(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099494
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】皮膚処置装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240718BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002343
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】2300486.4
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】516165778
【氏名又は名称】アイパルス リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IPULSE LIMITED
【住所又は居所原語表記】Office Block A, Bay Studios Business Park, Fabian Way, Swansea, SA1 8QB, GB
(74)【代理人】
【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一
(74)【代理人】
【識別番号】100073450
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 英俊
(72)【発明者】
【氏名】スチュアート テリー ジョーンズ
(72)【発明者】
【氏名】ポール エドワード ディヴィス
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC10
4C082PE02
4C082PJ30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験者の皮膚に光エネルギーパルスを照射する皮膚処置装置を提供する。
【解決手段】皮膚処置装置であって、ハウジング4と、ハウジング内に収容された光源と、光エネルギーパルスを供給するために光源の放出を制御する制御システムとを備え、ハウジング4は、光源から放出された光エネルギーパルスをハウジングの外部に放出し、被験者の皮膚に照射する出力窓10を有し、少なくとも1つの突起14aが、出力窓10に対してハウジング4から外側に突出し、この突起又は突起の各々は、皮膚接触面16bを有して、突起14aが被験者の皮膚の形状に対応するために偏向するように、静止位置から偏向位置まで少なくとも部分的に可動であり、突起は、更にセンサー18a~18dを備え、制御システムは、このセンサーから1つ又は複数のセンサー出力を受信し、このセンサー出力に基づいて皮膚処置装置の動作を制御する。
【選択図】
図3a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚に光エネルギーパルスを供給する皮膚処置装置であって、
- ハウジングと、
- 光エネルギーパルスを放出するためにハウジング内に収容された光源と、
- 光エネルギーパルスを供給するために光源の放出を制御する制御システムとを備え、
前記ハウジングは、前記光源によって放出された光エネルギーパルスをハウジングの外部で被験者の皮膚に透過させるための出力窓を有し、
前記皮膚処置装置は、前記出力窓に対して前記ハウジングから外側に突出する少なくとも1つの突起を更に含み、前記突起又は前記突起の各々は、皮膚接触面を有し、
前記突起又は突起の各々は、前記突起が被験者の皮膚の形状に適応するために偏向するように、静止位置から偏向位置まで少なくとも部分的に移動可能であり、前記突起は、センサーを更に保持し、前記制御システムは、センサーから1つ又は複数のセンサー出力を受信し、前記1つ又は複数のセンサー出力に基づいて、前記皮膚処置装置の動作を制御するようにアレンジされた
皮膚処置装置。
【請求項2】
前記皮膚接触面が突起の外側に面している請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項3】
前記センサーは、前記突起によって保持され、更に、前記皮膚接触面に対して固定位置に保持されている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項4】
