IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ JFEエンジニアリング株式会社の特許一覧

特開2024-99365アルカリ金属含有燃料の燃焼方法及びアルカリ金属含有燃料の燃焼システム
<>
  • 特開-アルカリ金属含有燃料の燃焼方法及びアルカリ金属含有燃料の燃焼システム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099365
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】アルカリ金属含有燃料の燃焼方法及びアルカリ金属含有燃料の燃焼システム
(51)【国際特許分類】
   F23C 10/30 20060101AFI20240718BHJP
   F23C 10/28 20060101ALI20240718BHJP
   F23C 10/02 20060101ALI20240718BHJP
   F23C 10/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
F23C10/30
F23C10/28
F23C10/02
F23C10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003261
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】多田 光宏
(72)【発明者】
【氏名】中山 剛
(72)【発明者】
【氏名】榎本 聖
【テーマコード(参考)】
3K064
【Fターム(参考)】
3K064AA20
3K064AB03
3K064AC07
3K064BA07
3K064BA17
3K064BB01
3K064BB05
(57)【要約】
【課題】燃焼炉内で流動層を形成する流動媒体においてアグロメーションによる流動不良を抑える。
【解決手段】炉内で流動媒体により流動層を形成し、アルカリ金属を含む燃料を前記流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、前記燃焼炉から排出された流動媒体に付着したアルカリ金属の濃度を測定装置が蛍光X線分析により測定し、前記燃焼炉から排出する前記流動媒体の量と、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量とを制御装置が前記濃度に応じて制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉内で流動媒体により流動層を形成し、アルカリ金属を含む燃料を前記流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、
前記燃焼炉から排出された流動媒体に付着したアルカリ金属の濃度を測定装置が蛍光X線分析により測定し、
前記燃焼炉から排出する前記流動媒体の量と、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量とを制御装置が前記濃度に応じて制御する
アルカリ金属含有燃料の燃焼方法。
【請求項2】
前記燃焼炉から排出された前記流動媒体の塊を解砕し、解砕された前記流動媒体に付着したアルカリ金属成分の濃度を蛍光X線分析により測定する
請求項1に記載のアルカリ金属含有燃料の燃焼方法。
【請求項3】
前記燃焼炉へ供給する前記燃料の量を前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量に応じて制御する
請求項1に記載のアルカリ金属含有燃料の燃焼方法。
【請求項4】
前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量に応じて補助燃料を前記燃焼炉へ供給する
請求項1に記載のアルカリ金属含有燃料の燃焼方法。
【請求項5】
炉内で流動媒体により流動層を形成し、アルカリ金属を含む燃料を前記流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼システムにおいて、
前記燃焼炉から排出された流動媒体に付着したアルカリ金属の濃度を蛍光X線分析により測定する測定装置と、
前記燃焼炉から排出する前記流動媒体の量と、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量とを前記濃度に応じて制御する制御装置と、
を備えるアルカリ金属含有燃料の燃焼システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ金属含有燃料の燃焼方法及びアルカリ金属含有燃料の燃焼システムに関する。
