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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024099501
(43)【公開日】2024-07-25
(54)【発明の名称】複合材料
(51)【国際特許分類】
   C08L 71/02 20060101AFI20240718BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240718BHJP
   C09K 3/18 20060101ALN20240718BHJP
【FI】
C08L71/02
C08L101/00
C09K3/18 102
C09K3/18 104
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024002783
(22)【出願日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2023003295
(32)【優先日】2023-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】本多 義昭
(72)【発明者】
【氏名】前平 健
(72)【発明者】
【氏名】三橋 尚志
【テーマコード(参考)】
4H020
4J002
【Fターム(参考)】
4H020AA03
4H020AA06
4H020BA22
4H020BA36
4J002AA00X
4J002BC03X
4J002BC09X
4J002BG06X
4J002CH02W
4J002GG00
(57)【要約】
【課題】より簡易な工程で薄膜形成が可能な複合材料を提供。
【解決手段】フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および解重合性ポリマーを含む、複合材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および解重合性ポリマーを含む、複合材料。
【請求項2】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、前記解重合性ポリマーに含浸されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した一価の有機基またはハロゲン原子を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を有する、請求項3に記載の複合材料。
【請求項5】
前記解重合性ポリマーは、下記式:
CR=CR
[式中、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子であり、
は、アリール基、COOR、またはハロゲン原子であり、
は、炭素数1~20のアルキル基、-R-Rf、またはハロゲン原子であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーに由来する単量体単位を含む、請求項1に記載の複合材料。
【請求項6】
、R、RおよびRが、フッ素原子である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項7】
およびRが、水素原子であり、
が、炭素数1~6のアルキル基であり、
が、アリール基またはCOORであり、
が、炭素数1~20のアルキル基である、
請求項5に記載の複合材料。
【請求項8】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、Rがメチル基である、請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
は、フェニル基である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項10】
、RおよびRが、水素原子であり、
は、フェニル基である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項11】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
が-R-Rfであり、
が炭素数2のアルキレン基であり、
Rfは、炭素数6のパーフルオロアルキル基である、請求項5に記載の複合材料。
【請求項12】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記解重合性ポリマーに対して、30質量%以上含まれる、請求項1に記載の複合材料。
【請求項13】
前記解重合性ポリマーは、多孔質である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項14】
前記解重合性ポリマーは、タブレット状または粉体状である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項15】
前記解重合性ポリマーは粉体状であり、前記解重合性ポリマーの平均粒子径は0.1μm~100μmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項16】
前記解重合性ポリマーの天井温度が、500℃以下である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項17】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(A1)又は(A2):
【化1】
[式中:
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
は、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の基であり、
α1は、1~9の整数であり、
β1は、1~9の整数であり、
γ1は、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項18】
式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項19】
式(A1)及び(A2)において、
Rfは、C1-16パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中:
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項20】
式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f4)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化2】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項21】
Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化3】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11 n112 3-n1であり、
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3であり、
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、又は-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり、
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項22】
α1、β1、及びγ1は、1であり、Xは、単結合又は2価の基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項23】
は、単結合又は下記式:
-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、単結合、-(CHs5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
51は、-(X52l5-であり、
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R53-、-(Si(R53O)m5-Si(R53-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CHn5-からなる群から選択される基であり、
53は、それぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基であり、
m5は、それぞれ独立して、1~100の整数であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であり、
右側がRSiに結合する。]
で表される2価の基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項24】
は、下記式:
【化4】
[式中、Xは、単結合又は2価の基である。]
で表される基である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項25】
式(A1)及び(A2)において、
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、下記式(f1)又は(f2):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]で表される基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
pは、1であり、
qは、1であり、
Siは、下記式(S1-b)、(S3)又は(S4):


[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。]で表される基であり、
は、それぞれ独立して、
単結合、
-(CHs5-O-(CHt5-又は
-CONR54-(CHt5
[式中、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり、
α1は、1であり、
β1は、1であり、
γ1は、1である、請求項17に記載の複合材料。
【請求項26】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S1-b):
【化5】
[式中、
n1は、3であり、
11は、-OCHであり、
13は、水素原子であり、
11は、単結合であり、
tは、1~6の整数]で表される基である、請求項25に記載の複合材料。
【請求項27】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S3):
[式中:
k1は、それぞれ独立して、3であり、
l1は、それぞれ独立して、0であり、
m1は、それぞれ独立して、0であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
p1は、0であり、
q1は、3であり、
r1は、0であり、
22は、-OCHである]で表される基である、請求項25に記載の複合材料。
【請求項28】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S4):
[式中:
k2は、それぞれ独立して、0であり、
l2は、それぞれ独立して、3であり、
