(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099370
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20240718BHJP
B65G 51/04 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G51/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003269
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000230858
【氏名又は名称】日本金銭機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085660
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 均
(74)【代理人】
【識別番号】100149892
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 弥生
(74)【代理人】
【識別番号】100185672
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】新井 洋和
(72)【発明者】
【氏名】西崎 敏崇
【テーマコード(参考)】
3F021
【Fターム(参考)】
3F021AA01
3F021BA02
3F021CA06
(57)【要約】
【課題】磁力を利用して搬送対象を搬送する搬送システムにおいて、搬送対象をより自在に搬送する。
【解決手段】搬送システム10Cは、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が近接位置関係にあるときに両磁石間に作用する磁力に基づく反発により、移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる構成を備えている。搬送システム10Cは、移動体200の走行状態を制御する制御コイル903と、該制御コイルを駆動制御するコイル駆動制御部とを備える。制御コイル903は、移動体側磁石213に対して磁力を作用させるように構成されている。コイル駆動制御部は、制御コイル903に電力を供給して、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁石213を制御コイル903に吸着させて移動体200の走行を抑制するように制御する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記移動体の走行状態を制御する制御コイルと、該制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記制御コイルは、前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成されており、
前記駆動制御手段は、前記制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記移動体側磁性体を前記制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御することを特徴とする搬送システム。
【請求項2】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記移動体と前記搬送体の走行状態を制御する第一及び第二制御コイルと、該各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記第一制御コイルは前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第二制御コイルは前記搬送体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成されており、
前記駆動制御手段は、前記第一制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記移動体側磁性体を前記第一制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御すると共に、前記第二制御コイルに電力を供給して、前記搬送体側磁性体を前記第二制御コイルに吸着させて前記搬送体の走行を抑制するように制御することを特徴とする搬送システム。
【請求項3】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記移動体と前記搬送体の走行状態を制御する第一及び第二制御コイルと、該各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記第一及び第二制御コイルは送風管と搬送体経路との間に配置されており、前記第一制御コイルは前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第二制御コイルは前記搬送体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成されており、
前記駆動制御手段は、前記第一制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記移動体側磁性体を前記第一制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御すると共に、前記第二制御コイルに電力を供給して、前記搬送体側磁性体を前記第二制御コイルに吸着させて前記搬送体の走行を抑制するように制御することを特徴とする搬送システム。
【請求項4】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記送風管と前記搬送体経路との間に配置されて、前記移動体と前記搬送体の走行状態を検知する検知コイルを備え、該検知コイルは、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が夫々発生させる磁束が順次該検知コイルを通過することで、前記移動体と前記搬送体との走行状態に応じた誘導電流を発生させるように構成されていることを特徴とする搬送システム。
【請求項5】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記移動体と前記搬送体の走行状態を検知する検知コイル、及び、前記移動体と前記搬送体の走行状態を制御する第一及び第二制御コイルを含んで構成された走行制御ユニットと、
前記各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記検知コイルは、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が夫々発生させる磁束が順次該検知コイルを通過したときに前記移動体と前記搬送体との走行状態に応じた誘導電流を発生させるように構成されており、
前記第一制御コイルは前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第二制御コイルは前記搬送体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第一及び第二制御コイルは、連動する前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で前記検知コイルに対して前記移動体と前記搬送体の走行方向の下流側に配置されていることを特徴とする搬送システム。
【請求項6】
前記駆動制御手段は、前記第一制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記移動体側磁性体を前記第一制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御すると共に、前記第二制御コイルに電力を供給して、前記搬送体側磁性体を前記第二制御コイルに吸着させて前記搬送体の走行を抑制するように制御する
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、
前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、
前記移動体と前記搬送体の走行状態を検知する検知コイル、及び、前記移動体と前記搬送体の走行状態を制御する第一及び第二制御コイルを含んで構成された複数の走行制御ユニットと、
前記各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、
前記各走行制御ユニットにおいて、前記検知コイルは、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が夫々発生させる磁束が順次該検知コイルを通過したときに前記移動体と前記搬送体との走行状態に応じた誘導電流を発生させるように構成されており、前記第一制御コイルは前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第二制御コイルは前記搬送体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、前記第一及び第二制御コイルは、連動する前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で前記検知コイルに対して前記移動体と前記搬送体の走行方向の下流側に配置されており、
前記搬送システムは、一の前記移動体と該移動体に連動する一の前記搬送体とを含む複数の連動走行対を走行させるものであり、
前記駆動制御手段は、前記送風管内に気流が流れている状態で、一の前記連動走行対の走行を一の前記走行制御ユニットにより抑止するときは、該一の走行制御ユニットの前記第一制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記一の連動走行対の前記移動体側磁性体を前記第一制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御すると共に、前記一の走行制御ユニットの前記第二制御コイルに電力を供給して、前記一の連動走行対の前記搬送体側磁性体を前記第二制御コイルに吸着させて前記搬送体の走行を抑制するように制御することを特徴とする搬送システム。
【請求項8】
前記制御コイルは空芯コイルであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記検知コイルは空芯コイルであることを特徴とする請求項4乃至7の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記検知コイルと前記第一及び第二制御コイルとが空芯コイルであり、前記検知コイルが前記各制御コイルの何れかと兼用されていることを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の搬送システム。
【請求項11】
前記第一及び第二制御コイルは前記移動体と前記搬送体の走行方向に沿って、連動する前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の搬送システム。
【請求項12】
前記駆動制御手段は、前記誘導電流により検知された前記移動体と前記搬送体との走行状態に基づいて、前記移動体側磁性体が前記第一制御コイルに到達するタイミングに合わせて該第一制御コイルに電力を供給し、前記搬送体側磁性体が前記第二制御コイルに到達するタイミングに合わせて該第二制御コイルに電力を供給するように制御することを特徴とする請求項5乃至7の何れか一項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は搬送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