少なくとも第1の突起と第2の突起を有し、前記第1の突起と第2の突起が互いに独立して偏向する請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項5】
少なくとも1つの突起が、前記出力窓の全周にわたって延びている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項6】
前記1つ以上のセンサーは、前記出力窓の直径方向に相対する第1と第2の側面に、前記少なくとも1つの突起によって保持される少なくとも第1と第2のセンサーを備えている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項7】
前記出力窓は、長さ寸法と幅寸法とを有し、長さ寸法が幅寸法よりも大きく、長さ寸法が第1の突起と第2の突起の間に延びている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項8】
前記突起又は突起の各々は、前記ハウジングの対応する開口部に受容されるように配置され、静止位置にある突起は、開口部から外側に延びており、偏向位置にある突起は、開口部に少なくとも部分的に引き込まれている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項9】
前記の少なくとも1つの突起は、剛性である請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項10】
少なくとも1つの突起が、バイアス掛けアレンジメントによって静止位置に有利にバイアス掛けされている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項11】
前記突起又は突起の各々は、前記ハウジングに枢支されている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項12】
前記皮膚接触面は、前縁と後縁とを有し、前縁は、静止位置で前記ハウジングから更に外側に突出している請求項11に記載の皮膚処置装置。
【請求項13】
前記ハウジングは、使用者の皮膚に接触する前方接触面を有し、前記出力窓は、前記前方接触面に画定され、前記前方接触面は、少なくとも部分的に凸状である請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの突起は、弾性的に変形可能であって、使用者の皮膚の形状に適合するようにアレンジされている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突起は、エラストマー材料から成っている請求項14に記載の皮膚処置装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの突起は、一体型突起から成っている請求項1に記載の皮膚処置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚処置装置(又は皮膚治療装置)に関し、好ましくは、ムダ毛を処置する皮膚処置装置であり、また、好ましくは、強力パルス光(Intense Pulsed Light)装置を含む皮膚処置装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚処置装置は、例えば、脱毛、皮膚のシミの最小化又は皮膚の若返りの如き美容用途の処置、及びにきび又は酒さ皮膚炎の如き皮膚状態の皮膚科的処置の分野で知られている。皮膚は、フラッシュランプやレーザーの如き光源から照射される放射線に晒され、放射線は皮膚に照射され、エネルギー強度やパルス時間が制御される。脱毛では、放射線源が毛根を加熱することによって、毛根を死滅させるような照射が行われる。
【0003】
皮膚処置装置の安全性は最も重要であり、家庭用に設計された装置では特に重要である。家庭用装置は、放射線が皮膚に照射する前に「良好な皮膚接触」を必要とする。良好な接触とは、光出力領域が皮膚で十分に覆われ、迷光放射が有害レベル以下である状態と定義することができる。このように、安全機能は、眼にとって安全でないレベルである可能性のある作動中の装置からの迷光放射を最小化するために、装置が使用者の皮膚と接触していない限り、装置が放射を放出しないように実装される。これは、通常、出力窓の各側(例えば、長方形の出力窓の上方、下方及び両側)に隣接して複数のセンサーを装置のヘッドに設けることによって達成されるが、装置のヘッドでは、放射線が放射される要件として表面が各センサーによって検出されなければならない。