(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099430
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】焼却対象物運搬車誘導装置、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20240718BHJP
B65F 5/00 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
F23G5/50 G
F23G5/50 Q
B65F5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003370
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】福川 宙季
(72)【発明者】
【氏名】森田 啓
【テーマコード(参考)】
3E025
3K062
【Fターム(参考)】
3E025AA04
3E025CA12
3E025DE03
3E025EA01
3E025EA02
3E025EA06
3K062AC01
3K062BA02
3K062CA05
3K062CA08
3K062CB01
3K062DA38
3K062DB30
(57)【要約】
【課題】本発明は、焼却対象物の投入を推奨する投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる焼却対象物運搬車誘導装置、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の焼却対象運搬車誘導装置は、焼却対象物を焼却施設に運搬する焼却対象物運搬車を、前記焼却対象物を貯留する貯留部に備えられた、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する装置であって、焼却対象物の高さを測定する高さ測定部1と、焼却対象物の種類についての前記焼却対象物の混じり具合いを表す撹拌状態を求める撹拌状態処理部2と、前記測定した焼却対象物の高さおよび前記求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定部34と、前記選定した推奨投入口に前記焼却対象物運搬車を誘導する誘導部4とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する焼却対象物運搬車誘導装置であって、
前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理部と、
前記撹拌状態処理部で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定部とを備える、
焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項2】
前記貯留部に貯留されている焼却対象物の高さを測定する高さ測定部と、
前記推奨投入口選定部で選定した推奨投入口に前記焼却対象物運搬車を誘導する誘導部とをさらに備え、
前記貯留状態情報は、前記高さ測定部で測定した焼却対象物の高さをさらに含み、
前記貯留部の水平面には、前記複数の投入口それぞれに対応付けられた複数の投入領域が設定されており、
前記高さ測定部は、前記複数の投入領域ごとに前記焼却対象物の高さを測定し、
前記撹拌状態処理部は、前記複数の投入領域ごとに前記焼却対象物の撹拌状態を求め、
前記推奨投入口選定部は、前記複数の投入口それぞれについて、当該投入口に対応する投入領域における前記高さ測定部で測定した焼却対象物の高さ、および、当該投入口に対応する投入領域における前記撹拌状態処理部で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、当該投入口に対する前記貯留状態情報を求め、前記求めた複数の投入口それぞれに対応する複数の貯留状態情報を相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する、
請求項1に記載の焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項3】
前記撹拌状態処理部は、
前記貯留部に貯留されている焼却対象物の画像を生成する撮像部と、
前記画像において、前記焼却対象物の種類ごとに前記焼却対象物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、
前記識別抽出部で抽出した前記焼却対象物の種類ごとの各占有領域に基づいて、前記焼却対象物の撹拌状態を求める状態評価部とを備え、
前記貯留状態情報は、さらに、前記識別抽出部で識別した焼却対象物の種類に関する種類情報を含む、
請求項2に記載の焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項4】
前記推奨投入口選定部は、前記複数の投入口それぞれについて、当該投入口に対する貯留状態情報に基づいて、推奨の高さを表す評価値を求め、前記求めた複数の投入口それぞれに対応する複数の評価値を相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する、
請求項2に記載の焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項5】
前記推奨投入口選定部は、前記貯留部に貯留されている焼却対象物を扱うクレーンの位置を表すクレーン位置情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定する、
請求項2に記載の焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項6】
前記推奨投入口選定部は、前記投入口に備えられた扉の開閉状態を表す扉開閉情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定する、
請求項2に記載の焼却対象物運搬車誘導装置。
【請求項7】
焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する焼却対象物運搬車誘導方法であって、
前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理工程と、
前記撹拌状態処理工程で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定工程とを備える、
焼却対象物運搬車誘導方法。
【請求項8】
焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する焼却対象物運搬車誘導プログラムであって、
コンピュータに、
前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理工程と、
前記撹拌状態処理工程で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定工程とを実行させるための焼却対象物運搬車誘導プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼却対象物の運搬車を、前記焼却対象物の貯留部における投入口に誘導する焼却対象物運搬車誘導装置、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象汚運搬車誘導プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばゴミ焼却施設等の焼却施設には、例えばゴミ収集車等の、焼却対象物を運搬する車両(焼却対象物運搬車、以下、適宜、「運搬車」と略記する)によって焼却対象物が搬入され、焼却炉で燃焼され、焼却処理される。前記焼却対象物は、例えば、所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物等である。前記運搬車によって搬入された焼却対象物は、投入口から、例えばピット等の貯留部に投入されて貯留される。この貯留部に貯留された焼却対象物は、その種類を均一化するためにクレーンによって必要に応じて撹拌され、焼却処理のためにクレーンによって貯留部から燃焼炉へ搬出される。前記投入口は、通常、複数、貯留部に備えられているため、焼却対象物の投入を推奨する投入口に運搬車を誘導する技術が知られており、例えば、特許文献1に開示された技術がある。
【0003】
この特許文献1に開示されたごみ管理システムは、予め風袋重量が登録された車両を受け入れる受入エリアと、複数の荷降場を有するプラットホームと、前記プラットホームに隣接配置されるごみピットとを備えるごみ処理施設において、車両により前記プラットホームに搬入されて前記荷降場から前記ごみピットに投入されるごみの貯留状態を管理するごみ管理システムであって、前記受入エリアにおいて、車両から当該車両を特定する特定情報を取得する入場車両特定手段と、前記受入エリアにおいて、車両の重量を計量してごみ積載重量を得る計量手段と、前記計量手段によって計量されたごみ積載重量と車両の風袋重量との差分からごみ重量を算出し、算出されたごみ重量とごみの見かけ比重とに基づいてごみ体積を算出するごみ体積算出手段と、前記入場車両特定手段によって取得された特定情報と、前記ごみ体積算出手段によって算出されたごみ体積とを関連付けてごみ搬入データを生成するデータ生成手段と、前記ごみ搬入データを記録する記録手段と、前記受入エリアから前記プラットホームへの搬入経路において、車両から当該車両を特定する特定情報を取得するプラットホーム車両特定手段と、前記ごみピットに貯留されているごみのレベルを測定するごみレベル測定手段と、前記複数の荷降場のうちの何れかの荷降場へと車両を誘導する誘導手段と、を備え、前記誘導手段は、前記プラットホーム車両特定手段によって取得された特定情報に基づいて、前記記録手段に記録された前記ごみ搬入データから関連するごみ体積を取得するとともに、当該ごみ体積と前記レベル測定手段の測定結果とに基づいて、前記ごみピット内のごみが所望の貯留状態となるように前記複数の荷降場のうちから誘導すべき荷降場を選択し、選択した荷降場へと車両を誘導する。より具体的には、前記誘導手段は、前記ごみピットに貯留されているごみのレベルが所定値未満の場合、前記複数の荷降場のうち、前記ごみピットを前記複数の荷降場に対応するように分割して区画される複数のエリアにおけるごみのレベルが相対的に低いエリアに対応する荷降場へと車両を優先的に誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されたごみ管理システムは、ごみピットの複数のエリアのうちの特定エリアにごみが過剰に貯留されることなく、複数のエリアにおいてごみがある程度均一に貯留される貯留状態とすることができる。
