(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099389
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/12 20060101AFI20240718BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B60C11/12 C
B60C11/03 C
B60C11/03 300B
B60C11/03 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003304
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】野口 能寿
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB06
3D131BB12
3D131BC12
3D131BC14
3D131BC15
3D131BC17
3D131EA08U
3D131EB03U
3D131EB07V
3D131EB07X
3D131EB11X
3D131EB23X
3D131EB58U
3D131EB63U
3D131EB64U
3D131EB68U
3D131EB86V
3D131EB86X
3D131EB87V
3D131EB87X
3D131EB91V
3D131EB94V
3D131EC12V
3D131EC12X
3D131EC15V
3D131EC15X
(57)【要約】
【課題】舗装路及び不整地での走行に適したタイヤを提供する。
【解決手段】トレッド部2は、タイヤ赤道Cを横切り、かつ、V字状に折れ曲がる複数の横溝21と、複数の横溝21によって区分された複数の陸部22とを含む。複数の陸部22のそれぞれは、複数の縦溝23により、タイヤ赤道C上に位置するクラウンブロック24と、クラウンブロック24のタイヤ軸方向外側に位置する一対のショルダーブロック25とを含むように区分される。クラウンブロック24は、第1クラウンブロック31を含む。第1クラウンブロック31には、タイヤ赤道C上に配され、かつ、第1クラウンブロック31をタイヤ周方向に完全に横切る第1サイプ41が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ赤道を横切り、かつ、V字状に折れ曲がる複数の横溝と、前記複数の横溝によって区分された複数の陸部とを含み、
前記複数の陸部のそれぞれは、複数の縦溝により、タイヤ赤道上に位置するクラウンブロックと、前記クラウンブロックのタイヤ軸方向外側に位置する一対のショルダーブロックとを含むように区分されており、
前記クラウンブロックは、第1クラウンブロックを含み、
前記第1クラウンブロックには、タイヤ赤道上に配され、かつ、前記第1クラウンブロックをタイヤ周方向に完全に横切る第1サイプが形成されている、
タイヤ。
【請求項2】
前記縦溝の幅は、前記第1サイプの幅よりも大きく、前記横溝の幅よりも小さい、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記クラウンブロックは、第2クラウンブロックを含み、
前記第2クラウンブロックには、タイヤ赤道の両側をのびる一対の第2サイプが形成されている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記複数の横溝は、タイヤ軸方向で一方のトレッド接地端から他方のトレッド接地端にわたってのびている、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記複数の横溝は、タイヤ赤道上で折れ曲がる、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記第1サイプの深さは、前記横溝の深さの30~70%である、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記第1クラウンブロック、前記第2クラウンブロック及び前記ショルダーブロックにおいて、最小のランド面積Fminは、最大のランド面積Fmaxの40~80%である、請求項3に記載のタイヤ。
【請求項8】
前記横溝の幅は、トレッド展開幅の5~15%であり、前記縦溝の幅は、前記トレッド展開幅の2~5%である、請求項2に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記複数の横溝は、タイヤ軸方向の外側に向かって、第1方向に傾斜する第1部と、前記第1方向とは逆の第2方向に傾斜する第2部とを含む、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記複数の陸部は、前記第2部の溝縁に面取り部を含む、請求項9に記載のタイヤ。
【請求項11】
