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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099447
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電磁誘導式発熱装置及び蒸留装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/02 20060101AFI20240718BHJP
   C02F 1/04 20230101ALI20240718BHJP
   B01D 1/00 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
H05B6/02 A
C02F1/04 A
B01D1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003400
(22)【出願日】2023-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】510075387
【氏名又は名称】活水プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 克己
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 倫之
【テーマコード(参考)】
3K059
4D034
4D076
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB28
4D034AA01
4D034BA03
4D034CA12
4D076AA22
4D076BA02
4D076BB01
4D076BC01
4D076DA23
4D076HA02
(57)【要約】
【課題】高い効率で熱量を得ることができる電磁誘導式発熱装置を提供すること。
【解決手段】電磁誘導式発熱装置100は、円筒回転体4の側面に複数の永久磁石41が設けられ、円筒回転体4が貫入する貫通孔21の孔壁22が導電材から形成される。円筒回転体4が回転することによって、永久磁石41が発する磁束により、導電材の孔壁22に渦電流を発生させる。渦電流は、孔壁22の内部の電気抵抗によって、孔壁22自体を発熱(電磁誘導発熱)させる。電磁誘導発熱によって、孔壁22は、第1熱媒体を加熱する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1熱媒体が蓄積される媒体槽と、該媒体槽を貫通する円筒状の貫通孔と、該貫通孔内に貫入されて周方向に回転する円筒回転体と、該円筒回転体を回転させる回転動力装置と、を備え、
該円筒回転体の側面に複数の永久磁石が備えられ、該貫通孔の孔壁が導電材から形成されていることを特徴とする電磁誘導式発熱装置。
【請求項2】
前記円筒回転体の内側の軸方向に、第2熱媒体を通す媒体通路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁誘導式発熱装置。
【請求項3】
前記第1熱媒体が液体であり、前記第2熱媒体が気体であり、
前記媒体槽から該第1熱媒体を建物の底面側を経て該媒体槽に循環させる循環路と、前記媒体通路から該第2熱媒体を該建物の室内に送出する送出路と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の電磁誘導式発熱装置。
【請求項4】
前記第1熱媒体が液体であり、
請求項1に記載の電磁誘導式発熱装置の前記媒体槽の上に、該第1熱媒体から気化した溶媒を冷却器に接触させることにより液化させて該第1熱媒体から該溶媒を分離する蒸留塔が、連接されていることを特徴とする蒸留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転運動のエネルギーを熱エネルギーに変換する装置に関し、永久磁石を固定した回転体を回転させることによって、回転体に近接した導電材料に渦電流を発生させ、渦電流からジュール熱を発生させる電磁誘導式発熱装置と、この電磁誘導式発熱装置を用いた蒸留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、永久磁石を固定した円盤状の回転体を回転させることによって、回転体に近接した非磁性金属材料からなる発熱板に、渦電流を発生させて発熱させる構造の電磁誘導式発熱装置が、特許文献1に記載されている。また、特許文献2には、永久磁石が配置された円盤状の回転体を回転させることによって、永久磁石による磁界中に配置された導電体を含む発熱部に、渦電流からジュール熱を発生させ、ジュール熱を発熱部から熱風として捕集する構造の電磁誘導式発熱装置が、記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-160369号公報
