(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099479
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】電極の接触状態を変更するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/276 20210101AFI20240718BHJP
A61B 5/308 20210101ALN20240718BHJP
A61B 18/14 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
A61B5/276 100
A61B5/308
A61B18/14
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023214168
(22)【出願日】2023-12-19
(31)【優先権主張番号】18/096,200
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511177374
【氏名又は名称】セント・ジュード・メディカル,カーディオロジー・ディヴィジョン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリック ジェイ. ボス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフェリー エー. シュヴァイツェル
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C160KK37
4C160KK63
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極が組織と接触しているかどうかを判断する際に、特定の電極のインピーダンスの測定値のみに依存することを困難にさせ得る。
【解決手段】医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法は、医療装置に配置された複数の電極における各電極の電気的特性を測定することと、対応する電極について測定された電気的特性に基づいて、複数の電極における各電極の接触状態を決定することと、を含み、接触状態は、隣接組織との接触を示す。方法はさらに、複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更することを含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法であって、
前記医療装置に配置された前記複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、
対応する電極について測定された前記電気的特性に基づいて、前記複数の電極における各電極の前記接触状態であって、隣接組織との接触を示す前記接触状態を決定すること、および、
前記複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された前記接触状態に基づいて、前記複数の電極における第1の電極の前記接触状態を変更すること、を備える方法。
【請求項2】
前記電気的特性を測定することは、双極電極複合インピーダンス(BECI)を測定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接触状態は「接触なし」状態と「接触」状態とを備え、前記「接触なし」状態は前記電極が前記隣接組織と接触していないことを示し、前記「接触」状態は前記電極が前記隣接組織と接触していることを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記接触状態は、「接触なし」状態、「断続的に接触」状態、および「接触」状態を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された前記接触状態に基づいて、前記複数の電極における前記第1の電極の前記接触状態を変更することは、測定された前記電気的特性に基づいて「接触」状態が割り当てられた少なくとも1つの隣接する電極に基づいて、前記第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された前記接触状態に基づいて、前記複数の電極における前記第1の電極の前記接触状態を変更することは、前記第1の電極の反対側に位置する1つの電極ペアが測定された前記電気的特性に基づいて「接触」状態を割り当てられたことに基づいて、前記第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された前記接触状態に基づいて、前記複数の電極における前記第1の電極の前記接触状態を変更することは、前記第1の電極が電極群の矩形構造の一部であり、かつ、前記矩形構造の各角部における4つの電極が測定された前記電気的特性に基づいてそれぞれ「接触」状態を割り当てられた場合に、前記第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法であって、
前記医療装置に配置された前記複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、
対応する電極について測定された前記電気的特性に基づいて、前記複数の電極における各電極の前記接触状態であって、「接触している」、「断続的に接触」および「接触なし」を備える前記接触状態を決定すること、および、
前記接触状態が「接触している」である1つ以上の近傍の電極に基づいて、前記複数の電極における1つ以上の電極の前記接触状態を変更すること、を備える方法。
【請求項9】
1つ以上の電極の前記接触状態を変更することは、前記1つ以上の電極の前記接触状態を「接触なし」から「接触している」に変更すること、および、前記1つ以上の電極の前記接触状態を「断続的に接触」から「接触している」に変更することのうち少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
測定された前記電気的特性は、双極電極複合インピーダンス(BECI)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の近傍の電極は、1つ以上の電極によって分離された電極ペアを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ以上の近傍の電極は、横方向、縦方向、または斜め方向における最近傍電極を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ以上の近傍の電極は、1つ以上の電極によって分離された矩形を形成する4つの電極である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