タイヤ周方向に隣り合う前記第2部は、タイヤ軸方向にずれて配置されている、請求項9に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥濘地での走行に適したタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、トレッド部にV字状に折れ曲がる複数の横溝が形成されたタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたタイヤは、粘度の高い泥濘地等の本格的な不整地での走行に適していない。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、舗装路及び不整地での走行に適したタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ赤道を横切り、かつ、V字状に折れ曲がる複数の横溝と、前記複数の横溝によって区分された複数の陸部とを含み、
前記複数の陸部のそれぞれは、複数の縦溝により、タイヤ赤道上に位置するクラウンブロックと、前記クラウンブロックのタイヤ軸方向外側に位置する一対のショルダーブロックとを含むように区分されており、
前記クラウンブロックは、第1クラウンブロックを含み、
前記第1クラウンブロックには、タイヤ赤道上に配され、かつ、前記第1クラウンブロックをタイヤ周方向に完全に横切る第1サイプが形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の前記タイヤは、上記の構成を採用したことによって、不整地での走行性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のタイヤの一実施形態を示すタイヤの断面図である。
【
図3】
図2の第1クラウンブロックの拡大図である。
【
図4】
図2の第2クラウンブロックの拡大図である。
【
図6】
図3の面取り部を含む第1クラウンブロック、第2クラウンブロックの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ1の正規状態におけるタイヤ回転軸(図示省略)を含む子午断面図(後述する
図2におけるA-A線断面図)である。
【0010】
前記「正規状態」とは、タイヤ1を正規リム(図示省略)にリム組みし、かつ、正規内圧を充填した無負荷の状態である。以下、特に言及されない場合、タイヤの各部の寸法等はこの正規状態で測定された値である。
【0011】
「正規リム」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めているリムであり、例えばJATMAであれば "標準リム" 、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0012】
「正規内圧」は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば "最高空気圧" 、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。タイヤが乗用車用である場合、正規内圧は、例えば、180kPaである。
【0013】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2を有する。
【0014】
本実施形態のトレッド部2は、前記断面において、その外面がタイヤ半径方向外側に凸の円弧状に湾曲している。これにより、本実施形態のタイヤ1は、自動二輪車に用いて好適であるが、本発明はそのような用途に限られない。本発明は、例えば、乗用車用タイヤまたは重荷重用タイヤにも適用可能である。
【0015】
図2は、本実施形態のタイヤ1のトレッド部2の展開図である。トレッド部2は、複数の横溝21と、複数の横溝21によって区分された複数の陸部22とを含んでいる。
【0016】
横溝21の幅W21は、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されたとき、横溝21が閉塞しない値に設定されている。横溝21によって、タイヤ1の主溝が構成される。
【0017】
それぞれの横溝21は、タイヤ赤道Cを横切り、V字状に折れ曲がっている。これにより、タイヤ1のトレッド部2は、タイヤ回転方向Rが指定された方向性パターンを具える。
【0018】
トレッド部2に複数の横溝21が形成されていることにより、陸部22の横溝21に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0019】
複数の陸部22のそれぞれには、複数の縦溝23が形成されている。縦溝23は、陸部22を横切ってタイヤ周方向に隣り合う横溝21をつないでいる。縦溝23は、タイヤ赤道Cの両側に設けられている。これにより、陸部22は、クラウンブロック24と、一対のショルダーブロック25とに区分される。
【0020】
クラウンブロック24と、ショルダーブロック25とは、縦溝23を挟んで配されている。クラウンブロック24は、タイヤ赤道C上に位置している。一対のショルダーブロック25は、クラウンブロック24のタイヤ軸方向外側に位置している。
【0021】
縦溝23の幅W23は、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されたとき、縦溝23が閉塞しない値に設定されている。縦溝23によって、タイヤ1の副溝が構成される。
【0022】
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば"最大負荷能力"、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "LOAD CAPACITY"である。タイヤが乗用車用の場合、正規荷重は、例えば、荷重の88%に相当する荷重である。