【背景技術】
【0002】
バイオマスを燃料として発電を行なう方法として流動層炉を用いた方法がある。流動層炉は、吹き上がる流動化空気によって高温の流動媒体を流動させた流動層を形成し、炉内に供給された燃料を流動層の中で燃焼するものである。燃料となるバイオマスとしては、例えば、パーム椰子空果房(EFB:Empty Fruit Bunch)のように植物由来で安価なバイオマスが注目されているが、パーム椰子空果房を流動層炉で燃焼させて発電を行なう際には、以下のような問題が生じる。
【0003】
パーム椰子空果房には、アルカリ金属であるカリウムが多く含まれている。流動層炉の流動媒体としては珪砂が用いられるが、流動層炉内でパーム椰子空果房から放出されたガス状のカリウムと珪砂粒子の酸化ケイ素が反応し、珪砂粒子の表面にSiO-KO化合物が生成される。このSiO-KO化合物の溶融温度は、流動層炉内の温度より低いため、溶融して珪砂粒子の表面に粘着層が形成される。この粘着層が形成されると、数粒の珪砂粒子同士が融着し、珪砂の凝集と塊化(アグロメレーション)が生じると珪砂が流動しなくなり、流動層炉の正常な運転が妨げられることとなる。そこで、このような問題を解決する発明として、例えば特許文献1、2に開示された発明がある。
【0004】
特許文献1に開示された発明は、流動媒体が粒子状鉱物及び/又は粒子状スラグからなり、石英の含有量を14質量%以下としている。流動媒体が含有する石英の量が14質量%以下であるため、流動媒体中の石英と燃料中のアルカリ金属成分とが反応して粒子表面に粘着層が形成されても流動媒体の凝集や塊化が生じない又は生じても僅かであり、流動層は良好な流動を維持することができる。
【0005】
特許文献2に開示された発明は、流動層炉内部における流動化ガス速度を4m/sの近傍になるように制御しながら流動層炉の出口近傍における流動媒体の吹き上げ状況をレーザ監視装置にて検知し、吹き上げ状態に応じた焼却用空気量を燃焼用空気の供給側にフィードバックしている。流動層炉内の流動化ガス速度を4m/s程度まで増大させることにより、流動媒体中の限界塩蓄積量を増大させることができ、これによって流動層での流動不良を起こすことなく処理可能な廃棄物の量を増加させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-106244号公報
【特許文献2】特許第3294172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された発明では、流動媒体としてガーネット、イルメナイト、かんらん石、フェロニッケルスラグ等が挙げられている。しかしながら、特許文献1の表2に記載されているように、これらは安価で汎用的な珪砂より価格が高く、流動媒体の入れ替えにコストが掛かる。特許文献2の発明では、流動媒体中の限界塩蓄積量を増大させることができるものの、アグロメレーションはアルカリ金属のわずかな変化で発生するため、限界塩蓄積量を超えた場合には急激にアグロメレーションが発生して流動不良に至る虞がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、燃焼炉内で流動層を形成する流動媒体においてアグロメーションによる流動不良を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係るアルカリ金属含有燃料の燃焼方法は、炉内で流動媒体により流動層を形成し、アルカリ金属を含む燃料を前記流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼方法において、前記燃焼炉から排出された流動媒体に付着したアルカリ金属の濃度を測定装置が蛍光X線分析により測定し、前記燃焼炉から排出する前記流動媒体の量と、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量とを制御装置が前記濃度に応じて制御する。
【0010】
また、本発明に係るアルカリ金属含有燃料の燃焼方法においては、前記燃焼炉から排出された前記流動媒体の塊を解砕し、解砕された前記流動媒体に付着したアルカリ金属成分の濃度を蛍光X線分析により測定する。
【0011】
また、本発明に係るアルカリ金属含有燃料の燃焼方法においては、前記燃焼炉へ供給する前記燃料の量を前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量に応じて制御する。
【0012】
