(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099453
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】コネクタ接続構造、電動式低圧吸引器用排液バッグ、及び電動式低圧吸引器
(51)【国際特許分類】
A61M 1/00 20060101AFI20240718BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
A61M1/00 130
A61M1/00 100
A61M39/10 100
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023003421
(22)【出願日】2023-01-12
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】000144371
【氏名又は名称】株式会社三幸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100160990
【弁理士】
【氏名又は名称】亀崎 伸宏
(72)【発明者】
【氏名】青木 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】秋本 修之
【テーマコード(参考)】
4C066
4C077
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066JJ02
4C077AA15
4C077AA18
4C077CC04
4C077DD12
4C077DD19
4C077DD22
4C077EE04
4C077KK25
(57)【要約】
【課題】使用時に外れることがなく、その一方で、着脱が容易であるコネクタ接続構造を提供する。
【解決手段】雄コネクタ38は、雌コネクタ35に挿入される挿入部381と、雌コネクタ35に挿入部381が挿入された場合に雌コネクタ35の外周面よりも外側に配置されるように挿入部381の基端から先端に向けて設けられた弾性片382と、弾性片382の先端から挿入部381の外周面の側に向けて設けられた爪383と、を有している。雌コネクタ35は、当該雌コネクタ35の外周面における基端に当該雌コネクタ35の周方向に沿って設けられ、爪383が嵌り込む溝351を有している。溝351は、雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、当該溝351に嵌り込んだ爪383を雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に当該溝351から当該爪383が外れるスロープ形状を有している。
【選択図】
図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄コネクタが雌コネクタに接続されるコネクタ接続構造であって、
前記雄コネクタは、前記雌コネクタに挿入される挿入部と、前記雌コネクタに前記挿入部が挿入された場合に前記雌コネクタの外周面よりも外側に配置されるように前記挿入部の基端から先端に向けて設けられた弾性片と、前記弾性片の先端から前記挿入部の外周面の側に向けて設けられた爪と、を有し、
前記雌コネクタは、該雌コネクタの外周面における基端に該雌コネクタの周方向に沿って設けられ、前記爪が嵌り込む溝を有し、
前記溝は、前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、該溝に嵌り込んだ前記爪を前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に該溝から該爪が外れるスロープ形状を有していることを特徴とする
コネクタ接続構造。
【請求項2】
前記雌コネクタは、前記溝における前記他方の端部と連続し前記溝と共に周をなす位置に、前記爪が引っ掛からない非係止部を有していることを特徴とする
請求項1に記載のコネクタ接続構造。
【請求項3】
前記雌コネクタは、容器の口として略鉛直に延びていて、
前記雄コネクタは、前記挿入部に直交する略水平に延びていて、チューブに接続されるチューブ接続部を有し、
前記溝の深さは、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが左回りに取り回される場合には右回りに徐々に小さくなり、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが右回りに取り回される場合には左回りに徐々に小さくなることを特徴とする
請求項1に記載のコネクタ接続構造。
【請求項4】
吸引ポンプを有する電動式低圧吸引器によって吸引された患者の体液を収容する容器である排液バッグであって、
容器の口として、患者の側に接続される患者側接続口と、前記吸引ポンプの側に接続されるポンプ側接続口と、を有し、
前記患者側接続口及び前記ポンプ側接続口のうち、少なくとも前記ポンプ側接続口に、請求項1~3のいずれかに記載のコネクタ接続構造を採用したことを特徴とする
電動式低圧吸引器用排液バッグ。
【請求項5】
請求項4に記載の電動式低圧吸引器用排液バッグを備えていることを特徴とする
