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▶ ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000995
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】バッテリパック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/284 20210101AFI20231226BHJP
   H01M 50/211 20210101ALI20231226BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20231226BHJP
   H01M 10/658 20140101ALI20231226BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20231226BHJP
   H01M 50/242 20210101ALI20231226BHJP
   H01M 50/289 20210101ALI20231226BHJP
   H01M 50/296 20210101ALI20231226BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/211
H01M10/613
H01M10/658
H01M50/204 401H
H01M50/242
H01M50/289
H01M50/204 401D
H01M50/296
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023100887
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】63/354,032
(32)【優先日】2022-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/430,520
(32)【優先日】2022-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598073073
【氏名又は名称】ミルウォーキー エレクトリック ツール コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット アール. シルハ
(72)【発明者】
【氏名】カルメン ジェイ. カスタニョス
(72)【発明者】
【氏名】ザケリー メイヤー
(72)【発明者】
【氏名】エリ エム. ジデル
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ディー. クエンザー
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK02
5H040AA28
5H040AA32
5H040AA37
5H040AT04
5H040NN00
(57)【要約】
【課題】 バッテリパックを提供する。
【解決手段】 バッテリパックは、電気デバイスに結合されるように構成される。バッテリパックは、バッテリセルと、金属ベース層を有するプリント回路基板(PCB)と、バッテリセルとPCBとの間に配置された中間層であって、第1の材料で形成された第1のセクション及び第2の材料で形成された第2のセクションを含み、第1の材料は、第2の材料よりも低い熱伝導率を有する、中間層とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックであって、
バッテリセルと、
前記バッテリセルに電気的に接続された第1のプリント回路基板(PCB)であって、アルミニウムベース層を含む第1のプリント回路基板(PCB)と、
前記第1のPCBに電気的に接続された第2のPCBであって、前記第1のPCBのうち、前記バッテリセルの側と反対の側に配置される第2のPCBと
を含むバッテリパック。
【請求項2】
前記PCBと前記バッテリセルとの間に少なくとも部分的に配置された断熱層を更に含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項3】
前記第2のPCBは、アルミニウムを含まず、前記バッテリセルは、パウチセルである、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項4】
電流を出力する端子であって、前記第2のPCBに取り付けられる端子を更に含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項5】
前記バッテリセルは、複数のバッテリセルの1つであり、前記バッテリパックの内側ハウジングは、前記複数のバッテリセルを収容し、前記第1のPCBは、前記内側ハウジングの3つの壁に接触する、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項6】
圧縮性ライニングは、前記内側ハウジングの前記3つの壁のそれぞれに付着され、且つ前記複数のバッテリセルに接触する、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項7】