【特許文献2】国際公開WO2009/048049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1及び2に記載された電磁誘導式発熱装置は、永久磁石が回転軸に直交する円盤状の回転体に配置されているため、回転軸から近い位置に配置された永久磁石からは、高い効率で熱量を得ることができないという課題があった。
【0005】
本発明は、上記にかんがみて、高い効率で熱量を得ることができる電磁誘導式発熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電磁誘導式発熱装置は、第1熱媒体が蓄積される媒体槽と、該媒体槽を貫通する円筒状の貫通孔と、該貫通孔内に貫入されて周方向に回転する円筒回転体と、該円筒回転体を回転させる回転動力装置と、を備え、
該円筒回転体の側面に複数の永久磁石が備えられ、該貫通孔の孔壁が導電材から形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の電磁誘導式発熱装置によれば、円筒回転体の側面に複数の永久磁石が設けられ、円筒回転体が貫入する貫通孔の孔壁が導電材から形成されているため、円筒回転体が回転させられることによって、永久磁石が発する磁束により、導電材からなる孔壁に渦電流を発生させる。渦電流は、ジュール熱を発生させ、孔壁を発熱させて第1熱媒体を加熱させることができる。磁束を発する永久磁石は、周方向に回転する円筒回転体の側面に複数備えられているため、円筒回転体の側面より内側、つまり、回転軸から近い位置に配置された永久磁石と比して、高い効率で熱量を得ることができる。
【0008】
ここで、上記電磁誘導式発熱装置において、前記円筒回転体の内側の軸方向に、第2熱媒体を通す媒体通路が形成されているものとすることができる。
【0009】
これによれば、電磁誘導式発熱装置は、貫通孔の孔壁から伝わる熱によって、第2熱媒体を加熱させることができ、より多くの熱量を得ることができる。
【0010】
また、上記電磁誘導式発熱装置において、前記第1熱媒体が液体であり、前記第2熱媒体が気体であり、
前記媒体槽から該第1熱媒体を建物の底面側を経て該媒体槽に循環させる循環路と、前記媒体通路から該第2熱媒体を該建物の室内に送出する送出路と、を備えるものとすることができる。
【0011】
これによれば、建物の底面側と室内とを同時に温めることができるため、効率よく建物を温めることができる。
【0012】
ここで、本発明の蒸留装置は、前記第1熱媒体が液体であり、
上記の電磁誘導式発熱装置の前記媒体槽の上に、該第1熱媒体から気化した溶媒を冷却器に接触させることにより液化させて該第1熱媒体から該溶媒を分離する蒸留塔が、連接されている構成とすることができる。
【0013】
これによれば、液体の蒸留や濃縮を行なうことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電磁誘導式発熱装置によれば、高い効率で熱量を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態の電磁誘導式発熱装置の概念図である。
図2】円筒回転体の斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態の蒸留装置の概念図である。
図4】その他実施形態の電磁誘導式発熱装置の概念図である。
図5】その他実施形態の円筒回転体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明の電磁誘導式発熱装置の第1実施形態について説明する。図1に示すように、第1実施形態の電磁誘導式発熱装置100は、第1熱媒体としての水WAを蓄積する媒体槽2と、媒体槽2を水平の前後方向に貫通する円筒状の貫通孔21と、貫通孔21内に貫入されて周方向に回転する円筒回転体4と、円筒回転体4を回転させる回転動力装置としてのモータ48と、を備える。媒体槽2には、媒体槽2から加熱された水WAを建物としてのビニールハウス8の底面側の土壌の熱交換器82を経て媒体槽2に循環させる熱水循環路24が設けられている。また、円筒回転体4の内側の軸方向には、第2熱媒体としての空気ARを通す媒体通路としての通風路43が形成され、通風路43から温められた空気ARをビニールハウス8の室内に送出する送出路としての送風路46が設けられている。なお、本明細書において、図1又は図3に示すように、記載する前後は、円筒回転体4の回転軸47の軸方向に沿う方向を前後方向とし、円筒回転体4の空気吸入口44側が前であり送風羽根45側が後ろであり、上下は、電磁誘導式発熱装置100が設置された状態の上下であり、左右は、電磁誘導式発熱装置100の前部をその前方から見たときの左右である。図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。