複数の電極を有し患者内に挿入されるように構成された医療装置と共に使用するためのシステムであって、
前記医療装置の異なる電極ペアにわたって複数の駆動信号を印加するように構成された信号発生器と、
前記駆動信号に対する前記複数の電極の応答を測定し、前記医療装置の前記複数の電極の各々についてインピーダンス値を生成するように構成された測定回路と、
各電極について、各電極に関連する生成された前記インピーダンス値に基づいて、前記複数の電極の各々の接触状態を決定するように構成された接触評価モジュールと、を備え、
前記接触評価モジュールは、1つ以上の近傍の電極の前記接触状態に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の電極の1つ以上の前記接触状態を変更するようにさらに構成されている、システム。
【請求項15】
各電極について前記接触評価モジュールによって決定された前記接触状態は、「接触」状態と「接触なし」状態とを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
各電極について前記接触評価モジュールによって決定された前記接触状態は、「接触」状態、「接触なし」状態、および「断続的に接触」状態を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記接触評価モジュールによる前記接触状態の変更は、測定された電気的特性に基づいて「接触」状態が割り当てられた少なくとも1つの近傍の電極に基づいて、前記電極のうち少なくとも1つの接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含む、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、測定されたインピーダンスに基づいて医療装置における電極と隣接組織との接触を検出する医療装置およびシステムならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルは人体内の多くの手術に利用されている。これらの用途の多くでは、周囲の組織からデータを収集する場合であれ、治療を行う場合であれ、カテーテル、特にデータを収集する電極または治療を行う電極と、隣接組織との近接性を決定することが重要である。この決定を行うために、例えば心電図信号(例えば電極間で測定される電圧)および/または電極のインピーダンスのモニタリングなど、多くの方法が利用される。例えば、インピーダンスは一般に、組織との接触に反応して増加すると理解されている。しかし、体内の電極の位置(すなわち、異なる量の血流にさらされる異なる心室は、異なるインピーダンス値を示す可能性がある)や、例えば心臓の拍動の結果として周辺組織が動くことを含む、多くの他の要因もまた、インピーダンスの変動をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これらの要因は、電極が組織と接触しているかどうかを判断する際に、特定の電極のインピーダンスの測定値のみに依存することを困難にさせ得る。さらに、このような限定的に依存することは、近くの電極からの測定値や他の関連情報を無視することになる。したがって、近傍の電極の収集データに基づいて「接触なし」電極の状態を変更する方法を開発することは有益であろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によれば、医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法は、医療装置に配置された複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、対応する電極について測定された電気的特性に基づいて、複数の電極における各電極の接触状態であって、隣接組織との接触を示す接触状態を決定すること、および、複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更すること、を含む。
【0005】
別の態様によれば、医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法は、医療装置に配置された複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、対応する電極について測定された電気的特性に基づいて、複数の電極における各電極の接触状態であって、「接触している」、「断続的に接触」および「接触なし」を備える接触状態を決定すること、および、接触状態が「接触している」である1つ以上の近傍の電極に基づいて、複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更すること、を含む。
【0006】
別の態様によれば、複数の電極を有し患者内に挿入されるように構成された医療装置と共に使用するためのシステムは、医療装置の異なる電極ペアにわたって複数の駆動信号を印加するように構成された信号発生器と、駆動信号に対する複数の電極の応答を測定し、医療装置の複数の電極の各々についてインピーダンス値を生成するように構成された測定回路と、各電極について、各電極に関連する生成されたインピーダンス値に基づいて、複数の電極の各々の接触状態を決定するように構成された接触評価モジュールと、を含み、接触評価モジュールは、1つ以上の近傍の電極の接触状態に少なくとも部分的に基づいて、複数の電極の1つ以上の接触状態を変更するようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】患者内に挿入するための医療装置を含むシステムであって、いくつかの実施形態に従って、医療装置の遠位端に位置する1つまたは複数の電極の接触状態を決定するために、電極間の測定された双極電極複合インピーダンスを利用するように構成されているシステムの模式図。
【0008】
【
図2】いくつかの実施形態による、複数のスプラインおよび各スプライン上に配置された複数の電極を有する医療装置の遠位端の模式図。
【0009】
【
図3】いくつかの実施形態による、複数のスプラインを有し、各スプラインはグリッド状アレイに編成された複数の電極を含む医療装置の遠位端の模式図。
【0010】
【
図4】いくつかの実施形態による、複数のスプラインを有し、各スプラインはバスケット状アレイに編成された複数の電極を含む医療装置の遠位端の模式図。
【0011】
【
図5】いくつかの実施形態による、医療装置に配置された2つの電極間のインピーダンスを測定するために利用されるコンポーネントの模式図。
【0012】
【
図6】いくつかの実施形態による、双極電極複合インピーダンス(BECI)測定および近傍電極の接触状態を使用して、医療装置に配置された電極の接触状態を決定するために利用されるステップを示すフローチャート。
