(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099469
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】X線撮影装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240718BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023170930
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2023003315
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 大輝
(72)【発明者】
【氏名】吉田 光毅
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 大
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA17
4C093EC16
4C093ED01
4C093FA32
4C093FA36
4C093FA53
4C093FA55
4C093FC30
(57)【要約】
【課題】被検者とX線検出器との間の距離が大きくなることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することが可能なX線撮影装置を提供する。
【解決手段】このX線撮影装置100は、X線源1と、X線検出器2と、X線源1およびX線検出器2を保持するアーム3と、アーム駆動機構4と、X線検出器2を前進または後退させるX線検出器移動機構5と、被検者80の表面形状のモデルである被検者モデル90を取得するモデル取得部6と、被検者モデル90の位置に基づいて設定されるX線検出器2の目標位置である第1目標位置20と、予め設定されたX線検出器2の目標位置である第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対するX線検出器2の距離が小さい目標位置を選択し、X線検出器移動機構5を制御することにより、選択した目標位置に向けてX線検出器2を移動させる制御を行う制御部7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源および前記X線検出器を保持するアームと、
前記アームを駆動するアーム駆動機構と、
前記アームに設けられ、前記X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、
前記被検者の表面形状のモデルである被検者モデルを取得するモデル取得部と、
前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記X線検出器の目標位置である第1目標位置と、予め設定された前記X線検出器の目標位置である第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記X線検出器を移動させる制御を行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【請求項2】
前記第1目標位置と前記被検者モデルの表面との間の距離である第1距離と、前記第2目標位置と前記被検者モデルの表面との間の距離である第2距離とを取得する距離取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記距離取得部によって取得された前記第1距離と前記第2距離とを比較し、前記第2距離よりも前記第1距離が小さい場合には、前記第1目標位置に向けて前記X線検出器を移動させ、前記第1距離よりも前記第2距離が小さい場合には、前記第2目標位置に向けて前記X線検出器を移動させるように前記X線検出器移動機構を制御するように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項3】
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1目標位置と、操作者の操作入力に基づいて設定された前記第2目標位置とを比較するように構成されている、請求項2に記載のX線撮影装置。
【請求項4】
前記被検者モデルを記憶する記憶部と、
前記X線検出器を前記第1目標位置および前記第2目標位置のうちの選択された目標位置に移動させた後に、前記被検者モデルと前記X線検出器との相対位置に基づいて、前記記憶部に記憶された前記被検者モデルを更新するモデル更新部とをさらに備え、
前記制御部は、前記アームの角度を変更する際に、更新された前記被検者モデルに基づいて、前記第1目標位置を更新するように構成されている、請求項3に記載のX線撮影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アームの角度を変更する際に、更新された前記第1目標位置と、変更後の前記アームの角度に応じた前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記X線検出器の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項6】
前記モデル更新部は、前記X線検出器が前記被検者モデルの内側に配置された際に、前記被検者モデルを更新するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項7】
前記X線検出器移動機構に設けられ、前記X線検出器と前記被検者とが接触したか否かを検知する接触センサをさらに備え、
前記モデル更新部は、前記接触センサによって前記X線検出器と前記被検者との接触が検知された後、前記X線検出器と前記被検者との接触が検知されなくなった際の前記X線検出器の位置に基づいて、前記被検者モデルを更新するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項8】
前記記憶部は、目標位置における前記アームの角度の情報であるアーム角度情報と、X線の照射軸線方向における前記X線検出器の位置の情報である検出器位置情報とを含む複数のプリセット情報を記憶するように構成されており、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された操作者の操作入力に基づいて前記複数のプリセット情報のうちのいずれかが選択されると、選択された前記プリセット情報の前記アーム角度情報における前記第1目標位置を取得するとともに、選択された前記プリセット情報に含まれる前記検出器位置情報を前記第2目標位置として取得し、取得した前記第1目標位置と前記第2目標位置とを比較するように構成されている、請求項4に記載のX線撮影装置。
【請求項9】
前記被検者が載置される寝台と、
前記寝台に載置された前記被検者の体格の情報である体格情報を取得する非接触センサと、
前記非接触センサによって取得された前記被検者の情報に基づいて、前記被検者モデルを生成するモデル生成部と、をさらに備える、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項10】
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構と、前記第2X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記第1目標位置と前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第1X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第1X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第1X線検出器を移動させる制御を行うとともに、
前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記第2X線検出器の目標位置である第3目標位置と、予め設定された前記第2X線検出器の目標位置である第4目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第2X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第2X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第2X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項11】
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構と、前記第2X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うとともに、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行わない場合に、
前記第1X線検出器の移動において、前記第1目標位置と前記第2目標位置とを比較することにより、前記第1目標位置と前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第1X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第1X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第1X線検出器を移動させる制御を行い、
前記第2X線検出器の移動において、前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記第2X線検出器の目標位置である第3目標位置と、予め設定された前記第2X線検出器の目標位置である第4目標位置とを比較せずに、前記第2X線検出器移動機構を制御することにより、前記第4目標位置に向けて前記第2X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、請求項1に記載のX線撮影装置。
【請求項12】
前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定と、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定とに関する操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に対する操作者の操作入力により設定された、前記第1撮影設定または前記第2撮影設定に基づいて、前記第1X線検出器および前記第2X線検出器を移動させるように構成されている、請求項10または11に記載のX線撮影装置。
【請求項13】
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部と、
前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定と、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定と、X線の照射軸線方向における前記第1X線検出器の位置の情報である第1検出器位置情報およびX線の照射軸線方向における前記第2X線検出器の位置の情報である第2検出器位置情報を含む複数のプリセット情報と、を記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された操作者の操作入力に基づいて前記複数のプリセット情報のうちのいずれかが選択されるとともに、前記第2撮影設定において前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行わないことが設定されている場合に、選択された前記プリセット情報に含まれる前記第2検出器位置情報を前記第4目標位置として取得するように構成されている、請求項11に記載のX線撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置に関し、特に、X線源およびX線検出器を保持するアームを備えるX線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源およびX線検出器を保持するアームを備えるX線撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、X線源と、X線検出器と、X線源とX線検出器とを保持するアームと、アームを駆動するアーム駆動機構と、X線検出器をX線の照射軸方向に移動させるX線検出器移動機構と、制御部と、を備える。上記特許文献1には、制御部が、X線検出器移動機構を制御することにより、被検者の表面形状のモデルである被検者モデルの表面に対してX線検出器を近付けるか、または、遠ざけるようにX線検出器を移動させる構成が開示されている。
【0004】
ここで、被検者とX線検出器との間の距離が離れすぎた場合、X線源からX線検出器までの距離が所定の距離よりも大きくなり、X線の減衰量が増加する。X線の減衰量が増加すると、得られる画像のコントラストが低下する。この場合、得られる画像のコントラストが低下することを抑制するために、照射するX線の線量を増加させることが考えられる。照射するX線の線量を増加させると、散乱X線が増加し、得られる画像の画質が劣化するという不都合がある。そこで、上記特許文献1に開示されているX線撮影装置は、被検者とX線検出器との間の距離が離れすぎないように、被検者モデルの表面に対してX線検出器を近付けるようにX線検出器を移動させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている構成では、被検者モデルに対してX線検出器を移動させる制御を行うため、被検者モデルの厚みおよび幅と被検者の体厚および体幅との差異が大きい場合、X線検出器と被検者との間の距離が離れすぎる場合がある。すなわち、本願発明らは、鋭意検討した結果、被検者モデルのみに基づいてX線検出器を被検者に近づける構成の場合、移動後のX線検出器の位置が被検者から離れすぎることがあることを見出した。移動後のX線検出器の位置が被検者から離れすぎている場合、操作者がX線検出器を手動でさらに移動させることにより、被検者とX線検出器との間の距離を小さくすることが考えられる。しかしながら、撮影位置を変更する度に操作者が手動でX線検出器を移動させる必要があるため、操作者の作業量が増加するという不都合がある。そのため、被検者とX線検出器との間の距離が大きくなることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することが可能なX線撮影装置が望まれている。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被検者とX線検出器との間の距離が大きくなることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することが可能なX線撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面におけるX線撮影装置は、被検者にX線を照射するX線源と、X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、X線源およびX線検出器を保持するアームと、アームを駆動するアーム駆動機構と、アームに設けられ、X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、被検者の表面形状のモデルである被検者モデルを取得するモデル取得部と、被検者モデルの位置に基づいて設定されるX線検出器の目標位置である第1目標位置と、予め設定されたX線検出器の目標位置である第2目標位置とのうち、被検者モデルの表面に対するX線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けてX線検出器を移動させる制御を行う制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本願発明者らが鋭意検討した結果、被検者モデルの厚みおよび幅の精度が低い場合、予め設定された目標位置(第2目標位置)の方が、X線検出器を被検者により近い位置に配置できる場合があることを見出した。また、被検者モデルの厚みおよび幅の精度が高い場合、被検者モデルの位置に基づいて設定される目標位置(第1目標位置)の方が、第2目標位置よりもX線検出器を被験者により近い位置に配置することができる場合がある。すなわち、本願発明者らは、被検者モデルに基づく第1目標位置と、予め設定された第2目標位置とに基づくことにより、X線検出器を被検者により近い位置に配置できることを見出した。
【0010】
そこで、この発明の一の局面におけるX線撮影装置では、上記のように、被検者モデルの位置に基づいて設定されるX線検出器の目標位置である第1目標位置と、予め設定されたX線検出器の目標位置である第2目標位置とのうち、被検者モデルの表面に対するX線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けてX線検出器を移動させる制御を行う制御部を備える。これにより、被検者モデルに基づく第1目標位置と、予め設定された第2目標位置とのうち、被検者モデルの表面により近い目標位置に対してX線検出器が移動されるので、被検者モデルのみに基づいてX線検出器を移動させる構成と比較して、X線検出器が被検者から離れすぎることを抑制することができる。したがって、X線検出器移動機構によってX線検出器を移動させた後に、操作者がさらにX線検出器を移動させることを抑制することが可能となるので、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。また、被検者モデルの精度が高い場合には、第1目標位置に向けてX線検出器が移動される。被検者モデルの精度が高いので、第1目標位置にX線検出器を移動させた後に、操作者によってX線検出器をさらに移動させる必要がないため、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。これらの結果、被検者とX線検出器との間の距離が大きくなることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるX線撮影装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態によるX線撮影装置の構成を示す模式図である。
【
図3】一実施形態によるX線撮影装置が生成する被検者モデルを説明するための模式図である。
【
図4】一実施形態による第1目標位置を説明するための模式図である。
【
