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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099477
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】戸体
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/66 20060101AFI20240718BHJP
   E06B 3/663 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
E06B3/66
E06B3/663 D
E06B3/663 B
E06B3/663 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023211058
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2023003015
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】十河 真吾
(72)【発明者】
【氏名】中村 雄一
(72)【発明者】
【氏名】剱持 龍太郎
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016AA03
2E016BA00
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC02
2E016EA01
2E016FA02
(57)【要約】
【課題】構造が簡素であるとともに、組み付けが容易である戸体を提供する。
【解決手段】玄関ドア11は、ガラス板41および42と、ガラス板41および42を固定する枠体3と、を備え、ガラス板41および42の周縁部の少なくとも一部が、接着層Aを介して、枠体3に接着されている。ガラス板41および42は、接着層Aのみによって、枠体3に固定されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板と、
前記ガラス板を固定する枠体と、を備え、
前記ガラス板の周縁部の少なくとも一部が、接着層を介して、前記枠体に接着されており、
前記ガラス板は、前記接着層のみによって、前記枠体に固定されている、戸体。
【請求項2】
前記枠体は、樹脂を含む、請求項1に記載の戸体。
【請求項3】
前記ガラス板は、合わせガラスを含む、請求項1または2に記載の戸体。
【請求項4】
前記ガラス板は、前記枠体の厚さ方向の一方の側に配置されている第一のガラス板と、前記枠体の厚さ方向の他方の側に配置されている第二のガラス板と、を備え、
前記第一のガラス板の周縁部の少なくとも一部が、前記枠体の厚さ方向の一方の面に接着されており、
前記第二のガラス板の周縁部の少なくとも一部が、前記枠体の厚さ方向の他方の面に接着されている、請求項1または2に記載の戸体。
【請求項5】
前記第一のガラス板の小口および前記第二のガラス板の小口は、前記枠体によって覆われていない、請求項4に記載の戸体。
【請求項6】
厚さが30mm以上100mm以下である、請求項4に記載の戸体。
【請求項7】
前記接着層は、変性シリコーン系接着剤の硬化物を含む、請求項1または2に記載の戸体。
【請求項8】
前記接着層は、23℃以上70℃以下の温度域において、湿度50±5%RH、荷重5.28×10-3MPaの条件でクリープ破壊試験を8000時間実施した際の変形が5mm以下である、請求項7に記載の戸体。
【請求項9】
前記枠体は、矩形状であり、
前記ガラス板の周縁部の少なくとも一部は、前記矩形状を構成する前記枠体の各辺の長さに対する前記枠体の各頂点から当該各辺に沿う距離の比が1/10以上である領域である、請求項1または2に記載の戸体。
【請求項10】
前記ガラス板の周縁部の少なくとも一部の幅が10mm以上である、請求項1または2に記載の戸体。
【請求項11】