また、本発明に係るアルカリ金属含有燃料の燃焼方法においては、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量に応じて補助燃料を前記燃焼炉へ供給する。
【0013】
本発明の一側面に係るアルカリ金属含有燃料の燃焼システムは、炉内で流動媒体により流動層を形成し、アルカリ金属を含む燃料を前記流動層で燃焼する燃焼炉を用いる燃焼システムにおいて、前記燃焼炉から排出された流動媒体に付着したアルカリ金属の濃度を蛍光X線分析により測定する測定装置と、前記燃焼炉から排出する前記流動媒体の量と、前記燃焼炉へ供給する前記流動媒体の量とを前記濃度に応じて制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、燃焼炉内で流動層を形成する流動媒体においてアグロメーションによる流動不良を抑えることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る燃焼システム1000の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。
【0017】
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る燃焼システム1000の構成を示す図である。燃焼炉1は、循環流動層式(CFB:Circulating Fluidized Bed)の炉である。燃焼炉1は、内部で流動媒体81を流動させて流動層を形成し、燃焼炉1内へ供給される燃料73を流動層中で燃焼させる炉である。燃焼炉1は、主に炉本体としてのライザ10と、流動媒体81の一部を捕集してライザ10へ戻すダウンカマー20とで構成されている。
【0018】
ライザ10は、送風機91から供給される一次空気を上方へ向けて吹き込むための散気管11を下部に備えている。また、ライザ10の下部の側壁には、散気管11の上方で流動媒体81をライザ10内に供給する流動媒体供給口12と、ライザ10内に燃料73を供給するための燃料供給口13と、送風機92から供給される二次空気をライザ10内に吹き込むための二次空気吹き込み口14とが下方から順番に設けられている。また、ライザ10の底部には、ライザ10内部の流動媒体81を排出する排出部15が設けられている。
【0019】
ダウンカマー20は、配管30でライザ10の上部と接続されている。ダウンカマー20は、ライザ10から排ガスとともに送られた流動媒体81を捕集する捕集部21と、捕集部21で捕集された流動媒体81をライザ10の下部に戻すための戻し管22と、ライザ10からのガスが捕集部21内を上昇するのを防止するシール部23とを有している。
【0020】
燃焼炉1の近傍には、排出部15から排出されて再生処理された流動媒体81を燃焼炉1へ戻すための循環ライン40が設けられている。循環ライン40には、排出部15から順に篩装置41、研磨装置42、選別装置43、流動媒体供給機44が配設されている。
【0021】
篩装置41は、排出部15から排出された流動媒体81を受け、所定粒径以下の流動媒体81と、アグロメレーションによって所定粒径より大径となった流動媒体81の塊と、燃料73の燃焼後に生じた不燃物を分離する。篩装置41は、分離された所定粒径以下の流動媒体81を研磨装置42へ送り、分離された流動媒体81の塊を解砕機53へ送る。
【0022】
研磨装置42は、篩装置41から供給された流動媒体81を研磨し、流動媒体81に付着しているアルカリ金属成分を除去する。研磨装置42で用いられる研磨方式に限定はなく、例えば、自生破砕方式、せん断摩砕方式、ブラスト方式等が適用可能である。研磨装置42でアルカリ金属成分が除去された流動媒体81と、流動媒体81から除去されたアルカリ金属成分は、選別装置43へ送られる。
【0023】
選別装置43は、研磨装置42から送られたアルカリ金属成分と流動媒体81との混合物から流動媒体81を選別する。選別装置43で用いられる選別方式に限定はなく、例えば、風力選別方式、比重選別方式等が適用可能である。選別装置43で選別された流動媒体81は、流動媒体供給機44へ送られる。
【0024】
流動媒体供給機44は、選別装置43から送られた流動媒体81の貯留と、ライザ10内への流動媒体81の供給を行なう。本実施形態においては、流動媒体81は、例えば珪砂である。流動媒体供給機44に貯留されている流動媒体81は、その一部が流動媒体供給機44の下部から廃棄される。流動媒体供給機44においては、貯留されている流動媒体81の一部が廃棄されるため、廃棄された分を補うために新たな流動媒体81が補充される。流動媒体供給機44に貯留されている流動媒体81は、流動媒体供給口12へ送られ、流動媒体供給口12からライザ10内へ供給される。なお、研磨装置42又は選別装置43にて一部の流動媒体81を廃棄するようにしてもよい。