図5】一実施形態による第2目標位置を説明するための模式図である。
【
図6】一実施形態による第1撮影位置を説明するための模式図である。
【
図7】一実施形態による第2撮影位置を説明するための模式図である。
【
図8】一実施形態によるモデル更新部が被検者モデルを更新する構成を説明するための模式図である。
【
図9】一実施形態による更新された第1目標位置を説明するための模式図である。
【
図10】一実施形態による入力に応じた第2目標位置を説明するための模式図である。
【
図11】一実施形態によるX線撮影装置がアームを自動で移動させる構成を説明するための模式図(A)~模式図(D)である。
【
図12】一実施形態による制御部がアームの移動速度を制御する構成を説明するための模式図である。
【
図13】一実施形態による制御部が操作者の操作入力に基づいてアームを移動させる制御を説明するための模式図である。
【
図14】一実施形態によるX線撮影装置によって被検者を撮影する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図15】一実施形態によるX線撮影装置がX線検出器の目標位置を設定する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図16】一実施形態によるモデル更新部が被検者モデルを更新する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図17】一実施形態による制御部がアームの移動速度を制御する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図18】第1変形例によるX線撮影装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図19】第1変形例によるX線撮影装置の構成を示す模式図である。
【
図20】第1変形例による第3目標位置を説明するための模式図である。
【
図21】第1変形例による第4目標位置を説明するための模式図である。
【
図22】第1変形例による制御部がX線検出器の目標位置を設定する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図23】第2変形例によるX線撮影装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図24】第2変形例によるX線撮影装置の構成を示す模式図である。
【
図25】第3変形例によるX線撮影装置の構成を示す模式図である。
【
図26】第3変形例によるX線撮影装置によって被検者を撮影する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図27】第3変形例によるX線撮影装置がX線検出器の目標位置を設定する処理を説明するための第1のフローチャートである。
【
図28】第3変形例によるX線撮影装置がX線検出器の目標位置を設定する処理を説明するための第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1~
図7を参照して、一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0014】
(X線撮影装置の構成)
まず、
図1を参照して、一実施形態によるX線撮影装置100の構成について説明する。
【0015】
図1に示すように、X線撮影装置100は、X線源1と、X線検出器2と、アーム3と、アーム駆動機構4と、X線検出器移動機構5と、モデル取得部6と、制御部7と、を備えている。また、本実施形態では、X線撮影装置100は、入力受付部8と、記憶部9と、接触センサ10と、寝台11と、を備えている。また、本実施形態では、X線撮影装置100は、アーム位置変更機構12を備えている。
【0016】
次に、
図2を参照して、X線撮影装置100の構成の詳細について説明する。
図2に示すように、X線撮影装置100は、たとえば、検査室に設置され、被検者80に造影剤を投与して撮影することにより、医師等が被検者80の関心領域の治療および診断などを行う。また、X線撮影装置100は、被検者80の関心領域を、複数の角度から撮影可能に構成されている。なお、
図2に示す例では、上下方向をZ方向とし、上方向をZ1方向、下方向をZ2方向とする。また、Z方向と直交する水平面内において互いに直交する2方向を、X方向およびY方向とする。X方向のうち、一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。また、Y方向のうち、一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。なお、X方向は、天板11aの長手方向である。言い換えると、X方向は、被検者80の頭足(体長)方向である。また、Y方向は、天板11aの短手方向である。言い換えると、Y方向は、被検者80の体幅80b(
図3参照)方向である。
【0017】
図2に示すように、X線源1は、X線を照射するように構成されている。X線源1は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させるとともに、発生させたX線を照射軸線50の方向に向けて照射するように構成されている。本実施形態では、X線源1は、アーム3の一方側において、X線検出器2と対向するように保持されている。したがって、本実施形態では、X線源1から照射されたX線は、X線検出器2に向けて照射される。また、本実施形態では、X線源1およびX線検出器2の間に天板11aが配置されるように、アーム3が配置される。したがって、X線源1は、被検者80にX線を照射するように構成されている。
【0018】
X線検出器2は、X線を検出するように構成されている。また、X線検出器2は、検出されたX線を電気信号に変換し、変換された電気信号を画像信号として読み取るように構成されている。本実施形態では、X線検出器2は、アーム3の他方側において、X線源1と対向するように保持される。したがって、X線検出器2は、X線源1から照射されたX線を検出するように構成されている。X線検出器2は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。
【0019】
アーム3は、X線源1およびX線検出器2を保持するように構成されている。本実施形態では、アーム3は、円弧状の形状を有しており、一端と他端とに、X線源1と、X線検出器2とを保持している。アーム3は、いわゆるCアームである。また、アーム3は、アーム駆動機構4に回転可能に保持されている。具体的には、アーム3は、矢印60に示すように、回転軸線51の周りに回動可能にアーム駆動機構4に保持されている。
図2では、アーム3が、X線源1とX線検出器2との間に、天板11aが位置するように配置される例を示している。
【0020】
アーム駆動機構4は、アーム3を駆動するように構成されている。アーム駆動機構4は、たとえば、モータなどを含む。アーム駆動機構4は、アーム3およびアーム駆動機構4を移動させるアーム位置変更機構12に保持されている。本実施形態では、アーム駆動機構4は、矢印60に示すように、回転軸線51の周りに回動可能にアーム3を保持している。また、アーム駆動機構4は、アーム3をアーム3の周方向(矢印61方向)に移動可能に構成されている。本実施形態では、アーム駆動機構4は、寝台11に対するアーム3の位置および角度を変更可能に構成されている。
図2では、回転軸線51が水平方向(X方向)を向くようにアーム駆動機構4が配置される例を示している。
【0021】
X線検出器移動機構5は、アーム3に設けられ、X線検出器2をX線の照射軸線50の方向において前進または後退させるように構成されている。具体的には、X線検出器移動機構5は、矢印63に示すように、X線検出器2をX線の照射軸線50の方向に移動させるように構成されている。
図2では、X線の照射軸線50がZ方向を向く状態を示しているため、X線検出器移動機構5は、X線検出器2をZ方向に移動させる。X線検出器移動機構5は、たとえば、直動機構を含む。
【0022】
接触センサ10は、X線検出器移動機構5に設けられ、X線検出器2と被検者80とが接触したか否かを検知するように構成されている。
図2に示すように、接触センサ10は、X線検出器2のうち、X線源1と対向する面2aに設けられている。接触センサ10は、X線検出器2がX線検出器移動機構5によって移動される際に、X線検出器2と被検者80とが接触したか否かを検知するように構成されている。接触センサ10は、たとえば、機械式のセンサを含む。
【0023】
寝台11は、被検者80が載置されるように構成されている。寝台11は、天板11aと、天板移動機構11bとを含む。天板11aには、被検者80が載置される。
【0024】
天板移動機構11bは、天板11aをZ方向に移動させるように構成されている。また、天板移動機構11bは、天板11aを、XY平面において平行移動させるように構成されている。また、天板移動機構11bは、天板11aをX方向およびY方向に傾斜させることが可能に構成されている。天板移動機構11bは、たとえば、X方向に天板11aを移動させる直動機構と、Y方向に天板11aを移動させる直動機構と、Z方向に天板11aを移動させる直動機構とを含む。
【0025】
アーム位置変更機構12は、アーム駆動機構4を移動させて、アーム駆動機構4とともにアーム3を所望の撮影位置に移動させるように構成されている。アーム位置変更機構12は、矢印62に示すように、回転軸線52の周りに回動可能に構成されている。アーム位置変更機構12は、回転軸線52の周りに回動することにより、アーム駆動機構4とともに、アーム3を所望の撮影位置に移動させるように構成されている。
図2では、アーム位置変更機構12が検査室の床に設けられる例を示している。したがって、回転軸線52は上下方向(Z方向)を向く。アーム位置変更機構12は、駆動源と、駆動源からの駆動力を伝達する駆動力伝達部材と、駆動源から伝達された駆動力によって回転する回転部とを含む。
【0026】
次に、
図1および
図2を参照し、X線撮影装置100の制御について説明する。
【0027】
モデル取得部6は、被検者80の表面形状のモデルである被検者モデル90を取得するように構成されている。モデル取得部6は、たとえば、予め生成され、X線撮影装置100が設置されている病院の病院システムサーバ(図示せず)、電子カルテシステム(図示せず)などに記憶されている被検者モデル90を取得するように構成されている。モデル取得部6は、たとえば、入出力インタフェースを含む。
【0028】
制御部7は、X線撮影装置100を制御するように構成されている。また、制御部7は、アーム駆動機構4、および、アーム位置変更機構12を制御することにより、アーム3を所定の撮影位置に配置して、撮影を行うように構成されている。また、制御部7は、操作者が入力受付部8によって入力した操作入力に基づいてアーム駆動機構4およびアーム位置変更機構12を制御することにより、アーム3を移動させるように構成されている。
【0029】
また、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。また、制御部7は、操作者が入力受付部8によって入力した操作入力に基づいてX線検出器移動機構5を制御することにより、X線検出器2を移動させるように構成されている。制御部7は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ、または、回路(Circuitry)を含む。制御部7がアーム3を所定の撮影位置に配置する構成、および、X線検出器2を移動させる構成の詳細については、後述する。
【0030】
また、本実施形態では、制御部7は、第1目標位置20(
図4参照)と、第2目標位置21(
図5参照)とのうち、被検者モデル90の表面90c(
図4参照)に対するX線検出器2の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている。また、制御部7は、X線検出器移動機構5を制御することにより、選択した目標位置に向けてX線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。
【0031】
第1目標位置20は、被検者モデル90の位置に基づいて設定されるX線検出器2の目標位置である。また、第2目標位置21は、予め設定されたX線検出器2の目標位置である。
【0032】
また、制御部7は、距離取得部7aと、モデル更新部7bとを含む。距離取得部7a、および、モデル更新部7bは、制御部7が記憶部9に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。距離取得部7a、および、モデル更新部7bは、専用のプロセッサ(処理回路)を設けて、互いに個別のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0033】
距離取得部7aは、第1目標位置20と被検者モデル90の表面90cとの間の距離である第1距離30(
図4参照)と、第2目標位置21と被検者モデル90の表面90cとの間の距離である第2距離31(
図5参照)とを取得するように構成されている。距離取得部7aが第1距離30および第2距離31を取得する構成の詳細については、後述する。
【0034】
モデル更新部7bは、記憶部9に記憶された被検者モデル90を更新するように構成されている。モデル更新部7bが被検者モデル90を更新する構成の詳細については、後述する。
【0035】
入力受付部8は、操作者の操作入力を受け付けるように構成されている。入力受付部8は、たとえば、マウス、キーボード、および、ジョイスティックなどの入力装置を含む。
【0036】
記憶部9は、被検者モデル90を記憶するように構成されている。また、記憶部9は、複数のプリセット情報70を記憶するように構成されている。記憶部9は、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置を含む。
【0037】
複数のプリセット情報70は、アーム角度情報71と、検出器位置情報72とを含む。アーム角度情報71は、目標位置におけるアーム3の角度の情報である。また、検出器位置情報72は、X線の照射軸線50の方向におけるX線検出器2の位置の情報である。複数のプリセット情報70は、1つの撮影部位に対して、複数のアーム角度情報71および複数の検出器位置情報72を含み得る。また、複数のプリセット情報70は、複数の撮影部位に対するアーム角度情報71および検出器位置情報72を含み得る。また、プリセット情報70は、予め設定された値のアーム角度情報71および検出器位置情報72を含む。また、臨床現場においては、緊急性を要しない場合には、操作者が被検者80を撮影する前に、予めX線検出器2を被検者80に近づけた際のアーム角度情報71および検出器位置情報72が、プリセット情報70として記憶部9に記憶され得る。また、予め設定された値のアーム角度情報71および検出器位置情報72を含むプリセット情報70は、操作者がX線検出器2を被検者80に近づけた際のアーム角度情報71および検出器位置情報72によって、更新され得る。すなわち、プリセット情報70として、被検者80の体格に基づいて取得されたアーム角度情報71および検出器位置情報72を、記憶部9に記憶することができる。
【0038】
すなわち、制御部7は、操作者が選択したプリセット情報70に応じて、アーム3およびX線検出器2を移動させた撮影位置において被検者80を撮影する制御を行う。操作者が複数のプリセット情報70を選択した場合には、選択されたプリセット情報70毎にアーム3およびX線検出器2を移動させた複数の撮影位置において、被検者80の撮影を行う。
【0039】
(被検者モデル)
次に、
図3を参照して、被検者モデル90について説明する。被検者モデル90は、被検者80の表面形状の3次元モデルである。
図3に示すように、被検者モデル90は、厚み90aを短辺とし、幅90bを長辺とする楕円形形状を有する。なお、被検者モデル90は、被検者80の身長および体重などの情報に基づいて生成され、X線撮影装置100が設置されている病院の病院システムサーバ(図示せず)、電子カルテシステム(図示せず)などに記憶されている。被検者モデル90は、被検者80よりも大きい形状を有する。すなわち、被検者モデル90の厚み90aは、被検者80の体厚80aよりも大きい。また、被検者モデル90の幅90bは、被検者80の体幅80bよりも大きい。また、
図3では、被検者モデル90を便宜的に2次元形状で図示しているが、実際には、被検者80の頭足方向に延びる楕円柱である。
【0040】
本実施形態では、被検者モデル90は、モデル取得部6(
図1参照)によって取得され、記憶部9(
図1参照)に記憶されている。
【0041】
(第1目標位置および第2目標位置)
本実施形態では、制御部7は、第1目標位置20(
図4参照)に基づいて、X線検出器2を移動させる制御と、第2目標位置21(
図5参照)に基づいて、X線検出器2を移動させる制御との両方の制御を実行可能に構成されている。
【0042】
第1目標位置20に基づいてX線検出器2を移動させる制御とは、制御部7が、被検者モデル90に近づけるように、X線検出器2を移動させる制御である。
【0043】
また、第2目標位置21に基づいてX線検出器2を移動させる制御とは、制御部7が、被検者モデル90を用いずに、プリセット情報70(
図1参照)に含まれるアーム角度情報71(
図1参照)および検出器位置情報72(
図1参照)に基づいて、X線検出器2を移動させる制御である。
【0044】
ここで、X線源1(
図2参照)とX線検出器2(
図2参照)との距離が離れるにつれて、X線源1とX線検出器2との間の空間においてX線が減衰する量が増加する。そのため、撮影を行う際に、X線検出器2を被検者80に近づける程、X線の減衰量を低減することができる。
【0045】
そこで、本実施形態では、制御部7は、被検者80を撮影する際には、各撮影位置において、X線検出器2をX線源1に近づけるために、X線検出器2を被検者80の表面に近づける制御を行う。具体的には、本実施形態では、制御部7は、第1目標位置20と、第2目標位置21とを比較し、X線検出器2が被検者80に対してより近づく位置となる目標位置に、X線検出器2を移動させる制御を行うように構成されている。
【0046】
なお、本実施形態では、制御部7は、第1目標位置20と、操作者の操作入力に基づいて設定された第2目標位置21とを比較するように構成されている。制御部7は、入力受付部8(
図1参照)によって入力された操作者の操作入力に基づいて複数のプリセット情報70(
図1参照)のうちのいずれかが選択されると、選択されたプリセット情報70のアーム角度情報71(
