(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099402
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240718BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003326
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】514020954
【氏名又は名称】株式会社エイド
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】白石 浩一
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】障がい者を支援するサービスを提供すること。
【解決手段】サーバ1は、NFT発行部51、NFT管理部52、NFT移転制御部53、ストーリー追加部54を備える。NFT発行部51は、障がい者(作者A)により創作されたアート作品に関するNFTであって、当該アート作品が創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行する。NFT管理部52は、NFTをブロックチェーンサーバ群Bに記憶させて管理する。NFT移転制御部53は、アート作品及びNFTの所有者を移転させる制御を実行する。ストーリー追加部54は、NFTに対して、所有者のストーリーを追加する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行手段と、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理手段と、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御手段と、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定の記憶場所は、ブロックチェーン技術又は分散台帳技術を用いた記憶場所である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記NFTは、前記障がい者、前記家族、及び支援者の夫々を特定可能な情報を含み、
前記NFT移転制御手段は、
前記NFT発行手段により発行された前記NFTが甲に移転される場合には、移転に伴う対価を、前記障がい者、前記家族、及び前記支援者からなるチームに付与する制御を実行し、
それ以降、前記NFTの所有者が移転される毎に、移転に伴う対価の一部を元の所有者に付与すると共に、残りの一部を前記チームに付与する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行ステップと、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理ステップと、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御ステップと、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行ステップと、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理ステップと、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御ステップと、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本の社会保障は、構造的限界を迎えつつあり、社会保障を必要とする障がい者への支援を要望する声が高まりつつある。
一方、従来より、価値交換を伴う取引が行われている。
特に、近年では、NFTを用いた取引が行われるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術は、金融取引に関するものであり、障がい者を支援するといった要求に応えることができない状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、障がい者を支援するサービスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行手段と、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理手段と、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御手段と、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加手段と、
を備える。
【0007】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、障がい者を支援するサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】公平性と創造性の点で障がい者が社会参画するための類別を示す図である。
【
図2】障がい者が社会参画する上での課題を示す図である。
【
図3】障がい者が社会参画するためにサービス提供者が提供するサービスの要点を示す図である。
【
図4】
図3の要点を実現する具体的なアートのデジタル流通サービスの一例を示す図である。
【
図5】作者にとっての本サービスの意義を示す図である。
【
図6】家族にとっての本サービスの意義を示す図である。
【
図7】支援者にとっての本サービスの意義を示す図である。
【
図8】購入者にとっての本サービスの意義を示す図である。
【
図10】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成の概要を示す図である。
【
図11】
図10のサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図12】
図11のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図13】
図12の機能的構成を有するサーバの動作を示すフローチャートである。
【
図14】