磁力による吸着又は反発を利用して搬送対象を搬送する技術が知られている。
特許文献1には、搬送対象を載置した走行体を、磁力による吸着を利用して走行させる搬送装置が記載されている。搬送装置は、第一磁性体が取り付けられたベルト体を正方向又は逆方向に駆動する第一及び第二搬送駆動ラインと、第一又は第二搬送駆動ラインの第一磁性体と夫々吸着する第二磁性体を有してベルト体の駆動により正方向又は逆方向に移送される複数の走行体と、を備える。
この搬送装置において2つの搬送駆動ラインの各ベルト体は並行して同方向に伸びており、各走行体は2つの搬送駆動ラインを跨がって配置されることで、同一の搬送経路に沿って走行するように構成される。第一搬送駆動ラインの第一磁性体と吸着する走行体は第一搬送駆動ラインのベルト体の駆動方向に応じた方向に走行し、第二搬送駆動ラインの第一磁性体と吸着する走行体は、第二搬送駆動ラインのベルト体の駆動方向に応じた方向に走行する。これにより、同一の搬送経路内で複数の走行体が異なる方向に走行できる。
【0003】
特許文献2には、空気流を利用して移動体を送風管内で走行させると共に、磁力を利用して移動体の移動に連動させて搬送体を走行させる搬送装置が開示されている。移動体及び搬送体を走行させるために、モータ、ギヤ、搬送ベルト等の機械的な駆動手段を必要としないため、搬送装置を構成する各部材の耐久性を向上させることができ、搬送装置のランニングコストを低減させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-75287公報
【特許文献2】特開2022-60767公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において走行体の走行状態は搬送駆動ラインにより制御される。特許文献1には、搬送駆動ライン以外に走行体の走行を制御する手段は開示されておらず、同一の搬送駆動ラインによって駆動される各走行体を個別に制御することはできない。
特許文献2において移動体及び搬送体の走行状態は空気流により制御される。特許文献2には、空気流以外に移動体及び搬送体の走行を制御する手段は開示されていない。
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、磁力を利用して搬送対象を搬送する搬送システムにおいて、搬送対象をより自在に搬送することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の搬送システムは、気流発生装置と、該気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管と、該送風管内を流れる気流を受けて該送風管内を走行する移動体と、少なくとも一部が前記送風管に沿って該送風管に隣接配置された搬送体経路と、搬送対象を保持可能に構成されて前記搬送体経路内を走行する搬送体と、を備え、前記移動体は移動体側磁性体を備え、前記搬送体は搬送体側磁性体を備え、前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに前記移動体側磁性体と前記搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、前記移動体の移動に連動して前記搬送体を移動させる構成を備えた搬送システムであって、前記移動体の走行状態を制御する制御コイルと、該制御コイルを駆動制御する駆動制御手段と、を備え、前記制御コイルは、前記移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成されており、前記駆動制御手段は、前記制御コイルに電力を供給して、前記送風管内を流れる気流に抗して前記移動体側磁性体を前記制御コイルに吸着させて前記移動体の走行を抑制するように制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、搬送対象をより自在に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
【
図3】第1の本発明に係る紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。
【
図4】移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
【
図5】(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
【
図6】搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。
【
図7】移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
【
図8】移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
【
図9】送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
【
図10】送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
【
図11】(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図である。
【
図12】(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。
【
図13】搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
【
図14】第3の本発明の一実施形態に係る搬送システムの概略構成を示す斜視図である。
【
図15】同搬送システムの概略構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図17】同搬送システムの機能をより詳細に示すブロック図である。
【
図18】(a)~(g)は、移動体と搬送体の検知及び走行抑止制御を説明する模式図である。
【
図19】第3の本発明の第二の実施形態に係る搬送システムの機能ブロック図である。
【
図20】(a)~(g)は、移動体と搬送体の検知及び走行抑止制御を説明する模式図である。
【
図21】第3の本発明の第三の実施形態に係る搬送システムの機能ブロック図である。
【
図22】(a)及び(b)は第3の本発明の第四の実施形態に係る走行制御ユニットを説明する模式図である。
【
図23】第3の本発明の第五の実施形態に係る走行制御ユニットを説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を図面に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
A.第1の本発明に係る紙葉搬送システム
以下に第1の本発明に係る紙葉搬送システムの基本的構成、及び動作について説明する。
紙葉搬送システムは、パチンコ、パチスロ等の各種遊技機を設置した遊技場における島設備に設置される。以下の実施形態では紙葉の一例として紙幣を中心に説明するが、金券、商品券等の有価証券、カード、その他、紙幣以外の紙葉(シート)にも本発明を適用することができる。
なお、特に図示説明しないが、本発明の紙葉搬送システムはカジノにおける紙幣搬送システム、紙幣搬送装置にも適用される。
【0011】
〔島設備の概略構成〕
図1は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す斜視図である。
各遊技機1は、島設備L(L1、L2…)に設置され、各島設備Lの対向する2つの側面に8台ずつ、合計16台の遊技機1が背中合わせに配置されている。なお、各島設備Lの間には、遊技者又は遊技場の店員が通行する通路が設けられ、各通路には遊技機1毎に椅子(図示省略)が設けられる。
各島設備Lには、遊技機1毎に台間機2が設置される。台間機2は、投入された紙幣を受け入れる紙幣挿入口(紙幣投入部)、及び、投入された紙幣の金額に応じた個数のパチンコ球を払い出す遊技媒体払出装置等を備える。図示する島設備Lには、台間機2から挿入された紙幣を島設備Lの一端部に配置された金庫ユニット700に搬送する紙幣搬送システム10が設置されている。
【0012】
図2は、複数の遊技機を含む島設備の概略構成を示す平面図である。
島設備Lに設置された紙幣搬送システム10は、台間機2の紙幣挿入口から挿入された紙幣を内部に受け入れる受入ユニット(紙幣受入れ装置)600、島設備Lの長手方向(遊技機1の配列方向)に延在し、受入ユニット600が受け入れた紙幣を搬送する搬送管400、及び、搬送管400の一方端に配置される金庫ユニット700等を備える。
【0013】
〔紙幣搬送システムの概略構成〕
<全体概要>
図3は、紙幣搬送システムの概略構成を示す模式図である。第1の本発明の一実施形態に係る紙幣搬送システム(紙葉の搬送機構)10は、空気流と磁力を利用して紙幣を搬送する点に特徴がある。
紙幣搬送システム10は、気体の流路(気流路101)を形成する送風管100と、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を走行する(移動する)移動体200と、送風管100内を流れる気流を制御する送風制御ユニット300と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管100に隣接配置された搬送管400(搬送路401)と、紙幣(紙葉)を保持可能に構成されて搬送管400内を走行する(移動する)搬送体500と、を備える。搬送管400は、紙幣の搬送路401(紙幣(紙葉)搬送経路、搬送空間)を形成する。
移動体200は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体500は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。移動体側磁性体と搬送体側磁性体の少なくとも一方は磁石から構成される。
【0014】
また、紙幣搬送システム10は、外部から投入された紙幣を受け入れて搬送管400内の所定位置に待機させる受入ユニット600と、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部を備えた金庫ユニット700と、紙幣搬送システム10を構成する各部を制御する管理ユニット(制御手段)800と、を備える。
本例においては、管理ユニット800を収容した筐体801内に、送風制御ユニット300と金庫ユニット700とが収容されている。
紙幣搬送システム10は、送風管100内を流れる気流によって送風管100内に配置した移動体200を送風管100の長手方向に進退移動させると共に、移動体200との間に作用する磁力によって搬送管400内に配置した搬送体500を送風管100の長手方向に沿って移動させる点に特徴がある。即ち、紙幣搬送システム10は、移動体側磁石213と搬送体側磁石523との間に作用する磁力に基づく吸着、及び/又は、反発により、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる点に特徴がある。
【0015】
<各部の概要>
送風管100は、長手方向の少なくとも一部に移動体200が送風管100の長手方向に沿って走行する移動経路部分111を含む。移動経路部分111は搬送管400と並列に、且つ隣接して配置されている。
移動体200は、送風管100内を所定方向に流れる気流を受けて送風管100内を移動する。移動体200に搭載された移動体側磁石213は、搬送体500に対して磁力による反発作用、及び/又は、吸着作用を与える。移動体200は磁力により、自身の移動に連動させて移動体200を移動させる。