【0013】
【
図7】
図7Aおよび
図7Bは、いくつかの実施形態による、4X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づくクリークに対する電極接触状態の変更を示す図。
【0014】
【
図8】
図8Aおよび
図8Bは、いくつかの実施形態による、4X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づく別のクリーク(単一の正方形)に対する電極接触状態の変更を示す図。
【0015】
【
図9】
図9Aおよび
図9Bは、いくつかの実施形態による、4X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づく別のクリーク(最近傍)に対する電極接触状態の変更を示す図。
【0016】
【
図10】
図10Aおよび
図10Bは、いくつかの実施形態による、4X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づく別の「最近傍」クリークに対する電極接触状態の変更を示す図。
【0017】
【
図11】
図11Aおよび
図11Bは、いくつかの実施形態による、4X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づく別のクリーク(4つの角部)に対する電極接触状態の変更を示す図。
【0018】
【
図12】
図12Aおよび
図12Bは、いくつかの実施形態による、5X4電極グリッドとクリーク内の近傍電極の接触状態に基づく別の「4つの角部」クリークに対する電極接触状態の変更を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
いくつかの実施形態によれば、特許請求された発明は、1つまたは複数の電極の接触状態を変更するために、近傍の電極の接触状態を利用する。各電極の接触状態またはステータスは、例えば双極電極複合インピーダンス(BECI)測定値などの測定された電気的特性によって決定される。例えば、最も基本的な例における電極の接触状態は、隣接組織と「接触している」か「接触していない」のいずれかである。いくつかの実施形態では、「接触していない(not in contact)」または「接触なし(no contact)」という接触状態を割り当てられた電極は、近傍の電極が隣接組織と「接触している」と識別されることに基づいて、組織との接触を示すように変えられる。
【0020】
本明細書で使用する場合、「隣接する(adjacent)」という用語は、複数の電極であって、それらの間に他の電極を含まない電極を指す。隣接する電極は、それらの間に他の電極が配置されていない限り、互いに同じスプライン上に配置されてもよいし、異なるスプライン上に配置されてもよい。
【0021】
本明細書で使用する場合、「近傍にあるもの(neighbor)」、「近傍にあるもの(neighbors)」、「近傍の(neighboring)」という用語は、互いに隣接する電極、および1つまたは複数の他の電極(非隣接)によって互いに分離される電極を指す。本明細書では、「最近傍」という用語は、互いに直接隣接し、その間に他の電極がない電極を指す。
【0022】
本明細書で使用する「クリーク(clique)」という用語は、2つ以上の電極のサブセットを指す。1つの電極は2つ以上のクリークに関連づけられてもよい。例えば、クリークは3つの電極のグループを含んでもよく、クリーク内の各電極は他のクリークの一部であってもよい。
【0023】
図1は、医療装置102およびローカルシステム103を含むシステム100の模式図である。いくつかの実施形態では、ローカルシステムは、スイッチ108と、デジタル-アナログ(D to A)変換器110と、フィルタ112と、アナログ-デジタル(A to D)変換器114と、フィルタ116と、ディスプレイ130と、電子制御ユニット(ECU)118と、を含む。電子制御ユニット118は、信号源120と、同期復調回路122と、接触評価モジュール124と、メモリ126と、プロセッサ128とを含んでもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の表面パッチ電極105が患者の皮膚に接着されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、医療装置102は、診断および/または治療用カテーテル、イントロデューサ、シース、または他の同様のタイプの装置などの細長い医療装置である。医療装置102は、遠位端104と、技術者によって操作されるハンドルを含む近位端(図示せず)と、医療装置102をローカルシステム103にインターフェース接続するためのインターフェースとを含む。遠位端104は、患者内での遠位端104の位置特定/ナビゲーション、患者内の生理学的パラメータのマッピング、および治療の提供のための様々なセンサおよび/またはコンポーネントを含んでもよい。詳細には、医療装置の遠位端104は、これらの目的の1つまたは複数に利用され得る複数の電極を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、医療装置102の遠位端104に位置する1つまたは複数の電極の接触状態は、電極で測定された1つまたは複数の電気的特性に基づいて決定される。例えば、いくつかの実施形態において、測定された電気的特性は、双極対を形成する2つの電極間で励起信号を駆動することによって生成された双極電極複合インピーダンス(BECI)である。各電極に結果として生じる電圧が、測定され、複合インピーダンス信号を導出するために利用される。いくつかの実施形態では、接触評価モジュール124は、単独で、または他の測定された電気的特性と組み合わせて、BECI測定値を利用し、各電極の接触状態を決定する。いくつかの実施形態では、「接触状態」という用語は、電極が組織と「接触している」か「接触していない」かの二値決定である。他の実施形態では、「接触状態」という用語は、「断続的に接触」のような追加の接触状態を含んでもよい。さらに他の実施形態では、「接触状態」という用語は、隣接組織に対する電極の近接性を表してもよい。
【0026】
