(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099497
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】スクリーン下側のクリーニング
(51)【国際特許分類】
B41F 35/00 20060101AFI20240718BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20240718BHJP
【FI】
B41F35/00 C
B41F15/08 303E
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024002614
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】2300494.8
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】514153171
【氏名又は名称】エーエスエムピーティー・エスエムティー・シンガポール・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロブ・レラ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ハロルド・バートラム・フット
【テーマコード(参考)】
2C035
2C250
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C250FA06
2C250FB17
(57)【要約】
【課題】可変の真空源を用いてクリーニング性能を最大化するための手段を提供すること。
【解決手段】印刷スクリーンの表面にわたって移動可能なクリーニングヘッドを用いて印刷スクリーンをクリーニングする方法であって、クリーニングヘッドにおいて、印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力を創出するために、フローラインを介してクリーニングヘッドに接続される真空源を用いるステップと、印刷スクリーンの表面にわたってクリーニングヘッドを移動させるステップと、を含み、表面に加えられる吸引力は、決定された印刷パラメータに応じて制御される、方法。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機内の印刷スクリーンをクリーニングするためのクリーニングシステムであって、前記印刷スクリーンは、一連のワークピースに印刷媒体を印刷するための前記印刷機の印刷動作で使用され、前記クリーニングシステムは、
クリーニングヘッドと、
前記クリーニングヘッドが前記印刷スクリーンの表面にわたって移動するクリーニング行程を実施するための駆動手段と、
真空または減圧を生成するための真空源と、
空気を前記クリーニングヘッドから前記真空源へと吸い込み、したがって、前記真空源により生成された前記真空または減圧を前記クリーニングヘッドへと移送して、前記クリーニングヘッドにおいて吸引力を生成するための、前記真空源と前記クリーニングヘッドとの間で延びるフローラインと、
前記印刷動作に関連付けて決定された印刷パラメータに応じて、前記クリーニングヘッドにおいて生成される前記吸引力を調整するための流れ制御手段と、
を備える、クリーニングシステム。
【請求項2】
前記印刷パラメータは、前記印刷スクリーンに形成された開口部のパターンに関連するガーバータイプのデータから決定される、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項3】
前記印刷パラメータは、前記印刷動作中に前記印刷スクリーンを用いて印刷されたワークピースを検査するように動作可能な検査システムにより決定される、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項4】
前記印刷パラメータは、前記印刷されたワークピースの印刷品質を示すものである、請求項3に記載のクリーニングシステム。
【請求項5】
前記印刷パラメータを決定するように適合されたセンサを備え、前記印刷パラメータは、前記フローライン内の瞬間的な空気の流れを示す測定データを含む、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項6】
前記センサは、前記フローラインにおける空気流量を測定するための流量計を備える、請求項5に記載のクリーニングシステム。
【請求項7】
