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特開2024-99351電子情報記憶媒体、ICチップ、プログラム、及び接続切り替え要求方法
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  • 特開-電子情報記憶媒体、ICチップ、プログラム、及び接続切り替え要求方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099351
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電子情報記憶媒体、ICチップ、プログラム、及び接続切り替え要求方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20240718BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240718BHJP
【FI】
H04W48/18 115
H04W4/029
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003233
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120189
【弁理士】
【氏名又は名称】奥 和幸
(72)【発明者】
【氏名】田崎 優典
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE24
5K067JJ52
(57)【要約】
【課題】複数の無線通信網のうちの1つの無線通信網に端末が接続している状態においてユーザが所望する無線通信網への接続切り替えを実現することが可能な電子情報記憶媒体、ICチップ、プログラム、及び接続切り替え要求方法を提供する。
【解決手段】SIMは、端末Tから現在接続中のパブリック無線通信網NWnの位置情報を取得し、当該取得した位置情報と、NVM14における、無線通信網NWnの位置情報とを比較し、上記位置情報の比較の結果に基づいて、現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを要求する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体であって、
前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、
前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段と、
を備えることを特徴とする電子情報記憶媒体。
【請求項2】
前記他の無線通信網のカバーエリアは、前記特定の無線通信網のカバーエリアの一部と重複することを特徴とする請求項1に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項3】
前記他の無線通信網は、移動体通信事業者が提供するパブリック無線通信網以外のプライベート無線通信網であることを特徴とする請求項1に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項4】
前記要求手段は、前記比較手段による前記比較の結果、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致する場合、前記接続切り替えを要求することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子情報記憶媒体。
【請求項5】
前記比較手段による前記比較の結果、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致しない場合、前記取得手段は、第1の設定時間経過後に前記端末から前記第2の位置情報を再取得し、前記比較手段は、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とを再比較することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子情報記憶媒体。
【請求項6】
前記比較手段による前記再比較の結果、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とが一致する場合、前記要求手段は、前記接続切り替えを要求することを特徴とする請求項5に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項7】
前記比較手段による前記再比較の結果、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とが一致せず、且つ前記再取得された第2の位置情報と前回取得された第2の位置情報とが一致する場合、前記取得手段は、前記第1の設定時間より長い第2の設定時間経過後に前記端末から前記第2の位置情報を再々取得し、前記比較手段は、前記第1の位置情報と前記再々取得された第2の位置情報とを再々比較することを特徴とする請求項5に記載の電子情報記憶媒体。
【請求項8】
異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載されるICチップであって、
前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、
前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段と、
を備えることを特徴とするICチップ。
【請求項9】
異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、