図1に示す実施形態では、信号源120は励起信号を生成するために利用される。いくつかの実施形態では、信号源120は、各々が固有の周波数である、1つまたは複数の励起信号または駆動信号を生成する。より具体的には、信号源120は、一実施形態において、約1kHzから500kHzを超える範囲内、より典型的には約2kHzから200kHzの範囲内、さらに典型的には約10kHzから約20kHzの範囲内の固有の周波数を有する複数の励起信号または駆動信号を生成してもよい。駆動信号はそれぞれ、一実施形態において、典型的には1~200μAの範囲内、より典型的には約5μAの定電流を有してよい。信号発生器120はまた、例えば、マッピング、ナビゲーション、および/または治療提供のために利用され得る、患者の体内における電極の位置の決定に関与する信号を発生してもよい。信号源120によって生成されたデジタル信号は、D-A変換器110によってアナログ信号に変換され、フィルタ112およびスイッチ108を介して選択された双極電極に供給される。選択された双極電極間に供給されたアナログ信号に応答して、結果として生じる電圧が、スイッチ108、フィルタ116、A-D変換器114、および同期復調回路122によって電極ペアで測定される。いくつかの実施形態では、スイッチ108は、供給される励起信号または駆動信号に応答して、モニタする電極を選択する。フィルタ116およびA-D変換器114は、アナログ信号をECU118が操作可能なデジタル信号に変換する。同期復調回路122は、励起信号または駆動信号の周波数に基づいて信号を互いに分離し、電極ペアに供給される複数の励起信号または駆動信号に基づいて複数の双極電極ペアをほぼ同時に解析できるようにする。
【0027】
いくつかの実施形態では、メモリ126は、医療装置102、患者、および/または他のデータ(例えば、較正データ)のそれぞれのデータを記憶するように構成されてもよい。このようなデータは、医療処置の前に既知であってもよいし(医療装置固有のデータ、カテーテル電極の数など)、処置中に決定されて記憶されてもよい。メモリ126はまた、プロセッサ128および/または接触評価モジュール124によって実行されると、ECU118に本明細書に記載される1つまたは複数の方法、ステップ、機能、またはアルゴリズムを実行させる命令を記憶するように構成されてもよい。例えば、限定するものではないが、メモリ126は、1つまたは複数の測定された電気的特性に基づいて1つまたは複数の電極の接触状態を決定するためのデータおよび命令を含んでもよく、近傍の電極の接触状態を変更するために1つまたは複数の電極の接触状態を利用してもよい。
図7A-12Bに関してより詳細に議論されるように、1つまたは複数の電極が組織と「接触している」という決定は、近傍の電極の接触状態を変更するために利用されてもよい。例えば、単純なケースでは、第1と第3の電極が「接触している」という決定は、第1と第3の電極の間に位置する第2の電極の「接触なし」状態を変更するために利用することができる。いくつかの実施形態では、接触評価モジュール124は、メモリ126に記憶された命令を実行するプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他のタイプのプロセッサを利用する。ECUは、ディスプレイ130に接続されてもよく、このディスプレイ130は、感知された組織(例えば、心臓)、医療装置(図示せず)、および/または医療装置102の1つまたは複数の電極の決定された接触状態の出力を表示してもよい。いくつかの実施形態は、感知された電気的特性に基づいて「接触している」と決定された電極、および1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて接触状態が変更された電極を表示することを含んでもよい。他の実施形態では、接触状態が1つまたは複数の近傍の電極の接触状態によって変更されたかどうかに関係なく、電極の最終的な接触状態のみが表示される。他の実施形態では、各電極に関連する接触状態の表示は、接触状態に関連する信頼度を伴う。例えば、1つまたは複数の測定された電気的特性に基づいて組織と「接触している」と決定された電極は、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて「接触している」と決定された電極よりも、それに関連する信頼度が高くてもよい。
【0028】
図2は、いくつかの実施形態による、心臓組織に隣接して配置された複数のスプラインおよび各スプライン上に配置された複数の電極204a、204bを有する医療装置102の遠位端104の模式図である。いくつかの実施形態では、隣接する組織206に対する1つまたは複数の電極204a、204bの接触状態は、1つまたは複数の測定された電気的特性に基づいて決定される。例えば、いくつかの実施形態では、双極電極複合インピーダンス(BECI)測定値が、複数の電極の各々の接触状態を決定するために利用される。
図2に示す実施形態では、電極204aおよび204bは、双極電極ペアを形成する。BECI測定値は、電極204aおよび204bに励起信号を供給することによって生成され、その結果、破線の矢印208a、208bで示すように、電極204aおよび204bの間に電流が流れる。電流208a、208bの少なくとも一部が電極-組織界面において患者組織206を通過することにより、駆動信号(単数または複数)に対する電極応答の誘導効果、容量効果、および抵抗効果に影響を与える。すなわち、組織接触は電極204a、204bのインピーダンス測定値に影響を与える。一般に、電極204a、204bが組織206と接触していない場合、回路は患者の血液プール内に形成され、BECI測定値は低下する。
図2に示すように、回路経路が組織206を含む場合、BECI測定値は、血液プール内で行われた測定値と比較して、組織206の高いインピーダンスを反映して増加する。BECI測定値は、電極の組織接触状態を決定するために利用される。いくつかの実施形態において、接触状態は、「接触している」または「接触していない」の決定を含んでもよい。他の実施形態では、接触状態は、断続的に接触、または接触状態の範囲のような他の接触状態を含んでもよい。他の実施形態において、他の測定された電気的特性は、電極の各々の接触状態を決定するために、単独でまたは測定されたBECI値と組み合わせて利用されてもよい。
【0029】
他の実施形態では、医療装置102の遠位端104は、複数の異なる形状および/または設計を組み込んでもよい。
図2に示す実施形態は、バスケット形状に配置された複数のスプラインを含み、各スプラインは複数の電極を含む。
図4に示す実施形態も同様に、複数のスプラインを含み、各スプラインは単一の電極のみを含む。他の実施形態では、医療装置202の遠位端は、
図3により詳細に示される電極のグリッド状アレイである。他の実施形態では、医療装置の遠位端は、遠位端に沿って間隔をあけて配置された複数の電極を有して湾曲しているかまたはループ状であってもよい。同様に、様々な異なるタイプ、形状、およびサイズの電極が、医療装置の遠位端で利用されてもよい。説明を容易にするために、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて接触状態を変更することは、
図3に示される電極のグリッド状アレイに関して説明される。しかしながら、電極の接触状態を変更することは、医療環境内で接触状態を決定するために利用される電極のどのような形状にも適用されてもよいことが理解されるべきである。
【0030】
