(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000994
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電気車両のロータ及び電気機械
(51)【国際特許分類】
H02K 1/2753 20220101AFI20231226BHJP
H02K 15/03 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02K1/2753
H02K15/03 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100763
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 115 420.3
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ケーネン
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CB01
5H622PP10
5H622PP16
5H622QA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】磁石が確実に固定される電気機械用のロータを提供する。
【解決手段】電気車両の電気機械のロータであって、複数の永久磁石(40、42)と、各々中に1つの永久磁石(40、42)が配置される複数の磁石収容キャビティ(34、36)を有するロータコア(18)と、を有し、永久磁石(40、42)が、タングアンドグルーブ接続(60、70)により、ロータコア(18)にそれぞれ形状係合による結合で接続され、そのため、ロータコア(18)の外周面の方向への永久磁石(40、42)の変位が阻止され、永久磁石(40、42)がそれぞれ、金属射出成形によって一体的に製造される、ロータ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両の電気機械(10)のロータであって、
複数の永久磁石(40、42、40’、42’)と、
永久磁石(40、42、40’、42’)がそれぞれに配置される複数の磁石収容キャビティ(34、36)を有するロータコア(18)と、を有し、
前記永久磁石(40、42、40’、42’)が、タングアンドグルーブ接続(60、70、80、90)による、形状係合による結合で、前記ロータコア(18)にそれぞれ結合され、それにより、前記ロータコア(18)の外周面の方向への前記永久磁石(40、42、40’、42’)の変位が阻止され、
前記永久磁石(40、42、40’、42’)が各々、金属射出成形によって一体的に製造されていることを特徴とする、ロータ。
【請求項2】
前記ロータコア(18)が、前記磁石収容キャビティ(34、36)それぞれ内に突出する突起部(62、66、72、76、82、92)を有し、前記突起部(62、66、72、76、82、92)が、前記磁石収容キャビティ(34、36)内に配置された前記永久磁石(40、42、40’、42’)の凹部(64、68、74、78、84、94)内にそれぞれ係合されることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記永久磁石(40、42、40’、42’)がそれぞれ、前記ロータコア(18)上に形成されたそれぞれの凹部と係合する突起部を有し、それぞれの凹部が、前記それぞれの磁石収容キャビティ(34、36)を区切る表面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータコア(18)が2つの対向する側面にそれぞれの凹部を有し、前記永久磁石(40、42)が2つの対向する側面にそれぞれの突起部(62、66、72、76)を有するか、又は前記ロータコア(18)が2つの対向する側面にそれぞれの突起部(62、66、72、76)を有し、前記永久磁石(40、42)が2つの対向する側面にそれぞれの凹部(64、68、74、78)を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のロータ。
【請求項5】
前記突起部(62、66、72、76)及び前記凹部(64、68、74、78)が、長方形の断面を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項6】
前記突起部(82、92)及び前記凹部(84、94)が、三角形の断面を有することを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項7】
前記磁石収容キャビティ(34、36)が、前記ロータコア(18)の前記外周面に面する側面上で開口していることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
バンド(50)が、前記ロータコア(18)の前記外周面上に配置されることを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項9】
複数の表面永久磁石(44)が、前記ロータコア(18)の前記外周面上に配置され、