【0006】
ところで、貯留部に貯留されている焼却対象物は、上述したように、その種類を均一化するためにクレーンによって必要に応じて撹拌されるが、未撹拌の焼却対象物の上に、運搬車から焼却対象物が新たに投入されると、前記新たに投入された焼却対象物で、前記未撹拌の焼却対象物が埋もれてしまうため、必要な撹拌が実施できなくなる虞がある。前記特許文献1に開示されたごみ管理システムは、複数のエリアにおいてごみがある程度均一に貯留されるように、車両を荷降場に誘導するので、このような虞が生じ得る。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、焼却対象物の投入を推奨する投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる焼却対象物運搬車誘導装置、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象汚運搬車誘導プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる焼却対象運搬車誘導装置は、焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する装置であって、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理部と、前記撹拌状態処理部で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定部とを備える。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記撹拌状態処理部は、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の画像を生成する撮像部と、前記画像において、前記焼却対象物の種類ごとに前記焼却対象物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、前記識別抽出部で抽出した前記焼却対象物の種類ごとの各占有領域に基づいて、前記焼却対象物の撹拌状態を求める状態評価部とを備える。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記状態評価部は、前記焼却対象物の種類ごとの各占有領域に基づいて、撹拌済みの撹拌領域を求め、前記求めた撹拌領域の大きさに基づいて、前記焼却対象物の撹拌状態を求める。好ましくは、前記状態評価部は、前記焼却対象物の撹拌状態を、撹拌の度合い(撹拌の程度)を表す撹拌度で求める。好ましくは、前記識別抽出部は、前記画像において、前記焼却対象物の種類ごとに前記焼却対象物の占有領域を識別する機械学習モデルを含む。
【0009】
このような焼却対象物運搬車誘導装置は、焼却対象物の撹拌状態を含む、貯留状態情報に基づいて推奨投入口を選定するので、推奨投入口の選定の際に、貯留部に貯留された未撹拌の焼却対象物を勘案できるから、推奨投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる。
【0010】
他の一態様では、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の高さを測定する高さ測定部と、前記推奨投入口選定部で選定した推奨投入口に前記焼却対象物運搬車を誘導する誘導部とをさらに備え、前記貯留状態情報は、前記高さ測定部で測定した焼却対象物の高さをさらに含み、前記貯留部の水平面には、前記複数の投入口それぞれに対応付けられた複数の投入領域が設定されており、前記高さ測定部は、前記複数の投入領域ごとに前記焼却対象物の高さを測定し、前記撹拌状態処理部は、前記複数の投入領域ごとに前記焼却対象物の撹拌状態を求め、前記推奨投入口選定部は、前記複数の投入口それぞれについて、当該投入口に対応する投入領域における前記高さ測定部で測定した焼却対象物の高さ、および、当該投入口に対応する投入領域における前記撹拌状態処理部で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、当該投入口に対する前記貯留状態情報を求め、前記求めた複数の投入口それぞれに対応する複数の貯留状態情報を相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記高さ測定部は、焼却対象物の実高さhrを所定の基準高さhnで規格化(除算)した規格化高さhr/hnを前記焼却対象物の高さHとする。好ましくは、前記基準高さhnは、前記複数の投入口ごとに設定される。
【0011】
このような焼却対象物運搬車誘導装置では、複数の投入口それぞれに対応付けられた複数の投入領域が設定され、前記複数の投入領域それぞれでの各貯留状態情報が求められ、これらが相互に比較されることによって推奨投入口が選定されることになる。このため、上記焼却対象物運搬車誘導装置は、投入口に対応付けられた投入領域での貯留状態、例えば、推奨投入口の選定に適した、投入口に近い投入領域、での貯留状態、によって、推奨投入口を選定できるから、推奨投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記撹拌状態処理部は、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の画像を生成する撮像部と、前記画像において、前記焼却対象物の種類ごとに前記焼却対象物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、前記識別抽出部で抽出した前記焼却対象物の種類ごとの各占有領域に基づいて、前記焼却対象物の撹拌状態を求める状態評価部とを備え、前記貯留状態情報は、さらに、前記識別抽出部で識別した焼却対象物の種類に関する種類情報を含む。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記種類情報は、前記焼却対象物の種類ごとの占有領域数Kk(k=1、2、・・・、nは、種類の総数)である。
【0013】
このような焼却対象物運搬車誘導装置は、焼却対象物の高さおよび撹拌状態に加えて種類情報を含む、貯留状態情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定できる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記推奨投入口選定部は、前記複数の投入口それぞれについて、当該投入口に対する貯留状態情報に基づいて、推奨の高さを表す評価値を求め、前記求めた複数の投入口それぞれに対応する複数の評価値を相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記推奨投入口選定部は、当該投入口に対する貯留状態情報を構成する構成要素の線形和(線形結合)である評価式によって前記評価値を求める。好ましくは、前記構成要素は、焼却対象物の高さHおよび前記焼却対象物の撹拌度Mであり、前記評価式EFは、aおよびbを各項の係数とした場合に、a×H+b×Mである。好ましくは、前記種類情報は、前記焼却対象物の種類ごとの占有領域数Kk(k=1、2、・・・、nは、種類の総数)であり、前記構成要素は、焼却対象物の高さH、前記焼却対象物の撹拌度Mおよび前記焼却対象物の種類ごとの占有領域数Kkであり、前記評価式EFは、a、bおよびckを各項の係数とした場合に、a×H+b×M+Σ(ck×Kk)(Σはkについて1からnまでの和)である。好ましくは、各項の係数は、前記複数の投入口ごとに設定される。好ましくは、焼却対象物の高さHの項の係数aは、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整される。好ましくは、焼却対象物の高さHの項の係数aは、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整され、前記焼却対象物の撹拌度Mの項の係数bは、前記焼却対象物の高さHが低いほど大きくなるように調整される。好ましくは、焼却対象物の高さHの項の係数aは、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整され、前記焼却対象物の撹拌度Mの項の係数bおよび前記焼却対象物の種類ごとの占有領域数Kkの各項の各係数ckは、前記焼却対象物の高さHが低いほど大きくなるように調整される。好ましくは、焼却対象物の高さHの項の係数aは、誘導対象の焼却対象物運搬車に運搬されている焼却対象物の重量が多いほど大きくなるように調整される。
【0015】
このような焼却対象物運搬車誘導装置は、推奨の高さを表す評価値を求め、これら求めた複数の投入口それぞれに対応する複数の評価値を相互に比較することによって、推奨投入口を選定するので、推奨投入口を選定する際に、複数の投入口を数値で客観的に比較できる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記推奨投入口選定部は、前記貯留部に貯留されている焼却対象物を扱うクレーンの位置を表すクレーン位置情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定する。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記クレーン位置情報は、現在のクレーンの位置を含む。好ましくは、上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記クレーン位置情報は、現在のクレーンの位置および次動作の目標位置を含む。