図3は、グリッドアレイカテーテル300の上面図である。いくつかの実施形態において、グリッドアレイカテーテル300は、シャフト302、シャフト電極304aおよび304b、近位端306、複数のスプライン308a、308b、308c、308d、遠位端310、および複数のスプライン電極312を含む。いくつかの実施形態において、電気的特性は、複数の電極の各々で測定され、それぞれの電極の接触状態を決定するために利用される。例えば、いくつかの実施形態において、双極電極複合インピーダンス(BECI)測定は、隣接する電極の任意のペアの間で行われてもよく、電極の接触状態を決定するために、単独でまたは他の測定された電気的特性と組み合わせて利用されてもよい。
【0031】
図4は、バスケットカテーテル400の等角図である。いくつかの実施形態において、バスケットカテーテル400は、シャフト402、近位端404、遠位端406、および近位端404と遠位端406との間に延びる複数のスプライン410a~410fを含む。複数のスプライン410a~410fの各々は、対応する電極412a~412fを含む。いくつかの実施形態において、電気的特性が、複数の電極の各々で測定され、例えばBECI測定値を含むが、それぞれの電極の接触状態を決定するために単独でまたは互いに組み合わせて利用される。
【0032】
図5は、いくつかの実施形態による、電極の双極ペアを励起し、結果として生じる複合インピーダンスを測定するために利用される回路要素を示す回路図である。詳細には、回路図は、信号源120(
図1に示す)、1つのペアの電極204a、204b(
図2に示す)、第1および第2のオペアンプ502a、502b、およびECU118(同じく
図1に示す)を含む。いくつかの実施形態において、信号源120は、第1および第2の電極204a、204bに供給される励起信号を生成する。第1のオペアンプ502aは、第1の電極204aに接続された第1の端子(例えば、正端子)と、参照電極105(例えば、表面電極)に接続された第2の端子(例えば、負端子)とを含む。オペアンプ502aの出力は、第1の電極204aと参照電極105との間の電圧の差を反映する。第2のオペアンプ502bは、第2の電極204bに接続された第1の端子(例えば、正端子)と、参照電極105(例えば、表面電極)に接続された第2の端子(例えば、負端子)とを含む。オペアンプ502bの出力は、第2の電極204bと参照電極105との間の電圧の差を反映する。第1のオペアンプ502aおよび第2のオペアンプ502bのそれぞれの出力はECU118に供給され、ECU118はそれぞれの測定値を利用して双極電極複合インピーダンス(BECI)を決定する。
【0033】
図6は、いくつかの実施形態による、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて、1つまたは複数の電極の接触状態を変更するために利用されるステップを示すフローチャート600である。ステップ602において、装置102などの医療装置は、遠位端を患者の内部空洞内に位置づけることができる。遠位端は、上述のように複数の電極を含むことができる。上述したように、医療装置の遠位端では、バスケット状の形状、電極のグリッド状のアレイ、湾曲したスプラインなどを含む様々な形状が利用されてもよい。ステップ604では、医療装置の遠位端が患者内に挿入された後、各電極に関連する電気的特性が測定される。上述したように、電気的特性は、1つの電極または2つの電極間で測定されたインピーダンス測定値を含むことができる。いくつかの実施形態では、双極電極複合インピーダンス(BECI)がペアの電極間で測定される。
【0034】
ステップ606において、各電極の接触状態は、その特定の電極についてステップ604からの測定された電気的特性に基づいて個々に決定できる。いくつかの実施形態では、各電極の接触状態は、接触しているか接触していないかに決定される。他の実施形態では、二値決定ではなく、複数の接触状態を利用してもよい。例えば、一実施形態では、接触状態は、「接触なし」、「断続的に接触」、および「接触している」であってもよい。他の実施形態では、電極と隣接組織との間の様々な接触レベルを伝えるために、さらなる接触状態が利用されてもよい。いくつかの実施形態では、ステップ606は、医療装置のシステムの一部であるECUによって実行できる。
【0035】
ステップ608において、電極の接触状態は、近傍の電極の接触状態を考慮して分析され、場合によっては、それらの近傍の電極の接触状態は、1つまたは複数の電極の接触状態を変更するために利用される。説明を容易にするため、接触状態は、より高い接触状態(例えば、「接触なし」状態から「接触している」状態へ、または「断続的に接触」状態から「接触している」状態へ、ただし他の実施形態では逆であってもよい)を示すように変更されると記載する。ステップ608では、「接触している」以外のものとして識別された電極だけが、接触状態を変更すべきかどうかを決定するために分析される。すなわち、ある1つの電極がすでにステップ606で組織と「接触している」であると決定された場合、ステップ608では、この電極の状態を変更すべきかどうかを判断するための分析は必要ない。しかし、電極の接触状態が、より低い接触レベル(例えば、「接触している」から「接触なし」へ)を示すように変更される可能性がある場合、ステップ608で、すべての電極が、近傍の電極の接触状態を考慮して分析される必要があるであろうことを認識すべきである。
【0036】
いくつかの実施形態において、電極の接触状態を変更するかどうかの決定は、少なくとも部分的に、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づく。いくつかの実施形態では、
図7A-12Bに関してより詳細に説明するが、1つまたは複数のルールが、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて、所与の電極の接触状態を変更する場合に関して適用される。いくつかの実施形態では、例えば、分析されている電極から1つまたは複数の近傍の電極までの距離、近傍の電極の接触状態(接触状態が「接触している」または「接触なし」の二値決定より多くを含む場合)、分析されている電極の接触状態(接触状態が「接触している」または「接触なし」の二値決定より多くを含む場合)、および/または、分析されている電極および/または1つまたは複数の近傍の電極の接触状態履歴を含む、1つまたは複数の追加の入力が利用されてもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、ある電極の接触状態は、近傍の電極の接触状態に基づいて変更される。近傍の、という用語は、変更のために分析される電極に隣接する電極と隣接しない電極の両方を指してもよい。いくつかの実施形態では、複数の電極は、クリークと呼ばれる電極のサブセットに編成され、電極は、1つまたは複数のクリークのメンバーであってもよく、クリークは、互いに隣接および非隣接の両方の電極で構成されてもよい。いくつかの実施形態では、電極の接触状態は、クリーク内の電極の接触状態に基づいて変更される。例えば、いくつかの実施形態では、各クリークは、まとめて平面を規定する3つの電極で構成される。いくつかの実施形態では、クリーク内の電極の1つの接触状態は、クリーク内の他の電極の1つまたは両方の接触状態がステップ606で「接触している」であると決定された場合に、「接触なし」状態から「接触」状態に変更されてもよい。