m2は、それぞれ独立して、0であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
34は、-OCHであり、
n2は、それぞれ独立して、3である]で表される基である、請求項25に記載の複合材料。
【請求項29】
式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OCFCFCF-OCFCF
[式中、dは、10~30の整数である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、請求項25に記載の複合材料。
【請求項30】
式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0または1であり、
e及びfは、それぞれ独立して、10~30の整数であり、
c、d、e及びfの和は、20~45の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、請求項25に記載の複合材料。
【請求項31】
蒸着材料である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項32】
蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するキャリア材料である解重合性ポリマーであって、
TG-DTA測定において、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで前記解重合性ポリマーを加熱した際、500℃における前記解重合性ポリマーの残渣量が、前記解重合性ポリマーの初期重量の5%以下である、蒸着用の解重合性ポリマー。
【請求項33】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および請求項32に記載の解重合性ポリマーを含む、蒸着材料。
【請求項34】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の蒸着において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と組み合わせて使用される解重合性ポリマー。
【請求項35】
解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせて蒸着材料を調製すること、
前記蒸着材料を加熱し、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を基材上に蒸着させること、を含む蒸着方法。
【請求項36】
前記組合せが、前記解重合性ポリマーに前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含浸させることである、請求項35に記載の蒸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材料に関する。
【背景技術】
【0002】
基材の表面に薄膜を形成する方法については様々な検討が行われてきた。基材表面の薄膜は、例えば有機材料および/または金属材料を基材に蒸着させることで形成されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-246786号公報
【特許文献2】特表2010-534767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2では、基材表面への薄膜形成のために、蒸着物質を充填した容器または無機材料等が用いられている。容器または無機材料から蒸着物質を気化させて基材表面に蒸着物質を蒸着させることにより、基材表面に薄膜が形成される。蒸着後、容器または無機材料が残る。新たな蒸着物質を充填するためには、容器または無機材料を都度回収する必要がある。従って、より簡易な工程で薄膜形成が可能な材料が求められている。
【0005】
本開示は、より簡易な工程で薄膜形成が可能な複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の態様を含む。
[1]フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および解重合性ポリマーを含む、複合材料。
[2]前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、前記解重合性ポリマーに含浸されている、上記[1]に記載の複合材料。
[3]前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した一価の有機基またはハロゲン原子を有する、上記[1]または[2]に記載の複合材料。
[4]前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を有する、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の複合材料。
[5]前記解重合性ポリマーは、下記式:
CR=CR
[式中、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子であり、
は、アリール基、COORまたはハロゲン原子であり、
は、炭素数1~20のアルキル基、-R-Rf、またはハロゲン原子であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーに由来する単量体単位を含む、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の複合材料。
[6]R、R、RおよびRが、フッ素原子である、上記[5]に記載の複合材料。
[7] RおよびRが、水素原子であり、
が、炭素数1~6のアルキル基であり、
が、アリール基またはCOORであり、
が、炭素数1~20のアルキル基である、
上記[5]に記載の複合材料。
[8]RおよびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
がメチル基である、[7]に記載の複合材料。
[9]RおよびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
は、フェニル基である、[5]に記載の複合材料。
[10]R、RおよびRが、水素原子であり、
は、フェニル基である、[5]に記載の複合材料。
[11]RおよびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
が-R-Rfであり、
が炭素数2のアルキレン基であり、
Rfは、炭素数6のパーフルオロアルキル基である、[5]に記載の複合材料。
[12]前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記解重合性ポリマーに対して、30質量%以上含まれる、上記[1]~[11]のいずれか1つに記載の複合材料。
[13]前記解重合性ポリマーは、多孔質である、上記[1]~[12]のいずれか1つに記載の複合材料。
[14]前記解重合性ポリマーは、タブレット状または粉体状である、上記[1]~[13]のいずれか1つに記載の複合材料。
[15]前記解重合性ポリマーは粉体状であり、前記解重合性ポリマーの平均粒子径が0.1μm~100μmである、上記[14]に記載の複合材料。
[16]前記解重合性ポリマーの天井温度が、500℃以下である、上記[1]~[15]のいずれか1つに記載の複合材料。
[17]前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(A1)又は(A2):
【化1】
[式中:
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
は、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の基であり、
α1は、1~9の整数であり、
β1は、1~9の整数であり、
γ1は、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表される化合物である、上記[1]~[16]のいずれか1つに記載の複合材料。
[18]
式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、上記[17]に記載の複合材料。
[19]式(A1)及び(A2)において、
Rfは、C1-16パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中:
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[18]または[19]に記載の複合材料。
[20] 式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、又は(f6):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f4)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化2】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[17]~[19]のいずれか1つに記載の複合材料。
[21]RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化3】
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11 n112 3-n1であり、
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3であり、
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、又は-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり、
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基である、上記[17]~[20]のいずれか1つに記載の複合材料。
[22]α1、β1、及びγ1は、1であり、Xは、単結合又は2価の基である、上記[17]~[21]のいずれか1つに記載の複合材料。
[23]Xは、単結合又は下記式:
-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、単結合、-(CHs5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
51は、-(X52l5-であり、
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R53-、-(Si(R53O)m5-Si(R53-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CHn5-からなる群から選択される基であり、
53は、それぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基であり、
m5は、それぞれ独立して、1~100の整数であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であり、
右側がRSiに結合する。]
で表される2価の基である、上記[17]~[22]のいずれか1つに記載の複合材料。
[24]Xは、下記式:
【化4】
[式中、Xは、単結合又は2価の基である。]
で表される基である、上記[17]~[23]のいずれか1つに記載の複合材料。