前記流れ制御手段は、クリーニング行程中に、前記クリーニングヘッドにおいて生成される前記吸引力を調整するように動作可能であり、したがって、使用時に、前記クリーニングヘッドが前記印刷スクリーンの前記表面にわたって移動すると、前記印刷スクリーンの異なる領域が異なる吸引力を受ける、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項8】
前記流れ制御手段は、前記印刷動作の連続するクリーニング行程の間に、前記クリーニングヘッドにおいて生成される前記吸引力を調整するように動作可能である、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項9】
前記真空源は、異なる真空または減圧を生成するように直接動作可能な可変ポンプを備え、また前記流れ制御手段は、前記吸引力を調整するために前記可変ポンプを制御するように構成される、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項10】
前記流れ制御手段は、前記吸引力を変化させるために、前記真空源と前記クリーニングヘッドとの間の前記フローラインに位置する流れ調整器を備え、前記流れ調整器は、少なくともいくらかの空気の流れを前記フローラインからそらすための流れダイバータ、または前記フローラインにおける空気の流れを制限するための流れ制限器の一方を備える、請求項1に記載のクリーニングシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のクリーニングシステムを備える印刷機。
【請求項12】
印刷媒体を一連のワークピースに印刷するための印刷機の印刷動作中に、前記印刷機内の印刷スクリーンをクリーニングする方法であって、
i)クリーニングヘッドにおいて、前記印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力を創出するために、フローラインを介して前記印刷スクリーンの前記表面にわたって移動可能な前記クリーニングヘッドに接続される真空源を用いるステップと、
ii)前記印刷スクリーンの前記表面にわたって前記クリーニングヘッドを移動させることにより、クリーニング行程を実施するステップと、
iii)前記印刷動作に関連付けて決定された印刷パラメータに応じて、前記表面に加えられる前記吸引力を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記吸引は、2つの連続するクリーニング行程の間で変化するように制御される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記吸引は、クリーニング行程中に変化するように制御される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ステップiii)において、前記表面に加えられる前記吸引力は、前記印刷スクリーンの開口部のパターンに応じて制御される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記印刷スクリーンの前記表面の領域に加えられる前記吸引力は、当該領域内の前記開口部の密度または面積に比例するように制御される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フローライン内の瞬間的な空気の流れを示す測定データを生成するステップと、
前記測定データを制御システムに渡すステップと、
前記表面に加えられる前記吸引力を制御するために前記制御システムを使用するステップと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
前記印刷スクリーンに対する最適な吸引力プロファイルを決定する初期ステップを含み、ステップiii)は、前記最適な吸引力プロファイルに従うように、前記表面に加えられる前記吸引力を制御するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記最適な吸引力プロファイルを決定するステップは、
前記印刷スクリーンの前記表面に吸引力を加えながら、前記印刷スクリーンの前記表面にわたって前記クリーニングヘッドを移動させるステップと、
前記フローライン内の瞬間的な空気の流れを示す測定データを含む印刷パラメータを決定するステップと、
前記測定データから、前記最適な吸引力プロファイルを決定するステップと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記最適な吸引力プロファイルを決定するステップは、前記印刷スクリーンに関連するガーバータイプのデータを解析するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記印刷スクリーンを用いて印刷された少なくとも1つのワークピースからのはんだペースト検査データを解析するステップと、ステップii)の間に、前記解析されたはんだペースト検査データに応じて、前記表面に加えられる前記吸引力を制御するステップと、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