【0017】
このような焼却対象物運搬車誘導装置は、推奨投入口を選定する際に、貯留状態情報に加えてクレーンの位置情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定でき、クレーンの位置も勘案できる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の焼却対象物運搬車誘導装置において、前記推奨投入口選定部は、前記投入口に備えられた扉の開閉状態を表す扉開閉情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定する。
【0019】
このような焼却対象物運搬車誘導装置は、推奨投入口を選定する際に、貯留状態情報に加えて扉開閉情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定でき、扉の開閉状態も勘案できる。
【0020】
本発明の他の一態様にかかる焼却対象物運搬車誘導方法は、焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する方法であって、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理工程と、前記撹拌状態処理工程で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定工程とを備える。
【0021】
本発明の他の一態様にかかる焼却対象物運搬車誘導プログラムは、焼却対象物を貯留する貯留部を備える焼却施設に前記焼却対象物を運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する焼却対象物運搬車を、前記貯留部に備えられ、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する複数の投入口、のうち、前記焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導するプログラムであって、コンピュータに、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理工程と、前記撹拌状態処理工程で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定工程とを実行させるためのプログラムである。
【0022】
このような焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムは、焼却対象物の撹拌状態を含む、貯留状態情報に基づいて推奨投入口を選定するので、推奨投入口の選定の際に、貯留部に貯留された未撹拌の焼却対象物を勘案できるから、推奨投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明にかかる焼却対象物運搬車誘導装置、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象汚運搬車誘導プログラムは、焼却対象物の投入を推奨する投入口に焼却対象物運搬車をより適切に誘導できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施形態における焼却対象物運搬車誘導装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】一例として、ごみピット周りの焼却施設の構成を示す概略図である。
【
図3】前記焼却対象物運搬車誘導装置における投入領域を説明するための図である。
【
図4】前記焼却対象物運搬車誘導装置における焼却対象物の高さに関する変形形態を説明するための図である。
【
図5】前記焼却対象物運搬車誘導装置における占有領域を説明するための図である。
【
図6】前記焼却対象物運搬車誘導装置における第2態様の誘導出力部を説明するための図である。
【
図7】前記焼却対象物運搬車誘導装置における動作を示すフローチャートである。
【
図8】前記焼却対象物運搬車誘導装置の第1変形態様を説明するための図である。
【
図9】前記焼却対象物運搬車誘導装置の第2変形態様を説明するための図である。
【
図10】前記焼却対象物運搬車誘導装置の第3変形態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0026】
実施形態における焼却対象物運搬車誘導装置は、焼却対象物運搬車を、焼却施設の貯留部に備えられた複数の投入口のうち、焼却対象物の投入を推奨する推奨投入口に誘導する装置である。前記焼却対象物は、所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物等であり、例えばごみや廃品等である。前記焼却施設は、焼却対象物を焼却する施設であり、例えばごみ焼却工場や焼却対象物の焼却熱を利用した発電所等である。前記貯留部は、前記焼却施設に備えられ、焼却対象物を貯留する場所であり、例えばごみピット等である。前記投入口は、焼却対象物を貯留部に投入する開口である。前記焼却対象物運搬車は、焼却対象物を焼却施設に運搬し、前記焼却対象物を前記貯留部に投入する車両であり、例えばゴミ収集車や廃品回収車等である。このような焼却対象物運搬車誘導装置は、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の撹拌状態を求める撹拌状態処理部と、前記撹拌状態処理部で求めた焼却対象物の撹拌状態を含む、前記貯留部に貯留されている焼却対象物の貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する推奨投入口選定部とを備える。以下、このような焼却対象物運搬車誘導装置ならびにこれに実装される焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムについて、ごみ(焼却対象物の一例)を焼却するごみ焼却工場(焼却施設の一例)に前記ごみを運搬するごみ収集車(焼却対象物運搬車の一例)の誘導を例に、より具体的に説明する。
【0027】
図1は、実施形態における焼却対象物運搬車誘導装置の構成を示すブロック図である。
図2は、一例として、ごみピット周りの焼却施設の構成を示す概略図である。
図2Aは、ごみピット周りを平面視した概略図であり、
図2Bは、ごみピット周りを側面視した概略図である。
図3は、前記焼却対象物運搬車誘導装置における投入領域を説明するための図である。
図4は、前記焼却対象物運搬車誘導装置における焼却対象物の高さに関する変形形態を説明するための図である。
図4Aは、前記変形形態の第1態様を説明するための図であり、
図4Bは、前記変形形態の第2態様を説明するための図である。
図5は、前記焼却対象物運搬車誘導装置における占有領域を説明するための図である。
図6は、前記焼却対象物運搬車誘導装置における第2態様の誘導出力部を説明するための図である。
【0028】
実施形態における焼却対象物運搬車誘導装置Sは、例えば、
図2に示す、ごみを運搬するごみ収集車VCを、前記ごみを受け入れて貯留するごみピットPTに設けられた複数の投入口DAのうち、運搬してきたごみの投入を推奨する推奨投入口に誘導するために用いられる。
【0029】
ごみピットPTは、例えば、ごみを焼却するごみ焼却施設に設けられ、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)である。ごみピットPTには、クレーンガータCGに支持されクレーンガータCGから吊り下げされたクレーンCRが備えられている。
図2に示すようにXYZ直交座標系を設定した場合、クレーンCRは、クレーンガータCGに対しZ方向(
図2Bの紙面上下方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGに案内されてY方向(
図2Bの紙面左右方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGは、X方向に延びる、図略のランウェイレールに案内されてX方向(
図2Bの紙面前後方向)に沿って移動可能に構成される。これによってクレーンCRは、Z方向、Y方向およびX方向の3次元の各方向に移動可能に構成されている。
【0030】
ごみピットPTを収容する建屋において、ごみピットPTの一方壁面から前記建屋の天井に向かって延長される前記建屋の側壁には前記複数の投入口DAがX方向に沿って所定の間隔(第1間隔)を開けて並置するように設けられている。投入口DAには、その矩形形状の開口を開閉するための扉DRが設けられている。
図2に示す例では、5個の第1ないし第5投入口DA-1~DA-5が設けられており、これに対応して5個の第1ないし第5扉DR-1~DR-5が設けられている。前記複数の投入口DAに対し、ごみピットPTの配設側の反対側には、ごみ収集車VCが通行し、積載されたごみを投入口DAからごみピットPTに投入する際にごみ収集車VCが駐停車するための平面のスペースであるプラットホームPHが設けられている。ごみピットPTの他方壁面側には、ごみピットPTに隣接して投入ホッパHPが設けられている。投入ホッパHPは、
図2に示す例では、3個の第1ないし第3投入ホッパHP-1~HP-3が設けられており、それぞれ、図略の焼却炉に繋がっている。
【0031】
ごみ収集車VCによって運搬されたごみは、投入口DAからごみピットPTに投入され、ごみピットPTに貯留される。ごみピットPTに貯留されたごみは、例えばオペレータ(ユーザ)の判断によって必要に応じてクレーンCRで均されたり撹拌されたり等される。ごみピットPTに貯留されたごみは、ごみピットPTからクレーンCRによって掴み上げられたごみが投入ホッパHPに投入されることで、ごみが焼却炉に導入され、焼却される。このようなクレーンCRの運用を制御するためのコンソール(制御卓)CLがオペレーションルーム(運用室、中央制御室)ORに配置される。オペレーションルームORは、ごみピットPTに貯留されているごみおよびクレーンCR等をオペレータが視認可能に、ごみピットPTに隣接して配設される。なお、投入口DAの個数や投入ホッパHPの個数は、任意であり、
