IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 積水化学工業株式会社の特許一覧

特開2024-99482分子導入方法、分子導入効率改善剤、使用、分子導入細胞、分子導入細胞の製造方法、及び分子導入装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099482
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】分子導入方法、分子導入効率改善剤、使用、分子導入細胞、分子導入細胞の製造方法、及び分子導入装置
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20240718BHJP
   C12M 1/42 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20240718BHJP
   C07K 14/52 20060101ALI20240718BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240718BHJP
   C12N 15/12 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C12N5/071
C12M1/42 ZNA
C07K14/55
C07K14/52
C12M1/00 Z
C12N15/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023216603
(22)【出願日】2023-12-22
(31)【優先権主張番号】P 2023003017
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】朴 起里
(72)【発明者】
【氏名】井上 仁志
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB11
4B029DG10
4B065AA90X
4B065AC14
4B065BA30
4B065BD39
4B065BD50
4B065CA44
4B065CA46
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA04
4H045EA20
4H045EA50
4H045FA74
(57)【要約】
【課題】汎用性に優れるとともに、簡便でかつ効率的な、分子導入方法を提供する。
【解決手段】分子を含む液体と標的細胞を接触させる導入工程、及び前記標的細胞の前記分子の導入効率を改善する分子導入効率改善剤を含む液体と前記標的細胞を接触させる活性化工程を含み、前記導入工程の前及び後のいずれか一方又は両方に前記活性化工程を行う、分子導入方法。前記導入工程において、前記標的細胞にプラズマを照射することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子を含む液体と標的細胞を接触させる導入工程、及び
前記標的細胞の前記分子の導入効率を改善する分子導入効率改善剤を含む液体と前記標的細胞とを接触させる活性化工程
を含み、
前記導入工程の前及び後のいずれか一方又は両方に前記活性化工程を行う、分子導入方法。
【請求項2】
前記導入工程の前に前記活性化工程を行う、請求項1に記載の分子導入方法。
【請求項3】
前記導入工程と前記活性化工程との間に24~54時間の間隔を設定する、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項4】
前記導入工程において前記標的細胞にプラズマを照射する、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項5】
前記分子導入効率改善剤は、サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項6】
前記分子導入効率改善剤は、細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項7】
前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、請求項6に記載の分子導入方法。
【請求項8】
前記サイトカインがインターロイキンである、請求項5に記載の分子導入方法。
【請求項9】
前記サイトカインがインターロイキンである、請求項7に記載の分子導入方法。
【請求項10】
前記サイトカインがT細胞及びB細胞からなる群から選択される少なくとも1種によって産生されるインターロイキンである、請求項5に記載の分子導入方法。
【請求項11】
前記サイトカインがT細胞及びB細胞からなる群から選択される少なくとも1種によって産生されるインターロイキンである、請求項7に記載の分子導入方法。
【請求項12】
前記サイトカインがインターロイキン-2である、請求項5に記載の分子導入方法。
【請求項13】
前記サイトカインがインターロイキン-2である、請求項7に記載の分子導入方法。
【請求項14】
前記分子導入効率改善剤は、2つのドメインを有し、ヘリックス4つのC鎖とヘリックス4つのD鎖又はヘリックス8つと2カ所のジスルフィド結合で構成された、分子量が15.5~16kDaのタンパク質を有効成分とする、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項15】
前記分子導入効率改善剤は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列と95%以上配列一致するアミノ酸配列からなるタンパク質を有効成分とする、請求項1又は2に記載の分子導入方法。
【請求項16】
サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤。
【請求項17】
細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤。
【請求項18】
前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、請求項17に記載の分子導入効率改善剤。
【請求項19】
サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種の標的細胞への分子の導入効率を改善するための使用。
【請求項20】
細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種の標的細胞への分子の導入効率を改善するための使用。
【請求項21】
前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
請求項1又は2に記載の分子導入方法を用いる、分子導入細胞の製造方法。
【請求項23】
標的細胞に分子が導入されてなる分子導入細胞であって、
前記分子導入細胞の細胞内又は細胞膜に分子導入効率改善剤を含む、分子導入細胞。
【請求項24】
第一電極と、
前記第一電極と離間し、前記第一電極の先端が向く方向に位置する第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に、前記第一電極の先端から離間して位置する照射場と、
前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加する給電部と、
前記照射場に配置した、標的細胞を収容した容器に分子導入効率改善剤を含む液体を添加する液体添加部と、
前記給電部及び前記液体添加部をコンピュータにより制御する制御部と
を備える分子導入装置であって、
前記制御部は、前記液体添加部に前記容器への前記分子導入効率改善剤を含む液体の注入を行わせる液体注入ステップ、前記給電部に前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加させる電圧印加ステップ、並びに前記液体注入ステップ及び前記電圧印加ステップの実行タイミングを制御する、分子導入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子導入方法、分子導入効率改善剤、使用、分子導入細胞、分子導入細胞の製造方法、及び分子導入装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトゲノム及びマウスゲノムの解読がなされ、医学又は薬学等の分野において、分子生物学関連の研究開発又は医薬品開発を行なう際に、DNA若しくはRNA等のポリヌクレオチド又はその誘導体、シグナル伝達タンパク質若しくは転写調節因子等のタンパク質又はその誘導体等の高分子化合物、低分子生理活性物質、又は薬剤候補品等の分子を標的細胞内に導入し、標的細胞内での遺伝子の機能又は生理活性分子の生理的な活性を試験する必要が増している。
【0003】
標的細胞に分子を導入する方法は、化学的手法、物理的手法、及び生物学的手法の大きく3つの手法がある。化学的手法は、カチオンポリマー、カチオン脂質、又はリン酸カルシウム等のトランスフェクション試薬を用いて、エンドサイトーシスにより分子を標的細胞に取り込ませる手法である。物理的手法は、マイクロインジェクション、ソノポレーション、レーザー照射、又はエレクトロポレーション等の物理的操作により分子を標的細胞に直接導入する手法である。生物学的手法は、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、又はアデノウイルス等のウイルスベクターを用い、ウイルスの感染能力によりウイルス粒子内の核酸を標的細胞内に移行させる手法である。
【0004】
非特許文献1には、レトロウイルスベクターを用いて造血幹細胞へ遺伝子導入する際、フィブロネクチンを添加すると導入効率が向上することが記載されている。
【0005】
非特許文献2には、レトロウイルスベクターを用いて血球細胞へ遺伝子導入する際、ヒトフィブロネクチンの細胞接着ドメイン(C-domain)、ヘパリン結合ドメイン(H-domain)及びCS-1部位の3種類の機能性ドメインを含む組換えタンパク質(レトロネクチン(登録商標)、リコンビナントヒトフィブロネクチンCH-296)を添加すると導入効率が向上することが記載されている。
【0006】
