(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099472
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】自転車荷台への搭載物の取付構造
(51)【国際特許分類】
B62J 7/08 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
B62J7/08 C
B62J7/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023194195
(22)【出願日】2023-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2023076397
(32)【優先日】2023-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2023002853
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】596085922
【氏名又は名称】服部 元信
(72)【発明者】
【氏名】服部元信
(57)【要約】
【課題】
荷物かごの荷台への取付けは固定式か、かご側に取付具が装着された着脱式で、荷台取付けの用途に限定されていた。家庭用かごなどの一般の荷物かごに取付具など何も付けずに荷台に着脱できるようにすることが課題である。
【解決手段】
荷台に中継台を載せて、その前方と後方で連結手段で連結し、中継台の前後左右の縁の近くに垂直支持部と、それに連動または一体の水平支持部を中継台に保持するように備え、前後左右の方向に位置調整できるように構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車の荷台にかごなどの荷台搭載物を着脱するための取付構造であって、
中継台を荷台に載せて、中継台の前面下方または下面前方で少なくとも1つの連結手段、下面後方で少なくとも1つの連結手段によって中継台と荷台が連結され、
中継台の前後左右の縁の近くにほぼ垂直の垂直支持部を備え、その1つ以上に個々に対応して、垂直支持部に連結または一体の水平支持部を中継台に保持するようにして備え、前後左右の各方向の内の少なくとも一方向が位置調整できるように水平支持部と中継台の間で位置調整部を備え、
前後左右の四方の垂直支持部に囲まれた位置である中継台の上面に荷台搭載物を置いて、水平支持部、垂直支持部を位置調整して荷台搭載物の前後左右側面を垂直支持部が囲むようにして荷台搭載物を安定に保持するように作用することを特徴とする自転車荷台への搭載物取付構造。
【請求項2】
請求項1において、先端が引掛け部付きまたは雌雄結合形コネクター付きの結合手段を有し、長さ調整可能なベルトまたは紐、ワイヤを
少なくとも前後の各垂直支持部で、あるいは左右の各垂直支持部で上方に向けて取付けてベルトまたは紐、ワイヤの長さを調整しながら荷台搭載物の前後あるいは左右の側面穴部や上端に引掛けたり、少なくとも前後のベルトまたは紐、ワイヤどうしを、あるいは左右のベルトまたは紐、ワイヤどうしを荷台搭載物の上側や横側で雌雄結合して荷台搭載物を保持するか、
または、少なくとも1つの前記ベルトまたは紐、ワイヤを
前後左右の垂直支持部で保持するか中継通過させて荷台搭載物の前後左右の側面を囲むように配置し、ベルトまたは紐、ワイヤの長さを調整しながらベルトまたは紐、ワイヤ先端の引掛け部を垂直支持部に引掛けたり、ベルトまたは紐、ワイヤ先端の雌雄結合形コネクターどうしを結合したり、ベルトまたは紐、ワイヤどうしの重なり部分で結合手段で結合して荷台搭載物を保持するか、
または、前後左右の垂直支持部の穴部や丸鋼などの引掛け部分とそれと間近にある荷台搭載物の穴部や丸鋼などの引掛け部分どうしを連結具で連結して荷台搭載物を保持する、
ように作用することを特徴とする自転車荷台への搭載物取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法の異なる家庭用かごや一般の荷物かごなど荷台搭載物をそのままでかつ簡単に自転車の荷台に着脱する構造に関するものである。以下“家庭用かごや荷物かごなど荷台搭載物”を“荷物かご”で代表して表記する。