【0017】
円筒回転体4は、図2に示すように、側面42aに複数の永久磁石41が設けられ、回転することにより、媒体槽2の貫通孔21の孔壁22に渦電流を発生させて、孔壁22を加熱(電磁誘導発熱)させる回転体である。円筒回転体4は、中空の円筒体42を母体とし、側面42aに複数の永久磁石41が備えられている。永久磁石41には、ネオジム磁石(NdFeB)が使用されている。図2に示すように、永久磁石41は、前後に長い棒状体で、前後方向に磁化方向を有し、前後方向に並ぶ永久磁石41はN極とS極とが交互になるように、つまり、全ての永久磁石41の磁化方向が同じ向きに配置される。回転する周方向の隣り合う永久磁石41の前後方向の列は、前後方向に半分ずつずらして配置され、永久磁石41の配置として、煉瓦貼りの馬目地状に配置される。このため、回転する周方向の隣り合う永久磁石41は、N極とS極とが交互に配置される。回転する周方向に対して、永久磁石41のN極とS極とが交互に配置されることによって、円筒回転体4は、高い磁束密度を発熱板としての孔壁22に吸収させることができ、孔壁22に発生させる渦電流を大きいものとし、孔壁22を効率よく加熱させることができる。永久磁石41が備えられる円筒体42には、非磁性体の金属であるアルミニウム板が使用されている。
【0018】
円筒回転体4は、図2に示すように、前方側の底面が空気吸入口44を備える底面部材42bで閉塞され、後方側の底面に、空気ARを円筒体42から後方に送風する送風羽根45が備えられている。円筒回転体4が回転することによって、送風羽根45が回転し、送風羽根45は、空気ARを円筒体42から後方に送風し、円筒体42には、円筒体42前方の底面部材42bの空気吸入口44から空気ARが供給される。つまり、空気ARは、円筒体42の前方の空気吸入口44から円筒体42の中に入り、円筒体42の中の通風路43内を後方に進み、送風羽根45によって円筒体42の後方の送出路としての送風路46に流れるようになっている。円筒回転体4の円筒体42の中で、空気ARは、円筒回転体4が収められた貫通孔21の孔壁22から伝わる熱によって、加熱され、送風羽根45から送風路46に流れる空気ARは温められたものとなる。
【0019】
円筒回転体4は、図1に示すように、前方側の底面の底面部材42bから軸方向前方に、回転軸47が延設されている。回転軸47には、回転動力装置としてのモータ48が接続され、円筒回転体4は、モータ48の作動によって周方向に回転する。
【0020】
媒体槽2は、第1熱媒体の水WAが蓄積される槽であり、前後方向に、媒体槽2を貫通する円筒状の貫通孔21が設けられている。貫通孔21を形成する孔壁22には、導電材としてのアルミニウム板が使用されている。貫通孔21には、円筒回転体4が収められ、円筒回転体4の回転によって、孔壁22を貫通する永久磁石41の磁束が、円筒回転体4と共に周方向に回転することで、孔壁22のアルミニウム板に渦電流を発生させ、アルミニウム板の内部の電気抵抗によってアルミニウム板(孔壁22)自体が発熱(電磁誘導発熱)する。円筒回転体4と発熱板としての孔壁22との隙間は、円筒回転体4の回転により接触するおそれがなく、孔壁22に磁束を十分に吸収させることができる隙間の間隔である、約5mmとした。
【0021】
孔壁22が電磁誘導発熱することによって、媒体槽2に蓄積されている水WAが加熱されるとともに、孔壁22から伝わる熱によって円筒体42内の空気ARが加熱される。
【0022】
媒体槽2には、加熱された水WAを循環させて、建物としてのビニールハウス8の底面側の土壌を温める熱水循環路24が設けられている。熱水循環路24の回路内には、循環ポンプ24aと熱交換器82とが設けられている。熱水循環路24は、循環ポンプ24aが媒体槽2内の加熱された水WAを熱水循環路24内に循環させ、循環する加熱された水WAの熱が熱交換器82によってビニールハウス8内の土壌を温める。水WAは、熱水循環路24内を循環して、回収口25から媒体槽2内へと戻される。また、媒体槽2には、水位調節器3が設置され、媒体槽2の水位WLは、水位調節器3が供給バルブ31を開閉することによって、水供給口32から流入される水WAの量が調整され、水位WLがおよそ一定に保たれるように構成されている。
