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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099427
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】ピロー包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 51/10 20060101AFI20240718BHJP
   B65B 9/06 20120101ALI20240718BHJP
   B65B 51/14 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B65B51/10 P
B65B9/06
B65B51/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003367
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】松本 真幸
【テーマコード(参考)】
3E050
3E094
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050BA11
3E050BA20
3E050CA05
3E050CA07
3E050CB10
3E050CC07
3E050DC02
3E050DC05
3E050DC08
3E050DD03
3E050DF01
3E050GA01
3E050GB06
3E050HA02
3E050HA07
3E094AA13
3E094BA11
3E094CA06
3E094DA08
3E094EA04
3E094FA05
3E094FA14
3E094FA16
3E094GA05
3E094GA13
3E094GA23
3E094HA08
3E094HA10
(57)【要約】
【課題】 筒状の包装フィルムを乱さずに前側クランプ部材並びに後側クランプ部材を押し当てることができ、綺麗にガゼットを形成する
【構成】 起立状態の複数の寸法形状にばらつきのある円盤状の物品を前後に並べた物品群からなる製品を内方した筒状の包装フィルムの搬送ラインの左右両側にサイドクランパー装置30を備える。サイドクランパー装置は、包装フィルムの側面の製品のない部分の中央に接触する前側クランプ部材36と後側クランプ部材37を備え、それらクランプ部材の先端部38で包装フィルムの側面の中央部位を内方に押し込むように構成する。クランプ部材は、押し込んだ状態のまま移動しトップシール装置25でシール・カットする。先端部の高さを長くし、包装フィルムの高さに変動があっても包装フィルムの外側に最も突出した部位を押し込み可能とした。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して供給される帯状の包装フィルムを包装する製品の外形状に沿った筒状に形成する製袋器と、その製袋器に前記製品を供給する搬送供給装置と、前記製袋器を通過して筒状に形成された前記包装フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記包装フィルムの幅方向にシール・カットするトップシール装置と、そのトップシール装置でカットされて形成される包装体を搬送する搬送コンベア装置と、を備えたピロー包装機であって、
前記トップシール装置の上流側の前記包装フィルムの搬送路の両側には、サイドクランパー装置を設け、
前記サイドクランパー装置は、前記製品の前側であって当該製品が存在していない前記包装フィルムの側面の中央部位を内方に押し込み可能な前側クランプ部材と、前記製品の後側であって当該製品が存在していない前記包装フィルムの側面の中央部位を内方に押し込み可能で後側クランプ部材と、前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材を所定の軌跡で移動させる移動手段とを備え、
前記軌跡は、前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材がそれぞれ前記包装フィルムの側面に接触して内方に押し込んだ状態で、前記包装フィルムの移動にあわせて前進する区間を有し、その前進する区間は前記トップシール装置における前記シール・カットする位置の下流側まで有し、
前記包装フィルムに接触する前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材のそれぞれの先端部は、高さ方向に所定の幅を有する形状であり、その所定の幅は、前記包装フィルムと前記先端部の高さ方向の相対位置が変動しても前記包装フィルムの左右方向の最も外側に突出するフィルム部位が接触するように構成するピロー包装機。