玄関ドアである、請求項1または2に記載の戸体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、戸体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採光を目的として、玄関ドアにスリットが設けられており、スリットにガラス板が固定されている。しかしながら、玄関ドアの剛性を担保するために、ガラス板を固定する固定部材を太くしたり、鉄等の金属製の固定部材を使用したりする必要がある。このため、スリットを大面積化することができない。また、スリットにガラス板を固定する際に、ガラス板を固定部材で挟持したり、ガラス板の小口を固定部材で嵌合したりする必要がある。このため、固定部材に起因する段差が形成されてしまい、その結果、玄関ドアの意匠が損なわれる。
【0003】
特許文献1には、左右一対の側部枠杆の上下の端部同士を、上下部枠杆をもって互いに連結した方形枠状のフレームにおける側部枠杆および上下部枠杆の前後面の外周縁に、前後方向に突出する長手方向を向く突縁を設け、フレームの前後両面における突縁の内側にパネル単体をそれぞれ嵌合し、かつフレームの内側に、前後のパネル単体同士を連結する連結手段を配設したパネル構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-133476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されているパネル構造は、構造が複雑であるとともに、組み付けが困難である。
【0006】
したがって、発明者は、構造が簡素であるとともに、組み付けが容易である戸体を提供する、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、戸体において、ガラス板と、前記ガラス板を固定する枠体と、を備え、前記ガラス板の周縁部の少なくとも一部が、接着層を介して、前記枠体に接着されており、前記ガラス板は、前記接着層のみによって、前記枠体に固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】室外側から見た玄関ドアを示す正面図である。
図2図1の玄関ドアのA-A線に沿う縦断面の一例を示す図である。
図3図1の玄関ドアのB-B線に沿う横断面の一例を示す図である。
図4図1の玄関ドアを構成するガラス板および枠体を示す正面図である。
図5図1の玄関ドアのA-A線に沿う縦断面の他の例を示す図である。
図6図1の玄関ドアのB-B線に沿う横断面の他の例を示す図である。
図7】合わせガラスの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1図3に示すように、戸体としての、玄関ドア11および12は、建物躯体の縦長矩形状の開口部に設けられる金属製のドア枠2の内側に、室内外方向に開閉可能に設けられる。ここで、玄関ドア11および12は、それぞれ親ドアおよび子ドアである。
【0010】
ドア枠2は、金属型材によって形成され、開口部の内周に沿って取り付けられている。詳しくは、ドア枠2は、開口部の上側の内周を横方向に延びる上ドア枠21と、開口部の下側の内周を横方向に延びる下ドア枠22と、開口部の左右の内周を縦方向に延びる戸先側縦ドア枠23および吊元側縦ドア枠24と、によって矩形に枠組みされている。上ドア枠21、戸先側縦ドア枠23および吊元側縦ドア枠24は、それぞれ中空状の角型に形成されている。
【0011】
玄関ドア11は、ドア枠2の内側に納められる枠体3と、枠体3の室外側(厚さ方向の一方の側)に配置されているガラス板41と、枠体3の室内側(厚さ方向の他方の側)に配置されているガラス板42と、を備える。枠体3と、ガラス板41および42によって、中空部S1が形成される。図2および図3において、X1およびX2は、それぞれ室外側および室内側を示す。ガラス板41および42は、それぞれ室外側および室内側の表面に配置される。すなわち、枠体3は、厚さ方向において、ガラス板41とガラス板42との間に配置される。また、ガラス板41および42の小口は、枠体3によって覆われていない。このため、玄関ドア11に枠体3に起因する段差が形成されない。よって、玄関ドア11の意匠が損なわれないことに加え、埃や汚れが溜まりにくくなる。枠体3は、吊元側縦ドア枠24に、丁番35によって開閉可能に取り付けられている。
【0012】