1つのセンサーが閾値を測定していない場合には、装置の制御システムによって皮膚接触がないと判断され、発射が阻止される。これは、皮膚との良好な接触が得られない場合に、潜在的に有害なレベルの迷光放射が放出される危険性を伴う装置の発射を防止することである。迷光放射線は、装置によって放射されるが、処置の目的のために標的となる皮膚領域によって吸収されることが意図され、意図された標的を外れるか、標的から反射されるか、又は再放射される、装置によって放出される光として定義することができる。静電容量式接触センサーや近接センサーの如き種々のセンサーを利用することができる。静電容量式接触センサーがしばしば利用され、
図1は、皮膚に光エネルギーパルスを放出するための出力窓10を含む前方端部8を有するハンドル6によって、使用者が把持するような形状のハウジング4を含む皮膚処置装置2を示す概略図である。ハウジング4の前方端部8の出力窓の周囲には、皮膚接触を検出することができる複数のセンサー12が配置されている。これらのセンサーから閾値静電容量が測定されると仮定すると、皮膚との接触があってエネルギーパルスの放出が安全であるとみなされるので、装置の制御システムは、エネルギーパルスの放出を妨げることはない。
【0004】
装置の安全機能によって迷走放射が制限されるが、使用性には影響がない。大きな平坦な面を有する身体部位では、使用者は、すべてのセンサーが身体に接触するように装置を容易に配置することができるため、使い勝手が良く、放射線の放出と処置の容易性が得られる。しかし、体の角張った部分や骨ばった部分では、すべてのセンサーが体に接触し、放射線の放出が妨げられるようにヘッドを方向付けることは一層困難である。このため、使用者は、フラストレーションを感じ、処置が困難な身体部位を見逃すことになるので、処置効果が低下する。 そのため、全体的な使い勝手が低下する。これは、
図2aに明確に示されており、この装置では使用者のふくらはぎのような比較的平坦な部位を容易に処置することができる。これは、
図2bと比較すると、
図2bは、皮膚とセンサーとの間に隙間14があって、制御システムが光エネルギーパルスの放射を妨げている腕の処置を試みているのを示している。
【0005】
既存の解決策も提案されている。例えば、装置の前端に選択的に固定され、湾曲した前縁を有し、それによって使用者の曲面とのより良いコミュニケーションを提供するアダプタが利用されてきた。この種のアレンジメントは、適合性に限界があり、従って、特定の身体形状には有効であるが、複数の異なるアダプタが必要であるので使い勝手に著しく欠ける。さもなければ、状況によっては、装置のヘッド部分を取り外し、より小さな出力透過窓と皮膚接触面を有するヘッド部分と交換することができ、それにより、接触面積が小さくなる結果、より複雑な身体形状を処置することが可能になる。この結果、処置部位の処置時間が長くなり、使い勝手が悪くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は、上記で特定された問題に対処するか、又は少なくとも有用な代替手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、被験者の皮膚に光エネルギーパルスを照射するための皮膚処置装置であって、
- ハウジングと、
- 光エネルギーパルスを放出するためにハウジング内に収容された光源と、
- 光エネルギーパルスを照射するために光源の放射を制御する制御システムを備え、
前記ハウジングは、光源によってハウジングの外部に放出された光エネルギーパルスを被験者の皮膚に伝達する出力窓を有し、前記皮膚処置装置は、前記出力窓に対してハウジングから外側に突出する少なくとも1つの突起を更に含み、突起又は突起の各々は皮膚接触面を有し、突起又は突起の各々は、突起が偏向して被験者の皮膚の形状に対応するように、静止位置から偏向位置まで少なくとも部分的に移動可能であり、突起は、更にセンサーを保持し、前記制御システムは、前記センサーから1つ以上のセンサー出力を受信し、前記1つ以上のセンサー出力に基づいて皮膚処置装置の動作を制御するようにアレンジされている皮膚処置装置が提供される。
【0008】
皮膚接触センサー又は皮膚接触センサーの各々は、1つ以上の個別のセンサーを保持していてもよいことが理解されることと思う。
【0009】
皮膚接触面は、好ましくは、突起から外側に面している。
【0010】