ギャップパッドは、前記複数のバッテリセルのそれぞれの間に配置され、前記ギャップパッドは、前記隣接するバッテリセルのそれぞれに付着される、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項8】
上部パッドは、前記複数のバッテリセルのうちの最上部のバッテリセルに付着される、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項9】
前記第1のPCB、前記第2のPCB及び前記複数のバッテリセルを覆うコーティング材料を更に含み、前記コーティング材料は、ポリマーを含む、請求項5に記載のバッテリパック。
【請求項10】
前記第2のPCBは、前記第1のPCBに取り付けられ、前記第2のPCBは、複数のポストによって前記第1のPCBからオフセットされ、及び前記複数のポストのそれぞれは、エポキシを用いて前記第1のPCBに付着される、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項11】
前記第1のPCBに電気的に接続された正極セルストラップであって、前記第1のPCBの前記アルミニウムベース層は、前記正極セルストラップからの熱を放散する、正極セルストラップと、
前記第1のPCBに電気的に接続された負極セルストラップであって、前記第1のPCBの前記アルミニウムベース層は、前記負極セルストラップからの熱を放散する、負極セルストラップと
を更に含む、請求項1に記載のバッテリパック。
【請求項12】
バッテリパックであって、
バッテリセルと、
金属ベース層を有するプリント回路基板(PCB)と、
前記バッテリセルと前記PCBとの間に配置された中間層であって、第1の材料で形成された第1のセクション及び第2の材料で形成された第2のセクションを含み、前記第1の材料は、前記第2の材料よりも低い熱伝導率を有する、中間層と
を含むバッテリパック。
【請求項13】
前記中間層の前記第1のセクションから前記PCBの反対側で前記PCBに結合された検出抵抗器を更に含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項14】
前記中間層の前記第1のセクションから前記PCBの反対側で前記PCBに結合された電界効果トランジスタを更に含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項15】
前記中間層の前記第2のセクションから前記PCBの反対側で前記PCBに結合されたサーミスタであって、前記中間層の前記第2のセクションから前記PCBの反対側で前記PCBに結合された複数のサーミスタの1つであるサーミスタを更に含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項16】
前記PCBは、第1の表面と、前記第1の表面の反対側の第2の表面とを更に含み、前記第2の表面は、前記第1の表面よりも前記バッテリセルに近く、前記中間層の前記第1のセクションは、前記PCBの前記第2の表面の半分超を覆い、前記中間層の前記第1のセクションは、前記PCBの前記第2の表面の3分の2を覆う、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項17】
前記PCBは、内部部分を形成する第1の表面と、周縁部分を形成する第2の表面とを更に含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項18】
前記金属ベース層は、80ワット毎メートル毎ケルビン(W/mK)~260W/mKの範囲の熱伝導率を有する、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項19】
前記金属ベース層は、アルミニウムを含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【請求項20】
前記中間層の前記第1のセクションから前記PCBの反対側で前記PCBに結合された正極セルストラップ及び負極セルストラップを更に含む、請求項12に記載のバッテリパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリパックに関し、より詳細には、バッテリパックのためのプリント回路基板(PCB)に関する。
【背景技術】
【0002】
動力工具(例えば、ドリル、ドライバ、鋸、釘打ち機、グラインダなど)、屋外工具(例えば、刈り込み用道具、ポールソー、ブロワなど)などのコードレス工具及び他の電気デバイス(例えば、モータ駆動デバイス、非モータ駆動デバイス、充電器など)(本明細書では一般に複数又は1つの「デバイス」と呼ばれる)は、充電式バッテリパックによって電力供給される。バッテリパックは、充電するため又は他のデバイスで使用するためにデバイスから取り外され得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本開示は、バッテリセルと、第1のPCBと、第2のPCBとを含むバッテリパックを提供する。第1のPCBは、バッテリセルに電気的に接続される。第1のPCBは、アルミニウムベース層を含む。第2のPCBは、第1のPCBに電気的に接続される。第2のPCBは、第1のPCBのうち、バッテリセルの側と反対の側に配置される。