送風制御ユニット300は、送風管100内に所定方向の気流を発生(生成)させると共に気流の流量、流速を変更可能なブロア(気流発生装置)310を備える。送風制御ユニット300は、送風管100内に第一方向(紙幣回収方向、矢印B方向)への気流と、第一方向とは逆方向である第二方向(搬送体戻し方向、矢印C方向)への気流を交互に発生させることで、送風管100内で移動体200を往復移動させる。
搬送管400は、紙幣及び搬送体500が移動する空間を形成する。
搬送体500は、搬送路401内の所定位置にて待機する紙幣を受け取って起立させた状態で保持し、搬送路401内を移動することによって紙幣を金庫ユニット700に向けて搬送する。搬送体500に搭載された搬送体側磁石523は、移動体200に備える移動体側磁石213から磁力による吸着作用、及び/又は、反発作用を受ける。搬送体500は、気流を受けた移動体200の移動に連動して搬送管400内を移動する。
【0016】
ここで、移動体200と搬送体500との間に吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石としてもよいし、一方を磁石とし他方を鉄等の磁性体としてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の双方を磁石から構成する。
受入ユニット(紙幣受入れ装置)600は、台間機2の紙幣挿入口(紙幣挿入部)から挿入された紙幣を内部に受け入れて、紙幣を搬送路401内の所定位置に待機させる。受入ユニット600は、台間機2毎に設けられる。受入ユニット600は、搬送管400の長手方向に所定間隔を空けて複数個設置される。
金庫ユニット700は、搬送体500により搬送されてきた紙幣を収容する紙幣収容部や、紙幣収容部への紙幣の収容に関わる各部材を駆動する駆動機構等を備えている。
【0017】
管理ユニット(制御手段)800は、紙幣搬送システム10を構成する各部の動作を制御する。管理ユニット800は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備え、これらがバスを介して接続された一般的なコンピュータ装置を含んで構成される。CPUは、紙幣搬送システム10の全体を制御する演算装置である。ROMは、CPUが実行する制御プログラムやデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。RAMはCPUのワークエリアとして使用される揮発性のメモリである。CPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより、各種の機能が実現される。
【0018】
〔紙幣搬送システムの詳細構成〕
第1の本発明の実施形態に係る紙幣搬送システムの各部の詳細構成について説明する。
<送風管>
送風管について、
図3と
図4を参照しながら説明する。
図4は、移動体と搬送体が磁力により反発する場合における、移動体とこれを含む送風管、及び搬送体とこれを含む搬送管の縦断面図である。
図3に示す送風管100は、移動経路部分111を含む第一送風管110と、後述する切替弁325(
図5参照)を介して第一送風管110との間でエンドレス状の気流路101を形成する第二送風管120とを備える。
紙幣搬送システム10は磁力を利用して搬送体500を移動させるため、送風管100の移動経路部分111は移動体200の走行と磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない構成を備える。移動経路部分111はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、移動体200と搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
移動経路部分111は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0019】
送風管100を搬送管400とは別個独立した構成とすることにより、送風管100内に気密的な流路を形成することができる。送風管100の外部への空気漏れによる移動体200の搬送力の低下を防止できる。また、空気流の発生に使用するブロアとして比較的安価且つ低出力のブロア310を採用でき、紙幣搬送システム10の低コスト化を実現する。仮に紙幣の搬送距離の増大に伴って送風管100が長尺化した場合であっても、送風管100内の空気流を確実に制御できる。また、移動体200を空気流により走行させるため、送風管100内にはギヤや搬送ベルト等の機械的な構成、配線や電気的な接点を配置する必要がなくなり、送風管100及び内部に配置される移動体200の耐久性が向上する。また、気密的に構成された気流路101には外部空気が流入しないため、外部空気中の塵埃等を巻き込むことがなく、気流路101内をクリーンに保つことができる。
【0020】
<移動体>
移動体200は空気圧を受けて送風管100内を移動可能な形状、構造であればよい。
図4に示すように、移動体200は複数の分割片210、210…がヒンジ部211によって移動体200の走行方向(送風管100の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片210は同一の構成を有し、各分割片210は夫々移動体側磁石213を備える。
移動体200は、搬送体500に磁力を作用可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の移動体側磁石213を備える。本例において、移動体側磁石213は、移動体200の搬送管400寄りに配置されている。移動体200に備えられた複数の移動体側磁石213は移動体200の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各移動体側磁石213は、N極(一方の極)が搬送管400側(図中上側)に、S極(他方の極)が図中下側に向くように、分割片210に取り付けられている。
本例に示す移動体200は、3つの分割片210から構成されている。分割片210同士は、ヒンジ部211を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、移動体200は、送風管100が上下左右方向に湾曲した気流路101を形成する場合であっても、各分割片210が変位しながら送風管100内をスムーズに移動可能となる。
【0021】
<送風管と移動体との関係>
移動経路部分111の内面形状と移動体200の外面形状(構造)は、移動経路部分111の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、移動体200が移動経路部分111に対して相対回転しないように形成される。例えば、移動経路部分111の横断面形状(長手方向と直交する断面における形状)と、移動体200の分割片210の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、移動体側磁石213のN極(一方の極)が常に搬送管400側を向くように、移動経路部分111内における移動体200の姿勢を維持できる。
【0022】
<送風制御ユニット>
図5(a)~(c)は、第1の本発明の一実施形態に係る送風管と送風制御ユニットとの関係を示す模式図である。
本実施形態に係る送風制御ユニット300は、一定方向に流れる気流を発生させる単一のブロア310と、送風管100内の空気流の方向を制御する切替ユニット320(切替弁325)と、を備える。送風制御ユニット300は切替ユニット320によって、送風管100内の空気流の方向を第一の方向(紙幣回収方向、矢印B方向)又はその反対方向である第二の方向(移動体戻し方向、矢印C方向)に切り替える点に特徴がある。
送風制御ユニット(空気流制御装置)300は、気流の排出方向を制御する切替ユニット(空気流切替ユニット)320と、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する第一循環配管330と、第一循環配管330の適所に配置されて第一循環配管内を一定方向に流れる気流を発生させるブロア310とを備える。
【0023】
切替ユニット320は、夫々外部配管と接続する4つの流路323(第一流路323a~第四流路323d:ポート)が形成されたケーシング321と、4つの流路323の合流部(交差部)に配置されて各流路323間の連通状態、及び/又は、連通時の開度を切り替える切替弁325とを有している。各流路323は、夫々外部配管である排気管331、吸気管333、第一送風管110、第二送風管120と連通・接続される。本例において各流路323は十字状(放射状)に配置されている。本例に示す切替弁325は、ボールバルブ等のロータリー式のバルブであり、切替弁325がケーシング321内で所定の角度だけ回転することによって、各流路323間の連通状態及び各流路323の開度が切り替えられる。
切替弁325は電動弁であり、モータによって駆動されて回転角度を制御される。モータには例えばステッピングモータを用いることができる。切替弁325は、例えば、管理ユニット800が駆動パルスに基づきステッピングモータの回転角度を制御することによって所望の回転角度に制御される。もちろん、切替弁325を回転させる駆動手段及び切替弁325の回転角度の制御には他の方式を用いてもよい。例えば切替ユニット320に、切替弁325と連動して回転するロータリーエンコーダと、ロータリーエンコーダの回転角度を検知するセンサとを搭載し、管理ユニット800が切替弁325の回転角度をフィードバック制御する構成としてもよい。
【0024】
第一循環配管330は、一端部(第一循環配管330の一端部330a)を切替ユニット320の第一流路323aに連通接続され、他端部をブロア310の排気口に連通接続された排気管331と、一端部をブロア310の吸気口に連通接続され、他端部(第一循環配管330の他端部330b)を切替ユニット320の第二流路323bに連通接続された吸気管333と、を備える。
送風管(第二循環配管)100は、一端部100aを切替ユニット320の第三流路323cに連通接続され、他端部100bを切替ユニット320の第四流路323dに連通接続されており、切替ユニット320を介してエンドレス状の気流路を形成する。送風管100は内部に配置した移動体200を気流により図中矢印B方向とC方向とに往復移動させる。
本例に係る送風管100は、移動体200の移動経路部分111を形成する第一送風管110と、第一送風管110と連通接続された第二送風管120とを備えている。第一送風管110が第三流路323cに連通接続され、第二送風管120が第四流路323dに連通接続されている。
【0025】
<<切替ユニットの動作:ニュートラル状態>>
図5(a)は、ニュートラル状態を示している。
切替弁325は第一流路323aと第二流路323bとを連通させるが、第一及び第二流路323a、323bと、第三及び第四流路323c、323dとを連通させないニュートラル姿勢にある。
このため、空気流は第一循環配管330内において矢印A(A1、A2)方向に循環し、送風管100内に気流は発生しない。従って、移動体200は送風管100内において停止した状態となる。
【0026】
<<切替ユニットの動作:第一の連通状態>>