枠体3は、略コの字型であり、ガラス板41および42の四周に亘って縦長矩形状に枠組みされている。ガラス板41および42の周縁部の少なくとも一部は、接着層Aを介して、それぞれ枠体3の室外側の面および室内側の面に接着されている。この実施形態では、ガラス板41および42の周縁部の全領域が接着層Aを介して枠体3の室外側の面および室内側の面に接着されている。ガラス板41および42は、接着層Aのみによって、枠体3に固定されている。すなわち、ガラス板41および42は、接着層A以外の固定部材(例えば、ビス)によって、枠体3に固定されていない。このため、玄関ドア11は、構造が簡素であるとともに、組み付けが容易である。また、玄関ドア11は、枠体3の剛性に頼らなくても、剛性を担保することができる。玄関ドア11の幅は、例えば、500mm以上1500mm以下であり、玄関ドア11の高さは、例えば、1500mm以上3000mm以下である。
【0013】
枠体3を構成する材料としては、特に限定されないが、鉄、アルミニウム等の金属、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂等が挙げられる。これらの中でも、玄関ドア11の重量および断熱性の観点から、樹脂が好ましい。また、樹脂製の枠体3を使用すると、ガラス板41および42の周縁部との接着性が向上する。このため、枠体3を細くすることができ、その結果、採光面積を大きくすることができる。
【0014】
ガラス板41および42の少なくとも一方は、合わせガラスであることが好ましい。これによって、防犯性が向上するとともに、接着層Aの耐侯劣化が抑制される。合わせガラスとしては、特に限定されないが、2枚の単板ガラス71Aおよび71Bの間に、中間膜72Aおよび72Bを介して、意匠フィルム73が挟持されている合わせガラス70(図7参照)が好ましい。意匠フィルム73によって、接着層Aの耐侯劣化がさらに抑制される。意匠フィルムとしては、特に限定されないが、ラッピングシート、UV印刷が施されたPETフィルム等が挙げられ、図柄や模様が付与されていてもよい。また、単板ガラス71Aおよび71Bの少なくとも一方が遮光ガラスであることが好ましい。これによって、接着層Aの耐侯劣化がさらに抑制される。なお、合わせガラス70は、必要に応じて、意匠フィルム73を備えていなくてもよい。
【0015】
表1に、耐候性試験(JIS B 7753に準拠)を1000時間実施する前後の試験片の引張せん断接着強さ(JIS K 6850に準拠)の保持率の評価結果を示す。ここで、試験片は、長尺物のガラス板および厚さ約2mmの長尺物の樹脂板を変性シリコーン系接着剤で接着層の厚さが約1mmとなるように接着させたものである。また、厚さ3mmの単板ガラス71A(または71B)、意匠フィルム73を省略した厚さ7mmの合わせガラス70(以下、透明合わせガラスという)および意匠フィルム73として、UV印刷が施されたPETフィルムを使用した厚さ約7mmの合わせガラス70(以下、UV印刷合わせガラスという)を、長尺物のガラス板として使用した(図7参照)。さらに、サンシャインウェザー装置を用いて、耐候性試験を実施し、万能試験機を用いて、試験片の引張せん断接着強さを測定した。
【0016】
【表1】
【0017】
表1から、UV印刷合わせガラスおよび透明合わせガラスを使用した試験片は、単板ガラスを使用した試験片と比較して、引張せん断接着強さの保持率が大きく、接着層の耐侯劣化が抑制されていることがわかる。
【0018】
玄関ドア11は、枠体3の厚さによって、ガラス板41および42の間の距離を調整することができる。このため、中空部S1に、植栽、イルミネーションライト等の装飾物や、調光フィルム等の機能物を配置することができる。枠体3の室外側および室内側の表面を加飾してもよい。
【0019】
玄関ドア11の厚さTは、30mm以上100mm以下であることが好ましく、30mm以上80mm以下であることがさらに好ましい。玄関ドア11の厚さTが30mm以上100mm以下であると、玄関ドア11の断熱効果が向上する。本実施形態において、玄関ドア11の厚さTは、ガラス板41および42の厚さと枠体3の厚さの和である(図2参照)。
【0020】
接着層Aは、接着剤の硬化物を含む。接着剤としては、ガラス板41および42の周縁部の少なくとも一部を枠体3に接着することが可能であれば、特に限定されないが、変性シリコーン系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等の弾性接着剤が挙げられる。これらの中でも、低温における硬化物の破断伸びおよび温度変化に対する耐久性の点で、変性シリコーン系接着剤が好ましい。