前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、
前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体であって、前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段を備える電子情報記憶媒体により実行される接続切り替え要求方法において、
前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得するステップと、
前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較するステップと、
前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求するステップと、
を含むことを特徴とする接続切り替え要求方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な移動機に搭載されるSIM(Subscriber Identity Module)等の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動機等の端末がコアネットワークと接続することでLTE/5Gなどの通信サービスを実現している。このような無線通信網のうち、いわゆるパブリック無線通信網(キャリア網)はカバーエリアが極めて広くどこでも接続することが可能である。一方、特定のエリアに限りLTE/5Gネットワークを用意することで一定敷地内のみ利用できるプライベート無線通信網が知られている。一般的にパブリック無線通信網は通信量で費用が比例するため、プライベート無線通信網は導入時に費用はかかるが運用時は安価になる。
【0003】
ところで、複数の無線通信網それぞれのカバーエリアが重複する場合がある。かかる場合において端末が所望の無線通信網に接続するための方法として、当該端末に搭載されたSIMのREFRESHコマンドを利用する方法が知られている。この方法では、例えば特許文献1に示される3GPP(Third Generation Partnership Project)(登録商標)により規定されたSecured Packet形式のSMS(Short Message Service)メッセージが利用され、いたずらやサービス妨害を排除するために、適切な認証処理が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-76930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、端末は、カバーエリアが重複する場合において複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続した場合、サービス維持のためエリアを外れ接続が途切れるまで同じ無線通信網の接続を維持するようになっている。そのため、端末が仮にパブリック無線通信網に接続した状態でカバーエリアが重複しているプライベート無線通信網の範囲内に入った場合、端末は無線通信網を切り替えない。これでは、プライベート無線通信網を有効に活用できないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、以上の問題等に鑑みてなされたものであり、複数の無線通信網のうちの1つの無線通信網に端末が接続している状態においてユーザが所望する無線通信網への接続切り替えを実現することが可能な電子情報記憶媒体、ICチップ、プログラム、及び接続切り替え要求方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体であって、前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子情報記憶媒体において、前記他の無線通信網のカバーエリアは、前記特定の無線通信網のカバーエリアの一部と重複することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の電子情報記憶媒体において、前記他の無線通信網は、移動体通信事業者が提供するパブリック無線通信網以外のプライベート無線通信網であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の電子情報記憶媒体において、前記要求手段は、前記比較手段による前記比較の結果、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致する場合、前記接続切り替えを要求することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の電子情報記憶媒体において、前記比較手段による前記比較の結果、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とが一致しない場合、前記取得手段は、第1の設定時間経過後に前記端末から前記第2の位置情報を再取得し、前記比較手段は、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とを再比較することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電子情報記憶媒体において、前記比較手段による前記再比較の結果、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とが一致する場合、前記要求手段は、前記接続切り替えを要求することを