特許文献1には、(a)フィブロネクチン又はフィブロネクチンフラグメントCH-296〔RetroNectin〕等のレトロウイルス結合性物質が固定化された培養容器に、外来遺伝子が搭載されたレトロウイルスベクターを含有する液体を入れた後、25℃未満の温度で4時間以上インキュベートし、レトロウイルスベクターが結合された培養容器を得る工程と、(b)工程(a)により得られた培養容器に標的細胞を入れ、インキュベートする工程とを含む、レトロウイルスベクターによる標的細胞への外来遺伝子の導入方法が記載されている。
【0007】
特許文献2には、(1)フィブロネクチン又はそのフラグメント及びCD3リガンドを含む容器内でT細胞及び/又はT細胞の前駆細胞を含有する細胞集団を培養する工程と、(2)所望の遺伝子を保持するベクターを工程(1)の容器に添加する工程とを含む、所望の遺伝子が導入された細胞集団の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2012/002452号
【特許文献2】国際公開第2009/119793号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Moritz,T.外6名、“Fibronectin Improves Transduction of Reconstituting Hematopoietic Stem Cells by Retroviral Vectors: Evidence of Direct Viral Binding to Chymotryptic Carboxy-Terminal Fragments”、Blood、1996年8月1日、第88巻、第3号、p.855-862
【非特許文献2】Hanenberg,H.外5名、“Colocalization of retrovirus and target cells on specific fibronectin fragments increases genetic transduction of mammalian cells”、Nature Medicine、1996年8月、第2巻、第8号、p.876-882
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先行技術文献に開示された標的細胞への分子導入方法は、標的細胞が造血幹細胞又は血球系細胞に限定され、さらに分子の導入にウイルスベクターを用いることが必要であることから、より汎用性に優れた分子導入方法が求められている。
【0011】
本発明は、汎用性に優れるとともに、簡便でかつ効率的な、分子導入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は以下の態様を含む。
[1] 分子を含む液体と標的細胞を接触させる導入工程、及び
前記標的細胞の前記分子の導入効率を改善する分子導入効率改善剤を含む液体と前記標的細胞とを接触させる活性化工程
を含み、
前記導入工程の前及び後のいずれか一方又は両方に前記活性化工程を行う、分子導入方法。
[2] 前記導入工程の前に前記活性化工程を行う、[1]に記載の分子導入方法。
[3] 前記導入工程と前記活性化工程との間に24~54時間の間隔を設定する、[1]又は[2]に記載の分子導入方法。
[4] 前記導入工程において前記標的細胞にプラズマを照射する、[1]~[3]のいずれかに記載の分子導入方法。
[5] 前記分子導入効率改善剤は、サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、[1]~[4]のいずれかに記載の分子導入方法。
[6] 前記分子導入効率改善剤は、細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、[1]~[4]のいずれかに記載の分子導入方法。
[7] 前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、[6]に記載の分子導入方法。
[8] 前記サイトカインがインターロイキンである、[5]に記載の分子導入方法。
[9] 前記サイトカインがインターロイキンである、[7]に記載の分子導入方法。
[10] 前記サイトカインがT細胞及びB細胞からなる群から選択される少なくとも1種によって産生されるインターロイキンである、[5]又は[8]に記載の分子導入方法。
[11] 前記サイトカインがT細胞及びB細胞からなる群から選択される少なくとも1種によって産生されるインターロイキンである、[7]又は[9]に記載の分子導入方法。
[12] 前記サイトカインがインターロイキン-2である、[5]、[8]、又は[10]に記載の分子導入方法。
[13] 前記サイトカインがインターロイキン-2である、[7]、[9]、又は[11]に記載の分子導入方法。
[14] 前記分子導入効率改善剤は、2つのドメインを有し、ヘリックス4つのC鎖とヘリックス4つのD鎖又はヘリックス8つと2カ所のジスルフィド結合で構成された、分子量が15.5~16kDaのタンパク質を有効成分とする、[1]~[13]のいずれかに記載の分子導入方法。
[15] 前記分子導入効率改善剤は、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列と95%以上配列一致するアミノ酸配列からなるタンパク質を有効成分とする、[1]~[14]のいずれかに記載の分子導入方法。
[16] サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤。
[17] 細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とする、標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤。
[18] 前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、[17]に記載の分子導入効率改善剤。
[19] サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種の標的細胞への分子の導入効率を改善するための使用。
[20] 細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種の標的細胞への分子の導入効率を改善するための使用。
[21] 前記細胞が分泌するタンパク質のうち獲得免疫反応に関わる物質がサイトカインである、[20]に記載の使用。
[22] [1]~[15]のいずれかに記載の分子導入方法を用いる、分子導入細胞の製造方法。
[23] 標的細胞に分子が導入されてなる分子導入細胞であって、
前記分子導入細胞の細胞内又は細胞膜に分子導入効率改善剤を含む、分子導入細胞。
[24] 第一電極と、
前記第一電極と離間し、前記第一電極の先端が向く方向に位置する第二電極と、
前記第一電極と前記第二電極との間に、前記第一電極の先端から離間して位置する照射場と、
前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加する給電部と、
前記照射場に配置した、標的細胞を収容した容器に分子導入効率改善剤を含む液体を添加する液体添加部と、
前記給電部及び前記液体添加部をコンピュータにより制御する制御部と
を備える分子導入装置であって、
前記制御部は、前記液体添加部に前記容器への前記分子導入効率改善剤を含む液体の注入を行わせる液体注入ステップ、前記給電部に前記第一電極と前記第二電極との間に電圧を印加させる電圧印加ステップ、並びに前記液体注入ステップ及び前記電圧印加ステップの実行タイミングを制御する、分子導入装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、汎用性に優れるとともに、簡便でかつ効率的な、分子導入方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る分子導入装置の断面図である。
図2図1の照射体14の端面図である
図3】実験例1の結果を示すグラフである。
図4】実験例2の結果を示すグラフである。
図5】実験例3の結果を示すグラフである。
図6】実験例4の結果を示すグラフである。
図7】実験例5の結果を示すグラフである。
図8】実験例6の結果を示すグラフである。
図9】実験例7の結果を示すグラフである。
図10】実験例8の結果を示すグラフである。
図11】実験例9の結果を示すグラフである。
図12】実験例10の結果を示すグラフである。
図13】実験例11の結果を示すグラフである。
図14】実験例12の結果を示すグラフである。
図15】実験例13の結果を示すグラフである。
図16】実験例14の結果を示すグラフである。
図17】実験例15の結果を示すグラフである。
図18】実験例16の結果を示すグラフである。
図19】実験例17の結果を示すグラフである。
図20】実験例18の結果を示すグラフである。
図21】実験例19の結果を示すグラフである。
図22】実験例20の結果を示すグラフである。
図23】実験例21の結果を示すグラフである。
図24】実験例22の結果を示すグラフである。
図25】実験例23の結果を示すグラフである。
図26】実験例24の結果を示すグラフである。
図27】実験例25の結果を示すグラフである。
図28】実験例26の結果を示すグラフである。
図29】実験例27の結果を示すグラフである。
図30】実験例28の結果を示すグラフである。
図31】実験例29の結果を示すグラフである。
図32】実験例30の結果を示すグラフである。
図33】実験例31の結果を示すグラフである。
図34】実験例32の結果を示すグラフである。
図35】実験例33の結果を示すグラフである。
図36】実験例34の結果を示すグラフである。
図37】実験例35の結果を示すグラフである。
図38】実験例36の結果を示すグラフである。
図39】実験例37の結果を示すグラフである。
図40】実験例38の結果を示すグラフである。
図41】実験例39の結果を示すグラフである。
図42】実験例40の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載した数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明において、アミノ酸の名称及び略号は、IUPAC(国際純正・応用化学連合、International Union of Pure and Applied Chemistry)又はIUB(国際生化学連合、International Union of Biochemistry)の命名に従う。
【0016】
[分子導入方法]
本発明の分子導入方法は、導入工程及び活性化工程を含む。