図1参照)における第1目標位置20を取得するように構成されている。また、制御部7は、選択されたプリセット情報70に含まれる検出器位置情報72を第2目標位置21として取得するように構成されている。なお、制御部7は、プリセット情報70が更新されている場合には、更新されたプリセット情報70に基づいて、第2目標位置21を取得する。また、制御部7は、取得した第1目標位置20と第2目標位置21とを比較するように構成されている。
【0047】
図4に示す第1目標位置20は、被検者モデル90の位置に基づいて設定されるX線検出器2の目標位置である。具体的には、第1目標位置20は、X線検出器2のうちの被検者80(
図2参照)と対向する面2aが、被検者モデル90の表面90cと接触する位置、および、X線検出器2と被検者モデル90とが離間し、かつ、X線検出器2の面2aと被検者モデル90の表面90cとの間の距離(第1距離30)が所定の距離未満となる位置を含む。
【0048】
図5に示す第2目標位置21は、予め設定されたX線検出器2の位置である。具体的には、操作者が選択したプリセット情報70(
図1参照)に含まれるアーム角度情報71および検出器位置情報72(
図2参照)によって設定されるX線検出器2の位置である。なお、第2目標位置21は、被検者モデル90に関係なく設定される位置である。そのため、第2目標位置21にX線検出器2を移動させる場合、被検者モデル90の内側にX線検出器2が配置される状態、被検者モデル90の表面90cに接触する位置にX線検出器2が配置される状態、および、被検者モデル90の外側にX線検出器2が配置される状態があり得る。
図5では、X線検出器2が、被検者モデル90の内側に配置される場合を示している。すなわち、X線検出器2の面2aが、被検者モデル90の表面90cよりも、被検者モデル90の中心に近い位置に配置されている。
【0049】
本実施形態では、制御部7は、距離取得部7aによって取得された第1距離30(
図4参照)と第2距離31(
図5参照)とを比較する。制御部7は、第2距離31よりも第1距離30が小さい場合には、第1目標位置20に向けてX線検出器2を移動させるようにX線検出器移動機構5を制御するように構成されている。また、制御部7は、第1距離30よりも第2距離31が小さい場合には、第2目標位置21に向けてX線検出器2を移動させるようにX線検出器移動機構5を制御するように構成されている。なお、
図5に示すように、X線検出器2の面2aが、被検者モデル90の表面90cの内側に配置されている場合、制御部7は、第2距離31が第1距離30よりも大きい場合でも、第2目標位置21に向けてX線検出器2を移動させるようにX線検出器移動機構5を制御する。すなわち、制御部7は、X線検出器2の面2aが、被検者モデル90の表面90cの内側に配置されている場合、第2距離31をマイナスとして扱う。また制御部7は、第2距離31がマイナスの場合、第1距離30および第2距離31の絶対値によらず、第2距離31が第1距離30よりも小さいと判定するように構成されている。
【0050】
距離取得部7a(
図1参照)は、第1目標位置20におけるX線検出器2の面2aと、被検者モデル90の表面90cとの間の距離を、第1距離30として取得する。また、距離取得部7aは、第2目標位置21におけるX線検出器2の面2aと、被検者モデル90の表面90cとの間の距離を、第2距離31として取得する。
【0051】
(撮影位置)
ここで、本実施形態では、記憶部9(
図1参照)に記憶された複数のプリセット情報70(
図1参照)には、1つの撮影部位に対して、複数の角度から撮影を行うプリセット情報70が含まれ得る。すなわち、本実施形態では、X線撮影装置100(
図2参照)は、被検者80(
図2参照)の撮影部位を撮影する際に、アーム3(
図2参照)の位置および角度を変更して撮影を行うことが可能なように構成されている。本実施形態では、制御部7は、操作者が選択したプリセット情報70に含まれるアーム角度情報71(
図1参照)および検出器位置情報72(
図1参照)に基づいて、自動でアーム3の位置および角度を変更させる制御を行うように構成されている。たとえば、X線撮影装置100は、
図6に示す第1撮影位置から、
図7に示す第2撮影位置にアーム3の位置および角度を変更して撮影を行う。
【0052】
第1撮影位置は、操作者によって選択された複数の撮影位置のうち、最初に撮影を行う撮影位置である。
図6では、照射軸線50がZ方向に沿う方向となるようにX線源1およびX線検出器2が配置される位置が、第1撮影位置として選択された例を示している。すなわち、
図6は、被検者80の体厚80a(
図3参照)の方向に沿った方向から被検者80を撮影する撮影位置がプリセット情報70(
図1参照)として記憶部9(
図1参照)に記憶されており、操作者が第1撮影位置として選択した場合を示している。
【0053】
また、第2撮影位置は、第1撮影位置において撮影が行われた後に、X線検出器2およびアーム3を移動させて撮影を行う撮影位置である。
図7では、照射軸線50がY方向に沿う方向となるように、X線源1およびX線検出器2が配置される位置が、第2撮影位置として選択された例を示している。すなわち、
図7は、被検者80の体幅80b(
図3参照)の方向に沿った方向から、被検者80を撮影する撮影位置がプリセット情報70(
図1参照)として記憶部9(
図1参照)に記憶されており、操作者が第2撮影位置として選択した場合を示している。
【0054】
(被検者モデルの更新)
次に、
図8を参照して、モデル更新部7b(
図1参照)が、被検者モデル90を更新する処理について説明する。
【0055】
被検者モデル90は、被検者80(
図2参照)の身長および体重などの情報に基づいて生成される。そのため、作成された被検者モデル90の厚み90a(
図3参照)および幅90b(
図3参照)は、実際の被検者80の体厚80a(
図3参照)および体幅80b(
図3参照)よりも大きい場合がある。被検者モデル90の体厚90aおよび幅90bが被検者80の体厚80aおよび体幅80bよりも大きいと、第1目標位置20(
図4参照)における第1距離30(
図4参照)が、第2目標位置21(
図5参照)における第2距離31(
図5参照)よりも大きくなる。その場合、第1撮影位置におけるX線検出器2の目標位置が、第2目標位置21となる。
【0056】
第2目標位置21は、被検者モデル90に関係なく設定されるため、第2目標位置21にX線検出器2を配置すると、
図8に示すように、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置される場合がある。また、第2目標位置21にX線検出器2を配置した場合でも、依然としてX線検出器2が被検者80から遠い場合には、操作者が手動でX線検出器2を移動させることが考えられる。その場合においても、
図8に示すように、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置され得る。
【0057】
被検者モデル90が更新されない場合、撮影位置を変更する度に同様のことが生じ得る。したがって、操作者の作業量が増加し得る。そこで、本実施形態では、モデル更新部7b(
図1参照)は、被検者モデル90を更新するように構成されている。具体的には、モデル更新部7bは、X線検出器2を第1目標位置20(
図4参照)および第2目標位置21(
図5参照)のうちの選択された目標位置に移動させた後に、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置に基づいて、記憶部9に記憶された被検者モデル90を更新するように構成されている。
【0058】
図8に示すように、モデル更新部7bは、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置された際に、被検者モデル90を更新するように構成されている。本実施形態では、モデル更新部7bは、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置された際のX線検出器2の位置情報に基づいて、被検者モデル90を更新する。
図8に示す例では、Z方向にX線検出器2を移動させているため、モデル更新部7bは、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置された際のX線検出器2の位置情報に基づいて、被検者モデル90の厚み90aを、厚み90dに更新する。その後、モデル更新部7bは、被検者モデル90の幅90bを、幅90eに更新する。なお、モデル更新部7bは、被検者モデル90の幅90bを幅90eに更新する際に、厚み90aに対する幅90bの比率と、厚み90dに対する幅90eの比率とが同様の比率となるように、被検者モデル90の幅90bを幅90eに更新する。
【0059】
なお、モデル更新部7bは、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80との接触が検知された後、X線検出器2と被検者80との接触が検知されなくなった際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されていてもよい。すなわち、モデル更新部7bは、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80との接触が検知された際に、被検者モデル90を初期化する。そして、モデル更新部7bは、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80との接触が検知されている間は、被検者モデル90の更新は行わず、接触が検知されなくなった時点から、被検者モデル90の更新を再開する。
【0060】
(第1目標位置の更新および入力に応じた第2目標位置の設定)
次に、
図9および
図10を参照して、制御部7(
図1参照)が、第1目標位置20(
図4参照)を更新する構成、および、操作者の入力に応じて第2目標位置21(
図5参照)を設定する構成について説明する。なお、
図9および
図10に示す例は、X線検出器2およびアーム3を第1撮影位置から第2撮影位置に移動させる際に、第1目標位置20を更新するとともに、入力に応じた第2目標位置21を設定する場合の例である。
【0061】
図9に示すように、本実施形態では、制御部7(
図1参照)は、アーム3(
図1参照)の角度を変更する際に、更新された被検者モデル90に基づいて、第1目標位置20を更新するように構成されている。具体的には、制御部7は、操作者が選択したプリセット情報70(
図1参照)に含まれるアーム角度情報71(
図1参照)に応じたアーム3の角度において、更新された被検者モデル90の表面90cに対してX線検出器2を密着させる位置を、更新した第1目標位置20aとして設定する。なお、
図9に示す例は、第1撮影位置から第2撮影位置にアーム3の角度を変更する場合を示している。すなわち、
図9に示す例は、Y方向からX線検出器2が被検者モデル90に近づくように、X線検出器2が移動される場合を示している。
【0062】
また、
図10に示す例は、操作者の入力に応じた第2目標位置21aを示している。具体的には、
図10に示す例は、第1撮影位置にX線検出器2を配置し、被検者モデル90が更新された後、第2撮影位置にX線検出器2を配置する場合の、第2目標位置21aである。
【0063】
本実施形態では、制御部7は、アーム3の角度を変更する際に、更新された第1目標位置20aと、変更後のアーム3の角度に応じた第2目標位置21aとのうち、被検者モデル90の表面90cに対するX線検出器2の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている。
図9および
図10に示すように、被検者モデル90が更新されたことにより、被検者モデル90の厚み90dおよび幅90eは、更新前の被検者モデル90の厚み90a(
図3参照)および幅90b(
図3参照)よりも小さくなっている。そのため、更新された第1目標位置20aにおけるX線検出器2と被検者モデル90との間の距離である第1距離30a(
図9参照)は、入力に応じた第2目標位置21aにおけるX線検出器2と被検者モデル90との間の距離31a(
図10参照)よりも小さくなっている。したがって、制御部7は、第2撮影位置にX線検出器2を移動させる際には、更新された第1目標位置20aに向けて、X線検出器2を移動させる制御を行う。
【0064】
(撮影位置の変更)
次に、
図11(A)~
図11(D)を参照して、第1撮影位置から第2撮影位置に撮影位置を自動で変更する際の制御部7(
図1参照)の制御について説明する。
図11(A)は、第1撮影位置にX線検出器2が配置されている場合の模式図である。
図11(A)に示す例は、第2目標位置21(
図5参照)にX線検出器2を移動させた後に、被検者モデル90を更新した状態を示している。
【0065】
図11(B)に示すように、制御部7は、予めX線検出器移動機構5(
図1参照)によってX線検出器2を後退させるか、または、アーム3(
図1参照)の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を後退させる。具体的には、制御部7は、矢印63に示すように、X線検出器2を破線40で図示した位置から、X線検出器2から被検者モデル90までの距離が距離32となる位置までX線検出器2を後退させる。なお、距離33は、アーム3を移動させる際に、X線検出器2が被検者80に当接しない程度に被検者モデル90の表面90cから離れた距離である。また、距離32は、被検者モデル90によらず、予め大きさが設定された距離である。
【0066】
次に、
図11(C)に示すように、制御部7は、アーム駆動機構4(
図1参照)およびアーム位置変更機構12(
図1参照)を制御することによって、アーム3を回転させる。具体的には、矢印64に示すように、制御部7は、X線検出器2を、破線41で図示する位置から90度回転させる。
【0067】
次に、
図11(D)に示すように、制御部7は、X線検出器2を90度回転させた後に、X線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させることにより、X線検出器2の調整動作の制御を行うように構成されている。具体的には、矢印65に示すように、制御部7は、破線42で図示した位置から、第2撮影位置におけるX線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が、第1距離30aとなるように、X線検出器2をY2方向に移動させる。これにより、第1撮影位置から第2撮影位置への変更が完了する。なお、第1距離30aは、更新後の第1目標位置20a(
図9参照)におけるX線検出器2の面2aと、被検者モデル90の表面90cとの間の距離である。
【0068】
ここで、アーム3の角度および配置によっては、
図12に示すようにX線検出器2を後退限まで後退させた状態でアーム3を移動させた場合でも、X線検出器2が被検者80に衝突する場合がある。なお、X線検出器2の後退限とは、X線検出器移動機構5(
図1参照)によるX線検出器2の移動範囲5aのうちの、X線検出器2を被検者モデル90から最も遠ざかる位置に配置する位置である。
【0069】
そこで、制御部7は、アーム3を移動させる際に、X線検出器2と被検者モデル90との間の距離が、所定の閾値以下になる場合には、アーム3の移動速度を低下させる制御を行うように構成されている。
【0070】
図12を参照し、制御部7(
図1参照)がアーム3(
図1参照)の移動速度を制御する構成の具体例について説明する。
図12では、破線43で示す位置から、破線44に示す位置までX線検出器2を後退させ、矢印66に沿ってX線検出器2を移動させる例を示している。
【0071】
制御部7は、X線検出器移動機構5(
図1参照)を制御し、X線検出器2を破線43で示す位置から破線44で示す位置(後退限)まで移動(後退)させる。そして、制御部7は、アーム駆動機構4(
図1参照)およびアーム位置変更機構12(
図1参照)を制御し、アーム3を移動させる。アーム3を移動させる際に、X線検出器2は、矢印66に沿った軌道で移動される。すなわち、X線検出器2は、破線44aで示す位置、破線44bで示す位置、破線44cで示す位置を経て、実線44dで示す位置に移動される。
【0072】
制御部7は、被検者モデル90の表面90cと、X線検出器2の面2aとの間の距離33が、所定の閾値以下になる場合には、アーム3の移動速度を低下させる制御を行うように構成されている。制御部7は、たとえば、アーム3の移動速度を一定の割合で低下させるように構成されている。たとえば、制御部7は、アーム3の移動速度を通常の8割の速度に低下させる。また、所定の閾値は、たとえば、3cmである。
【0073】
破線44aで示す位置、破線44bで示す位置、および、実線44dで示す位置は、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離33が、閾値よりも大きい。また、破線44cで示す位置は、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離33が閾値以下である。すなわち、矢印66の軌道上において、実線45から実線46までの範囲が、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離33が閾値以下となる。そこで、制御部7は、矢印66の軌道上において、実線45までの範囲、および、実線46以降の範囲では、アーム3を通常速度モードで移動させる。また、制御部7は、矢印66の軌道上において、実線45から実線46までの範囲では、アーム3を低速度モードで移動させる。なお、通常速度モードとは、アーム3の移動速度を低下させずにアーム3の移動をさせるモードである。また、低速度モードとは、アーム3の移動速度を低下させてアーム3の移動をさせるモードである。
【0074】
このように構成することにより、アーム3の移動速度を低下させることが可能となるので、アーム3の移動中にX線検出器2が被検者80に衝突した際の衝撃を軽減することができる。
【0075】
また、たとえば、ジョイスティックによって操作者が手動でアーム3を移動させる場合、制御部7は、ジョイスティックの傾き量に応じてアーム3の移動速度を変更するように構成されている。操作者がジョイスティックによって手動でアーム3を移動させる際に、X線検出器2と被検者モデル90との間の距離が所定の閾値以下になる場合においても、制御部7は、アーム3の移動速度を低下させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、ジョイスティックの傾き量に応じて変更するアーム3の移動速度を、一律で低下させることにより、アーム3の移動速度を低下させる制御を行う。たとえば、制御部7は、ジョイスティックの傾き量に応じて変更するアーム3の移動速度を一律で8割の速度に低下させる。