【請求項2】
前記トップシール装置における前記包装フィルムを挟み込んでシールするトップシーラと、そのトップシーラの前後に位置する前記前側クランプ部材及び前記後側クランプ部材までの距離を、前記先端部の前記所定の幅に基づき設定される所定距離以上離すように前記前側クランプ部材及び前記後側クランプ部材を配置する請求項1に記載のピロー包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロー包装機に関するもので、より具体的には、起立した物品を前後に複数個並べた物品群を包装するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から包装体は各種の態様があり、例えばクッキーなどの薄板状の物品を複数集積した状態で収納した包装体がある。係る包装体を製造するピロー包装機は、例えば以下のような構成を備えている。
【0003】
ピロー包装機は、起立させた物品を前後に並べて構成される物品群を搬送する搬送供給装置と、その搬送供給装置の下流側に配置された包装機本体を備える。包装機本体は、搬入側に帯状の包装フィルムを筒状に形成する製袋器を備える。製袋器の下流側には、製袋器を通過して筒状に形成されて重ね合わされたフィルム端部をシールするセンターシール装置が配置される。また、搬送供給装置から、順次搬出される物品群が、製袋器内に供給される。これにより、物品群が製袋器内を通過すると、筒状の包装フィルム内に所定間隔毎に収納されることになり、その物品群は筒状の包装フィルムとともに搬送される。そして、ピロー包装機の搬出側に配置されたトップシール装置にて、包装フィルムを所定間隔毎に横方向に横断するようにシール・カットすることにより、物品群を内包するピロー包装体が製造される。
【0004】
物品群は、起立した複数の板状の物品から構成されるため、搬送途中で個々の物品が倒れてしまうおそれがある。そこで、特許文献1に開示された包装機のように、物品群を内包する筒状の包装フィルムを搬送する搬送装置に、包装フィルムの物品群が存在しない部位をクランプ部材で内方に押し込み、物品が倒れるのを抑止するサイドクランパー装置を備えたものがある。
【0005】
さらにこの特許文献1には、包装体内の物品が起立姿勢を崩さないようにすることと包装形態を美しくすることから包装体の前後端部にすなわちトップシール部付近にガゼットを形成すべく、トップシール装置にガゼット形成装置を併設している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平1-33441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された装置では、ガゼットを形成するガゼット形成装置と、包装フィルム内での物品の転倒を抑止するためのサイドクランパー装置といった別々の装置が必要となるとともに、サイドクランパー装置からガゼット形成装置への受け渡しをうまく行わないと受け渡しの際に物品が転倒するおそれがある。
【0008】
そこで本発明者は、サイドクランパー装置のクランプ部材としてガゼット形成装置におけるガゼット爪状のものを用い、製袋器を通過して筒状に形成された包装フィルムの側面の上下方向の中央部位をクランプ部材で内方に押し込み、その状態のままトップシール装置を通過するような構成を考えた。
【0009】
このようにすると、サイドクランパー装置にクランプ機能とガゼット機能を持たせることが可能となるが、実際にはクランプ部材が常に筒状の包装フィルムの上下方向の中心に押し込むことができずに挿入位置が上下にばらついてしまい、その結果、筒状の包装フィルムが上下に暴れる現象を生じてしまう。これは、例えば、物品がビスケット等の場合、その寸法形状が均一ではなくばらつくものがある。そして、製袋器を通過して筒状に形成される包装フィルムの形状が、物品の形状に沿うようになると、クランプ部材が包装フィルムの上下方向の中央よりも下側に接触して押し込むと、筒状の包装フィルムに対しては斜め上に持ち上がる方向に力が働く。一方、上下方向の中央よりも上を押し込むと、斜め下向きの力が包装フィルムに働く。このように、常に包装フィルムの側面を真横中央にむかって押し込むことができないことから、包装フィルムが上下にばらつく現象が発生すると考えられる。
【0010】
また、クランプ部材が常に筒状の包装フィルムの上下方向の中心に押し込むことができない要因は、上述した製品の寸法形状のばらつき以外にもあり、例えば、包装フィルムの物性(例えば、材質、厚み、腰の強さなど)の違いにより、製袋時、筒状に形成される包装フィルムの形状がばらつく場合もある。また、包装フィルムの形状のばらつき以外にも、例えば、クランプ部材が片持ち構造のため、個々のクランプ部材の取り付け精度がばらつく場合などもある。