【0023】
陸部22に複数の縦溝23が形成されていることにより、クラウンブロック24と、ショルダーブロック25の縦溝23に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのスライドコントロール性能が高められる。
【0024】
クラウンブロック24は、第1クラウンブロック31と第2クラウンブロック32とを含んでいる。
【0025】
図3は、第1クラウンブロック31を示している。複数の第1クラウンブロック31のそれぞれには、第1サイプ41が形成されている。第1サイプ41は、タイヤ赤道C上に配されている。第1サイプ41は、第1クラウンブロック31をタイヤ周方向に完全に横切っている。すなわち、第1サイプ41は、第1クラウンブロック31をタイヤ周方向に貫通している。これにより、第1クラウンブロック31は、タイヤ軸方向の一方側の領域311と他方側の領域312とに区分される。
【0026】
第1サイプ41の幅W41は(
図2参照)、正規状態のタイヤ1に正規荷重が負荷されたとき、第1サイプ41が閉塞する値に設定されている(以下、第2サイプ42、横サイプ43、44、45についても同様である)。第1サイプ41が閉塞することにより、タイヤ軸方向に隣り合う第1クラウンブロック31の領域311と領域312とが互いに支え合う。これにより、第1クラウンブロック31に横力が生じたときに、第1クラウンブロック31のタイヤ軸方向への倒れ込みが抑制される。
【0027】
上記観点から、望ましい第1サイプ41の幅W41は、1.5mm以下である。
【0028】
第1クラウンブロック31のタイヤ赤道C上に、正規荷重の負荷によっても閉塞しない縦溝が形成される形態では、タイヤ赤道C付近で第1クラウンブロック31のタイヤ軸方向の剛性が局所的に不足し、舗装路における直進状態からコーナリング状態に移行する過渡特性に影響を及ぼすおそれがある。
【0029】
しかしながら、本実施形態では、第1クラウンブロック31のタイヤ赤道C上に、正規荷重の負荷によって閉塞する第1サイプ41が形成されているので、タイヤ赤道C付近での第1クラウンブロック31のタイヤ軸方向の剛性不足が抑制される。また、第1サイプ41によって第1クラウンブロック31のタイヤ赤道C上からショルダーブロック25に至る陸部22のタイヤ軸方向の剛性変化が穏やかとなり、舗装路における直進状態からコーナリング状態に移行する過渡特性が良好となる。
【0030】
また、第1サイプ41が形成されていることにより、第1クラウンブロック31の領域311と領域312の第1サイプ41に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのスライドコントロール性能が高められる。
【0031】
図2に示される縦溝23の幅W23は、第1サイプ41の幅W41よりも大きく、横溝21の幅W21よりも小さい、のが望ましい。これにより、タイヤ赤道C上からショルダーブロック25に至る陸部22の剛性変化が穏やかとなり、直進状態からコーナリング状態に移行する過渡特性が良好となる。また、不整地走行時に横溝21に詰まった泥が排出されやすくなり、走行性能が向上する。
【0032】
図4は、第2クラウンブロック32を示している。第2クラウンブロック32には、タイヤ赤道の両側をのびる一対の第2サイプ42が形成されている。複数の第2サイプ42のそれぞれは、第2クラウンブロック32をタイヤ周方向に完全に横切っている。すなわち、第2サイプ42は、第2クラウンブロック32をタイヤ周方向に貫通している。これにより、第2クラウンブロック32は、一対の第2サイプ42に挟まれた領域321と一対の第2サイプ42のタイヤ軸方向外側の領域322、323とに区分される。第2サイプ42によって第2クラウンブロック32のタイヤ軸方向の剛性変化が穏やかとなり、コーナリングの初期状態から中期状態に移行する過渡特性が良好となる。
【0033】
第1クラウンブロック31と第2クラウンブロック32とは、タイヤ周方向に交互に配列されている。これにより、舗装路における直進状態からコーナリング状態に移行する過渡特性が良好となる。
【0034】
第2クラウンブロック32の踏面の面積は、第1クラウンブロック31の踏面の面積よりも大きいのが望ましい。これにより、第1クラウンブロック31の領域311、領域312及び第2クラウンブロック32の領域321、領域322、323の剛性が均一化され、舗装路における過渡特性が良好となる。
【0035】
図2に示されるように、複数の横溝21は、タイヤ軸方向で一方のトレッド接地端TE1から他方のトレッド接地端TE2にわたってのびている、のが望ましい。
【0036】
タイヤ1が自動二輪車用タイヤである場合、トレッド接地端TE1、TE2は、トレッド部2のタイヤ軸方向の両端に相当し、例えば、最大キャンバー角付近での旋回時にはこれらが接地し得る。
【0037】
上記複数の横溝21のそれぞれは、トレッド部2をタイヤ軸方向に完全に横切るように形成されている。すなわち、複数の横溝21のそれぞれは、トレッド部2をタイヤ軸方向に貫通している。これにより、タイヤ1のトラクション性能が向上する。また、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。