【0004】
別の態様では、本開示は、バッテリセルと、PCBと、中間層とを含むバッテリパックを提供する。PCBは、金属ベース層を有する。中間層は、バッテリセルとPCBとの間に配置される。中間層は、第1の材料で形成された第1のセクションと、第2の材料で形成された第2のセクションとを含む。第1の材料は、第2の材料よりも低い熱伝導率を有する。
【0005】
本発明の他の独立態様は、詳細な説明及び添付の図面を検討することによって明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本開示の一実施形態によるバッテリパックの斜視図である。
図2A図1のバッテリパックの内部の斜視図である。
図2B図1のバッテリパックの内部の別の実施形態の斜視図である。
図3】3-3線で切断した図1のバッテリパックの斜視図である。
図4A図1のバッテリパックの内部ハウジングの斜視図である。
図4B図1のバッテリパックの内部ハウジングの別の実施形態の斜視図である。
図4C図1のバッテリパックの、エンドプレートを含む内部ハウジングの斜視図である。
図5A図1のバッテリパックのパウチセルの斜視図である。
図5B図1のバッテリパックのパウチセルの積層体の斜視図である。
図6図1のバッテリパックのPCBの概略図である。
図7A図1のバッテリパックのPCBの斜視図である。
図7B図1のバッテリパックの第1のPCB及び第2のPCBの一実施形態の斜視図である。
図8A図1のバッテリパックのPCBの上面図である。
図8B図1のバッテリパックのPCBの別の実施形態の上面図である。
図9図2Aのバッテリパックの内部の一部の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載されるか又は以下の図面に示される構造の細部及び構成要素の配置に本発明の用途を限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行することが可能である。
【0008】
図1は、バッテリパック10を示す。バッテリパックは、動力工具などのデバイスに電流を供給し得る出力ポート18を備えた外部ハウジング14を含む。バッテリパック10は、電流を発生させるための複数のバッテリセル22(図5A図5B)を含む。図示の実施形態では、バッテリセル22(図5A図5B)は、パウチセルである。他の実施形態では、バッテリパック10は、リチウムイオンバッテリセル、ニッケルカドミウムバッテリセル又は別の同様のバッテリセルを含み得る。
【0009】
図2及び図3に示すように、バッテリパック10は、複数のパウチセル22、第1のPCB30、第2のPCB34及び端子38を収容する内部ハウジング26(コアボックスとも呼ばれる)を含む。図4Aを参照すると、図示の実施形態では、内部ハウジング26は、少なくとも1つの開口部42を部分的に画定する3つの壁26a、26b、26cを含む。更に図2Aを参照すると、第1のPCB30は、内部ハウジング26の3つの壁26a、26b、26cに接触する。換言すれば、第1のPCB30は、第1のPCB30が内部ハウジング26の表面を形成するように、少なくとも1つの開口部42を実質的に覆う。再び図2及び図3を参照すると、第2のPCB34は、第1のPCB30のうち、パウチセル22の側と反対の側に配置される。別の言い方をすれば、第1のPCB30は、パウチセル22と第2のPCB34との間に配置される。端子38は、第2のPCB34に取り付けられ、出力ポート18(図1)からの電流をデバイスに出力するために出力ポート18(図1)と整列するように配置される。
【0010】
図4Bを参照すると、図示の実施形態では、内部ハウジング26は、同様に、少なくとも1つの開口部42を部分的に画定する3つの壁26a、26b、26cを含む。図示の実施形態では、圧縮性ライニング28は、3つの壁26a、26b、26cのそれぞれの内面及び内部ハウジング26の底部部分26eの上面に(例えば、接着剤を用いて)付着される。いくつかの実施形態では、内部ハウジング26は、少なくとも1つの開口部42を画定する第4の壁としてエンドプレート26eを含む(図4Cを参照されたい)。いくつかの実施形態では、圧縮性ライニング28は、エンドプレート26eの内面及び/又は一番下のパウチセル22a(図5B)に付着される。いくつかの実施形態では、圧縮性ライニング28は、発泡体を含む。いくつかの実施形態では、圧縮性ライニング28は、電解液漏れを緩和し、衝撃を受けるシナリオにおいてパウチのシームを保護する。いくつかの実施形態では、圧縮性ライニング28は、上面及び底面の両方に接着剤を含み、接着剤は、圧縮性ライニング28の両面、壁26a、26b、26c、底部部分26e又はエンドプレート26e及びパウチセル22a~22eの積層体(図5B)に付着する。
【0011】
図5Aを参照すると、パウチセル22は、複数のパウチセル22の1つであるが、図5Aには1つのパウチセル22のみが示されている。図示の実施形態では、バッテリパック10(図1)は、5つのパウチセル22を含む。他の実施形態では、バッテリパック10(図1)は、6つ以上のパウチセル22を含み得る。更なる実施形態では、バッテリパック10(図1)は、5つ未満のパウチセル22を含み得る。図5Aに示すように、各パウチセル22は、本体46と、第1の面50と、第2の面54と、正極セルタブ58と、負極セルタブ62とを含む。正極セルタブ58及び負極セルタブ62は、本体46から離れるようにパウチセル22の第1の面50から延びる。