請求項12に記載の方法を実行するように制御手段を制御するためのコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングシステム、印刷機、クリーニングの方法、およびコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用のスクリーン印刷機は、通常、ステンシル(ステンレス鋼などのパターン化された固体材料である)、またはエマルジョンでコーティングされたメッシュ材料であるスクリーンなど、薄い平坦な層もしくはマスクにおける開口部のパターンを通して、導電性の印刷媒体を塗布することにより、はんだペースト、銀ペースト、または導電性インクなどの導電性の印刷媒体を回路基板などの平坦なワークピース上に塗布する。本発明は、特にステンシル印刷に適用可能であるが、スクリーンを用いることも可能である。便宜上、「スクリーン」という用語は、この文書の残りを通して、任意のこのようなパターン化されたマスクを指すために使用される。印刷媒体は、角度のあるブレードまたはスキージを用いて塗布される。同様の機械はまた、のりまたは他の接着剤など、いくつかの非導電性媒体をワークピースに印刷するために使用することができる。
【0003】
印刷スクリーンは、印刷されるパターンを画定する開口部を含む、実質的に平坦なシートである。共通の一形態において、それは、金属またはプラスチック材料から形成されたスクリーンシートを含むが、別の共通の形態では、例えば、ポリプロピレンまたはステンレス鋼のストランドからなる織られたメッシュなど、可撓性のある穿孔されたシートを含むメッシュを備える。両方の形態において、印刷スクリーンを張力下で保持することが必要であり、通常、これは、この張力下で、スクリーンを長方形フレームに接着することにより、または代替的に、印刷スクリーンを、このために作られた、長方形のクイックチェンジ(quick change)張力フレームに取り付けることにより達成される。
【0004】
印刷動作中に、印刷スクリーンは、印刷媒体によって急速に汚染され得る。特に、印刷媒体は、印刷スクリーンの下側に付着する可能性があり、さらに問題があるのは、印刷スクリーンの開口部内に付着し、それら開口部を少なくとも部分的にふさいで、印刷品質に悪影響を与えるおそれのあることである。
【0005】
印刷機は、したがって、望ましくない印刷媒体を除去し、開口部の閉塞を低減するためのクリーニング機構を通常備える。ASMPTにより製作された印刷機は、例えば、特許文献1および2において述べられるものなど、スクリーン下側をクリーニングするシステムを備える。これらのものは、印刷機内に位置する間、印刷スクリーンの下側を横切って移動するクリーニング行程を実施し、かつ多孔質のクリーニング材料(特に、クリーニング溶液で湿らせた、ある長さのクリーニング布)と、クリーニング材料の下側に加えられる真空と、の組合せを使用するクリーニングモジュールを提供する。真空は、2つの主な利点を有する、すなわち、それは、一方で、印刷スクリーンを、クリーニングモジュールのクリーニング材料ならびにクリーニングヘッド(以下で述べる)へと下方に引っ張り、それらの間の良好な接触を確実に行うようにすることであり、他方で、印刷スクリーンの開口部を少なくとも部分的に閉塞する印刷媒体を取り除くのを助けることである。特定の例として、
図1は、特許文献1からの画像を再現しており、印刷機1に取り付けられたとき、印刷スクリーンPSの下側をクリーニングするために使用されるスクリーン下側クリーニング装置2を備える印刷機1を示す。スクリーン下側クリーニング装置2は、印刷スクリーンPSの下側に接触するように動作可能なクリーニングヘッド3と、クリーニングヘッド3にクリーニングシート7を送るための供給ユニット5と、印刷スクリーンPSの表面上でクリーニングヘッド3を振動させるための発振器ユニット8(このユニットは任意選択のものである)と、クリーニングヘッド3を上下させて印刷スクリーンPSと接触/非接触にするための位置決めユニット9と、クリーニングヘッド3が支持される支持体11であって、支持体11は、印刷スクリーンPSの下側を移送方向Xに移動可能であり、駆動手段、この場合、印刷機1の撮像カメラ(図示せず)のためのキャリッジ12によって印刷スクリーンPSのクリーニングを提供する、支持体11と、を備える。クリーニングヘッド3は、ワイパーバーの形態の細長いワイパー15を含み、ワイパー15は、印刷スクリーンPSの幅を横切って延びる。