【0017】
導入工程は、分子を含む液体と標的細胞を接触させる工程である。
【0018】
本実施形態において、前記分子は、標的細胞に導入するために選定した分子のことを示し、特に特定の種類の分子に限定されるものではない。このような分子の具体例としては、DNA、RNAなどのポリヌクレオチド又はその誘導体、シグナル伝達タンパク質や転写調節因子などのタンパク質やペプチドとその誘導体などの高分子化合物があげられる。 また、上述したポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドの誘導体には、ベクター、アンチセンスポリヌクレオチド、デコイポリヌクレオチド、リボザイム、RNAi、siRNAなどが含まれる。ポリヌクレオチドの分子量は特に限定されない。
さらに、上述したタンパク質分子及びタンパク質分子誘導体には、シグナル伝達因子、転写調節因子、各種酵素、各種受容体、抗体及び抗体のFab部分などが含まれる。
他の分子としては、低分子生理活性物質、薬剤候補品などが挙げられ、これらの中でも医薬品などの生理活性な低分子化合物であって、他の導入方法では組織内又は細胞内に導入されにくい低分子化合物が好ましい。他の導入方法では組織内又は細胞内に導入されにくい低分子化合物とは、分子量が1000Da以上の低分子、膜透過性の低い分子、などである。
なお、上述の各種分子は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0019】
分子を含む液体は、上述した分子を含む溶液又は分散液であれば特に限定されない。例えば分子を緩衝液に溶解又は分散したものが挙げられる。前記緩衝液は、特に限定されないが、標的細胞への分子導入効率に対する影響が無いか低いものであり、かつ、標的細胞に対する細胞毒性が無いか低いものが好ましい。
【0020】
標的細胞とは、分子を導入する標的となる細胞のことを示し、特に特定の種類の細胞に限定されるものではない。このような標的細胞の具体例としては、ヒトを含む動物細胞、ヒト以外の動物個体、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体内の細胞、ヒトの個体、植物細胞、微生物細胞などが挙げられる。これらの標的細胞は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
なお、上述したヒトの個体から採取された細胞には、医薬品の研究開発などに用いられるヒトの個体に戻すことを前提としない細胞と、再生医療などに用いられるヒトの個体に戻すことを前提とする細胞とが含まれる。また、上述したヒトの個体から採取された細胞には、ヒトの個体から採取された細胞から培養された細胞も含まれる。
さらに、上述したヒト以外の動物細胞及び植物細胞には、個体内に存在する細胞と、組織内に存在する細胞と、個体や組織から採取された細胞と、個体や組織から採取された細胞から培養された細胞と、が含まれる。
ここで、別の側面から捉えれば、本発明に用いる標的細胞には、大腸菌、放線菌、枯草菌などの原核細胞や、酵母、ヒト以外の動物細胞、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体に含まれる細胞、植物細胞などの真核細胞が含まれる。
さらに、本発明に用いる標的細胞には、赤血球ゴーストやリポソームなどの脂質二重膜構造をもつものも含まれる。
また、本発明に用いる標的細胞は、特に処理を施されていないものであってもよいが、分子の導入効率を向上するためには、遺伝子導入の際に一般的に用いられる、コンピータント細胞としての処理を施されたものであってもよい。具体例としては、塩化カルシウムで処理され、細胞膜の構造が変化してDNA分子を透析しやすくなった大腸菌のコンピータント細胞などが挙げられる。
なお、本発明においては、複数の標的細胞に同時に分子の導入を行うこともできる。この場合、複数の標的細胞は、同種の細胞であってもよく、異種の細胞であってもよい。又は、この複数の標的細胞は、異種の細胞を含むことも好ましい。また、この標的細胞は、ヒト以外の動物細胞、ヒト以外の動物個体、ヒトの個体から採取された細胞、ヒトの個体内の細胞、ヒトの個体、植物細胞、微生物細胞からなる群より選ばれる1種以上であることが望ましい。
【0021】
前記標的細胞は、組織に含まれていてもよい。標的細胞を含む組織を、本発明では標的組織ということがある。標的組織は特に特定の種類の組織に限定されるものではない。このような標的組織の具体例としては、移植に用いられるドナーからの臓器、再生医療の方法を用いて再構成された皮膚や歯根などの組織、カルス培養で構築された植物に分化前の組織、などが挙げられる。これらの標的組織は、単一の種類を用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
導入工程において標的細胞に分子を導入する方法は、特に限定されないが、カチオンポリマー、カチオン脂質、又はリン酸カルシウム等のトランスフェクション試薬を用いて、エンドサイトーシスにより分子を標的細胞に取り込ませる化学的手法、マイクロインジェクション、ソノポレーション、レーザー照射、又はエレクトロポレーション等の物理的操作により分子を標的細胞に直接導入する物理的手法、及びレトロウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、又はアデノウイルス等のウイルスベクターを用い、ウイルスの感染能力によりウイルス粒子内の核酸を標的細胞内に移行させる生物学的手法のいずれも使用できる。また、標的細胞にプラズマを照射して標的細胞の働きを活性化し、分子を標的細胞の中に導入するプラズマ導入法を使用することもできる。プラズマ導入法は、放電プラズマを標的細胞に照射して分子を標的細胞に導入する比較的新しい手法である。この手法は、ウイルスを使わないため発がんのリスクは無く、化学薬品を使わないため細胞の機能障害のリスクも無いという利点を有する。そして、直接細胞に電流を流さないために細胞へのダメージも少なく、分子を導入した細胞の生存率も高い。また、リポソームと呼ばれるリン脂質二重膜の小胞の内部に分子を封入して細胞膜を通過させるリポフェクション(リポソームトランスフェクションともいう。)を用いることもできる。
【0023】
活性化工程は、分子導入効率改善剤を含む液体と標的細胞とを接触させる工程である。
【0024】
分子導入効率改善剤とは、前記標的細胞への前記分子の導入効率を改善するための薬剤である。
前記分子導入効率改善剤の有効成分としては、サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
前記サイトカインは、例えばインターロイキン(以下「IL」とも記す。)、インターフェロン(以下「IFN」とも記す。)、ケモカイン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子(以下「TNF」とも記す。)、及び増殖因子であり、インターロイキンがより好ましく、活性化T細胞によって産生されるインターロイキンがさらに好ましく、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-5、インターロイキン-7、及びインターロイキン-15からなる群から選択される少なくとも1種がいっそう好ましく、インターロイキン-2(以下「IL2」とも記す。)がよりいっそう好ましい。
なお、本明細書及び特許請求の範囲において、「インターロイキン-X」(Xはアラビア数字)を、ハイフンを省略して、「インターロイキンX」と記載する場合がある。
【0025】
また、前記分子導入効率改善剤の有効成分としては、2つのドメインを有し、ヘリックス4つのC鎖とヘリックス4つのD鎖又はヘリックス8つと2カ所のジスルフィド結合で構成された、分子量が15.5~16kDaのタンパク質も好ましい。
【0026】
さらに、前記分子導入効率改善剤の有効成分としては、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列と95%以上配列一致するアミノ酸配列からなるタンパク質も好ましい。ここで、2つのアミノ酸配列の配列一致は、2つのアミノ酸配列のペアワイズアラインメントを作成し、比較可能な全ポジション中の同一アミノ酸ポジションのパーセンテージとする。
【0027】
分子導入効率改善剤を含む液体は、上述した導入効率改善剤を含む溶液又は分散液であれば特に限定されない。例えば導入効率改善剤を緩衝液に溶解又は分散したものが挙げられる。前記緩衝液は、特に限定されないが、標的細胞への分子導入効率に対する影響が無いか低いものであり、かつ、標的細胞に対する細胞毒性が無いか低いものが好ましい。
【0028】
分子導入効率改善剤を含む液体中の分子導入効率改善剤の濃度は特に限定されないが、IL2の場合で、1~30IU/mLが好ましい。ただし、IUは国際単位(International Unit)を意味する。
【0029】
本発明の分子導入方法では、前記導入工程の前及び後のいずれか一方又は両方に前記活性化工程を行うが、少なくとも前記導入工程の前に前記活性化工程を行うことが好ましく、前記導入工程の前及び後の両方に前記活性化工程を行うことがより好ましい。
【0030】
前記活性化工程から前記導入工程への移行は、例えば前記活性化工程終了からの経過時間をトリガーとして行ってもよく、前記導入工程から前記活性化工程への移行は、例えば前記導入工程終了からの経過時間をトリガーとして行ってもよい。
また、前記導入工程から前記活性化工程への移行は、例えば前記導入工程終了時の前記標的細胞の画像を取得して画像解析の結果に基づいて行ってもよい。
【0031】
前記導入工程と前記活性化工程との間には、間隔(インターバル)を設定することが好ましく、このインターバルとしては、6~72時間が好ましく、24~54時間がより好ましい。
このインターバルの間に、標的細胞の培養が行われてもよく、例えばヒト由来の動物細胞の場合、1~10体積%のCOを含む大気中で35~39℃の温度で培養することが好ましい。
【0032】
[分子導入効率改善剤]
本発明の分子導入効率改善剤は、サイトカイン及びその組換え体からなる群から選択される少なくとも1種を有効成分とすることが好ましい。
前記サイトカインは、例えばインターロイキン、インターフェロン、ケモカイン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、及び増殖因子であり、インターロイキンがより好ましく、活性化T細胞によって産生されるインターロイキンがさらに好ましく、インターロイキン-2(以下「IL2」とも記す。)がいっそう好ましい。