【0025】
燃料供給機61は、燃焼炉1内で燃焼させる燃料73を燃料供給口13へ送る装置である。燃料供給機61は、第1燃料71と第2燃料72を混合した燃料73を燃料供給口13へ送る。第1燃料71は、アルカリ金属成分の含有量が多い燃料であり、例えばパーム椰子空果房である。第2燃料72は、第1燃料71と比較してアルカリ金属成分の含有量が少ない燃料であり、例えば木質チップである。
【0026】
解砕機53は、篩装置41から送られた流動媒体81の塊を解砕し、凝集した流動媒体81をほぐす。解砕機53でほぐされた流動媒体81は、測定装置52へ送られる。測定装置52は、解砕機53から送られた流動媒体81を蛍光X線分析により分析し、アルカリ金属成分の濃度を測定する装置である。測定装置52は、測定したアルカリ金属成分の濃度の測定結果を制御装置51へ送る。制御装置51は、排出部15と流動媒体供給機44を制御する装置である。制御装置51は、測定装置52から送られたアルカリ金属成分の濃度の測定結果に基づいて、排出部15と流動媒体供給機44を制御する。
【0027】
次に燃焼システム1000の動作について説明する。送風機91から送られる一次空気を散気管11からライザ10内に吹き込み、送風機92から送られる二次空気を二次空気吹き込み口14からライザ10内に吹き込むことにより、流動媒体81を流動化させた流動層がライザ10内に形成される。
【0028】
また、ライザ10内には、燃料73が燃料供給口13から供給される。燃料供給口13から供給される燃料73においては、運用コストの観点から第1燃料71の割合が大きい方が好ましい。ライザ10内に供給された燃料73は、流動層で燃焼する。
【0029】
具体的には、流動媒体81は、散気管11から吹き込まれる一次空気により流動状態となり、ライザ10内の下部で流動媒体81が濃厚な濃厚層を形成する。この濃厚層では、高い熱容量および撹拌効果により燃料73の乾燥及び揮発分の放出が促進される。また、ライザ10内の上部には、一次空気及び二次空気の吹き込みにより流動媒体81が吹き上げられて流動媒体81が希薄な希薄層が形成される。この希薄層では、流動媒体81が保有する熱容量および撹拌効果により燃料73の燃焼が行われる。つまり、燃焼炉1は、ライザ10内に濃厚層と希薄層とから成る流動層を形成することで、未燃焼の炭素分であるチャーの発生を防止し、効率的にパーム椰子空果房である燃料73を燃焼させる。なお、ライザ10内の燃焼領域は850~900℃程度に維持される。
【0030】
ライザ10内での燃料73の燃焼により生じた排ガスは、配管30を経てダウンカマー20の捕集部21に供給される。また、流動媒体81も、その一部がライザ10から排ガスとともに捕集部21へ送られる。捕集部21では、流動媒体81や比較的粒径の大きな灰などが回収され、シール部23及び戻し管22を通してライザ10の下部へ戻される。また、排ガスや比較的粒径の小さい灰などはダウンカマー20の頂部から排出されて、図示省略した過熱器を介して排ガス処理設備に送られ、過熱器で蒸気を過熱し、排ガス処理設備で除塵後に図示省略した煙突から外部へと放出される。
【0031】
本実施形態では、ライザ10内で燃焼した燃料73に含まれる第1燃料71(パーム椰子空果房)は、アルカリ金属成分であるガス状のカリウム分を放出する。このガス状のカリウム分と流動媒体81である珪砂粒子の酸化ケイ素が反応し、珪砂粒子の表面にSiO-KO化合物が生成される。このSiO-KO化合物は、溶融して珪砂粒子の表面に粘着層を形成する。この粘着層により数粒の流動媒体81同士が融着し、ライザ10の底部に落下する。融着して落下した流動媒体81は、更に融着して塊となる。この塊を含む流動媒体81と燃料73の燃焼後に残る不燃物は、単位時間あたりに所定量が排出部15から排出されて篩装置41へ送られる。
【0032】
流動媒体81が送られた篩装置41は、分離した所定の粒径以下の流動媒体81を研磨装置42へ送る。また、篩装置41は、分離した流動媒体81の塊を解砕機53へ送る。研磨装置42では、流動媒体81が研磨され、流動媒体81の表面に粘着層として付着していたアルカリ金属成分が流動媒体81の表面から除去される。流動媒体81から除去されたアルカリ金属成分と、アルカリ金属成分が除去された流動媒体81は、選別装置43へ送られる。
【0033】
