(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099385
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 25/20 20060101AFI20240718BHJP
G09F 3/10 20060101ALI20240718BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B65D25/20 Q
G09F3/10 B
B65D23/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003296
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】永野 正人
(72)【発明者】
【氏名】疋田 英司
【テーマコード(参考)】
3E062
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA02
3E062DA07
(57)【要約】
【課題】容器の形状によらず貼り付け可能なラベルを備える容器を実現する。
【解決手段】容器(1)は、ラベル(20)と、筒状の首部(11)と、内容物を収容可能な本体部(12)と、天面(13a)を有するキャップ(13)と、未開封時にはキャップと一体形成されているTEバンド(14)と、を備え、ラベルは、天面に貼り付けられる第1部分(21)と、第1部分とは異なる第2部分(22)とを有し、第2部分は、TEバンドに接着されていない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを備える容器であって、
前記容器は、
開口部を有する筒状の首部と、
内容物を収容可能な本体部と、
天面を有し、前記開口部を封止するキャップと、
前記首部に位置し、未開封時には前記キャップと一体形成されているTE(Tamper Evidence)バンドと、を備え、
前記ラベルは、前記天面に貼り付けられている第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを有し、
前記第2部分は、前記天面から前記本体部に向けて垂れ下がっているが、前記TEバンドには接着されていない、容器。
【請求項2】
前記首部は、前記TEバンドよりも径方向外側に突出しているネックリング部を有し、前記第2部分の一部は、前記ネックリング部に接触しているか、または、
前記本体部は、前記首部の下端から拡径しつつ湾曲した肩部を有し、前記第2部分の、前記第1部分と隣接する端部とは反対側の端部は、前記肩部に接触している、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記第2部分の、前記首部と対向する面の少なくとも一部に接着層が設けられているか、または、前記第2部分の、前記第1部分と隣接する端部とは反対側の端部における、前記本体部と対向する面に接着層が設けられている、請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記ラベルの、前記第1部分と前記第2部分との境界に、前記ラベルの剛性を低下させる脆弱部が設けられている、請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記第1部分と前記第2部分との境界線に平行な方向における前記第1部分の幅は、前記キャップの径方向の幅よりも広い、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
前記第2部分の前記TEバンドと対向する領域は、透光性を有する、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境負荷低減を目的として、樹脂の使用量を低減したラベルの需要が高まっている。このようなラベルの一例として、特許文献1には、容器の肩部から立ち上がる態様で貼付されるラベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年では、製品ごとに異なる形状の容器が使用される例が増加している。このため、特許文献1に開示されているラベルでは、容器の肩部形状によっては、十分な接着力を得られず、ラベルの貼り付け時、輸送中、および商品陳列時にラベルが剥がれてしまう可能性があるという問題があった。
【0005】