【0033】
本発明の分子導入効率改善剤は、また、2つのドメインを有し、ヘリックス4つのC鎖とヘリックス4つのD鎖又はヘリックス8つと2カ所のジスルフィド結合で構成された、分子量が15.5~16kDaのタンパク質を有効成分とすることも好ましい。
【0034】
本発明の分子導入効率改善剤は、また、配列番号1又は配列番号2のアミノ酸配列と95%以上配列一致するアミノ酸配列からなるタンパク質を有効成分とすることも好ましい。ここで、2つのアミノ酸配列の配列一致は、2つのアミノ酸配列のペアワイズアラインメントを作成し、比較可能な全ポジション中の同一アミノ酸ポジションのパーセンテージとする。
【0035】
[標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤の使用]
本発明は、標的細胞への分子の導入効率を改善するための分子導入効率改善剤の使用も提供する。
前記分子導入効率改善剤は上述したとおりである。
【0036】
[分子導入細胞の製造方法]
本発明は、上述した分子導入方法を用いる分子導入細胞の製造方法を提供する。
【0037】
[分子導入細胞]
本発明は、標的細胞に分子が導入されてなる分子導入細胞を提供する。
本発明の分子導入細胞は、前記分子導入細胞の細胞内又は細胞膜に分子導入効率改善剤を含む。
前記分子導入効率改善剤は上述したとおりである。
【0038】
[分子導入装置]
以下、本発明の分子導入方法に好適に用いることができる分子導入装置について、一実施形態を挙げて説明する。
本実施形態の分子導入装置は、第一電極と、第二電極と、第一電極と第二電極との間に位置する照射場とを有する。
分子導入装置は、標的細胞に分子を導入する。分子導入装置は、第一電極からプラズマを生じ、標的細胞と分子とが共存する照射対象に照射し、標的細胞に分子を導入する。
【0039】
図1の分子導入装置1は、第一電極10と、第二電極20と、給電部30と、容器40とを有する。
【0040】
第二電極20は、第一電極10と離間し、第一電極10の下端(先端)の下方に位置している。即ち、第二電極20は、第一電極10の先端の先方に位置し、第一電極10と第二電極20とは対向している。
給電部30は、第一電極10と第二電極20とに接続されている。
容器40は、第一電極10と第二電極20との間に位置している。容器40は、第二電極20上に対置され、かつ第一電極10と離間している。
【0041】
第一電極10は、電極本体12と、電極本体12の先端に設けられた照射体14とを有する。なお、本発明において、第一電極10は、照射体14のみで構成されていてもよい。
本実施形態において、第一電極10は、高圧電極である。
【0042】
電極本体12は、一方向に延びる棒状体である。
電極本体12は、円筒状、多角筒状等の中空構造でもよいし、円柱状、多角柱状等の中実構造でもよい。中でも、電極本体12は、中実構造であると、耐久性を高め、かつ製造が容易である。
電極本体12の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0043】
電極本体12の太さ(外径)R12は、例えば1~50mmとされる。電極本体12が多角筒状又は多角柱状である場合、外径R12は電極本体12の横断面の外接円の直径である。
【0044】
照射体14は、平板状の基板部15と、基板部15の周縁から垂下する壁部16とを有する。基板部15と壁部16とは接続している。図2は、第一電極10を下端(即ち、第二電極20の方向)から見た照射体14の端面である。図2に示すように、壁部16は、内部が中空で、下端(先端)に開口した円筒状である。壁部16は、第一電極10から第二電極20に向かう方向を管軸O1とした、一重の円筒である。なお、壁部16は、円筒状に限られず、多角筒状でもよい。
【0045】
基板部15の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
壁部16の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
基板部15と壁部16とは、一体成形物でもよいし、個々に成形されて接合されたものでもよい。
【0046】
電極本体12が中空構造である場合、基板部15には電極本体12の内部と壁部16の内部とを連通する貫通孔を有してもよく、有しなくてもよい。
【0047】
壁部16の太さ(外径)R16は、容器40の大きさ等を勘案して適宜決定できる。外径R16は、例えば1mm超が好ましく、3~50mmがより好ましく、5~10mmがさらに好ましい。外径R16が上記下限値以上であると、プラズマをより広範囲に照射して、標的細胞への分子の導入効率(以下、単に「導入効率」ということがある)をさらに高められる。外径R16が上記上限値以下であると、安定した放電を生成しやすくなる。 また、外径R16は、外径R12よりも大きいことが好ましい。外径R16が大きいと、より広範囲にプラズマを照射して、導入効率をさらに高められる。
壁部16が多角筒状である場合、外径R16は壁部16の横断面の外接円の直径である。
照射体14が2以上の壁部16を有する場合、壁部16の外径R16は、最も外側に位置する壁部16の外径である。
【0048】
壁部16の内径r16は、例えば0.1mm以上が好ましい。
壁部16が多角筒状である場合、内径r16は壁部16の横断面の内接円の直径である。
照射体14が2以上の壁部16を有する場合、壁部16の内径r16は、最も内側に位置する壁部16の内径である。
【0049】
壁部16の下端面と壁部16の外面とのなす角度θ1は、例えば60°以下が好ましく、30°以下がより好ましく、10℃以下がさらに好ましい。壁部16の下端面と壁部16の外面との交点は、いわゆるエッジである。角度θ1が上記上限値以下であると、エッジに電界が集中して、電極間にプラズマをより容易に生じさせられる。
壁部16の下端面と壁部16の内面とのなす角度は、角度θ1と同様である。壁部16の下端面と壁部16の内面とのなす角度は、角度θ1と同じでもよいし、異なってもよい。
【0050】
壁部16の厚さt16は、例えば1mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましい。厚さt16が上記上限値以下であると、端部の電界の強さをより高められる。
【0051】
壁部16の高さh16は、特に限定されず、例えば1~10mmが好ましい。
【0052】
第二電極20は、設置電極として機能するものであればよく、例えば平板状の電極が挙げられる。
第二電極20の材料としては、ステンレス、銅、タングステン等の金属、カーボン等を例示できる。
【0053】
平面視において、第二電極20の面積は、第一電極10の面積よりも大きい。第二電極20の面積が大きいと、第一電極10から照射対象に対して、より広範囲にプラズマを照射できる。
【0054】
給電部30は、第一電極10と第二電極との間に電圧を印加し、両電極間にプラズマを生じることができればよい。給電部30は、電極への電気の供給の開始又は停止を切り替える。また、給電部30は、電極に印加する電圧及び周波数を調整する。給電部30としては、例えば外部の電源と接続し、インバータを含む回路等を例示できる。また、給電部30としては、二次電池を例示できる。
【0055】
本実施形態において、容器40は、照射場として機能する。照射場は、後述する分子の導入方法において、照射対象を位置させる場所であればよい。このため、容器40を分子導入装置1の構成の一部としない場合、容器40を載置する第二電極20を照射場としてもよい。
容器40は、照射対象を収容できればよく、例えばマイクロプレートの各ウェル等を例示できる。
容器40の内底面は、第一電極10の先端(即ち、照射体14)から離間している。
【0056】
容器40の材料は、導電性材料でもよいし、絶縁性材料でもよい。但し、高電圧により局所的な放電が発生することを防ぐ観点から、絶縁性材料が好ましい。絶縁性材料としては、樹脂、セラミックス、ガラス等を例示できる。樹脂としては、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリエステル等を例示できる。
【0057】
制御部50は、給電部30及び液体添加部60をコンピュータにより制御する。制御部50のコンピュータは、演算ユニット(CPU)、主記憶(メモリ)、記憶領域(ストレージ)、及び入出力(I/O)回路を備え、ストレージに記録されたプログラムを読み出し、メモリを作業領域として用いて、CPUによる処理を行う。
制御部50は、液体添加部60に容器40への分子導入効率改善剤を含む液体の注入を行わせる液体注入ステップ、給電部30に第一電極10と第二電極20との間に電圧を印加させる電圧印加ステップ、並びに前記液体注入ステップ及び前記電圧印加ステップの実行タイミングを制御する。
【0058】
液体添加部60は、制御部50からの指令により、容器40への分子導入効率改善剤を含む液体の注入を行う。
【0059】
本実施形態の分子導入装置1は、さらに、容器40内の標的細胞の画像を取得する画像取得部(図示せず)を備えていてもよい。
この場合、制御部50は、前記画像取得部からの画像データを解析して、液体添加部60に容器40への前記分子導入効率改善剤を含む液体の注入を行わせる液体注入ステップ、給電部30に第一電極10と第二電極20との間に電圧を印加させる電圧印加ステップ、並びに前記液体注入ステップ及び前記電圧印加ステップの実行タイミングを制御する。
【0060】
[作用効果]
本発明の分子導入方法では、分子を標的細胞にトランスフェクションする際にIL2等の分子導入効率改善剤を共存させることで、標的細胞が活性化されて、分子の導入効率が向上するものと考えられる。
ただし、IL2等の分子導入効率改善剤の作用効果は上記したものに限定されない。
【実施例0061】
以下では実験例によって本発明をより具体的に説明する。ただし、後述する実施例は本発明を限定するものではない。
【0062】