【0023】
円筒回転体4には、加熱され熱風となった空気ARを送出させて、建物としてのビニールハウス8の室内8aに送風する送出路としての送風路46が設けられている。送風路46は、加熱された空気ARをビニールハウス8の室内8aに送風することによって、室内8aを温める。
【0024】
第1実施形態では、以下の仕様の電磁誘導式発熱装置100を用いて、下記の条件で連続的にビニールハウス8の加温を行なった。なお、Wは左右の幅寸法、Lは前後の長さ、Hは上下の高さを表す。
【0025】
電磁誘導式発熱装置100 W500mm×L1400mm×H800mm
媒体槽2 W400mm×L500mm×H400mm
水WA 井水
円筒回転体4 φ180mm×L500mm
永久磁石41 ネオジム磁石(NdFeB) L60mm×周方向の幅10mm×半径方向の厚み5mm×108個
モータ48 1800rpm 1.5kW
循環ポンプ24a 20L/min
送風羽根45 φ160mm×6枚羽根
熱交換器82 φ25mm×20m
【0026】
第1実施形態の電磁誘導式発熱装置100では、運転開始前の水WAの水温が25℃であったが、25分の運転により、水WAの水温が95℃まで上昇して沸騰が開始された。循環ポンプ24aを作動させることにより、熱交換器82に60℃の水WAが循環するようになった。送風路46では、55℃に加熱された空気ARを3m3/minの流量でビニールハウス8の室内8aに送風させることができた。
【0027】
(第2実施形態)
以下、本発明の電磁誘導式発熱装置の第2実施形態としての蒸留装置200について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と共通する要素については同じ符号を用いてその説明を省略する。第2実施形態の蒸留装置200は、媒体槽2の上に、気化した溶媒を液化させて溶液から溶媒を分離する蒸留塔6が連接されていることが第1実施形態の電磁誘導式発熱装置100と大きく異なる。
【0028】
図3に示すように、第2実施形態の蒸留装置200は、媒体槽2に蒸留を行なう溶液としての海水SWが充填され、海水SWから水WAを蒸留する装置であり、媒体槽2の上に、溶液から気化した溶媒としての蒸気STを液化させて溶液から水WAを分離する蒸留塔6が連接されている。
【0029】
媒体槽2の上側には、媒体槽2を閉塞する円錐形状の突出壁61が備えられ、突出壁61の上端には、蒸気STを蒸留塔6に送出する開口した開口部61aが設けられている。突出壁61と開口部61aの上には、閉塞された空間を有する蒸留塔6が連接され、蒸留塔6には、蒸気STを冷却・凝縮させる冷却器64が備えられ、蒸留塔6の内周壁6aと突出壁61とで区画された集液樋62が設けられている。集液樋62には、蒸気STが冷却・凝縮された水WAが溜まり、溜まった水WAを排出する溶媒出口62aが備えられている。突出壁61で囲まれた開口部61aの上側には、冷却器64で凝縮した水WAが開口部61aから媒体槽2内への落下を防ぐ、陣笠63が設けられている。冷却器64は、その内部に冷却水CWが流れることによって、蒸気STを冷却・凝縮させる配管であり、蒸留塔6内の左右に亘って配設されている。
【0030】
円筒回転体4による電磁誘導発熱により、媒体槽2内の海水SWは、加熱され、溶媒が気化して蒸気STとなって、媒体槽2の上側を閉塞する突出壁61の上端の開口部61aから蒸留塔6に送出される。蒸留塔6に到達した蒸気STは、冷却器64に接触することによって、冷却・凝縮され、液体の水WAとなって、蒸留塔6の内周壁6aと突出壁61とで区画された集液樋62に溜まる。集液樋62に溜まった水WAは、溶媒出口62aから回収槽65に回収される。第2実施形態の蒸留装置200よれば、海水SWを蒸留して飲用可能な水WAを得ることができる。
【0031】
第2実施形態では、以下の仕様の蒸留装置200を用いて、下記の条件で連続的に海水SWの蒸留を行なった。
【0032】
電磁誘導式発熱装置100 W500mm×L1400mm×H1200mm
媒体槽2 W400mm×L500mm×H400mm
円筒回転体4 φ180mm×L500mm
永久磁石41 ネオジム磁石(NdFeB) L60mm×周方向の幅10mm×半径方向の厚み5mm×108個
モータ48 1800rpm 1.5kW
冷却器64 10L/min(海水)
第2実施形態の蒸留装置200では、0.1L/minで飲用可能な水WAを得ることができた。
【0033】
(その他実施形態)