【0011】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できればよい。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するために、本発明のピロー包装機は、(1)連続して供給される帯状の包装フィルムを包装する製品の外形状に沿った筒状に形成する製袋器と、その製袋器に前記製品を供給する搬送供給装置と、前記製袋器を通過して筒状に形成された前記包装フィルムの重合端にシールを施すセンターシール装置と、そのセンターシール装置の下流側に配置され、前記包装フィルムの幅方向にシール・カットするトップシール装置と、そのトップシール装置でカットされて形成される包装体を搬送する搬送コンベア装置と、を備えたピロー包装機であって、前記トップシール装置の上流側の前記包装フィルムの搬送路の両側には、サイドクランパー装置を設け、前記サイドクランパー装置は、前記製品の前側であって当該製品が存在していない前記包装フィルムの側面の中央部位を内方に押し込み可能な前側クランプ部材と、前記製品の後側であって当該製品が存在していない前記包装フィルムの側面の中央部位を内方に押し込み可能で後側クランプ部材と、前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材を所定の軌跡で移動させる移動手段とを備え、前記軌跡は、前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材がそれぞれ前記包装フィルムの側面に接触して内方に押し込んだ状態で、前記包装フィルムの移動にあわせて前進する区間を有し、その前進する区間は前記トップシール装置における前記シール・カットする位置の下流側まで有し、前記包装フィルムに接触する前記前側クランプ部材と前記後側クランプ部材のそれぞれの先端部は、高さ方向に所定の幅を有する形状であり、その所定の幅は、前記包装フィルムと前記先端部の高さ方向の相対位置が変動しても前記包装フィルムの左右方向の最も外側に突出するフィルム部位が接触するように構成した。
【0013】
このようにすると、前側クランプ部材と後側クランプ部材は、製品が存在しない包装フィルムのそれぞれ上下方向の中央部位を内方に押し込んだ状態で、製品を内包する包装フィルムとともに前進移動してトップシール装置に至り、包装フィルムを押し込んだ状態を維持したまま前後に位置する後側クランプ部材と前側クランプ部材の間のフィルム部位をトップシール装置でシール・カットすることができる。よって、サイドクランパー装置は、例えば製品の倒れ込み等を防止するクランプ機能と、ガゼットを形成するガゼット機能を備える。このように一つの装置でクランプ機能とガゼット機能を有するため、構成並びに制御が簡易となる。さらに、包装フィルムに接触する前側クランプ部材と後側クランプ部材の先端部の高さ方向の長さを長くしたため、例えば製品の寸法形状のばらつきやその他の要因により筒状に形成される包装フィルムの外側に突出する部位の位置が上下に変位したり、先端部の位置が上下に変位したりしても、先端部はその突出する部位に接触して内方に押し込むことができ、包装フィルムを安定して搬送するとともに、所望の位置に綺麗にガゼットを形成することができる。
【0014】
(2)前記トップシール装置における前記包装フィルムを挟み込んでシールするトップシーラと、そのトップシーラの前後に位置する前記前側クランプ部材及び前記後側クランプ部材までの距離を、前記先端部の前記所定の幅に基づき設定される所定距離以上離すように前記前側クランプ部材及び前記後側クランプ部材を配置するとよい。このようにすると、トップシーラで挟み込まれて傾斜状に変形する包装フィルムのフィルム部位に前側クランプ部材と後側クランプ部材が干渉するのを抑制し、綺麗な形状の包装体が製造できる。
【0015】
また、上述した(1)や(2)に示す構成を前提として、実施形態や図面に記載の構成要素を組み合わせるとよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、筒状の包装フィルムを乱さずに前側クランプ部材並びに後側クランプ部材を押し当てることができ、綺麗にガゼットを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ピロー包装機の好適な一実施形態を示す正面図である。
図2】その平面図である。
図3】その要部を示す斜視図である。
図4】(a)はその概略側面図であり、(b)は作用効果を説明する図である。
