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特開2024-99361電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099361
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240718BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240718BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240718BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/46
H02J3/14 160
H02J13/00 301A
H02J13/00 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003253
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】500395897
【氏名又は名称】株式会社電巧社
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】石原 敦夫
(72)【発明者】
【氏名】川崎 修
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB12
5G064DA03
5G066AE09
5G066HB01
5G066HB06
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】複数の所定の電力需要家の需要に合わせて、電力需要家の拠点から独立した所定の発電施設を決定すると共に、当該発電施設の電力供給を効率良く消費する仕組みを提案する。
【解決手段】電力供給実績管理装置としてのサーバ1は、電力需要家PCの所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける需要情報受付部31と、電力需要家の所定の拠点から独立した発電設備PPの電力供給に関する電力供給情報を受け付ける供給情報受付部32と、電力需要情報及び電力供給情報に基づいて、発電設備の運用開始前に、複数の電力需要家それぞれの需要の大きさに合わせて発電設備の電力供給を区分した、各電力需要家の消費すべき電力量を出力する共用条件出力部33と、を少なくとも備える。ゆえに、所定の発電設備の電力供給を複数の所定の電力需要家の需要に合わせて効率良く消費することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける需要情報受付手段と、
前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける供給情報受付手段と、
前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する共用条件出力手段と、
を備えることを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
複数の前記発電所の電力供給情報に基づいて、前記電力需要家ごとに消費すべき電力の大きさを出力する共用出力変更手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項3】
前記共用出力変更手段は、複数の所定の電力需要家ごとに消費すべき電力を供給する所定の前記発電所を複数の前記発電所に分散して決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力管理装置。
【請求項4】
複数の前記電力供給情報に基づいて、複数の所定の電力需要家が共用してその拠点で消費すべき電力を供給する前記所定の発電所を決定する組合せ出力手段、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の電力管理装置。
【請求項5】
複数の所定の電力需要家以外の電力買取ユーザからの買取条件に関する情報を受け付ける買取受付手段をさらに備え、
前記組合せ出力手段は、前記買取条件に関する情報に基づいて、前記電力買取ユーザを前記電力需要家と見做して前記電力需要家が区分してその拠点で消費すべき電力を供給する前記所定の発電所を決定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の電力管理装置。
【請求項6】
前記所定の発電所の運用開始後の電力供給状況及び複数の前記所定の拠点のそれぞれの電力消費状況に基づいて、前記所定の発電所の電力供給のうち複数の前記所定の拠点間で融通すべき電力の大きさを出力する融通出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項7】
前記所定の発電所の電力供給に関して、前記電力需要家の所定の拠点向けの電力供給状況に応じて、前記所定の拠点に関する環境価値を出力する環境価値出力手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電力管理装置。
【請求項8】
複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を入力し、送信する手段と、
前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を入力し、送信する手段と、
前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する共用条件出力手段と、
を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項9】
複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける処理と、
前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける処理と、
前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する処理と、
を少なくとも実行することを特徴とする電力管理方法。
【請求項10】
コンピュータに対し、
複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける手順と、
前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける手順と、
前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する手順と、
を少なくとも実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理装置、電力管理システム、電力管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の私たちの生活に電気は欠かせないものとなっているが、現在、その電気のほとんどが化石燃料による火力発電や原子力発電によってまかなわれている。しかしながら、化石燃料から発生する二酸化炭素(CO)は、大気中の熱を吸収し、地球温暖化による気候変動に影響を及ぼしているといわれている。そのため、最近では気候変動対策における脱炭素(CO削減)に向けた取り組みが世界中で活発化し、地球環境に対する環境負荷の小さい電気が求められている。
【0003】
その一つとして、二酸化炭素を発生しない非化石燃料による発電への切替えが広まっている。非化石燃料による発電としては、例えば、太陽光や風力、水力、地熱、バイオガス等を利用して発電する再生可能エネルギが挙げられ、自分たちが使う電気を自らまかなう自家消費型の取り組みが電力需要家に注目されている。
【0004】