【0038】
複数の横溝21のそれぞれは、タイヤ赤道C上で折れ曲がる、のが望ましい。このような構成によって不整地走行時に横溝21に詰まった泥が排出されやすくなり、走行性能が向上する。また、陸部22の横溝21に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0039】
第1サイプ41の深さは、横溝21の深さの30~70%が望ましい。第1サイプ41の深さが横溝21の深さの30%以上であることにより、第1クラウンブロック31の第1サイプ41に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのスライドコントロール性能が高められる。第1サイプ41の深さが横溝21の深さの70%以下であることにより、陸部22の横溝21に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0040】
第1クラウンブロック31、第2クラウンブロック32及びショルダーブロック25において、最小のランド面積Fminは、最大のランド面積Fmaxの40~80%である、のが望ましい。このような構成によれば、各ブロックの剛性が均一化され、舗装路における過渡特性が良好となる。
【0041】
横溝21の幅W21は、トレッド展開幅TWの5~15%である、のが望ましい。トレッド展開幅TWは、トレッド部2を平面に展開したときのトレッド接地端TE1、TE2間のタイヤ軸方向の距離である。
【0042】
横溝21の幅W21がトレッド展開幅TWの5%以上であることにより、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。横溝21の幅W21がトレッド展開幅TWの15%以下であることにより、陸部22のタイヤ周方向の剛性が十分に確保され、舗装路面での走行性能が容易に向上する。
【0043】
上記観点から、望ましい横溝21の幅W21は、4~12mmである。
【0044】
縦溝23の幅W23は、トレッド展開幅TWの2~5%である、のが望ましい。縦溝23の幅W23がトレッド展開幅TWの2%以上であることにより、不整地走行時に縦溝23に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。縦溝23の幅W23がトレッド展開幅TWの5%以下であることにより、陸部22のタイヤ周方向の剛性が十分に確保され、舗装路面での走行性能が容易に向上する。
【0045】
上記観点から、望ましい縦溝23の幅W23は、2~4mmである。
【0046】
図2に示されるように、複数の横溝21は、タイヤ軸方向に内側に向かって、タイヤ回転方向Rである第1方向に傾斜する第1部211と、第1方向とは逆の第2方向に傾斜する第2部212とを含む、のが望ましい。このような構成により、横溝21は、タイヤ軸方向にジグザグ状にのびる形態となる。陸部22の横溝21に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0047】
トレッド接地端TE1の側において、縦溝23及び第2サイプ42は、横溝21の第1部211と同じ方向に傾斜しているのが望ましい。同様に、トレッド接地端TE2の側において、縦溝23及び第2サイプ42は、横溝21の第1部211と同じ方向に傾斜している。これにより、不整地走行時に縦溝23に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。
【0048】
図3、4に示されるように、複数の陸部22には、第2部212の溝縁に面取り部51が形成されているのが望ましい。本実施形態の面取り部51は、第1クラウンブロック31と第2クラウンブロック32とが対向する位置及び第2クラウンブロック32とショルダーブロック25とが対向する位置に配されている。面取り部51によって、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。また、陸部22の第2部212に面するエッジでの応力が緩和され、耐摩耗性能が向上する。
【0049】
図6は、面取り部51を含む第1クラウンブロック31、第2クラウンブロック32の断面を示している。第1クラウンブロック31及び第2クラウンブロック32の踏面に対する面取り部51の角度θは、30゜~60゜が望ましい。
【0050】
面取り部51の角度θが30゜以上であることにより、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。面取り部51の角度θが60゜以下であることにより、第1クラウンブロック31及び第2クラウンブロック32の第2部212に面するエッジでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0051】
面取り部51の深さD2は、第2部212の深さD1の10~40%が望ましい。面取り部51の深さD2が第2部212の深さD1の10%以上であることにより、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。面取り部51の深さD2が第2部212の深さD1の40%以下であることにより、第1クラウンブロック31及び第2クラウンブロック32の剛性不足が抑制され、舗装路における直進状態からコーナリング状態に移行する過渡特性が良好となる。