電動式低圧吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ接続構造、電動式低圧吸引器用排液バッグ、及び電動式低圧吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の胸水等の体液を吸引する電動式低圧吸引器は、動力源となる吸引ポンプと、当該吸引ポンプによって吸引された体液を収容する排液バッグと、を備えている(例えば、特許文献1及び2、並びに非特許文献1参照)。排液バッグは、患者の側に繋がるチューブに接続される患者側接続口と、吸引ポンプの側に繋がるチューブに接続されるポンプ側接続口と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-178915号公報
【特許文献2】特開2006-020658号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】泉工医科工業株式会社>医療関係者の皆様へ>製品情報>低圧持続吸引器>電動式低圧吸引器メラサキューム、[online]、[令和4年12月24日検索]、インターネット(URL:https://www.mera.co.jp/medical/product-info/602/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような電動式低圧吸引器においては、使用時に排液バッグからチューブが外れないことが求められる一方で、排液バッグが使い捨てであることからチューブの着脱が容易であることが求められる。
【0006】
このような求めは、電動式低圧吸引器におけるチューブの接続構造の場合に限定されず、種々のコネクタ接続構造の場合に共通して存在し得る。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、使用時に外れることがなく、その一方で、着脱が容易であるコネクタ接続構造、電動式低圧吸引器用排液バッグ、及び電動式低圧吸引器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、雄コネクタ(例えば、雄コネクタ38)が雌コネクタ(例えば、雌コネクタ35)に接続されるコネクタ接続構造であって、前記雄コネクタは、前記雌コネクタに挿入される挿入部(例えば、後述する挿入部381)と、前記雌コネクタに前記挿入部が挿入された場合に前記雌コネクタの外周面よりも外側に配置されるように前記挿入部の基端から先端に向けて設けられた弾性片(例えば、後述する弾性片382)と、前記弾性片の先端から前記挿入部の外周面の側に向けて設けられた爪(例えば、後述する爪383)と、を有し、前記雌コネクタは、該雌コネクタの外周面における基端に該雌コネクタの周方向に沿って設けられ、前記爪が嵌り込む溝(例えば、後述する溝351)を有し、前記溝は、前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、該溝に嵌り込んだ前記爪を前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に該溝から該爪が外れるスロープ形状を有していることを特徴とするコネクタ接続構造である。
【0009】
本発明によれば、雌コネクタの溝が、雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、溝に嵌り込んだ爪を雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に溝から爪が外れるスロープ形状を有しているので、使用時に外れることがなく、その一方で、着脱が容易である。
【0010】
(2)本発明はまた、前記雌コネクタは、前記溝における前記他方の端部と連続し前記溝と共に周をなす位置に、前記爪が引っ掛からない非係止部を有していることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ接続構造である。
【0011】
本発明によれば、溝に嵌り込んだ爪を雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させて非係止部に到達させることで、雄コネクタを雌コネクタから外すことができる。すなわち、本発明によれば、爪が非係止部に到達する特定の位置に限って、雄コネクタを雌コネクタから外すことができる。
【0012】
(3)本発明はまた、前記雌コネクタは、容器の口として略鉛直に延びていて、前記雄コネクタは、前記挿入部に直交する略水平に延びていて、チューブに接続されるチューブ接続部を有し、前記溝の深さは、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが左回りに取り回される場合には右回りに徐々に小さくなり、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが右回りに取り回される場合には左回りに徐々に小さくなることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ接続構造である。
【0013】