図7A-12Bに示される例のように、例えば1つまたは複数の隣接する電極、1つまたは複数の非隣接電極、および/またはクリークの一部として含まれる1つまたは複数の電極を含む、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて電極の接触状態を変更するかどうかを決定するために、様々な方法が利用されてもよい。
【0038】
いくつかの実施形態において、電極の接触状態を変更することは、接触状態を「接触なし」から「接触している」に変更することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、電極の接触状態はまた、近傍の電極の接触状態に基づいて「接触している」から「接触なし」に変えられてもよい。しかしながら、説明を容易にするために、提供される例における接触状態は、常に、より小さい接触状態からより大きい接触状態に変更される。複数の接触状態が可能であるいくつかの実施形態では、接触状態の変更は、近傍の電極の物理的距離/近接性と近傍の電極の接触状態との組み合わせに基づいてもよい。例えば、電極の接触状態を変更する際には、直に隣接する電極やより近接する電極の方が、より大きな重みが与えられてもよい。例えば、ステップ606で「接触している」と決定された2つの電極の間に隣接して配置された電極の接触状態は、接触状態が「接触なし」から「接触している」に変更されてもよい(「断続的に接触」の中間カテゴリにかかわらず)。いくつかの実施形態では、「接触している」と示された2つの電極の間に位置するが、それらの1つまたは複数の電極に直には隣接していない電極の接触状態は、それぞれの電極間の距離がより大きい結果として、「接触している」へ変更ではなく、「接触なし」から「断続的に接触」に変えられてもよい。この例では、「接触している」と示された1つまたは複数の電極からの距離が、電極の接触状態と共に利用され、所与の電極の接触状態を変更するかどうかを決定する。
【0039】
いくつかの実施形態では、接触状態を表す大きさまたは値が、接触状態を変更するかどうかを決定する際の入力として利用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、電極は単に「接触している」と「接触なし」よりも多くの状態を割り当てられてもよい。最も単純な例では、電極は「断続的に接触」も割り当てられてもよいが、他の実施形態は、可能性のある様々な種類の接触状態を含んでもよい。さらに他の実施形態では、接触状態を決定するために、近傍の電極および/または分析される電極の実際の値(例えば、BECI値、接触状態を決定するために利用される他の計算)が利用されてもよい。これらの実施形態において、接触状態を変更するかどうか、および接触状態を何に変更すべきかの決定において、近傍の電極および変更のために分析される電極の両方に関連する接触状態の大きさが利用されてもよい。例えば、測定された電気的特性に基づいて、組織と非常に良好に接触していると決定された複数の近傍の電極は、接触に関する信頼性または確実性が低いことを示す測定された電気的特性に基づいて決定された複数の近傍の電極よりも、接触状態を変更するかどうかの決定に大きな影響を与えてもよい。同様に、変更のために分析されている電極の接触状態(例えば、接触状態を表す大きさまたは値)は、接触状態を変更するかどうかを決定する際の入力として利用されてもよい。例えば、最も単純なケースでは、接触状態の変更は、単一のステップ(例えば、「接触なし」から「断続的に接触」へ、または「断続的に接触」から「接触している」へ)に制限されてもよい。他の実施形態では、接触状態の変更は、分析されている電極の接触状態と近傍の電極の接触状態の組み合わせに基づいてもよい。
【0040】
このようにして、測定された電気的特性に基づいてステップ606で初期接触状態(例えば、「接触なし」)を割り当てられた電極は、ステップ608において、近傍の電極の接触状態に基づいて、その接触状態が変えられてもよい。
【0041】
電極の接触状態を変えるために適用されてもよいルールの具体例は、
図7A~11Bを参照して以下に説明される。これらの例では、測定された電気的特性が、各電極に二値の接触状態(例えば、「接触している」または「接触なし」)を割り当てるために利用され、その接触状態が「接触なし」から「接触している」に変えられるだけであると仮定する。他の実施形態では、所与の電極の接触状態を変更するかどうかを決定するために、上述した様々な他の要因がこれらのルールと組み合わせて利用されてもよいことが理解されるべきである。説明を容易にするため、
図3に示されるものと同様の、16個の電極を有する電極のグリッド状アレイが、例として利用される。本明細書で論じた原理は、他の構成の電極にも適用してもよいことを理解されたい。
【0042】
図7Aは、16個の電極を有する
図3のカテーテル300と同様のグリッドカテーテルの4X4グリッドを表す。ここでは、説明を容易にするために電極に英字-数字ラベルが使用されている。グリッド内の電極の接触状態の初期決定(
図6のステップ606)が、1つまたは複数の測定された電気的特性に基づいて
図7Aに示される。簡略化のため、白丸で示された電極の状態は解析に関連しないため無視することができ(または接触なし値を割り当てることができ)、灰色丸は測定された電気的特性に基づいて「接触なし」と決定された電極を表し、黒丸は測定された電気的特性に基づいて「接触」状態にある電極を表す。
図7Bは、電極の変更後状態(
図6のステップ608)を示し、黒丸は「接触している」を示すために利用されている。
【0043】
図7Aに示すように、電極A1、C1、C2、D2、A4およびD4は、測定された電気的特性に基づいて「接触している」と決定され、一方、電極B1、B3、D3は、測定された電気的特性に基づいて「接触なし」状態が割り当てられた。
【0044】
図7Aと
図7Bに示す例では、「接触している」と決定されたいずれかの電極ペアの間に位置する場合、電極の接触状態を「接触なし」から「接触している」に変更できるというルールが適用される。
図7Aと
図7Bに示すように、電極B1は、電極A1とC1が「接触している」であることに基づいて、「接触なし」(
図7Aの灰色)から「接触している」(