[25]式(A1)及び(A2)において、
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、下記式(f1)又は(f2):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]で表される基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
pは、1であり、
qは、1であり、
Siは、下記式(S1-b)、(S3)又は(S4):


[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。]で表される基であり、
は、それぞれ独立して、
単結合、
-(CHs5-O-(CHt5-又は
-CONR54-(CHt5
[式中、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり、
α1は、1であり、
β1は、1であり、
γ1は、1である、[17]~[24]のいずれか1つに記載の複合材料。
[26]式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S1-b):
【化5】
[式中、
n1は、3であり、
11は、-OCHであり、
13は、水素原子であり、
11は、単結合であり、
tは、1~6の整数]で表される基である、[25]に記載の複合材料。
[27]式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S3):
[式中:
k1は、それぞれ独立して、3であり、
l1は、それぞれ独立して、0であり、
m1は、それぞれ独立して、0であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
p1は、0であり、
q1は、3であり、
r1は、0であり、
22は、-OCHである]で表される基である、[25]に記載の複合材料。
[28]式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S4):
[式中:
k2は、それぞれ独立して、0であり、
l2は、それぞれ独立して、3であり、
m2は、それぞれ独立して、0であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
34は、-OCHであり、
n2は、それぞれ独立して、3である]で表される基である、[25]に記載の複合材料。
[29]式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OCFCFCF-OCFCF
[式中、dは、10~30の整数である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、請求項25に記載の複合材料。
[30]式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0または1であり、
e及びfは、それぞれ独立して、10~30の整数であり、
c、d、e及びfの和は、20~45の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、[25]に記載の複合材料。
[31]蒸着材料である、上記[1]~[30]のいずれか1つに記載の複合材料。
[32]蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するキャリア材料である解重合性ポリマーであって、
TG-DTA測定において、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで前記解重合性ポリマーを加熱した際、500℃における前記解重合性ポリマーの残渣量が、前記解重合性ポリマーの初期重量の5%以下である、蒸着用の解重合性ポリマー。
[33]フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および上記[32]に記載の解重合性ポリマーを含む、蒸着材料。
[34]フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の蒸着において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と組み合わせて使用される解重合性ポリマー。
[35]解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせて蒸着材料を調製すること、
前記蒸着材料を加熱し、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を基材上に蒸着させること、を含む蒸着方法。
[36]前記組合せが、前記解重合性ポリマーに前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含浸させることである、上記[35]に記載の蒸着方法。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より簡易な工程で薄膜形成が可能な複合材料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の複合材料は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および解重合性ポリマーを含む。
【0009】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、フルオロポリエーテル基および加水分解性シラン基を含む化合物である。
【0010】
解重合性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーを反応させて得られる重合体であり、かつ解重合特性を有する重合体である。ここで、エチレン性不飽和モノマーとは、エチレン性不飽和結合(即ち、炭素-炭素二重結合)を有し、ラジカル重合等の重合反応により重合体を形成するモノマーを意味する。
【0011】
より具体的には、解重合性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーに由来する構造単位を含み、エチレン性不飽和基に由来する化学構造を主鎖に有するようなポリマーである。解重合性ポリマーは、加熱により主鎖が切断され、エチレン性不飽和モノマーに熱分解するような解重合特性を有する。
【0012】
エチレン性不飽和モノマーとしては、エチレン性不飽和結合を含むモノマーであれば特に限定されず、例えばビニル基、ビニレン基、ビニリデン基、(メタ)アクリロイル基、または(メタ)アクリルアミド基等のエチレン性不飽和基を有するモノマーが挙げられる。上記エチレン性不飽和結合を形成する炭素原子に結合する水素原子は、ハロゲン原子および/または置換基によって置換されていてもよい。
【0013】
本明細書において、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」を意味する。「(メタ)アクリレート」との表現についても同様である。「(メタ)アクリルアミド基」とは、「アクリルアミド基」及び「メタクリルアミド基」を意味する。
【0014】
本開示の複合材料は、上記構成を含むことにより、下記理由により、より簡易な工程で基材の表面に薄膜を形成できる。
【0015】
本開示の複合材料に熱等を加えることにより、解重合性ポリマーからフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を気化させて基材表面に蒸着させることにより、基材にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に由来する層を形成できる。解重合性ポリマーは、加えた熱により解重合が進み、分解し得る。分解により生成される分解物、例えば解重合性ポリマーを構成していたエチレン性不飽和モノマー等の低分子化合物は、熱によりガス化し、基材との結合能が低いことから、系から放出され得る。従って、蒸着処理後、解重合性ポリマーは、系内に残渣として残り難く、解重合性ポリマーを回収する工程の省略が可能となる。
【0016】
一実施形態では、本開示の複合材料は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を液状化合物として含んでいてもよい。例えば、本開示の複合材料は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む溶液を含んでいてもよい。
【0017】
本開示の複合材料は、蒸着処理後、解重合性ポリマーが残渣として残り難いため、例えば連続蒸着プロセスを含む蒸着方法に好適に用いることができる。特に、連続蒸着プロセスを含む蒸着方法に本開示の複合材料を用いると、連続蒸着プロセスに液状化合物の蒸着物質を好適に用いることができる。
【0018】
基材に蒸着させる蒸着物質として液状化合物を用いる場合、蒸着物質は、金属、金属酸化物、および/またはセラミック等からなる多孔質材の容器または担体に充填されて蒸着に用いられ得る。基材への蒸着は、通常、真空条件下のチャンバー内にて容器を加熱して蒸着物質を気化させることで行われ得る。蒸着処理後、容器は回収され得る。ここで、蒸着処理後に容器を回収するには、チャンバー内の圧力を真空から常圧に戻す必要がある。従って、複数の異なる蒸着物質を基材に蒸着するような連続蒸着プロセスを実施する場合、容器の設置および回収の度に、再度チャンバー内の圧力を真空または常圧に戻す必要がある。
【0019】
この点につき、連続蒸着プロセスを含む蒸着方法に蒸着物質として液状化合物を用いる場合、上記容器の設置および回収時の圧力調整の点から、効率的な蒸着が実施し難い。例えば、連続蒸着プロセスを含む蒸着方法では、互いに連通した複数のチャンバーが用いられ、当該チャンバー内の真空状態は数週間維持され得るため、蒸着処理後の容器の回収は困難となり得る。容器を用いずに蒸着用の材料として液体材料を用いる場合、例えば液体材料の供給部を設けることが考えられるが、蒸着方法および設備等に大幅な変更を要し得る。
【0020】
本開示の複合材料は、上記の通り、蒸着処理後、残渣として残った解重合性ポリマーを回収する工程を省略可能である。従って、連続蒸着プロセスを含む蒸着方法において本開示の複合材料を用いると、蒸着物質として液状化合物を好適に用いることができる。
【0021】
連続蒸着プロセスを含む蒸着方法としては、例えばOLED(Organic Light-Emitting Diode)の製造方法が挙げられる。
【0022】
本開示の複合材料は、さらに下記実施形態を採ることができる。
【0023】
一実施形態では、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、解重合性ポリマーに含浸されていてもよい。「含浸」とは、解重合性ポリマーの構造中および/または組織中にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が保持されていることを意味する。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、解重合性ポリマーの一部(例えば、解重合性ポリマーの表面または中心部等)に含浸していてもよく、全体に含浸していてもよい。解重合性ポリマーにフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含浸されていることにより、複合材料中により多くのフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含ませることができ、基材にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物をより効率的に蒸着させることができる。