【0076】
また、たとえば、ジョイスティックによって操作者が手動でアーム3(
図2参照)を移動させる場合、制御部7(
図1参照)は、
図13に示すように、X線検出器2と被検者モデル90との間の距離34を維持した状態で、アーム3を移動させるように構成されている。
図13は、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cからの距離34の位置にX線検出器2が配置されている状態(破線47aで示す位置にX線検出器2が配置されている状態)から、X線検出器2を、破線47bで示す位置を経て、実線47cで示す位置に移動させる例を示している。この際、たとえば、距離34が、第1距離30よりも大きい場合であっても、制御部7は、アーム3を移動させた後のX線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が第1距離30となるようにアーム3およびX線検出器2を移動させるのではなく、アーム3を移動させる前のX線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離34を維持するように、アーム3を移動させる。
【0077】
すなわち、X線検出器2を、破線47aで示す位置、破線47bで示す位置を経て、実線47cで示す位置に移動させる際に、X線検出器2が、破線で示す軌跡48に沿うように、X線検出器2を被検者モデル90の表面90cに近づけながら(前進させながら)アーム3を移動させるのではなく、一点鎖線で示す軌跡49に沿うように、アーム3を移動させる。なお、軌跡48は、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が第1距離30に維持されるように、X線検出器2を移動させる際の軌跡である。また、軌跡49は、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が距離34に維持されるように、X線検出器2を移動させる際の軌跡である。上記のように構成することにより、X線検出器2と被検者モデル90の表面90cとの距離34が維持された状態でアーム3が移動されるので、操作者が意図しない、X線検出器2の前進動作を防ぐことができる。
【0078】
また、制御部7は、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80とが接触したと検知された場合に、X線検出器2の移動を規制する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、被検者80に近づく方向に対するX線検出器2の移動を規制する制御を行うように構成されている。また、制御部7は、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80とが接触したと検知された場合に、アーム3の移動を規制する制御を行うように構成されている。具体的には、制御部7は、被検者80に近づく方向に対するアーム3の移動を規制する制御を行うように構成されている。これにより、X線検出器2が被検者80に接触した際に、X線検出器2が被検者80に接触した位置から被検者80に近づく方向に対するX線検出器2およびアーム3の移動が規制される。そのため、X線検出器2が接触した位置からさらに被検者80に近づく方向にX線検出器2が移動することを防止することができる。
【0079】
(被検者の撮影処理)
次に、
図14を参照して、X線撮影装置100(
図1参照)が、被検者80(
図2参照)を撮影する構成について説明する。
【0080】
ステップ101において、制御部7(
図1参照)は、プリセット情報70(
図1参照)を取得する。具体的には、制御部7は、記憶部9(
図1参照)に記憶された複数のプリセット情報70のうち、操作者が選択したプリセット情報70を取得する。
【0081】
ステップ102において、制御部7は、X線検出器2(
図1参照)の目標位置を設定する。制御部7がX線検出器2を移動させる際の目標位置を設定する処理の詳細については、後述する。
【0082】
ステップ103において、制御部7は、アーム駆動機構4(
図1参照)およびアーム位置変更機構12(
図1参照)を制御することにより、アーム3を移動させる。具体的には、制御部7は、プリセット情報70に含まれるアーム角度情報71(
図1参照)の角度となるように、アーム3を移動させる。また、制御部7は、X線検出器移動機構5(
図1参照)を制御し、X線検出器2を移動させる。具体的には、制御部7は、ステップ102において設定された目標位置に、X線検出器2を移動させる。
【0083】
ステップ104において、モデル更新部7b(
図1参照)は、被検者モデル90(
図1参照)の更新を行う。モデル更新部7bが被検者モデル90の更新を行う処理の詳細については、後述する。
【0084】
ステップ105において、制御部7は、X線源1(
図1参照)およびX線検出器2を制御することにより、被検者80の撮影を行う。
【0085】
ステップ106において、制御部7は、プリセット情報70が更に選択されたか否かを判定する。プリセット情報70が更に選択された場合、処理は、ステップ101へ進む。プリセット情報70が更に選択されていない場合、処理は、終了する。
【0086】
以上の処理を行うことにより、X線撮影装置100は、複数の撮影位置において、被検者80の撮影を行う。
【0087】
(X線検出器の移動処理)
次に、
図15を参照して、制御部7(
図1参照)が、X線検出器移動機構5(
図1参照)を制御することにより、X線検出器2(
図1参照)を移動させる処理について説明する。
【0088】
ステップ102aにおいて、制御部7は、第1目標位置20(
図4参照)を取得する。具体的には、制御部7は、操作者が選択したプリセット情報70(
図1参照)に含まれるアーム角度情報71(
図1参照)を取得する。そして、制御部7は、取得したアーム角度情報71に基づくアーム3の角度においてX線検出器2を被検者モデル90に密着させた位置を、第1目標位置20として取得する。
【0089】
ステップ102bにおいて、制御部7は、第2目標位置21(
図5参照)を取得する。具体的には、制御部7は、操作者が選択したプリセット情報70に含まれるアーム角度情報71と検出器位置情報72(
図1参照)とに基づくX線検出器2の位置を、第2目標位置21として取得する。
【0090】
ステップ102cにおいて、距離取得部7a(
図1参照)は、第1距離30(
図4参照)を取得する。具体的には、距離取得部7aは、第1目標位置20にX線検出器2を配置したと仮定した場合の、X線検出器2の面2a(
図4参照)から被検者モデル90(
図4参照)の表面90c(
図4参照)までの距離を、第1距離30として取得する。
【0091】
ステップ102dにおいて、距離取得部7aは、第2距離31(
図5参照)を取得する。具体的には、距離取得部7aは、第2目標位置21にX線検出器2を配置したと仮定した場合の、X線検出器2の面2aから被検者モデル90の表面90cまでの距離を、第2距離31として取得する。
【0092】
ステップ102eにおいて、制御部7は、第1距離30が第2距離31よりも小さいか否かを判定する。第1距離30が第2距離31よりも小さい場合、処理は、ステップ102fへ進む。第1距離30が第2距離31よりも大きい場合、処理は、ステップ102gへ進む。すなわち、第2距離31が第1距離30よりも小さい場合、処理は、ステップ102gへ進む。
【0093】
ステップ102fにおいて、制御部7は、第1目標位置20を、X線検出器2の目標位置に設定する。その後、処理は、ステップ103へ進む。
【0094】
また、ステップ102eからステップ102gへ処理が進んだ場合、ステップ102gにおいて、制御部7は、第2目標位置21を、X線検出器2の目標位置に設定する。その後、処理は、ステップ103へ進む。
【0095】
なお、ステップ102aの処理の後に、ステップ102cの処理が実行されてもよい。また、ステップ102bの処理の後に、ステップ102dの処理が実行されてもよい。また、ステップ102aの処理と、ステップ102bの処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0096】
また、被検者モデル90が更新された後においてX線検出器2を移動させる処理を実行する場合、制御部7は、ステップ102aにおいて、更新された第1目標位置20a(
図9参照)を取得する。また、制御部7は、ステップ102bにおいて、入力に応じた第2目標位置21a(
図10参照)を取得する。
【0097】
(被検者モデル更新処理)
次に、
図16を参照して、モデル更新部7b(
図1参照)が、被検者モデル90(
図1参照)を更新する処理について説明する。
【0098】
ステップ104aにおいて、制御部7(
図1参照)は、被検者モデル90の更新条件を満たしたか否かを判定する。被検者モデル90の更新条件を満たしていない場合、処理は、ステップ105へ進む。被検者モデル90の更新条件を満たした場合、処理は、ステップ104bへ進む。なお、被検者モデル90の更新条件は、たとえば、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置されたか否かを含む。また、被検者モデル90の更新条件は、X線検出器2が被検者80(
図2参照)に接触したか否かを含む。
【0099】
ステップ104bにおいて、モデル更新部7bは、被検者モデル90の更新を行う。被検者モデル90の更新条件として、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置されたか否かの条件を満たした場合、モデル更新部7bは、被検者モデル90の内側に配置されたX線検出器2の位置情報に基づいて、被検者モデル90の更新を行う。また、被検者モデル90の更新条件として、X線検出器2が被検者80に接触したか否かの条件を満たした場合、モデル更新部7bは、被検者80に接触した位置におけるX線検出器2の位置情報に基づいて、被検者モデル90の更新を行う。モデル更新部7bは、被検者モデル90の厚み90a(
図3参照)および幅90b(
図3参照)を更新することにより、被検者モデル90の更新を行う。その後、処理は、ステップ105へ進む。
【0100】
(アーム移動速度調整処理)
次に、
図17を参照して、制御部7(
図1参照)が、アーム3(
図1参照)の移動速度を調整する処理について説明する。なお、制御部7がアーム3の移動速度を制御する処理は、
図14に示したステップ103におけるアーム3を移動させる処理と並列的に行われる。すなわち、制御部7は、アーム3を移動させる制御を行っている間は、アーム3の移動速度を制御する処理も併せて行う。
【0101】
ステップ120において、制御部7は、アーム駆動機構4(
図1参照)およびアーム位置変更機構12(
図1参照)を制御することにより、アーム3の移動を開始する。
【0102】
ステップ121において、制御部7は、被検者モデル90(
図1参照)とX線検出器2(
図1参照)との間の距離が、閾値以下であるか否かを判定する。具体的には、制御部7は、被検者モデル90の表面90c(
図4参照)と、X線検出器2の面2a(
図4参照)との間の距離33(
図12参照)が、閾値以下であるか否かを判定する。距離33が閾値以下の場合、処理は、ステップ122へ進む。距離33が閾値よりも大きい場合、処理は、ステップ123へ進む。
【0103】
ステップ122において、制御部7は、低速度モードに切り替える。制御部7は、たとえば、アーム3の移動速度を一定の割合で低下させる。なお、アーム3の移動速度がすでに低下されている場合には、ステップ122の処理はスキップされる。すなわち、制御部7は、低速度モードにおいて、アーム3の移動速度をさらに低下させる制御は行わない。その後、処理は、ステップ124へ進む。
【0104】
また、ステップ121からステップ123へ処理が進んだ場合、ステップ123において、制御部7は、通常速度モードに切り替える。なお、低速度モードに切り替えられていない場合には、ステップ123の処理はスキップされる。その後、処理は、ステップ124へ進む。
【0105】
ステップ124において、制御部7は、アーム3の移動が完了したか否かを判定する。アーム3の移動が完了していない場合、処理は、ステップ121へ進む。アーム3の移動が完了した場合、処理は、ステップ125へ進む。
【0106】
ステップ125において、制御部7は、アーム3の移動を終了する。その後、処理は、終了する。
【0107】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0108】
本実施形態では、上記のように、X線撮影装置100は、被検者80にX線を照射するX線源1と、X線源1から照射されたX線を検出するX線検出器2と、X線源1およびX線検出器2を保持するアーム3と、アーム3を駆動するアーム駆動機構4と、アーム3に設けられ、X線検出器2をX線の照射軸線50の方向において前進または後退させるX線検出器移動機構5と、被検者80の表面形状のモデルである被検者モデル90を取得するモデル取得部6と、被検者モデル90の位置に基づいて設定されるX線検出器2の目標位置である第1目標位置20と、予め設定されたX線検出器2の目標位置である第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対するX線検出器2の距離が小さい目標位置を選択し、X線検出器移動機構5を制御することにより、選択した目標位置に向けてX線検出器2を移動させる制御を行う制御部7と、を備える。
【0109】
これにより、被検者モデル90に基づく第1目標位置20と、予め設定された第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cにより近い目標位置に対してX線検出器2が移動されるので、被検者モデル90のみに基づいてX線検出器2を移動させる構成と比較して、X線検出器2が被検者80から離れすぎることを抑制することができる。したがって、X線検出器移動機構5によってX線検出器2を移動させた後に、操作者がさらにX線検出器2を移動させることを抑制することが可能となるので、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。また、被検者モデル90の精度が高い場合には、第1目標位置20に向けてX線検出器2が移動される。被検者モデル90の精度が高いので、第1目標位置20にX線検出器2を移動させた後に、操作者によってX線検出器2をさらに移動させる必要がないため、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。これらの結果、被検者80とX線検出器2との間の距離が大きくなることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。
【0110】
また、上記実施形態では、以下のように構成したことによって、下記のような更なる効果が得られる。
【0111】
すなわち、本実施形態では、上記のように、第1目標位置20と被検者モデル90の表面90cとの間の距離である第1距離30と、第2目標位置21と被検者モデル90の表面90cとの間の距離である第2距離31とを取得する距離取得部7aをさらに備え、制御部7は、距離取得部7aによって取得された第1距離30と第2距離31とを比較し、第2距離31よりも第1距離30が小さい場合には、第1目標位置20に向けてX線検出器2を移動させ、第1距離30よりも第2距離31が小さい場合には、第2目標位置21に向けてX線検出器2を移動させるようにX線検出器移動機構5を制御するように構成されている。これにより、制御部7は、第1距離30と第2距離31とに基づいて、第1目標位置20および第2目標位置21のうち、被検者モデル90の表面90cにより近い目標位置を容易に取得することができる。その結果、制御部7は、X線検出器2が被検者80に密着する位置に、X線検出器2を容易に移動させることができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、操作者の操作入力を受け付ける入力受付部8をさらに備え、制御部7は、第1目標位置20と、操作者の操作入力に基づいて設定された第2目標位置21とを比較するように構成されている。これにより、第1目標位置20と操作入力に基づいて設定された第2目標位置21とのうち、X線検出器2がより被検者80に近づく位置にX線検出器2を移動させることができる。したがって、操作者は、被検者80を撮影する部位、アーム3の角度の情報(アーム角度情報71)などを選択する操作を行うことによって、撮影する部位およびアーム3の角度などに応じて、X線検出器2を被検者80に近づけた状態で配置することができる。その結果、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、被検者モデル90を記憶する記憶部9と、X線検出器2を第1目標位置20および第2目標位置21のうちの選択された目標位置に移動させた後に、被検者モデル90とX線検出器2との相対位置に基づいて、記憶部9に記憶された被検者モデル90を更新するモデル更新部7bとをさらに備え、制御部7は、アーム3の角度を変更する際に、更新された被検者モデル90に基づいて、第1目標位置20を更新するように構成されている。これにより、被検者モデル90を更新しない構成と異なり、X線検出器2を移動させる度に、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bの精度を向上させることができる。また、第1目標位置20を更新しない構成と異なり、厚み90aおよび幅90bの精度を向上させた被検者モデル90に基づいて第1目標位置20が更新されるので、第1目標位置20におけるX線検出器2の位置を、より被検者80に近づけることができる。これらの結果、厚み90aおよび幅90bの精度が高い被検者モデル90に基づいて更新された第1目標位置20aに対してX線検出器2を移動させることにより、X線検出器2を被検者80に対してより近づけることができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、制御部7は、アーム3の角度を変更する際に、更新された第1目標位置20aと、変更後のアーム3の角度に応じた第2目標位置21aとのうち、被検者モデル90の表面90cに対するX線検出器2の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている。ここで、更新された第1目標位置20aは、更新された被検者モデル90に基づいて設定される。そのため、更新された第1目標位置20aにおける第1距離30aは、更新前の第1目標位置20における第1距離30よりも小さい。