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の電子情報記憶媒体において、前記比較手段による前記再比較の結果、前記第1の位置情報と前記再取得された第2の位置情報とが一致せず、且つ前記再取得された第2の位置情報と前回取得された第2の位置情報とが一致する場合、前記取得手段は、前記第1の設定時間より長い第2の設定時間経過後に前記端末から前記第2の位置情報を再々取得し、前記比較手段は、前記第1の位置情報と前記再々取得された第2の位置情報とを再々比較することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載されるICチップであって、前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体に含まれるコンピュータを、前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段と、前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得する取得手段と、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求する要求手段として機能させることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載される電子情報記憶媒体であって、前記複数の無線通信網のうち少なくとも特定の無線通信網の第1の位置情報を予め記憶する記憶手段を備える電子情報記憶媒体により実行される接続切り替え要求方法において、前記端末から現在接続中の無線通信網の第2の位置情報を取得するステップと、前記第1の位置情報と前記第2の位置情報とを比較するステップと、前記比較の結果に基づいて、前記現在接続中の無線通信網から他の無線通信網への接続切り替えを要求するステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の無線通信網のうちの1つの無線通信網に端末が接続している状態においてユーザが所望する無線通信網への接続切り替えを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】端末Tの概要構成例を示す図である。
図2】無線通信網NWnの位置関係の一例を示す概念図である。
図3】EFのレコードに格納された設定情報の一例を示す図である。
図4】SIMにおけるCPU15の接続制御処理の一例を示すフローチャートである。
図5図4に示すステップS1においてSIMと端末T(制御部5)との間で行われる初期シーケンスの具体例を示す図である。
図6】接続制御処理の前にRAM12またはNVM14内に用意される一時保存領域の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、異なる複数の無線通信網のうち何れか1つの無線通信網に接続可能な端末に搭載されたSIMに対して本発明を適用した場合の実施の形態である。
【0020】
[1.端末Tの概要構成]
先ず、図1を参照して、端末Tの概要構成について説明する。図1は、端末Tの概要構成例を示す図である。端末Tは、図1に示すように、I/F部1、無線通信部2、記憶部3、操作・表示部4、及び制御部5等を備えて構成される。端末Tは、例えばスマートフォン等の移動機(携帯端末)である。端末TにはSIMが搭載される。SIMは、本発明の電子情報記憶媒体及びICチップの一例であり、端末TにIC(Integrated Circuit)カードとして着脱可能に搭載されるものであってもよいし、端末Tから容易に取り外しや取り換えができないように基板上に搭載(例えば半田付け)されるeUICC(Embedded Universal Integrated Circuit Card)であってもよい。I/F部1は、SIMとの間のインターフェースを担う。かかるインターフェースは、ISO7816インターフェースであることが望ましい。ただし、I/F部1には、SPI(Serial Peripheral Interface)、またはI2C(Inter-Integrated Circuit)が適用される場合もありうる。なお、制御部5とSIMとは、I/F部1を介して、例えばAPDU(Application Protocol Data Unit)プロトコルにしたがって通信する。
【0021】
無線通信部2は、異なる複数の無線通信網NWn(nは、1,2,3,4のうちの全部または一部を示す)の基地局それぞれを検出するモデムを有し、これらの無線通信網NWnのうち何れか1つに接続して無線通信を行うことが可能になっている。ここで、NW1は、プライベート無線通信網(プライベートネットワーク、他の無線通信網の一例))を示し、NW2~NW4は、それぞれ、パブリック無線通信網(パブリックネットワーク)を示す。パブリック無線通信網NW2~NW4は、互いに異なる移動体通信事業者により構築された移動体通信ネットワークであり、音声通信、SMS通信、及びデータ通信を提供する。一方、プライベート無線通信網NW1は、移動体通信事業者が提供するパブリック無線通信網NW2~NW4以外の移動体通信ネットワークであり、例えば、移動体通信事業者以外の企業または団体により特定のエリア(例えば、工場等の施設)内に構築された移動体通信ネットワークである。無線通信網NWnは、基地局を含んで構成される無線ネットワークと、coreを含んで構成されるコアネットワークとからなり、ネットワーク構築者(つまり、移動体通信事業者、または移動体通信事業者以外の企業または団体)により用意されたSIMを利用して無線通信網NWnへの接続のための認証処理が行われるようになっている。
【0022】