【0024】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した一価の有機基またはハロゲン原子を有する。かかる特徴を有することにより、蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣がより少なく成り得る。α位に位置する炭素原子とは、エチレン性不飽和結合を形成する炭素原子のうち官能基が結合した炭素原子を意味する。官能基の種類は特に限定されず、例えば、エステル基、カルボキシ基、ハロゲン化カルボキシ基、ヒドロキシ基、ケトン基、アミン基、アミド基、アリール基、およびハロゲンからなる群から選択される1種の官能基であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、上記官能基は、好ましくはエステル基、アリール基、またはハロゲン、より好ましくはエステル基であってよい。
【0025】
「一価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。
【0026】
一実施形態では、上記の一価の有機基は、炭素数1~6のアルキル基である。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、炭素数1~6のアルキルは、好ましくは炭素数1~3のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。上記炭素数1~6のアルキルは、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を含む。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、ハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
【0027】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、下記式:
CR=CR
[式中、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子であり、
は、アリール基、COORまたはハロゲン原子であり、
は、炭素数1~20のアルキル基、-R-Rf、またはハロゲン原子であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーに由来する単量体単位を含む。
【0028】
は、水素原子またはハロゲン原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、Rは、水素原子であってよい。
【0029】
は、水素原子またはハロゲン原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、Rは、水素原子であってよい。
【0030】
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子であり、好ましくは炭素数1~6のアルキル基またはフッ素原子であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基、好ましくはメチル基であってよい。
【0031】
は、アリール基、COORまたはハロゲン原子であり、好ましくはアリール基、COORまたはフッ素原子であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、アリール基はフェニル基であってよい。
【0032】
は、炭素数1~20のアルキル基、-R-Rf、またはハロゲン原子であり、好ましくは炭素数1~20のアルキル基、-R-Rf、またはフッ素原子であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、炭素数1~20のアルキル基は、炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~3のアルキル基、より好ましくはメチル基であってよい。
【0033】
は、単結合または炭素数1~20のアルキレン基であり、好ましくは炭素数1~10のアルキレン基、より好ましくは炭素数1~5のアルキレン基、特に好ましくは炭素数1~2のアルキレン基であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、Rは、炭素数2のアルキレン基であってよい。
【0034】
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基である。Rfは、好ましくは炭素数1~20のパーフルオロアルキル基であってよい。
【0035】
上記パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分岐鎖の炭素数1~10のパーフルオロアルキル基、より好ましくは直鎖または分岐鎖の炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、特に好ましくは直鎖の炭素数1~6のパーフルオロアルキル基であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、Rfは、直鎖の炭素数6のパーフルオロアルキル基であってよい。
【0036】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、上記式において
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
が-R-Rfであり、
が炭素数2のアルキレン基であり、
Rfは、炭素数6のパーフルオロアルキル基である。かかる式で表される解重合性ポリマーは、ポリメタクリル酸2-(パーフルオロヘキシル)エチルであり、
CH2=CHCH3COOC2H4C6F13で表される化合物である。
【0037】
解重合性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー、またはエチレン性不飽和モノマーと他のモノマーとのコポリマーであってもよい。一の態様において、解重合性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマーであってもよい。別の態様において、解重合性ポリマーは、エチレン性不飽和モノマーと他のモノマーとのコポリマーであってもよい。
【0038】
上記他のモノマーとしては、エチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、およびクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択少なくとも1種以上のモノマーであってよい。
【0039】
一実施形態では、R、R、RおよびRが、フッ素原子である。つまり、解重合性ポリマーは、テトラフルオロエチレンに由来する単量体単位を含んでいてもよい。解重合性ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはテトラフルオロエチレン他のモノマーのコポリマーを含んでもよい。解重合性ポリマーは、PTFEからなっていてもよく、テトラフルオロエチレン(TFE)-エチレン共重合体と、TFE-ポリビニリデンフルオライド(VFD)共重合体と、TFE-ポリヘキサフルオロプロピレン共重合体と、TFE-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体と、およびTFE-クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂を含んでいてもよい
【0040】
一実施形態では、RおよびRが、水素原子であり、Rが、炭素数1~6のアルキル基であり、Rが、アリール基またはCOORであり、Rが、炭素数1~20のアルキル基であってよい。つまり、解重合性ポリマーは、ハロゲンを含まない樹脂、即ち非フッ素樹脂であり、具体的には、メタクリレート系樹脂、又はスチレン系樹脂であってよい。
【0041】
蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、RおよびRが、水素原子であり、Rが、炭素数1~6のアルキル基であり、Rがアリール基であってよい。つまり、解重合性ポリマーは、スチレン系樹脂を含んでいてもよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をさらに少なくする観点から、Rの炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基、好ましくはメチル基であってよい。Rがフェニル基(つまり、ベンゼン環から水素原子を1個取り除いた基でありCを意味する。)であってよい。つまり、解重合性ポリマーは、ポリ(α-メチルスチレン)(PαMS)を含んでいてもよい。
【0042】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、ポリスチレンであり、上記式は
、RおよびRが、水素原子であり、
は、フェニル基である。
【0043】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、ポリ(α-メチルスチレン)であり、上記式は
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
は、フェニル基である、。
【0044】
蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、RおよびRが、水素原子であり、Rが、炭素数1~6のアルキル基であり、RがCOORであり、Rがメチル基であってよい。つまり、解重合性ポリマーは、メタクリレート樹脂を含んでいてもよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をさらに少なくする観点から、Rの炭素数1~6のアルキル基は、炭素数1~3のアルキル基、好ましくはメチル基であってよい。つまり、解重合性ポリマーは、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含んでいてもよい。
【0045】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、ポリメチルメタクリレートであり、上記式は
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
がメチル基である。
【0046】
一実施形態では、本開示の複合材料において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、解重合性ポリマーに対して、30質量%以上含まれていてもよい。基材にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を効率的に蒸着させる観点から、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、解重合性ポリマーに対して、35質量%以上含まれていてもよく、好ましくは40質量%以上、より好ましくは45質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上含まれていてもよい。複合材料をより取り扱い易くする観点から、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、解重合性ポリマーに対して、90質量%以下、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下含まれていてもよい。