1つ以上のセンサーを搭載する皮膚接触部が少なくとも部分的に可動とすることは、突起(単数又は複数)が皮膚の形状に適応するように動的に移動できることを意味する。従って、身体の形状の起伏に対応して、安全にかつ動作容易性を有して処置することができる。そのため、使い勝手が向上すると同時に、迷光が漏れる可能性が減少する。突起が偏向するにつれて、出力窓は皮膚に近接するように移動することができる。
【0011】
突起又は突起の各々は、光エネルギーパルスを皮膚に案内するための光ガイドとして有益に作用する。それに応じて、突起又は突起の各々は、また、出力窓から出力された迷光が逃げるのを防止するようにも作用する。
【0012】
突起が動くと、搭載センサーも動くことが理解されることと思う。少なくとも1つのセンサーが皮膚接触面に埋め込まれているのが好ましい。このセンサーは、突起によって有益に保持され、更に、有益には、皮膚接触面に対して固定位置に保持される。この装置は、好ましくは、少なくとも第1の突起と第2の突起を含み、これらの第1の突起と第2の突起は、互いに独立して偏向する。
【0013】
少なくとも1つのセンサーが偏向する突起の一部によって保持されることが理解されることと思う。
【0014】
この少なくとも1つの突起は、ハウジングから前方に突出していることが理解されることと思う。この前方へ突出する突起は、光が透過窓から放出される方向にある。この少なくとも1つの突起は、出力窓から出射された光を案内する働きをする。皮膚接触部は、透過窓の平面に垂直な方向に少なくとも部分的に前方に延びている。この少なくとも1つの突起は、出力窓の全周にわたって延びていてもよい。
【0015】
皮膚処置装置は、好ましくは、複数のセンサーを備えている。この複数のセンサーは、必要とされる特定の機能に応じて、(静電容量式センサーの如き)近接センサー及び/又は光学式近接センサーから構成することができる。しかし、いずれにしても、これらのセンサーは、センサーへの表面(皮膚)の接近を決定するのに使用することができることが有益である。光学式近接センサーが利用される場合、肌色の決定にセンサー出力(反射率)を使用し、従って肌色に依存して光源によるエネルギー出力を制御する能力の如き追加機能が提供されることができる。センサー(単数又は複数)は、皮膚の存在を検出するための近接センサー又は接触センサーであってもよい。本装置で利用される典型的なセンサーの1つの例は、容量性近接センサーである。
【0016】
1つ以上のセンサーは、好ましくは、出力窓の直径方向に相対する第1と第2の側面で少なくとも1つの突起によって保持される少なくとも第1と第2のセンサーから構成されている。
【0017】
この少なくとも1つの突起は、好ましくは、相互に独立して相対的に移動可能な少なくとも第1と第2の突起から構成されている。第1と第2の突起を設けることにより、第3以上の突起を設けることが排除されるものではないことは理解されることと思う。しかし、携帯可能で手保持型の皮膚処置装置としては、2つの突起のみに限定することが有益であることが判明している。第1と第2の突起は、それぞれ、出力窓の相対する側に配置されているのが好ましい。この出力窓は、好ましくは、長さ寸法と幅寸法とを有し、長さ寸法は、幅寸法よりも大きく、長さ寸法は、第1と第2の突起の間を延びている。第1と第2の突起は、第1と第2の顎(ジョー)を含んでいてもよい。第1の部分と第2の部分との間には凹部が形成されるのが好ましい。
【0018】
突起又は突起の各々は、好ましくは、ハウジング内の対応する開口部に受け入れられるように配置され、静止位置にある突起は、この開口部から外側に延び、偏向位置では、この突起は、開口部に少なくとも部分的に引き込まれる。
【0019】
少なくとも1つの突起は、剛性であるのが好ましい。これは、この少なくとも1つの突起自体が変形不可能であることを意味する。この少なくとも1つの突起は、バイアスアレンジメント(bias arrangement)によって静止位置にバイアスがかけられるのが有益である。このバイアスアレンジメントは、好ましくは。ばねから成っている。
【0020】
この少なくとも1つの突起は、好ましくは、ハウジングに枢支されている。皮膚接触面は、好ましくは、前縁と後縁とを含み、前縁は、静止位置でハウジングから更に外方に突出している。後縁は、前縁よりも出力窓に接近しているのが有益である。前縁(及び/又は後縁)は、出力窓の縁にほぼ平行であってもよい。
【0021】