[実験例1]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:20ms又は40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:0.5mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0063】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにJurkat細胞(ECACC(TheEuropean Collection of Authenticated Cell Cultures)製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間20ms又は40ms)、既定のIL2濃度の回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0064】
〈実験結果〉
結果を表1及び図3に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
IL2を添加した実施例1-1及び実施例1-2では、IL2を添加していない比較例1と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0067】
[実験例2]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms又は60ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:1.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0068】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにJurkat細胞(ECACC製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms又は60ms)、既定のIL2濃度の回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0069】
〈実験結果〉
結果を表2及び図4に示す。
【0070】
【表2】
【0071】
IL2を添加した実施例2-1及び実施例2-2では、IL2を添加していない比較例2と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0072】
[実験例3]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:1.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0073】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにJurkat細胞(ECACC製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、既定のIL2濃度の回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0074】
〈実験結果〉
結果を表3及び図5に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
IL2を添加した実施例3では、IL2を添加していない比較例3と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0077】
[実験例4]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:1.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0078】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにTHP-1細胞(ATCC(American Type Culture Collection)製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、既定のIL2濃度の回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0079】
〈実験結果〉
結果を表4及び図6に示す。
【0080】
【表4】
【0081】
IL2を添加した実施例4では、IL2を添加していない比較例4と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0082】
[実験例5]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:60ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
電極端部と容器上面の離間距離:3.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0083】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにHEK293F細胞(Thermo Fisher Scientific社製)0.86×10個/ウェル/3mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL、20IU/mL、又は30IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで48~54時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間60ms)、既定のIL2濃度の回復培地を3mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0084】
〈実験結果〉
結果を表5及び図7に示す。
【0085】
【表5】
【0086】
IL2を添加した実施例5-1及び実施例5-2では、IL2を添加していない比較例5と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0087】
[実験例6]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
電極端部と容器上面の離間距離:3.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0088】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにHEK293F細胞(Thermo Fisher Scientific社製)0.86×10個/ウェル/3mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL、20IU/mL、又は30IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、既定のIL2濃度の回復培地を3mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0089】
〈実験結果〉
結果を表6及び図8に示す。
【0090】
【表6】
【0091】
IL2を添加した実施例6では、IL2を添加していない比較例6と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0092】
[実験例7]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
電極端部と容器上面の離間距離:3.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0093】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにHEK293F細胞(Thermo Fisher Scientific社製)0.86×10個/ウェル/3mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL、20IU/mL、又は30IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで48~54時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、既定のIL2濃度の回復培地を3mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0094】
〈実験結果〉
結果を表7及び図9に示す。
【0095】
【表7】
【0096】
IL2を添加した実施例7では、IL2を添加していない比較例7と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0097】
[実験例8]
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:1.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0098】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにJurkat細胞(ECACC製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、IL2を含まない回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0099】
〈実験結果〉
結果を表8及び図10に示す。
【0100】
【表8】
【0101】
IL2を添加した実施例8では、IL2を添加していない比較例8と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0102】
[実験例9]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
電極端部と容器上面の離間距離:1.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0103】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにTHP-1細胞(ATCC製)2.0×10個/ウェル/5mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL又は20IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、IL2を含まない回復培地を5mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0104】
〈実験結果〉
結果を表9及び図11に示す。
【0105】
【表9】