本発明の一態様は、容器の形状によらず貼り付け可能なラベルを備える容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る容器は、ラベルを備える容器であって、前記容器は、開口部を有する筒状の首部と、内容物を収容可能な本体部と、天面を有し、前記開口部を封止するキャップと、前記首部に位置し、未開封時には前記キャップと一体形成されているTE(Tamper Evidence)バンドと、を備え、前記ラベルは、前記天面に貼り付けられている第1部分と、前記第1部分以外の第2部分とを有し、前記第2部分は、前記天面から前記本体部に向けて垂れ下がっているが、前記TEバンドには接着されていない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、容器の形状によらず貼り付け可能なラベルを備える容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1に係る容器の外観を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る容器の、ラベル周辺の側面図である。
【
図9】実施形態2に係る容器の、ラベル周辺の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」は、「A以上かつB以下」を意味する。図面には、互いに直行するX軸、Y軸、およびZ軸の座標軸を示している。この座標軸において、容器1の高さ方向をZ軸方向とし、Z軸に直行する平面において互いに直交する2方向をX軸方向およびY軸方向とする。また、各図面における各部材のサイズは、実際のサイズと一致しない。
【0010】
図1は、実施形態1に係る容器1の外観を示す斜視図である。容器1は、ラベル20を備える容器である。
図1に示すように、容器1は、首部11と、本体部12と、キャップ13と、TE(Tamper Evidence)バンド14と、を備える。
【0011】
首部11は、開口部(不図示)を有する。容器1に収容される内容物は、開口部を介して容器1に収容され、また容器1から注出される。内容物は、例えば飲料であってよい。この場合、容器1は、飲料容器である。ただし、内容物は飲料に限られず、飲料以外の液体、または粉末などであってもよい。
【0012】
本体部12は、容器1に収容される内容物を収容可能な部位である。本体部12は、首部11と一体に形成されていてよい。首部11および本体部12の材料としては、例えばPET樹脂(ポリエチレンテレフタラート樹脂)、PP樹脂(ポリプロピレン樹脂)、またはPE樹脂(ポリエチレン樹脂)が挙げられるが、これに限られない。
【0013】
本体部12は、首部11の下端から拡径しつつ湾曲した肩部12aを有する。また、肩部12aよりも下側における本体部12の側面の形状は、
図1においては円筒形である。ただし、本体部12の側面の形状は、内容物を収容できる形状であれば円筒形に限られない。
【0014】
キャップ13は、首部11が有する開口部を封止する。例えば、開口部の近傍における首部11の外面、およびキャップ13の内面にネジ溝が形成されていてよい。この場合、首部11に対してキャップ13を回転させることで、開口部を封止または開封できる。ただし、キャップ13の構成はこれに限定されず、ヒンジによって首部11に接続されて開口部を開閉可能な構成でも良い。
【0015】
TEバンド14は、容器1が開封されたことがあるか否かを示すための環状の部材である。TEバンド14は、首部11に位置する。TEバンド14は、未開封時にはキャップ13と一体形成されている。容器1が開封されると、TEバンド14はキャップ13から脱離して首部11に残る。したがって、TEバンド14がキャップ13と一体であるか否かによって、容器1が開封されたことがあるか否かを判別できる。
【0016】
また、TEバンド14には、内容物についての情報が表示されていてよい。例えば内容物が飲料である場合、当該飲料の賞味期限がTEバンド14に印字されていてよい。この場合、内容物を容器1に充填した後に、賞味期限がTEバンド14に印字されてよい。TEバンド14への情報の印字は、インクジェットプリントによるものであってもよく、レーザーによるものであってもよい。
【0017】
図2は、容器1の、ラベル20周辺の側面図である。
図2に示すように、キャップ13は、天面13aを有する。また、首部11は、TEバンド14の下側に、径方向外側に突出しているネックリング部11aを有する。
【0018】
ラベル20は、第1部分21と、第2部分22とを有する。第1部分21は、ラベル20のうち、天面13aに貼り付けられている部分である。第2部分22は、ラベル20のうち、第1部分21とは異なる部分であり、
図2に示すように、天面13aから本体部12に向けて垂れ下がっている表示部である。第1部分21と第2部分22との境界は、ラベル20を折り曲げたことによって生じる折り曲げ線(