【背景技術】
【0002】
図1の従来例1は、市販されている荷物かごの取付構造である。荷物かご2を荷台1の上に置き、荷台の前方と後方でそれぞれ荷台の下方から雌ネジ穴を有する概ね平板の棒22を当て、荷物かごに設けた穴(長穴)31cにネジを通して荷台枠を挟むようにしてネジ締めで固定するものであって、荷物かごを容易に着脱することができない。また荷物かごは穴(長穴)31cの位置や寸法が特定の専用品である。
【0003】
図2、
図3の従来例2(特許文献1の
図2、
図3に記載)の取付構造は全ての取付具(連結手段)21、23が荷物かご2側に装着され、荷物かごを荷台1に容易に着脱できるものである。荷物かごを取外した荷台には何も残らないので、荷台を他の用途にすぐ使用でき、また他の自転車の荷台に形状寸法が合えば、すぐに荷物かごを付替えできる。
【0004】
この荷物かご2は、その前面下方に可動枠形連結手段23を備え、下面後方の左右に差込み形連結手段21を備えている。可動枠形連結手段は可動枠23aと取付板(板部)23dとバネ(付勢部)23cで構成されており、2つの差込み形連結手段を荷台1の第2枠部(後方横枠)1bに後方から前方に向けて差込んだ後、前面の連結手段の可動枠の引掛け部23bをばねによる弾性付勢力に抗して前方に引きながら、荷台の第1枠部(前方横枠)1aに引掛け可能なところまで移動し、付勢状態のまま第1枠部に引掛けて荷物かごを荷台1に取付ける。
【0005】
荷台1の第2枠部1bに差込まれる差込み形連結手段21については、荷台の第1枠部1aと第2枠部の前後の間隔の違いや荷台内枠1dと外枠1cの左右の幅や間隔の違いに対応できるよう、
図2では荷物かご下面の取付穴が前後方向の長穴31bになっていてそれが左右の連結手段のそれぞれに対して左右に複数設けられていたり、
図3では荷物かご下面の取付穴が左右方向の長穴31bになっていてそれが前後に複数設けられていて、連結手段21の前後左右の取付位置が調整できるようになっている。
この
図2、
図3の従来例2の荷物かごは荷台から容易に着脱できるが、連結手段が荷物かごに取付けてあるため、直ぐに他の用途に使用し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来例1の荷物かごの荷台への取付けは平板棒による完全固定式であって、荷物かごを容易に着脱できないという問題がある。従来例2の取付構造では荷物かごを容易に着脱できるが、連結手段が取付けてあるため荷物かごを直ぐに他の用途に使用し難いという問題がある。またいずれの取付構造の場合も、家庭用かごなどの一般の荷物かごを直ぐに取付けられるものではない。
【0008】
本発明はこれらの問題を解決するもので、家庭用かごや一般の荷物かごをそのままで簡単に手早く荷台に着脱でき、取外したかごを直ぐに他の用途に利用でき、また寸法の異なる別のかごをも直ぐに荷台に着脱できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
部品符号は実施例1の符号で代表して記述する。
【0010】
請求項1の発明の構成上の特徴と作用効果を示す。
自転車の荷台に荷物かごを着脱するための取付構造であって、中継台3を荷台1に載せて中継台の前面下方または下面前方で少なくとも1つの連結手段、下面後方で少なくとも1つの連結手段によって中継台と荷台が連結され、
中継台の前後左右の縁の近くにほぼ垂直の垂直支持部41を備え、その1つ以上に個々に対応して、垂直支持部に連結または一体の水平支持部42を中継台に保持するようにして備え、前後左右の各方向の内の少なくとも一方向が位置調整できるように水平支持部と中継台の間で位置調整部43を備え、
前後左右の四方の垂直支持部に囲まれた位置である中継台の上面に荷物かごを置いて、水平支持部、垂直支持部を位置調整して荷物かごの前後左右側面を垂直支持部が囲むようにして荷物かごを安定に保持するように作用する。
【0011】
中継台3に位置調整部43を備える方向の水平支持部42、例えば後側水平支持部は連結する後側垂直支持部41と共に後方向の位置調整ができる。その垂直支持部が隣の垂直支持部、例えば右側垂直支持部と連結していれば、右側垂直支持部は共に後方向に位置移動できる一方、自身の右方向の位置調整ができなくなる。