【0012】
再び図2及び図3を参照すると、5つのパウチセル22が内部ハウジング26内で積層されて配置される。第1のPCB30から最も遠くに配置された第1のパウチセル22aは、第1のパウチセル22aの第1の面50(図5A)が第1のPCB30に面するように向けられる。積層体における次のパウチセル22である第2のパウチセル22bは、第2のパウチセル22bの第1の面50(図5A)が第1のパウチセル22aに面し、第2のパウチセル22bの第2の面54(図5A)が第1のPCB30に面するように向けられる。第3のパウチセル22cは、第3のパウチセル22cの第1の面50(図5A)が第1のPCB30に面するように向けられ、第4のパウチセル22dは、第4のパウチセル22dの第1の面50(図5A)が第1のPCB30と反対を向くように向けられ、第5のパウチセル22eは、第5のパウチセル22eの第1の面50(図5A)が第1のPCB30に面するように向けられる。このように、複数のパウチセル22は、1つおきのパウチセル22の第1の面50(図5A)が第1のPCB30に面するように向きを交互に入れかえて内部ハウジング26に収容される。
【0013】
図5Bを参照すると、図示の実施形態では、接着ギャップパッド24は、パウチセル22a~22eの積層体のそれぞれの間に含まれる。いくつかの実施形態では、ギャップパッド24の上面及び底面は、対応するパウチセル22のそれぞれに付着する接着剤を含む。いくつかの実施形態では、ギャップパッド24は、発泡体を含む。図示の実施形態では、上部パッド25は、最上部のパウチセル22e上に配置される。いくつかの実施形態では、上部パッド25は、最上部のパウチセル22eに取り付けられる面に接着剤を含む。いくつかの実施形態では、上部パッド25は、第1のPCB30(図示せず)の底面に付着する上面に接着剤を含む。いくつかの実施形態では、接着シート(図示せず)は、一番下のパウチセル22aの底部に取り付けられる。いくつかの実施形態では、接着シートは、内部ハウジング26の底部部分26e(図示せず)又は底部部分26eに取り付けられた圧縮性ライニング28(図示せず)に直接取り付けられる。接着ギャップパッド24、上部パッド25及び接着シートは、パウチセル22が膨らんだり広がったりすることを防止する。
【0014】
引き続き図2及び図3を参照すると、内部ハウジング26内のパウチセル22a~22eの積層体は、セルタブ66の第1の列及びセルタブ70の第2の列を形成する。パウチセル22a、22c、22eの第1の面50(図5A)が第1のPCB30に面する状態で向けられたパウチセル22a、22c、22eでは、正極セルタブ58は、第1の列66に配置され、負極セルタブ62は、第2の列70に配置される。パウチセル22b、22dの第2の面54(図5A)が第1のPCB30に面する状態で向けられたパウチセル22b、22dでは、負極セルタブ62は、第1の列66に配置され、正極セルタブ58は、第2の列70に配置される。このように、第1の列66は、3つの正極セルタブ58と2つの負極セルタブ62とを含み、第2の列70は、3つの負極セルタブ62と2つの正極セルタブ58とを含む。第1の列66は、正味の正電荷を有し、第2の列70は、正味の負電荷を有する。
【0015】
バッテリパック10は、正極セルストラップ78と、負極セルストラップ82と、複数の接続パッド86(ただし、図2Aには接続パッド86が1つのみ示されている)と、複数の電圧タップ90と、フレックス回路94とを更に含む。正極セルストラップ78は、セルタブ66の第1の列に電気的に接続され、したがって正味の正電荷を有する。負極セルストラップ82は、セルタブ70の第2の列に電気的に接続され、したがって正味の負電荷を有する。正極セルストラップ78は、第1の接続パッド86a(図7A)に溶接されて、正極セルストラップ78と第1のPCB30との間に電気的且つ熱的接続を提供する。負極セルストラップ82は、第2の接続パッド86b(図7A)に溶接されて、負極セルストラップ82と第1のPCB30との間に電気的且つ熱的接続を提供する。セルタブ58、62間の複数の電圧タップ90は、パウチセル22a~22eの電圧出力を測定する。電圧タップ90は、電圧測定値をフレックス回路94に中継する。その後、フレックス回路94は、電圧測定値を第1のPCB30に差し向ける。いくつかの実施形態では、フレックス回路94は、接着剤の量を減らし、端子接点を塞がないために、対応するロックコネクタ96(図2Bを参照されたい)を介して第1のPCB30及び/又は第2のPCB34に接続される。
【0016】
次に図6を参照すると、第1のPCB30(図2A)は、少なくとも金属ベース層98、誘電体層102及び回路銅層106で形成される。図示の実施形態では、金属ベース層98は、アルミニウムを含む。誘電体層102は、金属ベース層98と回路銅層106との間に配置される。誘電体層102は、熱伝導性且つ電気絶縁性の材料を含む。回路銅層106は、後述するように、第1のPCB30(図2A)の表面において第1のPCB30(図2A)に取り付けられたコンポーネント間を電気的に接続する。図7Aを参照すると、第1のPCB30は、第1の表面108と、第1の表面108の反対側の第2の表面110とを更に含む。第2の表面110は、第1の表面108よりもパウチセル22a~22e(図3)に近い。