図1に示す境界線BL)であってもよいし、第1部分21と第2部分22との境界に後述する脆弱部23が形成されていることによって、第1部分21と第2部分22とが区切られていてもよい。
【0019】
ラベル20においては、容器1に収容されている内容物の情報が、第2部分22に表示されていてよい。この場合、第2部分22が天面13aから本体部12に向けて垂れ下がっていることで、容器1が消費者の目線に近い高さに配置されていても、ラベル20に表示されている情報を視認しやすくなる。
【0020】
ラベル20においては、容器1に収容されている内容物の情報が、第1部分21にも表示されていてよい。この場合、第2部分22のみに情報を表示する場合と比較して、多くの情報をラベル20に表示できる。
【0021】
図1に示すように、第1部分21と第2部分22との境界線BLに平行な方向における第1部分21の幅は、キャップ13の径方向の幅よりも大きくてよい。これにより、キャップ13の幅に制限されることなく、必要な情報を表示することが可能なサイズにラベル20を形成できる。
【0022】
ラベル20は、天面13aの半分以上の領域に貼り付けられていてもよい。この場合、ラベル20を天面13aに対して強固に貼り付けることができる。また、ラベル20は、天面13aの全体に貼り付けられていてもよい。
【0023】
図3は、ラベル20の平面図である。
図3に示すように、ラベル20には、第1部分21と第2部分22との境界に、脆弱部23が設けられている。脆弱部23は、ラベル20の剛性を低下させる部位である。脆弱部23によりラベル20の剛性が低下することで、上述したように第2部分22が垂れ下がりやすくなり、第2部分22に表示された情報の視認性が向上する。
【0024】
図4は、
図3におけるIV-IV線断面図である。
図4においては、ラベル20が天面13aに貼り付けられた状態におけるキャップ13の位置も併せて示している。
図4では、ラベル20の層構造を分かり易く示すために、ラベル20の厚さをキャップ13の大きさに対して極端に大きくしている。
図4に示すように、ラベル20は、下地粘着層241(接着層)、下地基材242、上層粘着層243、上層基材244、印刷層245、および保護ニス246がこの順で積層された構成を有する。
【0025】
下地基材242は、第1部分21および第2部分22を一体とするための基材の層である。下地基材242の材料としては、例えばPET樹脂、OPP樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはポリエチレン樹脂などが挙げられる。下地基材242の厚さは、10μm~50μmであってよく、例えば20μmであってよい。ただし、下地基材242の材料および厚さは、これらに限られない。
【0026】
下地粘着層241は、ラベル20を天面13aなどに貼り付けるための接着剤の層である。本開示において、粘着という概念は接着という概念に含まれるものとする。下地粘着層241を形成する接着剤は、例えばアクリル酸エステル系樹脂またはウレタン系樹脂を用いた粘着剤であってよいが、これらに限られない。
【0027】
上層基材244は、第1部分21および第2部分22を補強する層である。上層基材244の材料としては、例えば紙または発泡フィルムなどが挙げられる。上層基材244の厚さは、好ましくは30~150μm、さらに好ましくは50~80μmであってよい。ただし、上層基材244の材料および厚さは、これらに限られない。
【0028】
上層粘着層243は、上層基材244を下地基材242に接着するための接着剤の層である。上層粘着層243を形成する接着剤は、ホットメルトまたはUV(Ultra Violet)接着インキなどであってよいが、これらに限られない。
【0029】
印刷層245は、上層基材244上に情報が印刷された印刷層である。印刷層245は、例えばUV硬化型インキであってよいがこれに限られない。保護ニス246は、印刷層245を保護するニスの層である。
【0030】
ラベル20には、キャンペーンについての情報(キャンペーン情報)が表示されてもよい。キャンペーン情報の例として、当たり/はずれ、QRコード(登録商標)、または応募券などが挙げられる。キャンペーン情報は、容器1が店舗等で陳列されている状態、すなわち容器1により販売される商品の購入前の状態では外部から視認できないように表示されることが好ましい。
【0031】
ラベル20は、例えば、上層基材244の一部または全体を下地基材242から剥離させることでキャンペーン情報を確認できるように構成されていてもよい。この場合、キャンペーン情報は、第1部分21および第2部分22のいずれに表示されていてもよい。