そこで、上記のように構成することにより、アーム3の角度を変更する際に、更新された第1目標位置20aと、変更後のアーム3の角度に応じた第2目標位置21aとのうちの、より被検者モデル90の表面90cに近い目標位置が選択されるので、第1目標位置20を更新しない構成と比較して、X線検出器2を被検者80により近い位置に配置することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、モデル更新部7bは、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置された際に、被検者モデル90を更新するように構成されている。ここで、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置される場合、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bは、実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bよりも大きい。すなわち、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bの精度が低い。そこで、上記のように構成することにより、被検者モデル90の内側に配置されたX線検出器2の位置に基づいて被検者モデル90を更新することにより、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bを実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bに近づけることが可能となるので、被検者モデル90の精度を向上させることができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、X線検出器移動機構5に設けられ、X線検出器2と被検者80とが接触したか否かを検知する接触センサ10をさらに備え、モデル更新部7bは、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80との接触が検知された後、X線検出器2と被検者80との接触が検知されなくなった際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されている。これにより、X線検出器2が被検者80に当接した後、X線検出器2が被検者80から離れた際のX線検出器2の位置に基づいて、実際の被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得することができる。その結果、取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて被検者モデル90を更新することが可能となるので、被検者モデル90の精度をより向上させることができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、記憶部9は、目標位置におけるアーム3の角度の情報であるアーム角度情報71と、X線の照射軸線50の方向におけるX線検出器2の位置の情報である検出器位置情報72とを含む複数のプリセット情報70を記憶するように構成されており、制御部7は、入力受付部8によって入力された操作者の操作入力に基づいて複数のプリセット情報70のうちのいずれかが選択されると、選択されたプリセット情報70のアーム角度情報71における第1目標位置20を取得するとともに、選択されたプリセット情報70に含まれる検出器位置情報72を第2目標位置21として取得し、取得した第1目標位置20と第2目標位置21とを比較するように構成されている。これにより、操作者は、複数のプリセット情報70のうち、所望のプリセット情報70を選択することにより、操作者が所望するアーム3の角度およびX線検出器2の位置において、X線検出器2を被検者80に近づけた状態で配置することができる。
【0118】
また、臨床現場においては、緊急性を要しない場合、操作者が被検者80を撮影する前に、予めX線検出器2を被検者80に近づけた際のアーム角度情報71および検出器位置情報72を含む、プリセット情報70が記憶部9に記憶されている場合がある。この場合、制御部7は、被検者80の体格(被検者80の体厚80aおよび体幅80b)に基づいて取得されたアーム角度情報71および検出器位置情報72に基づいて、被検者80に近い位置の第2目標位置21を取得することができる。したがって、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、より被検者80に近い位置にX線検出器2を移動させるため、X線検出器2を被検者80に近づけることができる。また、緊急性を要する場合、制御部7は、予め設定された値のアーム角度情報71および検出器位置情報72のプリセット情報70に基づいて、第2目標位置21を取得する。この場合、第2目標位置21が被検者80から遠い位置となる場合があるが、制御部7が第1目標位置20と第2目標位置21とを比較し、より近い位置にX線検出器2を移動させるため、X線検出器2が被検者80から遠い位置に配置されることを抑制することができる。これらの結果、緊急性を要する場合、および、緊急性を要しない場合のどちらであっても、操作者が所望のプリセット情報70を選択することにより、X線検出器2をより被検者80に近づけた状態で配置することができる。
【0119】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0120】
(第1変形例)
たとえば上記実施形態では、X線撮影装置100が、1つのアーム3を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図18に示す第1変形例によるX線撮影装置200のように、2つのアームを備えていてもよい。
【0121】
具体的には、
図18に示すように、第1変形例によるX線撮影装置200では、X線源1は、第1X線源201と第2X線源209とを含む。第1X線源201、および、第2X線源209は、X線源1と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0122】
また、X線検出器2は、第1X線源201から照射されたX線を検出する第1X線検出器202と、第2X線源209から照射されたX線を検出する第2X線検出器210とを含む。第1X線検出器202および第2X線検出器210は、X線検出器2と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0123】
また、アーム3は、第1X線源201および第1X線検出器202を保持する第1アーム203と、第2X線源209および第2X線検出器210を保持する第2アーム211とを含む。第1アーム203は、第1X線源201および第1X線検出器202を保持する点を除いて、アーム3と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2アーム211は、第2X線源209および第2X線検出器210を保持する点を除いて、アーム3と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0124】
また、アーム駆動機構4は、第1アーム203を駆動する第1アーム駆動機構204と、第2アーム211を駆動する第2アーム駆動機構212とを含む。第1アーム駆動機構204は、第1アーム203を保持する点を除いて、アーム駆動機構4と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2アーム駆動機構212は、第2アーム211を保持する点を除いて、アーム駆動機構4と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0125】
また、X線検出器移動機構5は、第1X線検出器202をX線の照射軸線50(
図19参照)方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構205と、第2X線検出器210をX線の第2照射軸線53(
図19参照)の方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構213とを含む。第1X線検出器移動機構205は、第1X線検出器202を移動させる点を除いて、X線検出器移動機構5と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2X線検出器移動機構213は、第2X線検出器210を移動させる点を除いて、X線検出器移動機構5と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0126】
また、第1変形例によるX線撮影装置200は、制御部7の代わりに制御部206を備える点で、上記実施形態によるX線撮影装置100とは異なる。
【0127】
制御部206は、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている。また、制御部206は、第1X線検出器移動機構205を制御することにより、選択した目標位置に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行うように、構成されている。なお、制御部206が第1X線検出器202を選択した目標位置に向けて移動させる構成は、上記実施形態による制御部7がX線検出器2を選択した目標位置に移動させる構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0128】
また、第1変形例による制御部206は、距離取得部7aおよびモデル更新部7bの代わりに、距離取得部206aおよびモデル更新部206bを備える点で、上記実施形態による制御部7とは異なる。
【0129】
距離取得部206aは、第1距離30(
図4参照)および第2距離31(
図5参照)に加えて、第3距離35(
図20参照)および第4距離36(
図21参照)をさらに取得するように構成されている。
【0130】
モデル更新部206bは、第1X線検出器202が被検者モデル90の内側に配置された場合、または、第1X線検出器202が被検者80に接触した場合に、被検者モデル90を更新するように構成されている。また、モデル更新部206bは、第2X線検出器210が被検者モデル90の内側に配置された場合、または、第2X線検出器210が被検者80に接触した場合に、被検者モデル90を更新するように構成されている。
【0131】
また、第1変形例によるX線撮影装置200は、記憶部207を備える。記憶部207は、複数のプリセット情報270を記憶する点を除いて、記憶部9と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0132】
複数のプリセット情報270は、第1アーム203および第2アーム211の角度の情報であるアーム角度情報271と、第1X線検出器202および第2X線検出器210の位置情報である検出器位置情報272を含む。
【0133】
また、第1変形例によるX線撮影装置200は、第1接触センサ208と、第2接触センサ214とを備える。第1接触センサ208は、第1X線検出器202に設けられている点を除いて、接触センサ10と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2接触センサ214は、第2X線検出器210に設けられている点を除いて、接触センサ10と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0134】
また、第1変形例によるX線撮影装置200は、第1アーム位置変更機構215と、第2アーム位置変更機構216とを備える。第1アーム位置変更機構215は、第1アーム203の位置を変更する点を除いて、アーム位置変更機構12と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。また、第2アーム位置変更機構216は、第2アーム211の位置を変更するように構成されている。第2アーム位置変更機構216が第2アーム211の位置を変更する構成の詳細については、後述する。
【0135】
図19に示すように、第2X線検出器移動機構213は、第2X線検出器210を、X線の第2照射軸線53の方向に移動させるように構成されている。
図19に示す例では、第2照射軸線53が、Y方向を向くように、第2X線源209および第2X線検出器210が配置されている。
【0136】
図19に示すように、第2アーム駆動機構212は、天井13に設けられている。具体的には、第2アーム駆動機構212は、第2アーム位置変更機構216を介して、天井13に設けられている。第2アーム駆動機構212は、矢印67に示すように、第2アーム211を、回転軸線54の軸線周りに回動させるように構成されている。なお、
図19に示す例では、第2アーム駆動機構212は、回転軸線54が上下方向(Z方向)に向くように配置されている。
【0137】
また、第2アーム位置変更機構216は、天井13に設けられている。第2アーム位置変更機構216は、第2アーム駆動機構212を寝台11の長軸方向(矢印68の方向および矢印69の方向)に移動可能に構成されている。第2アーム位置変更機構216は、直動機構を含む。
【0138】
図20は、第3目標位置22を示す模式図である。第3目標位置22は、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第2X線検出器210の目標位置である。具体的には、第3目標位置22は、第2X線検出器210のうちの被検者80(
図2参照)と対向する面210aが、被検者モデル90の表面90cに密着する位置である。また、第2X線検出器210のうち被検者80(
図2参照)と対向する面210aと、被検者モデル90の表面90cとの間の距離が、第3距離35である。
【0139】
図21は、第4目標位置23を示す模式図である。第4目標位置23は、予め設定された第2X線検出器210の位置である。具体的には、操作者が選択したプリセット情報70(
図18参照)に含まれるアーム角度情報71(
図18参照)および検出器位置情報72(
図18参照)によって設定される第2X線検出器210の位置である。
図21に示す例では、第2X線検出器210が、被検者モデル90の内側に配置される。すなわち、第2X線検出器210の面210aが、被検者モデル90の表面90cよりも、被検者モデル90の表面90cに近い位置に配置されている。なお、第2X線検出器210の面210aと、被検者モデル90の表面90cとの間の距離が、第4距離36である。
【0140】
第1変形例による制御部206(
図18参照)は、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第2X線検出器210の目標位置である第3目標位置22(
図20参照)と、予め設定された第2X線検出器210の目標位置である第4目標位置23とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第2X線検出器210の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている。また、制御部206は、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、選択した目標位置に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行うように構成されている。具体的には、制御部206は、第3距離35(
図20参照)と、第4距離36とを比較するように構成されている。第3距離35が第4距離36よりも小さい場合、制御部206は、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、第3目標位置22(
図20参照)に向けて、第2X線検出器210を移動させる。また、第4距離36が第3距離35よりも小さい場合、制御部206は、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、第4目標位置23に向けて、第2X線検出器210を移動させる。
【0141】
次に、
図22を参照して、第1変形例による制御部206(
図18参照)が、第1X線検出器202(
図18参照)、および、第2X線検出器210(
図18参照)を移動させる際の目標位置を設定する処理について説明する。なお、上記実施形態による制御部7が、X線検出器2の目標位置を設定する処理と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0142】
ステップ102a~ステップ102gにおいて、制御部206は、第1X線検出器202を、第1目標位置20(
図4参照)および第2目標位置21(
図5参照)のうち、第1X線検出器202と被検者モデル90(
図4参照)の表面90c(
図4参照)との間の距離が小さくなる目標位置を、第1X線検出器202の目標位置に設定する。
【0143】
ステップ102hにおいて、制御部206は、第3目標位置22(
図20参照)を取得する。具体的には、制御部206は、操作者が選択したプリセット情報70(
図18参照)に含まれるアーム角度情報71(
図18参照)を取得し、取得したアーム角度情報71に基づいて第2アーム211の角度から第2X線検出器210を被検者モデル90に密着させた位置を、第3目標位置22として取得する。
【0144】
ステップ102iにおいて、制御部206は、第4目標位置23(
図21参照)を取得する。具体的には、制御部206は、操作者が選択したプリセット情報70に含まれるアーム角度情報71と検出器位置情報72(
図18参照)とに基づく第2X線検出器210の位置を、第4目標位置23として取得する。
【0145】
ステップ102jにおいて、距離取得部206a(
図18参照)は、第3距離35(
図20参照)を取得する。具体的には、距離取得部206aは、第3目標位置22に第2X線検出器210を配置したと仮定した場合の、第2X線検出器210の面210a(
図20参照)から被検者モデル90の表面90c(
図20参照)までの距離を、第3距離35として取得する。
【0146】
ステップ102kにおいて、距離取得部206aは、第4距離36(
図21参照)を取得する。具体的には、距離取得部206aは、第4目標位置23に第2X線検出器210を配置したと仮定した場合の、第2X線検出器210の面210aから被検者モデル90の表面90cまでの距離を、第4距離36として取得する。
【0147】