図12のサーバにおける地域投資効果を示す図である。
【
図15】
図12のサーバにおける地域の持続可能性を示す図である。
【
図16】
図12のサーバにおける地域ブランディング効果を示す図である。
【
図17】
図12のサーバにおける自律循環社会の形成効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
まず、
図1乃至
図9を参照して本発明に至る背景について説明する。
近年、高齢者や障がい者の社会参画は、法整備などにより推進されているものの、多くの障がい者は、十分な社会参画ができていないのが現状である。また、障がい者自身も社会参画をしたいと考える人も非常に多い。また、障がい者の社会参画は、家族の社会参画にもつながる。
【0011】
障がい者のうち、一般企業での就労が可能な者は、一般就労の形態で雇用契約に基づく給与が支給される。また、事業所での安定的な就労が可能な者は、就労継続支援A型の形態で最低賃金が保証される。
この他、障がい者には、短時間であれば事業所で就労可能な者や就労自体が困難な者もいるが、これらの人は、工賃のみでの就労やデイサービス等の生活支援しか受けられない人も多い。
【0012】
本サービス提供者は、全ての障がい者に、より価値のある社会参画の機会を届けたい。
障がい者を社会参画させる上で、公平性と創造性の両面で考えてみると、障がい者の社会参画は、
図1に示すように、搾取的構造、排他的構造、協働作業、共創モデル等に類別することができる。
夫々の特徴として、例えば搾取的構造は、個々の特性を認めながらも不利益な条件を提示する。短期的には新たな価値が期待できるが持続しない。差別的な環境が生まれ易く、問題になり易い。
排他的構造は、ステレオタイプを求め、画一的な発想目先の利益を追い、長期的な価値を生めない。社会的にも問題視され易く、持続可能性が低い。
協働作業は、参画機会は公平だが個々の特性は活かされない。標準的な作業を行うための協働活動が展開される。作業レベルは遂行できるが成長の可能性は得にくい。
共創モデルは、多様性を活かすことで新たな可能性を実現できる。一人一人が重要な仲間であり、相互信頼関係がある。成長の意思と実践する文化で持続発達が可能になる。
このようなことから、サービス提供者は、創造性と公平性が共に高い共創モデルを採用し、個々の特性を最大限生かした社会参画モデルを実現するものとする。
【0013】
具体的には、
図2に示すように、障がい者本人は、やりたいことやできることをやるのは楽しい。また周囲は、障がい者がやりたいことやできることは、やってほしい、また応援したいと思う。このように障がい者本人も周囲もHappyな社会参画モデルをデザインすることが必要である。
【0014】
そこで、本サービス提供者は、障がい者の囚われない視点をアートとして表現することとに着目した。
また、サービス提供者は、アートについて、デジタルツールを利用してその表現の可能性を拡大することにした。また、一つ一つのアートの背景にあるストーリーを付加価値にすることにした。
さらに、サービス提供者は、コミュニティの可能性についても検討し、思いを共有した仲間をつなぎ、その価値を届けるようにする。
また、サービス提供者は、NFT(Non-Fungible Token)の可能性に着目し、アートに関し、その唯一無二の価値の保証と流通をNFTにより可能にする。
【0015】
本サービス提供者は、
図3に示すように、アートを表現する作者A(障がい者)と、アートに作者A(障がい者)のストーリーを付与する家族Fと、作者A(障がい者)や家族Fをサポートする支援者Sと、アート作品を取引する購入者Kとを、アート×NFTでつなぐことで、デジタル・アート・ビジネスによる障がい者の社会参画を実現するものである。
【0016】
サービス提供者が提供するサービスは、NFTを用いてアート作品にストーリーという価値を付与して取引することが可能なサービスである。本サービスでは、ブロックチェーンの技術を用いて発行されたNFTが、アート作品が取引される際にアート作品のストーリーを保証するもの(鑑定書等のようなもの)として用いられる。
本サービスの場合、
図4に示すように、作者A、家族F及び支援者S等を含むアートチームが、サービス提供者が運営するプラットホームにアート作品を出品物として登録する。プラットホームは、登録されたアート作品が売買される際の仲介を行う。
作者Aがなぜ家族Fとアートチームとして申請をするかというと、作者A自身は障害者であり、プラットホームへのアート作品の登録操作や出品内容の理解ができない可能性があるためである。
ここで、第1購入者(甲)である例えばAさんが、プラットホームを介してアート作品を購入した場合、Aさんにより支払われるアート作品の購入代金のうち、手数料は、プラットホームを運営するサービス提供者へ支払われ、売買益がアートチームへ支払われる。アート作品の所有権は、Aさんに移る。
【0017】
Aさんがアート作品を購入した後、作品に対するAさんの評価やコメント等を含むストーリーをアート作品に付与し、作品に付加価値を付けてプラットホームに出品する。Aさんの評価がアート作品に付いたことで、アート作品自体の価値が上がり、より高額で取引されるようになる。
【0018】
ここで、第2購入者(乙)である例えばBさんが作品を購入した場合、Bさんにより支払われるアート作品の購入代金のうち、手数料は、プラットホームを運営するサービス提供者へ支払われ、売買益がAさんへ支払われる。アート作品の所有権は、Bさんに移る。アート作品の所有権がBさんに移ったところで、Bさんからは権利料(対価)がアートチーム支払われる。
【0019】
そして、Bさんが作品を購入した後、アート作品に対するBさんの評価やコメント等を含むストーリーを作品に付与し、作品に付加価値を付けてプラットホームに出品する。
このように、本サービスでは、アートチームにより出品されたアート作品が、プラットホームを介して売買される度に、サービス提供者にもアートチームにも購入者にもアート作品の付加価値が還元されるので、アートチームと購入者とサービス提供者の夫々にとっても、有益となる。
【0020】
本サービスの効果を説明する。
作者Aにとって社会参画が可能になる。
具体的には、
図5に示すように、自分自身の想いをありのままアート作品に表現することによって、アート作品が売買発生時の収益源となると共に、自分自身の社会参画の象徴ともなり、作者A(ME)が社会で働くことを可能にすることができる。