図5】前側クランプ部材及び後側クランプ部材とトップシール装置の関係を示す図である。
図6】包装体の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0019】
図1図2は、本発明に係るピロー包装機の好適な一実施形態の全体構成を示している。このピロー包装機10は、包装機本体11と、その包装機本体11に対して帯状の包装フィルム15を連続して供給するフィルム供給装置12と、包装機本体11の上流側に配置され、その包装機本体11に対して製品13を所定間隔毎に供給する搬送供給装置14とを備えている。
【0020】
フィルム供給装置12は、帯状の包装フィルム15をロール状に巻き取った原反フィルム16に対し、図示省略する駆動モータ(例えば、サーボモータ等の速度制御可能なモータ)の出力を連係し、原反フィルム16の回転速度を適宜制御しながら一定速度で包装機本体11に供給する。また、図示省略しているが、原反フィルム16から包装機本体11に至る所定位置に各種のローラ22(図では、代表して一個を示す)を配置し、原反フィルム16から送り出された帯状の包装フィルム15は、そのローラ22に掛け渡されることで、所定の経路を通って包装機本体11に導くように構成する。なお、必ずしも原反フィルム16に駆動モータを連係する必要はなく、包装フィルム15の搬送経路上にフィードローラを設け、そのフィードローラにより包装フィルム15に搬送力を与え、当該包装フィルム15を原反フィルムから連続して引き出すようにしてもよい。またはその両方を併用してもよい。
【0021】
製品13は、起立した物品13aを前後に複数個並べて構成される物品群である。物品13aの形状は、薄板状、薄片状である。また、本実施形態では、物品13aは円盤状としているが、円は真円に限らず楕円形状など搬送状態で起立した姿勢における左右側面が湾曲面など上下方向の中間部位で外側に突出する部分を備えるものとするとよい。本実施形態で用いる物品13aは、厚さが薄いことに加え円盤状であることも相まって、起立させた状態での安定性が低く、倒れやすいが、以下に説明するように、ピロー包装機10は、転倒防止機能を備えることで、安定して搬送し、包装することができる。また、物品13aは、例えばビスケット、クッキー、煎餅等であるが、これに限定されるものではない。
【0022】
さらにこの円盤状は、起立姿勢の正面視で略円形のものとするとよく、必ずしも真円のものに限ることはなく、楕円形状さらには周縁に湾曲する部分を含む形状のものを含む。また、例えばビスケットなどのように略平板状のものや、例えばポテトチップスのように例えば表面が湾曲するもの、また例えば凹凸があるものなども含む。
【0023】
搬送供給装置14は、前後に配置されたスプロケット17(図では、進行方向前方のみ記載)と、その複数のスプロケット17に掛け渡されたエンドレスチェーン18と、そのエンドレスチェーン18に取り付けられた前側フィンガー19a,後側フィンガー19bを備える。この前側フィンガー19aと後側フィンガー19bは、前後一組となって製品13を搬送する。つまり、前側フィンガー19aと後側フィンガー19bの間隔は、製品13の前後長とほぼ等しくしており、製品13を前後から挟み込んだ状態で搬送し、物品13aが前後方向に倒れるのを防止する。また、図示省略するが、製品13の搬送路の両側には、横壁が設けられており、物品13aの横方向の移動を防止する。さらに、エンドレスチェーン18には、一組の前側フィンガー19aと後側フィンガー19bが、所定ピッチごとに複数組取り付けられている。これにより、搬送供給装置14は、製品13を安定した姿勢で搬送し、次段の包装機本体11に一定間隔で供給する。
【0024】
包装機本体11は、供給される帯状の包装フィルム15を筒状に製袋する製袋器20と、その製袋器20の下流側に配置されたセンターシール装置24と、そのセンターシール装置24の下流側に配置され、筒状の包装フィルム15を搬送するベルトコンベア23と、ベルトコンベア23の下流側に配置されたトップシール装置25と、トップシール装置25の下流側に配置された搬出コンベア26と、を備えている。
【0025】
製袋器20は、フィルム供給装置12から連続して供給される帯状の包装フィルム15を通過させることで、帯状の包装フィルム15を製品13の外形状に沿うように円筒状に形成する。この通過に伴い、フィルムの両側端縁部15a同士が接触する。また、搬送供給装置14から包装機本体11に対して順次供給される製品13は、製袋器20内に挿入される。これにより、製袋器20に供給された製品13は、筒状の包装フィルム15内に所定間隔ごとに配置される。
【0026】