図2は、無線通信網NWnの位置関係の一例を示す概念図である。なお、図2の例では、説明の便宜上、カバーエリアAR1~AR4を長方形状に示しているがこれに限定されるものではない。図2の例では、パブリック無線通信網NW2~NW4それぞれのカバーエリア(端末Tが接続可能な通信圏)AR2~AR4は互いに異なっている(重複していない)。ただし、カバーエリアAR2~AR4は重複する場合もある。また、パブリック無線通信網NW2(特定の無線通信網の一例)のカバーエリアAR2には、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1が含まれている。つまり、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1は、パブリック無線通信網NW2のカバーエリアAR2の一部と重複している。また、パブリック無線通信網NW3のカバーエリアAR3は、パブリック無線通信網NW2のカバーエリアAR2よりも、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1から遠く離れている。また、パブリック無線通信網NW4のカバーエリアAR4は、パブリック無線通信網NW3のカバーエリアAR3よりも、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1から遠く離れている。
【0023】
無線通信部2は、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1において、パブリック無線通信網NW2に現在接続中の場合、当該接続を維持するようになっている。この場合、現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えは、SIMからのREFRESHコマンドにより実施される。記憶部3は、例えば不揮発性メモリから構成され、オペレーティングシステム及びアプリケーションが記憶される。操作・表示部4は、ユーザからの入力を受け付けるための入力機能と、ディスプレイ(例えばタッチパネル)に各種情報を表示する表示機能を有する。操作・表示部4は、ユーザにより入力されたPIN(入力値の一例)を制御部5へ出力する。
【0024】
制御部5は、3GPP(登録商標)により規定されたUEに対応し、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等により構成される。制御部5は、無線通信部2により無線通信網NWnのうち何れか1つに接続するための制御を行う。また、制御部5は、I/F部1を介してSIMと接触通信を行う。そして、制御部5は、SIMからREFRESHコマンドをI/F部1を介して受信すると、I/F部1を介してSIM内の通信網データの再読み込みを行って無線通信網NWnの再検索処理を実施することで、無線通信網NWnのうちの何れか1つに接続するための制御を行う。通信網データには、無線通信網NWnに接続するために用いられる認証用情報、IMSI(International Mobile Subscription Identity)、優先的に接続すべき無線通信網NWnの情報、及び接続禁止リストのFPLM等が含まれる。かかる通信網データに、優先的に接続すべき無線通信網NWnとしてプライベート無線通信網NW1の情報が含まれている場合、制御部5は、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1において現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1に接続を切り替えることができる。
【0025】
SIMは、3GPP(登録商標)により規定されたUICCに対応し、図1に示すように、I/F部11、RAM12、ROM13、NVM(Nonvolatile Memory)14、及びCPU15等を備えて構成される。I/F部11は、端末T(制御部5)との間のインターフェースを担う。SIMは、例えばISO/IEC 7816に準拠しており、基本的に、端末TからコマンドAPDUを受信しレスポンスAPDUを返信するように構成されているが、かかる構成を維持しつつも疑似的にSIMから端末TへコマンドAPDUを送信する機能としてプロアクティブコマンドを用意している。本実施形態では、かかるプロアクティブコマンドとして、上述のREFRESHコマンド、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンド、及びTIMER MANAGEMENTコマンドを利用する。
【0026】
ここで、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドは、SIMが端末T(制御部5)から現在接続中の無線通信網NWnの位置情報(第2の位置情報)を取得する際に使用される。かかる位置情報には、どの無線通信網NWnであるかを示すMCC(Mobile Country Code)/MNC(Mobile Network Code)/LAC(Location Area Code)情報が含まれる。なお、LACは、市区町村または施設などの狭いエリアを表すことができる。TIMER MANAGEMENTコマンドは、設定時間が経過したことを端末TからSIMに通知させる際に使用される。SIMは時間を計測していないため、どれくらいの時間経過したかを検知できないが、TIMER MANAGEMENTコマンドを用いることでSIMが経過時間を判定できる。なお、TIMER MANAGEMENTコマンドには設定時間が含まれる。
【0027】