図2に示す例に限られない。
【0032】
このようなごみピットPTに備えられた複数の投入口DAのうち、推奨投入口に誘導する実施形態の焼却対象物運搬車誘導装置Sは、例えば、
図1に示すように、高さ測定部1と、撹拌状態処理部2と、制御処理部3と、誘導部4と、記憶部8とを備え、
図1に示す例では、さらに、入力部5と、出力部6と、インターフェース部(IF部)7とを備える。
【0033】
高さ測定部1は、制御処理部3に有線または無線で接続され、制御処理部3の制御に従ってごみピットPT(前記貯留部の一例)に貯留されているごみの高さを測定する装置である。高さ測定部1は、例えば、
図2に示すように、ごみピットの上面全体を俯瞰できるようにごみピットPTの上方に、例えば斜め上方からごみピットPTを俯瞰するようにごみピットPTの他方壁面の延長上における所定の高さの第1配設位置(X01、Y01、Z01)に、配設される。あるいは、例えば、高さ測定部1は、ごみピットPTの中央位置上方(直上)に配設されてもよい。高さ測定部1は、例えば、ごみピットPTに貯留されているごみの上面を所定の間隔(第2間隔)を開けて走査しながら、前記ごみの上面までの距離を測定し、前記距離の点群データとして出力するレーザ距離計等である。なお、1個のレーザ距離計でごみピットの上面全体を測定できない場合には、複数のレーザ距離計が用いられてもよい。高さ測定部1の一例であるレーザ距離計1は、その測定した点群データを制御処理部3に出力する。ごみの高さは、前記ごみの上面までの距離とその際の測定方向とごみピットPTの深さ寸法とに基づいて換算される。
【0034】
撹拌状態処理部2は、ごみピットPTに貯留されているごみの種類についての前記ごみの混じり具合いを表す撹拌状態を求めるものである。
【0035】
本実施形態では、複数の投入口DAそれぞれに対応する各貯留状態情報を求め、推奨投入口の選定に当たって前記複数の投入口DAを前記求めた各貯留状態情報に基づき評価するために、例えば
図3に示すように、ごみピットPTにおける、高さ方向(
図2および
図3に示す例ではZ方向)に沿う線分を法線とする水平面(
図2および
図3に示す例ではXY平面)には、前記複数の投入口DAそれぞれに対応付けられた複数の投入領域ARが設定されている。
図2および
図3に示す例では、5個の第1ないし第5投入口DA-1~DA-5に対応して5個の第1ないし第5投入領域AR-1~AR-5が設けられており、
図3には、そのうちの第1ないし第3投入領域AR-1~AR-3が図示され、残余の図示が省略されている。投入領域ARは、所定のサイズ(面積)で所定の形状、例えば矩形形状で設定されている。例えば、第1投入口DA-1に対応する第1投入領域AR-1は、点(X1、Y1)、点(X2、Y1)、点(X2、Y2)および点(X1、Y2)の4点を各頂点とする矩形であり、第2投入口DA-2に対応する第2投入領域AR-2は、点(X3、Y1)、点(X4、Y1)、点(X4、Y2)および点(X3、Y2)の4点を各頂点とする矩形であり、第3投入口DA-3に対応する第3投入領域AR-3は、点(X5、Y1)、点(X6、Y1)、点(X6、Y2)および点(X5、Y2)の4点を各頂点とする矩形である。投入領域ARのサイズおよび形状は、予め適宜に設定される。複数の投入領域ARは、重複せずに独立するように設定されてよく、あるいは、端部分において、一部で重複してもよい。
【0036】
そして、本実施形態では、高さ測定部1は、複数の投入領域ARごとにごみの高さHを測定し、撹拌状態処理部2は、前記複数の投入領域ARごとに前記ごみの撹拌状態mを求める。
【0037】
高さ測定部1が本実施形態では点群データを出力するので、前記ごみの高さHは、前記点群データに基づき求められる各測定点の各高さのうちの最大値とされる。あるいは、前記ごみの高さHは、最小値、平均値および中央値のうちのいずれかとされてよい。あるいは、
図4Aに示すように、前記ごみの高さHは、ごみの実高さhrを所定の基準高さhnで規格化(除算)した規格化高さhr/hnとされてもよい。
図4Aに示す例では、前記基準高さhnは、投入口DAの下端までの高さとされたが、任意であり、適宜に設定される。前記基準高さhnは、
図4Bに示すように、前記複数の投入口DAごとに設定されてよい。
図4Bに示す例では、第1投入口DA-1には、第1基準高さhn1が設定され、第2および第3投入口DA-2、DA-3には、第1基準高さhn1より低い第2基準高さhn2が設定されている(hn1>hn2)。ごみピットPTの壁面付近では、クレーンCRの操作がごみピットPTの中央付近における操作に較べて容易ではないため、ごみピットPTの壁面付近に貯留されるごみを少なくしたいとき、この点を、投入口DAごとの基準高さhnを異ならせることで、推奨投入口の選定に反映できる。なお、
図4Aおよび
図4Bには、第1ないし第3投入口DA-1~DA-3が図示され、残余の図示が省略されている。
【0038】
図1に戻って、撹拌状態処理部2は、本実施形態では、例えば、撮像部21と、識別抽出部22(32)と、状態評価部23(33)とを備える。
【0039】
撮像部21は、制御処理部3に有線または無線で接続され、制御処理部3の制御に従ってごみピットPTに貯留されているごみの画像を生成する装置である。撮像部21は、例えば、
図2に示すように、ごみピットPTの上面全体を撮像できるようにごみピットPTの上方、例えば斜め上方からごみピットPTを俯瞰するようにごみピットPTの一方壁面の延長上における所定の高さの第2配設位置(X02、Y02、Z02)に配設される。あるいは、例えば、撮像部21は、ごみピットPTの中央位置上方(直上)に配設されてもよい。撮像部21は、例えば、デジタルカメラ等である。なお、1個のデジタルカメラでごみピットの上面全体を撮像できない場合には、複数のデジタルカメラが用いられてもよい。撮像部21は、その生成したごみの画像を制御処理部3に出力する。
【0040】
識別抽出部22(32)は、撮像部21で生成したごみの画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出するものであり、本実施形態では、制御処理部3に機能的に構成される。
【0041】
識別抽出部22(32)は、例えば、撮像部21で生成した前記画像において、ごみの種類ごとにごみの占有領域を識別する機械学習済みの機械学習モデルを含む。この機械学習モデルは、本実施形態では、ごみの画像が入力されると、前記ごみの画像から、ごみを写し込んだ画像領域を前記ごみの占有領域としてごみの種類ごとに識別してその位置および大きさ(サイズ、面積、画素数)を特定し、前記識別したごみの占有領域に対し、識別の信頼性の程度を表す信頼度を百分率で求め、これらごみの占有領域(位置、大きさ)、そのごみの種類(種別)およびその信頼度を出力する。前記機械学習モデルは、例えば、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク(neural Network)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、ベイジアンネットワーク、決定木、ランダムフォレスト(random forest)等の機械学習に用いる公知の手法を利用したモデルを備えて構成される。本実施形態では、前記機械学習モデルには、ニューラルネットワークの1つである畳み込みニューラルネットワーク(Convolution neural network、CNN)が用いられ、その機械学習によってCNNのパラメータが決定され、その識別力が獲得される。前記機械学習には、例えば、教師ありの複数のごみ画像を備える学習データセットが用いられる。
【0042】
そして、識別抽出部22(32)は、前記機械学習モデルで識別したごみの占有領域に対し、前記機械学習モデルから出力された信頼度に基づいてごみであるか否かを最終的に判定する。より具体的には、識別抽出部22(32)は、前記機械学習モデルから出力された信頼度と前記信頼度と共に前記機械学習モデルから出力されたごみの種類に応じた判定閾値とを比較し、前記信頼度が前記判定閾値以上である場合に、最終的にごみの占有領域と判定し、前記信頼度が前記判定閾値未満である場合に、最終的にごみの占有領域と判定しない。
【0043】
このように機械学習モデルと閾値判定とを組み合わせることで、より精度よくごみの占有領域が抽出できる。そして、本実施形態では、ごみの種類ごとに判定閾値が用意できるので、ごみの種類に応じた属性(例えば識別のし易さ等)を考慮してごみを識別でき、より精度よくごみの占有領域が抽出できる。
【0044】
このような識別抽出部22(32)は、例えば第1投入領域AR-1におけるごみの画像を前記機械学習モデルによって処理すると、ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別し、前記ごみの占有領域(位置、大きさ)およびそのごみの種類を求め、
図5Aに示すように、前記機械学習モデルで識別したごみの占有領域に対し、前記機械学習モデルから出力された信頼度に基づいてごみであるか否かを最終的に判定する。
図5に示す例では、ごみの種類A(例えば草木ゴミ)、ごみの種類B(例えば袋ゴミ)およびごみの種類C(例えば汚泥)が識別され、ごみの種類A、ごみの種類Bおよびごみの種類Cそれぞれの各占有領域が矩形でピット画像上に表示される。前記矩形の表示位置およびその大きさで、占有領域の位置および大きさが表示されている。
図5では、ごみの種類Aの占有領域は、実線の矩形で図示され、ごみの種類Bの占有領域は、破線の矩形で図示され、ごみの種類Cの占有領域は、二点鎖線の矩形で図示されている。
図5Aに示す例では、ごみの種類Aのみが識別され、抽出されている。同様に、第2投入領域AR-2におけるごみの画像を処理すると、
図5Bに示す識別抽出結果が得られ、この
図5Bに示す例では、ごみの種類Aおよびごみの種類Bのみが識別され、抽出されている。同様に、第3投入領域AR-3におけるごみの画像を処理すると、