そこで、自家発電による電力量が消費電力量よりも上回る場合に対応し、消費電力量を上回る余剰電力を、統括的な管理装置を経由しないで電力需要家の間で電力を融通することができる技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、事業活動等で使用した電気が、環境負荷の小さい発電によって得られたものであることを裏付ける(証明する)、グリーン電力証書、J-クレジット、非化石証書等の環境価値と電力とを併せて供給できる技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-101534号公報
【特許文献2】特開2022-18463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自家消費型の再生可能エネルギ発電を導入する場合、電力の消費場所である電力需要家の施設敷地内に発電設備(発電所)を設けるオンサイト型と、電力需要家の施設から離れた敷地外に発電設備を設けるオフサイト型とがある。最近では、例えば、太陽光発電による電力を供給する場合、太陽光パネルを設置するためのスペースが確保できない、太陽光パネルの設置が可能であっても日当たりが確保できない(近隣の建物等の影になってしまう)、都市開発等によって今後も日当たりが続くかわからない、といった様々な理由より、オフサイト型にて自家消費に取り組むことを希望する電力需要家が増えてきている。
【0007】
しかしながら、オフサイト型にて自家消費を行う場合、電力需要家が自ら(自社で)もしくは密接な関係を有する者(グループ会社)が発電設備を設け、そこで発電された電力を全て自らもしくは密接な関係を有する者で消費することを管理する仕組みはあるが、複数の所定の電力需要家が所定の発電設備を共同で利用することを管理することは未だ提案されていない。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、複数の所定の電力需要家とその拠点から独立した(オフサイト型の)所定の発電設備との関係を管理する仕組みを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける需要情報受付手段と、前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける供給情報受付手段と、前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する共用条件出力手段と、を備える電力管理装置である。
【0010】
また、本発明は、上記態様の装置に加え、複数の前記発電所の電力供給情報に基づいて、前記電力需要家ごとに消費すべき電力の大きさを出力する共用出力変更手段、をさらに備える電力管理装置とすることができる。
この際、共用出力変更手段が、複数の所定の電力需要家ごとに消費すべき電力を供給する所定の前記発電所を複数の前記発電所に分散して決定することもできる。
【0011】
また、本発明は、上記各態様の装置に加え、複数の前記電力供給情報に基づいて、複数の所定の電力需要家が共用してその拠点で消費すべき電力を供給する前記所定の発電所を決定する組合せ出力手段と、をさらに備える電力管理装置とすることができる。
【0012】
また、本発明は、上記各態様の装置に加え、複数の所定の電力需要家以外の電力買取ユーザからの買取条件に関する情報を受け付ける買取受付手段をさらに備え、前記組合せ出力手段は、前記買取条件に関する情報に基づいて、前記電力買取ユーザを前記電力需要家と見做して前記電力需要家が区分してその拠点で消費すべき電力を供給する前記所定の発電所を決定する、電力管理装置とすることもできる。
【0013】
また、本発明は、上記各態様の装置に加え、前記所定の発電所の運用開始後の電力供給状況及び複数の前記所定の拠点のそれぞれの電力消費状況に基づいて、前記所定の発電所の電力供給のうち複数の前記所定の拠点間で融通すべき電力の大きさを出力する融通出力手段と、をさらに備える電力管理装置とすることができる。
【0014】
また、本発明は、上記各態様の装置に加え、前記所定の発電所の電力供給に関して、前記電力需要家の所定の拠点向けの電力供給状況に応じて、前記所定の拠点に関する環境価値を出力する環境価値出力手段を、さらに備える電力管理装置とすることができる。
【0015】
また、本発明の他の態様は、複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を入力し、送信する手段と、前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を入力し、送信する手段と、前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する共用条件出力手段と、備える電力管理システムである。
【0016】
また、本発明の他の態様は、複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける処理と、前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける処理と、前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する処理と、を実行する電力管理方法である。
【0017】
また、本発明の他の態様は、コンピュータに対し、複数の所定の電力需要家の所定の拠点における電力需要に関する電力需要情報を受け付ける手順と、前記拠点から独立した所定の発電所の電力供給に関する電力供給情報を受け付ける手順と、前記電力需要情報及び前記電力供給情報に基づいて、所定の目的に応じて、前記所定の発電所の電力供給について複数の前記電力需要家がその拠点で夫々消費すべき電力の大きさを出力する手順と、を実行させるコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、所定の発電設備で発電された電力を、複数の所定の電力需要家で共用して効率よく(自家)消費することができるので、複数の所定の電力需要家が、その拠点から独立した所定の発電設備を共同で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る電力管理システムの概要を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る電力管理システムの構成の概略を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る電力管理システムに含まれるサーバのハードウェアの構成を示すブロック図である。
図4】サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】サーバにおける電力供給共用条件出力処理の動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の他の実施形態に係る電力管理システムの構成の概略を示す図である。
図7】サーバの機能的構成の他の例を示す機能ブロック図である。
図8】サーバにおける電力供給共用条件出力処理の他の動作を示すフローチャートの一部である。
図9】サーバにおける電力供給共用条件出力処理の他の動作を示すフローチャートの一部である。
図10】HMEの回路構成と電力の説明を示す図である。
図11】余剰電力と不足電力のやり取り方法の説明を示す図である。
図12】投資回収の観点からの、電力分配シミュレーションの説明を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<概略>
以下、本実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る電力供給の共用条件出力(シミュレーション)が実施される電力管理システムの事例を示す図である。
【0021】
電力供給の共用条件出力における、「共用」の概念には、「所定の発電所」の「所有権の共有」の概念と「発電電力の使用権の共有」(電力販売契約PPA(Power Purchase Agreement))の概念の双方を含むものとする。また、共用の最小単位はパワーコンディショナPCS(Power Conditioning System)単位であっても、PCS単位によらず所定の発電所の発電能力の割合であってもよい。例えば、ユーザが1~4まで存する場合に、各ユーザの基本区分比率がそれぞれ20%、30%、10%、40%に区分される。