【0032】
また、キャンペーン情報は、第1部分21および第2部分22の両方に跨って表示されていてもよい。この場合、当該キャンペーン情報は、ラベル20が天面13aに貼り付けられた状態では屈曲した状態となる。このため、店舗等で陳列されている容器1のラベル20において、上層基材244の一部または全体を下地基材242から剥がされた場合であっても、キャンペーン情報を読み取ることが困難になる。
【0033】
ラベル20において、キャンペーン情報の少なくとも一部は、上層基材244の一部または全体を下地基材242から剥離させない状態でも視認可能に表示されていてもよい。この場合、キャンペーン情報の位置を消費者が把握しやすくなる。
【0034】
また、キャップ13または本体部12にキャンペーン情報を表示し、当該キャンペーン情報の少なくとも一部をラベル20により被覆してもよい。この場合、ラベル20において、下地基材242または上層基材244の一方または両方が不透明であってよい。または、印刷層245の印字箇所がキャンペーン情報に重畳していてもよい。この場合、店舗等で陳列されている容器1からはキャンペーン情報を読み取ることが困難になり、かつ、容器1により販売される商品を購入して初めてキャンペーン情報を読み取ることができるようになる。
【0035】
ラベル20において、脆弱部23は、下地粘着層241および下地基材242のみを有し、上層粘着層243、上層基材244、印刷層245、および保護ニス246を有しない領域である。このため、脆弱部23は、第1部分21および第2部分22と比較して薄く、脆弱である。その結果、脆弱部23においてラベル20が曲がり、第2部分22が垂れ下がりやすくなる。
【0036】
上述したとおり、TEバンド14には、内容物についての情報が表示されていてよい。第2部分22がTEバンド14に接着されている場合、容器1の輸送の過程等において第2部分22がTEバンド14から剥がれることで、TEバンド14に表示された情報が消える、またはかすれるといった事象が生じる可能性がある。
【0037】
容器1において、第2部分22は、TEバンド14に接着されていない。したがって、上述した、TEバンド14に表示された情報が消える、またはかすれるといった事象の発生を抑制し、当該情報の視認性の低下を低減できる。
【0038】
また、TEバンド14に情報がレーザーにより印字されている場合には、情報が消える、またはかすれるといった事象は通常は発生しない。ただし、その場合であっても、当該情報が印字された箇所に第2部分22が貼り付く、または第2部分22を剥がしたときにTEバンド14に糊が残ることで、情報の視認性が低下する場合がある。情報の視認性の、このような低下についても、容器1において第2部分22がTEバンド14に接着されていないことで低減できる。
【0039】
具体的には、
図2に示したように、容器1においては、ネックリング部11aは、TEバンド14よりも径方向外側に突出している。第2部分22の一部は、ネックリング部11aに接触している。このため、第2部分22とTEバンド14との間に隙間が生じている。したがって、容器1において、第2部分22は、TEバンド14に接着されていない。
【0040】
また、上述したとおり、第2部分22は、下地粘着層241を有する。
図4においては、下地粘着層241は、第2部分22の、首部11と対向する面の全体に設けられている。しかし、下地粘着層241は、第2部分22の、首部11と対向する面の少なくとも一部に設けられていればよい。具体的には、下地粘着層241は、第2部分22の、ネックリング部11aと接触する位置に設けられていればよい。
【0041】
これにより、容器1においては、第2部分22は、下地粘着層241によりネックリング部11aに接着されるか、または擬似的に接着される。ここでいう「擬似的に接着される」とは、接着された状態から剥離させた後の剥離面における接着性・粘着性が非常に低く、再接着不可な状態であることを意味する。したがって、容器1の輸送過程における第2部分22の揺動が低減され、ラベル20が天面13aから脱離しにくくなる。
【0042】
容器1においては、必ずしもネックリング部11aがTEバンド14よりも径方向外側に突出していなくてもよい。この場合、下地粘着層241の、TEバンド14と対向する領域に、下地粘着層241が設けられないか、または下地粘着層241の接着力を低下させる糊抑え加工が施されていればよい。これにより、第2部分22がTEバンド14に接触した場合であっても、第2部分22はTEバンド14に接着されない。
【0043】