選別装置43では、流動媒体81が選別されるとともにアルカリ金属成分が分離され、選別された流動媒体81が流動媒体供給機44へ送られる。流動媒体供給機44では、流動媒体81の一部が流動媒体供給機44の下部から廃棄され、上部から新たな流動媒体81が補充される。制御装置51は、流動媒体供給機44を制御し、排出部15から単位時間あたりに排出された流動媒体81の量に応じて、流動媒体供給機44に貯留されている流動媒体81を流動媒体供給口12へ送り、ライザ10内に所定量の流動媒体81を供給する。
【0034】
解砕機53は、篩装置41から送られた流動媒体81の塊を解砕して流動媒体81の結びつきをほぐし、粘着層が形成された流動媒体81の径を均一化する。解砕機53でほぐされた流動媒体81は、測定装置52へ送られる。測定装置52は、解砕機53から送られた流動媒体81を予め定められた周期で蛍光X線分析により分析し、アルカリ金属成分の濃度を測定する。測定装置52は、アルカリ金属成分の濃度の測定結果を制御装置51へ送る。ここで流動媒体81は、解砕機53によって径が均一化されているため、珪砂粒子表面のアルカリ金属成分の濃度の測定を正確に行うことができる。
【0035】
制御装置51は、測定装置52から送られた測定結果に基づいて、排出部15と流動媒体供給機44を制御することにより、流動媒体81のライザ10からの排出量と、流動媒体供給機44からライザ10への流動媒体81の供給量を制御する。例えば制御装置51は、測定結果が予め定められた閾値以上の場合、排出部15を制御し、排出部15から単位時間あたりに排出する流動媒体81の量を所定量から増加させるとともに、流動媒体供給機44を制御し、流動媒体供給機44からライザ10内へ単位時間あたりに供給する流動媒体81の量を所定量から増加させる。これにより、流動媒体81の塊を排出し、流動媒体81が流動不良となるのを抑えることができる。また、制御装置51は、測定結果が予め定められた閾値未満の場合、排出部15を制御し、排出部15から排出する流動媒体81の量を所定量に戻すとともに、流動媒体供給機44を制御し、流動媒体供給機44からライザ10へ供給する流動媒体81の量を所定量に戻す。
【0036】
なお、制御装置51は、測定結果が表すアルカリ金属成分の濃度に応じて、排出部15から排出する流動媒体81の量と、ライザ10内へ供給する流動媒体81の量を制御してもよい。制御装置51は、例えば、測定結果が表すアルカリ金属成分の濃度が増加するにつれて、排出部15から排出する流動媒体81の量と、ライザ10内へ供給する流動媒体81の量が増加するように排出部15と流動媒体供給機44を制御し、測定結果が表すアルカリ金属成分の濃度が減少するにつれて、排出部15から排出する流動媒体81の量と、ライザ10内へ供給する流動媒体81の量が減少するように排出部15と流動媒体供給機44を制御してもよい。
【0037】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0038】
上述した実施形態においては、燃焼炉1は、循環流動層式の炉であるが、バブリング流動層式(BFB:Bubbling Fluidized Bed)の炉であってもよい。
【0039】
本発明においては、解砕機53から送られた流動媒体81を研磨し、流動媒体81から除去された粘着層を測定装置52へ送るようにしてもよい。
【0040】
本発明においては、新たな流動媒体81のライザ10内への供給によってライザ10内の温度が下がるのを抑えるため、流動媒体81の供給量に応じて燃料73のライザ10内への供給量を増やすようにしてもよい。この場合、アグロメーションが発生するのを抑えるため、第2燃料72の割合を増やすようにしてもよい。また、流動媒体81の供給量の増加によりライザ10内の温度が下がるのを抑えるため、補助燃料として灯油又は重油を供給してもよい。
【0041】
本発明においては、燃料73にアブラヤシの実の種の殻(PKS:Palm Kernel Shell)を含めるようにしてもよい。
【0042】
本発明においては、ライザ10内の温度を測定し、排出部15から排出する流動媒体81の量と、流動媒体供給機44からライザ10へ供給する流動媒体81の量を測定した温度に応じて制御してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 燃焼炉
10 ライザ
11 散気管
12 流動媒体供給口
13 燃料供給口
14 二次空気吹き込み口
20 ダウンカマー
21 捕集部
22 戻し管
23 シール部
30 配管
40 循環ライン
41 篩装置
42 研磨装置
43 選別装置
44 流動媒体供給機
51 制御装置
52 測定装置
53 解砕機
91、92 送風機
1000 燃焼システム
図1