【0052】
第2クラウンブロック32及びショルダーブロック25の踏面に対する面取り部51の角度及び第2クラウンブロック32及びショルダーブロック25における面取り部51の深さについても同様である。
【0053】
図2に示されるように、タイヤ周方向に隣り合う第2部212は、タイヤ軸方向にずれて配置されている、のが望ましい。このような構成により、不整地走行時に横溝21に詰まった泥土が排出されやすくなり、走行性能が向上する。
【0054】
図2ないし5に示されるように、第1クラウンブロック31には、タイヤ軸方向にのび、第1サイプ41及び縦溝23に連通する横サイプ43が形成されていてもよい。また、第2クラウンブロック32には、タイヤ軸方向にのび、第2サイプ42及び縦溝23に連通する横サイプ44が形成されていてもよい。ショルダーブロック25には、タイヤ軸方向にのび、縦溝23及びトレッド接地端TE1、TE2に連通する横サイプ45が形成されていてもよい。
【0055】
各横サイプ43、44、45により、各ブロックでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0056】
各横サイプ43、44、45は、横溝21の第1部211と平行にのびているのが望ましい。これにより、各ブロックでの引っ掻き効果が高められ、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0057】
上記構成を有するトレッド部2のランド比は、60~80%が望ましい。トレッド部2のランド比が60%以上であることにより、舗装路での走行性能が向上する。トレッド部2のランド比が80%以下であることにより、泥濘地でのトラクション性能が高められる。
【0058】
以上、本発明のタイヤ1が詳細に説明されたが、本発明は上記の具体的な実施形態に限定されることなく種々の態様に変更して実施される。例えば、クラウンブロック24は、第2クラウンブロック32を含まない態様で構成されていてもよい。
【0059】
[付記]
本発明は以下の態様を含む。
【0060】
[本発明1]
トレッド部を有するタイヤであって、
前記トレッド部は、タイヤ赤道を横切り、かつ、V字状に折れ曲がる複数の横溝と、前記複数の横溝によって区分された複数の陸部とを含み、
前記複数の陸部のそれぞれは、複数の縦溝により、タイヤ赤道上に位置するクラウンブロックと、前記クラウンブロックのタイヤ軸方向外側に位置する一対のショルダーブロックとを含むように区分されており、
前記クラウンブロックは、第1クラウンブロックを含み、
前記第1クラウンブロックには、タイヤ赤道上に配され、かつ、前記第1クラウンブロックをタイヤ周方向に完全に横切る第1サイプが形成されている、
タイヤ。
[本発明2]
前記縦溝の幅は、前記第1サイプの幅よりも大きく、前記横溝の幅よりも小さい、本発明1に記載のタイヤ。
[本発明3]
前記クラウンブロックは、第2クラウンブロックを含み、
前記第2クラウンブロックには、タイヤ赤道の両側をのびる一対の第2サイプが形成されている、本発明1または2に記載のタイヤ。
[本発明4]
前記複数の横溝は、タイヤ軸方向で一方のトレッド接地端から他方のトレッド接地端にわたってのびている、本発明1ないし3のいずれかに記載のタイヤ。
[本発明5]
前記複数の横溝は、タイヤ赤道上で折れ曲がる、本発明1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
[本発明6]
前記第1サイプの深さは、前記横溝の深さの30~70%である、本発明1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
[本発明7]
前記第1クラウンブロック、前記第2クラウンブロック及び前記ショルダーブロックにおいて、最小のランド面積Fminは、最大のランド面積Fmaxの40~80%である、本発明3に記載のタイヤ。
[本発明8]
前記横溝の幅は、トレッド展開幅の5~15%であり、前記縦溝の幅は、前記トレッド展開幅の2~5%である、本発明2に記載のタイヤ。
[本発明9]
前記複数の横溝は、タイヤ軸方向の外側に向かって、第1方向に傾斜する第1部と、前記第1方向とは逆の第2方向に傾斜する第2部とを含む、本発明1ないし8のいずれかに記載のタイヤ。
[本発明10]
前記複数の陸部は、前記第2部の溝縁に面取り部を含む、本発明9に記載のタイヤ。
[本発明11]
タイヤ周方向に隣り合う前記第2部は、タイヤ軸方向にずれて配置されている、本発明9または10に記載のタイヤ。
【符号の説明】
【0061】
1 :タイヤ
2 :トレッド部
21 :横溝
22 :陸部
23 :縦溝
24 :クラウンブロック
25 :ショルダーブロック
31 :第1クラウンブロック
32 :第2クラウンブロック
41 :第1サイプ
42 :第2サイプ
51 :面取り部
211 :第1部
212 :第2部
C :タイヤ赤道
D1 :深さ
D2 :深さ
Fmax :ランド面積
Fmin :ランド面積
TE1 :トレッド接地端
TE2 :トレッド接地端
TW :トレッド展開幅