ハウジングは、使用者の皮膚に接触する前方接触面を有し、出力窓は、この前方接触面に画定される。この前方接触面は、少なくとも部分的に凸状である。出力窓は、好ましくは、ハウジングからの光の放出を可能にするための固形窓をその中に有し、この固形窓は、また、前方接触面の幾何学的形状に一致するように輪郭付けされていてもよい。
【0022】
この少なくとも1つの突起は、弾性的に変形可能として使用者の皮膚の形状に適合することができるようにしてもよい。この少なくとも1つの突起は、ゴムの如きエラストマー材料から構成されていてもよい。この少なくとも1つの突起は、出力窓全体の周囲に延びていてもよい。この少なくとも1つの突起は、単一の一体型突起から構成されていてもよい。
【0023】
装置の動作の制御は、フラッシュランプが光エネルギーパルスを放出できるか否かを決定することと、そのパルスの特性(例えばフルエンス)を決定することの一方又は両方であってもよい。
【0024】
少なくとも一つの突起は、通常の操作使用の下では、ハウジングから取り外しできないのが好ましい。
【0025】
本装置は、強力パルス光(IPL)装置であるのが好ましい。
【0026】
以下に、本発明の幾つかの態様を、添付図面を参照して例示的にのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、公知の皮膚処置装置の一般的な機能を説明する皮膚処置装置を示す図である。
【
図2】
図2a及び
図2bは、先行技術の装置の皮膚の曲面領域と比較して、比較的平坦な皮膚領域の処置の容易性を示す図である。
【
図3a】
図3aは、本発明の例示的な実施の形態による装置の透視図である。
【
図4a】
図4aは、突起が装置本体に対して偏向することができる機構の1つの状態を示す図であるが、装置本体は、明確にする目的で除去されている。
【
図4b】
図4bは、突起が装置本体に対して偏向することができる機構の他の状態を示す図であるが、装置本体は、明確にする目的で同様に除去されている。
【
図5】
図5a乃至
図5cは、本発明の実施形態をそれぞれ側面図、透視図及び断面図で示すが、各図は、本体の曲率に応じた3つの異なる動作状態の装置を示している。
【
図6】
図6は、本発明の更に他の例示的実施形態を示す図である。
【
図7】
図7a及び
図7bは、それぞれ静止状態及び偏向状態の本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【
図8】
図8a及び
図8bは、本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図3a及び
図3bを参照すると、皮膚障害及び状態の処置(治療)に使用することができ、更に一層有益には、脱毛の如き美容の目的に適している皮膚処置装置の装置全体及びその前方端部がそれぞれ概略的に示されている。この装置2は、ハウジング4と、放電ランプ又はフラッシュランプの如きハウジング4によって収容される光源(図示せず)とを備えている。フラッシュランプは、高強度の光放射パルスを発生するようにアレンジされている。ハウジング4は、ハンドルハンドル6を備え、このハンドル6は、ハウジング4を操作して使用者の適切な位置に配置することができ、また手保持で比較的小さく、携帯が可能なため、特に家庭市場に適している。光出射窓10又は透過窓10は、高強度の光放射パルスの通過を可能にし、この窓10は、通常、幅30mm、高さ10mmの大きさである。光出射開口/透過/出射窓10の断面積は、有効な処置領域となる。発光素子は、発光素子の放電を制御する制御システムとともにハウジング4によって収容されている。
【0029】
1つの例示的な実施形態における装置2のヘッド部分は、出力窓10の相対する側に配置された第1の突起14aと第2の突起14bを含んでおり、各突起は、皮膚接触面16a、16bを有している。使用時には、皮膚接触面は、使用者の皮膚に接触する。第1と第2の突起14a、14bは、使用者の身体部分が受け入れられる相対する顎(ジョー)を形成している。突起14a、14b内には、関連する感知ゾーンを提供する第1と第2のセンサー18a、18bがある。これらのセンサーは、突起内に埋め込まれていて、突起の皮膚接触面の一部を形成している。更に、第3と第4のセンサー18c、18dがハウジング4自体の前方端部内の出力窓10の相対する側面(この表面も、操作時に使用者の皮膚に接触する)に設けられている。これらのセンサーは、それが利用される装置に応じて異なる形態をとることができる。