脆弱部23は上記の例に限られない。例えば脆弱部23は、第1部分21と第2部分22との境界に設けられたミシン目であってもよい。この場合、ミシン目が形成されることで、脆弱部23においてラベル20の強度が低下し、第2部分22が第1部分21に対して急峻に垂れ下がる。
【0044】
この場合、ミシン目は、第1部分21と第2部分22との境界に垂直な方向に複数設けられていてよく、例えば3本設けられていてよい。ミシン目を複数設けることで、脆弱部23においてラベル20の強度をさらに低下させ、第2部分22を急峻に垂れ下がらせることができる。
【0045】
また、ミシン目を複数設けることで、脆弱部23が、それらの複数のミシン目が存在する、幅のある領域となる。このため、天面13aに対するラベル20の貼り付け位置にズレが生じ、脆弱部23の一部の領域が天面13a上に貼り付けられた場合であっても、脆弱部23の他の領域に位置するミシン目で第2部分22を垂れ下がらせることができる。
【0046】
また、
図3に示した例では、第1部分21と第2部分22との境界に沿う方向における脆弱部23の幅は、第1部分21および第2部分22の幅と同じである。しかし、ラベル20において、脆弱部23の幅は第1部分21および第2部分22の幅よりも細くてもよい。
【0047】
さらに、脆弱部23は、上述した、(i)上層基材244等を有しない構成、(ii)ミシン目が設けられている構成、および(iii)第1部分21および第2部分22の幅よりも細い構成、のうち2以上の組み合わせを備えていてもよい。例えば、脆弱部23の幅を第1部分21および第2部分22の幅よりも細く形成した上で、さらに脆弱部23を上層粘着層243、上層基材244、印刷層245、および保護ニス246を有しない領域としてもよい。
【0048】
以上のとおり、容器1においては、キャップ13の天面13aにラベル20が貼り付けられる。したがって、本体部12、特に肩部12aの形状によらずラベル20を貼り付け可能である。
【0049】
また、一般的な容器においては、ラベルを除去したときに、当該ラベルの貼り付け位置に接着剤が残る、いわゆる糊残りが生じる場合がある。容器1においては、第2部分22がTEバンド14に接着されないため、TEバンド14に糊残りが発生しない。TEバンド14には、キャップ13の開封時にユーザの手などが触れる、または内容物を飲む時にユーザの唇または顎などが触れる場合がある。TEバンド14に糊残りが発生しないことで、TEバンド14にユーザの手、唇または顎等が触れた場合に、糊残りに起因するべたつきをユーザが感じることがなくなる。
【0050】
また、糊残りが多いと、本体部12のリサイクル工程において不良品が発生しやすくなる。また、ラベルが容器に接着されている場合、当該ラベルを除去したときに、ラベルの一部が容器に残る場合もある。このようなラベルがリサイクル工程に混入した場合にも、不良品が発生しやすくなる。容器1において、第2部分22とネックリング部11aとの接触面積は、肩部12aに貼り付けられるような従来のラベルと比較して小さい。このため、ラベル20を除去したときにネックリング部11aに糊残りが発生しにくい。したがって、リサイクル工程において不良品が発生しにくくなる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任つかう責任」等の達成にも貢献するものである。
【0051】
(変形例1)
図5は、ラベル20の第1の変形例に係るラベル20Aの断面図である。
図5においても、
図4と同様、ラベル20が天面13aに貼り付けられた状態におけるキャップ13の位置を併せて示している。ラベル20Aは、平面視においてはラベル20と同様の形状を有する。
図5は、
図3に示したラベル20の平面図におけるIV-IV線の位置と同じ位置におけるラベル20Aの断面図である。
【0052】
図5に示すように、ラベル20Aは、脆弱部23だけでなく、第1部分21においても上層粘着層243、上層基材244、印刷層245、および保護ニス246を有しない。ラベル20Aにおいては、天面13aの直上が、第1部分21と脆弱部23との境界となる。
【0053】
ラベル20Aは、天面13aに情報が表示されているキャップ13と組み合わせることができる。ラベル20Aにおいては、下地基材242を透明な材料で形成することで、天面13aに表示されている情報を、ラベル20Aを外すことなく視認できる。
【0054】
(変形例2)
図6は、ラベル20の第2の変形例に係るラベル20Bの断面図である。
図6においても、
図4などと同様、ラベル20が天面13aに貼り付けられた状態におけるキャップ13の位置を併せて示している。ラベル20Bは、平面視においてはラベル20と同様の形状を有する。