ステップ102lにおいて、制御部206は、第3距離35が第4距離36よりも小さいか否かを判定する。第3距離35が第4距離36よりも小さい場合、処理は、ステップ102mへ進む。第3距離35が第4距離36よりも大きい場合、処理は、ステップ102nへ進む。すなわち、第4距離36が第3距離35よりも小さい場合、処理は、ステップ102nへ進む。
【0148】
ステップ102mにおいて、制御部206は、第3目標位置22を、第2X線検出器210の目標位置に設定する。その後、処理は、終了する。
【0149】
また、ステップ102lからステップ102nへ処理が進んだ場合、ステップ102nにおいて、制御部206は、第4目標位置23を、第2X線検出器210の目標位置に設定する。その後、処理は、終了する。
【0150】
なお、ステップ102a~ステップ102gの処理と、ステップ102h~ステップ102nの処理とは、どちらが先に実行されてもよい。
【0151】
なお、第1変形例によるX線撮影装置200のその他の構成は、上記実施形態によるX線撮影装置100の構成と同様の構成である。
【0152】
第1変形例では、上記のように、X線源1は、第1X線源201と第2X線源209とを含み、X線検出器2は、第1X線源201から照射されたX線を検出する第1X線検出器202と、第2X線源209から照射されたX線を検出する第2X線検出器210とを含み、アーム3は、第1X線源201および第1X線検出器202を保持する第1アーム203と、第2X線源209および第2X線検出器210を保持する第2アーム211とを含み、アーム駆動機構4は、第1アーム203を駆動する第1アーム駆動機構204と、第2アーム211を駆動する第2アーム駆動機構212とを含み、X線検出器移動機構5は、第1X線検出器202をX線の照射軸線50の方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構205と、第2X線検出器210をX線の照射軸線(第2照射軸線53)の方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構213とを含み、制御部206は、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が小さい目標位置を選択し、第1X線検出器移動機構205を制御することにより、選択した目標位置に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行うとともに、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第2X線検出器210の目標位置である第3目標位置22と、予め設定された第2X線検出器210の目標位置である第4目標位置23とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第2X線検出器210の距離が小さい目標位置を選択し、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、選択した目標位置に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行うように構成されている。
【0153】
これにより、第1X線検出器202、および、第2X線検出器210の両方を、被検者80に近づけた状態で配置することができる。その結果、第1アーム203および第2アーム211を備える、いわゆるバイプレーンの撮影装置において、本発明を適用することにより、第1X線検出器202および第2X線検出器210の両方が被検者80から離れることを抑制しつつ、操作者の作業量が増加することを抑制することができる。
【0154】
なお、第1変形例によるX線撮影装置200のその他の効果は、上記実施形態によるX線撮影装置100の効果と同様である。
【0155】
(第2変形例)
上記実施形態では、X線撮影装置100が、X線撮影装置100が設置されている病院の病院システムサーバ(図示せず)、電子カルテシステム(図示せず)などに記憶されている被検者モデル90を取得するモデル取得部6を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、
図23に示す第2変形例によるX線撮影装置300のように、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0156】
図23に示すように、第2変形例によるX線撮影装置300は、非接触センサ15を備える点、および、制御部7の代わりに制御部16を備える点で、上記実施形態によるX線撮影装置100とは異なる。
【0157】
図24に示すように、非接触センサ15は、寝台11に載置された被検者80の体格の情報である体格情報73を取得するように構成されている。非接触センサ15は、体格情報73として、被検者80の体厚80a(
図3参照)、および、体幅80b(
図3参照)を含む、被検者80の表面形状の3次元データを取得するように構成されている。非接触センサ15は、たとえば、赤外線センサ、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサなどを含む。
【0158】
また、非接触センサ15は、被検者80の体格情報73(
図1参照)を取得可能な位置に設けられている。具体的には、非接触センサ15は、X線検出器2のうち、面2aよりも後方側(Z1方向側)に設けられている。
【0159】
また、
図23に示すように、第2変形例による制御部16は、モデル生成部16aを備える点で、上記実施形態による制御部7とは異なる。モデル生成部16aは、制御部16が記憶部9に記憶された各種プログラムを実行することにより実現される機能ブロックとしてソフトウェア的に構成される。モデル生成部16aは、専用のプロセッサ(処理回路)を設けて、互いに個別のハードウェアにより構成されていてもよい。
【0160】
モデル生成部16aは、被検者モデル90を生成するように構成されている。具体的には、モデル生成部16aは、被検者80の体格情報73に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。第2変形例では、モデル生成部16aは、非接触センサ15によって取得された被検者80の情報に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。すなわち、モデル生成部16aは、非接触センサ15によって取得された被検者80の体格情報73に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されている。なお、被検者80の体格情報73は、非接触センサ15によって取得され、記憶部9に記憶されている。
【0161】
なお、第2変形例によるX線撮影装置300のその他の構成は、上記実施形態によるX線撮影装置100の構成と同様の構成である。
【0162】
第2変形例では、上記のように、被検者80が載置される寝台11と、寝台11に載置された被検者80の体格の情報である体格情報73を取得する非接触センサ15と、非接触センサ15によって取得された被検者80の情報に基づいて、被検者モデル90を生成するモデル生成部16aと、を備える。これにより、非接触センサ15によって被検者80の体厚80aおよび体幅80bの情報を精度よく取得することができる。その結果、厚み90aおよび幅90bの精度を向上させた被検者モデル90を容易に生成することができる。
【0163】
なお、第2変形例によるX線撮影装置300のその他の効果は、上記実施形態によるX線撮影装置100の効果と同様の効果である。
【0164】
(第3変形例)
(X線撮影装置の構成)
次に、
図25を参照して、第3変形例によるX線撮影装置400の構成について説明する。第3変形例では、制御部406は、X線撮影を行うX線検出器とX線撮影を行わないX線検出器とでは、X線検出器を移動させる際の目標位置の設定において異なる処理を行うように構成されている。なお、上記第1変形例と同様の構成については同様の符号を付し、説明を省略する。
【0165】
図25に示すように、第3変形例によるX線撮影装置400は、制御部206の代わりに制御部406を備える点で、上記第1変形例によるX線撮影装置200とは異なる。
【0166】
制御部406は、第1X線源201および第1X線検出器202による第1X線撮影を行うとともに、第2X線源209および第2X線検出器210による第2X線撮影を行わない場合に、第1X線検出器202の移動において、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第1X線検出器202の目標位置である第1目標位置20(
図4参照)と、予め設定された第1X線検出器202の目標位置である第2目標位置21(
図5参照)とを比較することにより、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が小さい目標位置を選択し、第1X線検出器移動機構205を制御することにより、選択した目標位置に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行うように構成されている。なお、上記の場合に、制御部406が第1X線検出器202を選択した目標位置に向けて移動させる構成は、上記第1変形例による制御部206が第1X線検出器202を選択した目標位置に移動させる構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0167】
制御部406は、上記第1X線撮影を行うとともに第2X線撮影を行わない場合に、第2X線検出器210の移動において、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第2X線検出器210の目標位置である第3目標位置22(
図20参照)と、予め設定された第2X線検出器210の目標位置である第4目標位置23(
図21参照)とを比較せずに、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、第4目標位置23に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行うように構成されている。
【0168】
すなわち、制御部406は、上記の場合に、第2X線検出器210の移動において、第3目標位置22と第4目標位置23とを比較することにより、第3目標位置22と第4目標位置23とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第2X線検出器210の距離が小さい目標位置を選択する制御を行わずに、第4目標位置23に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行う。
【0169】
また、同様に、制御部406は、第2X線撮影を行うとともに、第1X線撮影を行わない場合に、第2X線検出器210の移動において、第3目標位置22(
図20参照)と第4目標位置23(
図21参照)とを比較することにより、第3目標位置22と第4目標位置23とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第2X線検出器210の距離が小さい目標位置を選択し、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、選択した目標位置に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行うように構成されている。なお、上記の場合に、制御部406が第2X線検出器210を選択した目標位置に向けて移動させる構成は、上記第1変形例による制御部206が第2X線検出器210を選択した目標位置に移動させる構成と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0170】
制御部406は、上記第2X線撮影を行うとともに第1X線撮影を行わない場合に、第1X線検出器202の移動において、第1目標位置20(
図4参照)と第2目標位置21(
図5参照)とを比較せずに、第1X線検出器移動機構205を制御することにより、第2目標位置21に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行うように構成されている。
【0171】
すなわち、制御部406は、上記の場合に、第1X線検出器202の移動において、第1目標位置20と第2目標位置21とを比較することにより、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が小さい目標位置を選択する制御を行わずに、第2目標位置21に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行う。
【0172】
また、第3変形例によるX線撮影装置400は、記憶部407を備える。記憶部407は、第1検出器位置情報473および第2検出器位置情報474を含む複数のプリセット情報470と、第1撮影設定411と、第2撮影設定412とを記憶する点を除いて、上記第1変形例による記憶部207と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0173】
複数のプリセット情報470は、第1アーム203および第2アーム211の角度の情報であるアーム角度情報271と、第1X線検出器202および第2X線検出器210の位置情報である検出器位置情報472を含む。検出器位置情報472は、第1X線検出器202の位置情報である第1検出器位置情報473と、第2X線検出器210の位置情報である第2検出器位置情報474とを含む。
【0174】
第1撮影設定411は、第1X線源201および第1X線検出器202による第1X線撮影を行うか否かの設定である。第2撮影設定412は、第2X線源209および第2X線検出器210による第2X線撮影を行うか否かの設定である。第1撮影設定411および第2撮影設定412は、入力受付部408に対する操作者の操作入力により設定される。制御部406は、入力受付部408に対する操作者の操作入力により設定された、第1撮影設定411または第2撮影設定412に基づいて、第1X線検出器202および第2X線検出器210を移動させるように構成されている。
【0175】
第1撮影設定411および第2撮影設定412は、操作者によるプリセット情報470の選択の前後や、操作者によるプリセット情報470の選択の際に、操作者により設定されても良いし、操作者の操作入力により、複数のプリセット情報470の各々と紐付けられて予め設定されていても良い。
【0176】
また、第3変形例によるX線撮影装置400は、入力受付部408を備える。入力受付部408は、第1撮影設定411および第2撮影設定412に関する操作者の操作入力を受け付けるように構成されている点を除いて、上記第1変形例による入力受付部8と同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0177】
第1撮影設定411および第2撮影設定412に関する入力受付部408における操作入力において、一例として、操作者は、第1X線撮影のみを行い第2X線撮影を行わないモードと、第1X線撮影を行わずに第2X線撮影のみを行うモードと、第1X線撮影および第2X線撮影の両方を行うモードと、のうちのいずれか1つを選択することにより、第1撮影設定411および第2撮影設定412を設定することができる。なお、第1撮影設定411および第2撮影設定412に関する入力受付部408における設定手法は、上記の手法に限定されない。他の例として、第1撮影設定411および第2撮影設定412に関する入力受付部408における操作入力において、操作者は、第1X線撮影を行うか否かのいずれかを選択することにより第1撮影設定411を設定するとともに、第2X線撮影を行うか否かのいずれかを選択することにより第2撮影設定412を設定するように構成されていても良い。
【0178】
第1X線源201および第1X線検出器202と、第2X線源209および第2X線検出器210とは、1つの撮影部位に対して互いに異なる角度からX線撮影を行うことが可能なように構成されている。そして、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線源201および第1X線検出器202と、第2X線源209および第2X線検出器210とのいずれか一方のみによりX線撮影が行われる場合においても、操作者が選択したプリセット情報470に含まれるアーム角度情報271に基づいて、自動で第1アーム203および第2アーム211の両方の位置および角度が変更されるように構成されている。すなわち、上記のいずれか一方のみによりX線撮影が行われる場合においても、第1アーム203および第2アーム211の両方が移動されるように構成されている。これにより、上記のいずれか一方のみによりX線撮影が行われる場合において、一方が移動し、かつ、他方が移動しないことに起因する、第1X線源201、第1X線検出器202および第1アーム203と、第2X線源209、第2X線検出器210および第2アーム211との干渉を抑制することができる。
【0179】
ここで、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線源201および第1X線検出器202と、第2X線源209および第2X線検出器210とのいずれか一方のみによりX線撮影が行われる場合において、X線撮影が行われない他方のX線検出器を被検者80(
図19参照)により近い位置に配置させる必要はない。
【0180】
そこで、制御部406は、操作者の操作入力に基づいて複数のプリセット情報470のうちのいずれかが選択されるとともに、第1撮影設定411において第1X線撮影を行うことが設定され、かつ、第2撮影設定412において第2X線撮影を行わないことが設定されている場合に、第3目標位置22と第4目標位置23とを比較せずに、選択されたプリセット情報470における検出器位置情報472に含まれる第2検出器位置情報474を第4目標位置23として取得するとともに、第4目標位置23に向けて第2X線検出器210を移動させるように構成されている。
【0181】
また、制御部406は、操作者の操作入力に基づいて複数のプリセット情報470のうちのいずれかが選択されるとともに、第1撮影設定411において第1X線撮影を行わないことが設定され、かつ、第2撮影設定412において第2X線撮影を行うことが設定されている場合に、第1目標位置20と第2目標位置21とを比較せずに、選択されたプリセット情報470における検出器位置情報472に含まれる第1検出器位置情報473を第2目標位置21として取得するとともに、第2目標位置21に向けて第1X線検出器202を移動させるように構成されている。
【0182】
(被検者の撮影処理)
次に、