【0047】
解重合性ポリマーに含まれるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の含有量は、例えば、溶媒抽出による抽出重量により定量することができる。溶媒抽出に用いる溶媒は、例えば水、有機溶媒、またはそれらの混合物であってよい。有機溶媒としては、アルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系、ハロゲン系、または炭化水素系であってよい。ハロゲン系の溶媒としては、例えば塩素系溶媒、またはフッ素系溶媒が挙げられる。抽出重量は、抽出後の溶媒を除去し、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の重量を測定することにより得てもよく、抽出後の溶媒の機器分析によりフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の含有量を分析することにより得てもよい。
【0048】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、多孔質であってよい。多孔質とは、多数の細孔を表面および/または内部に有している状態を意味する。細孔は、例えば走査電子顕微鏡により観察可能な直径を有し得る。解重合性ポリマーが多孔質である場合、解重合性ポリマーにフルオロポリエーテル基含有シラン化合物をより多く含ませることが可能となり、基材に効率よくフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を蒸着させることができる。なお、解重合性ポリマーが多孔質である場合、本開示の複合材料も多孔質と成り得る。
【0049】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、タブレット状または粉体状であってよい。
【0050】
解重合性ポリマーが粉体状である場合、解重合性ポリマーの平均粒子径は0.1μm~100μmであってよい。解重合性ポリマーからフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を効率的に気化させる観点から、解重合性ポリマーの平均粒子径は、1μm~80μmであってよく、好ましくは3μm~50μmであってよい。なお、解重合性ポリマーの粒子径が上記範囲である場合、本開示の複合材料も実質的に同様の粒子径を有し得る。なお、本開示における解重合性ポリマーの平均粒子径は、一次粒子径を意味する。
【0051】
粉体状の解重合性ポリマーの作製方法は、特に限定されず、常套の手段であってよい。例えば、塊状、顆粒状、またはペレット状の解重合性ポリマーを粉砕機により粉砕することによって、粉体状の解重合性ポリマーを作製してもよい。他の粉体状の解重合性ポリマーの作製方法としては、原子または分子を化学反応により成長および集合体を形成させて粒子を得る方法が挙げられる。例えば、粉体状の解重合性ポリマーは、乳化重合、または懸濁重合等により作製してもよい。
【0052】
解重合性ポリマーの平均粒子径は、レーザ回折・散乱法により求められる粒度分布において、小粒径側からの積算粒子体積が全粒子体積の50%に達するときの粒径D50であってよい。
【0053】
タブレット状とは、一定の形状を保持している固体、例えば錠剤形の塊を意味する。タブレット状の解重合性ポリマーの形状は、特に限定されず、立方体、直方体、球体、円柱体、角柱体、円錐体、角錐体、楕円体、円筒体、またはそれらを組み合わせた形状であってよい。タブレット状に加工されていることで、取扱い性がより向上し得る。なお、解重合性ポリマーがタブレット状または粉体状である場合、本開示の複合材料は解重合性ポリマーと同様のタブレット状または粉体状に成り得る。
【0054】
タブレット状の解重合性ポリマーは、例えば、粉体状の解重合性ポリマーを圧縮して成形した物であってよい。例えば、タブレット状の解重合性ポリマーは、高圧で打錠成形することにより所定形状を有するように造形された造形体であり得る。換言すると、タブレット状の解重合性ポリマーは、粉末同士を固めた凝集体であり得る。タブレット状の解重合性ポリマーは、粉体状の解重合性ポリマーを焼成することにより作製してもよい。または、溶剤等に溶解し、所定の形状に成型してもよい。
【0055】
タブレット状の解重合性ポリマーの大きさは、例えば10mm~1000mmであってよい。本開示の複合材料をより取り扱い易くする観点から、タブレット状の解重合性ポリマーの大きさは、30mm~700mmであってよく、好ましくは50mm~500mm、より好ましくは100mm~300mm、さらに好ましくは130mm~200mmであってよい。
【0056】
取り扱い性を上げる観点から、解重合性ポリマーは、タブレット状の他、1次粒子を押し固め造粒したものを用いてもよい。造粒方法については、1次粒子を圧縮および/または焼成してもよい。造粒を効率的に行う観点から、1次粒子と溶媒および/またはバインダーとを組み合わせて造粒してもよい。造粒後の粒子は、球状または非球状であってもよい。造粒後の粒子の粒子径は、0.1~10mmの大きさであってよく、より好ましくは0.5~5mmの大きさであってよい。造粒後の粒子が非球状の場合、造粒後の粒子の粒子径は、長尺径であってよい。造粒後の粒子として、造粒後に分級を行い、粒子の大きさを揃えた粒子を使用してもよい。
【0057】
一実施形態では、解重合性ポリマーの天井温度が、500℃以下であってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をさらに少なくする観点から、解重合性ポリマーの天井温度は、好ましくは400℃以下、より好ましくは300℃以下、さらに好ましくは250℃以下であってよい。解重合性ポリマーの天井温度は、100℃以上、200℃以上、または300℃以上であってよい。
【0058】
「天井温度」とは、モノマーからポリマーへ重合する速度およびポリマーからモノマーへ解重合する速度が互いに平衡関係となる温度を意味する。天井温度を超えると、解重合の速度が、重合の速度よりも大きくなる。解重合性ポリマーが天井温度を超える温度になると、例えば解重合によるポリマーの分解が重合よりも優位になり、ポリマーを構成していたモノマーまたはオリゴマー等がより多く生成し、当該モノマーまたはオリゴマーがガス化等によりポリマーから放出され得るため、解重合性ポリマーの質量が減少し得る。
【0059】
なお、上記解重合性ポリマーの質量の減少は、必ずしも天井温度を超えた際に生じるとは限らず、例えば、天井温度から-20%~+20%となる温度、-10%~+10%となる温度、または-5%~+5%となる温度で生じ得る。
【0060】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、100℃~400℃の分解開始温度を有していてもよい。解重合性ポリマーの解重合を制御し易くする観点から、解重合性ポリマーは、150℃~350℃の分解開始温度を有していてもよく、好ましくは180℃~300℃、より好ましくは200℃~260℃の分解開始温度を有していてもよい。「分解開始温度」とは、熱重量示差熱測定を用いて、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで解重合性ポリマーを加熱した際に、解重合性ポリマーの1質量%が分解する(または減少する)に至る温度を意味する。
【0061】
一実施形態では、解重合性ポリマーは、300℃~600℃の分解終了温度を有していてもよい。解重合性ポリマーの解重合を制御し易くする観点から、解重合性ポリマーは、350℃~550℃の分解終了温度を有していてもよく、好ましくは400℃~520℃、より好ましくは430℃~490℃の分解終了温度を有していてもよい。「分解終了温度」とは、熱重量示差熱測定を用いて、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで解重合性ポリマーを加熱した際に、解重合性ポリマーの99質量%が分解する(または減少する)に至る温度を意味する。
【0062】
一実施形態では、解重合性ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、0℃以上300℃以下であってよく、好ましくは50℃以上250℃以下、より好ましくは70℃以上且つ200℃以下、さらに好ましくは80℃以上且つ150℃以下、特に好ましくは85℃以上且つ125℃以下であってよい。解重合性ポリマーのTgがこれらの範囲内にある場合、蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なく成り得る。解重合性ポリマーのTgは、示差走査熱量計(DSC)等によって得ることができる。
【0063】
解重合性ポリマーの平均分子量は、1,000以上、10,000以上、又は50,000以上、100,000であってよい。解重合性ポリマーの平均分子量は、500,000以下、250,000以下、150,000以下であってよい。上記平均分子量は、重量平均分子量または数平均分子量であってよい。
【0064】
[フルオロポリエーテル基含有シラン化合物]
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、フルオロポリエーテル基及び加水分解性シラン基を含む化合物である。
【0065】
一の態様において、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(A1)又は(A2):
【化6】
[式中:
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
は、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の基であり、
α1は、1~9の整数であり、
β1は、1~9の整数であり、
γ1は、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物である。
【0066】
式(A1)において、RFA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-である。
【0067】
式(A2)において、RFA2は、-Rf -R-O-である。
【0068】
式(A1)及び(A2)において、Rfは、それぞれ独立して、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
【0069】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
【0070】
Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
【0071】
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、又は-CFCFCFである。
【0072】
一の態様において、Rfは、C1-6パーフルオロアルキル基である。
【0073】
一の態様において、Rfは、C1-3パーフルオロアルキル基である。
【0074】
式(A1)及び(A2)において、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