図6は、
図3に示したラベル20の平面図におけるIV-IV線の位置と同じ位置におけるラベル20Bの断面図である。
図6に示すように、ラベル20Bは、ラベル20とは異なり、下地粘着層251、下地基材252、上層粘着層253、上層基材254、印刷層255、および保護ニス256がこの順で積層された構成を有する。
【0055】
下地粘着層251は、第2部分22をネックリング部11aに接着する接着剤の層である。下地粘着層251を形成する接着剤は、上述した下地粘着層241を形成する接着剤と同じであってよい。下地基材252は、第2部分22を補強する層である。下地基材252の材料は、上述した上層基材244の材料と同じであってよい。下地粘着層251および下地基材252は、第2部分22のみに設けられていればよい。
【0056】
上層基材254は、第1部分21および第2部分22を一体とするための基材の層である。上層基材254の材料は、上述した下地基材242の材料と同じであってよい。
【0057】
上層粘着層253は、第1部分21において上層基材254を天面13aに貼り付ける粘着剤の層である。また、上層粘着層253は、第2部分22において上層基材254に下地基材252を貼り付ける接着剤の層である。上層粘着層253を形成する接着剤は、上述した、下地粘着層241を形成する接着剤と同じであってよい。
【0058】
印刷層255および保護ニス256は、上述した印刷層245および保護ニス246と同じであるため、説明を省略する。また、ラベル20Bにおける脆弱部23は、下地粘着層251、下地基材252、および上層粘着層253を有しない部位である。
【0059】
ラベル20Bは、ラベル20Aと同様、天面13aに情報が表示されているキャップ13と組み合わせることができる。ラベル20Bにおいては、上層基材254を透明な材料で形成することで、天面13aに表示されている情報を、ラベル20Bを外すことなく視認できる。
【0060】
(変形例3)
図7は、ラベル20の第3の変形例に係るラベル20Cの平面図である。ラベル20Cは、透光部26を備える点でラベル20などと相違する。ラベル20Cにおいては、透光部26、およびその両側の部分は、いずれも第2部分22である。
【0061】
透光部26は、透光性を有する領域である。すなわち、ラベル20Cにおいて、第2部分22の、TEバンド14と対向する領域は、透光性を有する。透光部26は、第1部分21が天面13aに貼り付けられて第2部分22が垂れ下がった状態において、第2部分22の、TEバンド14と対向する位置を含んでいてよい。これにより、TEバンド14に表示されている情報を、ラベル20を外すことなく視認可能となる。
【0062】
例えば、ラベル20Cは、透光部26以外の部分について、ラベル20と同じ構成を有していてよい。また、ラベル20Cにおいて、下地基材242は透光性を有する材料で形成されていてよい。また、透光部26は、上層粘着層243、上層基材244、印刷層245、および保護ニス246を有しない領域であってよい。これにより、ユーザは、TEバンド14に表示されている情報を、下地基材242を通して視認できる。
【0063】
透光部26の透光性は、TEバンド14に表示されている情報を判別可能な程度であればよい。具体的には、透光部26の透光性は、例えば窓付き封筒の窓に用いられる、半透明の紙程度の透明度であってよい。
【0064】
(変形例4)
図8は、ラベル20の第4の変形例に係るラベル20D,20Eの平面図である。上述した容器1において、第2部分22は天面13aから1方向にのみ垂れ下がっていた。しかし、第2部分22は天面13aから2以上の方向に垂れ下がっていてもよい。
【0065】
ラベル20Dにおいては、第1部分21に対して2方向に第2部分22が存在する。このため、ラベル20Dを天面13aに貼り付けた場合、第2部分22は天面13aから2方向に垂れ下がる。ラベル20Eにおいては、第1部分21に対して4方向に第2部分22が存在する。このため、ラベル20Eを天面13aに貼り付けた場合、第2部分22は天面13aから4方向に垂れ下がる。このように、第2部分22を複数とすることで、第2部分22が単一である場合と比較して、より多くの情報をラベル20に表示できる。
【0066】
(実施形態1のまとめ)
実施形態1に係る容器は、ラベルを備える容器であって、前記容器は、開口部を有する筒状の首部と、内容物を収容可能な本体部と、天面を有し、前記開口部を封止するキャップと、前記首部に位置し、未開封時には前記キャップと一体形成されているTE(Tamper Evidence)バンドと、を備え、前記ラベルは、前記天面に貼り付けられている第1部分と、前記第1部分とは異なる第2部分とを有し、前記第2部分は、前記天面から前記本体部に向けて垂れ下がっているが、前記TEバンドには接着されていない。