NVM14(記憶手段の一例)は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。NVM14には、オペレーティングシステム、USAT(User Subscriber Identity Module Application Toolkit)アプリケーションを含んで構成される接続制御用アプリケーション(本発明のプログラムを含む)、ICCID(IC Card IDentifier)、及び上述の通信網データが記憶されている。また、NVM14のEF(Elementary File)のレコードには、無線通信網NWnに対応する設定情報が予め格納される。図3は、EFのレコードに格納された設定情報の一例を示す図である。図3において、レコードNo.1はプライベート無線通信網NW1に対応し、レコードNo.2はパブリック無線通信網NW2に対応し、レコードNo.3はパブリック無線通信網NW3に対応し、レコードNo.4はパブリック無線通信網NW4に対応する。それぞれの設定情報は、無線通信網NWnの位置情報と、REFRESHコマンド送信可否と、TIMER MANAGEMENTコマンドに設定される設定時間の基準となる基準時間とが対応付けられて構成される。なお、レコードNo.5は未使用となっている。
【0028】
例えば、レコードNo.1に格納された設定情報は、位置情報“123456FF(h)”(4byte)と、REFRESHコマンド送信可否“00(h)”(1byte)と、基準時間“000000(h)”(3byte)とが対応付けられて構成されている。ここで、位置情報“123456FF(h)”は、プライベート無線通信網NW1のMCC/MNC/LAC情報を示す。REFRESHコマンド送信可否“00(h)”は、REFRESHコマンドを端末Tへ送信しないことを示す。基準時間“000000(h)”はレコードNo.1がプライベート無線通信網NW1に対応することを示す。基準時間“000000(h)”以外はパブリック無線通信網NW2~4の何れかに対応するか、或いは未使用(つまり、“FFFFFF(h)”の場合)であることを示す。レコードNo.2に格納された設定情報は、位置情報“98765401(h)”(4byte)と、REFRESHコマンド送信可否“01(h)”(1byte)と、基準時間“001000(h)”(3byte)とが対応付けられて構成されている。ここで、位置情報“98765401(h)”は、パブリック無線通信網NW2のMCC/MNC/LAC情報(例えば、LAC=01)を示す。REFRESHコマンド送信可否“01(h)”は、REFRESHコマンドを端末Tへ送信することを示す。基準時間“001000(h)”において、先頭の2byteは時間を示し、次の2byteは分を示し、次の2byteは秒を示す。そのため、基準時間“001000(h)”は16分(10進数)に相当する。
【0029】
また、レコードNo.3に格納された設定情報は、位置情報“98765402(h)”(4byte)と、REFRESHコマンド送信可否“00(h)”(1byte)と、基準時間“002000(h)”(3byte)とが対応付けられて構成されている。ここで、位置情報“98765402(h)”は、パブリック無線通信網NW3のMCC/MNC/LAC情報(例えば、LAC=02)を示す。基準時間“002000(h)”は32分(10進数)に相当する。また、レコードNo.4に格納された設定情報は、位置情報“98765403(h)”(4byte)と、REFRESHコマンド送信可否“00(h)”(1byte)と、基準時間“003000(h)”(3byte)とが対応付けられて構成されている。ここで、位置情報“98765403(h)”は、パブリック無線通信網NW4のMCC/MNC/LAC情報(例えば、LAC=03)を示す。基準時間“003000(h)”は48分(10進数)に相当する。このように、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1から遠いカバーエリアに対応するパブリック無線通信網NWnほど長い基準時間が対応付けられている。
【0030】
CPU15は、本発明における取得手段、比較手段、及び要求手段として機能する。例えば、CPU15は、接続制御用アプリケーションにしたがって、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドを端末T(制御部5)に送信することで端末Tから現在接続中のパブリック無線通信網NWnの位置情報(第2の位置情報)を取得する。そして、CPU15は、当該取得した位置情報と、NVM14における、無線通信網NWnの位置情報(第1の位置情報)とを比較する。CPU15は、上記位置情報の比較の結果に基づいて、REFRESHコマンドを端末Tに送信することで現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを要求する。例えば、上記位置情報の比較の結果、当該取得された位置情報が、NVM14における、パブリック無線通信網NW2の位置情報と一致する場合、REFRESHコマンドが端末Tに送信される。
【0031】
一方、上記位置情報の比較の結果、当該取得された位置情報が、NVM14における、パブリック無線通信網NW2の位置情報と一致せず、パブリック無線通信網NW3またはNW4の位置情報と一致する場合、CPU15は、TIMER MANAGEMENTコマンドを端末Tに送信することで当該TIMER MANAGEMENTコマンドに設定された設定時間(第1の設定時間)経過後に端末Tから現在接続中の無線通信網NWnの位置情報を再取得する。そして、CPU15は、当該再取得した位置情報と、NVM14における、無線通信網NWnの位置情報とを再比較する。上記位置情報の再比較の結果、当該再取得された位置情報が、NVM14における、パブリック無線通信網NW2の位置情報と一致する場合、REFRESHコマンドが端末Tに送信される。