図5(b)は、送風管100内に第一の方向(矢印B1、B2方向)に流れる気流を発生させる第一の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500が回収した紙幣を金庫ユニット700に搬送する紙幣の回収動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第四流路323dを連通させ、第二流路323bと第三流路323cとを連通させる第一連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第四流路323dは、第二流路323b及び第三流路323cとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第四流路323dから第二送風管120に流入する(矢印B1方向)。第一送風管110を矢印B2方向に流れて第三流路323cに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0027】
<<切替ユニットの動作:第二の連通状態>>
図5(c)は、送風管100内に第二の方向(矢印C1、C2方向)に流れる気流を発生させる第二の状態を示している。この状態は、例えば、搬送体500を金庫ユニット700側(管理ユニット800側)から、搬送管400の遠位端側に戻すための戻し動作状態である。
切替弁325は、第一流路323aと第三流路323cとを連通させ、第二流路323bと第四流路323dを連通させる第二連通姿勢にある。このとき、第一流路323a及び第三流路323cは、第二流路323b及び第四流路323dとは連通しない。
空気は第一循環配管330と送風管100との間でエンドレス状に循環する。即ち、排気管331から排出されて第一流路323aに流入した空気(矢印A1方向)は切替弁325により第三流路323cから第一送風管110に流入する(矢印C1方向)。第二送風管を矢印C2方向に流れて第四流路323dに流入した空気は、切替弁325により第二流路323bから吸気管333に流入して(矢印A2方向)ブロア310に戻り、再び排気管331から排出される。
【0028】
<<切替ユニットの動作:まとめ>>
このように、切替ユニット320を介して2つのエンドレス状の配管(第一循環配管330と送風管100)を接続することにより、単一のブロア310により一定方向(矢印A方向)の気流を発生させつつ、切替弁325の姿勢を切り替えて、送風管100内に気流を発生させないニュートラル状態、送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる第一の連通状態、送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる第二の連通状態の3つの状態を切り替えることができる。
また、切替弁325が取る上記3姿勢の中間の姿勢では、上記3状態とは連通状態が変化する。即ち、本実施形態においてはケーシング321内における切替弁325の角度に応じて、各流路の連通関係と各流路の開度を調整することができるため、各流路の開度に応じた風量の気流を送風管100内に発生させることができる。即ち、送風管100内の風速に応じて移動体200の速度を可変させることができる。
ここで、移動体200の移動速度をブロア310の風量制御により調整することも可能である。例えばブロア310の風量は、ブロア310の羽根の回転速度をPWM(Pulse Width Modulation)制御によりを可変させることによって調整可能である。しかし、ブロア310の回転速度の可変応答性よりも切替弁325の回転応答性の方が高いため、移動体200の速度調整を迅速に行うためには、切替弁325の回転角度を調整する方が有利である。
【0029】
<搬送管>
搬送管(搬送経路)400について、
図4及び
図6を参照して説明する。
図6は、搬送管と搬送体との関係を示した斜視図である。
図6においては、搬送管400の内部を、一部露出させた状態を示している。
紙幣搬送システム10において搬送体500は磁力を利用して搬送されるため、搬送管400は磁力に基づく搬送体500の走行に影響を与えない材料から構成される。搬送管400はその全体が非磁性体から構成されることが望ましいが、搬送体500の走行に影響を与えない範囲で一部に磁性体を含んでもよい。
搬送管400は、移動経路部分111内に配置された移動体200と搬送管400内に配置された搬送体500との間に磁力を作用可能な構成(管の厚さ、管同士の離隔、或いは形状等)を備える。
【0030】
本例において、搬送管400は送風管100の上方に配置されているが、送風管100と搬送管400との位置関係についてはこれに限らない。搬送管400は送風管100の下方に配置されてもよいし、搬送管400を送風管100の側方に配置されてもよい。
なお、本例において搬送路401を構成する手段として搬送管400を例示したが、搬送路401を構成する手段は管状である必要はなく、搬送路401の一部又は全部が外部に開放された構成としても、本発明を実施可能である。つまり、搬送管400はその内部に搬送路401としての長尺な空間を形成できればどのような形態であってもよい。
【0031】
<搬送体>
図4及び
図6に示すように、搬送体500は、搬送路401内において送風管100寄りの位置に配置されて、移動体200からの磁力を受ける搬送ベース510と、搬送ベース510の送風管100とは反対側に設けられた紙幣回収保持部540とを備える。
【0032】
<<搬送ベース>>
搬送ベース510は、複数の分割片520、520…が、ヒンジ部521によって搬送体500の走行方向(搬送管400の長手方向)に沿って順次結合された構成を有する。本例に示す各分割片520は夫々搬送体側磁石523を備えている。
搬送ベース510は、移動体200から磁力の作用を受けることが可能な位置・姿勢・及び形状にて配置された複数の搬送体側磁石523を備える。本例において、搬送体側磁石523は、搬送ベース510の送風管100寄りに配置されている。搬送ベース510に備えられた、複数の搬送体側磁石523は搬送体500の走行方向に互いに離間して配置されている。本例において各搬送体側磁石523は、N極(一方の極)が送風管100側(図中下側)を向き、S極(他方の極)が図中上側に向くように、分割片520に取り付けられている。搬送ベース510は、移動体200から磁力による反発力を受けて搬送管400内で磁気浮上する。
本例に示す搬送ベース510は4つの分割片520から構成されている。分割片520同士は、ヒンジ部521を中心として図中上下方向と紙面奥行き方向に所定の範囲内で角度変位可能に結合されている。このような構成とすることにより、搬送体500は、搬送管400が上下左右方向に湾曲した搬送路401を形成する場合であっても、搬送管400内をスムーズに移動可能となる。
【0033】
<<紙幣回収保持部>>
紙幣回収保持部540は、搬送ベース510上に配置されている。紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に突出する回収部材(回収爪)544を備える。支柱部材541は、搬送ベース510の幅方向の中間部から上方に突出している。
紙幣回収保持部540は、紙幣(紙葉)Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向に沿うように、且つ起立した姿勢で保持する。紙幣Pの一方の長辺(
図6中、下側に位置する長辺)は搬送ベース510によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541又は回収爪544によって支持される。
【0034】
<搬送管と搬送体の関係>
搬送管400は、その内部に、送風管100寄りに配置されたベース搬送路402と、送風管100とは反対の側に配置された紙幣搬送路403とを備える。ベース搬送路402は搬送体500の搬送ベース510が走行する横長の空間であり、紙幣搬送路403は搬送体500の紙幣回収保持部540、及び紙幣回収保持部540に保持された紙幣が走行する縦長の空間である。
本例に示す搬送体500は、移動体200から磁力による反発力を受けて走行するため、ベース搬送路402と搬送ベース510は、搬送ベース510のベース搬送路402からの離脱(紙幣搬送路403側への移動)を禁止し、搬送ベース510の位置を移動体200から磁力の作用を受けられる位置に維持するように構成されている。
ベース搬送路402の内面形状と搬送ベース510外面形状は、ベース搬送路402の長手方向に沿って伸びる仮想軸を中心として、搬送ベース510がベース搬送路402に対して相対回転しないように形成される。例えば、ベース搬送路402の横断面形状と、搬送ベース510の横断面形状は矩形状に構成される。上記構成を備えることによって、搬送体側磁石523のN極(一方の極)が常に送風管100側を向くように、ベース搬送路402内における移動体200の姿勢が維持される。
【0035】
<移動体と搬送体との関係>
移動体側磁性体と搬送体側磁性体との関係について説明する。
<<反発のみ>>
図4に示すように、移動体200と搬送体500の双方に互いに反発する向きに1個以上の磁石を配置して、移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させてもよい。移動体200と搬送体500との間に反発力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500の少なくとも一方には、走行方向に所定の間隔を空けて複数個の磁石を配置することが望ましい。移動体200と搬送体500の少なくとも一方に、走行方向に複数個の磁石を配置することによって、搬送体500が移動体200から反発力を受けて走行する際に、移動体側磁石213と搬送体側磁石523とが互い違いに配列される。即ち、搬送体500が走行する際に、搬送体500は移動体200に対して相対的に位置決めされる。この場合、特に、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を1個違いにするのが好適である。言い換えれば、nを自然数とした場合、移動体200と搬送体500の一方にn個の磁石を配置し、他方にn+1個の磁石を配置するのが好適である。
搬送管400を送風管100の上方に配置して、搬送体500と移動体200との間に反発力を作用させる場合、搬送体500が搬送管400内で浮上するので、搬送体500が搬送管400に接触しにくくなる。従って、搬送管400との摩擦による搬送体500の搬送力の低下を防止し、搬送体500を円滑に移動させることが可能となる。また、搬送体500と搬送管400との接触が抑制されるため、各部材の接触による微細なダスト(粉塵)の発生を防止できる。
なお、移動体200と搬送体500との間に反発力を作用させる場合は、移動体200と搬送体500に備える磁石の個数を増大させることによって、搬送力を向上させることができる。
【0036】
<<吸着のみ>>
図7は、移動体と搬送体が磁力により吸着する場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が互いに吸着する姿勢で移動体200と搬送体500に取り付けられている。移動体側磁石213と搬送体側磁石523の長手方向位置は、送風管100と搬送管400の壁を介して整合するため、移動体200に対する搬送体500の位置決めが容易となる。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、移動体200と搬送体500に搭載する磁性体の少なくとも一方が磁石であればよい。例えば、搬送体500と移動体200の一方に磁石を配置し、他方には磁石に吸着する磁石以外の磁性体(例:鉄板)を配置してもよい。
移動体200と搬送体500との間に磁力に基づく吸着力のみを作用させる場合は、搬送体500と移動体200に少なくとも1組の磁性体(例:磁石と磁石の組、又は磁石と鉄板の組)を配置すれば足りる。
【0037】
<<反発と吸着>>
移動体200と搬送体500との間には、反発力と吸着力の双方を作用させてもよい。即ち、移動体200と搬送体500には、互いに反発力を作用させる磁石の組と、互いに吸着力を作用させる磁石の組とが混在していてもよい。反発力と吸着力の双方を作用させる例については、