【0075】
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
【0076】
Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0077】
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF-、-CFCF-、又は-CFCFCF-である。
【0078】
一の態様において、Rfは、C1-6パーフルオロアルキレン基である。
【0079】
一の態様において、Rfは、C1-3パーフルオロアルキレン基である。
【0080】
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
【0081】
上記式において、qは、それぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
【0082】
式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。
【0083】
は、好ましくは、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である。
【0084】
Faは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。
【0085】
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは0~100の整数、より好ましくは0~50の整数であってもよい。
【0086】
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは20以上であり、例えば25以上又は30以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
【0087】
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよく、環構造を含んでいてもよい。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよい。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び-(OCFCF(C))-のいずれであってもよい。-(OC)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよい。-(OC)-は、-(OCFCF)-及び-(OCF(CF))-のいずれであってもよい。
【0088】
上記環構造は、下記三員環、四員環、五員環、又は六員環であり得る。
【化7】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0089】
上記環構造は、好ましくは四員環、五員環、又は六員環、より好ましくは四員環、又は六員環であり得る。
【0090】
環構造を有する繰り返し単位は、好ましくは、下記の単位であり得る。
【化8】
[式中、*は、結合位置を示す。]
【0091】
一の態様において、上記繰り返し単位は直鎖状である。
【0092】
一の態様において、上記繰り返し単位は分枝鎖状である。
【0093】
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、下記式(f1)~(f6)のいずれかで表される基である。
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1、好ましくは0である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f4)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化9】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0094】
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。上記式(f1)におけるOCは、好ましくは(OCFCFCF)、(OCF(CF)CF)又は(OCFCF(CF))であり、より好ましくは(OCFCFCF)である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。上記式(f1)における(OC)は、好ましくは(OCFCF)又は(OCF(CF))であり、より好ましくは(OCFCF)である。
【0095】
一の態様では、式(f1)において、dは、5~50、好ましくは10~30の整数である。
【0096】
一の態様では、式(f1)において、eは、1である。
【0097】
一の態様では、式(f1)は、
-(OCFCFCF-OCFCF
[式中、dは、10~30の整数である。]である。
【0098】
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5~200、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC-(OCF-で表される基であってもよい。
【0099】
一の態様では、式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、5~40、好ましくは10~30の整数である。
【0100】
一の態様では、式(f2)において、c、d、e及びfの和は、20~60、好ましくは20~45の整数であり、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0101】
一の態様では、式(f2)は、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0または1であり、
e及びfは、それぞれ独立して、10~30の整数であり、
c、d、e及びfの和は、15~45の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]である。
【0102】
上記式(f3)において、Rは、好ましくは、OCである。上記(f3)において、Rは、好ましくは、OC、OC及びOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC又はOCである。OC、OC及びOCから独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、及び-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10及びOC12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-又は-(OC-OC-である。
【0103】
上記式(f4)において、R、R及びgは、上記式(f3)の記載と同意義であり、同様の態様を有する。R6’、R7’及びg’は、それぞれ、上記式(f3)に記載のR、R及びgと同意義であり、同様の態様を有する。Rは、好ましくは、
【化10】
[式中、*は、結合位置を示す。]
であり、より好ましくは
【化11】
[式中、*は、結合位置を示す。]
である。
【0104】
上記式(f5)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0105】
上記式(f6)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
【0106】
一の態様において、Rは、上記式(f1)で表される基である。
【0107】
一の態様において、Rは、上記式(f2)で表される基である。
【0108】
一の態様において、Rは、上記式(f3)又は(f4)で表される基である。
【0109】
一の態様において、上記Rは、上記式(f3)で表される基である。
【0110】
一の態様において、上記Rは、上記式(f4)で表される基である。
【0111】
一の態様において、Rは、上記式(f5)で表される基である。
【0112】
一の態様において、Rは、上記式(f6)で表される基である。
【0113】
一の態様において、Rは、上記式(f1)又は(f2)で表される基である。
【0114】
において、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、好ましくは0.1~10であり、より好ましくは0.2~5であり、さらに好ましくは0.2~2であり、さらにより好ましくは0.2~1.5であり、特に好ましくは0.2~0.85である。e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性がより向上し得る。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上し得る。
【0115】
一の態様において、耐熱性の観点から、上記e/f比は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.0~2.0であり得る。
【0116】
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物において、RFA1及びRFB2部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。本明細書において、RFA1及びRFA2の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0117】
式(A1)及び(A2)において、RSiは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の基が結合したSi原子を含む1価の基であり、少なくとも1つのRSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
【0118】
好ましい態様において、RSiは、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基、より好ましくは加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
【0119】
好ましい態様において、RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化12】
で表される基である。
【0120】
上記式中、R11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0121】
11は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0122】
11は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基である。別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0123】
上記式中、R12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の基である。かかる1価の基は、上記水素原子、水酸基及び加水分解性基を除く1価の基である。
【0124】
上記1価の基は、好ましくは1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0125】
12において、1価の基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0126】