図5Cに示す識別抽出結果が得られ、この
図5Cに示す例では、ごみの種類Aおよびごみの種類Cのみが識別され、抽出されている。
【0045】
状態評価部23(33)は、識別抽出部22(32)で抽出したごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、ごみの撹拌状態を求めるものであり、本実施形態では、制御処理部3に機能的に構成される。より具体的には、本実施形態では、状態評価部23(33)は、ごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、撹拌済みの撹拌領域を求め、前記求めた撹拌領域の大きさに基づいて、前記ごみの撹拌状態を求める。より詳しくは、状態評価部23(33)は、ごみの撹拌状態を、撹拌の度合い(撹拌の程度)を表す撹拌度Mで求める。前記撹拌済みの撹拌領域は、撹拌によって識別抽出部22(32)でごみの種類が識別できなくなる領域であるので、投入領域AR全体から、識別抽出部22(32)で識別して抽出したごみの種類ごとの各占有領域を除くことで求めることができる。投入領域ARの撹拌度Mは、投入領域ARの面積から、識別抽出部22(32)で識別して抽出したごみの種類ごとの各占有領域の各面積の総和を減算し、この減算結果を投入領域ARの面積で除算することによって求められる((撹拌度M)=((投入領域ARの面積)-(識別抽出部22(32)で識別して抽出したごみの種類ごとの各占有領域の各面積の総和))/(投入領域ARの面積))。例えば、
図5に示す例では、第1投入領域AR-1の第1撹拌度M1は、ごみの種類Aの占有領域の総面積を求めることによって「0.3」と算出され、第2投入領域AR-2の第2撹拌度M2は、ごみの種類Aおよびごみの種類Bの各占有領域の面積の総和を求めることによって「0.9」と算出され、第3投入領域AR-3の第3撹拌度M3は、ごみの種類Aおよびごみの種類Cの各占有領域の面積の総和を求めることによって「0.2」と算出される。
【0046】
図1に戻って、入力部5は、制御処理部3に接続され、例えば、焼却対象物運搬車誘導装置Sを動作させる上で必要な各種コマンドおよび各種データを焼却対象物運搬車誘導装置Sに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチやキーボードやマウス等である。出力部6は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、入力部5から入力されたコマンドやデータ、および、選定結果の推奨投入口等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0047】
なお、入力部5および出力部6からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部5は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部6は、表示装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として焼却対象物運搬車誘導装置Sに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い焼却対象物運搬車誘導装置Sが提供される。
【0048】
IF部7は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部7は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。
【0049】
記憶部8は、制御処理部3に接続され、制御処理部3の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、制御プログラム、識別抽出プログラム、状態評価プログラム、推奨投入口選定プログラムおよび誘導処理プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、焼却対象物運搬車誘導装置Sの各部1、2、4~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するプログラムである。前記識別抽出プログラムは、撮像部21で生成した画像において、ごみの種類ごとにごみの占有領域を識別して抽出するプログラムである。前記状態評価プログラムは、前記識別抽出プログラムで抽出したごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、ごみの撹拌状態を求めるプログラムである。前記推奨投入口選定プログラムは、高さ測定部1で測定したごみの高さおよび撹拌状態処理部2で求めたごみの撹拌状態を含む、ごみピットPTに貯留されているごみの貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、推奨投入口を選定するプログラムである。前記誘導処理プログラムは、前記推奨投入口選定プログラムで選定した推奨投入口を後述の誘導出力部41から出力するように、前記誘導出力部41を制御するプログラムである。前記各種の所定のデータには、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。このような記憶部8は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部8は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部3のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。なお、記憶部8は、大容量を記憶可能なハードディスク装置を備えてもよい。
【0050】
制御処理部3は、焼却対象物運搬車誘導装置Sの各部1、2、4~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、推奨投入口を選定するための回路である。制御処理部3は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部3には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部31、識別抽出部32(22)、状態評価部33(23)、推奨投入口選定部34および誘導処理部35(42)が機能的に構成される。
【0051】
制御部31は、焼却対象物運搬車誘導装置Sの各部1、2、4~8を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、焼却対象物運搬車誘導装置Sの全体の制御を司るものである。
【0052】
識別抽出部32(22)は、撹拌状態処理部2を構成する要素の1つであり、上述したように、撮像部21で生成したごみの画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出するものである。
【0053】
状態評価部33(23)は、撹拌状態処理部2を構成する要素の1つであり、上述したように、識別抽出部32(22)で抽出したごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、ごみの撹拌状態を求めるものである。
【0054】
推奨投入口選定部34は、高さ測定部1で測定したごみの高さおよび撹拌状態処理部2で求めたごみの撹拌状態を含む、ごみピットPTに貯留されているごみの貯留状態を表す貯留状態情報に基づいて、ごみの投入を推奨する推奨投入口を選定するものである。好ましくは、推奨投入口選定部34は、ごみピットPTに貯留されているごみに、ごみの投入によってさらにごみを積み増してもよい投入領域ARに対応する投入口DAを選定するように、推奨投入口を選定する。あるいは、好ましくは、推奨投入口選定部34は、ごみピットPTに、撹拌されているごみを優位に貯留している投入領域ARに対応する投入口DAを選定するように、推奨投入口を選定する。
【0055】
本実施形態では、推奨投入口選定部34は、複数の投入口DAそれぞれについて、当該投入口DAに対する貯留状態情報に基づいて、推奨の高さを表す評価値EVを求め、前記求めた複数の投入口DAそれぞれに対応する複数の評価値EVを相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する。より具体的には、推奨投入口選定部34は、当該投入口DAに対する貯留状態情報を構成する構成要素の線形和(線形結合)である評価式EFによって前記評価値EVを求める。このような前記構成要素の線形和で表される評価式EFによって求められる評価値EVは、大きいほど評価が高く、最も大きい評価値EVを与える投入口DAが推奨投入口として選定される。前記構成要素は、ごみの高さHおよび前記ごみの撹拌度Mであり、前記評価式EFは、aおよびbを各項の係数とした場合に、a×H+b×Mである(EV=a×H+b×M)。
【0056】
より詳しくは、本実施形態では、前記貯留状態情報は、さらに、識別抽出部32(22)で識別したごみの種類に関する種類情報を含み、推奨投入口選定部34は、高さ測定部1で測定したごみの高さならびに撹拌状態処理部2で求めたごみの撹拌状態および種類情報を含む貯留状態情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する。前記種類情報は、例えば、本実施形態では、識別抽出部32(22)で求めたごみの種類ごとの占有領域数Kk(k=1、2、・・・、nは、種類の総数)である。例えば、
図5に示す例では、第1投入領域AR-1において、ごみの種類Aの第1占有領域数K1は、「35」であり、ごみの種類Bの第2占有領域数K2は、「0」であり、ごみの種類Cの第3占有領域数K3は、「0」である。第2投入領域AR-2において、ごみの種類Aの第1占有領域数K1は、「3」であり、ごみの種類Bの第2占有領域数K2は、「1」であり、ごみの種類Cの第3占有領域数K3は、「0」である。第3投入領域AR-3において、ごみの種類Aの第1占有領域数K1は、「11」であり、ごみの種類Bの第2占有領域数K2は、「0」であり、ごみの種類Cの第3占有領域数K3は、「1」である。