【0017】
再び図6を参照すると、図示の実施形態では、金属ベース層98は、少なくとも80ワット毎メートル毎ケルビン(W/mK)の熱伝導率を有する金属で形成され得る。他の実施形態では、金属ベース層98は、最大260W/mKの熱伝導率を有する金属で形成され得る。更なる実施形態では、金属ベース層98は、80W/m~260W/mKの範囲の熱伝導率を有する金属で形成され得る。図示の実施形態では、金属ベース層98は、最大25%のアルミニウムで形成され得る。他の実施形態では、金属ベース層98は、最大50%のアルミニウムで形成され得る。更なる実施形態では、金属ベース層98は、最大75%のアルミニウムで形成され得る。より更なる実施形態では、金属ベース層98は、完全にアルミニウムで形成され得る。図示の実施形態では、金属ベース層98は、アルミニウム合金6061、アルミニウム合金3003、アルミニウム合金1100又は別の同様のアルミニウム合金などのアルミニウム合金で形成され得る。
【0018】
図7Aに示すように、第1のPCB30は、その上に取り付けられた複数の電気コンポーネントを含む。複数の電気コンポーネントは、少なくとも、充電電界効果トランジスタ112と、放電電界効果トランジスタ116と、検出抵抗器120とを含む。充電電界効果トランジスタ112及び放電電界効果トランジスタ116は、第1のPCB30を通る電流の流れを制御及び方向付けるように動作可能である。具体的には、充電電界効果トランジスタ112は、第1のPCB30の銅回路層106を流れる電流の流れのレベル及び方向を制御し得る。充電電界効果トランジスタ112は、バッテリパック10が充電される際の電流の流れを制御する。第1のPCB30は、複数の充電電界効果トランジスタ112を含み得る。放電電界効果トランジスタ116も、第1のPCB30の銅回路層106を流れる電流の流れのレベル及び方向を制御し得る。放電電界効果トランジスタ116は、バッテリパック10から(例えば、動力工具に)放電される電流の流れを制御する。第1のPCB30は、複数の放電電界効果トランジスタ116を含み得る。検出抵抗器120は、充電電界効果トランジスタ112及び放電電界効果トランジスタ116によって制御される際の第1のPCB30を通る電流レベルを検出及び測定するために使用され得る。第1のPCB30は、その上に取り付けられた少なくとも1つのサーミスタ124を更に含む。より具体的には、第1のPCB30は、複数のサーミスタ124を含む。サーミスタ124は、バッテリパック10の温度を検出及び測定するように構成される。複数のサーミスタ124は、1つのサーミスタ124が故障した場合、バッテリパック10(図3)がバックアップサーミスタ124を有するようにバッテリパック10の耐故障性を可能にする。
【0019】
図8A図8B及び図9を参照すると、バッテリパック10(図3)は、パウチセル22と第1のPCB30との間に配置される中間層128を更に含む。中間層128は、第1の材料で形成された第1のセクション132と、第2の材料で形成された第2のセクション136とを含む。第1の材料は、第2の材料よりも低い熱伝導率を有する。そのため、第1の材料は、断熱材料(例えば、グラスファイバ、ポリウレタンフォームなど)であり、第2の材料は、熱伝導性材料(例えば、グラファイト、亜鉛など)である。したがって、パウチセル22が発生する熱は、第1のPCB30のうち、中間層128の第1のセクション132に重なるか又はそれを覆う領域で第1のPCB30から断熱され得る。追加的に、パウチセル22が発生する熱は、第1のPCB30のうち、中間層128の第2のセクション136に重なるか又はそれを覆う領域で第1のPCB30に熱伝導され得る。中間層128の第1のセクション132は、第1のPCB30の第2の表面110の半分超を覆う。図8Aに示す実施形態では、中間層128の第1のセクション132は、第1のPCB30の第2の表面110の約2/3を覆う。他の実施形態では、中間層128の第1のセクション132は、第1のPCB30の第2の表面110の2/3未満と重なり得る。更なる実施形態では、中間層128の第1のセクション132は、第1のPCB30の第2の表面110の2/3超と重なり得る。図8Bに示す実施形態では、中間層128の第1のセクション132は、第1のPCB30の内部部分を形成し、中間層128の第2のセクション136は、第1のPCB30の周縁部分を形成する。いくつかの実施形態では、第1のセクション132は、内側圧縮性パッドであり、第2のセクション136は、外側熱伝導性周縁部である。図8Bに示す実施形態により、セル間の中央が圧縮され得る(セルは中央でより多く膨らむ)が、依然として縁部に沿って熱が伝達され得る。いくつかの実施形態では、内側圧縮性パッドは、重量削減のために取り外される。
【0020】