本発明では、溝の深さが右回りに徐々に小さくなる場合には雄コネクタが右回りに回ることで溝から爪が外れることとなり、溝の深さが左回りに徐々に小さくなる場合には雄コネクタが左回りに回ることで溝から爪が外れることとなる。このため、本発明では、チューブが左回りに取り回される場合には雄コネクタが右回りに回ることで溝から爪が外れる構成を採用し、チューブが右回りに取り回される場合には雄コネクタが左回りに回ることで溝から爪が外れる構成を採用している。すなわち、本発明では、チューブが取り回される方向とは逆の方向に雄コネクタが回らない限り、溝から爪が外れることはない。結果として、本発明によれば、使用時に外れることはない。
【0014】
(4)本発明はまた、吸引ポンプ(例えば、後述する吸引ポンプ21)を有する電動式低圧吸引器(例えば、後述する吸引器本体2)によって吸引された患者の体液を収容する容器である排液バッグ(例えば、後述する排液バッグ3)であって、容器の口として、患者の側に接続される患者側接続口(例えば、後述する雌コネクタ31)と、前記吸引ポンプの側に接続されるポンプ側接続口(例えば、後述する雌コネクタ35)と、を有し、前記患者側接続口及び前記ポンプ側接続口のうち、少なくとも前記ポンプ側接続口に、上記(1)~(3)のいずれかに記載のコネクタ接続構造を採用したことを特徴とする電動式低圧吸引器用排液バッグである。
【0015】
(5)本発明はまた、上記(4)に記載の電動式低圧吸引器用排液バッグを備えていることを特徴とする電動式低圧吸引器(例えば、後述する電動式低圧吸引器1)である。
【発明の効果】
【0016】
上記(1)~(3)に記載のコネクタ接続構造、上記(4)に記載の電動式低圧吸引器用排液バッグ、並びに上記(5)に記載の電動式低圧吸引器によれば、使用時に外れることがなく、その一方で、着脱が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動式低圧吸引器を前方から視た外観斜視図である。
【
図2】電動式低圧吸引器を後方から視た外観斜視図である。
【
図5A】排液バッグの特徴部分を示す拡大正面図であり、雌コネクタに雄コネクタを接続する前の状態を示す。
【
図5B】
図5Aに示す矢印VB-VB方向に視た輪切り断面図である。
【
図6A】排液バッグの特徴部分を示す拡大正面図であり、雌コネクタに雄コネクタを接続した後の状態を示す。
【
図6B】
図6Aに示す矢印VIB-VIB方向に視た輪切り断面図である。
【
図7A】排液バッグの特徴部分を示す拡大正面図であり、雄コネクタを約90度回転させて雌コネクタから外すことを可能にした状態を示す。
【
図7B】
図7Aに示す矢印VIIB-VIIB方向に視た輪切り断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る電動式低圧吸引器1(
図1~
図3参照)について詳細に説明する。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
【0019】
まず、
図1~
図4を用いて、電動式低圧吸引器1の構成について説明する。
図1は、電動式低圧吸引器1を前方から視た外観斜視図である。
図2は、電動式低圧吸引器1を後方から視た外観斜視図である。
図3は、電動式低圧吸引器1の模式図である。
図4は、排液バッグ4の正面図である。
【0020】
図1~
図3に示す電動式低圧吸引器1は、患者の胸水等の体液を吸引し、吸引した体液を排液バッグ3に収容させる医療機器である。具体的に、電動式低圧吸引器1は、吸引器本体2と、排液バッグ3と、クッション瓶4と、等を備えている。
【0021】
なお、排液バッグ3及びクッション瓶4は、吸引器本体2と共に電動式低圧吸引器1を構成するものとして把握できるが、吸引器本体2を電動式低圧吸引器として把握する場合には、電動式低圧吸引器である吸引器本体2の附属品を構成するものである。
【0022】
吸引器本体2は、吸引ポンプ21、圧力センサー22、電磁弁23及び制御基盤24を内蔵していると共に、上面に操作パネル25を有している。この吸引器本体2は、正面側に、排液バッグ3を支持するためのスペース(符号省略)を有している。また、吸引器本体2は、背面側に、クッション瓶4を外付けするためのスペース(符号省略)を有している。
【0023】
吸引ポンプ21は、制御基盤24の制御下で動作することで、吸引器本体2に外付けされたクッション瓶4、当該クッション瓶4にチューブ37を介して接続された排液バッグ3、及び当該排液バッグ3にチューブ33を介して接続された患者の各々に対して陰圧を生じさせる。
【0024】
圧力センサー22は、吸引器本体2に外付けされた排液バッグ3及びクッション瓶4の中の圧力を検出し、その検出量を信号にして制御基盤24に入力する。
【0025】
電磁弁23は、制御基盤24の制御下で動作することで、吸引器本体2に外付けされた排液バッグ3及びクッション瓶4の中の圧力を調整する。
【0026】
制御基盤24は、圧力センサー22及び操作パネル25から入力される信号に基づいて、吸引ポンプ21及び電磁弁23を動作させる。また、制御基盤24は、圧力センサー22から入力される信号に基づいて、操作パネル25の表示部(符号省略)を動作させる。
【0027】
操作パネル25は、表示部(符号省略)と、操作部(符号省略)と、を有している。表示部(符号省略)は、制御基盤24の制御下で動作することで、必要な表示を行う。操作部(符号省略)は、操作されることで、操作されたことを信号にして制御基盤24に入力する。