【0067】
また、実施形態1に係る容器において、前記首部は、前記TEバンドよりも径方向外側に突出しているネックリング部を有し、前記第2部分の一部は、前記ネックリング部に接触していてよい。
【0068】
また、実施形態1に係る容器において、前記第2部分の、前記首部と対向する面の少なくとも一部に接着層が設けられていてよい。
【0069】
また、実施形態1に係る容器において、前記ラベルの、前記第1部分と前記第2部分との境界に、前記ラベルの剛性を低下させる脆弱部が設けられていてよい。
【0070】
また、実施形態1に係る容器において、前記第1部分と前記第2部分との境界線に平行な方向における前記第1部分の幅は、前記キャップの径方向の幅よりも広くてよい。
【0071】
また、実施形態1に係る容器において、前記第2部分の前記TEバンドと対向する領域は、透光性を有していてよい。
【0072】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る容器2について以下に説明する。容器2は、ラベル20の代わりにラベル30を備える点で容器1と相違する。
【0073】
図9は、容器2の、ラベル30周辺の側面図である。
図9に示すように、ラベル30は、第1部分31と第2部分32とを有する。第1部分31はラベル20における第1部分21と同じであるため説明を省略する。
【0074】
第2部分32の材質および機能は、ラベル20における第2部分22と同じである。ただし、第1部分31と第2部分32との境界線に垂直な方向における第2部分32のサイズは、ラベル20における第1部分21と第2部分22との境界線に垂直な方向における第2部分22のサイズよりも大きい。このため、第2部分32の、第1部分31と隣接する端部32aとは反対側の端部32bは、本体部12の肩部12aに接触している。
【0075】
容器2は、首部11がネックリング部11aの代わりにネックリング部11bを有する点においても容器1と相違する。ネックリング部11bの径方向の長さは、TEバンド14の径方向の長さと同程度である点でネックリング部11aと相違する。このため、仮にネックリング部11bに第2部分32を接着した場合、ネックリング部11bに隣接するTEバンド14にも第2部分32が接着され、TEバンド14に表示された情報の視認性が低下する可能性がある。
【0076】
ラベル30においては、第2部分32の下端が肩部12aに接触することで、第2部分32が撓み、第2部分32とTEバンド14との間に隙間が生じている。これにより、第2部分32は、TEバンド14に接着されていない。したがって、TEバンド14に表示された情報が消える、またはかすれるといった事象の発生を抑制し、当該情報の視認性の低下を低減できる。また、第2部分32の面積はラベル20における第2部分22の面積よりも大きいため、より多くの情報を表示できる。
【0077】
また、容器2においては、第2部分32の、第1部分31と隣接する端部32aとは反対側の端部32bにおける、本体部12と対向する面に接着層32cが設けられていてよい。接着層32cは、端部32bのみに設けられていてもよく、
図4における下地粘着層241のように第2部分32の全体に設けられていてもよい。
【0078】
この場合、第2部分32の端部は、肩部12aに接着された状態となる。これにより、容器2の輸送過程における第2部分32の揺動が低減される。第2部分32の揺動を低減するために必要な接着力は、ラベル30が脱落しないように固定するために必要な接着力と比較して小さい。このため、肩部12aに凹凸またはエンボス加工などが存在していても、第2部分32の上記の位置に設けられた接着層によって、第2部分32の揺動を低減するために必要な接着力を得ることができる。
【0079】
(実施形態2のまとめ)
実施形態2に係る容器において、前記本体部は、前記首部の下端から拡径しつつ湾曲した肩部を有し、前記第2部分の、前記第1部分と隣接する端部とは反対側の端部は、前記肩部に接触している。
【0080】
また、実施形態2に係る容器において、前記第2部分の、前記第1部分と隣接する端部とは反対側の端部における、前記本体部と対向する面に接着層が設けられていてよい。
【符号の説明】
【0081】
1、2 容器
11 首部
11a、11b ネックリング部
12 本体部
12a 肩部
13 キャップ
13a 天面
14 TEバンド
20、20A、20B、20C、30 ラベル
21、31 第1部分
22、32 第2部分
23 脆弱部