図8に基づき後述する。
【0038】
<<磁石の向き>>
上記実施形態においては、磁石の各極を上下方向(送風管100と搬送管400の積層方向)に向けて配置しているが、磁石の各極を走行方向に向けて(例えば金庫ユニット側にN極、島端側/遠位端側にS極を向けて)配置してもよい。また、磁石の各極を走行方向に対して斜めに傾けて配置してもよい。磁石の向きに応じて磁力の作用を適宜調整可能となる。
【0039】
<<磁石の向き:縦型配置>>
図8は、移動体側磁石の各極を走行方向に向けて配置した場合における移動体と搬送体を含む送風管と搬送管の縦断面図である。
図示する例では、移動体側磁石213は、N極(一方の極)が金庫ユニット側(図中左側)に、S極(他方の極)が遠位端側(図中右側)に向くように、分割片210に取り付けられている。また、搬送体側磁石523は、N極が送風管100側に、S極が図中上方を向くように分割片520に取り付けられている。
移動体側磁石213の金庫ユニット側の面(N極)は搬送体側磁石523(N極)と反発し、移動体側磁石213の遠位端側の面(S極)は搬送体側磁石523(N極)と吸着するため、移動体200と搬送体500との間に反発力と吸着力の双方を作用させることができる。
【0040】
〔送風制御に係る変形実施形態1〕
図9は、送風制御ユニットの第一の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Bは、送風管100の一端部100aに排気口を接続されたブロア310aと、送風管100の他端部100bに排気口を接続されたブロア310bと、両ブロア310a、310bの吸気口同士を接続する接続配管340とを備えた構成であってもよい。送風管100(第一送風管110、第二送風管120)は、2台のブロア310a、310bと接続配管340とを介してエンドレス状に構成される。
ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
【0041】
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。送風管100内を流れた空気は、ブロア310aの排気口に流入してブロア310aの吸気口から排出される。空気は更に接続配管340を通ってブロア310bの吸気口に戻り、ブロア310bの排気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにし、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
【0042】
このように、2台のブロアを用いても、送風管100内に第一の方向の空気流と第二の方向の空気流とを発生させることができる。
本例においては、2台のブロア310a、310bの吸気口同士を接続配管340により接続しているため、気密的に構成された気流路101内で空気を効率的に循環させることができる。
【0043】
〔送風制御に係る変形実施形態2〕
図10は、送風制御ユニットの第二の変形例を示す図である。
送風制御ユニット300Cは、送風管100の一端部100aと他端部100bとに夫々ブロア310a、310bを備える構成であってもよい。ブロア310a、310bのオンオフ及び風量は、管理ユニット800により制御される。
送風管100内に第一の方向(矢印B方向)に流れる気流を発生させる場合(第一の状態、紙幣の回収動作状態)は、一方のブロア310bをオンにして気流を発生させ、他方のブロア310aをオフにする。ブロア310bは吸気口から外部エアを内部に取り込んで送出することで、送風管100内に矢印B方向の気流を発生させる。また、この気流はブロア310aの排気口からブロア310a内に取り込まれて吸気口から排出される。
送風管100内に第二の方向(矢印C方向)に流れる気流を発生させる場合(第二の状態、搬送体戻し状態)は、一方のブロア310bをオフにして、他方のブロア310aをオンにして気流を発生させればよい。
本例においては、気流路101を循環路とするための配管が不要となるため、構成が簡略化される。
【0044】
B.第2の本発明に係る紙葉搬送システム
<<搬送体(紙幣回収シャトル)>>
図11(a)(b)(c)及び(d)は回収部材(回収爪)が開放した状態にある搬送体500の外観斜視図、正面図、平面図、及び(a)のA-A断面図であり、
図12(a)及び(b)は回収部材(回収爪)が閉じた状態にある搬送体500の外観斜視図、及び平面図である。
図13は搬送管400と搬送体500との位置関係を示す一部断面図である。
【0045】
図11乃至
図13に示した搬送体500は、搬送ベース510と回収部材544の構成が
図6に示した搬送体とは若干異なる。
即ち、搬送ベース510は、複数の分割片520をヒンジ部521を介して上下左右方向へ(或いは、斜め方向へも)変位自在に連結すると共に、
図11(d)中に示す各分割片内の内部空間520a内に搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を配置した構成を有する。また、各分割片520の両側面には、回転自在なローラ525を配置することにより搬送管400内の移動をスムーズにしている。また、支柱部材541の上部には搬送管内壁との間の抵抗を低減するためのローラ545が回転自在に配置されている。
紙幣回収保持部(移載手段)540は、紙幣Pを、紙幣Pの長手方向が搬送管400の長手方向と並行になるように、且つ起立した姿勢で保持する。横長、且つ起立状態にある紙幣Pの下側の長辺は搬送ベース510(各分割片520)の上面(平坦面)によって支持される。紙幣の後端縁(一方の短辺)は支柱部材541、及び回収部材544によって支持される。
【0046】
各分割片520には、その幅方向両端縁に紙幣の脱落を防ぐ突条520bが設けられているが、突条520bの内側に位置する領域520cは平坦面となっており、紙幣の下側長辺を安定して支持できるようになっている。また、各分割片520の内側の領域520cは長手方向に連通しているため、紙幣は複数の分割片の内側領域520cに跨がって載置されることができる。
搬送ベース510上に立設された紙幣回収保持部540は、搬送管400の長手方向の島端側(金庫ユニット700に対して遠位端側)の端部に、送風管100から離間する方向に起立した支柱部材541と、支柱部材541から幅方向に平面視で翼状(鋭角状、或いは鈍角状)に突出し(拡開し)、且つ支柱部材541側の軸支部541aによって横方向へ開閉自在に軸支された2つの回収爪544から成る回収部材544を備える。図示した軸支部541aは支柱部材541と並行、即ち垂直な姿勢であるため、軸支部回りに回動する回収爪544は水平方向へ開閉する。なお、回収爪の回動方向はこれ以外の方向であってもよい。
【0047】
回収部材544は、回収部材が上下二対ある
図6の構成例とは異なり、支柱部材541の所定の高さ位置に一対配置されている。回収部材544を構成する2つの回収爪544は、
図11中に示した拡開状態が最大開放角度にあり、これ以上は開放方向へ回動できない一方で、拡開状態から閉じる方向へは回動することができる。
図12は2つの回収爪544が最小開放角度にある状態(閉止状態)を示している。また、各回収爪544はその軸支部541aに設けたバネ(弾性部材)541bにより開放する方向へ常時弾性付勢されている。搬送体500が搬送路401上を金庫ユニット700へ向かう前進方向Pへ移動する際には各回収爪544はバネ541bにより拡開した姿勢を維持するため、紙幣が待機する所定の待機部450(
図13)内に起立状態で停止している紙幣の後端縁を回収爪により引っ掛けて待機部内を前進方向Pへ移動させつつ搬送ベース510上に移載することができる。搬送ベース510が搬送路401内を金庫ユニット700へ向けて前進方向Pへ移動する過程で回収爪544が拡開した姿勢を維持できるように、搬送管400の両内壁であって各回収爪が通過する箇所には、回収爪用通路としての凹所405(
図13)が形成されている。各凹所405は、各待機部450内においては各回収爪が各待機部内の紙幣の後端縁に接触できるようにレイアウトされている。なお、各回収爪544は独立して開閉動作するように構成するのが好ましく、その場合には一つのコイルバネ(或いはトーションバネ)により各回収爪を個別に回動させるように構成しても良いし、バネ541bを回収爪毎に設けるようにしてもよい。
【0048】
図11に示した拡開状態にある各回収爪544は、軸支部541aにより回動自在に軸支された内側の基端片544aと、基端片544aから搬送体の幅方向外側に伸びる中間片544bと、中間片544bから斜め前進方向へ屈曲、或いは湾曲して突出した端部片544cと、を備えている。回収爪544が待機部450内を通過する際には、主として中間片544b、及び端部片544cが待機部450内に進入し、待機紙幣の後端縁に接触しながら紙幣全体を前進方向へ押し出す。端部片544cは中間片544bの端部から斜めに突出しているため、中間片544bと接した紙幣後端縁が中間片の面に沿って幅方向外側へ位置ズレしようとしても端部片544cがこれを確実に阻止することができる。待機紙幣が搬送ベース510上に移載した後は、端部片544cは積載した紙幣が幅方向に位置ズレしたり、落下することを防止する。
図11のように各回収爪544が拡開した姿勢において、中間片544bが搬送路401の幅方向と並行か、或いは前進方向Pへ向けて傾斜した姿勢となるように構成することにより、中間片が待機部内の紙幣後端縁と接触した際にこれを確実に係止して前進方向へ押圧することを可能にする。
【0049】
このように、回収部材544は、支柱部材により略水平方向へ開閉自在に軸支された一対の回収爪を備え、各回収爪は幅方向外側に突出した拡開姿勢と、幅方向内側に退避した退避姿勢との間を開閉し、且つ弾性部材により拡開姿勢に付勢されている。
各回収爪544は、以上のような構成を有しているため、搬送路401を間に挟んで交互に異なった長手方向位置にある各待機部内の紙幣を回収する際に、搬送体を直線移動させるだけで各回収爪により確実に回収し、搬送体の幅方向中央部に紙幣を集めることが可能となる。
なお、搬送体500が搬送路内を退避方向Rへ移動する場合には、回収爪が待機部内の紙幣と干渉するが、紙幣と接触して移動し続ける過程で弾性部材の付勢に抗して当該回収爪は閉じる方向へ姿勢変更する。このため、待機紙幣を損傷する等の影響を与えることなく、スムーズに戻り方向へ移動し続けることができる。
搬送ベース510上に既に紙幣が起立状態で積載されている状態で、回収してきた後続の紙幣を既積載紙幣の一面(一側面)に対して後続紙幣の一面を重ねて順次積載する方式を採るため、後続紙幣の先端縁が既積載紙幣の後端縁に突き当たって積載不能に陥ることがない。
【0050】
C.第3の本発明に係る搬送システム
〔第一の実施形態〕
図14は、第3の本発明の一実施形態に係る搬送システムの概略構成を示す斜視図である。
図15は、同搬送システムの概略構成を示す部分拡大斜視図である。なお、
図14及び
図15においては、搬送体経路の一部について幅方向の一部を切断及び除去した断面にて示している。
【0051】
<概略構成>
本発明の一実施形態に係る搬送システム10C(搬送装置)は、ブロア310(気流発生装置:
図3)と、ブロア310が発生した気流の流路を内部に形成する送風管100と、送風管100内の気流の方向を切替え制御する切替ユニット320(
図5)と、ブロア310、及び切替ユニット320を制御する管理ユニット(気流制御手段)800と、送風管100内を流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管100に沿って送風管に隣接配置された搬送路(搬送体経路)401と、搬送対象を保持可能に構成されて搬送路内を走行する搬送体500と、を備える。
