよく、任意の2つを備えるようにしてもよい。
【0043】
また、上述した実施形態の面ファスナー8、14A/B、14C/D、28としては、それぞれ、一対のフック面及びループ面を備えた面ファスナーを用いることができるが、ループ面を省略してフック面のみを備えるようにしてもよい。この場合、フック面は対向するおむつ本体の表面を構成する不織布等の繊維に引っかかることで固定される。また、上述した実施形態の面ファスナーの何れか又は全てを、両面テープに置き換えてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態では、前身頃2は、吸収材を有していると説明したが、吸収材を含まなくてもよい。
【0045】
また、上述した実施形態では、保持部材12は略台形に形成され、下端部がおむつ本体に固定されると説明したが、おむつ本体の外側面において尿収集用具Cを保持可能であれば、保持部材12の形状や固定位置を任意に変更することができる。例えば、保持部材12の左側端又は右側端がおむつ本体に固定され、左側端又は右側端を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられるようにしてもよい。あるいは、保持部材12の上端部がおむつ本体に固定され、上端部を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられるようにしてもよい。これにより、着用者又は介護者が動作しやすい向きで保持部材12の開閉を行うことが可能となる。ただし、尿収集用具Cの保護や着用者の羞恥心への配慮の観点から、保持部材12により開口部10や尿収集用具Cを外側から覆うことが望ましい。
【0046】
[作用及び効果]
次に、上述した本実施形態及び変形例に係るおむつ1の作用及び効果について説明する。
【0047】
おむつ1は、前身頃2と、股下部4と、後身頃6と、を有するおむつ本体を備え、前身頃2又は股下部4に、着用者に装着された尿収集用具Cを着用者の身体側から身体とは反対側に通す開口部10が形成されている。したがって、着用者に装着された尿収集用具Cを、おむつ本体の外側に配置することができる。これにより、尿収集用具Cを装着した着用者がおむつ1を着用した状態で、尿収集用具Cに収集された尿の処理等の尿収集用具Cの操作を行うことができ、着用者及び介護者の双方の負担を軽減することができる。なお、尿収集用具Cを使用することにより、おむつ1の中に尿が溜まることがないので、排便後だけおむつ1を交換すればよく、着用者及び介護者の負担を軽減することができる。また、尿と便が混ざることによる臭いや皮膚疾患の発生も抑制することができる。さらに、着用者に尿漏れ・尿失禁の症状があり且つ脚が不自由であること等により自らおむつの着脱が困難な場合であっても、介護者に頼らずに着用者が自分でトイレルームに行き、おむつを着脱することなく尿収集用具Cを衣服の外に露出させ、収容された尿をトイレに排出することができる。
【0048】
また、おむつ本体における身体とは反対側の面に設けられ、尿収集用具Cを保持する保持部材12を備えるので、保持部材12により尿収集用具Cをおむつ1の外側に確実に固定することができる。
【0049】
また、保持部材12は、開口部10を覆うように形成されているので、開口部10からおむつ1の外側に出ている尿収集用具Cを確実に保護することができる。また、尿収集用具Cが見えることを防止できるので、脱衣時における着用者の羞恥心や自尊心に配慮し、着用者の心理的負担を軽減することができると共に、介護する側の負担も軽減することができる。
【0050】
また、保持部材12の下端部が、開口部10の下方においておむつ本体に固定され、保持部材12は、下端部を支点として開閉自在におむつ本体に取り付けられるので、容易に保持部材12の開閉操作を行うことができ、尿収集用具Cを操作する際の着用者及び介護者の負担を軽減することができる。
【0051】
また、保持部材12は、保持部材12における身体側の面に、尿収集用具Cの左右方向の動きを規制する固定部材(面ファスナー14C、14D、及び/又は、ベルト22若しくはポケット24)を備えるので、固定部材により尿収集用具Cの左右方向の動きが規制され、尿収集用具Cが左右に倒れて保持部材12から外に露出することが防止される。
【0052】
また、おむつ1は、おむつ本体における身体側の面において、開口部10を囲むように配置された第1のギャザー16と、おむつ本体における身体側の面において開口部10の下方で股下部4の幅方向に延びるように配置された第2のギャザー20と、の一方又は両方を備えるので、これらの第1のギャザー16及び/又は第2のギャザー20が隔壁となることにより、肛門から排泄された排泄物が前方に広がって尿収集用具Cを汚染したり、排泄物が開口部10から外側に漏れ出たりすることを防止できる。
【0053】
また、おむつ1は、おむつ本体における身体とは反対側の面において開口部を囲むように配置された第1のギャザー18を備え、第1のギャザー18は、第1のギャザー18の周方向に沿って延びて第1のギャザーを締める締め付け部材(ゴム18A又はテープ18B)を備えるので、締め付け部材によって第1のギャザー18を締め、開口部10を貫通した尿収集用具Cの外周に第1のギャザー18を密着させることができる。また、第1のギャザー18がおむつ本体の外側に配置されているので、尿収集用具Cに対する第1のギャザー18の位置や締め付け部材の締め具合等を、着用者がおむつ1を着用した状態のまま調整することができる。
【0054】
なお、本発明の実施形態及び変形例は、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。また、上述した実施形態及び変形例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態及び変形例に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 おむつ
2 前身頃
4 股下部
6 後身頃
8 面ファスナー
10 開口部
12 保持部材
12A 防水材
14A、14B 面ファスナー
14C、14D 面ファスナー(固定部材)
16 身体面側の第1のギャザー
18 外側面側の第1のギャザー
18A ゴム(締め付け部材)
18B テープ(締め付け部材)
20 第2のギャザー
22 ベルト(固定部材)
24 ポケット(固定部材)
26 分割部
28 面ファスナー
C 尿収集用具