センターシール装置24は、筒状の包装フィルム15の両側端縁部15aをシールする。このセンターシール装置24は、両側端縁部15aを両側から挟み込みながら加熱するとともに加圧することで熱シールしてセンターシール部42を形成する。また、本実施形態のセンターシール装置24は、一対のローラ型或いは一対のバー型のシーラ24aと、そのシーラ24aの前後に配置されたピンチローラ24b,24c等を備える。
【0027】
トップシール装置25は、包装フィルム15を、進行方向に対して直交する方向、つまり、横断する方向にシールすると共にカットするものである。そのシール・カットするフィルム部位は、前後の製品13の間の所定位置である。これにより、筒状の包装フィルム15がトップシール装置25を通過することで、包装フィルム15の先頭部分は、後続から分離され、包装体27が製造される。尚、図6は製造される包装体27の斜視図を裏返した状態で示している。
【0028】
本実施形態のトップシール装置25は、包装フィルム15を挟んで上下に対向配置される上側トップシーラ28と下側トップシーラ29を備え、それら両トップシーラ28,29のシール面28a,29aを対向させた状態を保持しながらそれぞれを所定の軌跡で公転移動させるようになっている。所定の軌跡は、例えば以下のようになる。
【0029】
上側トップシーラ28と下側トップシーラ29が離反した状態で上流側の所定位置(便宜上、初期位置と称する)に至ると、それら上側トップシーラ28と下側トップシーラ29は、下流側に移動しながら互いに接近移動して包装フィルム15を上下から挟み込み、その後、その挟み込んだ状態のまま一定区間を包装フィルム15とともに前進移動する。そして、下流側の所定位置に至ると上側トップシーラ28と下側トップシーラ29が互いに離反移動して包装フィルム15から離れる。その後、上側トップシーラ28と下側トップシーラ29は離反した状態のまま上流側に移動し、初期位置に至ると進行方向を反転して下流側に移動しながら互いに接近移動する。係る構成を採ることで、上側トップシーラ28のシール面28aと下側トップシーラ29のシール面29aで包装フィルム15を挟み込んで加熱している時間を長くすることができ、確実にシールすることができる。
【0030】
また、上側トップシーラ28には、カッター刃が内蔵されている。カッター刃は、下流側の所定位置で上側トップシーラ28と下側トップシーラ29が離反し始める前の所定のタイミングで、シール面28aよりも下方に突出し、包装フィルム15をカットする。
【0031】
本実施形態では、上述した構成のピロー包装機10において、さらに搬送中の筒状の包装フィルム15の側面を内方に押し込むサイドクランパー装置30を備える。このサイドクランパー装置30は、筒状の包装フィルム15の側面の製品13が存在していない部位に接触し、内方に押し込み可能な部材を備え、その部材により直接または間接的に物品13aが前後方向へ倒れ込むのを防止する。
【0032】
このサイドクランパー装置30は、筒状の包装フィルム15の搬送ラインの左右両側に配置される。サイドクランパー装置30は、水平面内で回転する複数のスプロケット33と、その複数のスプロケット33に掛け渡されたエンドレスチェーン35と、そのエンドレスチェーン35に所定ピッチで取り付けられた前側クランプ部材36と、そのエンドレスチェーン35に所定ピッチで取り付けられた後側クランプ部材37とを備える。スプロケット33は、回転軸が起立しており、水平面内で回転する。さらに各スプロケット33の高さも等しくしている。これにより、エンドレスチェーン35は、水平面内で回転する。
【0033】
前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、ともにエンドレスチェーン35の外周囲側に突出するように連結する。前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、ともに縦断面が略L字状となり、垂直方向に延びる部位がエンドレスチェーン35に連結され、その垂直方向に延びる部位の下側部位から水平方向に延びる部位の先端部38が包装フィルム15の側面に接触し、その側面を内方に向けて付勢する。そして、エンドレスチェーン35に連結した前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、包装フィルム15の搬送方向に沿って移動する。また、左右に配置される一対の前側クランプ部材36同士並びに一対の後側クランプ部材37同士は、それぞれの先端部38同士が対向するようにそれぞれエンドレスチェーン35に連結され、包装フィルム15の搬送方向に沿った左右の同一位置に接触し、左右両側から挟み込むように押し込み可能に構成する。また、エンドレスチェーン35の移送経路に沿ってガイドレール40が配置され、搬送方向に沿って前進移動する前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、その下面がガイドレール40に支持された状態で安定した姿勢で移動する。