【0106】
IL2を添加した実施例9では、IL2を添加していない比較例9と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0107】
[実験例10]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
電極端部と容器上面の離間距離:3.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0108】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにHEK293F細胞(Thermo Fisher Scientific社製)0.86×10個/ウェル/3mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL、20IU/mL、又は30IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで24~30時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、IL2を含まない回復培地を3mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0109】
〈実験結果〉
結果を表10及び図12に示す。
【0110】
【表10】
【0111】
IL2を添加した実施例10では、IL2を添加していない比較例10と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0112】
[実験例11]
〈分子導入装置〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
第一電極:φ3の中空パイプ状の電極
電源周波数:50kHz
放電電圧:16kVp-p
放電時間:40ms
1ウェルあたりの放電箇所:8箇所
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
電極端部と容器上面の離間距離:3.0mm
DNA(GFP)量:57.5μg
【0113】
〈実験手順〉
6ウェルプレートの各ウェルにHEK293F細胞(Thermo Fisher Scientific社製)0.86×10個/ウェル/3mLを播種し、IL2濃度を0IU/mL、20IU/mL、又は30IU/mLになるように添加した。
COインキュベーターにてプラズマ照射まで48~54時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、EGFPプラスミド(pCMV-EGFP)を規定量添加した。
プラズマ照射処理を行い(放電時間40ms)、IL2を含まない回復培地を3mL添加した。
COインキュベーターにて48時間培養した(37℃、5体積%CO濃度)。
フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の細胞数を100として指数で表した。
【0114】
〈実験結果〉
結果を表11及び図13に示す。
【0115】
【表11】
【0116】
IL2を添加した実施例11では、IL2を添加していない比較例11と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0117】
[実験例12]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~48時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL又は5.1IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:60ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0118】
〈実験手順〉
(1)6ウェルプレートの各ウェルに細胞を上記個数播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてプラズマ照射まで培養した。
(3)プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、1μg/μLに調整したDNAを規定量添加し、3分間静置した。
(4)プラズマ照射処理を行い、3分間静置した。
(5-1)前処理のみの場合、静置後、IL2を含まない回復培地を添加した。
(5-2)前後処理の場合、静置後、規定のIL2濃度の回復培地を添加した。
(6)COインキュベーターにて48時間培養した。
(7)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0119】
〈実験結果〉
結果を表12及び図14に示す。
【0120】
【表12】
【0121】
IL2を添加した実施例12-1及び実施例12-2では、IL2を添加していない比較例12と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0122】
[実験例13]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~48時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0123】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0124】
〈実験結果〉
結果を表13及び図15に示す。
【0125】
【表13】
【0126】
IL2を添加した実施例13では、IL2を添加していない比較例13と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0127】
[実験例14]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の48~54時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0128】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0129】
〈実験結果〉
結果を表14及び図16に示す。
【0130】
【表14】
【0131】
IL2を添加した実施例14では、IL2を添加していない比較例14と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0132】
[実験例15]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL4添加量:0.5IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0133】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0134】
〈実験結果〉
結果を表15及び図17に示す。
【0135】
【表15】
【0136】
IL4を添加した実施例15では、IL4を添加していない比較例15と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0137】
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL7添加量:0.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0138】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0139】
〈実験結果〉
結果を表16及び図18に示す。
【0140】
【表16】
【0141】
IL7を添加した実施例16では、IL4を添加していない比較例16と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0142】
[実験例17]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0143】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0144】
〈実験結果〉
結果を表17及び図19に示す。
【0145】
【表17】
【0146】
IL2を添加した実施例17では、IL2を添加していない比較例17と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0147】
[実験例18]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の48~54時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0148】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0149】
〈実験結果〉
結果を表18及び図20に示す。
【0150】
【表18】
【0151】
IL2を添加した実施例18では、IL2を添加していない比較例18と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0152】
[実験例19]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL3添加量:2.0IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0153】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0154】
〈実験結果〉
結果を表19及び図21に示す。
【0155】
【表19】
【0156】
IL3を添加した実施例19では、IL3を添加していない比較例19と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0157】
[実験例20]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HEK293F