移動体200は移動体側磁石(移動体側磁性体)213を備え、搬送体500は搬送体側磁石(搬送体側磁性体)523を備える。搬送システム10Cは、移動体側磁石213と搬送体側磁石523が近接位置関係にあるときに移動体側磁石と搬送体側磁石との間に作用する磁力に基づく反発により、移動体200の移動に連動して搬送体500を移動させる構成を備える。
搬送システム10Cにおいて一の移動体200と該移動体に連動して走行する一の搬送体500は、一組の連動走行対250を構成する(
図18参照)。
搬送システム10Cは、送風管100と搬送路401との間に配置された走行制御ユニット900を備える。走行制御ユニット900は、走行する移動体200と搬送体500の走行を抑止する(停止させる)手段である。
【0052】
<搬送体及び搬送路>
ここで、
図15(及び
図14)に示す搬送体500及び搬送管400は、
図11~13等に示すものとは異なっている。
図15に示す搬送体500は、
図11~13に示す搬送体500中の支柱部材541、回収爪544、及びローラ545が省略されている。また、
図15に示すように搬送体500の一部の分割片520,520の上面には搬送対象を載置する(又は支持する)搬送テーブル550,550が適宜の方法により取り付けられている。
図15に示す搬送路401は、
図13に示すベース搬送路402のみを備えており、搬送路401の上面は開口している。即ち、搬送管400は半筒状である。搬送路401に設けた上面開口411は、長手方向(走行方向、x1,x2方向)に沿って延在する開口である。上面開口411の幅方向の各端部からは他方の端部に向けて凸条413が突設されている(
図15には一方の凸条413のみが示されている)。凸条413は長手方向に沿って伸びる。上面開口411の幅方向長は搬送ベース510の幅方向長よりも狭く設定されており、搬送ベースは上面開口411を介してベース搬送路402から逸脱することはない。
搬送路401に上面開口411を設けると共に、搬送ベース510に取り付けられた搬送テーブル550,550が上面開口411よりも上方に位置するようにしたので、搬送体500よりも幅広の搬送対象を搬送できる。
【0053】
<走行制御ユニット>
搬送路401の長手方向の適所には、連動走行対250を検知すると共に、その走行状態を制御する区間として、少なくとも1つのユニット区間910が設定される。各ユニット区間910は1つの走行制御ユニット900を備える。走行制御ユニット900は、少なくとも1つの検知コイル901と、少なくとも1つの制御コイル903とを含み構成される。本例における走行制御ユニット900は、複数のコイルから構成されたコイルユニットである。
【0054】
検知コイル901は、走行する移動体200及び搬送体500を検知する。制御コイル903は、移動体200及び搬送体500の走行状態を制御する。ユニット区間910中、検知コイル901…が配置された部分は検知区間911であり、制御コイル903…が配置された部分は制御区間913である。
【0055】
検知コイル901は、ユニット区間910中、連動走行対250の走行方向の上流側の端部に配置される。制御コイル903は検知コイル901に対して走行方向の下流側に配置される。各コイルは、走行方向に沿って並べて配置される。
ここで、本例に示す連動走行対250は、正方向(
図15中x1方向)と逆方向(
図15中x2方向)に走行する(往復移動する)。このため、本例に示すユニット区間910においては、走行方向の両端部が検知区間911,911に設定され、中間部が制御区間913に設定されている。即ち、本例に示す走行制御ユニット900は、ユニット区間910の長手方向の各端部に配置された検知コイル901,901と、ユニット区間910の長手方向の中間部に配置された制御コイル903…とを含み構成される。
【0056】
検知コイル901は、走行する移動体200の移動体側磁石213(
図19参照)と搬送体500の搬送体側磁石523(
図4参照)とが夫々発生させる磁場(磁界、磁束)が順次検知コイル901の内部を通過し、且つ、各磁場(磁界、磁束)の向きに応じた電流を発生させるように構成されている。検知コイル901は、移動体200と搬送体500との走行状態に応じた誘導電流を発生させる。
制御コイル903の夫々は、制御コイルに所定の大きさの電流を流したときに、移動体側磁石213と搬送体側磁石523の夫々に対して所定の磁力を作用させるように構成されている。
検知コイル901と制御コイル903は例えば空芯コイルから構成される。なお、空芯コイルとは、強磁性材料で作られた磁気コアが使用されていないインダクタのことであり、巻線体の中空部内に空気のみを含むコイルの他、非磁性体に巻かれたコイルや、非磁性体によって筒形状が保持されたコイルを含む。
【0057】
<機能ブロック>
図16は、第三の本発明の一実施形態に係る搬送システムの機能ブロック図である。
図17は、同搬送システムの機能をより詳細に示すブロック図である。
図16に示すように、搬送システム10Cは、送風制御ユニット300(
図3)と、複数の走行制御ユニット900…と、送風制御ユニット300と走行制御ユニット900…とを制御する制御手段としての管理ユニット800とを備える。
図17に示すように、管理ユニット800は、主制御部811と、コイル駆動制御部813と、送風駆動制御部815とを備える。主制御部811は、検知コイル901からの検知信号を取得して必要な演算を行うと共に搬送システム10Cの各部の制御状態を決定する。コイル駆動制御部813は、制御コイル903を駆動制御する。送風駆動制御部815は、送風制御ユニット300を駆動制御する。主制御部811、コイル駆動制御部813、及び送風駆動制御部815は、管理ユニット800に備えるCPUがROMに記憶された制御プログラムを読み出してRAMに展開して実行することにより実現される。
コイル駆動制御部813は、各制御コイル903に対して、所定の磁場を発生させる電力を供給するように制御する。例えば、移動体200と搬送体500との走行を抑制(抑止)する場合にコイル駆動制御部813は、制御コイル903に電力を供給して、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁石213を制御コイル903に吸着させて移動体200の走行を抑制(抑止)するように制御し、制御コイル903に電力を供給して、搬送体側磁石523を制御コイル903に吸着させて搬送体500の走行を抑制(抑止)するように制御する。
【0058】
<検知及び走行抑止制御>
図18(a)~(g)は、移動体と搬送体の検知及び走行抑止制御を説明する模式図である。図中x1方向を向く白抜きの矢印は空気流を示す。
一例として図示する移動体200は2つの移動体側磁石213a,213bを備え、搬送体500は1つの搬送体側磁石523を備える。移動体側磁石213a,213bと搬送体側磁石523とは互いに反発する向きで夫々移動体200と搬送体500とに搭載される。
【0059】
走行制御ユニット900は、走行方向の両端部に配置された検知コイル901a,901bと、検知コイル901a,901b間に配置された3つの制御コイル903a,903b,903cとを含み構成されている。各制御コイル903…の位置関係(走行方向における配置間隔)は、移動体200と搬送体500が連動して走行する場合における移動体側磁石213a,213bと搬送体側磁石523の位置関係(走行方向x1,x2方向における配置間隔)と同一となるように設定されている。
【0060】
図18(a)に示すように、移動体側磁石213aが検知コイル901aを通過すると、移動体側磁石213aが発生させる磁束(図中上向き)が検知コイル901aを貫く。これにより、検知コイル901aには電磁誘導により第一の方向に電流が流れる。
図18(b)に示すように、搬送体側磁石523が検知コイル901aを通過すると、搬送体側磁石523が発生させる磁束(図中下向き)が検知コイル901aを貫く。これにより、検知コイル901aには電磁誘導により第一の方向とは反対の第二の方向に電流が流れる。搬送体側磁石523は移動体側磁石213aと反発する向きに配置されているので、検知コイル901aに流れる電流の向きは逆となる。
図18(c)に示すように、移動体側磁石213bが検知コイル901aを通過すると、移動体側磁石213bが発生させる磁束(図中上向き)が検知コイル901aを貫く。これにより、検知コイル901aには電磁誘導により第一の方向に電流が流れる。
【0061】
検知コイル901は、移動体側磁石213a,213bと搬送体側磁石523が発生させる各磁場の強度、向き、及び各磁石の移動方向に応じた誘導電流を発生させる。このように、移動体200及び搬送体500が検知コイル901aを通過することで、検知コイル901aには、移動体200及び搬送体500の走行速度に応じた周波数の交番電流が発生する。従って、主制御部811は、この交番電流の周波数に基づいて移動体200及び搬送体500の走行速度を算出できる。
管理ユニット800の主制御部811は、検知コイル901aが出力した交番電流の周波数及びサイクル数に基づいて、移動体側磁石213a,213b及び搬送体側磁石523が夫々対応する制御コイル903~903に到達するタイミングを演算する。また、主制御部811は必要に応じて移動体200と搬送体500との走行を抑止可能となる磁力の強度を算出する。
【0062】
図18(d)に示すように、コイル駆動制御部813は、主制御部811が演算したタイミングにて、各制御コイル903~903を駆動する。即ち、コイル駆動制御部813は、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁石213a,213bが制御コイル903a,903c(第一制御コイル)に吸着し、搬送体側磁石523が制御コイル903b(第二制御コイル)に吸着して、移動体200と搬送体500の走行が抑止されるように、必要な電力を各制御コイル903~903に供給するように制御する。移動体200及び搬送体500は、制御コイル903に電力が供給されている間、制御区間913内で位置決めされた状態で停止する。
なお、走行制御ユニット900が移動体200と搬送体500の走行を抑止するときに、送風駆動制御部815は、送風管100内の気流を停止させるように送風制御ユニット300を駆動制御してもよい。
【0063】
図18(e)~(g)に示すように、制御コイル903~903への電力供給が停止すると、移動体200は送風管100内を流れる気流を受けて走行を開始すると共に、搬送体500は移動体200に連動して走行を開始する。
なお、移動体側磁石213a,213bと搬送体側磁石523が検知コイル901bを通過するときに、検知コイル901bに交番電流が流れるため、交番電流に基づいて移動体200と搬送体500が走行を開始したことを検知できる。
図18においては、移動体200及び搬送体500はx1方向に走行したが、移動体200及び搬送体500がx2方向へ走行する場合も同様に説明される。移動体200及び搬送体500がx1方向とx2方向の双方向へ移動する場合は、走行制御ユニット900において検知コイル901と制御コイル903とが、走行方向に対して対称に配置されると好適である。
走行制御ユニット900に含む制御コイル903の個数は、移動体側磁石213…と搬送体側磁石523…の総数と同数でもよいし、これよりも少なくてもよい。
【0064】
本例に示す各制御コイル903…は、その駆動状態(電流の向き)に応じて、移動体側磁石213を吸着することもできるし、搬送体側磁石523を吸着することもできる。
しかし、走行制御ユニット900は、移動体側磁石213のみに磁力(吸着力)を作用させるように配置又は構成された制御コイル(903a,903c)と、搬送体側磁石523のみに磁力(吸着力)を作用させるように配置又は構成された制御コイル(903b)と、を備えてもよい。