【0034】
エンドレスチェーン35並びに前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の垂直方向に延びる部位は、サイドカバー部材39に覆われ、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の水平方向に延びる部位の先端側がサイドカバー部材39の下方から外側に向けて突出し、上述したように先端部38が包装フィルム15を押し込み可能に構成する。さらに、左右のサイドカバー部材39の対向する側壁は、サイドガイド部位39aとなる。そして左右に配置されるサイドカバー部材39の対向するサイドガイド部位39a間の距離は、搬送姿勢における物品13aの横幅とほぼ等しいか若干長くし、搬送途中の製品13を収納する筒状の包装フィルム15の横揺れを抑制し、まっすぐに搬送されるようにガイドする。
【0035】
前後に配置された一組の前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、製品13の前後長とほぼ等しいか或いは少し長い距離だけ離した位置関係でエンドレスチェーン35に連結する。また、一組の前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の配置ピッチは、包装フィルム15内の製品13の配置ピッチと等しくする。これにより、製袋器20内への製品13の供給タイミングを適宜に行うことで、一組の前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、製品13の前後であって当該製品13が存在しない筒状の包装フィルム15の側面に接触し、その接触した側面を内方に押し込む(図2参照)。そして、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、包装フィルム15と同速度で前進移動する。これにより、包装フィルム15の移動中、製品13の前側と後側にはそれぞれ前側クランプ部材36と後側クランプ部材37が位置するため、製品13を構成する物品13aが前方或いは後方へ倒れるのが防止される。
【0036】
さらに本実施形態では、サイドクランパー装置30の搬送方向の下流側端を、トップシール装置25の下流側に位置させ、トップシール装置25内を通過中の包装フィルム15に対しても前側クランプ部材36と後側クランプ部材37がその側面を内方に押し込んだ状態のまま下流側に向けて前進移動する。
【0037】
よって、筒状の包装フィルム15内に供給された製品13は、包装フィルム15の移動に伴い、各物品13aが起立した状態を維持し、安定して前進移動し、トップシール装置25における上側トップシーラ28,下側トップシーラ29間を通過する。これにより、包装フィルム15がトップシール装置25にて上下から挟み込まれてトップシールされる際も、トップシール装置25の前側に位置する製品13の後端側の物品13a並びに後側に位置する製品の前端側の物品13aが倒れ込むことがなく、係る倒れ込みに基づくトップシール装置25における物品13aの噛み込みの発生を抑制できる。
【0038】
また、上述したように上側トップシーラ28と下側トップシーラ29の昇降に伴う接近離反移動は、包装フィルム15の搬送位置に応じて行われ、製品13が存在しない部位をシールすべく接近移動してフィルム部位を挟み込み加圧・加熱して熱シールするが、このとき、前後に位置する後側クランプ部材37と前側クランプ部材36の間のフィルム部位を挟み込みシールするように制御する。この上側トップシーラ28と下側トップシーラ29で包装フィルム15の所定部位を挟み込んでシールする際、後側クランプ部材37と前側クランプ部材36の間に上側トップシーラ28と下側トップシーラ29が位置する状態でシールし、包装フィルム15の搬送に伴い上側トップシーラ28と下側トップシーラ29も前進移動する。これにより、前側クランプ部材36及び後側クランプ部材37は、上側トップシーラ28と下側トップシーラ29と干渉することなくトップシール装置25内を通過する。また、上側トップシーラ28と下側トップシーラ29は、後側クランプ部材37と前側クランプ部材36で側面が内方に押し込まれた状態の筒状の包装フィルム15のフィルム部位を挟み込んでシールする。よって、包装フィルム15は、左右の側面が内方に押し込まれた状態でトップシールされる。
【0039】