図26を参照して、第3変形例によるX線撮影装置400が、被検者80を撮影する処理について説明する。なお、上記実施形態および上記第1変形例によるX線撮影装置400が被検者80を撮影する処理と同様の処理については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0183】
ステップ101において、制御部406は、プリセット情報470を取得する。
【0184】
ステップ107において、制御部406は、第1撮影設定411および第2撮影設定412を取得する。具体的には、制御部406は、記憶部407に記憶された、第1X線撮影を行うか否かについての第1撮影設定411および第2X線撮影を行うか否かについての第2撮影設定412を取得する。なお、ステップ101の処理とステップ107の処理とは、どちらが先に行われてもよい。
【0185】
第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影および第2X線撮影の両方を行う場合、ステップ102xにおいて、制御部406は、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影を行い、かつ、第2X線撮影を行わない場合、ステップ102yにおいて、制御部406は、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影を行わず、かつ、第2X線撮影を行う場合、ステップ102zにおいて、制御部406は、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。ステップ102x、ステップ102yおよびステップ102zにおいて、制御部406が第1X線検出器202および第2X線検出器210を移動させる際の目標位置を設定する処理の詳細については、後述する。
【0186】
ステップ103からステップ106において、制御部406は、第1アーム203および第2アーム211と、第1X線検出器202および第2X線検出器210を移動させる。そして、モデル更新部206bは、被検者モデル90の更新を行う。そして、制御部406は、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線源201および第1X線検出器202と、第2X線源209および第2X線検出器210とを制御することにより、被検者80の撮影を行う。そして、制御部406は、プリセット情報470が更に選択されたか否かを判定する。以上の処理を行うことにより、X線撮影装置400は、被検者80の撮影を行う。
【0187】
(第1X線検出器および第2X線検出器の移動処理)
次に、
図22、
図27および
図28を参照して、第3変形例による制御部406が、第1X線検出器202および第2X線検出器210を移動させる際の目標位置を設定する処理について説明する。なお、上記第1変形例による制御部206が、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する処理と同様の構成については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0188】
図26に示すステップ102xの場合、制御部406は、
図22に示すステップ102aからステップ102nにおける処理と同様の処理を行う。すなわち、第3実施形態において、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影および第2X線撮影の両方を行う場合、制御部406は、ステップ102xにおいて、第1変形例における
図22に示すステップ102aからステップ102nにおける処理と同様の処理を行うことにより、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。
【0189】
具体的には、制御部406は、第1X線検出器202において、第1目標位置20および第2目標位置21のうち、第1X線検出器202と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が小さくなる目標位置を、第1X線検出器202の目標位置に設定する。また、制御部406は、第2X線検出器210において、第3目標位置22および第4目標位置23のうち、第2X線検出器210と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が小さくなる目標位置を、第2X線検出器210の目標位置に設定する。その後、処理は、終了する。
【0190】
また、
図26に示すステップ102yの場合、制御部406は、
図27に示すステップ102aからステップ102gの処理と、ステップ102iおよびステップ102nにおける処理とを行う。すなわち、第3実施形態において、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影を行い、かつ、第2X線撮影を行わない場合、制御部406は、ステップ102y(ステップ102aからステップ102g、ステップ102iおよびステップ102n)において、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。
【0191】
図27に示すステップ102aからステップ102gにおいて、制御部406は、第1X線撮影を行うと設定された第1撮影設定411に基づいて、第1X線検出器202において、第1目標位置20および第2目標位置21のうち、第1X線検出器202と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が小さくなる目標位置を、第1X線検出器202の目標位置に設定する。
【0192】
ステップ102iにおいて、制御部406は、第4目標位置23を取得する。具体的には、制御部406は、第2X線撮影を行わないと設定された第2撮影設定412に基づいて、操作者が選択したプリセット情報470に含まれるアーム角度情報271と第2検出器位置情報474とに基づく第2X線検出器210の位置を、第4目標位置23として取得する。
【0193】
ステップ102nにおいて、制御部406は、第4目標位置23を、第2X線検出器210の目標位置に設定する。その後、処理は、終了する。
【0194】
なお、ステップ102aからステップ102gの処理と、ステップ102iおよびステップ102nの処理とは、どちらが先に実行されてもよい。
【0195】
また、
図26に示すステップ102zの場合、制御部406は、
図28に示すステップ102bおよびステップ102gにおける処理と、ステップ102hからステップ102nの処理とを行う。すなわち、第3実施形態において、第1撮影設定411および第2撮影設定412に基づいて、第1X線撮影を行わず、かつ、第2X線撮影を行う場合、制御部406は、ステップ102z(ステップ102b、ステップ102g、および、ステップ102hからステップ102n)において、第1X線検出器202および第2X線検出器210の目標位置を設定する。
【0196】
図28に示すステップ102bにおいて、制御部406は、第2目標位置21を取得する。具体的には、制御部406は、第1X線撮影を行わないと設定された第1撮影設定411に基づいて、操作者が選択したプリセット情報470に含まれるアーム角度情報271と第1検出器位置情報473とに基づく第1X線検出器202の位置を、第2目標位置21として取得する。
【0197】
ステップ102gにおいて、制御部406は、第2目標位置21を、第1X線検出器202の目標位置に設定する。
【0198】
ステップ102hからステップ102nにおいて、制御部406は、第2X線撮影を行うと設定された第2撮影設定412に基づいて、第2X線検出器210において、第3目標位置22および第4目標位置23のうち、第2X線検出器210と被検者モデル90の表面90cとの間の距離が小さくなる目標位置を、第2X線検出器210の目標位置に設定する。その後、処理は、終了する。
【0199】
なお、ステップ102bおよびステップ102gの処理と、ステップ102hからステップ102nの処理とは、どちらが先に実行されてもよい。
【0200】
なお、第3変形例によるX線撮影装置400のその他の構成は、上記第1変形例によるX線撮影装置200の構成と同様の構成である。
【0201】
(第3変形例の効果)
第3変形例では、上記のように、X線源は、第1X線源201と第2X線源209とを含み、X線検出器は、第1X線源201から照射されたX線を検出する第1X線検出器202と、第2X線源209から照射されたX線を検出する第2X線検出器210とを含み、アームは、第1X線源201および第1X線検出器202を保持する第1アーム203と、第2X線源209および第2X線検出器210を保持する第2アーム211とを含み、アーム駆動機構は、第1アーム203を駆動する第1アーム203駆動機構と、第2アーム211を駆動する第2アーム211駆動機構とを含み、X線検出器移動機構は、第1X線検出器202をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構205と、第2X線検出器210をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構213とを含み、制御部406は、第1X線源201および第1X線検出器202によるX線撮影を行うとともに、第2X線源209および第2X線検出器210によるX線撮影を行わない場合に、第1X線検出器202の移動において、第1目標位置20と第2目標位置21とを比較することにより、第1目標位置20と第2目標位置21とのうち、被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が小さい目標位置を選択し、第1X線検出器移動機構205を制御することにより、選択した目標位置に向けて第1X線検出器202を移動させる制御を行い、第2X線検出器210の移動において、被検者モデル90の位置に基づいて設定される第2X線検出器210の目標位置である第3目標位置22と、予め設定された第2X線検出器210の目標位置である第4目標位置23とを比較せずに、第2X線検出器移動機構213を制御することにより、第4目標位置23に向けて第2X線検出器210を移動させる制御を行うように構成されている。
【0202】
ここで、一般的に、第4目標位置23の方が、第3目標位置22よりも被検者モデル90の表面90cに対する第1X線検出器202の距離が大きいことが多い。そのため、第1アーム203および第2アーム211を備える、いわゆるバイプレーンのX線撮影装置において、制御部406は、X線撮影に使用されない第2X線検出器210について、第3目標位置22と第4目標位置23とを比較せずに、第4目標位置23に向けて移動させる。これにより、X線撮影に使用されない第2X線検出器210の移動の制御が複雑になるのを抑制することができる。また、第4目標位置23に向けて移動されたX線撮影に使用されない第2X線検出器210がX線撮影の妨げとなりにくくなるため、X線撮影の作業性を向上させることができる。
【0203】
また、第3変形例では、上記のように、第1X線源201および第1X線検出器202によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定411と、第2X線源209および第2X線検出器210によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定412とに関する操作者の操作入力を受け付ける入力受付部408をさらに備え、制御部406は、入力受付部408に対する操作者の操作入力により設定された、第1撮影設定411または第2撮影設定412に基づいて、第1X線検出器202および第2X線検出器210を移動させるように構成されている。これにより、第1撮影設定411および第2撮影設定412を、入力受付部408に対する操作者の操作入力により容易に設定することができるため、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を向上させることができる。
【0204】
また、第3変形例では、上記のように、操作者の操作入力を受け付ける入力受付部408と、第1X線源201および第1X線検出器202によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定411と、第2X線源209および第2X線検出器210によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定412と、X線の照射軸線方向における第1X線検出器202の位置の情報である第1検出器位置情報473およびX線の照射軸線方向における第2X線検出器210の位置の情報である第2検出器位置情報474を含む複数のプリセット情報470と、を記憶する記憶部407と、をさらに備え、制御部406は、入力受付部408によって入力された操作者の操作入力に基づいて複数のプリセット情報470のうちのいずれかが選択されるとともに、第2撮影設定412において第2X線源209および第2X線検出器210によるX線撮影を行わないことが設定されている場合に、選択されたプリセット情報470に含まれる第2検出器位置情報474を第4目標位置23として取得するように構成されている。これにより、X線撮影に使用されない第2X線検出器210を、第2検出器位置情報474に基づく予め設定された第4目標位置23に、容易に移動させることができる。
【0205】
なお、第3変形例によるX線撮影装置400のその他の効果は、上記第1変形例によるX線撮影装置200の効果と同様である。
【0206】
(その他の変形例)
上記実施形態では、X線撮影装置100が、距離取得部7aを備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、距離取得部7aを備えていなくてもよい。X線撮影装置100が距離取得部7aを備えていない場合、制御部7は、X線検出器2の位置情報と、被検者モデル90の表面90cの位置情報とに基づいて、第1目標位置20と第2目標位置21とを比較するように構成されればよい。
【0207】
また、上記実施形態では、制御部7が、第1目標位置20と、操作者の入力に基づいて設定された第2目標位置21とを比較する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、電子カルテシステムなどから被検者80の撮影部位に対するアーム3の配置情報を取得し、取得したアーム3の配置情報に基づいて設定された第2目標位置21と、第1目標位置20とを比較するように構成されていてもよい。
【0208】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3の角度を変更する際に、更新された被検者モデル90に基づいて、第1目標位置20を更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、X線検出器2の移動が完了した際に、更新された被検者モデル90に基づいて、第1目標位置20を更新するように構成されていてもよい。
【0209】
また、上記実施形態では、モデル更新部7bが、X線検出器2が被検者モデル90の内側に配置された際に、被検者モデル90を更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル更新部7bは、操作者の操作入力に基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されていてもよい。
【0210】
また、上記実施形態では、モデル更新部7bが、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80との接触が検知された後、X線検出器2と被検者80との接触が検知されなくなった際に、被検者モデル90を更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル更新部7bは、操作者の操作入力に基づいて、被検者モデル90を更新するように構成されていてもよい。
【0211】
また、上記第2変形例では、モデル生成部16aが、非接触センサ15によって取得された被検者80の体格情報73に基づいて被検者モデル90を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル生成部16aは、X線撮影装置100が設置された病院の病院システムサーバ(図示せず)、電子カルテシステム(図示せず)などに記憶された被検者80の体格情報73に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。また、モデル生成部16aは、被検者80の身長および体重から推定される被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0212】
また、モデル生成部16aは、接触センサ10によってX線検出器2と被検者80とが接触した際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。すなわち、モデル生成部16aは、X線検出器2を被検者80に接触させた際のX線検出器2の位置に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得し、取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0213】
また、モデル生成部16aは、入力受付部8によって入力された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。被検者80の体厚レベルは、たとえば、「大」、「中」、「小」の3つのレベルが含まれる。操作者は、目視または被検者80の身長および体重などの情報に基づいて、被検者80の体厚レベルを選択する。また、被検者80の体幅レベルは、たとえば、「大」、「中」、「小」の3つのレベルが含まれる。操作者は、目視または被検者80の身長および体重などの情報に基づいて、被検者80の体幅レベルを選択する。モデル生成部16aは、操作者によって選択された体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0214】
また、モデル生成部16aは、X線検出器2において検出されるX線の線量に基づいて撮影条件を設定するとともに、設定した撮影条件に基づいて、被検者80の体厚80aおよび体幅80bを取得するように構成されていてもよい。すなわち、モデル生成部16aは、撮影条件に基づいて取得された被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて、被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。撮影条件は、X線源1に印加される管電圧の大きさおよび管電流の大きさを含む。