中間要素(32)が、それぞれの表面永久磁石(44)とV字状に配置された2つの永久磁石(40、42)との間に配置され、
前記中間要素が、第1の側面で前記表面永久磁石(44)に当接し、前記第1の側面に対して反対側の第2の側面で前記永久磁石(40、42)と当接する、ことを特徴とする、先行請求項のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のステータ(14)と、ロータ(16)と、を有する、電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の電気機械のロータであって、前記ロータは、複数の永久磁石と、各々に1つの永久磁石が配置される複数の磁石受けキャビティを有するロータコアとを有し、永久磁石は、ロータコアの外周面の方向への永久磁石の変位が阻止されるように、形状係合による結合(formschlussig)で、タングアンドグルーブ接続(Feder-Nut-Verbindung, 舌溝接続、さねはぎ)を介してそれぞれロータコアに接続されるロータに関する。本発明は更に、電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
このような永久励磁ロータは、一般的に電気機械に使用され、ステータと、すなわちステータを流れる電流によって生じる磁界と相互作用する。この目的のために、ロータは、ロータコアと、周方向に互いに隣接して配置される複数の永久磁石とを有する。各永久磁石は、永久磁石がロータコアに埋め込まれるように、それぞれの磁石受けキャビティ内に配置される。2つの隣接する磁石収容キャビティが互いに接続されてもよい。磁石受けキャビティ及び永久磁石は各々、典型的には、長方形の断面、そのため立方体形状を有し、永久磁石は典型的には、ロータコアに接着される。
【0003】
電気機械の効率を可能な限り高くするためには、永久磁石は、ロータコアの半径方向外側に、すなわち、ロータとステータとの間のラジアルギャップに可能な限り近づけて配置されるべきである。これは、例えば、磁石収容キャビティがロータコアの外周面に開口され、ロータコアに埋め込まれた永久磁石がラジアルギャップまで直接延在するように、磁石受けキャビティがロータコアの外周面に延在することにより達成することができる。ここでの問題は、ロータの高速回転時に永久磁石にかかる遠心力によって、永久磁石がそれぞれのポケットからラジアルギャップ内に移動することである。これは、電気機械の故障及び損傷につながる。加えて、ロータコア及び永久磁石は、動作中に加熱され、ロータコア及び永久磁石の異なる熱膨張係数は、ラジアルギャップの方向に永久磁石が移動するリスクを増加させる。
【0004】
永久磁石のそのような変位を防止するために、磁石受けキャビティの側面上に突起を設け、永久磁石を突起に対して半径方向に静止させることができる。このようにして、永久磁石は、ラジアルギャップの方向への変位に対して、形状係合により固定することができる。しかしながら、これは、突起を形成するために、永久磁石を回転軸の方向、すなわちラジアルギャップから離れる方向にシフトしなければならない。これは、電気機械の効率の低減を引き起こす。そのような構成は、例えば、独国特許出願公開第102019117686号明細書に開示されている。
【0005】
一方ではラジアルギャップの方向の変位に対して永久磁石を形状係合により固定し、他方では永久磁石をラジアルギャップに相対的に近くに位置決めし、それにより電気機械の高い効率を提供するために、永久磁石を、それぞれのタングアンドグルーブ接続によって、ロータとステータとの間でラジアルギャップの方向の変位に対して形状係合により固定することができる。独国特許出願公開第102018210967号明細書は、そのような実施形態を開示する。永久磁石は、磁石収容キャビティの側面上に半円形の凹部を有し、その中に磁石収容キャビティの側面上に設けられた半円形の突起が係合する。
【0006】
ここでの問題は、ばね溝接続を行うための凹部を有する永久磁石の製造が複雑であることである。永久磁石は、焼結プロセスによって生成され、金属粉末のプレス工程によってグリーン部品を製造し、その後グリーン部品を焼結する焼結工程で製造される。小さいフィリグリ形状、すなわち、タングアンドグルーブ接続に必要な凹部は、焼結プロセスにおいて製造することができない。そのため、凹部は、焼結永久磁石上に、続く別のステップにおいて機械的に製造されなければならない。この場合、凹部は、焼結永久磁石が相対的に脆弱であり、そのためフライス加工は高価で複雑なプロセスでもある。加えて、凹部は、研削によって製造することができるが、研削は非常に時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第102019117686号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102018210967号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明によって解決すべき課題は、ロータコアに複数の永久磁石を埋め込み、かつ電気機械のラジアルギャップの方向の変位に対して形状係合による結合で確実に固定される電気機械用のロータを提供することであり、永久磁石は簡単かつ安価に製造することができ、電気機械の効率が高効率であるロータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この問題は、請求項1に記載の特徴を有するロータによって解決される。