ワイパー15は、その上面にスクリーン接触要素17を含み、スクリーン接触要素17は、印刷スクリーンPSの下側に面し、その上にクリーニングシート7のセクションが提供されて、それにより、クリーニングヘッド3がスクリーン接触位置へと上昇したとき、スクリーン接触要素17は、印刷スクリーンPSの下側と接触する。スクリーン接触要素17は、第1に、その上のクリーニングシート7の乾燥セクションを支持するように構成されたスクリーン乾燥セクション17aと、第2に、真空セクション17bであって、そこに真空または減圧が加えられて、印刷媒体の残留物をクリーニングシート7へと引き込み、印刷スクリーンPSをスクリーン接触要素17上へと引き込み、それにより、クリーニングシート7としっかりした確実な接触をさせる、真空セクション17bと、第3に、その上のクリーニングシート7の湿潤セクションを支持するように構成されたスクリーン湿潤セクション17cと、を有する。スクリーン接触要素17の真空セクション17bは、スクリーン接触要素17のスクリーン乾燥セクション17aに隣接する第1の細長い真空開口部21と、スクリーン接触要素17のスクリーン湿潤セクション17cに隣接した第2の細長い真空開口部23と、真空開口部21、23の中間に配置された細長い支持プラットフォーム25と、を含む。ワイパー15は、真空マニホールド27を備え、真空マニホールド27は、ワイパー15の長さに沿って延び、かつ真空マニホールド27には、スクリーン接触要素17の真空セクション17b、および真空ポンプなどの真空源28が、フローライン48により流体接続され、それにより、真空源28の動作時に、真空が、スクリーン接触要素17の真空セクション17bの長さを介して吸引される。クリーニングヘッド3は、クリーニングシート7のセクションの幅にわたって洗浄流体を供給するように動作可能な流体供給部31をさらに備える。流体供給部31は、クリーニングシート7のセクションの幅にわたって洗浄流体を送達するための、その長さに沿った空間関係で配置された複数の流体送達出口35を含む細長い流体供給部材33を備える。流体供給部材33は、流体送達出口35に流体接続された流体供給マニホールド37と、流体ポンプなどの流体源38と、を含み、それにより、流体源38の動作は、クリーニングシート7のセクションの幅を横切って、送達出口35から洗浄流体を送達するように作用する。供給ユニット5は、クリーニングシート7の供給ロール41、使用されたクリーニングシート7が巻かれる巻取りロール43、およびクリーニングヘッド3にわたってクリーニングシート7の所定長さを引き出すように動作可能な駆動モータ45を備える。供給ロール41は、摩擦トルクを提供する抵抗機構47を含み、クリーニングシート7が摩擦トルクに対抗して駆動モータ45により引き出される。
【0006】
この構成を用いると、クリーニングヘッド3は、印刷スクリーンPSの下側を横切る1回のスイープで、印刷スクリーンPSのクリーニングを提供し、スクリーン接触要素17のスクリーン湿潤セクション17cは、クリーニングヘッド3の先端縁部を画定し、またスクリーン接触要素17のスクリーン乾燥セクション17aは、クリーニングヘッド3の後続する縁部を画定し、それにより、印刷スクリーンPSの下側は、クリーニングシート7の湿潤セクションによりまず湿らされ、その後に、湿った残留物が、真空セクション17bにおいて、クリーニングシート7の中に引き込まれ、同時に、真空が、印刷スクリーンPSをスクリーン接触要素17上に吸引するように作用し、最後に、清浄化された印刷スクリーンPSの下側は、スクリーン乾燥セクション17aで乾燥される。
【0007】
このような解決策はよく動作するが、いくつかの問題が観察されている。特に、スクリーン下側のクリーナモジュールが、開口部のない、または少ないステンシルのエリアをクリーニングするために使用された場合、例えば、ポンプなどの真空源を過度に動作させる可能性があり、その寿命に影響を与える可能性がある。さらに、クリーニング性能は、任意の特定の場所における任意の所与のステンシル画像に存在し得る、広範囲な開口部の量およびサイズに起因して、ステンシル間でほとんど確実に変化することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第201114487号