【0032】
一方、上記位置情報の再比較の結果、当該再取得された位置情報が、NVM14における、パブリック無線通信網NW2の位置情報と一致せず、且つ当該再取得された位置情報が前回取得された位置情報と一致する場合(つまり、端末Tがカバーエリアを跨いて移動していない場合)、CPU15は、前回のTIMER MANAGEMENTコマンドに設定された設定時間(第1の設定時間)より長い設定時間(第2の設定時間)が設定されたTIMER MANAGEMENTコマンドを端末Tに送信することで当該設定時間(第2の設定時間)経過後に端末Tから現在接続中の無線通信網NWnの位置情報を再々取得する。そして、CPU15は、当該再々取得した位置情報と、NVM14における、NVM14における、無線通信網NWnの位置情報とを再々比較する。上記位置情報の再々比較の結果、当該取得された位置情報が、NVM14における、パブリック無線通信網NW2の位置情報と一致する場合、REFRESHコマンドが端末Tに送信される。以降、同様の処理が繰り返される。
【0033】
[2.端末Tにおける動作]
次に、図4乃至図6を参照して、端末Tにおける動作について説明する。図4は、SIMにおけるCPU15の接続制御処理の一例を示すフローチャートである。図5は、図4に示すステップS1においてSIMと端末T(制御部5)との間で行われる初期シーケンスの具体例を示す図である。図6は、接続制御処理の前にRAM12またはNVM14内に用意される一時保存領域の一例を示す図である。図6の例では、一時保存領域として、位置情報領域M1、測定時間カウンタM2、及びREFRESH送信状況領域M3が示されている。位置情報領域M1には、端末Tから取得された位置情報(MCC/MNC/LAC情報)が保存される。測定時間カウンタM2は、同じ位置情報の連続取得回数が保存される。REFRESH送信状況領域M3は、REFRESHコマンドが送信されたか否かを示す情報(例えば、送信未、または送信済)が保存される。
【0034】
図4に示す処理は、例えば端末Tが起動し端末Tから電源が供給されることで開始され、初期シーケンスが実施される(ステップS1)。このとき、SIMは、RAM12またはNVM14内に用意された一時保存領域すべてを初期化される(位置情報領域M1=FFFFFFFF、測定時間カウンタM2=0、REFRESH送信状況領域M3=送信未)。初期シーケンスでは、図5に示すように、端末T(制御部5)からSIMへRESETを送信する(ステップS101)。SIMは、端末TからのRESETを受信すると、端末TへATR(Answer To Reset)を送信する(ステップS102)。
【0035】
次いで、端末Tは、SIMからのATRを受信すると、アプリケーションを選択するためのSELECTコマンドをSIMへ送信する(ステップS103)。SIMは、端末TからのSELECTコマンドを受信すると、SELECTコマンドで指定されたアプリケーションを選択し、FCI(File Control Information)及びSW:9000(正常終了)を含むレスポンスを端末Tへ送信する(ステップS104)。
【0036】
次いで、端末Tは、SIMからのレスポンスを受信すると、READ BINARY/READ RECORDコマンドをSIMへ送信する(ステップS105)。SIMは、端末TからのREAD BINARY/READ RECORDコマンドを受信すると、ICCID、IMSI、接続禁止リストのFPLM等、及びSW:9000(正常終了)を含むレスポンスを端末Tへ送信する(ステップS106)。なお、ステップS105及びS106の処理は端末Tが必要とするデータ分だけ繰り返される。
【0037】
次いで、端末Tは、SIMからのレスポンスを受信すると、AUTHENTICATEコマンドをSIMへ送信する(ステップS107)。SIMは、端末TからのAUTHENTICATEコマンドを受信すると、端末Tが無線通信網NWnに接続する際のセッション鍵を生成し、生成されたセッション鍵、及びSW:9000(正常終了)を含むレスポンスを端末Tへ送信する(ステップS108)。
【0038】
次いで、端末Tは、SIMからのレスポンスを受信すると、セッション鍵から派生等した認証用データを含むUPDATE BINARY/UPDATE RECORDコマンドをSIMへ送信する(ステップS109)。SIMは、端末TからのUPDATE BINARY/UPDATE RECORDコマンドを受信すると、セッション鍵から派生等した認証用データをNVM14へ書き込み、SW:9000(正常終了)を含むレスポンスを端末Tへ送信する(ステップS110)。ここまでの処理が初期シーケンスである。その後、端末Tは、SIMの生存確認(つまり、抜かれていない、コマンド応答できる状態確認等)のため、STATUSコマンドをSIMへ送信し、SW:9000(正常終了)を含むレスポンスをSIMから受信する処理が、例えば15秒程度に1回の頻度で繰り返される。
【0039】
以上の初期シーケンスにおいて、本実施形態では、SIMは、AUTHENTICATEコマンドに対して、セッション鍵及びSW:91XXを含むレスポンスを端末Tへ送信する。ここで、SW:91XXは、SIM内にデータ長“XX”のPROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドがあることを示す。或いは、SIMは、最初のSTATUSコマンドに対して、SW:91XXを含むレスポンスを端末Tへ送信してもよい。端末Tは、SIMからのSW:91XXを含むレスポンスを受信すると、FETCHコマンドをSIMへ送信する。
【0040】