【0065】
<効果>
このように、本実施形態においては、移動体200と搬送体500は制御区間913に位置決めされた状態で停止する。
また、移動体200と搬送体500とを磁力による吸着を利用して走行を停止させるので、移動体200と搬送体500とを容易に急停止(急制動)させることができる。
送風管100内の気流を停止させた状態で移動体200と搬送体500を停止させる場合も同様に、移動体200と搬送体500を所定の位置に位置決めした状態で制御区間913内に停止させることができる。
【0066】
〔第二の実施形態〕
図19は、第3の本発明の第二の実施形態に係る搬送システムの機能ブロック図である。
図20(a)~(g)は、移動体と搬送体の検知及び走行抑止制御を説明する模式図である。
本実施形態においては、走行制御区間における走行方向の端部に配置された検知コイルを制御コイルと兼用する点に特徴がある。第一の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
図示するように走行制御ユニット900は、走行方向(x1,x2方向)の端部に検知コイル901a,901bを備え、中間部に制御コイル903a,903bを備える。検知コイル901a,901b及び制御コイル903a,903bはいずれも空芯コイルであり、検知コイル901a,901bは制御コイルとしても機能する。
【0067】
移動体と搬送体の検知及び走行抑止制御については以下の通りである。
図20(a)~(c)は、
図18(a)~(c)と同様である。
図20(d)に示すように、コイル駆動制御部813(
図17)は、移動体側磁石213a,213bが制御コイル903a(第一制御コイル)と検知コイル901b(第一制御コイル)に夫々吸着し、搬送体側磁石523が制御コイル903b(第二制御コイル)に吸着するように各コイルを駆動する。これにより、移動体200と搬送体500の走行が抑止される。
図20(e)に示すように、制御コイル903~903への電力供給が停止すると、移動体200は送風管100内を流れる気流を受けて走行を開始すると共に、搬送体500は移動体200に連動して走行を開始する。
図20(f)に示すように、気流がx2方向に流れ、移動体200及び搬送体500がx2方向に走行する場合に、主制御部811(
図17)は検知コイル901bを流れる交番電流に基づいて移動体200及び搬送体500の走行を検知する。
図20(g)に示すように、コイル駆動制御部813(
図17)は、移動体側磁石213b,213aが制御コイル903b(第一制御コイル)と検知コイル901a(第一制御コイル)に夫々吸着し、搬送体側磁石523が制御コイル903a(第二制御コイル)に吸着するように各コイルを駆動する。これにより、移動体200と搬送体500の走行が抑止される。
【0068】
本例のように、移動体200と搬送体500とが正逆方向に走行する場合は、検知コイル901を制御コイルとして機能させることにより、走行制御ユニット900に含むコイルの総数を抑制できる。各コイルの機能は、移動体200と搬送体500の走行方向に応じて切り替わる。
なお、検知コイル901…と制御コイル903…の走行方向における配置間隔は、移動体200と搬送体500が連動して走行する場合における移動体側磁石213a,213bと搬送体側磁石523の位置関係(走行方向x1,x2方向における配置間隔)と同一となるように設定される。
【0069】
〔第三の実施形態〕
図21は、第3の本発明の第三の実施形態に係る搬送システムの機能ブロック図である。第一及び第二の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
図示するように、走行する移動体200及び搬送体500を検知する手段として、コイル以外の他のタイプの位置検知センサ921(921a,921b)を用いてもよい。位置検知センサ921としては、例えば透過型又は反射型のフォトトランジスタを使用できる。搬送システムは、移動体200及び搬送体500の走行抑制制御が可能となるような数量の位置検知センサ921を備え、各位置検知センサ921は上記走行抑制制御が可能となる位置に配置される。
【0070】
〔第四の実施形態〕
図22(a)、(b)は、第3の本発明の第四の実施形態に係る走行制御ユニットを説明する模式図である。第一乃至第三の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
走行制御ユニット900が移動体200の走行を抑止すれば、搬送体500は移動体200に連動してその走行を抑止される。このため、走行制御ユニット900は、少なくとも移動体200の走行を抑止できればよい。
即ち、走行制御ユニット900は、移動体側磁石213に磁力を作用させる制御コイル903a,903cのみを備えてもよい。この場合、制御コイル903a,903cは移動体側磁石213a,213bの配置間隔に合わせて配置される。本図には、制御コイル903を搬送路401とは反対側の送風管100の側面に添設して、制御コイル903の磁力が搬送体側磁石523に作用しないようにした例を示す。
なお、移動体200と搬送体500の一方又は双方を検知する手段として、検知コイル(空芯コイル)を用いてもよいし、他のタイプの位置検知センサを用いてもよい。
【0071】
〔第五の実施形態〕
図23は、第3の本発明の第五の実施形態に係る搬送システムの概略構成を示す斜視図である。第一乃至第四の実施形態と同一の構成については同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
搬送システム10Cの搬送路401には、複数のユニット区間910A~910Lが設定されている。各ユニット区間910A,910B…には、
図15等に示す走行制御ユニット900,900…(
図16に示す900A,900B…)がそれぞれ配置される。また、搬送路401内には、複数の連動走行対250A~250Dが走行可能に配置されている。
図16に示すように、各走行制御ユニット900A,900B…は、管理ユニット800により個別に駆動制御される。これにより、搬送路401を走行する連動走行対250A~Dの走行を、個別に抑制できる。
例えば、
図23に示す一部の連動走行対250C,250Dがユニット区間910G,910Kを通過するタイミングに合わせて、これらのユニット区間に配置された走行制御ユニット900の制御コイルを駆動する。これにより、連動走行対250C,250Dの走行が抑制される。このとき、送風管100内の気流を停止させず、且つ、他の各ユニット区間910A~F,H,I,Lの制御コイルを駆動しないならば、他の連動走行対250A,250Bを継続して走行させることができる。
このように、本実施形態によれば、搬送路401において複数の連動走行対250A~Dを走行させる場合であっても、各連動走行対250…の走行を個別に制御できる。
【0072】
〔第3の本発明の構成、作用、効果のまとめ〕
本態様に係る搬送システム10Cは、気流発生装置(ブロア310)と、気流発生装置が発生した気流の流路を内部に形成する送風管100と、送風管内を流れる気流を受けて送風管内を走行する移動体200と、少なくとも一部が送風管に沿って送風管に隣接配置された搬送体経路(搬送路401)と、搬送対象を保持可能に構成されて搬送体経路内を走行する搬送体500と、を備える。移動体は移動体側磁性体(移動体側磁石213)を備え、搬送体は搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を備える。搬送システムは、移動体側磁性体と搬送体側磁性体が近接位置関係にあるときに移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、移動体の移動に連動して搬送体を移動させる構成を備えている。
【0073】
<第一の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、移動体200の走行状態を制御する制御コイル903と、該制御コイルを駆動制御する駆動制御手段(コイル駆動制御部813)と、を備える、制御コイルは、移動体側磁性体(移動体側磁石213)に対して磁力を作用させるように構成されており、駆動制御手段は、制御コイルに電力を供給して、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁性体を制御コイルに吸着させて移動体の走行を抑制するように制御することを特徴とする。
【0074】
本態様において、移動体は移動体側磁性体が制御コイルに吸着することで停止する。本態様においては、気流の有無に関係なく移動体の走行を抑止できる。従って、仮に送風管内を複数の移動体が走行する場合であっても、一部の移動体の走行を制御コイルにより抑止し、他の移動体を気流の方向に従って継続して走行させることができる。
ここで、搬送体は移動体に連動するので、少なくとも移動体の走行を抑止すれば、搬送体の走行も抑止される。即ち、本態様によれば、搬送対象をより自在に搬送できる。
なお、制御コイルは移動体側磁性体に磁力を作用させる位置関係にあればよい。制御コイルは送風管100と搬送体経路(搬送路401)との間に配置されてもよいし、搬送体経路とは反対側の送風管の側面に添設されてもよい。
【0075】
<第二の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、
移動体200と搬送体500の走行状態を制御する第一及び第二制御コイル903a~903cと、該各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段(コイル駆動制御部813)と、を備え、第一制御コイル903a,903cは移動体側磁性体(移動体側磁石213)に対して磁力を作用させるように構成され、第二制御コイル903bは搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)に対して磁力を作用させるように構成されており、駆動制御手段は、第一制御コイルに電力を供給して、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁性体を第一制御コイルに吸着させて移動体の走行を抑制するように制御すると共に、第二制御コイルに電力を供給して、搬送体側磁性体を第二制御コイルに吸着させて搬送体の走行を抑制するように制御することを特徴とする。
【0076】
本態様において、移動体は移動体側磁性体が制御コイルに吸着することで停止し、搬送体は搬送体側磁性体が制御コイルに吸着することで停止する。本態様においては、気流の有無に関係なく移動体と搬送体の走行を抑止できる。従って、仮に送風管内を複数の移動体が走行し、搬送体経路内を複数の搬送体が走行する場合であっても、一部の移動体及び搬送体の走行を制御コイルにより抑止し、他の移動体及び搬送体を気流の方向に従って継続して走行させることができる。
本態様によれば、搬送対象をより自在に搬送できる。
本態様においては、移動体だけではなく、搬送体の走行も制御コイルにより抑止するので、移動体の停止時に、搬送体が移動体との連動状態を外れることを防止できる。
なお、第一及び第二制御コイルは各磁性体に磁力を作用させる位置関係にあればよい。例えば、第一制御コイルは送風管100と搬送体経路(搬送路401)との間に配置されてもよいし、搬送体経路とは反対側の送風管の側面に添設されてもよい。第二制御コイルについても同様である。
【0077】
<第三の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、第一及び第二制御コイル903が送風管100と搬送体経路(搬送路401)との間に配置されている点で第二の実施態様と異なる。