【0022】
本実施形態では、自家消費に取り組むことを希望する複数の所定の電力需要家PC(PC1,PC2,PC3・・・)が、オフサイト型にて第三者が所有する所定の発電設備(発電所)PPで発電された電力を、送電網や配電網といった電力系統PSを利用して供給を受け、区分された分の電力を各事業所で自家消費することを想定した例について説明する。
【0023】
まず、所定の電力需要家PCとは、電力供給を受ける発電設備PPを予め取り決めることなく送電ネットワークPNから電力供給を受ける電力需要者ではなく、後述する契約によって電力供給を受ける発電設備PPを予め取り決めた電力需要者をいう。
【0024】
また、所定の発電設備PPとは、発電した電力を不特定多数の電力需要者へ供給する発電設備ではなく、同じく後述する契約によって電力供給先の電力需要家PCを予め取り決めた発電設備をいう。
【0025】
この発電設備PPとしては、例えば、太陽光発電設備、風力発電設備、水力発電設備、バイオマス発電設備、地熱発電設備等の再生可能エネルギ発電設備が挙げられるが、本実施形態においては、太陽光発電設備を複数の所定の電力需要家PCが共同で利用する場合について説明する。
【0026】
発電設備PPは、太陽光を受けて発電を行う発電所である。この発電設備PPは、太陽光を直流電流(電力)に変換する太陽光パネルと、パワーコンディショナと、を含む。太陽光パネルは、太陽電池を含んでおり、太陽光を受けることにより直流の電力を発生する。太陽光パネルは、発生した電力をパワーコンディショナへ入力する。
【0027】
パワーコンディショナは、太陽光パネルからの直流電力を交流電力に変換するインバータを含み、その交流電力のレベルを調整する。また、パワーコンディショナは、制御部からの指示に基づいて、交流に変換した電力を電力系統PSへ供給する量を制御する。
【0028】
また、発電設備PPは、複数の所定の電力需要家PCがそれぞれ電力を消費する事業所や工場等の拠点から独立しており、太陽光発電設備の場合、送電線のキャパシティに対応する発電の大きさ(kW)や、太陽光パネルの数、パワーコンディショナの種類や台数といった、経済産業省の登録単位に基づいて一つの発電設備と認識されている。
【0029】
なお、発電設備PPは、太陽光の他、風力や水力等の再生可能エネルギを分散型エネルギとして利用し、数多くの分散型エネルギをまとめて制御して、恰も一つの発電設備のように機能させるものであってもよい。
【0030】
図1の例では、発電設備PPを管理する発電事業者(もしくは、その間に介する小売電気事業者)と電力需要家PCとが電力購入契約を締結し、発電設備PPが発電した電力を、送電ネットワークPNを介して、複数の電力需要家PC1,PC2,PC3・・・へ販売することを示している。
【0031】
ここで、「電力購入契約」とは、発電事業者(小売電気事業者)と電力需要家PCとの間で行われる、主に再生可能エネルギ電力の調達を長期にわたって契約する仕組みであって、一般的に10~20年を目安に購入契約を結ぶものとなっている。
この電力購入契約は、(1)発電設備PPの設置・運営費を全て発電事業者が負担する、(2)発電後の電気を所定の電力需要家PCが全て買い取り、電力需要家PCがその分の電気料金を発電事業者へ支払う、という主たる特徴を有するものである。
【0032】
なお、本実施形態における電力管理システムでは、複数の所定の電力需要家PCが、所定の発電設備PPで発電される電力を全て買い取り、各電力需要家PCが、各々消費した分の電気料金を発電事業者へそれぞれ支払うものである。
【0033】
そして、発電設備PPが発電した電力は、電柱等を経て電力系統PSに送電され、送電ネットワークPNを介して各電力需要家PCへ供給される。この際、発電設備PPから各電力需要家PCへの電力供給には、例えば、電力の取引情報の真正性を担保したブロックチェーン(Block chain)技術を応用し、第三者が検証可能な形でほぼリアルタイムに見える化した既知の電力取引システムを用いて行うことができる。この電力取引システムにより、再生可能エネルギ電力がどの発電設備PPで生まれ、どの電力需要家PCに使われたのかがわかる。
【0034】
ゆえに、電力の消費場所から遠くに設置された所定の発電設備PPから、電力系統PS(公共の送配電線)を通って複数の所定の電力需要家PCへ送電することができる。
なお、電力需要家PCの需要量(消費量)が、所定の発電設備PPから供給を受ける電力量を上回った場合、需要量に足りない分の電力供給は、送電ネットワークPNから通常通り受けるものとすればよい。
【0035】
従って、本発明者が提案するこの仕組みによって、複数の所定の電力需要家PCが所定の発電設備PPを共同で利用すると共に、電力需要に応じた発電設備PPの開発を実行することができ、本実施形態に係る電力管理システムが実施できるものとなる。
【0036】
<システム構成>
図2は、本実施形態に係る電力管理システムのシステム構成の概要を示す図である。本実施形態に係る電力管理システムは、複数の所定の電力需要家PCの各拠点から独立した所定の発電設備PPとの関係を管理する処理を行うサーバ1と、この電力管理システムを運営する管理者が用いる管理者端末2とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
【0037】
サーバ1は、所定の発電設備PPの電力供給を複数の所定の電力需要家PCの需要に合わせて管理することを支援する装置であって、演算処理機能や、通信機能を有する。サーバ1は、例えば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0038】
管理者端末2は、管理者が操作するコンピュータであり、演算処理機能、通信機能を有する装置である。管理者端末2は、例えば、パーソナルコンピュータや、管理者(ユーザ)により携帯可能なスマートフォン、タブレットコンピュータ等により実現される。本実施形態では、一例として、発電事業者(発電設備PP)及び電力需要家PCより依頼を受けた電力管理システムの管理者が利用している状態を図に示している。
【0039】
このように構成された電力管理システムでは、複数の所定の電力需要家PCそれぞれの需要の大きさに合わせて発電設備PPからの電力を供給し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力することができる。
【0040】
<ハードウェア構成>
図3は、本実施形態に係るサーバ1のハードウェア構成を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0041】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。すなわち、CPU11は、プログラムに従って各種の処理を実行する、サーバ1全体の動作を制御するプロセッサである。また、プログラムは、例えば、サーバ1の各部を動作させるためのオペレーティングシステムやファームウェア、或いは、後述の機能ブロックを実現するためのアプリケーションソフトウェアといったプログラムである。
【0042】
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0043】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、管理者(ユーザ)の指示操作を受け付け、受け付けた指示操作に応じて各種情報を入力する。なお、例えば、タッチパネルにより、出力部16と入力部17とを一体にして実現してもよい。
【0044】
記憶部18は、サーバ1が情報処理を実行するために必要な各種データを記憶するものであって、例えば、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置との間で通信を行う。
【0045】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0046】
なお、サーバ1は単体で動作する装置に限らず、ネットワークNを介して通信を行うことで協調動作する分散型サーバシステムや、クラウドサーバでもよい。
【0047】
<機能構成>