例えば、これらのセンサーは、制御システムが使用者の皮膚との接触を指示する各感知ゾーンから所定の静電容量が測定されることが要求される感知ゾーンをそれぞれ有する容量性近接/接触センサーの形態の複数の近接センサーから単純に構成されていてもよい。従って、これらのセンサーは、表面に埋め込むか、表面から突出させるか、又は表面の背後に配置することができる。例示の実施形態では、これらのセンサーは18a乃至18cであって埋め込まれている。閾値が測定されると、制御システムは、フラッシュランプの発光を可能にし、光エネルギーパルスを放出する。しかし、1つ以上の代替の又は追加の皮膚パラメータが感知されてもよく、例示の実施形態では、これは、センサー18dである。例えば、このセンサー18dは、しばしば肌色センサーと称される光反射率センサー、又は時には再び近接センサーから構成されていてもよく、静電容量センサーの如き1つ以上の他のセンサタイプの代替として、又はこれらと並行して使用することができる。提示された実施形態では、3つの静電容量式近接センサーと1つの光学式近接センサー(又は「肌色センサー」18d)がある。肌色センサーは、センサー窓を通して処置されるべき皮膚上に感知放射線を伝達するように配置されたトランスミッターを含んでいる。センサー18dは、更に、皮膚表面から反射された放射線を受け取るように配置されたフォトダイオードの如きレシーバーを含んでいる。受け入れられた放射線の強度は、皮膚の色調を表することが解り、例えば、明るい皮膚の色調は、暗い皮膚の色調よりも多く反射する。受け入れられた放射線の強度は、提供されるプロセッサを使用して制御システムによって処理することができ、強度測定値の較正セットと強度を比較して、感知された肌色を決定し、この肌色は、制御システムのメモリに保存される。その後、皮膚に出力される処置光パルスエネルギーを制御することができ、従って、この光パルスエネルギーは、感知された肌色に依存することができ、その結果、処置されるべき特定の肌色に最適化された処置を保証する。
【0030】
突起14a、14bは、それぞれ、互いに独立して静止位置と偏向位置との間を偏向する。突起14a、14bは、それぞれ、出力窓10の相対する側に配置されている。出力窓10は、長さ寸法と幅寸法とを有し、長さ寸法は、幅寸法よりも大きい。長さ寸法は、相対する離間端部の間に規定され、幅寸法も、相対する離間した端部の間に規定される。第1と第2の突起14a、14bは、相対する端部の外側であるように配置される。第1と第2の突起14a、14bは、第1と第2の顎(ジョー)を効果的に形成し、第1と第2の部分の間に凹部が形成される。突起14a、14bの各々は、ハウジング4から外側に延びていて最外側の突起で皮膚接触面20a、20bを提供している。突起の形状は、ハウジング4に向かって内側に、また幅寸法の相対する端部に長さ方向に平行に他方の突起に向かって先細りになっている。このテーパ部22a,22bも肌接触面を形成し、このような形状とすることによって、使用中に光が逃げる可能性を最小限にすることができる。皮膚接触面20a、20bは、皮膚の上を滑らせることができるように、触覚的な表面仕上げを有しているとよい。このような表面仕上げは、例えばシリコンとすることができる。
【0031】
図4a、4bを参照すると、例示的な実施形態に従って突起が装置本体に対して偏向することができる機構が示されており、
図4aは、静止状態又は完全に伸長した状態の突起を示し、
図4bは、完全に窪んだ状態の突起の一方を示している。装置の大部分は、明瞭性を目的として省略していることは理解されることと思う。
図4aは、両方の突起14a、14bが静止/伸長状態にあるのを示し、突起14aは、全ての構成を容易に識別できるように見透かす(see-through)状態で示されている。両突起14a、14bは、偏向位置でハウジング4の対応する凹部に受容されるが、この凹部は、
図4には示されていないことが理解されることと思う。
【0032】
突起14aは、出力窓10の幅寸法の相対する側に位置する第1と第2の枢動点28a、28bでフレーム26に枢支されている。
図4aに示すように、突起14aを静止/伸長状態に向けて付勢(バイアス掛け)するために、二重コイルばねの形態の付勢(バイアス掛け)エレメント30が設けられている。
図4bを参照すると、ばねは、接触面20a上の力の作用により収縮状態に向けて偏向され、従って、突起14aは、破線32で示すように弧を描いて完全に偏向した状態となる。加圧された力を取り除くと、ばね30は、突起14aを伸長状態に戻す。突起を充分に偏向した状態に偏位することがない使用者の身体部位がばね30によって収容されると、ばね30は、皮膚接触面20a、20bが使用者の身体部位とできるだけ密接に整列するのを確保するために、関連する突起に比例力を付与する。