上記式中、n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S1)又は(S2)で表される基である場合、式(A1)及び式(A2)の末端のRSi部分(以下、単に式(A1)及び式(A2)の「末端部分」ともいう)において、n1が1~3である(SiR11 n112 3-n1)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式(A1)及び式(A2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0127】
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0128】
上記式中、X11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基である。かかる2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基である。2価の基は、好ましくは2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくは-R28-O-R29-(式中、R28及びR29は、それぞれ独立して、単結合又はC1-20アルキレン基であり、xは0又は1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
【0129】
一の態様において、X11は、それぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-又は-O-C1-6アルキレン-である。なお、X11は、右側がSiに結合する。
【0130】
好ましい態様において、X11は、それぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0131】
上記式中、R13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。かかるC1-20アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
【0132】
好ましい態様において、R13は、それぞれ独立して、水素原子又は直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0133】
上記式中、tは、それぞれ独立して、2以上の整数である。
【0134】
tは、それぞれ独立して、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。
【0135】
上記式中、R14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X11-SiR11 n112 3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子又はフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
【0136】
上記式中、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。なお、アルキレンオキシ基は、アルキレン基が、R13を有する炭素原子に結合する。
【0137】
一の態様において、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
【0138】
好ましい態様において、R15は、単結合である。
【0139】
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
【化13】
[式中、
11、R12、R13、X11、及びn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり、
t1及びt2は、それぞれ独立して、0以上の整数、好ましくは1以上の整数、より好ましくは1~10の整数、さらに好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数又は2~5の整数であり、t1及びt2の合計は2以上であり、
t1及びt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
【0140】
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
【化14】
[式中、R11、R12、R13、X11、n1及びtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
【0141】
一態様では、n1は、3である。つまり、一態様では、上記式(S1)は、R11を有し、R12を有さない。
【0142】
一態様では、R11は、-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
【0143】
h1としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0144】
h1としては、メチル基が好ましい。つまり、R11は、-OCHが好ましい。
【0145】
一態様では、R13は、水素原子又は直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子又はメチル基である。
【0146】
一態様では、R13は、水素原子が好ましい。
【0147】
一態様では、X11は、それぞれ独立して、単結合又は直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合又は直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合又は直鎖のC1-2アルキレン基である。
【0148】
一態様では、X11は、単結合が好ましい。
【0149】
一態様では、式(S1-b)は、
n1は、3であり、
11は、-OCHであり、
13は、水素原子であり、
11は、単結合であり、
tは、1~6の整数である。
【0150】
上記式中、Ra1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1である。
【0151】
は、それぞれ独立して、2価の基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR21 p122 q123 r1)に結合する。
【0152】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0153】
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
【0154】
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0155】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0156】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0157】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0158】
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’である。
【0159】
上記Z1’は、それぞれ独立して、2価の基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)に結合する。
【0160】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0161】
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
【0162】
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0163】
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0164】
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0165】
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。
【0166】
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”である。
【0167】
上記Z1”は、それぞれ独立して、2価の基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22” q1”23” r1”)に結合する。
【0168】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0169】
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
【0170】
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
【0171】
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0172】
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基又は-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0173】
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。
【0174】
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0175】
22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0176】
22”は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基であり、別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0177】
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0178】
一の態様において、1価の有機基は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0179】
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3である。
【0180】
上記q1”は、(SiR22” q1”23” r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
【0181】
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0182】
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0183】
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基であり、別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0184】
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0185】