逆に言えば、中継台に位置調整部を備える後側水平支持部と後側垂直支持部は、隣の右側垂直支持部と連結していなければ単独に後方向の位置調整ができるだけでなく、右側垂直支持部も連結する右側水平支持部と共に右方向の位置調整部によって単独に右方向の位置調整ができることになる。
幅寸法も長さ寸法も違う荷物かごを着脱したい場合は、後方向の位置調整部と後側水平支持部と後側垂直支持部を設けると共に、少なくとも左右のいずれか一方の位置調整部と水平支持部と垂直支持部を設ければよい。
幅寸法が同じで長さ寸法の違う荷物かごを着脱したい場合は、後方向の位置調整部と後側水平支持部と後側垂直支持部を設ければよい。この時は前方と左右の垂直支持部どうし、また中継台とも連結したり一体にして構成することもできる。
【0012】
なお、中継台、垂直支持部、水平支持部は鋼製、樹脂製の板状のものでもよいし、丸鋼やその他の材料で形成される同等の機能を持つものでもよい。
【0013】
請求項2の発明の構成上の特徴と作用を示す。請求項1の特徴に加えて、
先端が引掛け部52a、52b付きまたは雌雄結合形コネクター51a、51b付きの結合手段を有し、長さ調整可能なベルト(または紐、ワイヤ、以下ベルトと表記)を、少なくとも前後の各垂直支持部41で、あるいは左右の各垂直支持部41で上方に向けて取付けて、ベルトの長さを調整しながら荷物かごの前後あるいは左右の側面穴部2aや上端2bに引掛けたり、少なくとも前後のベルトどうしを、あるいは左右のベルトどうしを荷物かごの上側や横側で雌雄結合するか、
または、少なくとも1つの前記ベルトを、前後左右の垂直支持部で保持するか中継通過させて荷物かごの前後左右の側面を囲むように配置し、ベルトの長さを調整しながらベルト先端の引掛け部を垂直支持部に引掛けたり、ベルト先端の雌雄結合形コネクターどうしを雌雄結合したり、ベルトどうしの重なり部分で結合手段で結合するか、
または、前後左右の垂直支持部の穴部や丸鋼などの引掛け部分とそれと間近にある荷台かごの穴部や丸鋼などの引掛け部分どうしを連結具で連結して荷物かごを保持するように作用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自転車の荷台搭載物の取付構造によれば、荷台への連結手段のない寸法の異なる家庭用かごや一般の荷物かごをそのままで簡単に手早く荷台に着脱でき、取外したかごを直ぐに他の用途に利用でき、また寸法の異なる別のかごを、本構造の中継台の垂直支持部の位置を調整して、容易に荷台に着脱できる。また中継台などが樹脂製であっても、板状品で構成できるので金型費用は樹脂製荷物かごに比べてかなり低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】従来例2 …荷物かご取付構造(特許文献1)
【
図3】従来例2 …荷物かご取付構造(特許文献1)
【
図6】実施例1、2…水平支持部を中継台挿入部に挿入した状態
【
図22】実施例6 …ベルト結合例1(引掛ベルト、周回ベルト)
【
図23】実施例6 …ベルト結合例2(雌雄結合ベルト、周回ベルト)
【
図24】実施例6 …ベルト結合例3(固形周回ベルト)
【発明を実施するための形態】
【実施例0016】
請求範囲1に関する実施例1を
図4~
図8に示す。
図4は全体図を、
図5は自転車の荷台に取付けて荷物かごを載せるための中継台を、
図6は水平支持部の中継台挿入部への挿入状態を、
図7と
図8は荷物かごを保持するための(垂直支持部41との水平支持部42から成る)支持手段4の位置調整部43とその動作を、
図9は位置調整部の無い支持手段を示す。
図4では、自転車の荷台1に荷物かご2を着脱するために、板状の中継台3を荷台に載せて中継台の下面前方で丸穴31aに取付けた左右2つの差込み形連結手段21を荷台の第1枠1aに前方から差込み、下面後方で長穴31bに取付けた左右2つの差込み形連結手段21を荷台の第2枠1bに後方から差込んで、連結手段を位置調整しながら中継台と荷台を連結している。連結方法は、従来例1(
図1)の平板棒形22を用いる完全固定式や従来例2(
図2、
図3)の可動枠形23と差込み形21を用いる着脱式も可能である。
図4ではこの可動枠形23も併記している。
【0017】
図4に示すように、中継台3の前後左右の縁の近くにおよそ直角関係で位置する板状の垂直支持部41と板状の水平支持部42から成る支持手段4の水平支持部を中継台の挿入部32(