さらに包装フィルム15に沿って移動する前側クランプ部材36,後側クランプ部材37は、トップシール装置25の下流側に至ると、包装フィルム15の搬送面に沿って配置されたスプロケット33の周囲に沿って旋回移動して外側に退避し、包装フィルム15の側面の付勢を解除する。より具体的には、図3に示すように、最下流端側に配置したスプロケット33は、それよりも搬送方向の上流側に配置するスプロケットよりも搬送方向の左右外側に配置しており、最下流端側のスプロケット33の上流側(1個前)のスプロケットから最下流端側のスプロケット33に至るエンドレスチェーン35の経路は前方斜め外側に向けた傾斜区間となる。よって、当該一つ前のスプロケットの箇所を通過した前側クランプ部材36や後側クランプ部材37は、傾斜区間を移動することで一対の前側クランプ部材36同士や後側クランプ部材37同士は徐々に離反し、最終的にその先端部38が包装フィルム15の側面から離反する。
【0040】
また、上述したように前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、搬送方向に沿って所定間隔で前後に配置するが、各配置位置ではそれぞれ1つずつ設け、水平方向に延びる部材の先端部38が包装フィルム15の側面の上下方向の中央位置に接触し、内方に押し込むように構成する。この押し込みに伴い前側クランプ部材36と後側クランプ部材37が接触するフィルム部位に加え、前後の製品13の間の空間に位置する後側クランプ部材37と前側クランプ部材36の間に存在する包装フィルム15の側面もそのまま搬送方向に沿って線状に押し込まれた状態になる(図2参照)。
【0041】
そして上述したように、サイドクランパー装置30はトップシール装置25の下流側に至るように配置し、トップシール装置25で包装フィルム15をシール・カットする際も前側クランプ部材36と後側クランプ部材37で包装フィルム15の側面を内側に押し込んだ状態のまま行う。その結果、前後の製品13の間の空間に位置する後側クランプ部材37と前側クランプ部材36の間の包装フィルム15の両側面は、内方に折り込まれた状態となり、その包装フィルム15は、折り込まれた状態のまま上側トップシーラ28と下側トップシーラ29で挟み込まれて熱シールされる。そして、この熱シールする際には、上側トップシーラ28と下側トップシーラ29の前後の付近には後側クランプ部材37と前側クランプ部材36がそれぞれ存在し両トップシーラの外側に位置する包装フィルム15の側面を内方に押し込んでいるため、熱シールされた部位にはトップシール部41が形成され、そのトップシール部41の近くにはガゼット43が形成される。
【0042】
さらに本実施形態では、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の水平方向に延びる部位の先端部38を高さ方向に厚みのある形状にしている。厚みのある形状は、高さ方向の寸法にばらつきがある物品13aに変動する製品13の中心位置、すなわち上下方向の中央位置であり左右方向で最も外側に突出する部位の変動範囲を許容する構成にする。これにより、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の先端部38が、必ず寸法形状にばらつきのある物品13aに対応して筒状の包装フィルム15の左右方向の最も外側に突出するフィルム部位に接触する。また、先端部38は、四角形状で平坦面とし、本実施形態ではその高さは例えば10mm程度にしている。また、平坦面からなる先端部38は、包装フィルム15及び製品13の搬送面に対して直交する垂直面上に位置するとよい。平坦面にすると、包装フィルムの側面をよりまっすぐに綺麗に押し込むことができる。
【0043】
物品13aがビスケット等の食品の場合、寸法形状にばらつきが生じることがある。そして物品13aの寸法形状のばらつきから製品13の高さひいては筒状に形成される包装フィルム15の高さが製品13ごとに多少ばらつく。これに伴い、製品13ひいては筒状の包装フィルム15の中心位置も上下する。そして、この中心位置が、筒状の包装フィルム15の左右の側面における最も外側に突出する部位となる。一方、前側クランプ部材36及び後側クランプ部材37は、高さ方向の位置が一定のまま製袋器20を通過して筒状に形成された包装フィルム15の側面に接触して内方に押し込む。このとき、包装フィルム15に接触する先端部38の高さ方向の長さを大きくしたため、寸法形状にばらつきに伴い包装フィルム15の中心位置が上下に変位しても包装フィルム15の最も外側に突出する部位が最初に先端部38に接触し、水平方向の内方に向けてまっすぐ付勢されて押し込まれる(図4(b)参照)。よって、包装フィルム15に対して斜め上方や斜め下方へ付勢する成分がないか極めて少なくなるため、筒状の包装フィルム15は上下に暴れることなく搬送されるとともに、包装フィルム15の側面もその中央部位は内方に押し込まれる。そして、最終的に綺麗なガゼットが形成される。