【0057】
この場合では、前記構成要素は、ごみの高さH、前記ごみの撹拌度Mおよび前記ごみの種類ごとの占有領域数Kkであり、前記評価式EFは、a、bおよびckを各項の係数とした場合に、a×H+b×M+Σ(ck×Kk)(Σはkについて1からnまでの和)である。例えば、第1投入領域AR-1に対応する第1投入口DA-1の第1評価値EV1は、第1投入領域AR-1におけるごみの高さH1が例えば5.1である場合には、a×5.1+b×0.3+(c1×35+c2×0+c3×0)であり、第2投入領域AR-2に対応する第2投入口DA-2の第2評価値EV2は、第2投入領域AR-2におけるごみの高さH2が例えば3.5である場合には、a×3.5+b×0.9+(c1×3+c2×1+c3×0)であり、第3投入領域AR-3に対応する第3投入口DA-3の評価値EV3は、第3投入領域AR-3におけるごみの高さH3が例えば4.3である場合には、a×4.3+b×0.2+(c1×11+c2×0+c3×1)である。このように求められる第1ないし第5投入口DA-1~DA-5の第1ないし第5評価値EV1~EV5が相互に比較され、最も大きい評価値EVの投入口DAが推奨投入口として選定される。
【0058】
この評価式EFの各項の各係数a、b、ckは、予め適宜に設定され、例えば、焼却炉における燃焼への影響を勘案して適宜に設定される。例えば、ごみの種類Aを撹拌せずにそのまま焼却炉に投入すると、効率よく燃焼しない場合には、ごみの種類Aに対する係数c1が他のごみの種類に対する係数ckよりも大きく設定される。各項の係数a、b、ckは、前記複数の投入口DA全てに対し一律に設定されてよく、あるいは、前記複数の投入口DAごとに設定されてもよい。
【0059】
なお、評価値EFが同値となった場合は、他の要素による優先順位、例えば投入口とクレーンの距離や扉設置位置等による優先順位を事前に設定することで前記推奨投入口が選定されてもよい。
【0060】
誘導処理部35(42)は、後述するように誘導部4を構成する要素の1つであり、推奨投入口選定部34で選定した推奨投入口を誘導出力部41から出力するように、前記誘導出力部41を制御するものである。
【0061】
誘導部4は、推奨投入口選定部34で選定した推奨投入口にごみ収集車VCを誘導するものである。誘導部4は、本実施形態では、例えば、誘導出力部41と、誘導処理部42(35)とを備える。
【0062】
誘導出力部41は、制御処理部3に接続され、誘導処理部42の制御に従って、推奨投入口を外部に報知する装置である。誘導出力部41は、例えば、
図2Aに示すように、プラットホームPH上のごみ収集車VCから認識可能となるように配設された表示装置41aである。あるいは例えば、誘導出力部41は、
図6に示すように、投入口DAの上方に取り付けられたパトライト(登録商標)(回転灯)41bであってもよい。あるいは、誘導出力部41は、スピーカ(不図示)であってもよい。あるいは、誘導出力部41は、通信インターフェース(不図示)であってもよい。
【0063】
誘導処理部42(35)は、上述したように、推奨投入口選定部34で選定した推奨投入口を誘導出力部41から出力するように、前記誘導出力部41を制御するものである。より具体的には、誘導出力部41が表示装置41aである場合には、誘導処理部42(35)は、推奨投入口の投入口番号を表示するように、表示装置41aを制御する。表示装置41aが推奨投入口の投入口番号を表示し、これによって、表示された投入口番号に対応する投入口DAが推奨投入口であることが、示される。前記投入口番号は、投入口DAを特定し識別するための識別子(投入口ID)である。誘導出力部41がパトライト41bである場合には、誘導処理部42は、推奨投入口の投入口DAに対応するパトライト41bを点灯するように、パトライト41bを制御する。推奨投入口の投入口DAに対応するパトライト41bが点灯し、これによって、点灯したパトライト41bに対応する投入口DAが推奨投入口であることが、示される。誘導出力部41が前記スピーカである場合には、誘導処理部42(35)は、推奨投入口の投入口番号を出力(放送)するように前記スピーカを制御する。前記スピーカが推奨投入口の投入口番号を出力(放送)し、これによって、出力(放送)された投入口番号に対応する投入口DAが推奨投入口であることが、示される。誘導出力部41が前記通信インターフェースである場合には、誘導処理部42(35)は、推奨投入口の投入口番号およびこれを表示するように指示する命令等を収容した通信信号を生成して送信するように、前記通信インターフェースを制御する。前記通信インターフェースが前記通信信号を送信し、例えば、前記通信信号を受信したごみ収集車VCの表示装置に推奨投入口の投入口番号が表示される。あるいは、例えば、ごみ収集車VCの搭乗者が携帯する携帯端末装置が前記通信信号を受信し、推奨投入口の投入口番号を表示する。これによって、表示された投入口番号に対応する投入口DAが推奨投入口であることが、示される。
【0064】
これら制御処理部3、入力部5、出力部6、IF部7、記憶部8は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部3、5~8を構成するコンピュータは、例えば、オペレーションルームORに配置され、コンソールCLに組み込まれてよく(コンソールCLと兼用されてよく)、あるいは、コンソールCLと別体であってもよい。
【0065】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図7は、前記焼却対象物運搬車誘導装置における動作を示すフローチャートである。
図7に破線で示す処理S11は、後述の本実施形態に対する第1変形形態での処理であり、後述する。
図7に破線で示す処理S21は、後述の本実施形態に対する第2変形形態での処理であり、後述する。
【0066】
このような構成の焼却対象物運搬車誘導装置Sは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部3には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部31、識別抽出部32(22)、状態評価部33(23)、推奨投入口選定部34および誘導処理部35(42)が機能的に構成される。
【0067】
例えば、ごみ収集車VCがごみ焼却工場の門GTを通過したタイミングや計量棟WMでその重量を計測したタイミング等で前記ごみ収集車VCを推奨投入口に誘導する以下の処理が開始される。
【0068】
図7において、まず、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、高さ測定部1によって、ごみピットPTに貯留されているごみの高さを測定する(S1)。本実施形態では、前記高さ測定部1の一例であるレーザ距離計1によって、前記ごみの上面までの距離を測定し、前記測定した距離等に基づきごみの高さが求められる。
【0069】
続いて、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、撮像部21によって、ごみピットPTに貯留されているごみの画像を生成し、取得する(S2)。
【0070】
続いて、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、制御処理部3の識別抽出部32(22)によって、撮像部21で生成したごみの画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出し、制御処理部3の状態評価部33(23)によって、識別抽出部22(32)で抽出したごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、ごみの撹拌状態を求める(S3)。本実施形態では、識別抽出部32(22)は、機械学習済みの機械学習モデルによって、前記ごみの画像から、ごみを写し込んだ画像領域を前記ごみの占有領域としてごみの種類ごとに識別してその位置および大きさを特定し、前記識別したごみの占有領域に対し信頼度を百分率で求め、前記識別したごみの占有領域に対し、前記信頼度に基づいてごみであるか否かを最終的に判定する。そして、状態評価部23(33)は、ごみの種類ごとの各占有領域に基づいて、撹拌済みの撹拌領域を求め、前記求めた撹拌領域の大きさに基づいて、前記ごみの撹拌状態を撹拌度で求める。
【0071】
続いて、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、制御処理部3の推奨投入口選定部34によって、処理S1で高さ測定部1によって測定したごみの高さおよび処理S2ないし処理S4で撹拌状態処理部2によって求めたごみの撹拌状態を含む貯留状態情報に基づいて、推奨投入口を選定する(S5)。本実施形態では、推奨投入口選定部34は、複数の投入口DAそれぞれについて、当該投入口DAに対する貯留状態情報に基づいて評価値EVを求め、前記求めた複数の投入口DAそれぞれに対応する複数の評価値EVを相互に比較することによって、前記推奨投入口を選定する。
【0072】
そして、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、誘導部4によって、処理S5で推奨投入口選定部34によって選定した推奨投入口にごみ収集車VCを誘導し(S6)、本処理を終了する。本実施形態では、誘導処理部42(35)は、処理S5で推奨投入口選定部34によって選定した推奨投入口を誘導出力部41から出力するように、前記誘導出力部41を制御し、これによって、誘導出力部41は、推奨投入口を外部に報知する。
【0073】
ごみを収集して積載したごみ収集車VCは、門GTからごみ焼却工場に入り、計量棟WMで重量が計量される。ごみ収集車VCの搭乗員は、焼却対象物運搬車誘導装置Sによって上述のように選定された推奨投入口の投入口DAに誘導部4の誘導に従ってごみ収集車VCを走行させ、積載されたごみを、前記推奨投入口の投入口DAからごみピットPTへ投入する。
【0074】