【0021】
接着層Aとガラス板41および42との間、または、接着層Aと枠体3との間に、プライマー層が形成されていてもよい。これによって、ガラス板41および42との密着性、または、枠体3との密着性を向上させることができる。ここで、プライマー層は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。これによって、接着層Aの耐候劣化がさらに抑制される。
【0022】
表2に、接着剤の硬化物のダンベル状試験片(JIS K 6251の2号形)の-20℃、23℃および70℃における引張強度および破断伸び(JIS K 7161-1bに準拠)ならびに試験片の冷熱繰り返し試験の評価結果を示す。
【0023】
【表2】
【0024】
ここで、冷熱繰り返し試験は、長尺物のガラス板および樹脂板を接着させた試験片に対して、冷却および加熱を繰り返すことにより実施した。なお、冷熱繰り返し試験の判定基準は、以下の通りである。
OK:ガラス板および樹脂板の間の剥離が無く、ガラス板が割れていない場合
NG:ガラス板および樹脂板の間の剥離がある、または、ガラス板が割れている場合
【0025】
表2から、変性シリコーン系接着剤は、ウレタン系接着剤およびアクリル系接着剤と比較して、-20℃における硬化物の破断伸びが大きく、温度変化に対する耐久性が高いことがわかる。
【0026】
23℃以上70℃以下の温度域において、湿度50±5%RH、荷重5.28×10-3MPaの条件でクリープ破壊試験を8000時間実施した際の接着層Aの変形は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがさらに好ましい。接着層Aの変形が5mm以下であると、広い温度域における接着層Aの耐久性が向上する。ここで、5.28×10-3MPaの荷重は、幅1000mm、高さ2500mm、厚さ3mmの単板ガラス71Aおよび71Bを使用した合わせガラス70の四周に幅10mmの接着層を形成した場合に接着層Aに負荷される荷重に相当する。
【0027】
表3に、試験片の温度23℃、50℃および70℃におけるクリープ試験(JIS K 6859-1994に準拠)の評価結果を示す。
【0028】
【表3】
【0029】
ここで、試験片は、引張せん断接着強さの保持率の評価に使用した試験片と同様であり、長尺物のガラス板として、透明合わせガラスを使用した。また、クリープ試験の試験条件は、湿度50±5%RH、荷重5.28×10-3MPaである。なお、クリープ試験の判定基準は、以下の通りである。
OK:ガラス板および樹脂板の間のズレが無く、剥離が無い場合
NG:ガラス板および樹脂板の間のズレおよび/または剥離がある場合
【0030】
表3から、23℃以上70℃以下の温度域において、湿度50±5%RH、荷重5.28×10-3MPaの条件でクリープ破壊試験を8000時間実施した際の接着層の変形が無いことがわかる。
【0031】
ガラス板41および42の周縁部の全領域が枠体3に接着されていてもよいが、ガラス板41および42の周縁部の少なくとも一部が枠体3に接着されていればよい。矩形状を構成する枠体3の各辺の長さW、Hに対する枠体3の各頂点C1~C4から当該各辺に沿う距離x1~x4、y1~y4の比(図4参照)が1/10以上である領域が枠体3に接着されていることが好ましい。具体的には、ガラス板41および42の周縁部のうち、枠体3の幅Wに対する枠体3の角部C(C1~C4)からの幅方向の距離xの比および枠体3の高さHに対する枠体3の角部C(C1~C4)からの高さ方向の距離yの比(図4参照)が1/10以上である領域が枠体3に接着されていることが好ましい。これによって、玄関ドア11のコストを削減するとともに、接着工程を簡易化することができる。枠体3の長さは、玄関ドア11の幅方向および高さ方向の長さである。
【0032】
枠体3に接着されているガラス板41および42の周縁部の幅W1は、10mm以上であることが好ましい。言い換えれば、枠体3とガラス板41および42とを接着する接着層Aの幅は、10mm以上であることが好ましい。これによって、玄関ドア11のコストを削減するとともに、枠体3を細くすることができる。
【0033】