図4は、本実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、需要情報受付部31、供給情報受付部32、共用条件出力部33が機能する。
【0048】
需要情報受付部31は、電力需要家PCの所定の拠点における電力需要情報を受け付ける機能を有する手段である。
電力需要情報とは、電力需要家PCの名称や住所、連絡先、電力需要家PCが所定の拠点で消費することを希望する所定期間の概算消費量に限らず、例えば、時間ごとの消費変化や、日ごとの消費変化、曜日ごとの消費変化、月や季節ごとの消費変化をそれぞれ加味した概算消費量、将来の消費増減予測等、いつ・どれ位の電力を利用する見込みかといった電力需要に関する種々の情報をいう。
【0049】
この需要情報受付部31は、受け付けた電力需要情報を一時的に記憶する機能を有する。一時的とは、例えば、後述する共用条件出力部33が電力需要情報を読み込むまで、又は新しい電力需要情報を受け付けるまで、もしくは、サーバ1の電源が切れるまでの時間をいう。
【0050】
供給情報受付部32は、電力需要家PCの拠点から独立した発電設備PPの電力供給情報を受け付ける機能を有する手段である。
電力供給情報とは、発電設備PPの名称や住所、発電設備PPの規模、太陽光パネルやパワーコンディショナの性能等から発電可能であろうと理論上算出した所定期間の概算発電量に限らず、例えば、当該発電設備PPが存在する地域の過去の気象情報や日照情報、将来の気象予測等、いつ・どれ位の電力を発電可能するかといった電力供給に関する種々の情報をいう。
【0051】
この供給情報受付部32もまた、受け付けた電力供給情報を一時的に記憶する機能を有する。一時的とは、需要情報受付部31と同様に、例えば、後述する共用条件出力部33へ電力供給情報を送信するまで、もしくは、新しい電力供給情報を受け付けるまで、もしくは、サーバ1の電源が切れるまでの時間をいう。
【0052】
共用条件出力部33は、電力需要情報及び電力供給情報に基づいて、発電設備PPの運用開始前に、所定の目的に応じて、発電設備PPの電力供給について各電力需要家PCがその拠点で夫々自家消費すべき電力量の大きさに関する共用条件を出力する機能を有する手段である。所定の目的とは、各電力需要家が重視する目的であって、例えば、電力需要家の電力経費を最小化することをいう。
【0053】
この共用条件は、小分けや切り売りといった意味と同様であり、共用条件出力部33は、所定の発電設備PPで発電される見込みの電力が、どの電力需要家PCによって、どの時間帯に、どれ位消費される見込みか、という情報に基づいて、所定の電力需要家PCごとに適切に分け与えることをいう。つまり、共用条件出力部33は、どのような時間帯に、どの位の電力を、どの電力需要家PCに、どのように区分するのがよいかを出力するものである。
【0054】
ゆえに、本実施形態に係るサーバ1は、補助記憶装置(例えば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPU11により実行されることによって、需要情報受付部31、供給情報受付部32、共用条件出力部33を含む装置として機能する。
【0055】
なお、本実施形態において、記憶部18には、需要情報受付部31が受け付けた電力需要情報を記憶するデータベースや、供給情報受付部32が受け付けた電力供給情報を記憶するデータベースは備えられていないが、必要に応じてこれらの情報が適宜利用できるように、記憶部18にそれぞれのデータベースを設けるようにしてもよい。
【0056】
<処理内容>
図5は、本実施形態に係る電力供給共用条件処理の一例を示す図である。
ステップS10において、需要情報受付部31は、電力需要情報を受け付けたか否か判定する処理を行う。電力需要情報の受け付けは、管理者端末2からの電力需要情報入力要求に応じて所定の入力用フォーマットを管理者端末2へ送信し、その返信を受け付けることにより行われる。
【0057】
その結果、需要情報受付部31が、電力需要情報を受け付けた(YES)と判定した場合、引き続き、ステップS20において、供給情報受付部32は、電力供給情報を受け付けたか否か判定する処理を行う。電力供給情報の受け付けは、管理者端末2からの電力供給情報入力要求に応じて所定の入力用フォーマットを管理者端末2へ送信し、その返信を受け付けることにより行われる。
【0058】
一方、ステップS10において、需要情報受付部31が、電力需要情報を受け付けていない(NO)と判定した場合、需要情報受付部31は、電力需要情報を受け付けたか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0059】
ステップS20において、供給情報受付部32が、電力供給情報を受け付けた(YES)と判定した場合、ステップS30において、共用条件出力部33は、電力供給の共用条件を出力するか否か判定する処理を行う。電力供給の共用条件は、管理者端末2から電力供給の共用条件出力実行要求を受け付けることにより行われる。
【0060】
一方、ステップS20において、供給情報受付部32が、電力供給情報を受け付けていない(NO)と判定した場合、供給情報受付部32は、電力供給情報を受け付けたか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0061】
ステップS30において、共用条件出力部33が、電力供給の区分実行要求を受け付けた(YES)と判定した場合、ステップS40において、共用条件出力部33は、需要情報受付部31が記憶する電力需要情報及び供給情報受付部32が記憶する電力供給情報に基づいて、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給の共用条件を出力し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力する処理を行う。
【0062】
つまり、共用条件出力部33での出力は、電力需要情報及び電力供給情報によるが、例えば、所定の発電設備PPの電力供給量が100kWの場合、50kW×2区分、20kW×5区分、10kW×10区分、40kWと30kWと30kWの3区分等、PCS単位あるいはPCS単位によらずに、任意に区分して供給量を出力することができる。
【0063】
この供給電力の共用条件に従った区分は、発電設備PPの運用開始前に行うのに適している。つまり、開発予定の発電設備PPの電力供給量に見合う電力需要家PCが決まってから発電設備PPの建設を進めるのでは、完成までにかなりの期間が掛かってしまう。また、発電設備PPが完成されてから電力需要家PCを募るのでは、電力需要家PCが決まるまで発電設備PPの運用が開始できずに無駄になってしまう。しかし、本発明の電力管理システムを用いてシミュレーションを行えば、発電設備PPの開発計画の段階で電力需要家PCの募集を開始し、発電設備PPの建設と電力需要家PCの募集を並行して行えるので、効率良く発電設備PPの開発・運用を行うことができる。
【0064】
一方、ステップS30において、共用条件出力部33が、供給電力の区分実行要求を受け付けていない(NO)と判定した場合、共用条件出力部33は、電力供給を区分するか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0065】
そして、本実施形態では、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給の共用条件を出力し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力することで、サーバ1での一連の動作は終了(END)する。
【0066】
<本実施形態の有利な効果>
上述の実施形態によれば、複数の所定の電力需要家が、その拠点から独立した所定の発電設備における供給電力を共用して(自家)消費することができるので、発電設備の過剰な設置(太陽電池モジュールの過積載)による効果を発揮させつつ、効率的な電力供給及び電力消費を行うと共に、電力需要に応じた発電設備の開発を実行することができる。
【0067】