【0010】
永久磁石が各々、金属射出成形によって一体成形されるという事実は、永久磁石とロータコアとの間にタングアンドグルーブ接続が存在するにもかかわらず、永久磁石を安価かつ時間をかけずに製造することができることを意味する。金属粉末射出成形により、永久磁石は、どんな形状にも、特に繊細な形状に、簡単かつコスト効率の高い方式で製造することができる。特に、永久磁石上の突起部及び/又は凹部を、永久磁石の製造プロセスで、すなわち、焼結プロセスで製造することができる。後続の製造ステップ、特に突起部又は凹部を製造するための永久磁石の機械的加工が不要であり、製造工程を低減することができる。
【0011】
金属射出成形では、金属粉末が特にプラスチックで作られたバインダーと混合され、グリーン部品が射出成形によって所望の形状に製造される。その後、バインダーが熱脱バインダーまたは溶剤脱バインダーによって再び除去されるが、グリーン部品の形状は保持される。これにより、いわゆるブラウン部品の製造をもたらす。最後に、ブラウン部品は、焼結動作が行われる炉に送られ、最終的な部品、すなわち、この場合は永久磁石が製造される。このようにして、金属粉末射出成形は、射出成形が提供する有利で幅広い成形の可能性を利用しながら、焼結した金属永久磁石を製造するために使用することができる。
【0012】
好ましくは、ロータコアは、磁石収容キャビティ内に突出するそれぞれの突起部を有し、突起部は、磁石収容キャビティ内に配置された永久磁石のそれぞれの凹部に係合する。あるいは、複数の永久磁石はそれぞれ、ロータコアに形成されたそれぞれの凹部に係合する突起部を有し、それぞれの凹部は、それぞれの磁石収容キャビティの境界表面に配置される。永久磁石とロータコアとの間の形状係合による接続は、突起部及び凹部によって形成されるタングアンドグルーブ接続によって、簡単な方法で形成することができる。
【0013】
好ましい実施形態では、ロータコアは、対向する2つの側面にそれぞれの凹部を有し、永久磁石は、対向する2つの側面にそれぞれの突起部を有するか、又はロータコアは、対向する2つの側面にそれぞれの突起部を有し、永久磁石は、対向する2つの側面にそれぞれの凹部を有する。このようにして、永久磁石のラジアルギャップ内への変位は、特に確実に回避することができる。
【0014】
好ましくは、突起部及び凹部は、長方形の断面を有する。あるいは、突起部及び凹部は、三角形の断面を有する。両方の実施形態では、ロータコアの外周面から離れる方向の突起部及び凹部の側面は、永久磁石とロータコアとの間の接触面に垂直な方向にされる。これにより、永久磁石が、ロータとステータとの間のラジアルギャップの方向に、すなわち、ロータコアの外周面の方向へシフトするのを、たとえ磁石収容キャビティが遠心力による熱膨張及び機械的応力のためにわずかに広がっていたとしても、防止することができる。
【0015】
好ましくは、磁石収容キャビティは、ロータコアの外周面において開口している。その結果、永久磁石は、ロータとステータとの間のラジアルギャップの比較的近くに配置することができ、それによって電気機械の効率が増大する。
【0016】
好ましくは、ロータコアの外周面上にバンドを配置することで、回転速度強度を増加させることができる。
【0017】
好ましい実施形態では、ロータコアの外周面上に複数の表面永久磁石が配置され、それぞれの表面永久磁石とV字状に配置された2つの永久磁石との間に、第1の側面で表面永久磁石に当接し、第1の側面の反対側の第2の側面で永久磁石に当接する中間要素が配置される。そのため、まず永久磁石を装着し、次に中間要素と表面永久磁石を装着し、最後にバンドを装着するようにして、ロータへの永久磁石と表面永久磁石の組み付けを簡単に行うことができる。そのような組み付けは、永久磁石とロータコアとの間のタングアンドグルーブ接続が、容易かつ確実に形成されることを可能にする。
【0018】
この問題は、請求項1~9のいずれか一項に記載のステータと、ロータと、を有する、電気機械によって解決される。電気機械の利点に関して、前述の段落を参照する。
【0019】
本発明の例示的な実施形態は、図面を参照して以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】断面における電気車両の電気機械を概略的に示す。
【
図2】
図1の電気機械のロータの第1の実施形態を示す。
【
図3】