以下、本発明のその他実施形態について説明する。なお、その他実施形態において、第1実施形態と共通する要素については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0034】
図4は、その他実施形態として、円筒回転体4の回転軸47を上下方向に配置した電磁誘導式発熱装置300の概念図である。その他実施形態の電磁誘導式発熱装置300では、媒体槽2を貫通する円筒状の貫通孔21は、垂直の上下方向に設けられ、円筒回転体4は、垂直の上下方向に設けられた貫通孔21に、回転軸47の軸方向を上下方向にして貫入される。円筒回転体4は、下側に空気吸入口44を備え、上側に送風羽根45が備えられ、空気ARは下から上へ流れて加熱される構成になっている。
【0035】
図5は、その他実施形態として、永久磁石41の磁化方向を変更した円筒回転体4Aの斜視図である。その他実施形態の円筒回転体4Aでは、前後に並ぶ永久磁石41の同じ極が向き合うように配置される。
【0036】
なお、実施形態の電磁誘導式発熱装置100は、以下のような形態であってもその実施をすることができる。
【0037】
実施形態の円筒回転体4を回転させる回転動力装置には、電動のモータ48を使用したが、回転動力装置として、水流を水車などで回転動力に変換する水力動力装置や、風を風車などで回転動力に変換する風力動力装置なども使用することができる。また、水力や風力を電気エネルギーに変換して、その電気エネルギーを動力とする電動のモータを使用することもできる。水力や風力などの自然由来の動力を使用することにより、ライフラインとしての電力が整備されていない地域であっても、実施形態の電磁誘導式発熱装置100を使用することができる。
【0038】
実施形態の円筒回転体4の円筒体42には、非磁性材料として、アルミニウム板を使用したが、円筒体42として、ステンレス板、銅板などの非磁性金属板、アクリル板、フェノール樹脂板、メラミン樹脂板などの非磁性合成樹脂板、アルミナ焼結体などの非磁性セラミックス板なども使用することができる。
【0039】
実施形態の永久磁石41には、ネオジム磁石を使用したが、サマコバ磁石、アルニコ磁石も使用することができる。磁力では、ネオジム磁石が勝るが、高温安定性では、サマコバ磁石、アルニコ磁石が勝る。
【0040】
実施形態の発熱板としての孔壁22には、非磁性導電材料のアルミニウム板を使用したが、ステンレス板、銅板などの非磁性導電材料の金属板なども使用することができる。
【0041】
実施形態の円筒回転体4と孔壁22との隙間は、5mmとしたが、2~10mmであれば、実施形態の電磁誘導式発熱装置100として発熱させることができる。これによれば、発熱板としての孔壁22を磁束密度が高い部分に置くことができるため、磁束を無駄なく孔壁22に吸収させることができる。円筒回転体4と孔壁22との隙間が2mm未満の場合には、円筒回転体4と孔壁22とが接触するおそれがある。一方、円筒回転体4と孔壁22との隙間が10mmを超える場合には、磁束密度が高くない部分に孔壁22が置かれ、孔壁22に磁束を十分に吸収させることができないおそれがある。より好ましくは、円筒回転体4と孔壁22との隙間は、3~7mmである。
【0042】
実施形態の電磁誘導式発熱装置100では、熱水循環路24の熱交換器82をビニールハウス8の土壌に配設したが、住宅の床下に熱交換器82を配設することもできる。
【0043】
実施形態の蒸留装置200は、海水SWから水WA(真水)を蒸留するものを例として記載したが、クロムなどの有害物質を含有する水から有害物質を含有しない水WAの蒸留にも適用することができる。また、アルコール濃度を高める蒸留酒の蒸留などにも適用することができる。さらに、正確な温度管理が必要となるが、水と有機溶媒の混合物から、水又は有機溶媒を取り出す蒸留にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
2 媒体槽
3 水位調節器
4 円筒回転体
4A 円筒回転体
6 蒸留塔
6a 内周壁
8 ビニールハウス
8a 室内
21 貫通孔
22 孔壁
24 熱水循環路
24a 循環ポンプ
25 回収口
31 供給バルブ
32 水供給口
41 永久磁石
42 円筒体
42a 側面
42b 底面部材
43 通風路
44 空気吸入口
45 送風羽根
46 送風路
47 回転軸
48 モータ
61 突出壁
61a 開口部
62 集液樋
62a 溶媒出口
63 陣笠
64 冷却器
65 回収槽
82 熱交換器
100 電磁誘導式発熱装置
200 蒸留装置
300 電磁誘導式発熱装置
AR 空気
CW 冷却水
ST 蒸気
SW 海水
WA 水
WL 水位
図1
図2
図3
図4
図5