SIMは、端末TからのFETCHコマンドを受信すると、図4に示すように、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドを端末Tへ送信することで当該コマンドの応答(ターミナルレスポンス)として現在接続中の無線通信網NWnの位置情報(MCC/MNC/LAC情報)を取得する(ステップS2)。次いで、SIMは、ステップS2で取得された位置情報と、NVM14のEFのレコードに格納された位置情報(MCC/MNC/LAC情報)とを比較する(ステップS3)。次いで、SIMは、ステップS3における比較の結果、ステップS2で取得された位置情報と一致する位置情報が格納されたレコードを特定する(ステップS4)。
【0041】
次いで、SIMは、ステップS4で特定されたレコードがパブリック無線通信網NWnに対応(該当)するレコードであるか否かを判定する(ステップS5)。ステップS4で特定されたレコードがパブリック無線通信網NWnに対応するレコードでない(つまり、プライベート無線通信網NW1に対応するレコードNo.1である)と判定された場合(ステップS5:NO)、一時保存領域すべてが初期化され、図4に示す処理は終了する。一方、ステップS4で特定されたレコードがパブリック無線通信網NWnに対応するレコードであると判定された場合(ステップS5:YES)、処理はステップS6へ進む。
【0042】
ステップS6では、SIMは、ステップS4で特定されたレコードがREFRESHコマンドを送信するべきでないレコードであるか否かを判定する。例えば、ステップS4で特定されたレコードに格納されたREFRESHコマンド送信可否が“00(h)”である場合、当該レコードがREFRESHコマンドを送信するべきでないレコード(つまり、レコードNo.3またはNo.4)であると判定され(ステップS6:YES)、処理はステップS10へ進む。一方、ステップS4で特定されたレコードに格納されたREFRESHコマンド送信可否が“01(h)”である場合、当該レコードがREFRESHコマンドを送信するべきでないレコードでないと判定され(ステップS6:NO)、処理はステップS7へ進む。
【0043】
ステップS7では、SIMは、REFRESH送信状況領域M3を参照して、REFRESHコマンドを端末Tに送信するべきであるか否かを判定する。つまり、直ぐに無線通信網NWnの切り替えを実施するのか、一定時間後に無線通信網NWnの切り替えを実施するのかが判定される。例えば、REFRESH送信状況領域M3=送信未である場合、REFRESHコマンドを端末Tに送信するべきであると判定され(ステップS7:YES)、処理はステップS8へ進む。一方、REFRESH送信状況領域M3=送信済である場合、REFRESHコマンドを端末Tに送信するべきでないと判定され(ステップS7:NO)、処理はステップS10へ進む。
【0044】
ステップS8では、SIMは、一時保存領域を更新する。例えば、位置情報領域M1に既に位置情報が一時保存されている場合において、当該一時保存されている位置情報がステップS2で取得された位置情報と一致しない場合、当該一時保存されている位置情報が当該取得された位置情報に変更(上書き)される。このように一時保存されている位置情報が変更された場合、測定時間カウンタM2=0にされる。さらに、REFRESH送信状況領域M3=送信済にされる。
【0045】
次いで、SIMは、REFRESHコマンドを端末Tに送信することで現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを要求する(ステップS9)。その後、SIMは、端末Tが移動することでカバーエリアが変わったか、または無線通信網NWnが切り替わったか確認するため、ステップS2に戻り、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドを端末Tへ再送信することで現在接続中の無線通信網NWnの位置情報(MCC/MNC/LAC情報)を取得して上記と同様の処理を行う。
【0046】
一方、端末T(制御部5)は、SIMからの要求(REFRESHコマンド)に応じて、SIMにREAD BINARY/READ RECORDコマンドを送信することでSIMから通信網データを再取得して無線通信網NWnの再検索処理を実施する。そして、端末Tがプライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1内にある場合、現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1に接続を切り替える。なお、端末Tがパブリック無線通信網NW2のカバーエリアAR2内にあるが、プライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1内にない場合、プライベート無線通信網NW1に接続が切り替えられない。
【0047】
ステップS10では、SIMは、一時保存領域を更新する。例えば、位置情報領域M1に既に位置情報が一時保存されている場合において、当該一時保存されている位置情報がステップS2で取得された位置情報と一致しない場合、当該一時保存されている位置情報が当該取得された位置情報に変更(上書き)される。このように一時保存されている位置情報が変更された場合、測定時間カウンタM2=1にされる。一方、一時保存されている位置情報が変更されない場合、測定時間カウンタM2の値に1が加算される。さらに、REFRESH送信状況領域M3=送信未にされる。
【0048】