【特許文献2】欧州特許出願公開第3482943号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、この問題に対処することを求める。特に、本発明者らは、印刷動作中に加えられる真空を変化させることが有利であると認識している。本発明は、このような可変の真空を適用することを用いてクリーニング性能を最大化するための手段を提供することを目的とする。本発明は、これを達成するために2つの別個のモードを提供する。第1のモードでは、特に印刷スクリーンの開口部パターンに応じて、吸引力が、クリーニング行程中に変化し、第2のモードでは、真空源により加えられる吸引力は、特定の印刷スクリーンに対して最適化され、各クリーニング行程に対して一定に維持され、有効なクリーニングが、スクリーン全体にわたって保証される。第1のモードは、より応答性のある真空源に対して特に実用性を有することができ、一方、第2のモードは、応答性の劣る真空源に対して特に実用性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、印刷機内の印刷スクリーンをクリーニングするためのクリーニングシステムであって、その印刷スクリーンは、一連のワークピースに印刷媒体を印刷するための印刷機の印刷動作で使用され、クリーニングシステムは、
クリーニングヘッドと、
クリーニングヘッドが印刷スクリーンの表面にわたって移動するクリーニング行程を実施するための駆動手段と、
真空または減圧を生成するための真空源と、
空気をクリーニングヘッドから真空源へと吸い込み、したがって、真空源により生成された真空または減圧をクリーニングヘッドへと移送して、クリーニングヘッドにおいて吸引力を生成するための、真空源とクリーニングヘッドとの間で延びるフローラインと、
印刷動作に関連付けて決定された印刷パラメータに応じて、クリーニングヘッドにおいて生成される吸引力を調整するための流れ制御手段と、
を備えるクリーニングシステムが提供される。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のクリーニングシステムを備える印刷機が提供される。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、印刷媒体を一連のワークピースに印刷するための印刷機の印刷動作中に、印刷機内の印刷スクリーンをクリーニングする方法であって、
i)クリーニングヘッドにおいて、印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力を創出するために、フローラインを介して印刷スクリーンの表面にわたって移動可能なクリーニングヘッドに接続される真空源を用いるステップと、
ii)印刷スクリーンの表面にわたってクリーニングヘッドを移動させることにより、クリーニング行程を実施するステップと、
iii)印刷動作に関連付けて決定された印刷パラメータに応じて、表面に加えられる吸引力を制御するステップと、
を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の第4の態様によれば、第3の態様の方法を実行するように制御手段を制御するためのコンピュータプログラム製品が提供される。
【0014】
本発明の他の特定の態様および特徴は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0015】
本発明を次に、添付図面(縮尺は合わせていない)を参照して述べるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】スクリーン下側クリーニング装置を備える知られた印刷機の概略的な側面断面図である。
【
図2】本発明の実施形態によるクリーニングシステムの概略図である。
【
図3】
図2のクリーニングシステムがどのように動作され得るかを記載したフローチャートである。
【
図4】
図2のクリーニングシステムを用いて構成され得る、一定の出力速度で動作するポンプにより、印刷スクリーンに加えられる典型的な圧力変化を概略的に示す図である。
【
図5】
図2のクリーニングシステムを用いて達成可能な、最適化された出力速度で動作するポンプにより、印刷スクリーンに加えられる圧力を概略的に示す図である。
【
図6】本発明に従って印刷スクリーンをクリーニングする代替的な方法を記載したフローチャートである。
【
図7】本発明に従って印刷スクリーンをクリーニングする代替的な方法を記載したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
上記で概説した第1のモードを用いて印刷機54内の印刷スクリーン(図示せず)をクリーニングするための本発明の実施形態によるクリーニングシステム49が、
図2で概略的に示される。クリーニングシステム49は、例として、
図1で示されたものと同一、または同様のものとすることのできるクリーニングヘッド3を含む。リニアモータ、ラックアンドピニオン構成、ウォーム駆動、回転駆動シャフト、または