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:0.86×10個/ウェル/3mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL4添加量:0.5IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:3.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0158】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例12と同様にして実験を行った。
【0159】
〈実験結果〉
結果を表20及び図22に示す。
【0160】
【表20】
【0161】
IL4を添加した実施例20では、IL2を添加していない比較例20と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0162】
[実験例21]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:1.7IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0163】
〈実験手順〉
(1)6ウェルプレートの各ウェルに細胞を上記個数播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてプラズマ照射まで培養した。
(3)プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、1μg/μLに調整したDNAを規定量添加し、3分間静置した。
(4)プラズマ照射処理を行い、3分間静置した。
(5-1)前処理のみの場合、静置後、IL2を含まない回復培地を添加した。
(5-2)前後処理の場合、静置後、規定のIL2濃度の回復培地を添加した。
(6)COインキュベーターにて48時間培養した。
(7)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0164】
〈実験結果〉
結果を表21及び図23に示す。
【0165】
【表21】
【0166】
IL2を添加した実施例21では、IL2を添加していない比較例21と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0167】
[実験例22]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL5添加量:1.3IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0168】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0169】
〈実験結果〉
結果を表22及び図24に示す。
【0170】
【表22】
【0171】
IL5を添加した実施例22では、IL5を添加していない比較例22と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0172】
[実験例23]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL7添加量:0.2IU/mL又は0.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0173】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0174】
〈実験結果〉
結果を表23及び図25に示す。
【0175】
【表23】
【0176】
IL7を添加した実施例23-1及び実施例23-2では、IL7を添加していない比較例23と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0177】
[実験例24]
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL15添加量:0.2IU/mL又は0.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0178】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0179】
〈実験結果〉
結果を表24及び図26に示す。
【0180】
【表24】
【0181】
IL5を添加した実施例24-1及び実施例24-2では、IL5を添加していない比較例24と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0182】
[実験例25]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL5添加量:2IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0183】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0184】
〈実験結果〉
結果を表25及び図27に示す。
【0185】
【表25】
【0186】
IL3を添加した実施例25では、IL3を添加していない比較例25と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0187】
[実験例26]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL5添加量:0.66U/mL又は1.3IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0188】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0189】
〈実験結果〉
結果を表26及び図28に示す。
【0190】
【表26】
【0191】
IL5を添加した実施例26-1及び実施例26-2では、IL5を添加していない比較例26と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0192】
[実験例27]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL5添加量:0.2IU/mL又は0.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0193】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0194】
〈実験結果〉
結果を表27及び図29に示す。
【0195】
【表27】
【0196】
IL7を添加した実施例27-1及び実施例27-2では、IL7を添加していない比較例27と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0197】
[実験例28]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL15添加量:0.2IU/mL又は0.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):12mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0198】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例21と同様にして実験を行った。
【0199】
〈実験結果〉
結果を表28及び図30に示す。
【0200】
【表28】
【0201】
IL15を添加した実施例28-1及び実施例28-2では、IL15を添加していない比較例28と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0202】
[実験例29]
【0203】
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:Jurkat
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:20ms又は40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:0.5mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0204】
〈実験手順〉
(1)6ウェルプレートの各ウェルに細胞を上記個数播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてプラズマ照射まで培養した。
(3)プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、1μg/μLに調整したDNAを規定量添加し、3分間静置した。
(4)プラズマ照射処理を行い、3分間静置した。
(5-1)前処理のみの場合、静置後、IL2を含まない回復培地を添加した。
(5-2)前後処理の場合、静置後、規定のIL2濃度の回復培地を添加した。
(6)COインキュベーターにて48時間培養した。
(7)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0205】
〈実験結果〉
結果を表29及び図31に示す。
【0206】
【表29】
【0207】
IL2を添加した実施例29-1及び実施例29-2では、IL2を添加していない比較例29と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0208】
[実験例30]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:Jurkat
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms又は60ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0209】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例29と同様にして実験を行った。
【0210】
〈実験結果〉
結果を表30及び図32に示す。
【0211】
【表30】
【0212】
IL2を添加した実施例30-1及び実施例30-2では、IL2を添加していない比較例30と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0213】
[実験例31]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:Jurkat