【0028】
図1~
図4に示す排液バッグ3は、収容した体液が視認可能となるように硬質プラスチックなどの透明又は半透明の材料によって成型された使い捨ての容器であり、吸引器本体(電動式低圧吸引器)2によって吸引された体液を収容する。
【0029】
この排液バッグ3は、正面に正対して左側の上方に、患者の側に接続される患者側接続口として機能する雌コネクタ31を有していると共に、この雌コネクタ31に封をするキャップ32を有している。雌コネクタ31は、容器の口として略鉛直に延びている。この雌コネクタ31は、患者の側に繋がるチューブ33の一端に取り付けられた雄コネクタ34が挿入されることで、チューブ33が接続される。キャップ32は、使用後等に雌コネクタ31に被せられることで、雌コネクタ31に封をする。チューブ33は、雄コネクタ34の側を基端として、電動式低圧吸引器1の前方の患者に向けて左回りに取り回される。
【0030】
また、排液バッグ3は、正面に正対して右側の上方に、吸引ポンプ21の側に接続されるポンプ側接続口として機能する雌コネクタ35を有していると共に、この雌コネクタ35に封をするキャップ36を有している。雌コネクタ35は、容器の口として略鉛直に延びている。この雌コネクタ35は、吸引ポンプ21の側に繋がるチューブ37の一端に取り付けられている雄コネクタ38が挿入されることで、チューブ37が接続される。キャップ36は、使用後等に雌コネクタ35が被せられることで、雌コネクタ35に封をする。チューブ37は、雄コネクタ38の側を基端として、電動式低圧吸引器1の後方のクッション瓶4に向けて左回りに取り回される。
【0031】
図2及び
図3に示すクッション瓶4は、吸引器本体2の背面側に外付けされ、排液バッグ3を溢れ出てしまった体液を収容するバッファーとして機能する。
【0032】
【0033】
図5Aは、排液バッグ3の特徴部分を示す拡大正面図であり、雌コネクタ35に雄コネクタ38を接続する前の状態を示す。
図5Bは、
図5Aに示す矢印VB-VB方向に視た輪切り断面図である。
図6Aは、排液バッグ3の特徴部分を示す拡大正面図であり、雌コネクタ35に雄コネクタ38を接続した後の状態を示す。
図6Bは、
図6Aに示す矢印VIB-VIB方向に視た輪切り断面図である。
図7Aは、排液バッグ3の特徴部分を示す拡大正面図であり、雄コネクタ38を約90度回転させて雌コネクタ35から外すことを可能にした状態を示す。
図7Bは、
図7Aに示す矢印VIIB-VIIB方向に視た輪切り断面図である。
【0034】
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A及び
図7Bに示すように、排液バッグ3が採用するコネクタ接続構造は、吸引ポンプ21(
図3参照)の側に接続されるポンプ側接続口として機能する雌コネクタ35に、吸引ポンプ21(
図3参照)の側に繋がるチューブ37(
図1~
図3参照)の一端に取り付けられている雄コネクタ38が接続されるコネクタ接続構造である。
【0035】
雄コネクタ38は、挿入部381と、左右一対の弾性片382と、左右一対の爪383と、チューブ接続部384と、を有している。
【0036】
挿入部381は、雌コネクタ35に挿入される先端部分である。左右一対の弾性片382は、それぞれ、雌コネクタ35に挿入部381が挿入された場合に雌コネクタ35の外周面よりも外側に配置されるように挿入部381の基端から先端に向けて設けられている。左右一対の爪383は、それぞれ、左右一対の弾性片382のそれぞれの先端から挿入部381の外周面の側に向けて設けられている。チューブ接続部384は、挿入部381に直交する略水平に延びていて、チューブ37(
図1~
図3参照)に接続される基端部分である。
【0037】
雌コネクタ35は、当該雌コネクタ35の外周面における基端に当該雌コネクタ35の周方向に沿って設けられ、左右一対の爪383がそれぞれ嵌り込む左右一対の溝351を有している。左右一対の溝351は、それぞれ、雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、当該溝351に嵌り込んだ爪383を雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に当該溝351から当該爪383が外れるスロープ形状を有している。溝351の深さは、雄コネクタ38の側を基端としてチューブ37が左回りに取り回されるので、右回りに徐々に小さくなるように設定されている。また、雌コネクタ35は、左右一対の溝351のそれぞれにおける他方の端部と連続し当該左右一対の溝351と共に周をなす位置に、爪383が引っ掛からない一対の非係止部352を有している。
【0038】
次に、
図5A、
図5B、
図6A、
図6B、
図7A及び
図7Bを用いて、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3が採用するコネクタ接続構造による作用、すなわち、雌コネクタ35に雄コネクタ38を接続する作業、及び雌コネクタ35から雄コネクタ38を外す作業について説明する。
【0039】
雌コネクタ35に雄コネクタ38を接続する場合には、まず、
図5Aに示すように、チューブ37(
図1~