【0033】
更に、
図4に示された実施形態は、上記の機能成分を介してセンサーの出力を伝達する許す随意的な利点を有する。例えば、1つの実施形態では、センサー18aの出力は、ばねを介して、制御システムとインターフェースする受信回路35に伝達することができる。
【0034】
次に、
図5a乃至
図5cを参照すると、本発明の1つの実施形態が3つの動作状態でそれぞれ示されており、これらの状態では、側面図と透視図と断面図が示されている。
図5aでは、例えば、使用者の脛骨40が接触するような高度に湾曲した表面が接触している。身体部分のおおよその直径は、40mm程度であろう。このような身体部位と接触すると、突起14a、14bは、完全に伸びて静止状態にあり、すべてのセンサー18a乃至18dが身体部位と密接するので、装置の動作が可能になる。更に、出力窓から放出される迷光は、最小限に抑えられる。
図5bを参照すると、身体部分42は、直径約100mmの中程度の曲率を有し、使用者の脚の異なる部分である。突起14a、14bは、部分的に偏向され、これもまた、良好な身体接触が確保されることを意味し、装置は、皮膚にエネルギーパルスを放出することができる。
図5cを参照すると、身体部分44は、完全に平坦であり、そのため、突起14a、14bは、完全に偏向され、概ね平坦な接触面が使用者の皮膚にあてがわれる。
【0035】
他の実施形態では、他の数の突起が出力窓の周囲に配置されてもよいことが理解されることと思う。1つの例として、追加の突起を出力窓の上下に横方向に(すなわち幅方向に)配置することができる。
【0036】
図5に示された極端さ(extremes)から外れた形状を有する他の身体部分が存在することが理解されることと思う。別の実施形態では、このような身体部分に適合するように、動きの極端さを新たに付与する。例えば、
図6を参照すると、例示的な実施形態では、ハウジングの前方端部40の使用者接触面は湾曲していてもよく、この湾曲は、膝の内側の如き凸状の使用者身体部位に適合するように本質的に凸状である。突起14a、14bは、偏向された状態で示されている。
【0037】
皮膚処置装置の代替的な他の実施形態では、1つ又は複数の突起は、剛性ではなく、可撓性の形状を有する。例えば、
図7を参照すると、1つの可撓性突起が設けられ、センサー18a乃至18dを保持している。この実施形態では、突起14の全体が
図7aに示す静止状態から
図7bに示すような偏向状態に偏向する。係合の「中立」又は「最大」の状態に適合していない使用者の身体部分は、突起14の撓みによって適合され、皮膚接触面20が使用者の身体部分に適合するのを保証している。このような実施形態における可撓性突起は、エラストマー材料から製造され、ハウジング4と機械的又は化学的にインターロックすることができる。
【0038】
別の実施形態では、
図3乃至
図6に示される実施形態のような複数の可撓性突起が有り、これらの突起は、出力窓10の相対する側に、使用者の身体形状に適合するように独立して撓むことができる1対の相対する可撓性突起14a、14bを利用する。
【0039】
図8a及び
図8bを参照すると、更に他の実施形態が示されており、この実施の形態では、突起14a及び14bは、ハウジング4に解放可能に結合するように構成されたヘッド50によって保持されている。
図8aは、ハウジング4に結合されたヘッド50を示し、
図8bは、ハウジング4から切り離されたヘッドを示している。結合状態では、装置は、動作可能であり、結合を解除した状態では、装置は動作不能であるようになっている。このようなアレンジメントには種々の利点がある。例えば、複数のヘッドを提供することによって、異なるヘッドが異なるサイズの出力窓10を有することができ、これによって、特定の身体部位の処置に適切なヘッドを使用することができ、より小さな出力窓10は、上唇の如きより不具合な身体部位に好適である。交換用ヘッドには、突起14a、14bを設けなくてもよい。その代わり、交換用ヘッドは、
図7に関して説明したような異なるバージョンの突起14a、14bを有することもできる。
【0040】
本発明の実施態様を例示のためにのみ説明したが、添付の特許請求の範囲によって付与される保護の範囲から逸脱することなく、修正及び変形をすることができることは、当業者には理解されることと思う。