引き続き図8A図8B及び図9を参照すると、第1のPCB30上に取り付けられている電気コンポーネント(例えば、充電電界効果トランジスタ112、放電電界効果トランジスタ116及び検出抵抗器120)、正極セルストラップ78(図2A)及び負極セルストラップ82(図2A)は、バッテリパック10の使用時に熱を発生又は伝導し得る。そのため、第1のPCB30の金属ベース層98(図6)は、バッテリパック10(図1)のうち、熱を発生するあらゆる構成要素のためのヒートシンクを提供する。換言すれば、金属ベース層98(図6)は、電気コンポーネント、正極セルストラップ78(図2A)及び負極セルストラップ82(図2A)からの熱を放散して、バッテリパック10(図1)の過熱を抑制する。電気コンポーネント(例えば、充電電界効果トランジスタ112、放電電界効果トランジスタ116及び検出抵抗器120)のそれぞれは、中間層128の第1のセクション132から第1のPCB30の反対側で第1のPCB30に結合される。追加的に、正極セルストラップ78(図2A)及び負極セルストラップ82(図2A)の両方は、中間層128の第1のセクション132から第1のPCB30の反対側で第1のPCB30に結合される。このように、中間層128の第1のセクション132は、パウチセル22と第1のPCB30との間の熱伝導を抑制することにより、電気コンポーネント及びセルストラップ78、82(図2A)の過熱を更に抑制する。従来のバッテリパックは、アルミニウムPCBを含まないため、電気コンポーネント及びセルストラップ78、82(図2A)から熱を引き抜くために更なるヒートシンクを必要とする。このように、第1のPCB30は、バッテリパック10(図1)のサイズの縮小を可能にする。
【0021】
少なくとも1つのサーミスタ124は、中間層128の第2のセクション136から第1のPCB30の反対側で第1のPCB30に結合される。中間層128の第2のセクション136は、パウチセル22と第1のPCB30との間の熱伝導を可能にする。したがって、第1のPCB30は、第1のPCB30のうち、第1のPCB30の第2のセクション136を覆うか又はそれに重なる領域でパウチセル22と実質的に同じ温度を有する。そのため、少なくとも1つのサーミスタ124は、バッテリパック10(図1)の真の温度の正確な読み値を取得するために、第1のPCB30の第1の表面108上に直接配置され得る。従来のバッテリパックは、第1のPCB30ほどの熱伝導性がなく、そのためにバッテリセルの温度と同様の温度に達しないPCBを有する。したがって、従来のバッテリパックのPCB上に配置されたサーミスタ124は、上記従来のバッテリパックの真の温度を不適切に検出及び測定する。
【0022】
再び図2及び図3を参照すると、第2のPCB34は、第1のPCB30に取り付けられる。具体的には、第2のPCB34は、第1のPCB30の反対側で第1のPCB30に取り付けられる。そのため、第1のPCB30は、パウチセル22と第2のPCB34との間に配置される。バッテリパック10は、第1のPCB30に第2のPCB34を取り付けるための複数のポスト140を含む。複数のポスト140は、第1のPCB30と第2のPCB34との間に空間が画定されるように、第1のPCB30から第2のPCB34をオフセットさせる。ポスト1401つは、第1のPCB30から第2のPCB34及び端子38を通して延び、それにより第2のPCB34に端子38を固定する。図7Bに示す実施形態では、複数のポスト140の少なくとも1つは、エポキシ142を用いて第1のPCB30及び第2のPCB34に取り付けられる。
【0023】
いくつかの実施形態では、第2のPCB34は、FR-4 PCBである。そのため、第2のPCB34は、ガラスエポキシパネルの各面にラミネート又は表面溶接され得る銅箔の薄層を含む。図示の実施形態では、第2のPCB34は、アルミニウムを含まない。他の実施形態では、第2のPCB34は、いくらかのアルミニウムを含み得る。より更なる実施形態では、第2のPCB34は、第1のPCB30と同一に形成され得る。
【0024】
引き続き図2及び図3を参照すると、端子38は、第2のPCB34に取り付けられ、第1のPCB30及び第2のPCB34の両方に電気的に接続される。正極セルストラップ78及び負極セルストラップ82によって形成される電流ループは、端子38を通過する。そのため、端子38は、正極端子38aと負極端子38bとを含む。端子38は、バッテリパック10から動力工具などのデバイスに電流を出力し得る。正極端子38a及び負極端子38bの両方とも、第1のPCB30及び第2のPCB34に電気的に接続される。端子38は、第1の接続パッド86a及び第3の接続パッド86cにおいて第1のPCB30に電気的且つ熱的に接続する。より具体的には、正極端子38aは、第1の接続パッド86aに溶接又ははんだ付けすることにより、第1のPCB30に電気的且つ熱的に接続する。負極端子38bは、第3の接続パッド86cに溶接又ははんだ付けすることにより、第1のPCB30に電気的且つ熱的に接続する。端子38a、38bのアルミニウムの第1のPCB30への熱接続は、端子38a、38bにヒートシンクを提供し、したがって端子38a、38bが動作不能又は潜在的に損傷を与える温度まで上昇するのを抑制する。いくつかの実施形態では、端子38は、第2のPCB34にはんだ付けされる。いくつかの実施形態では、端子38は、第1のPCB30にレーザ溶接されて、より強力で熱的に堅牢な接続を提供する。
【0025】