図3参照)の一端に接続される雄コネクタ38の一対の弾性片382及び一対の爪383が左右に位置するように、雄コネクタ38の挿入部381の先端を排液バッグ3の雌コネクタ35に正対させる。この時、
図5Bに示すように、雌コネクタ35の左右一対の溝351は、それぞれが空である。
【0040】
次に、
図6Aに示すように、チューブ37(
図1~
図3参照)の一端に接続される雄コネクタ38の挿入部381を排液バッグ3の雌コネクタ35に挿入する。この時、左右一対の弾性片382は、それぞれ、雌コネクタ35の外周面によって外側に力が加えられて外側に曲げられてから、左右一対の爪383のそれぞれが雌コネクタ35の左右一対の溝351に嵌り込む際に力が取り去られて元の状態に回復する。
【0041】
これにより、
図6Bに示すように、雌コネクタ35の左右一対の溝351には、それぞれ、雄コネクタ38の左右一対の爪383が嵌り込むことになる。これにより、雌コネクタ35に雄コネクタ38が接続される。すなわち、チューブ37(
図1~
図3参照)が排液バッグ3に接続される。
【0042】
雌コネクタ35から雄コネクタ38を外す場合には、
図7Aに示すように、チューブ37(
図1~
図3参照)の一端に接続される雄コネクタ38を右回りに約90度回転させる。この時、
図7Bに示すように、雄コネクタ38の左右一対の爪383のそれぞれが雌コネクタ35の左右一対の溝351を右回りに移動して当該左右一対の溝351から外れ、非係止部352に到達する。
【0043】
これにより、雌コネクタ35から雄コネクタ38を外すことが可能になる。すなわち、チューブ37(
図1~
図3参照)が排液バッグ3から外すことが可能になる。
【0044】
このようなコネクタ接続構造を採用する電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3によれば、雌コネクタ35の溝351が、雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、溝351に嵌り込んだ爪383を雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に溝351から爪383が外れるスロープ形状を有しているので、使用時にチューブ37が外れることがなく、その一方で、チューブ37の着脱が容易である。
【0045】
また、コネクタ接続構造を採用する電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3によれば、溝351に嵌り込んだ爪383を雌コネクタ35の周方向の一方から他方に向かって移動させて非係止部352に到達させることで、雄コネクタ38を雌コネクタ35から外すことができる。すなわち、コネクタ接続構造を採用する電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3によれば、爪383が非係止部352に到達する特定の位置に限って、雄コネクタ38を雌コネクタ35から外すことができる。
【0046】
また、コネクタ接続構造を採用する電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3では、溝の深さが右回りに徐々に小さくなるので、雄コネクタ38が右回りに回ることで溝351から爪383が外れることとなる。このため、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3では、チューブ37が左回りに取り回されるので、雄コネクタ38が右回りに回ることで溝351から爪383が外れる構成を採用している。すなわち、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3では、チューブ37が取り回される方向とは逆の方向に雄コネクタ38が回らない限り、溝351から爪383が外れることはない。結果として、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3によれば、使用時にチューブ37が外れることはない。
【0047】
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。すなわち、各構成の位置、大きさ、長さ、数量、形状、材質などは適宜変更できる。
【0048】
例えば、上記実施形態では、雄コネクタ38の側を基端としてチューブ37が左回りに取り回されているので、溝351の深さが右回りに徐々に小さくなる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、仮に、雄コネクタ38の側を基端としてチューブ37が右回りに取り回されているのであれば、溝351の深さが左回りに徐々に小さくなるようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3が、吸引ポンプ21の側に接続されるポンプ側接続口として機能する雌コネクタ35に、吸引ポンプ21の側に繋がるチューブ37の一端に取り付けられている雄コネクタ38が接続されるコネクタ接続構造を採用する場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、さらに、患者の側に接続される患者側接続口として機能する雌コネクタ31に、患者の側に繋がるチューブ33の一端に取り付けられている雄コネクタ34が接続されるコネクタ接続構造を採用してもよい。すなわち、本発明のコネクタ接続構造は、ポンプ側接続口として機能する雌コネクタ35、及び患者側接続口として機能する雌コネクタ31のうち、少なくともポンプ側接続口として機能する雌コネクタ35に採用されるものであればよい。