上説明したように、実施形態における焼却対象物運搬車誘導装置Sならびにこれに実装された焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムは、ごみの撹拌状態を含む、貯留状態情報に基づいて推奨投入口を選定するので、推奨投入口の選定の際に、ごみピットPTに貯留された未撹拌のごみを勘案できるから、推奨投入口にごみ収集車VCをより適切に誘導できる。
【0075】
上記焼却対象物運搬車誘導装置S、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムでは、複数の投入口DAそれぞれに対応付けられた複数の投入領域ARが設定され、前記複数の投入領域ARそれぞれでの各貯留状態情報が求められ、これらが相互に比較されることによって推奨投入口が選定されることになる。このため、上記焼却対象物運搬車誘導装置S、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムは、投入口DAに対応付けられた投入領域ARでの貯留状態、例えば、推奨投入口の選定に適した、投入口DAに近い投入領域AR、での貯留状態、によって、推奨投入口を選定できるから、推奨投入口にごみ収集車VCをより適切に誘導できる。
【0076】
上記焼却対象物運搬車誘導装置S、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムは、ごみの高さおよび撹拌状態に加えて種類情報を含む、貯留状態情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定できる。
【0077】
上記焼却対象物運搬車誘導装置S、焼却対象物運搬車誘導方法および焼却対象物運搬車誘導プログラムは、推奨の高さを表す評価値EVを求め、これら求めた複数の投入口DAそれぞれに対応する複数の評価値EVを相互に比較することによって、推奨投入口を選定するので、推奨投入口を選定する際に、複数の投入口DAを数値で客観的に比較できる。
【0078】
なお、上述の実施形態において、推奨投入口選定部34は、ごみピットPT(前記貯留部の一例)に貯留されているごみ(前記焼却対象物の一例)を扱うクレーンの位置を表すクレーン位置情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定してもよい(上述の実施形態における第1変形形態)。すなわち、推奨投入口選定部34は、貯留状態情報およびクレーン位置情報に基づいて、前記推奨投入口を選定するものである。このような焼却対象物運搬車誘導装置Sは、推奨投入口を選定する際に、貯留状態情報に加えてクレーンの位置情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定でき、クレーンの位置も勘案できる。ごみ収集車VCからごみピットPTに投入されるごみがクレーンCRに干渉(衝突)することが回避でき、ごみ収集車VCからごみピットPTに投入されるごみによってクレーンCRの動作が妨げられない。
【0079】
この第1変形形態の場合では、コンソールCLは、制御処理部3に接続され、前記クレーン位置情報は、コンソールCLから取得される。前記クレーンの位置は、例えば、クレーンCRにおけるアームの先端位置またはクレーンCRにおけるバケットの中央位置等で表される。
【0080】
図8は、前記焼却対象物運搬車誘導装置の第1変形態様を説明するための図である。
図8Aは、前記第1変形形態の第1態様を説明するための図であり、
図8Bは、前記第1変形形態の第2態様を説明するための図である。なお、
図8には、第1ないし第3投入口DA-1~DA-3およびこれに対応付けられる第1ないし第3投入領域AR-1~AR-3が図示され、残余の図示が省略されている。
【0081】
前記クレーン位置情報は、例えば、現在のクレーンの位置を含む(第1態様)。推奨投入口選定部34は、より具体的には、クレーン位置情報で表される現在のクレーンの位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAを除く残余の投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。例えば、クレーンCRが投入領域AR以内に位置するか否かを表すクレーン位置フラグFCが、投入領域ARに対応する投入口DAごとに用意される。推奨投入口選定部34は、コンソール(制御盤)CLからクレーン位置情報を取得すると、このクレーン位置情報で表される現在のクレーンの位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAのクレーン位置フラグFCを「1」に設定し(FC←1)、残余の投入口DAのクレーン位置フラグFCを「0」に設定する(FC←0)。例えば、
図8Aに示すように、現在のクレーンの位置が第1投入領域AR-1以内にある場合には、第1投入口DA-1の第1クレーン位置フラグFC1が「1」に設定され(FC1←1)、残余の第2ないし第5投入口DA-2~DA-5それぞれの第2ないし第5クレーン位置フラグFC2~FC5)が全て「0」に設定される(FC2←0、FC3←0、FC4←0、FC5←0)。このクレーン位置情報を取得して設定する処理S11が、
図7に示すフローチャートにおいて、破線で示すように、上述の処理S4と処理S5との間に設けられる。そして、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、クレーン位置フラグFCが「1」に設定されている投入口DAを除く残余の投入口DAから、言い換えれば、クレーン位置フラグがFC「0」に設定されている投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図8Aに示す例では、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、「1」が設定されている第1クレーン位置フラグFC1の第1投入口DA-1を除く残余の第2ないし第5投入口DA-2~DA-5から、言い換えれば、「0」が設定されている第2ないし第5クレーン位置フラグFC2~FC5の第2ないし第5投入口DA-2~DA-5から、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図7に示すフローチャートにおける処理S5では、このような推奨投入口の選定の処理が実行される。
【0082】
あるいは例えば、前記クレーン位置情報は、現在のクレーンの位置および次動作の目標位置を含む(第2態様)。推奨投入口選定部34は、より具体的には、クレーン位置情報で表される現在のクレーンの位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAおよびクレーン位置情報で表される次動作の目標位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAを除く残余の投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。推奨投入口選定部34は、コンソールCLからクレーン位置情報を取得すると、このクレーン位置情報で表される現在のクレーンの位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAのクレーン位置フラグFCを「1」に設定するとともに(FC←1)、このクレーン位置情報で表される次動作の目標位置を含む投入領域ARに対応する投入口DAのクレーン位置フラグFCを「1」に設定し(FC←1)、残余の投入口DAのクレーン位置フラグFCを「0」に設定する(FC←0)。例えば、
図8Bに示すように、現在のクレーンの位置が第1投入領域AR-1以内にあって次動作の目標位置が第1投入領域AR-1以内にある場合には、第1および第3投入口DA-1、DA-3それぞれの第1および第3クレーン位置フラグFC1、FC3が「1」に設定され(FC1←1、FC3←1)、残余の第2、第4および第5投入口DA-2、DA-4、DA-5それぞれの第2、第4および第5クレーン位置フラグFC2、FC4、FC5が全て「0」に設定される(FC2←0、FC4←0、FC5←0)。このクレーン位置情報を取得して設定する処理S11が、上述と同様に、
図7に示すフローチャートにおいて、上述の処理S4と処理S5との間に設けられる。そして、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、クレーン位置フラグFCが「1」に設定されている投入口DAを除く残余の投入口DAから、言い換えれば、クレーン位置フラグFCが「0」に設定されている投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図8Bに示す例では、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、「1」が設定されている第1および第3クレーン位置フラグFC1、FC3それぞれの第1および第3投入口DA-1、DA-3を除く残余の第2、第4および第5投入口DA-2、DA-4、DA-5から、言い換えれば、「0」が設定されている第2、第4および第5クレーン位置フラグFC2、FC4、FC5それぞれの第2、第4および第5投入口DA-2、DA-3、DA-5から、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図7に示すフローチャートにおける処理S5では、このような推奨投入口の選定の処理が実行される。
【0083】
また、上述の実施形態および第1変形形態において、推奨投入口選定部34は、投入口DAに備えられた扉DRの開閉状態を表す扉開閉情報にさらに基づいて、前記推奨投入口を選定してもよい(上述の実施形態における第2変形形態)。すなわち、推奨投入口選定部34は、貯留状態情報および扉開閉情報に基づいて、前記推奨投入口を選定するものである(第1態様)。あるいは、推奨投入口選定部34は、貯留状態情報、クレーン位置情報および扉開閉情報に基づいて、前記推奨投入口を選定するものである(第2態様)。このような焼却対象物運搬車誘導装置Sは、推奨投入口を選定する際に、貯留状態情報に加えて扉開閉情報に基づいて、推奨投入口を選定するので、より適切に推奨投入口を選定でき、扉の開閉状態も勘案できる。例えばクレーンCRで所定の作業を実施したい投入領域に対応する投入口DAの扉DRを「閉」に設定することで、ごみ収集車VCからごみピットPTに投入されるごみがクレーンCRに干渉(衝突)することが回避でき、ごみ収集車VCからごみピットPTに投入されるごみによってクレーンCRの動作が妨げられない。