図5、
図6)に挿入し、位置調整部43(
図7)によって水平支持部を中継台に押当てるようにして固定している。
図5の中継台のA4-A4断面図は前後方向の挿入部の断面を示し、A2-A2断面図は左右方向の挿入部の断面を示している。
図6は水平支持部を中継台の挿入部に挿入した状態を示す。
【0018】
図7は、実施例1の支持手段4の位置調整部43を示す。位置調整部は凹凸(係合)部43aaと支軸43abを持つ係合片43a、押えバネ43c、操作片43dで構成され、係合片はその支軸が中継台の縁近くに固定された保持部43bの支軸穴に差込まれてその位置が固定されている。押えバネによって係合片が押えられて、支持手段の水平支持部42の下面中央部の長さ方向に備えた(三角形)凹凸部42aと、係合片の(三角形)凹凸部43aaが噛み合って係合が保持されている。
【0019】
この状態で支持手段4に、中継台3の外方向に向かって外力を加えても、図のように係合片43aの支軸43abが外力の方向(移動方向)側に位置しているため、かつ係合している水平支持部42側の三角形凹凸部42aと係合片43a側の三角形凹凸部43aaの(移動方向の)接触面角度が垂直に近いため、係合時に中継台の外方向に向かって支持手段は動くことができない。
【0020】
逆に内方向に向かう外力に対しては、係合片43aの支軸43abが移動方向と反対側に位置しているため、かつ係合している水平支持部42側の三角形凹凸部42aと係合片43a側の三角形凹凸部43aaの移動方向の接触面角度が傾斜しているため、係合片が押えバネ43cの圧力に抗して回転方向に動くことができて、係合と離脱の動作を繰返しながら支持手段4は内方向に向かって移動できる。つまり手で支持手段を押込むことによって移動させることができるものである。
【0021】
図8は、位置調整部43の手動による動作を示す。
図8のa)は押えバネ43cで係合片43aが押えられて支持手段4の水平支持部42下面の凹凸部42aと係合片の凹凸部43aaが噛み合っている係合保持状態を示し、
図8のb)は係合片に取付けられた操作片43dを手で下方向に引くことによって係合片を押えバネの圧力に抗して回転方向に移動させ、水平支持部下面と係合片の凹凸部の噛み合いが離されている離脱状態を示している。この(操作片を下の方に引いたままの)離脱状態で、支持手段を中継台3の外方向または内方向へ動かすことができ、支持手段の位置調整ができるようになる。
【0022】
図9に別例として、位置調整部43の無い支持手段4を示す。
図7と同一の垂直支持部41と凹凸部の無い水平支持部42で構成され、水平支持部の2つの雌ネジ穴42cと中継台3の2つの丸穴31d(
図5)を通してネジ42dで結合して固定している。
【0023】
図7~
図9に示すように水平支持部の支軸42bに、垂直支持部のU字形結合部41aを嵌め合うようにして垂直支持部が水平支持部に結合されている。支軸との嵌め合いが外れないようにU字形部分にネジ、ナット41bが装着されている。
また垂直支持部の上部が、荷物かご2の種々ある傾きの側面を強く押えることができる垂直支持部の傾きになるように垂直支持部の板の端面が傾き角度41cを有して、それを水平支持部の面に押し当てるようにしている。
【0024】
また、垂直支持部上部の内側面、荷物かごに押し当てられる面に摩擦の大きい材質のゴムなどを取付けることによって、荷物かごの固定をさらに強固にすることができる。実施例2~5も同様である。
また水平支持部の支軸を軸にして垂直支持部を内側に折りたたむことができるため、高さ寸法を小さくできるので片付け時や送達時に便利である。実施例2も同様である。
【0025】
図4において、後方の連結手段として差込み形連結手段21が中継台3の長穴31bに取付けられている。万一、取付ネジが緩んだとしても、差込み形連結手段の前側のネジを長ネジ21aにしておけば、荷台1の第2枠1bがその長ネジに阻まれて中継台の外れを防止できる。実施例2~5も同様である。
【0026】
以上のように、荷物かご2を前後左右の四方の垂直支持部41に囲まれた位置である中継台3の上面に置いてから、荷物かごの寸法に合わせて支持手段4を位置調整し、荷物かごの前後左右側面に垂直支持部を押し当てるようにして荷物かごを安定にしている。