次いで、SIMは、ステップS4で特定されたレコードに格納された基準時間に、測定時間カウンタM2の値を乗算することでTIMER MANAGEMENTコマンドに設定されるべき設定時間を算出する(ステップS11)。次いで、SIMは、ステップS11で算出された設定時間が設定されたTIMER MANAGEMENTコマンドを端末Tに送信する(ステップS12)ことで当該設定時間経過後に端末Tから当該コマンドの応答(ターミナルレスポンス)を受信(つまり、設定時間を測定)すると、ステップS2に戻る。これにより、PROVIDE LOCAL INFORMATIONコマンドが端末Tへ再送信されることで現在接続中の無線通信網NWnの位置情報が取得され、上記と同様の処理が行われる。
【0049】
ここで、図4に示す接続制御処理のループにおけるステップS2において、最初にパブリック無線通信網NW4の位置情報が取得され、次に再びパブリック無線通信網NW4の位置情報が取得され、次にパブリック無線通信網NW2の位置情報が取得され、最後にプライベート無線通信網NW1の位置情報が取得されることを想定した場合の動作例について説明する。
【0050】
最初のステップS2では、MCC/MNC/LAC=98765403が取得されるため、ステップS4においてレコードNo.4が特定され、ステップS5:YES及びS6:YESを介して、ステップS10に進む。ステップS10では、位置情報領域M1=98765403、測定時間カウンタM2=1、及びREFRESH送信状況領域M3=送信未となる。次いで、ステップS11においてレコードNo.4に格納された基準時間=003000と測定時間カウンタM2=1とに基づいて設定時間=003000が算出され、ステップS12において設定時間=003000が設定されたTIMER MANAGEMENTコマンドが端末Tに送信される。
【0051】
次のステップS2では、MCC/MNC/LAC=98765403が再取得されるため、ステップS4において再びレコードNo.4が特定され、ステップS5:YES及びS6:YESを介して、ステップS10に進む。ステップS10では、位置情報領域M1=98765403(前回と一致)、測定時間カウンタM2=2、及びREFRESH送信状況領域M3=送信未となる。次いで、ステップS11においてレコードNo.4に格納された基準時間=003000と測定時間カウンタM2=2とに基づいて設定時間=006000(=003000*2)が算出され、ステップS12において設定時間=006000が設定されたTIMER MANAGEMENTコマンドが端末Tに送信される。
【0052】
つまり、パブリック無線通信網NW4のカバーエリアAR4内の端末Tが、SIMによる前回の位置情報の取得時からカバーエリアAR4外へ移動していないため、前回の設定時間より長い設定時間がTIMER MANAGEMENTコマンドに設定されて端末Tに送信されることになる。このように端末TがカバーエリアAR4内に留まり続ける場合、上記設定時間は位置情報が取得される度に延長されるのでSIMの処理負荷を低減していくことができる。
【0053】
次のステップS2では、MCC/MNC/LAC=98765401が取得されるため、ステップS3においてレコードNo.2が特定され、ステップS5:YES及びステップS6:NOを介して、ステップS7に進む。ステップS7では、REFRESH送信状況領域M3=送信未のため、REFRESHコマンドを端末Tに送信するべきであると判定され(ステップS7:YES)、ステップS8に進む。ステップS8では、位置情報領域M1=98765401(前回と一致せず)、測定時間カウンタM2=0、及びREFRESH送信状況領域M3=送信済となる。次いで、ステップS9において、REFRESHコマンドが端末Tに送信される。
【0054】
最後のステップS2では、MCC/MNC/LAC=123456FFが取得されるため、ステップS4においてレコードNo.1が特定され、ステップS5:NOを介して、一時保存領域が初期化(位置情報領域M1=FFFFFFFF、測定時間カウンタM2=0、REFRESH送信状況領域M3=送信未)され、処理が終了する。
【0055】
以上説明したように、上記実施形態によれば、SIMは、端末Tから現在接続中のパブリック無線通信網NWnの位置情報を取得し、当該取得した位置情報と、NVM14における、無線通信網NWnの位置情報とを比較し、上記位置情報の比較の結果に基づいて、現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを要求するように構成したので、パブリック無線通信網NW2に端末Tが接続している状態においてユーザが所望するプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを実現することができる。つまり、パブリック無線通信網NW2に端末Tが接続している状態において、端末Tがプライベート無線通信網NW1のカバーエリアAR1内に入った場合、SIMは、パブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1へ接続を切り替えさせることができる。
【0056】
なお、上記実施形態においては、SIMが現在接続中のパブリック無線通信網NW2からプライベート無線通信網NW1への接続切り替えを要求するように構成したが、これ以外にも、例えばパブリック無線通信網NW3からパブリック無線通信網NW2へ接続切り替えを要求するように構成してもよい。また、かかる要求は、REFRESHコマンド以外のコマンドによりなされてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 I/F部
2 無線通信部
3 記憶部
4 操作・表示部
5 制御部
11 I/F部
12 RAM
13 ROM
14 NVM
15 CPU
T 端末
NW1 プライベート無線通信網
NW2~NW4 パブリック無線通信網
図1
図2
図3
図4
図5
図6