本態様も、第二の実施態様と同様の効果を奏する。
【0078】
<第四の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、送風管100と搬送体経路(搬送路401)との間に配置されて、移動体200と搬送体500の走行状態を検知する検知コイル901を備え、該検知コイルは、移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が夫々発生させる磁束が順次該検知コイルを通過することで、移動体と搬送体との走行状態に応じた誘導電流を発生させるように構成されていることを特徴とする。
【0079】
移動体及び搬送体を検知する手段としては、透過型フォトセンサや反射型フォトセンサ等、既知の検知センサを用いることが可能である。仮に搬送システムが、搬送体経路に沿って磁性体を移動させる構成を備える場合、上記既知の検知センサは搬送システムの搬送原理を利用するものではないため、搬送システムには更に合理化できる余地が残されている。
本態様において、搬送体は移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間に作用する磁力に基づく反発により、移動体の移動に連動して移動する。従って、送風管と搬送体経路との間に検知コイルを配置すると、この検知コイルには移動体と搬送体の走行状態に応じた交番電流が発生する。本態様においては、検知コイルに流れる誘導電流の状態により、移動体と搬送体の走行状態を検知できる。移動体と搬送体の検知に、これらが有する磁性体の磁力を利用するため、搬送システムは合理的に設計される。
【0080】
<第五の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、移動体200と搬送体500の走行状態を検知する検知コイル901、及び、移動体と搬送体の走行状態を制御する第一及び第二制御コイル903a~903cを含んで構成された走行制御ユニット900と、各制御コイルを駆動制御する駆動制御手段(コイル駆動制御部813)と、を備え、検知コイルは、移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が夫々発生させる磁束が順次該検知コイルを通過したときに移動体と搬送体との走行状態に応じた誘導電流を発生させるように構成されており、第一制御コイル903a,903cは移動体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成され、第二制御コイル903bは搬送体側磁性体に対して磁力を作用させるように構成されている。
更に、本態様において、第一及び第二制御コイルは、連動する移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で検知コイルに対して移動体と搬送体の走行方向の下流側に配置されていることを特徴とする。
【0081】
本態様が備える構成であって上記各実施態様に示された構成が奏する効果は、上記各実施形態に記載した通りである。
本態様において検知コイルよりも走行方向の下流側に配置された第一及び第二制御コイルは、検知コイルが検知した移動体と搬送体の走行状態に基づいて駆動制御される。
本態様においては、第一及び第二制御コイルが連動する移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で配置されることにより、移動体と搬送体の連動する位置関係を維持したまま、双方の走行を抑制できる。従って、移動体と搬送体とを所定の位置関係で位置決めした状態で停止させることができる。
【0082】
<第六の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、第五の実施態様において、駆動制御手段(コイル駆動制御部813)は、第一制御コイル903a,903cに電力を供給して、送風管100内を流れる気流に抗して移動体側磁性体(移動体側磁石213)を第一制御コイルに吸着させて移動体200の走行を抑制するように制御すると共に、第二制御コイル903bに電力を供給して、搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を第二制御コイルに吸着させて搬送体500の走行を抑制するように制御することを特徴とする。
本態様において、移動体は移動体側磁性体が制御コイルに吸着することで停止し、搬送体は搬送体側磁性体が制御コイルに吸着することで停止する。本態様においては、気流の有無に関係なく移動体と搬送体の走行を抑止できる。
【0083】
<第七の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cは、複数の走行制御ユニット900A,900B…
を備え、複数の連動走行対250を走行させる点で第六の実施態様と異なる。なお、一の連動走行対は、一の移動体200と該移動体に連動する一の搬送体500とを含み構成される。
本態様において、駆動制御手段(コイル駆動制御部813)は、送風管100内に気流が流れている状態で、一の連動走行対の走行を一の走行制御ユニットにより抑止するときは、該一の走行制御ユニットの第一制御コイル903a,903cに電力を供給して、送風管内を流れる気流に抗して一の連動走行対の移動体側磁性体(移動体側磁石213)を第一制御コイルに吸着させて移動体の走行を抑制するように制御すると共に、一の走行制御ユニットの第二制御コイル903bに電力を供給して、一の連動走行対の搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)を第二制御コイルに吸着させて搬送体の走行を抑制するように制御することを特徴とする。
本態様によれば、複数の連動走行対を走行させる場合に気流を止めることなく、一部の連動走行対の走行を制御コイルにより抑止し、他の連動走行対を気流の方向に従って継続して走行させることができる。
【0084】
<第八の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cにおいて、制御コイル903は空芯コイルであることを特徴とする。
空芯コイルは強磁性体コアを有さないため、走行する移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が制御コイルに吸着して走行力が低下することを防止できる。従って、移動体と搬送体は、制御コイルが駆動されないときは制御コイルを通過し、制御コイルが駆動されたときに走行を抑制される。
【0085】
<第九の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cにおいて、検知コイル901は空芯コイルであることを特徴とする。
空芯コイルは強磁性体コアを有さないため、走行する移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が検知コイルに吸着して走行力が低下することを防止できる。
【0086】
<第十の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cにおいて、検知コイル901と第一及び第二制御コイル903a~903cとが空芯コイルであり、検知コイルが各制御コイルの何れかと兼用されていることを特徴とする。
【0087】
空芯コイルは強磁性体コアを有さないため、走行する移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が各コイルに吸着して走行力が低下することを防止できる。
検知コイルと制御コイルの双方を空芯コイルから構成することで、空芯コイルを検知コイルとして機能させることもできるし、制御コイルとして機能させることもできる。検知コイルを制御コイルと兼用すれば、検知コイルと制御コイルとを含んで構成される走行制御ユニット900を小型化することができ、走行制御ユニットの構成をシンプルにできる。
例えば、移動体200と搬送体500が正方向と逆方向とに往復移動する場合に、移動体と搬送体の走行方向に応じて走行方向の上流側端部に位置する空芯コイルを検知コイルとして機能させることができる。この場合に、制御コイルとして機能する空芯コイルは、移動体と搬送体の走行方向に応じて、移動体側磁性体又は搬送体側磁性体を吸着するように、その機能が切り替わる。
【0088】
<第十一の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cにおいて、第一及び第二制御コイル903a~903cは移動体200と搬送体500の走行方向に沿って、連動する移動体側磁性体(移動体側磁石213)と搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)との間隔に応じた間隔で配置されていることを特徴とする。
第一及び第二制御コイルが連動する移動体側磁性体と搬送体側磁性体との間隔に応じた間隔で配置されることにより、移動体と搬送体の連動する位置関係を維持したまま、双方の走行を抑制できる。従って、移動体と搬送体とを所定の位置関係で位置決めした状態で停止させることができる。
【0089】
<第十二の実施態様>
本態様に係る搬送システム10Cにおいて、駆動制御手段(コイル駆動制御部813)は、誘導電流により検知された移動体200と搬送体500との走行状態に基づいて、移動体側磁性体(移動体側磁石213)が第一制御コイル903a,903cに到達するタイミングに合わせて該第一制御コイルに電力を供給し、搬送体側磁性体(搬送体側磁石523)が第二制御コイル903bに到達するタイミングに合わせて該第二制御コイルに電力を供給するように制御することを特徴とする。
第一及び第二制御コイルは、検知コイルが検知した移動体と搬送体の走行状態に基づいて、移動体と搬送体が到達するタイミングに合わせて駆動制御される。
【符号の説明】
【0090】
矢印A,A1,A2…(循環方向)、矢印B,B1,B2…(紙幣回収方向)、矢印C,C1,C2…(搬送体戻し方向)、矢印x1,x2…走行方向、L,L1,L2…島設備、1…遊技機、2…台間機、10…紙幣搬送システム、10C…搬送システム、100…送風管、100a…一端部、100b…他端部、101…気流路、110…第一送風管、111…移動経路部分、120…第二送風管、200…移動体、210…分割片、211…ヒンジ部、213,213a,213b…移動体側磁石、250,250A~250D…連動走行対、300,300B,300C…送風制御ユニット、310,310a,310b…ブロア(気流発生装置)、320…切替ユニット、321…ケーシング、323…流路、323a…第一流路、323b…第二流路、323c…第三流路、323d…第四流路、325…切替弁、330…第一循環配管、330a…一端部、330b…他端部、331…排気管、333…吸気管、340…接続配管、400…搬送管、401…搬送路、402…ベース搬送路、403…紙幣搬送路、405…凹所、411…上面開口、413…凸条、450…待機部、500…搬送体、510…搬送ベース、520…分割片、520a…内部空間、520b…突条、520c…内側領域、521…ヒンジ部、523…搬送体側磁石、525…ローラ、540…紙幣回収保持部、541…支柱部材、541a…軸支部、541b…バネ、544…回収爪(回収部材)、544a…基端片、544b…中間片、544c…端部片、545…ローラ、550…搬送テーブル、600…受入ユニット、700…金庫ユニット、800…管理ユニット、801…筐体、811…主制御部、813…コイル駆動制御部、815…送風駆動制御部、900,900A,900B…走行制御ユニット、901,901a,901b…検知コイル、903,903a~903c…制御コイル、910,910A~910L…ユニット区間、911…検知区間、913…制御区間、921…位置検知センサ