【0021】
家族Fにとっては、絆となる。
具体的には、
図6に示すように、作品に至る迄のストーリー(作者Aの生い立ちやアート作品の意味等)を作成し、アート作品の付加価値としてアート作品に付与することで、付加価値の創出を支援すると共に家族Fとしての絆を確認し深めることができ、アート作品を通じて作者Aと自分(ME)の大切な時間を共有することができる。
【0022】
支援者Sにとっては仕事の機会となる。
具体的には、
図7に示すように、支援者Sは、アート作品を流通させるための支援の提供により、報酬獲得機会が得られると共に、自らの専門性による社会貢献にもなり、支援者Sは、自分(ME)の専門性による報酬を得ることができる。
【0023】
購入者Kにとっては投資となる。
具体的には、
図8に示すように、購入者Kが自分でアート作品に加えたストーリーが付加価値になり、所有権を売却する際の収益にすることができると共に、自分自身(会社を含む)のブランディングにもなる。即ち、アート作品は、自分自身(ME)のストーリーで価値を高めることができる。
【0024】
このように、本サービスによれば、
図9に示すように、アート作品に自分(ME)という付加価値を載せることができる。
【0025】
以下、上述したサービスを具現化するための情報処理システムについて説明する。
まず、
図10を参照して、本発明の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要について説明する。
図10は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバが適用される情報処理システムにより実現可能となる本サービスの概要を示す図である。
【0026】
図10に示す情報処理システムは、サーバ1と、チーム端末2と、購入者端末3-1乃至3-n(nは1以上の任意の整数値)と、ブロックチェーンBとが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に通信可能に接続されることで構成される。
なお、以下、購入者端末3-1乃至3-nの夫々を個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「購入者端末3」と呼ぶ。
【0027】
サーバ1は、
図1の本サービスを提供する者M(以下、「サービス提供者M」と呼ぶ)が管理する情報処理装置である。サーバ1は、チーム端末2、購入者端末3、及びブロックチェーンBの夫々と各種情報を授受して、本サービスを提供するための各種処理を実行する。
【0028】
チーム端末2は、作者Aである障がい者、その家族F、支援者Sを含むチームTが操作する情報処理装置であって、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
購入者端末3は、購入者Kが操作する情報処理装置であって、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット等で構成される。
【0029】
次に、本サービスを提供するために各種処理を実行するサーバ1のハードウェア構成について説明する。
図11は、
図10の情報処理システムに含まれるサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0030】
図11に示すように、サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0032】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0033】
入力部16は、各種ハードウェア等で構成され、各種情報を入力する。
出力部17は、各種ディスプレイや各種スピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(例えば
図1のチーム端末2及び購入者端末3)やブロックチェーンBとの間で行う通信を制御する。
【0034】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア30が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア30から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。またリムーバブルメディア30は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0035】
次に、
図12を参照してサーバ1の機能的構成について説明する。
図12は、
図11のようなハードウェア構成を有するサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0036】
図12に示すように、サーバ1のCPU11において、NFT発行部51と、NFT管理部52と、NFT移転制御部53と、ストーリー追加部54と、が機能する。
【0037】
NFT発行部51は、作者A(障がい者)により創作された、例えば絵画や楽曲等のアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族Fのストーリーを含むNFTを発行する。
NFTは、例えばブロックチェーンサーバ群B等の、ブロックチェーン技術又は分散台帳技術を用いた所定の記憶場所に記憶される。
NFTは、当該アート作品の鑑定書等として機能するものであり、障がい者、家族F、及び支援者Sの夫々を特定可能な情報を含む。
具体的には、アートが、例えば障がい者である作者Aが電子的に作成した絵画等のアート作品である場合、アート作品を作成するきっかけとなった事柄や作者Aの生い立ち、作者Aが絵画に抱いている想いを作者Aから聞いたこと等を「ストーリー」としてNFTに付与する。なお、「ストーリー」は、ここに示されているもの以外であってもよい。
即ち、NFT発行部51は、アート作品に価値を付けるべく、サービス提供者が運営するプラットフォームにおいて、売買されるアート作品に関するNFTを発行する。
【0038】
NFT管理部52は、当該NFTをブロックチェーンサーバ群B(所定の記憶場所)に記憶させて管理する。