図1に関して前述したように、撮像カメラなど、印刷機54の別の構成要素のためのキャリッジなどの駆動手段56が、使用時のクリーニング行程において、クリーニングヘッド3を印刷スクリーンの表面にわたって移動させるために提供される。真空ポンプなどの真空源50が、真空または減圧を生成するために提供される。フローライン52は、
図1を参照して前に述べたように、空気をクリーニングヘッド3から真空源50へと吸い込み、したがって、真空源50により生成された真空または減圧をクリーニングヘッド3へと移送して、クリーニングヘッド3において吸引力を生成するために、真空源50とクリーニングヘッド3との間で延びる。センサ53が、フローライン52に接続され、フローライン52内の瞬間的な空気の流れを示す測定データを生成し、その測定データを制御システム55に渡すように適合される。有利には、センサ53は、フローライン52における空気流量を直接測定するための流量計を備えることができるが、フローライン52内の空気流を間接的に示すことのできる圧力センサ、フォースメータ、および同様のものなど、このような測定データを生成できる様々な他のタイプのセンサが存在する。制御システム55は、例えば、手動の表示器および/または制御器を備えるだけではなく、コンピュータ、プロセッサ、または他の処理デバイスを備えることができる。
図2では、制御システム55は、全体的に印刷機54内にあると示されており、その場合、印刷機54の他の態様または動作全体を制御することもできるが、それはまた、例えば、中心サーバもしくはクラウド位置など、印刷機54の外部に位置して、1つまたは複数の印刷機のいくつかの態様または動作全体を、また実際に任意選択で、表面実装技術(SMT)生産ラインに含まれる他のモジュールを制御するように動作可能であってもよい。流れ制御手段51が、制御システム55の制御下で、クリーニングヘッド3において生成される吸引力を調整するために提供される。
【0018】
この実施形態では、流れ制御手段51は、高い応答性の出力パワー変化を提供するように真空源50を制御することができる。特に簡単な構成において、真空源50および流れ制御手段51は、印刷スクリーンにわたってクリーニングヘッド3が移動する間に、異なる真空または減圧を生成するように直接動作可能な、応答性のある可変ポンプとして一体化され、流れ制御手段51は、吸引力を調整するために可変ポンプを制御するように構成される。代替的に、流れ制御手段51は、ポンプ出力を変化させるために、ポンプに対する空気圧を制御することができる。しかし、流れ制御手段51は、様々な異なる方法で実施することができ、例えば、流れ制御手段51は、吸引力を変化させるために、真空源50とクリーニングヘッド3との間のフローライン52に位置する流れ調整器を備えることができる。特定の例として、このような流れ調整器は、少なくともいくらかの空気の流れをフローライン52からそらして、例えば、抜け口などに向ける流れダイバータを備えることができる。代替的に、流れ調整器は、フローライン52における空気の流れを制限または絞るための流れ制限器を備えることができる。
【0019】
図3は、
図2のクリーニングシステムを用いて印刷スクリーンをクリーニングする方法を記載したフローチャートを示す。
【0020】
図3で示されるように、ステップ60で、印刷およびクリーニング動作に対する初期の動作条件が選択される。特に、真空源50に対する動作条件は、印刷スクリーンを横切るクリーニングヘッド3の初期通過に対して選択される。例えば、可変ポンプが真空源50として使用される場合、初期の動作パワー(通常、0Vから10Vの間の動作電圧により生成される)を選択することができ、有利には、これは、次のステップを通して一定に保たれて、クリーニングヘッド3において、印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力を創出する。
【0021】
ステップ61において、クリーニングヘッド3は、クリーニング行程において、印刷スクリーンの表面にわたって通過し、フローライン52内の瞬間的な空気の流れを示すセンサ53からの規則的なまたは連続的な読取りが、クリーニング行程中に行われる。このクリーニング行程は、部分的に閉塞された開口部に起因して取得される誤った読取りを回避するために、印刷スクリーンが清浄な間に行われると有利であり得る。この初期のクリーニング行程は、何らかの印刷動作が開始する前に実施されると有利である。
【0022】
ステップ62では、通過する間のフローライン52内の空気流/吸引力プロファイルを決定するために、読取りが使用される(吸引力は、空気流の関数であるため、これらの2つのパラメータは、同等のものとみなされ得ることに留意されたい)。ポンプ動作パワーは、通過中一定に保たれるので、空気流プロファイルにおける何らかの変化は、印刷スクリーンの開口部パターンにより生成されることになり、以下でより詳細に述べるものとする。測定は、手動でセンサ53により示される、かつ/または制御システム55に渡される。