図1の電気機械のロータの第2の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、例えば、電気車両の牽引機械として使用される電気機械10を示す。電気機械10は、ハウジング内部を区切るハウジング12を有する。ステータ14及びロータ16は、ハウジング12内に、すなわち、ハウジング内部に配置される。ステータ14は、外周面を介してハウジング壁に、すなわちハウジング12に、取り付けられ、そのためハウジング12内に強固に配置される。ステータ14の内周面は、ロータ16が配置される貫通開口部を区切り、ここでステータ14の内周面とロータ16の外周面はラジアルギャップ15を区切る。ロータ16は、ロータシャフト17及びロータコア18を有し、ロータコアは特に、ロータ積層コアとして構成される。ロータシャフト17は、ハウジング12に回転可能に取り付けられ、軸受エレメント20、22は、この目的のために、ロータシャフト17の両方の軸端それぞれに配置される。ロータコア18は、ロータシャフト17の周面に取り付けられ、ロータシャフト17と共に回転する。電気機械10は、永久励磁電気機械として具体化される。
【0022】
図2及び
図3はそれぞれ、ロータ16の切り欠きを示す。
図2及び
図3に示す切り欠きは、全周に渡って配置され、その切り欠きのデザインは同一である。
【0023】
図2は、ロータ16の第1の実施形態を示す。ロータ16は、ロータコア18、複数の永久磁石40、42、複数の表面永久磁石44、及びバンド50を備える。ロータコア18は、ベース本体30と複数の中間要素32を有し、中間要素32は、ベース本体30の凹部33内に配置される。ベース本体30及び中間要素32の両方は、特に複数の積み重ねられたシートによって形成される。ベース本体30の凹部33の中間要素32に面するそれぞれの表面、及びベース本体30に面するそれぞれの中間要素32の表面が、2つの磁石収容キャビティ34、36を区切るように、中間要素32は対応する凹部33よりも小さく形成される。ここで、磁石収容キャビティ34、36を区切る凹部33と中間要素32の表面は互いに平行に走っており、凹部33と中間要素32は、2つの磁石収容キャビティ34、36がV字型を形成するように設計される。2つの磁石収容キャビティ34、36は、ロータコア18の外周面に面する側面で開口している。
【0024】
永久磁石40、42は、2つの磁石収容キャビティ34、36の各々にそれぞれ配置され、長方形の断面を有し、最終的に装着された状態では、永久磁石40、42がそれぞれの側面で中間要素32に当接し、反対の側面でベース本体30に当接する。磁石収容キャビティ34、36の前述の設計では、2つの永久磁石40、42がV字状に配置される。
【0025】
表面永久磁石44は、中間要素32のベース本体30から離れた側面上に配置され、表面永久磁石44を収容するための中間要素32は各々、溝状の凹部38を有する。
【0026】
ロータコア18が組み付けられると、埋め込まれる永久磁石40、42がまず、ベース本体30の凹部33内に挿入され、次いで中間要素32が、既に組み付けられた表面永久磁石44と共に凹部33内に挿入される。最後に、バンド50が装着され、表面永久磁石44及び中間要素32により、永久磁石40、42が、バンド50を介してベース本体30に押し付けられる。そのため、永久磁石40、42、中間要素32、及び表面永久磁石44の最終的な取り付けは、バンド50によって達成される。
【0027】
特に、ロータ16の高速回転時には、相対的に高い遠心力が永久磁石40、42に作用し、それによって永久磁石40、42が、ロータ16とステータ14との間のロータコア18の外周面の方向に、又はラジアルギャップ15内にそれぞれ移動するリスクがある。加えて、動作中にロータ16が加熱され、それによって引き起こされかつ互いに異なるロータ16の構成部品の熱膨張によって、必要に応じて磁石収容キャビティ34、36が膨張し、それによって、中間要素32とベース本体30の表面に沿った永久磁石40、42の固定がなくなるという事実もある。そのような永久磁石40、42の変位を防止するために、各磁石収容キャビティ34、36に対してタングアンドグルーブ接続60、70が設けられる。各タングアンドグルーブ接続60、70は、2つの突起部62、66、72、76を有し、その各々は、凹部33を区切るベース本体30の表面に形成された突起部62、72、及び磁石収容キャビティ34、36を区切る中間要素32の表面に形成される突起部66、76を有する。そのため、全ての突起部62、66、72、76は、ロータコア18上に提供される。突起部62、66、72、76は各々、永久磁石40、42上に形成された凹部64、68、74、78内に係合する。凹部64、68、74、78及び突起部62、66、72、76は各々、長方形の断面を有する。あるいは、突起部を永久磁石40、42に設け、凹部をロータコア18に設けても良い。それによって、永久磁石40、42は、磁石収容キャビティ34、36を区切る中間要素32及びベース本体30の表面に沿って、形状係合による結合で固定される。
【0028】
永久磁石40、42に、そのような凹部64、68、74、78を設けるために、又は別の実施例の突起部を設けるために、永久磁石40、42は、金属射出成形によって製造される。金属射出成形において、金属粉末をプラスチック結合剤と混合し、所望の形状、すなわち、本実施の形態では、矩形断面と凹部又は突起部を有するグリーン部品が、射出成形によって製造される。次いで、プラスチック結合剤が、熱脱バインダーまたは溶剤脱バインダーによって再び除去され、グリーン部品の形状が保持される。これにより、いわゆるブラウン部品が製造される。最後に、ブラウン部品は、焼結動作が行われる炉に供給され、最終構成要素、すなわち、本事例では凹部及び/又は突起部を有する永久磁石が製造される。