具体的には、NFT管理部52は、NFT発行部51により発行されたNFTをブロックチェーンサーバ群Bに記憶させて管理する。
【0039】
NFT移転制御部53は、アート作品及びNFTの所有者を移転させる制御を実行する。
具体的には、NFT移転制御部53は、プラットフォームにおいて、アート作品の売買が成立したときに、サーバ1のDBに記憶されてアート作品を、所有者となった購入者Kへ移転させる制御を行う。またNFT移転制御部53は、ブロックチェーンサーバ群Bに記憶されているNFTの所有者情報を変更(追記)する。なお、この際、旧所有者から新所有者へアート作品が移転された履歴を残す。
NFT移転制御部53は、NFT発行部51により発行されたNFTが甲に移転される場合には、移転に伴う対価(手数料を除く)を、障がい者、家族F、及び支援者SからなるチームTに付与する制御を実行し、それ以降、NFTの所有者が甲から乙に移転される毎に、移転に伴う対価(手数料を除く)の一部を元の所有者に付与すると共に、残りの対価の一部をチームに付与する。
【0040】
ストーリー追加部54は、NFTに対して、所有者のストーリーを追加する。
具体的には、ストーリー追加部54は、アート作品の所有者により作成されたストーリーをNFTに追加する。
【0041】
次に、
図13を参照して、
図12の機能的構成を有するサーバ1の動作を説明する。
図13は、
図12の機能的構成を有するサーバの動作を示すフローチャートである。
【0042】
サーバ1では、ステップS11において、NFT発行部51は、障がい者(作者A)により創作されたアート作品に関するNFTであって、当該アート作品が創作されるまでの障がい者の家族Fのストーリーを含むNFTを発行する。
ステップS12において、NFT管理部52は、NFTをブロックチェーンサーバ群Bに記憶させて管理する。
ステップS13において、NFT移転制御部53は、アート作品及びNFTの所有者を移転させる制御を実行する。
ステップS14において、ストーリー追加部54は、NFTに対して、所有者のストーリーを追加する。
【0043】
このように、本実施形態のサーバ1の動作によれば、障がい者のアート作品に関する家族Fのストーリーを含むNFTを発行し、アート作品の売買が成立した際に、アート作品及びNFTの所有者を移転させる制御を実行し、移転後はNFTに所有者のストーリーが追加されるので、追加されたストーリーによりアート作品の価値を高めることができる。このようにして障がい者が創作するアート作品の流通サービスを、ビジネスとして実現することで、障がい者の社会参画を支援することができる。
【0044】
以下、
図14乃至
図17を参照して上述したサーバの使い方について説明する。
図14は、
図12のサーバにおける地域投資を示す図である。
図15は、
図12のサーバにおける地域の持続可能性を示す図である。
図16は、
図12のサーバにおける地域ブランディングを示す図である。
図17は、
図12のサーバにおける自律循環社会の形成を示す図である。
【0045】
図14に示すように、自治体をチームTの支援者として引き入れて、プラットフォームにおいて、アート作品を購入した購入者KからチームTが得た収益を地域金融に投資し資産運用することで、自治体や地域金融による資産運用モデルとして活用することができる。地域金融は、投資された資金を、事業開発投資/企業支援、社会福祉/健康増進支援、学校教育/生涯教育/研究支援、インフラ整備/エネルギー支援、自然環境保全/災害対策支援等の事業に充てる。この結果、地域投資により地域の活性化を図ることができる。
【0046】
図15に示すように、チームTが創作した、例えば地域の文化財等をテーマにしたアート作品等を、プラットフォームを介して世に公開することで、地域文化を継承したり、災害時の地域共助に貢献することができる。即ちアートの支援が地域をつなぎ、地域を守る力になる。この結果、地域の持続可能性を高めることができる。
【0047】
図16に示すように、チームTが創作したアート作品を、プラットフォームを介して流通させることで、他域・海外等へブランドを発信することができる。また当該地域への訪問(インバウンド等)も見込まれる。また、メタバースでの遠隔地からの参画も見込まれる。即ち、プラットフォームを発信源として、チームTが創作したアート作品を流通させることで、他地域・海外と地域との繋がりも可能となる。この結果、地域をブランディングすることができる。
【0048】
図17に示すように、福祉を始めとして、金融、データ、メディア、教育、研究等の機関を繋ぎ、NFTを含むアート作品の取引を通じて、地域内での取引促進と為替等のリスク低減を図ることで、NFTによって独自の価値環境を地域に形成することができる。この結果、自律循環社会を形成することができる。
【0049】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0050】
上述の実施形態では、アートの例として電子的な絵画等のアート作品を例示したが、これに限定されず、現実の絵画や楽曲等、様々な創作物が対象であり、アートであれば足りる。
また、アート及びNFTの取引の形態は、上述の実施形態では、販売(所有権の有償による移転)とされたが、特に限定されない。例えば、有償と無償とを問わず所有権の移転、NFTに情報を格納する権利(以下、「情報格納権」と呼ぶ)の付与、NFTに格納された情報を利用する権利(以下、「情報利用権」と呼ぶ)の付与等、各種各様な取引の形態を採用することができる。
【0051】
上述の実施の形態では、購入者Kがアート作品及びNFTと交換する価値は、対価(金銭)として説明したが、特にこれに限定されず、例えば、暗号通貨であってもよいし、購入者Kが有する別のアート作品及びNFT等であってもよく、対価であれば足りる。即ち、チームTがアート作品及びNFTと交換する価値があると判断するものであれば何でもよく、実物体であってもよいし、仮想空間内のオブジェクトであってもよい。
【0052】
例えば上述の実施形態では、取引情報の正当性の管理にブロックチェーンBを利用したが、これ以外に分散型台帳を利用してもよい。
【0053】
また、
図11に示したハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。
【0054】