【0023】
ステップ63で、真空源50に対する最適な動作プロファイルが、センサ53の出力から、かつ/または制御システム55により決定される。通常、印刷スクリーンにわたって一定な空気流を保証することが目的であり、したがって、最適な動作プロファイルは、このような一定な空気流を生成するものである。再度、これは、以下でより詳細に述べられる。
【0024】
ステップ64で、実際の印刷動作中に、さらなるクリーニング行程を実施するとき、最適な動作プロファイルが使用され、したがって、印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力は、印刷スクリーンの開口部のパターンに応じて、制御システム55により制御される。
【0025】
図4は、例えば、
図3のステップ61で実施される第1の通過においてなど、一定の出力速度で動作するポンプ(図示せず)などの真空源50により印刷スクリーンPSに加えられる典型的な圧力変化を概略的に示す。示されたプロファイルは、
図2のクリーニングシステムを用いて構成することができる。図の上部には、印刷スクリーンPSの一連の画像があり、各画像は、印刷スクリーンPSの下で、移送方向Xにクリーニングヘッド3の移動経路に沿って、異なる場所で得られものである。示された印刷スクリーンPSは、比較的簡単なパターンの開口部58を有し、5個の開口部58が示されている。これらの画像のすぐ下のグラフは、クリーニングヘッド3が移送方向Xに、印刷スクリーンPSの下を通過するクリーニング行程を実施するときの、印刷スクリーンPSに加えられる圧力Pを示しており、それは、センサ53によりフローライン52で測定可能な流量から容易に決定することができる。最後のグラフは、クリーニングヘッド3が移送方向Xに、印刷スクリーンPSの下を通過するときのクリーニング行程中に使用される出力ポンプ速度を示しており、この例では、出力ポンプ速度は、一定に設定される。
【0026】
クリーニングヘッド3が、開口部が何もない印刷スクリーンPSの領域の下にあるとき、印刷スクリーンPSに加えられる圧力は最大になることが分かる。クリーニングヘッド3が、開口部が存在する印刷スクリーンPSの領域の下にあるとき圧力は低下し、圧力は、その領域における合計の開口部面積(すなわち、上に載っている開口部のそれぞれの面積の総計)とは逆に変化する。
【0027】
典型的な場合であるが、クリーニングヘッド3が、クリーニング行程中に、移送方向Xに沿って一定の速度で移動する場合、x軸として時間tを使用する同様のプロットが、示されたものと同様に現れるはずである。
【0028】
図5は、
図2のクリーニングシステムを用いて達成可能な、最適化された出力速度で動作するポンプにより印刷スクリーンに加えられる圧力を概略的に示しており、示された画像およびグラフのタイプは、
図4のものと同一である。
【0029】
前に述べたように、クリーニングヘッド3の移動範囲の全体を通して、印刷スクリーンPSに一定の圧力を加えることは、多くの場合に最適であることが分かってきている。
図5で示されるように、これは、
図4で得られた圧力プロファイルの実質的に逆であるプロファイルに従うようにポンプ速度を制御することによって達成することができる。
【0030】
代替的な実施形態が
図6で示される。前の実施形態と同様に、これは、前に述べた第1のモードによる動作を可能にし、したがって、比較的応答性のある真空源が好ましいが、この場合センサを必要としない。ステップ70で、真空源に対する最適な動作プロファイルが決定される。これは、使用される印刷スクリーンに対して決定されたガーバー(Gerber)タイプのデータの、制御システムによる解析を含む。「ガーバータイプ」という用語は、本明細書で使用される場合、ガーバーデータを意味し、それは、現在、印刷スクリーン開口部パターンを特徴付けるための業界標準データ構造であり、開口部パターンに関するこのような情報を提供する任意の等価なデータである。特にここでは、印刷スクリーンの表面にわたる通過中に、クリーニングヘッドの上を覆う印刷スクリーンの領域に存在することになる瞬間的な開口部面積または密度を評価するために、ガーバーデータ71が解析される。概して、クリーニングヘッドの上を覆う領域に大きな開口部面積または密度が存在する場合、空気をフローライン内に流すことは容易であり、したがって、フローライン内の流量を増加させる。通常、印刷スクリーンにわたって一定な空気流を保証することが目的であり、したがって、最適な動作プロファイルは、このような一定な空気流を生成するものである。したがって、印刷スクリーンの表面の領域に加えられる吸引力は、その領域内の開口部の密度または面積に比例するように構成され得る。