【0050】
また、上記実施形態では、電動式低圧吸引器1及び排液バッグ3にコネクタ接続構造を採用している場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、種々のコネクタ接続構造に採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電動式低圧吸引器
2 吸引器本体
21 吸引ポンプ
22 圧力センサー
23 電磁弁
24 制御基盤
25 操作パネル
3 排液バッグ(電動式低圧吸引器用排液バッグ)
31 雌コネクタ(患者側接続口)
32 キャップ
33 チューブ
34 雄コネクタ
35 雌コネクタ(ポンプ側接続口)
351 溝
352 非係止部
36 キャップ
37 チューブ
38 雄コネクタ
381 挿入部
382 弾性片
383 爪
384 チューブ接続部
4 クッション瓶
【手続補正書】
【提出日】2023-03-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄コネクタが雌コネクタに接続されるコネクタ接続構造であって、
前記雄コネクタは、前記雌コネクタに挿入される挿入部と、前記雌コネクタに前記挿入部が挿入された場合に前記雌コネクタの外周面よりも外側に配置されるように前記挿入部の基端から先端に向けて設けられた弾性片と、前記弾性片の先端から前記挿入部の外周面の側に向けて設けられた爪と、を有し、
前記雌コネクタは、該雌コネクタの外周面における基端に該雌コネクタの周方向に沿って設けられ、前記爪が嵌り込む溝を有し、
前記溝は、前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、該溝に嵌り込んだ前記爪を前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に該溝から該爪が外れるスロープ形状を有し、
前記弾性片は、前記挿入部が前記雌コネクタに挿入される時、前記雌コネクタの外周面によって外側に力が加えられて該外側に曲げられてから、前記爪が前記溝に嵌り込む際に前記力が取り去られて元の状態に回復することを特徴とする
コネクタ接続構造。
【請求項2】
前記雌コネクタは、前記溝における前記他方の端部と連続し前記溝と共に周をなす位置に、前記爪が引っ掛からない非係止部を有していることを特徴とする
請求項1に記載のコネクタ接続構造。
【請求項3】
前記雌コネクタは、容器の口として略鉛直に延びていて、
前記雄コネクタは、前記挿入部に直交する略水平に延びていて、チューブに接続されるチューブ接続部を有し、
前記溝の深さは、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが左回りに取り回される場合には右回りに徐々に小さくなり、前記雄コネクタの側を基端として前記チューブが右回りに取り回される場合には左回りに徐々に小さくなることを特徴とする
請求項1に記載のコネクタ接続構造。
【請求項4】
吸引ポンプを有する電動式低圧吸引器によって吸引された患者の体液を収容する容器である排液バッグであって、
容器の口として、患者の側に接続される患者側接続口と、前記吸引ポンプの側に接続されるポンプ側接続口と、を有し、
前記患者側接続口及び前記ポンプ側接続口のうち、少なくとも前記ポンプ側接続口に、請求項1~3のいずれかに記載のコネクタ接続構造を採用したことを特徴とする
電動式低圧吸引器用排液バッグ。
【請求項5】
請求項4に記載の電動式低圧吸引器用排液バッグを備えていることを特徴とする
電動式低圧吸引器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
(1)本発明は、雄コネクタ(例えば、雄コネクタ38)が雌コネクタ(例えば、雌コネクタ35)に接続されるコネクタ接続構造であって、前記雄コネクタは、前記雌コネクタに挿入される挿入部(例えば、後述する挿入部381)と、前記雌コネクタに前記挿入部が挿入された場合に前記雌コネクタの外周面よりも外側に配置されるように前記挿入部の基端から先端に向けて設けられた弾性片(例えば、後述する弾性片382)と、前記弾性片の先端から前記挿入部の外周面の側に向けて設けられた爪(例えば、後述する爪383)と、を有し、前記雌コネクタは、該雌コネクタの外周面における基端に該雌コネクタの周方向に沿って設けられ、前記爪が嵌り込む溝(例えば、後述する溝351)を有し、前記溝は、前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって徐々に深さが小さくなり、該溝に嵌り込んだ前記爪を前記雌コネクタの周方向の一方から他方に向かって移動させた場合に該溝から該爪が外れるスロープ形状を有し、前記弾性片は、前記挿入部が前記雌コネクタに挿入される時、前記雌コネクタの外周面によって外側に力が加えられて該外側に曲げられてから、前記爪が前記溝に嵌り込む際に前記力が取り去られて元の状態に回復することを特徴とするコネクタ接続構造である。