また、
図12に示す機能ブロック図及びデータベースは、例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは、特に
図12の例に限定されない。
【0055】
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図12に限定されず、任意でよい。
また、1つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0056】
各機能ブロックの処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0057】
このようなプログラムを含む記録媒体は、各ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される、リムーバブルメディアにより構成されるだけではなく、装置本体に予め組み込まれた状態で各ユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0058】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に添って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0059】
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものである。
【0060】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図12のサーバ1等)は、
障がい者(作者A)により創作されたアート(例えば電子絵画等のデジタルアート作品等(現実の作品も含まれる))に関するNFT(電子的な鑑定書等)であって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族(家族F)のストーリー(例えば作者Aの生い立ちや作品作成の意図等)を含むNFTを発行するNFT発行手段(例えば
図12のNFT発行部51等)と、
前記NFTを所定の記憶場所(例えばブロックチェーンサーバ群等)に記憶させて管理するNFT管理手段(例えば
図12のNFT管理部52等)と、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御手段(例えば
図12のNFT移転制御部53等)と、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加手段(例えば
図12のストーリー追加部54等)と、
を備える。
このように、障がい者の家族のストーリー(例えば作者Aの生い立ちや作品作成の意図等)を含むNFTを付与したアート作品を流通させるサービスを提供することで、障がい者を支援することができる。
【0061】
上記情報処理装置において、
前記所定の記憶場所は、ブロックチェーン技術又は分散台帳技術を用いた記憶場所である。
これにより、NFTを、改ざん等がない安全で高信頼性の基で管理及び移転制御することができる。
【0062】
上記情報処理装置において、
前記NFTは、前記障がい者、前記家族、及び支援者の夫々を特定可能な情報を含み、
前記NFT移転制御手段(例えば
図12のNFT移転制御部53等)は、
前記NFT発行手段(例えば
図12のNFT発行部51等)により発行された前記NFTが甲(例えば
図4のAさん等)に移転される場合には、移転に伴う対価(手数料を除く)を、前記障がい者、前記家族、及び前記支援者からなるチームに付与する制御を実行し、
それ以降、前記NFTの所有者が移転(例えば
図4のAさんからBさんへ移転等)される毎に、移転に伴う対価(手数料を除く)の一部を元の所有者(例えば
図4のAさん等)に付与すると共に、残りの一部を前記チーム(例えば
図4のチームT等)に付与する。
これにより、アートの付加価値が購買者(例えば購入者K等)にも障がい者(例えば作者A等)にも還元させるようになる。
【0063】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行ステップ(例えば
図13のステップS11等)と、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理ステップ(例えば
図13のステップS12等)と、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御ステップ(例えば
図13のステップS13等)と、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加ステップ(例えば
図13のステップS14等)と、
を含む。
このように、障がい者の家族のストーリー(例えば作者Aの生い立ちや作品作成の意図等)を含むNFTを付与したアート作品を流通させるサービスを提供することで、障がい者を支援することができる。
【0064】
プログラムは、
コンピュータに、
障がい者により創作されたアートに関するNFTであって、当該アートが創作されるまでの障がい者の家族のストーリーを含むNFTを発行するNFT発行ステップ(例えば
図13のステップS11等)と、
前記NFTを所定の記憶場所に記憶させて管理するNFT管理ステップ(例えば
図13のステップS12等)と、
前記アート及び前記NFTの所有者を移転させる制御を実行するNFT移転制御ステップ(例えば
図13のステップS13等)と、
前記NFTに対して、前記所有者のストーリーを追加するストーリー追加ステップ(例えば
図13のステップS14等)と、
を含む制御処理を実行させる。
このように、障がい者の家族のストーリー(例えば作者Aの生い立ちや作品作成の意図等)を含むNFTを付与したアート作品を流通させるサービスを提供することで、障がい者を支援することができる。
【符号の説明】
【0065】
1:サーバ、2:チーム端末、3:購入者端末、11:CPU、12;ROM、13:RAM、14:バス、15:入出力インターフェース、16:入力部、17:出力部、18:記憶部、19:通信部、20:ドライブ、30:リムーバブルメディア、51:NTF発行部、52:NTF管理部、53:NTF移転制御部、54:ストーリー追加部、B:ブロックチェーン