また、発電設備PPの設置費用や余剰電力発生のおそれ等の点で、発電設備PPを単独所有する自家消費型の再生可能エネルギ発電の導入に躊躇していた電力需要家PCに対し、発電設備PPを複数の電力需要家PCで区分所有する自家消費型の再生可能エネルギ発電の導入を積極的に提案することができる。
【0068】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上述した実施の形態は、本発明の理解を容易にするための例示に過ぎず、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は、本発明に含まれるものである。
【0069】
(変形例)
また、本発明では、単純に所定の発電設備PPを対象として、電力需要家PCが消費すべき電力量を出力するのではなく、様々なバリエーションを設けることができる。例えば、複数の所定の発電設備PPと複数の所定の電力需要家PCとの最適な組合せを考慮したものとすることができる。また、所定の発電設備PPを一つに限定せず、決められた消費すべき電力量で、複数の所定の発電設備PPから電力供給を受けるように組合せを考慮したものとすることもできる。
【0070】
また、複数の電力需要家PCの少なくとも一における電力需要情報が変更した場合を考慮したものとすることもできる。また、発電設備PPの電力供給量に比して電力需要家PCの数が足りない場合を考慮したものとすることもできる。さらに、実際に消費された電力の実績と、実際に供給された電力の実績を考慮したものとすることもできる。
【0071】
なお、以下に述べる他の実施形態では、上述した実施形態と異なる部分を中心に説明する。従って、上述した実施形態と同様の構成部分は同じ符号を付してその説明は省略し、特に説明しない限り同じであるものとする。
【0072】
また、本発明の他の実施形態では、電力需要家PCにとって最適な容量区分の選定方法を提供することが出来る。
発電電力とデマンド(消費電力)のシミュレーションソフトにより、電力需要家PCに重要視する評価項目で選定する発電力を変数としてシミュレーションする。評価項目には、投資可能金額、投資回収年数(投資金額/自家消費PVによる1年間の電気代収益)、デマンド(消費電力)に占めるPV発電電力比率、が挙げられる。
さらに、販売側にとって最適な電力需要家PCの組み合わせを提供することもでき、次の方法による。
発電電力とデマンド(消費電力)のシミュレーションソフトにより、電力需要家PCの組み合わせによる余剰電量がミニマムとなる組み合わせを選択することや、複数の電力需要家PCの組み合わせを変数としてシミュレーションする方法である。
【0073】
また、本発明では、構成する電力需要家PC毎に発電電力を数字上分割配分するため、電力需要家PCごとに余剰電力(販売)、不足電力(購入)が発生するおそれがある。
よって、発電所トータルで、余剰と不足が同時に発生する時間帯は、余剰が発生している電力需要家PCに融通して販売するものとする。ここで、融通とは、余剰電力の市場価格より高く、かつ、市場からの購入価格より安く販売することをいう。
こうして、シミュレーションソフトに付加した販売の仕組みにより、余剰/不測の電力需要家PC双方にとって好適な結果をもたらす。
【0074】
デマンド(消費電力)のデータは、次の方法で入手する。一つは、リアルタイム計測法であり、デマンドデータを毎時0~5分間の時間単位ごとにWEBなどからデマンド値を計測収集する方法である。もう一つは、既存データの収集であり、過去のデマンドデータ(電力会社などから提供される各年の同月同日データ)を採用する方法である。
【0075】
また、本発明では、上述した電力供給の区分単位でなく、発電量配分比率で区分販売することもできる。例えば、発電量の23%が最適な電力需要家PCには、23%に相当する電力設備の権利と義務を販売する。この場合、全電力需要家の区分比率合計が、100%となるように調整する。
具体的には、電力需要家PCが4人いた場合、各需要家には基本区分比率を甲が20%、乙が30%、丙が10%、丁が40%とする。この際、時間単位及び曜日単位での配分量変更を行う。甲から丁は、基本区分比率に応じて区分設備比率を負担し、費用増減については実際に発生した消費電力に応じて甲から丁間にて金額のやり取りを行うこととする。例えば特定時間で甲が電力配分量を減らせば5%の減額を受け、乙が電力配分量を増やせば5%の増額を受ける、といった調整がされる。これらは売り手と買い手となる電力需要家PCの了解のもとで行われる。
基本区分比率に応じて区分設備費用を負担し、増減分の金銭負担については実際に発生した消費電力に応じて、ユーザ間で金銭のやり取りを行う。
【0076】
次に、図10により各時間区分1から3における、余剰電力と不足電力とのマッチング率を高める方法について説明する。
各発電所の太陽光パネルは、PCSから電力計を介して系統電力に接続される。そして、電力プロバイダは、系統電力に対して余剰分の電力を吸収し不足分の電力を供給する。上述の各ユーザは、電力計を介して系統電力から電力の供給を受ける。
一般的に、余剰分電力の販売価格は安く、不足分の購入価格は高い、ということが電力市場の経済的価値から知られている。よって、複数のユーザが電力を同時に使用して融通し合って、トータルで無駄を排除することが必要である。
図10におけるマッチングパワー(Mp;マッチング電力)とマッチング率(M率)について説明する。マッチングパワーは、発電量GとデマンドDを比較し、G>Dのとき、マッチングパワーMp=デマンドDとする。また、G≦Dのときは一律に、マッチングパワーMp=発電量Gとする。
次に、マッチング率は、図10に示すように、マッチングパワーMp/発電量Gで計算される。
例えば、区分1では、マッチングパワーMp=20、発電量G=30の場合、マッチング率は67%となる。
なお、例えば、区分3では、マッチングパワーMp=20、発電量G=20の場合、マッチング率は100%となる。
【0077】
こうして、より小さな消費電力の電力需要家PCにも販売でき、さらに、需要家同士の了解の元、配分電力権利の比率増減も容易に行えて、より余剰電力ロス低減が期待できる。
【0078】
また、本発明の他の実施形態では、予め定められた比率によって複数のユーザに配分された帳簿上の電力について、結果的に余剰分を有するユーザから不足分を有するユーザに融通し、双方のロスを軽減する方法を提供することが出来る。
この方法について図11を用いて説明する。分配処理は、余剰電力を有するユーザの電力を不足しているユーザに分配して行う。分配処理は分配順序の通りに行い、時間ごとにローテーションさせる。
図11のように、太陽光発電所は、発電比率K1及びK2によりそれぞれユーザ1とユーザ2に配分する。ユーザ1への配分に余剰分が生じれば、外部へ販売するかあるいは内部融通としてユーザ2に融通する。同様に、ユーザ2への配分に余剰又は不足が生じた場合もユーザ同士又は外部との融通を行う。例えば、分配は30分単位で調整し、余剰のあるユーザから不足するユーザに融通することで行う。
分配順序の方式には、ユーザ順に順序を固定する方式がある。この場合、計算処理が単純であるが、優先順位が高い方に定められたユーザが恩恵を受けやすいという不公平が生じる。順序を変動する方式も採用でき、この場合順序を乱数で決定するなどして行い、ユーザ間では公平となるが、計算処理は複雑となる。いずれの方式によっても、系統電力との電力取引が最小で済むこととなる。
こうした結果、ユーザ1にとって一日当たりの電力購入金額は、内部融通をしない場合が11,500円であるのに対し、内部融通をした場合は9,700円となる。この金銭的メリットは、一年間で657,000円の電力購入金額削減となる。
【0079】
また、図12に示すグラフは、電力分配シミュレーションを図示するものである。ユーザにとって適切な発電設備PPの規模を選定するために、特定の電力需要に対して発電量を変数としてシミュレーションする。例えば、PCS容量を10kW、20kW、30kWとし発電量分配の比率をそれぞれ10%、20%、30%とする。図12(B)(C)(D)は、同じ電力需要に対して、上述の分配比率の時の電力需要と発電量の時刻ごとの大きさを図示したグラフである。そして図12(A)の条件設定によりシミュレーションすると、発電所への投資に対する回収年数は、分配の比率が10%、20%、30%の場合それぞれ4.9年、4.6年、5.9年となる。こうして上述の条件設定で分配の比率が20%のとき、投資回収年数が最短となることが分かる。