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms又は60ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0214】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例29と同様にして実験を行った。
【0215】
〈実験結果〉
結果を表31及び図33に示す。
【0216】
【表31】
【0217】
IL2を添加した実施例31では、IL2を添加していない比較例31と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0218】
[実験例32]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:Jurkat
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0219】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例29と同様にして実験を行った。
【0220】
〈実験結果〉
結果を表32及び図34に示す。
【0221】
【表32】
【0222】
IL2を添加した実施例32では、IL2を添加していない比較例32と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0223】
[実験例33]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:SUP-T1
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0224】
〈実験手順〉
(1)6ウェルプレートの各ウェルに細胞を上記個数播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてプラズマ照射まで培養した。
(3)プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、1μg/μLに調整したDNAを規定量添加し、3分間静置した。
(4)プラズマ照射処理を行い、3分間静置した。
(5-1)前処理のみの場合、静置後、IL2を含まない回復培地を添加した。
(5-2)前後処理の場合、静置後、規定のIL2濃度の回復培地を添加した。
(6)COインキュベーターにて48時間培養した。
(7)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0225】
〈実験結果〉
結果を表33及び図35に示す。
【0226】
【表33】
【0227】
IL2を添加した実施例33では、IL2を添加していない比較例33と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0228】
[実験例34]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:THP-1
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0229】
〈実験手順〉
(1)6ウェルプレートの各ウェルに細胞を上記個数播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてプラズマ照射まで培養した。
(3)プラズマ照射の前に培地/上澄みを排除し、1μg/μLに調整したDNAを規定量添加し、3分間静置した。
(4)プラズマ照射処理を行い、3分間静置した。
(5-1)前処理のみの場合、静置後、IL2を含まない回復培地を添加した。
(5-2)前後処理の場合、静置後、規定のIL2濃度の回復培地を添加した。
(6)COインキュベーターにて48時間培養した。
(7)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0230】
〈実験結果〉
結果を表34及び図36に示す。
【0231】
【表34】
【0232】
IL2を添加した実施例34では、IL2を添加していない比較例34と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0233】
[実験例35]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:THP-1
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0234】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例34と同様にして実験を行った。
【0235】
〈実験結果〉
結果を表35及び図37に示す。
【0236】
【表35】
【0237】
IL2を添加した実施例35では、IL2を添加していない比較例35と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0238】
[実験例36]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:THP-1
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
プラズマ照射の24~30時間前に播種
IL2添加量:1.0IU/mL
(プラズマ照射条件)
電極:φ3円環
周波数:50kHz
放電電圧:16kV
放電時間:40ms
照射回数:8発
r2(照射容器における中心からプラズマ照射箇所の距離):14mm
離間距離:1.0mm
照射前後静置時間:3分
DNA(GFP)量:57.5μg
【0239】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例34と同様にして実験を行った。
【0240】
〈実験結果〉
結果を表36及び図38に示す。
【0241】
【表36】
【0242】
IL4を添加した実施例36では、IL4を添加していない比較例36と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0243】
[実験例37]
【0244】
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:THP-1
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
DNA複合体添加の30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
【0245】
〈実験手順〉
(1)24ウェル又は6ウェルプレートの各ウェルに細胞を播種し、IL2を上記濃度となるように添加した。
(2)COインキュベーターにてリポフェクションまで30時間培養した。
(3-1)前処理のみの場合、各ウェルの細胞を遠心により洗浄し、IL2を含まない培地で再懸濁した。
(3-2)前後処理の場合、遠心、洗浄を行わず次の操作に移行した。
(4)製造社提供リポフェクションキットのプロトコール通りにDNA複合体を供した。
(5)COインキュベーターにて24~48時間培養した。
(6)フローサイトメーターによりGFPの蛍光が陽性を示す細胞数を測定し、IL2非添加群の結果で標準化した。
【0246】
〈実験結果〉
結果を表37及び図39に示す。
【0247】
【表37】
【0248】
IL2を添加した実施例37では、IL2を添加していない比較例37と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0249】
[実験例38]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:Jurkat
(播種条件)
スケール:6ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/5mL
DNA複合体添加の30時間前に播種
IL2添加量:3.4IU/mL
【0250】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例37と同様にして実験を行った。
【0251】
〈実験結果〉
結果を表38及び図40に示す。
【0252】
【表38】
【0253】
IL2を添加した実施例38では、IL2を添加していない比較例38と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0254】
[実験例39]
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:24ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/0.5mL
DNA複合体添加の30時間前に播種
IL3添加量:2IU/mL
【0255】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例37と同様にして実験を行った。
【0256】
〈実験結果〉
結果を表39及び図41に示す。
【0257】
【表39】
【0258】
IL3を添加した実施例39-1及び実施例39-2では、IL3を添加していない比較例39と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0259】
[実験例40]
〈装置及び条件〉
図1に概要を示す分子導入装置を用いた。
細胞:HuT-78
(播種条件)
スケール:24ウェルプレート
播種量:2.0×10個/ウェル/0.5mL
DNA複合体添加の30時間前に播種
L7添加量:0.4IU/mL
【0260】
〈実験手順〉
条件を上記のとおり変更した他は実験例37と同様にして実験を行った。
【0261】
〈実験結果〉
結果を表40及び図42に示す。
【0262】
【表40】
【0263】
IL7を添加した実施例40では、IL7を添加していない比較例40と比べて、GFP導入効率が優れていた。
【0264】
[配列一覧]
本明細書において参照した配列を以下に示す。
【0265】
【表41】
【符号の説明】
【0266】
1 分子導入装置
10 第一電極
12 電極本体
14 照射体
16 壁部
20 第二電極
30 給電部
40 容器
42 分子
44 標的細胞
O1 管軸
θ1 角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
【配列表】
2024099482000001.xml