【0215】
また、上記第2変形例では、モデル生成部16aが、非接触センサ15によって取得された被検者80の体格情報73に基づいて被検者モデル90を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル生成部16aは、非接触センサ15によって取得された被検者80の体格情報73に基づいて被検者モデル90を生成する方法、X線検出器2を被検者80に接触させた際のX線検出器2の位置に基づいて被検者モデル90を生成する方法、操作者によって選択された被検者80の体厚レベルおよび体幅レベルに基づいて被検者モデル90を生成する方法、および、撮影条件に基づいて取得した被検者80の体厚80aおよび体幅80bに基づいて被検者モデル90を生成する方法のうち、操作者によって選択された方法によって被検者モデル90を生成することが可能なように構成されていてもよい。また、モデル生成部16aは、各方法を組み合わせて被検者モデル90の生成を行うことが可能なように構成されていてもよい。
【0216】
また、上記第2変形例では、モデル生成部16aが、非接触センサ15によって取得された被検者80の体格情報73に基づいて被検者モデル90を生成する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル生成部16aは、予め設定された厚み90aおよび幅90bの被検者モデル90を生成するように構成されていてもよい。
【0217】
また、上記実施形態では、X線撮影装置100が接触センサ10を備える構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線撮影装置100は、接触センサ10を備えていなくてもよい。X線撮影装置100が接触センサ10を備えていない場合、接触センサ10の代わりに、距離センサを備えていてもよい。制御部7は、距離センサによって、X線検出器2が被検者80に接触したか否かを判定すればよい。
【0218】
また、上記実施形態では、制御部7が、操作者が選択したプリセット情報70のアーム角度情報71における第1目標位置20を取得するとともに、プリセット情報70に含まれる検出器位置情報72を第2目標位置21として取得する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、操作者が入力したアーム角度情報71における第1目標位置20を取得するとともに、操作者が入力した検出器位置情報72を、第2目標位置21として取得するように構成されていてもよい。
【0219】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3を、第1撮影位置と第2撮影位置とに変更し、それぞれの撮影位置において被検者80を撮影する制御を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、第1撮影位置および第2撮影位置以外の撮影位置にアーム3を移動させ、被検者80を撮影する制御を行ってもよい。撮影位置は、任意の位置に設定し得る。
【0220】
また、本実施形態で制御部7が、アーム3を移動させる制御を行うことにより、撮影位置を変更する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3を移動させることなく、寝台11を制御することにより、撮影位置の変更を行うように構成されていてもよい。また、制御部7は、アーム3および寝台11の両方を移動させる制御を行うことにより、撮影位置を変更するように構成されていてもよい。
【0221】
また、上記実施形態では、制御部7が、予めX線検出器移動機構5によってX線検出器2を後退させるとともに、撮影位置を変更した後にX線検出器移動機構5によってX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を後退させるとともに、アーム3の位置および角度の少なくとも一方を変更させながらX線検出器2を前進させることにより、位置調整動作を行うように構成されていてもよい。
【0222】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3の移動速度を低下させる際に、アーム3の移動速度を一定の割合で低下させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3の移動速度の最高速度を低下させることにより、アーム3の移動速度を低下させるように構成されていてもよい。
【0223】
また、上記実施形態では、制御部7が、ジョイスティックの傾き量に応じて変更するアーム3の移動速度を一律で低下させることにより、アーム3の移動速度を低下させる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3の移動速度の最高速度を低下させることにより、アーム3の移動速度を低下させるように構成されていてもよい。
【0224】
また、上記実施形態では、制御部7が、アーム3の移動速度を1度低下させた後は、アーム3の移動速度を再度低下させる制御を行わない構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部7は、アーム3の移動速度を低下させた後、さらに、アーム3の移動速度を低下させるように構成されていてもよい。たとえば、制御部7は、アーム3の移動させている際のX線検出器2が、被検者モデル90に近づくにつれて、アーム3の移動速度を徐々に低下させるように構成されていてもよい。
【0225】
また、上記実施形態では、被検者モデル90が、楕円形形状を有する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。被検者モデル90は、たとえば、矩形形状を有していてもよい。また、被検者モデル90は、たとえば、丸みを帯びた四角形形状を有していてもよい。
【0226】
また、上記実施形態では、モデル更新部7bが、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bの両方を更新する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、モデル更新部7bは、被検者モデル90の厚み90aおよび幅90bのうち、どちらか一方を更新するように構成されていてもよい。この場合、アーム3の角度が所定の角度以下であれば、モデル更新部7bは、被検者モデル90の厚み90aを更新するように構成されればよい。また、アーム3の角度が所定の角度よりも大きい場合、モデル更新部7bは、被検者モデル90の幅90bを更新するように構成されればよい。
【0227】
また、上記第1変形例および第3変形例では、第1X線源201、第1X線検出器202および第1アーム203と、第2X線源209、第2X線検出器210および第2アーム211とを備える、いわゆるバイプレーンのX線撮影装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、X線源、X線検出器およびアームの組み合わせの数は、3以上であってもよい。
【0228】
[態様]
上記した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0229】
(項目1)
被検者にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されたX線を検出するX線検出器と、
前記X線源および前記X線検出器を保持するアームと、
前記アームを駆動するアーム駆動機構と、
前記アームに設けられ、前記X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させるX線検出器移動機構と、
前記被検者の表面形状のモデルである被検者モデルを取得するモデル取得部と、
前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記X線検出器の目標位置である第1目標位置と、予め設定された前記X線検出器の目標位置である第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記X線検出器を移動させる制御を行う制御部と、を備える、X線撮影装置。
【0230】
(項目2)
前記第1目標位置と前記被検者モデルの表面との間の距離である第1距離と、前記第2目標位置と前記被検者モデルの表面との間の距離である第2距離とを取得する距離取得部をさらに備え、
前記制御部は、前記距離取得部によって取得された前記第1距離と前記第2距離とを比較し、前記第2距離よりも前記第1距離が小さい場合には、前記第1目標位置に向けて前記X線検出器を移動させ、前記第1距離よりも前記第2距離が小さい場合には、前記第2目標位置に向けて前記X線検出器を移動させるように前記X線検出器移動機構を制御するように構成されている、項目1に記載のX線撮影装置。
【0231】
(項目3)
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記第1目標位置と、操作者の操作入力に基づいて設定された前記第2目標位置とを比較するように構成されている、項目1または2に記載のX線撮影装置。
【0232】
(項目4)
前記被検者モデルを記憶する記憶部と、
前記X線検出器を前記第1目標位置および前記第2目標位置のうちの選択された目標位置に移動させた後に、前記被検者モデルと前記X線検出器との相対位置に基づいて、前記記憶部に記憶された前記被検者モデルを更新するモデル更新部とをさらに備え、
前記制御部は、前記アームの角度を変更する際に、更新された前記被検者モデルに基づいて、前記第1目標位置を更新するように構成されている、項目3に記載のX線撮影装置。
【0233】
(項目5)
前記制御部は、前記アームの角度を変更する際に、更新された前記第1目標位置と、変更後の前記アームの角度に応じた前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記X線検出器の距離が小さい目標位置を選択するように構成されている、項目4に記載のX線撮影装置。
【0234】
(項目6)
前記モデル更新部は、前記X線検出器が前記被検者モデルの内側に配置された際に、前記被検者モデルを更新するように構成されている、項目4または5に記載のX線撮影装置。
【0235】
(項目7)
前記X線検出器移動機構に設けられ、前記X線検出器と前記被検者とが接触したか否かを検知する接触センサをさらに備え、
前記モデル更新部は、前記接触センサによって前記X線検出器と前記被検者との接触が検知された後、前記X線検出器と前記被検者との接触が検知されなくなった際の前記X線検出器の位置に基づいて、前記被検者モデルを更新するように構成されている、項目4または5に記載のX線撮影装置。
【0236】
(項目8)
前記記憶部は、目標位置における前記アームの角度の情報であるアーム角度情報と、X線の照射軸線方向における前記X線検出器の位置の情報である検出器位置情報とを含む複数のプリセット情報を記憶するように構成されており、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された操作者の操作入力に基づいて前記複数のプリセット情報のうちのいずれかが選択されると、選択された前記プリセット情報の前記アーム角度情報における前記第1目標位置を取得するとともに、選択された前記プリセット情報に含まれる前記検出器位置情報を前記第2目標位置として取得し、取得した前記第1目標位置と前記第2目標位置とを比較するように構成されている、項目4~7のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0237】
(項目9)
前記被検者が載置される寝台と、
前記寝台に載置された前記被検者の体格の情報である体格情報を取得する非接触センサと、
前記非接触センサによって取得された前記被検者の情報に基づいて、前記被検者モデルを生成するモデル生成部と、をさらに備える、項目1~8のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0238】
(項目10)
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構と、前記第2X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、
前記第1目標位置と前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第1X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第1X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第1X線検出器を移動させる制御を行うとともに、
前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記第2X線検出器の目標位置である第3目標位置と、予め設定された前記第2X線検出器の目標位置である第4目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第2X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第2X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第2X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0239】
(項目11)
前記X線源は、第1X線源と第2X線源とを含み、
前記X線検出器は、前記第1X線源から照射されたX線を検出する第1X線検出器と、前記第2X線源から照射されたX線を検出する第2X線検出器とを含み、
前記アームは、前記第1X線源および前記第1X線検出器を保持する第1アームと、前記第2X線源および前記第2X線検出器を保持する第2アームとを含み、
前記アーム駆動機構は、前記第1アームを駆動する第1アーム駆動機構と、前記第2アームを駆動する第2アーム駆動機構とを含み、
前記X線検出器移動機構は、前記第1X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第1X線検出器移動機構と、前記第2X線検出器をX線の照射軸線方向において前進または後退させる第2X線検出器移動機構とを含み、
前記制御部は、前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うとともに、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行わない場合に、
前記第1X線検出器の移動において、前記第1目標位置と前記第2目標位置とを比較することにより、前記第1目標位置と前記第2目標位置とのうち、前記被検者モデルの表面に対する前記第1X線検出器の距離が小さい目標位置を選択し、前記第1X線検出器移動機構を制御することにより、選択した目標位置に向けて前記第1X線検出器を移動させる制御を行い、
前記第2X線検出器の移動において、前記被検者モデルの位置に基づいて設定される前記第2X線検出器の目標位置である第3目標位置と、予め設定された前記第2X線検出器の目標位置である第4目標位置とを比較せずに、前記第2X線検出器移動機構を制御することにより、前記第4目標位置に向けて前記第2X線検出器を移動させる制御を行うように構成されている、項目1~9のいずれか1項に記載のX線撮影装置。
【0240】
(項目12)
前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定と、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定とに関する操作者の操作入力を受け付ける入力受付部をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部に対する操作者の操作入力により設定された、前記第1撮影設定または前記第2撮影設定に基づいて、前記第1X線検出器および前記第2X線検出器を移動させるように構成されている、項目10または11に記載のX線撮影装置。
【0241】
(項目13)
操作者の操作入力を受け付ける入力受付部と、
前記第1X線源および前記第1X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第1撮影設定と、前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行うか否かの設定である第2撮影設定と、X線の照射軸線方向における前記第1X線検出器の位置の情報である第1検出器位置情報およびX線の照射軸線方向における前記第2X線検出器の位置の情報である第2検出器位置情報を含む複数のプリセット情報と、を記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記入力受付部によって入力された操作者の操作入力に基づいて前記複数のプリセット情報のうちのいずれかが選択されるとともに、前記第2撮影設定において前記第2X線源および前記第2X線検出器によるX線撮影を行わないことが設定されている場合に、選択された前記プリセット情報に含まれる前記第2検出器位置情報を前記第4目標位置として取得するように構成されている、項目11に記載のX線撮影装置。
【符号の説明】
【0242】
1 X線源
2 X線検出器
3 アーム
4 アーム駆動機構
5 X線検出器移動機構
6 モデル取得部
7、16、206 制御部
7a 距離取得部
7b モデル更新部
8、408 入力受付部
9 記憶部
10 接触センサ
11 寝台
15 非接触センサ
16a モデル生成部
20 第1目標位置
20a 更新された第1目標位置
21 第2目標位置
21a 入力に応じた第2目標位置
22 第3目標位置
23 第4目標位置
30 第1距離
31 第2距離
70、470 プリセット情報
71 アーム角度情報
72 検出器位置情報
73 被検者の体格情報
80 被検者
90 被検者モデル
90c 被検者モデル90の表面
100、200、300、400 X線撮影装置
201 第1X線源
202 第1X線検出器
203 第1アーム
204 第1アーム駆動機構
205 第1X線検出器移動機構
209 第2X線源
210 第2X線検出器
211 第2アーム
212 第2アーム駆動機構
213 第2X線検出器移動機構
411 第1撮影設定
412 第2撮影設定
473 第1検出器位置情報
474 第2検出器位置情報