パウチセル22a~22eの積層体及び内部全体を含む、バッテリパック10の内部の説明された実施形態の様々な構成要素は、ポリマーなどのコーティング材料を噴霧され得る。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、バッテリパック10の内部の様々な構成要素に噴霧される前に加熱される。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、噴霧後の発熱反応で乾燥される。いくつかの実施形態では、コーティング材料により、パウチセル22a~22eの積層体が使用時に拡大及び/又は収縮することが可能になる。いくつかの実施形態では、コーティング材料は、パウチセル22a~22eの積層体の完全性を維持するのに役立ち(すなわちパウチセルを一体に保持するのに役立ち)、それによりセルが膨張し得る程度を制限する。
【0026】
本開示を、特定の好適な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、記載されている本開示の1つ又は複数の独立態様の範囲及び趣旨内に変形形態及び修正形態が存在する。
【0027】
例示的な構成
本開示の様々な態様は、以下の例示的な構成のいずれか1つ以上を取り得る。
【0028】
EEE(1)バッテリパックであって、バッテリセルと、バッテリセルに電気的に接続された第1のPCBであって、アルミニウムベース層を含む、第1のPCBと、第1のPCBに電気的に接続された第2のPCBであって、第1のPCBのうち、バッテリセルの側と反対の側に配置される第2のPCBとを含むバッテリパック。
【0029】
EEE(2)PCBとバッテリセルとの間に少なくとも部分的に配置された断熱層を更に含む、EEE(1)に記載のバッテリパック。
【0030】
EEE(3)第2のPCBは、アルミニウムを含まない、EEE(1)又はEEE(2)に記載のバッテリパック。
【0031】
EEE(4)バッテリセルは、パウチセルである、EEE(1)~EEE(3)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0032】
EEE(5)電流を出力する端子であって、第2のPCBに取り付けられる端子を更に含む、EEE(1)~EEE(4)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0033】
EEE(6)バッテリセルは、複数のバッテリセルの1つである、EEE(1)~EEE(5)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0034】
EEE(7)バッテリパックの内側ハウジングは、複数のバッテリセルを収容する、EEE(1)~EEE(6)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0035】
EEE(8)第1のPCBは、内側ハウジングの3つの壁に接触する、EEE(1)~EEE(7)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0036】
EEE(9)圧縮性ライニングは、内側ハウジングの3つの壁のそれぞれに付着され、且つ複数のバッテリセルに接触する、EEE(1)~EEE(8)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0037】
EEE(10)ギャップパッドは、複数のバッテリセルのそれぞれの間に配置される、EEE(1)~EEE(9)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0038】
EEE(11)ギャップパッドは、隣接するバッテリセルのそれぞれに付着される、EEE(1)~EEE(10)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0039】
EEE(12)上部パッドは、複数のバッテリセルのうちの最上部のバッテリセルに付着される、EEE(1)~EEE(11)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0040】
EEE(13)第1のPCB、第2のPCB及び複数のバッテリセルを覆うコーティング材料を更に含む、EEE(1)~EEE(12)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0041】
EEE(14)コーティング材料は、ポリマーを含む、EEE(1)~EEE(13)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0042】
EEE(15)第2のPCBは、第1のPCBに取り付けられる、EEE(1)~EEE(14)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0043】
EEE(16)第2のPCBは、複数のポストによって第1のPCBからオフセットされる、EEE(1)~EEE(15)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0044】
EEE(17)複数のポストのそれぞれは、エポキシを用いて第1のPCBに付着される、EEE(1)~EEE(16)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0045】