図7Bの黒色)に変更される。同様に、電極B3は、電極C2とA4が「接触している」であることに基づいて変更され、電極D3は、電極D2とD4が「接触している」であることに基づいて変更される。いくつかの実施形態では、ディスプレイを介して技術者に表示される出力は、
図7Bに示される接触状態に基づく。
【0045】
上述し、
図7Aおよび
図7Bに示す特定の例では、「接触している」と決定された電極ペアは、「接触なし」から「接触している」に変更することができる電極である1つの電極によってのみ分離されている。いくつかの実施形態では、電極ペアは、複数の電極によって分離されていてよく、電極ペア間の各電極は、その電極ペアに基づいて変更可能である。例えば、A1とA4が「接触している」である場合、A2とA3の一方または両方を「接触なし」から「接触している」に変更することができ、同様に、A1とD4が「接触している」である場合、B2とC3の一方または両方を「接触なし」から「接触している」に変更することができる。
【0046】
図8Aおよび
図8Bは、2x2のクリーク内に位置する電極の接触状態に基づく電極状態の変更を示す。
図8Aに示すように、電極A1、B2、C3、およびC4は、測定された電気的特性に基づいて「接触している」と決定された。電極A2、B1、D3、D4は、測定された電気的特性に基づいて「接触なし」と決定された。この例では、電極は正方形を形成する4つの電極で構成されるクリークに編成され、適用されるルールでは、所与のクリーク(例えば、2x2の正方形)内の2つ以上の電極が測定された特性に基づいて「接触している」と識別された場合、正方形内の他の2つの電極は、その接触状態が「接触している」に変更されてもよい。
図8Bに示すように、電極A2とB1は、電極A1とB2の接触状態に基づいて、「接触している」の状態に反転または変更される。同様に、電極D3とD4は、電極C3とC4の接触状態に基づき、「接触なし」から「接触している」に反転される。この例では、4つの電極のうち2つ(この例では)が「接触している」を示す限り、電極のグループまたはクリーク内のどの電極が「接触している」であるかは問題ではなく、他の2つは「接触なし」から「接触している」に反転させることができる。
【0047】
図9Aと
図9Bは、組織と「接触している」と決定された電極に(横に、縦に)隣接して位置する場合に、接触状態が変更される例を示している。この例では、電極B2が(
図9Aに示すように)測定された電気的特性に基づいて「接触している」と決定された。接触状態にある電極に(横に、縦に)隣接して電極が位置する場合、接触状態を変えられるというルールを適用すると、
図9Bに示すように、電極B2に隣接して位置する電極B1、A2、C2、B3が「接触なし」から「接触している」に変更される。いくつかの実施形態では、
図9Bに示された接触状態が、ユーザまたは技術者に表示される。
【0048】
図10Aと
図10Bは、組織と「接触している」と決定された電極に(横に、縦に、斜めに)隣接して位置する場合に、接触状態が変更される同様の例を示している。この例では、電極B2は(
図10Aに示すように)、測定された電気的特性に基づいて、再び「接触している」と決定される。接触状態にある電極に(縦に、横に、斜めに)隣接して電極が位置する場合、接触状態が変えられるというルールを適用すると、
図10Bに示すように、電極B2に隣接して位置する電極A1、B1、C1、A2、C2、A3、B3、C3が「接触なし」から「接触している」に変更される。いくつかの実施形態では、
図10Bに示される接触状態が、ユーザまたは技術者に表示される。
【0049】
図11Aと
図11Bは、「接触している」と決定された電極によって定義された矩形(または他の形状)内に位置する場合に接触状態が変更される例を示している。例えば、
図11Aに示す実施形態では、電極A1、C1、A4、C4は、測定された電気的特性に基づいて接触していると決定されている。電極B1、A2、B2、C2、A3、B3、C3、およびB4は、測定された電気的特性に基づいて接触していないと決定されている。電極A1、C1、A4、C4は矩形を形成している。この例では、ルールの適用により、電極B1、A2、B2、C2、A3、B3、C3、B4の接触状態は、電極A1、C1、A4、C4によって定義される矩形内に位置するため、
図11Bに示すように「接触している」に変更される。この例では、電極のいくつかは、接触していると決定された電極の間に位置している(例えば、電極B1は「接触している」電極A1とC1の間に位置している)。他の電極、例えば電極A2とA3は、「接触している」と決定された他の1つの電極に隣接しているだけである。この例では、電極A2とA3は、1つの「接触している」電極に直接隣接しているだけにもかかわらず、電極A1、C1、A4、C4によって定義された矩形内にあるので、接触を示すように変更される。いくつかの実施形態では、
図11Bに示される接触状態が、ユーザまたは技術者に表示される。
【0050】
図7Aから11Bでは、例として4X4グリッド(16個の電極)が使用されている。カテーテルがより多くのまたはより少ない電極を有していても、クリークを定義し、同じクリーク内の他の電極の接触状態に基づいて1つまたは複数の電極の接触状態を変更するための本明細書に記載された方法を利用できることが認識される。他の例では、グリッドは大きくても小さくてもよい。グリッドは正方形である必要はない。他のサイズのグリッドには、2X3、3X2、3X3、3X4、4X3、4X5、5X4または5X5が含まれるが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの例では、本明細書で定義する近傍の電極は必ずしも隣接する電極とは限らない。非隣接電極が対象の電極と同じクリーク内にある場合、この非隣接電極を近傍の電極として定義することができる。例として、
図12Aは、外側の角部の電極(例えば、電極A1、D1、A5、D5)のそれぞれが測定された電気的特性に基づいて「接触している」と決定された5X4グリッドを示している。
図11Aと
図11Bで適用したのと同じルールを適用すると、「接触している」と決定された電極を含む矩形の角部によって定義された矩形内に位置するいずれの電極も「接触状態」に変更することができる。そのルールを
図12Aに示す例に適用すると、最初に「接触している」と決定されたどの電極にも隣接していない電極も含めて、すべての電極が「接触している」の状態に変えられる。例えば、電極A3とD3は、最初に「接触している」と決定されたどの電極にも直接隣接していない。
【0052】
図7Aから12Bに示した例は、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態に基づいて1つまたは複数の電極の状態を変えるために適用され得るルールのタイプの例示に過ぎない。用途に応じて、単独でまたは他のルールと組み合わせて、様々な他のタイプのルールを適用してもよい。さらに、