なお、上述は投資及び消費電力の金銭的価値に着目したシミュレーション結果であるが、それ以外に後述する環境価値を付加して適切な発電設備PPの規模を選定することもできる。よって、二酸化炭素排出量の点で環境負荷の少ない電力を使用することを重視する企業に対しても、好適なシミュレーション方式を提供することができる。
【0080】
<システム構成>
図6は、本発明の他の実施形態に係る電力管理システムのシステム構成の概要を示す図である。他の実施形態に係る電力管理システムは、複数の所定の電力需要家PCとその拠点から独立した所定の発電設備PPとの関係を管理する処理を行うサーバ1と、この電力供給模擬区分システムを運営する管理者が用いる管理者端末2と、電力買取ユーザからの買取条件に関する買取条件情報を管理する買取条件管理装置3と、電力需要家PCそれぞれの電力消費状況を管理する消費実績管理装置4と、発電設備PPの発電電力状況を管理する供給実績管理装置5とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
なお、電力買取ユーザとしては、例えば、外部の電力買取専門業者等が挙げられるが、これに限定されない。
【0081】
買取条件管理装置3と、消費実績管理装置4及び供給実績管理装置5は共に、演算処理機能や、通信機能を有するコンピュータであり、例えば、サーバ装置や、パーソナルコンピュータ等の電子機器により実現される。
【0082】
このように構成された電力供給模擬区分システムでは、複数の所定の電力需要家PCそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPからの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力するだけでなく、電力需要家PCや発電設備PP(発電事業者)にとって望ましいものとすることができる。
【0083】
<機能構成>
図7は、他の実施形態に係るサーバ1における機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
サーバ1のCPU11においては、動作する際に、需要情報受付部31、供給情報受付部32、共用条件出力部33、組合せ出力部34、共用出力変更部35、買取情報受付部36、消費実績受付部37、及び供給実績受付部38、融通出力部39、環境価値出力部40が機能する。
【0084】
組合せ出力部34は、複数の発電設備PPの電力供給情報に基づいて、電力需要家PCごとに消費すべき電力を供給する所定の発電設備PPをそれぞれ決定する機能を有する手段である。
つまり、複数の発電設備PPの中から、電力需要家PCとの最適な組合せを考慮し、所定の発電設備PPと、複数の電力需要家PCを取り決めるものである。
【0085】
次に、複数の発電設備PPに対して、複数のユーザがある場合の最適な組み合わせについて説明する。天候によって電力の余剰と不足が各ユーザに同時に発生する場合に、電力の融通を行うことができ、例えば、次の2パターンの融通の仕組みが想定される。
1つ目のパターンとして、ユーザが予め定めた発電所からの電力分配比率契約を遵守して融通することが挙げられる。
発電設備PP1~PP4の4か所の発電設備と、ユーザ1~ユーザ7がいる場合を例に説明する。
ここで、発電設備PP1は、その発電能力を契約により、ユーザ1に対して30%、ユーザ2に対して20%、ユーザ3に対して50%分配する。
発電設備PP2は、その発電能力を契約により、ユーザ3に対して50%、ユーザ4に対して50%分配する。
発電設備PP3は、その発電能力を契約により、ユーザ4に対して100%分配する。
発電設備PP4は、その発電能力を契約により、ユーザ5に対して30%、ユーザ6に対して30%、ユーザ7に対して40%分配する。
そして、例えば、発電設備PP3(例えば、太陽光発電設備)において、日照条件等の理由により、発電設備PP3の発電量が著しく低下した場合、当該発電設備PP3と契約しているユーザ4(例えば、ユーザ4の保有する施設)等に対して、他の発電設備PPにおける余剰電力の融通を行う。
2つ目のパターンとしては、上記の電力分配比率契約に関わらずに電力を融通することが挙げられる。
具体的には、上述のパターン1と同じ条件の場合に、複数の発電設備PP1~PP4を1つの発電設備とみなして、融通する。
すなわち、例えば、発電設備PP3において、日照条件等の理由により、発電設備PP3の発電量が著しく低下した場合、当該発電設備PP3と契約しているユーザ4(例えば、ユーザ4の保有する施設)等に対して、他の発電設備PPにおけて余剰電力が発生しているか否かを問わず融通を行う。融通の仕組みは、上述した、1つの発電設備PPが複数のユーザに対して融通する仕組みと同様とするとよい。
【0086】
これにより、複数の所定の発電設備PPと複数の電力需要家PCとの最適な組合せを知ることができるので、複数の発電設備PPを含む電力供給側全体として電力需給に応じた最適な発電設備PPの開発を実行することができる。
【0087】
また、組合せ出力部34は、電力需要家PCごとに消費すべき電力を供給する所定の発電設備PPを、複数の所定の発電設備PPに分散して決定する機能を有する手段とすることもできる。
つまり、所定の発電設備PPを一つに限定せず、決められた消費すべき電力量で、複数の所定の発電設備PPから電力供給を受けるように組合せを考慮し、電力需要家PCごとに、複数の所定の発電設備PPを取り決めるものである。
【0088】
これにより、電力需要家PCは一つの発電設備PPからのみ電力の供給を受けるのではなく、複数の発電設備PPから電力の供給を受けることができるように、電力の供給が絶たれてしまうリスクを分散することができる。つまり、一つの所定の発電設備PPが地震や津波、台風といった自然災害や事故等によって破損し、そこから電力の供給を受けることが困難な場合でも、各電力需要家PCは、分散して取り決めた他の複数の所定の発電設備PPから電力の供給を受けることができる。
【0089】
共用出力変更部35は、発電設備PPの運用開始前もしくは発電設備PPの運用開始後の電力需要家PCの少なくとも一における電力需要情報の変更に応じ、後述する電力共用条件情報DB41を参照して、変更のあった電力需要情報に関連付けて記憶されている電力供給情報に基づいて全ての電力需要家PCを特定し、各電力需要家の消費すべき電力量を再出力する機能を有する手段である。
つまり、複数の電力需要家PCの少なくとも一における電力需要情報が変更した場合を考慮したものである。
これにより、例えば、契約期間中の電力需要家PCの倒産等の際に、残りの電力需要家PCが消費すべき電力量を再出力し、共用条件の変更契約をすることが可能となる。
【0090】
買取情報受付部36は、電力需要家PC以外の電力買取ユーザからの買取条件情報を受け付ける機能を有する手段である。
買取情報受付部36は、例えば、買取条件管理装置3へ登録の有無を確認することにより送られてくる、所定の買取条件情報を受け付ける。また、電力買取ユーザが利用する電力買取ユーザ端末から、直接受け付けるものとしてもよい。
【0091】
買取条件情報は、電力買取ユーザの名称や住所、連絡先、電力買取ユーザが消費することを希望する電力量、その買取希望価格に限らず、例えば、時間ごとの消費変化や、日ごとの消費変化、曜日ごとの消費変化、月や季節ごとの消費変化をそれぞれ加味した概算消費量、将来の消費増減予測等、電力買取ユーザの買取電力量(電力需要)及びその買取希望価格を含めた買取条件に関する種々の情報をいう。
【0092】
つまり、発電設備PPの電力供給量に比して電力需要家PCの数が足りない場合を考慮し、余剰分の電力を無駄にすることなく、所定の電力買取ユーザへ供給するようにしたものである。
この際、組合せ出力部34は、買取条件情報に基づいて、電力買取ユーザを電力需要家PCとみなして消費すべき電力を供給する所定の発電設備PPを決定する機能を有する手段となる。
【0093】