戸先側の枠体3は、図3に示すように、コの字型の戸先金属芯材311cの室外側および室内側に、それぞれ樹脂製カバー材313aおよび313bが個別に取り付けられている。吊元側の枠体3は、図3に示すように、コの字型の吊元金属芯材311dの外面側を覆うように密着している。
【0034】
枠体3の四辺には、図2および図3に示すように、それぞれ上側縁部材6、下側縁部材7、戸先側縁部材8および吊元側縁部材9がそれぞれ設けられている。これによって、枠体3の損傷が抑制され、その結果、枠体3の耐久性が向上する。
【0035】
上側縁部材6は、図2に示すように、薄板状の金属製金具によって構成される。上側縁部材6は、玄関ドア11の幅方向における枠体3のほぼ全長に亘って延びている。上側縁部材6は、取付ねじSC1によって、枠体3の上側の見込み面に固定される。
【0036】
下側縁部材7は、図2に示すように、薄板状の金属製金具によって構成される。下側縁部材7は、玄関ドア11の幅方向における枠体3のほぼ全長に亘って延びている。下側縁部材7は、取付ねじSC2によって、枠体3の下側の見込み面に固定される。
【0037】
戸先側縁部材8は、図3に示すように、延出板部82と脚板部83と取付板部84とからなる金属製金具によって構成される。戸先側縁部材8は、玄関ドア11の高さ方向における枠体3のほぼ全長に亘って延びている。
【0038】
延出板部82は、戸先側縦ドア枠23に重なるように、脚板部83から戸先側縦ドア枠23に向けて、延出している。延出板部82の先端には、室内側に向けて突出する封止片821が設けられている。封止片821は、室外側から戸先側縦ドア枠23に当接することによって、玄関ドア11と戸先側縦ドア枠23との間を封止する。
【0039】
脚板部83は、ガラス板41を覆って室内側に向けて延びている。脚板部83の先端は、室外側の樹脂製カバー材313aの表面に当接している。取付板部84は、延出板部82から室内側に向けて枠体3の見込み方向に延びている。戸先側縁部材8は、延出板部82、脚板部83および取付板部84によって、略T字型に形成されるため、枠体3を覆って保護する機能を有する。
【0040】
吊元側縁部材9は、図3に示すように、薄板状の金属製金具によって構成される。吊元側縁部材9は、玄関ドア11の高さ方向における枠体3のほぼ全長に亘って延びている。吊元側縁部材9は、取付ねじSC3によって、枠体3の吊元側の見込み面および吊元金属芯材311dに固定される。
【0041】
玄関ドア12は、戸先側縦ドア枠23に、丁番36によって開閉可能に取り付けられており、電気錠37が設置されている。
【0042】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記の実施形態に限定されず、本開示の趣旨の範囲内で、上記の実施形態を適宜変更してもよい。例えば、略コの字型の枠体3の代わりに、中空部S2を有する角型の枠体3Aを使用してもよい(図5および図6参照)。
【0043】
本開示の戸体は、ガラス板の周縁部の少なくとも一部が、接着層を介して、枠体に接着されており、ガラス板は、接着層のみによって、枠体に固定されていれば、特に限定されない。例えば、枠体の室内側および室外側の一方に、ガラス板が接着されていてもよい。この場合、枠体の室内側および室外側の他方に、例えば、木板、金属板が接着される。また、ガラス板は、戸体の全面に配置されていなくてもよい。さらに、ガラス板の小口が枠体で挟持されていてもよい。
【0044】
本開示の戸体は、玄関ドア以外の住宅用の戸体(例えば、浴室ドア、室内ドア)であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
11、12 玄関ドア、 2 ドア枠、 21 上ドア枠、 22 下ドア枠、 23 戸先側縦ドア枠、 24 吊元側縦ドア枠、 3 枠体、 35、36 丁番、 37 電気錠、 311c 戸先金属芯材、 311d 吊元金属芯材、 313a、313b 樹脂製カバー材、 41、42 ガラス板、 6 上側縁部材、 7 下側縁部材、 8 戸先側縁部材、 82 延出板部、 83 脚板部、 84 取付板部、 9 吊元側縁部材、 A 接着層、 S1、S2 中空部、 SC1、SC2、SC3 取付ねじ、 70 合わせガラス、 71A、71B 単板ガラス、 72A、72B 中間膜、 73 意匠フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7