図7Aから12Bに示した例は、2つの接触状態(すなわち、「接触している」および「接触なし」)のみに基づいていたが、他の実施形態では、追加の接触状態が存在してもよく、それらの接触状態は、1つまたは複数の近傍の電極の接触状態を変更するかどうかを決定するための入力として利用されてもよい。同様に、分析されている電極の接触状態(二値でない場合)も、電極の変更された接触状態を決定するための入力として利用されてもよい。
【0053】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の範囲を逸脱することなく、様々な変更を加えられてよく、その要素に均等物を代用してもよいことは当業者には理解されるであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料に本発明の教示に適合させるために多くの変更を加えてもよい。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に属するすべての実施形態を含むことが意図される。
【0054】
可能な実施形態の検討。
以下は、本発明の可能な実施形態の非排他的な説明である。
【0055】
一態様によれば、医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法は、医療装置に配置された複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、対応する電極について測定された電気的特性に基づいて複数の電極における各電極の接触状態を決定すること、および、複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更すること、を含む。
【0056】
前段落の方法は、追加的および/または代替的に、以下の特徴、ステップ、構成、および/または追加の構成要素のいずれか1つまたは複数を任意に含むことができる。
【0057】
例えば、電気的特性を測定するステップは、双極電極複合インピーダンス(BECI)を測定することを含んでもよい。
【0058】
接触状態は、「接触なし」状態と「接触」状態とを備えてもよい。
【0059】
接触状態は、「接触なし」状態、「断続的に接触」状態、及び「接触」状態を備えてもよい。
【0060】
複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更するステップは、測定された電気的特性に基づいて「接触」状態が割り当てられた少なくとも1つの隣接する電極に基づいて、第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含んでもよい。
【0061】
複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更するステップは、第1の電極の反対側に位置する1つの電極ペアが測定された電気的特性に基づいて「接触」状態を割り当てられたことに基づいて、第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含んでもよい。
【0062】
複数の電極における1つ以上の他の電極の決定された接触状態に基づいて、複数の電極における第1の電極の接触状態を変更するステップは、測定された電気的特性に基づいて、隣接する電極のいずれかが測定された電気的特性に基づいて「接触」状態を割り当てられた場合、第1の電極の接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを、含んでもよい。
【0063】
別の態様によれば、医療装置に配置された複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更する方法は、医療装置に配置された複数の電極における各電極の電気的特性を測定すること、対応する電極について測定された電気的特性に基づいて、複数の電極における各電極の接触状態であって、「接触している」、「断続的に接触」および「接触なし」を備える接触状態を決定すること、および、接触状態が「接触している」である1つ以上の近傍の電極に基づいて、複数の電極における1つ以上の電極の接触状態を変更すること、を含む。
【0064】
前段落の方法は、任意選択で、追加的および/または代替的に、以下の特徴、ステップ、構成、および/または追加の構成要素のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0065】
例えば、1つ以上の電極の接触状態を変更するステップは、1つ以上の電極の接触状態を「接触なし」から「接触している」に変更することおよび1つ以上の電極の接触状態を「断続的に接触」から「接触している」に変更することのうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0066】
測定された電気的特性は、双極電極複合インピーダンス(BECI)を含んでもよい。
【0067】
1つ以上の近傍の電極は、1つ以上の電極によって分離された電極ペアを含んでもよい。
【0068】
1つ以上の近傍の電極は、横方向、縦方向、または斜め方向における最近傍電極を含んでもよい。
【0069】
1つ以上の近傍の電極は、1つ以上の電極によって分離された矩形を形成する4つの電極を含んでもよい。
【0070】
別の態様によれば、複数の電極を有し患者内に挿入されるように構成された医療装置と共に使用するためのシステムは、医療装置の異なる電極ペアにわたって複数の駆動信号を印加するように構成された信号発生器と、駆動信号に対する複数の電極の応答を測定し、医療装置の複数の電極の各々についてインピーダンス値を生成するように構成された測定回路と、各電極について、各電極に関連する生成されたインピーダンス値に基づいて、複数の電極の各々の接触状態を決定するように構成された接触評価モジュールと、を含み、接触評価モジュールは、1つ以上の近傍の電極の接触状態に少なくとも部分的に基づいて、複数の電極の1つ以上の接触状態を変更するようにさらに構成されている。
【0071】
前段落のシステムは、任意選択で、追加的および/または代替的に、以下の特徴、ステップ、構成、および/または追加構成要素のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0072】
例えば、各電極について接触評価モジュールによって決定された接触状態は、「接触」状態と「接触なし」状態を含んでもよい。
【0073】
各電極について接触評価モジュールによって決定された接触状態は、「接触」状態、「接触なし」状態、「断続的に接触」状態を含んでもよい。
【0074】
接触評価モジュールによる接触状態の変更は、測定された電気的特性に基づいて「接触」状態が割り当てられた少なくとも1つの近傍の電極に基づいて、電極のうち少なくとも1つの接触状態を「接触なし」状態から「接触」状態に変えることを含んでもよい。
【外国語明細書】