EEE(22)第1のPCBに電気的に接続された正極セルストラップを更に含む、EEE(1)~EEE(17)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0046】
EEE(19)第1のPCBのアルミニウムベース層は、正極セルストラップからの熱を放散する、EEE(1)~EEE(22)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0047】
EEE(20)第1のPCBに電気的に接続された負極セルストラップを更に含む、EEE(1)~EEE(19)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0048】
EEE(21)第1のPCBのアルミニウムベース層は、負極セルストラップからの熱を放散する、EEE(1)~EEE(20)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0049】
EEE(22)バッテリセルと、金属ベース層を有するPCBと、バッテリセルとPCBとの間に配置された中間層であって、第1の材料で形成された第1のセクション及び第2の材料で形成された第2のセクションを含み、第1の材料は、2の材料よりも低い熱伝導率を有する、中間層とを含む、バッテリパック。
【0050】
EEE(23)中間層の第1のセクションからPCBの反対側でPCBに結合された検出抵抗器を更に含む、EEE(22)に記載のバッテリパック。
【0051】
EEE(24)中間層の第1のセクションからPCBの反対側でPCBに結合された電界効果トランジスタを更に含む、EEE(22)又はEEE(23)に記載のバッテリパック。
【0052】
EEE(25)中間層の第2のセクションからPCBの反対側でPCBに結合されたサーミスタを更に含む、EEE(22)~EEE(24)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0053】
EEE(26)サーミスタは、中間層の第2のセクションからPCBの反対側でPCBに結合された複数のサーミスタの1つである、EEE(22)~EEE(25)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0054】
EEE(27)PCBは、第1の表面と、第1の表面の反対側の第2の表面とを更に含む、EEE(22)~EEE(26)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0055】
EEE(28)第2の表面は、第1の表面よりもバッテリセルに近い、EEE(22)~EEE(27)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0056】
EEE(29)中間層の第1のセクションは、PCBの第2の表面の半分超を覆う、EEE(22)~EEE(28)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0057】
EEE(30)中間層の第1のセクションは、PCBの第2の表面の3分の2を覆う、EEE(22)~EEE(29)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0058】
EEE(31)PCBは、内部部分を形成する第1の表面と、周縁部分を形成する第2の表面とを更に含む、EEE(22)~EEE(30)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0059】
EEE(32)金属ベース層は、80W/mK~260W/mKの範囲の熱伝導率を有する、EEE(22)~EEE(31)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0060】
EEE(33)金属ベース層は、アルミニウムを含む、EEE(22)~EEE(32)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【0061】
EEE(34)中間層の第1のセクションからPCBの反対側でPCBに結合された正極セルストラップ及び負極セルストラップを更に含む、EEE(22)~EEE(33)のいずれか1つに記載のバッテリパック。
【符号の説明】
【0062】
10 バッテリパック
22、22a、22b、22c、22d、22e バッテリセル
24 ギャップパッド
25 上部パッド
26 内部ハウジング
26a、26b、26c 壁
28 圧縮性ライニング
30 第1のPCB
34 第2のPCB
38、38a、38b 端子
78 正極セルストラップ
82 負極セルストラップ
98 メタルベース層
108 第1の表面
110 第2の表面
112、116 電界効果トランジスタ
120 検出抵抗器
124 サーミスタ
128 中間層
132 第1のセクション
136 第2のセクション
140 ポスト
142 エポキシ
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
【外国語明細書】