【0031】
ステップ72で、実際の印刷動作中に、さらなるクリーニング動作を実施するとき、最適な動作プロファイルが使用され、したがって、印刷スクリーンの表面に加えられる吸引力は、印刷スクリーンの開口部のパターンに応じて、制御システムにより制御される。
【0032】
代替的な実施形態が
図7で示される。前述の実施形態とは異なり、この方法は、前に述べた第2のモードによる動作を可能にし、したがって、使用される真空源は、特に応答性である必要がない。加えて、この実施形態に対しては、センサを必要とせず、したがって、この方法は、任意選択で費用のかからない機器を用いて利用することができる。第2のモードでは、最適化されたプロファイルを提供するために、クリーニング行程の全体を通して吸引力を調整するのではなく、印刷スクリーンに対して単一の最適な吸引力が決定される。
【0033】
以下のプロセスの全体を通して、ワークピースの印刷は、休止することなく継続されることを理解されたい。ステップ80で、初期の吸引力が選択される。簡単な例として、可変ポンプが真空源として使用される場合、例えば、1Vから10Vの範囲の動作電圧で動作することができ、動作電圧は、例えば、1V、2V、3V、・・・10Vの増分の整数値に調整可能であり、生成される吸引力は、この動作電圧に応じたものである。便宜上、初期の動作電圧は、例えば、10Vなど、この範囲の極端に選択することができる。ステップ81で、クリーニング行程が、この初期の動作電圧で動作する可変ポンプを用いて実施される。クリーニング行程の後に印刷される次のワークピースは、次いで、本質的に当技術分野でよく知られたはんだペースト検査(SPI)機など、外部の検査ステーションによって解析され得る。SPI機は、ワークピース上に印刷された成膜を光学的に検査し、品質に対してこれらを評価するように動作可能である。82で、印刷された成膜の品質を示すSPIデータの形の印刷パラメータが取得され、これは、ステップ83で解析されて、クリーニング行程の有効性を決定する。ステップ84では、最適な吸引力が識別されたかどうかに関する決定が行われる。この決定は、例えば、以下のことを考慮することによって行うことができる、すなわち、
- 決定されたクリーニングの有効性は、動作電圧のさらなる変更を不要にする十分な高い規格で行われたか、
- 最適な電圧を識別できるように、各クリーニング行程中に、すべての可能な動作電圧が試験されたか、
である。
【0034】
84で、最適な吸引力が識別されない場合、真空源は、異なるレベルに調整されて(ステップ85で)、プロセスは81に戻る。
【0035】
84で最適な吸引力が識別された場合、ステップ86で、識別された最適な動作プロファイルを用いて、今後のクリーニング動作が実施される。クリーニング性能は、前と同様に、SPIデータを用いて定期的に検査することができ、また必要に応じて真空源が調整される。
【0036】
第1の動作モードと第2の動作モードとの諸態様を組み合わせることも可能である。このような例では、フローライン内の瞬間的な空気の流れを示す測定データは、上記の第1の実施形態を参照して述べられたセンサを用いて測定することができ、動作プロファイルは、この測定データから決定され、また印刷されたワークピースに対するSPIデータが再度解析されて、使用されたプロファイルが受入れ可能なクリーニング性能を提供するかどうかを確認し、必要に応じて、代替の動作プロファイルのさらなる試験を可能にする。
【0037】
前述の実施形態は、例示的なものに過ぎないが、本発明の範囲に含まれる他の可能性および代替形態は、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0038】
1 印刷機
2 スクリーン下側クリーニング装置
3 クリーニングヘッド
5 供給ユニット
7 クリーニングシート
8 発振器ユニット
9 位置決めユニット
11 支持体
12 キャリッジ
15 ワイパー
17 接触要素
17a 乾燥セクション
17b 真空セクション
17c 湿潤セクション
21 第1の真空開口部
23 第2の真空開口部
25 支持プラットフォーム
27 真空マニホールド
28 真空源
31 流体供給部
33 流体供給部材
35 流体送達出口
37 流体供給マニホールド
38 流体源
41 供給ロール
43 巻取りロール
45 駆動モータ
47 抵抗機構
48 フローライン
49 クリーニングシステム
50 真空源
51 流れ制御手段
52 フローライン
53 センサ
54 印刷機
55 制御システム
56 駆動手段
58 開口部
60~82 フローチャートのステップ
X 移送方向
PS 印刷スクリーン
【外国語明細書】