また、買取情報受付部36は、受け付けた買取条件情報を一時的に記憶する機能を有する。一時的とは、例えば、後述する共用条件出力部33が買取条件情報を読み込むまで、又は新しい買取条件情報を受け付けるまで、もしくは、サーバ1の電源が切れるまでの時間をいう。
【0094】
これにより、電力需要家PCが発電設備PPの開発余力に対して足りないときに、電力買取ユーザによる買取の申し出を、電力需要家PCの電力消費の代替として効率的な発電設備PPの開発を実行することができる。
【0095】
消費実績受付部37は、発電設備PPの運用開始後の電力需要家PCそれぞれの消費実績情報を受け付ける機能を有する手段である。
消費実績受付部37は、例えば、消費実績管理装置4より定期的に送られてくる、もしくはサーバ1からの問い合わせに応じて消費実績管理装置4から送られてくる、所定の消費実績情報を受け付ける。
【0096】
消費実績情報は、発電設備PPの運用開始後の電力需要家PCが実際に消費した電力量に関する情報であって、所定期間の実際の消費量(消費実績)に限らず、例えば、時間ごとの消費変化や、日ごとの消費変化、曜日ごとの消費変化、月や季節ごとの消費変化をそれぞれ加味した消費量の他、各電力需要家PCの拠点が存在する地域において今後予測される将来の気象情報や、その地域もしくは近隣で起こった地震や津波、台風といった自然災害情報等、近々に予測される電力需要(変化)量を含めた電力消費状況に関する種々の情報をいう。
【0097】
供給実績受付部38は、発電設備PPの運用開始後の供給実績情報を受け付け、後述する供給実績情報DB45に登録する機能を有する手段である。
供給実績受付部38は、例えば、供給実績管理装置5より定期的に送られてくる、もしくはサーバ1からの問い合わせに応じて供給実績管理装置5から送られてくる、所定の供給実績情報を受け付ける。
【0098】
供給実績情報は、発電設備PPの運用開始後に実際に発電して供給した電力量に関する情報であって、所定期間の実際の発電量(発電実績)に限らず、例えば、当該発電設備PPが存在する地域において今後予測される将来の気象情報や、その地域もしくは近隣で起こった地震や台風といった自然災害情報等、近々に予測される発電(変化)量を含めた発電電力状況に関する種々の情報をいう。
【0099】
融通出力部39は、上述した消費実績情報及び供給実績情報に基づいて、発電設備PPの電力供給を区分して複数の電力需要家PCの間で融通すべき電力量を出力する機能を有する手段である。
【0100】
つまり、実際に消費された電力の実績と実際に供給された電力の実績を考慮したものであると共に、将来予測される電力需要と電力供給をさらに考慮するようにしたものである。
これにより、所定の発電設備PPの運用開始後に、その電力を共用して(自家)消費する複数の拠点間で需給バランスを調整することができる。
【0101】
環境価値出力部40は、上述した所定の発電所の電力供給に関して、電力需要家PCの所定の拠点向けの電力供給状況(例えばPCSで実測した供給電力量(kwh))に応じて、所定の拠点に関する「環境価値」(例えば0.3円×供給電力量で決まる通貨価値(円))を出力する機能を有する手段である。
ここで「再生可能エネルギ(例えば、太陽光や風力で作ったエネルギ)の価格」(例えば、需給で決まる電気代(25円))には、「環境価値」が含まれている。この環境価値が、再生可能エネルギから別個独立した目的物として市場取引の対象となっている。具体例としては、資源エネルギ庁が、1kwhあたりの環境価値は0.3円等として決定している。つまり、この場合「再生可能エネルギ」のみの価値は、25円-0.3円=24.7円となり、再生可能エネルギを環境負荷の点から見た具体的な効果を示すことが出来る。
【0102】
また、図7に示すサーバ1の記憶部18においては、電力共用条件情報DB41が設けられている。
電力共用条件情報DB41は、共用条件出力部33が出力した電力量情報を、電力供給情報と、電力需要情報と、に関連付けて記憶する手段である。
【0103】
なお、本実施形態において、記憶部18には、買取情報受付部36が受け付けた買取条件情報を記憶するデータベースや、消費実績受付部37が受け付けた消費実績情報を記憶するデータベース、及び供給実績受付部38が受け付けた供給実績情報を記憶するデータベースが、必要に応じてこれらの情報が適宜利用できるように、記憶部18にそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0104】
ゆえに、本実施形態に係るサーバ1は、補助記憶装置(例えば、ROM)に記憶された各種のプログラム(OS、アプリケーション等)が主記憶装置(RAM)にロードされ、CPU11により実行されることによって、需要情報受付部31、供給情報受付部32、共用条件出力部33、組合せ出力部34、共用出力変更部35、買取情報受付部36、消費実績受付部37、及び供給実績受付部38、融通出力部39、環境価値出力部40を含む装置として機能する。
【0105】
<処理内容>
図8及び図9は、本発明の他の実施形態に係る電力供給模擬区分処理の一例を示す図である。
ステップS110において、需要情報受付部31は、電力需要情報を受け付けたか否か判定する処理を行う。電力需要情報の受け付けは、上述した実施形態と同様に行うことができる。
【0106】
その結果、需要情報受付部31が、電力需要情報を受け付けた(YES)と判定した場合、引き続き、ステップS120において、供給情報受付部32は、電力供給情報を受け付けたか否か判定する処理を行う。電力供給情報の受け付けは、上述した実施形態と同様に行うことができる。
【0107】
一方、ステップS110において、需要情報受付部31が、電力需要情報を受け付けていない(NO)と判定した場合、需要情報受付部31は、電力需要情報を受け付けたか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0108】
ステップS120において、供給情報受付部32が、電力供給情報を受け付けた(YES)と判定した場合、ステップS130において、共用条件出力部33は、電力供給を区分するか否か判定する処理を行う。電力供給の区分は、管理者端末2から電力供給の区分実行要求を受け付けることにより行われる。
【0109】
一方、ステップS120において、供給情報受付部32が、電力供給情報を受け付けていない(NO)と判定した場合、供給情報受付部32は、電力供給情報を受け付けたか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0110】
ステップS130において、共用条件出力部33が、供給電力の区分実行要求を受け付けた(YES)と判定した場合、共用条件出力部33は、需要情報受付部31が記憶する電力需要情報及び供給情報受付部32が記憶する電力供給情報に基づいて、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力すると共に、引き続きステップS131において、共用条件出力部33は、電力供給を共用する際の条件(区分条件)があるか否か判定する処理を行う。
【0111】
一方、ステップS130において、共用条件出力部33が、供給電力の区分実行要求を受け付けていない(NO)と判定した場合、共用条件出力部33は、電力供給を区分するか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0112】
また、ステップS131において、共用条件出力部33が、区分条件の設定が有る(YES)と判定した場合、まず、ステップS132において、共用条件出力部33は、共用条件として、複数の発電設備の中から電力需要家ごとに所定の発電設備を決定する組合せ要求があるか否か判定する処理を行う。
【0113】
その結果、共用条件出力部33が、所定の発電設備を決定する組合せ要求がある(YES)と判定した場合、引き続きステップS133において、共用条件出力部33が、区分条件として、発電設備の分散要求があるか否か判定する処理を行う。
【0114】
その結果、共用条件出力部33が、発電設備の分散要求がある(YES)と判定した場合、ステップS134において、共用条件出力部33が、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて複数の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力すると共に、組合せ出力部34が、電力需要家PCごとに消費すべき電力を供給する複数の最適な所定の発電設備PPを決定する処理を行う。