【0044】
また、包装フィルム15を挟み込んだ上側トップシーラ28と下側トップシーラ29の前後に位置する前側クランプ部材36及び後側クランプ部材37が、そのトップシーラの先端部38の高さHに基づく所定の距離、例えば高さの半分(H/2)以上の距離Lをトップシーラから離して配置するとよい(図5参照)。このようにすると、上側トップシーラ28と下側トップシーラ29で包装フィルム15が挟み込まれることで、筒状の包装フィルム15は、製品13が収納される本体部分の上面側からトップシール部に向けて下方傾斜状のフィルム部位が形成され、同様に本体部分の下面側からトップシール部に向けて上方傾斜状のフィルム部位が形成される。本実施形態のように距離Lを離すことで、この傾斜状のフィルム部位が形成される際に、前側クランプ部材36並びに後側クランプ部材37が干渉することを抑制し、所望の綺麗な形状からなる包装体27を製造することが可能となる。
【0045】
また、上述した実施形態では、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は、それぞれ略L字状に形成し、水平方向に延びる部位は略直方体とし平面視で長方形状としたが、その形状は任意であり、例えば平面視で先端部38側が狭くなるように例えば三角形状や台形形状などとしてもよい。先端部38の形状も高さ方向の幅が所定以上あればその形状は各種のものがとれ、必ずしも平坦面にする必要は無く、平面視で三角形状にした場合のように先端部38は垂直方向に伸びる線状にしてもよい。但し、平坦面状或いは直線状で垂直方向に延びるようにするとよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、移動手段はスプロケット33に掛け渡されたエンドレスチェーン等により構成され、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37は同じエンドレスチェーン35に取り付けられるように構成したが、本発明はこれに限ることはなく、例えばエンドレスチェーンを2本併設し、前側クランプ部材36と後側クランプ部材37をそれぞれ別々のエンドレスチェーンに取り付けるようにしたり、エンドレスチェーン以外の部材で移動させたりするようにしてもよい。
【0047】
また上述した実施形態では、製品13は円盤状の複数の物品13aを搬送方向に沿って前後1列に配置した集積品としたが、その物品13aの形状は円盤状に限ることなく、例えば、球状または円柱状など筒状の包装フィルム15内で搬送時の姿勢や相対的な位置が変わるおそれがある形状のものとするとよい。そのような形状の物品13aからなる製品13の前後を前側クランプ部材36と後側クランプ部材37で抑えることでかかる変化を抑制できるのでよい。姿勢の変化は、例えば前後方向に倒れたり、その場で垂直方向を回転軸として回転したりするものなどがある。また、実施形態では、製品13は複数の物品13aからなる集積品を例にしたが、例えば1つの物品13aから構成されるものでも良い。
【0048】
また、物品13aは寸法形状にばらつきがあるものに限ることはなく、寸法形状が同じ定形品に対しても適用可能である。製品13を筒状に包み込むように製袋した包装フィルム15の形状特に高さが、例えば包装フィルム15の物性(例えば、材質、厚み、腰の強さなど)の違いによりばらつくような場合、片持ち構造の前側クランプ部材36と後側クランプ部材37の取り付け精度がばらつく場合であっても、本発明を適用することで包装フィルムの側面の上下方向中央部位を、搬送方向に対して直交する幅方向の中央にむかって押し込むことができる。
【0049】
以上、本発明の様々な側面を実施形態を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0050】
10 :ピロー包装機
11 :包装機本体
12 :フィルム供給装置
13 :製品
13a :物品
14 :搬送供給装置
15 :包装フィルム
15a :両側端縁部
16 :原反フィルム
20 :製袋器
24 :センターシール装置
25 :トップシール装置
26 :搬出コンベア
27 :包装体
28 :上側トップシーラ
29 :下側トップシーラ
30 :サイドクランパー装置
33 :スプロケット
35 :エンドレスチェーン
36 :前側クランプ部材
37 :後側クランプ部材
38 :先端部
39 :サイドカバー部材
39a :サイドガイド部位
40 :ガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6