【0029】
その結果、凹部64、68、74、78を有する一体型永久磁石40、42を、簡単かつ費用効果の高い方法で製造することができる。
【0030】
図3は、ロータ16の第2の実施形態を示す。
図2の第2の実施形態と第1の実施形態との間の主要な違いは、磁石収容キャビティ34、36とタングアンドグルーブ接続80、90に、それぞれ単一の突起部82、92及び単一の凹部84、94しか設けられていないこと、突起部82、92及び凹部84、94が三角形の断面を有すること、並びに永久磁石40´、42´がラジアルギャップ15に面する磁石収容キャビティ34、36の開口側まで延在することである。
【0031】
これにより、永久磁石とロータコアとの間の既存のタングアンドグルーブ接続にもかかわらず、永久磁石を、安価にかつ時間をかけずに製造することができ、電気機械を高効率で製造することができる電気機械用ロータを提供することができる。
【0032】
主要な請求項の保護範囲に入る、説明された実施形態以外の構造的実施形態も可能である。例えば、永久磁石は、異なる形状を有することができ、かつ/又はロータコアは異なる構造をとることができる。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気車両の電気機械(10)のロータであって、
複数の永久磁石(40、42、40’、42’)と、
永久磁石(40、42、40’、42’)がそれぞれに配置される複数の磁石収容キャビティ(34、36)を有するロータコア(18)と、を有し、
前記永久磁石(40、42、40’、42’)が、タングアンドグルーブ接続(60、70、80、90)による、形状係合による結合で、前記ロータコア(18)にそれぞれ結合され、それにより、前記ロータコア(18)の外周面の方向への前記永久磁石(40、42、40’、42’)の変位が阻止され、
前記永久磁石(40、42、40’、42’)が各々、金属射出成形によって一体的に製造されていることを特徴とする、ロータ。
【請求項2】
前記ロータコア(18)が、前記磁石収容キャビティ(34、36)それぞれ内に突出する突起部(62、66、72、76、82、92)を有し、前記突起部(62、66、72、76、82、92)が、前記磁石収容キャビティ(34、36)内に配置された前記永久磁石(40、42、40’、42’)の凹部(64、68、74、78、84、94)内にそれぞれ係合されることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記永久磁石(40、42、40’、42’)がそれぞれ、前記ロータコア(18)上に形成されたそれぞれの凹部と係合する突起部を有し、それぞれの凹部が、前記それぞれの磁石収容キャビティ(34、36)を区切る表面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項4】
前記ロータコア(18)が2つの対向する側面にそれぞれの凹部を有し、前記永久磁石(40、42)が2つの対向する側面にそれぞれの突起部(62、66、72、76)を有するか、又は前記ロータコア(18)が2つの対向する側面にそれぞれの突起部(62、66、72、76)を有し、前記永久磁石(40、42)が2つの対向する側面にそれぞれの凹部(64、68、74、78)を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のロータ。
【請求項5】
前記突起部(62、66、72、76)及び前記凹部(64、68、74、78)が、長方形の断面を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のロータ。
【請求項6】
前記突起部(82、92)及び前記凹部(84、94)が、三角形の断面を有することを特徴とする、請求項2又は3に記載のロータ。
【請求項7】
前記磁石収容キャビティ(34、36)が、前記ロータコア(18)の前記外周面に面する側面上で開口していることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項8】
バンド(50)が、前記ロータコア(18)の前記外周面上に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項9】
複数の表面永久磁石(44)が、前記ロータコア(18)の前記外周面上に配置され、
中間要素(32)が、それぞれの表面永久磁石(44)とV字状に配置された2つの永久磁石(40、42)との間に配置され、
前記中間要素が、第1の側面で前記表面永久磁石(44)に当接し、前記第1の側面に対して反対側の第2の側面で前記永久磁石(40、42)と当接する、ことを特徴とする、請求項1に記載のロータ。
【請求項10】
請求項1、2、3、7~9のいずれか一項に記載のステータ(14)と、ロータ(16)と、を有する、電気機械。
【外国語明細書】