【0084】
図9は、前記焼却対象物運搬車誘導装置の第2変形態様を説明するための図である。なお、
図9には、第1ないし第3投入口DA-1~DA-3およびこれに対応付けられる第1ないし第3投入領域AR-1~AR-3が図示され、残余の図示が省略されている。
【0085】
推奨投入口選定部34が貯留状態情報および扉開閉情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する場合、より具体的には、推奨投入口選定部34は、扉開閉情報で表される扉の開閉状態が「閉」である投入口DAを除く残余の投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。例えば、扉DRが「開」であるか「閉」であるかの扉の開閉状態を表す扉開閉フラグFDが、投入口DAごとに用意される。オペレータは、複数の投入口DAそれぞれに対応する複数の扉DRそれぞれについて、扉の開閉の設定を入力部5から入力する。例えば、
図9に示すように、第1投入口DA-1の第1扉DR-1を「閉」に設定し、第2ないし第5投入口DA-2~DA-5の第2ないし第5扉DR-2~DR-5を「開」に設定したい場合には、第1扉DR-1を「閉」に設定する入力操作が入力部5に入力され、第2ないし第5扉DR-2~DR-5を「開」に設定する入力操作が入力部5に入力される。入力部5は、ここでは、扉の開閉の設定を入力する扉開閉設定入力部として機能する。なお、扉の開閉の設定を変更する扉DRに対してのみ、この入力操作が入力部5に入力されてよい。推奨投入口選定部34は、入力部5から扉の開閉の設定に対する入力操作を受け付けて扉開閉情報を取得すると、この扉開閉情報で表される扉の開閉状態が「閉」である投入口DAの扉開閉フラグFDを「1」に設定し(FD←1)、前記扉開閉情報で表される扉の開閉状態が「開」である投入口DAの扉開閉フラグFD「0」に設定する(FD←0)。例えば、
図9に示す例では、第1投入口DA-1の第1扉開閉フラグFD1が「1」に設定され(FD1←1)、第2ないし第5投入口DA-2~DA-5それぞれの第2ないし第5扉開閉フラグFD2~FD5が全て「0」に設定される(FD2←0、FD3←0、FD4←0、FD5←0)。この扉開閉情報を取得して設定する処理S21が、
図7に示すフローチャートにおいて、破線で示すように、上述の処理S4と処理S5との間に設けられる。そして、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、扉開閉フラグFDが「1」に設定されている投入口DAを除く残余の投入口DAから、言い換えれば、扉開閉フラグがFD「0」に設定されている投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図9に示す例では、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、「1」が設定されている第1扉開閉フラグFD1の第1投入口DA-1を除く残余の第2ないし第5投入口DA-2~DA-5から、言い換えれば、「0」が設定されている第2ないし第5扉開閉フラグFD2~FD5の第2ないし第5投入口DA-2~DA-5から、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図7に示すフローチャートにおける処理S5では、このような推奨投入口の選定の処理が実行される。
【0086】
貯留状態情報、クレーン位置情報および扉開閉情報に基づいて、前記推奨投入口を選定する場合、より具体的には、推奨投入口選定部34は、クレーン位置情報で表される現在のクレーンの位置を含む投入領域ARに対応する投入口DA、および、扉開閉情報で表される扉の開閉状態が「閉」である投入口DAを除く、残余の投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。上述のクレーン位置情報を取得して設定する処理S11、および、上述の扉開閉情報を取得して設定する処理S21が、上述と同様に、
図7に示すフローチャートにおいて、上述の処理S4と処理S5との間に設けられる。なお、
図7に示す例では、処理S11の実行後に、処理S21を実行するように図示されているが、処理S11および処理S21のうちのいずれが先に実行されてもよい。また、処理S11および処理S21は、処理S1の前に実行されてもよい。そして、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、クレーン位置フラグFCが「1」に設定されている投入口DA、および、扉開閉フラグFDが「1」に設定されている投入口DAを除く残余の投入口DAから、言い換えれば、クレーン位置フラグがFCおよび扉開閉フラグFDが共に「0」に設定されている投入口DAから、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。例えば、第1クレーン位置フラグFC1が「1」であって第2ないし第5クレーン位値フラグFC2~FC5が「0」であって、第3扉開閉フラグFD3が「1」であって第1、第2、第4および第5扉開閉フラグFD1、FD2、FD4、FD5が「0」である場合、推奨投入口選定部34は、推奨投入口を選定する際に、「1」が設定されている第1クレーン位置フラグFC1の第1投入口DA-1、および、「1」が設定されている第3扉開閉フラグFD3の第3投入口DA-3を除く残余の第2、第4および第5投入口DA-2、DA-4、DA-5から、言い換えれば、クレーン位置フラグFCおよび扉開閉フラグFDが共に「0」が設定されている第2、第4および第5投入口DA-2、DA-4、DA-5から、上述と同様に、貯留状態情報に基づいて前記推奨投入口を選定する。
図7に示すフローチャートにおける処理S5では、このような推奨投入口の選定の処理が実行される。
【0087】
また、上述の実施形態、第1変形形態および第2変形形態において、焼却対象物運搬車誘導装置Sは、前記評価式EFの係数が調整されるように構成されてもよい(上述の実施形態における第3変形形態)。
【0088】
図10は、前記焼却対象物運搬車誘導装置の第3変形態様を説明するための図である。
図10Aは、焼却対象物の高さHと評価式EFにおける係数aとの関係を示し、
図10Bは、焼却対象物の高さHと評価式EFにおける係数b、ckとの関係を示す。
図10Aの横軸は、焼却対象物の高さHであり、その縦軸は、係数aである。
図10Bの横軸は、焼却対象物の高さHであり、その縦軸は、係数b、ckである。
【0089】
例えば、評価式EFにおいて、焼却対象物の高さHの項の係数aは、
図10Aに示すように、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整される。なお、この場合では、撹拌度Mの項の係数bは、調整されずに既定値の一定値であり、評価式EFに占有領域数Kkの項を含む場合における占有領域数Kkの各項の各係数ckは、調整されずに既定値の一定値である。
【0090】
あるいは、例えば、評価式EFにおいて、焼却対象物の高さHの項の係数aは、
図10Aに示すように、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整され、前記焼却対象物の撹拌度Mの項の係数bは、
図10Bに示すように、前記焼却対象物の高さHが低いほど大きくなるように調整される。焼却対象物の高さHが低い場合には、撹拌度Mの項が優先され、焼却対象物の高さHが高い場合には、焼却対象物の高さHの項が優先される。なお、この場合では、評価式EFに占有領域数Kkの項を含む場合における占有領域数Kkの各項の各係数ckは、調整されずに既定値の一定値である。
【0091】
あるいは、例えば、焼却対象物の高さHの項の係数aは、
図10Aに示すように、前記焼却対象物の高さHが低いほど小さくなるように調整され、前記焼却対象物の撹拌度Mの項の係数bおよび前記焼却対象物の種類ごとの占有領域数Kkの各項の各係数ckは、
図10Bに示すように、前記焼却対象物の高さHが低いほど大きくなるように調整される。
【0092】
なお、これら上述の各場合において、各投入口DAごとに、当該投入口DAに対応する評価式EFの係数a、b、ckが調整されてよく、複数の投入口DAそれぞれに対応する各評価式EFの各係数a、b、ckが一律に調整されてもよい。
【0093】
また、これら上述の各場合において、調整を、焼却対象物の高さHに代え、ごみ収集車VCに積載されているごみの重量が用いられてもよい。すなわち、
図10Aおよび
図10Bの横軸が焼却対象物の高さHに代え、ごみ収集車VCに積載されているごみの重量が用いられる。例えば、ごみ(焼却対象物の一例)の高さHの項の係数aは、誘導対象のごみ収集車VCに運搬されているごみの重量が少ないほど小さくなるように調整され、撹拌度Mの項の係数bおよび占有領域数Kkの各項の各係数ckは、誘導対象のごみ収集車VCに運搬されているごみの重量が少ないほど大きくなるように調整される。なお、ごみ収集車VCに積載されているごみの重量が多く、予め設定された所定の閾値以上である場合には、複数の投入口DAそれぞれに対応する各評価式EFの各係数aが一律に大きく調整されてもよい。
【0094】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0095】
S 焼却対象物運搬車誘導装置
PT ごみピット
CR クレーン
DA 投入口
AR 投入領域
1 高さ測定部
2 撹拌状態処理部
3 制御部
4 誘導部
5 入力部
21 撮像部
22(32) 識別抽出部
23(33) 状態評価部
31 制御部
34 推奨投入口選定部
41(41a、41b) 誘導出力部
42(35) 誘導処理部