【0115】
一方、ステップS133において、共用条件出力部33が、発電設備の分散要求はない(NO)と判定した場合、ステップS135において、共用条件出力部共用条件は、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力すると共に、組合せ出力部34が、電力需要家PCごとに消費すべき電力を供給する最適な所定の発電設備PPを決定する処理を行う。
【0116】
また、ステップS132において、共用条件出力部33が、発電設備と電力需要家との組合せ要求はない(NO)と判定した場合、ステップS136において、共用条件出力部33は、引き続き共用条件として、電力需要の変更があるか否か判定する処理を行う。この電力需要の変更の有無は、例えば、電力共用条件情報DB41に記憶されている電力需要情報に基づいて判定することができる。
【0117】
ステップS136において、共用条件出力部33が、電力需要の変更がある(YES)と判定した場合、ステップS137において、共用出力変更部35は、電力共用条件情報DB41を参照して、変更のあった電力需要情報に関連付けて記憶されている電力供給情報に基づいて全ての電力需要家PCを特定し、変更後の電力需要情報及び電力供給情報に基づいて、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力する処理を行う。すなわち、共用条件出力部33が出力した電力需要家PCごとに消費すべき電力量を、電力需要情報の変更に応じて再出力する。
【0118】
一方、ステップS136において、共用条件出力部33が、電力需要の変更はない(NO)と判定した場合、ステップS138において、共用条件出力部33は、共用条件として、電力買取ユーザがいるか否か判定する処理を行う。この電力買取ユーザの有無は、例えば、買取条件管理装置3から送られてくる、もしくはサーバ1からの問い合わせに応じて買取条件管理装置3から送られてくる、所定の買取条件情報を受け付けることに基づいて判定することができる。
【0119】
ステップS138において、共用条件出力部33が、電力買取ユーザ有り(YES)と判定した場合、ステップS139において、組合せ出力部34は、受け付けた買取条件情報に基づいて、電力買取ユーザを電力需要家PCとみなして消費すべき電力を供給する所定の発電設備PPを決定すると共に、共用条件出力部33は、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力する処理を行う。
【0120】
一方、ステップS138において、共用条件出力部33が、電力買取ユーザ無し(NO)と判定した場合、ステップS140において、引き続き共用条件出力部33は、共用条件として、消費実績情報を受け付けたか否か判定する処理を行う。この消費実績情報の受け付けは、例えば、消費実績管理装置4から送られてくる、もしくはサーバ1からの問い合わせに応じて消費実績管理装置4から送られてくる、所定の消費実績情報と、供給実績管理装置5から送られてくる、もしくはサーバ1からの問い合わせに応じて供給実績管理装置5から送られてくる、所定の供給実績情報をそれぞれ受け付けることに基づいて判定することができる。
【0121】
ステップS140において、共用条件出力部33が、消費実績情報及び供給実績情報を受け付けた(YES)と判定した場合、ステップS141において、融通出力部39は、受け付けた消費実績情報及び供給実績情報に基づいて、共用条件出力部33が複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて算出した所定の発電設備PPの電力供給の共用条件を再出力し、複数の電力需要家PCの間で融通すべき電力量を出力する処理を行う。
【0122】
一方、ステップS131において、共用条件出力部33が、区分条件の設定は無い(NO)と判定した場合、及びステップS140において、共用条件出力部33が、消費実績情報を受け付けていない(NO)と判定した場合、ステップS142において、共用条件出力部33は、電力需要情報及び電力供給情報に基づいて、複数の電力需要家PCのそれぞれの需要の大きさに合わせて所定の発電設備PPの電力供給を区分し、各電力需要家PCの消費すべき電力量を出力する。
【0123】
そして、ステップS134,S135,S137,S139,S141及びS142に引き続き、ステップS143において、共用条件出力部33は、出力した電力量の区分でOKか否か判定する処理を行う。
【0124】
その結果、共用条件出力部33は、区分OKである(YES)と判定した場合、サーバ1での一連の動作は終了(END)する。
一方、ステップS143において、共用条件出力部33が、区分OKでない(NO)と判定した場合、引き続きステップS131において、共用条件出力部33は、電力供給を共用する際の条件(区分条件)があるか否か判定する処理を繰り返し行う。
【0125】
このように他の実施形態においては、様々なバリエーションを設けつつ、所定の発電設備PPを対象として、各電力需要家PCが消費すべき電力量を出力することができる。
【0126】
(その他)
また例えば、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実装させることもできる。換言すると、上述の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。すなわち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるかは、特に上述の例に限定されない。
【0127】
また、機能ブロックの存在場所も、図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバの機能ブロックを他の装置等に移譲させてもよい。逆に他の装置の機能ブロックをサーバ等に移譲させてもよい。
また、一つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組合せで構成してもよい。
【0128】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば、サーバの他、汎用のスマートフォンや、パーソナルコンピュータであってもよい。
【0129】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。プログラムはネットワークを介して配信可能であることから、記録媒体は、ネットワークに接続された、或いは接続可能なコンピュータに搭載、或いはアクセス可能なものであってもよい。
【0130】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0131】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、上記実施形態と変形例の各構成を組合せることも可能である。さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0132】
N:ネットワーク PC:電力需要家 PN:送電ネットワーク
PP:発電事業者 PS電力系統 1:サーバ
2:管理者端末 3:買取条件管理装置 4:消費実績管理装置
5:供給実績管理装置 11:CPU 12:ROM
13:RAM 14:バス 15:入出力インターフェース
16:出力部 17:入力部 18:記憶部
19:通信部 20:ドライブ 21:リムーバブルメディア
31:需要情報受付部 32:供給情報受付部 33:共用条件出力部
34:組合せ出力部 35:共用出力変更部 36:買取情報受付部
37:消費実績受付部 38:供給実績受付部 39:融通出力部
40:環境価値出力部 41:電力共用条件情報記憶部 42:買取条件情報DB
43:消費実績情報DB 44:供給実績情報DB
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