一の態様において、1価の有機基は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0186】
上記p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’とr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3である。
【0187】
一の態様において、p1’は、0である。
【0188】
一の態様において、p1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
【0189】
一の態様において、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0190】
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0191】
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0192】
22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0193】
22は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基であり、別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0194】
一態様では、R22は、-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
【0195】
h1としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0196】
h1としては、メチル基が好ましい。つまり、R22は、-OCHが好ましい。
【0197】
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0198】
一の態様において、1価の有機基は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0199】
上記p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3である。
【0200】
一の態様において、p1は、0である。
【0201】
一の態様において、p1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
【0202】
一の態様において、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0203】
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0204】
上記式中、Rb1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0205】
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0206】
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基であり、別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0207】
上記式中、Rc1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0208】
一の態様において、1価の有機基は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0209】
上記k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3である。
【0210】
一の態様において、k1は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
【0211】
式(A1)及び(A2)において、RSiが式(S3)で表される基である場合、好ましくは、式(A1)及び式(A2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0212】
好ましい態様において、式(S3)で表される基は、-Z-SiR22 q123 r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’ q1’23’ r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、又は-Z1”-SiR22” q1”23” r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、及びR23”は、上記と同意義である。
【0213】
好ましい態様において、式(S3)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0214】
好ましい態様において、式(S3)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0215】
好ましい態様において、式(S3)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0216】
好ましい態様において、式(S3)において、k1は2又は3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2又は3、好ましくは3である。
【0217】
一の態様において、k1は、それぞれ独立して、3であり、l1及びm1は、それぞれ独立して、0である。
【0218】
一の態様において、式(S3)は、シロキサン結合を含まない。
【0219】
一の態様において、式(S3)の上記式は、
k1は、それぞれ独立して、3であり、
l1は、それぞれ独立して、0であり、
m1は、それぞれ独立して、0であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
p1は、0であり、
q1は、3であり、
r1は、0であり、
22は、-OCHである。
【0220】
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2である。
【0221】
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR31 p232 q233 r2)に結合する。
【0222】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0223】
は、それぞれ独立して、好ましくは酸素原子又は2価の有機基、より好ましくは2価の有機基である。
【0224】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0225】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0226】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0227】
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’である。
【0228】
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’ q2’33’ r2’)に結合する。
【0229】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0230】
2’は、それぞれ独立して、好ましくは酸素原子又は2価の有機基、より好ましくは2価の有機基である。
【0231】
上記Z2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0232】
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基又は-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0233】
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。
【0234】
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。
【0235】
上記Zは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR34 n235 3-n2)に結合する。
【0236】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0237】
は、それぞれ独立して、好ましくは酸素原子又は2価の有機基、より好ましくは2価の有機基である。
【0238】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0239】
一の態様において、Zは2価の有機基である。
【0240】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0241】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0242】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0243】
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基である。
【0244】
34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
【0245】
34は、好ましくは、それぞれ独立して、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rh1は、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rh1は、メチル基であり、別の態様において、Rh1は、エチル基である。
【0246】
一態様では、R34は、-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。
【0247】
h1としては、メチル基又はエチル基が好ましい。
【0248】
h1としては、メチル基が好ましい。つまり、R34は、-OCHが好ましい。
【0249】
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0250】
35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
【0251】
上記式中、n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S4)で表される基である場合、式(A1)及び式(A2)の末端部分において、n2が1~3である(SiR34 n235 3-n2)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn2が同時に0になることはない。換言すれば、式(A1)及び式(A2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
【0252】
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0253】
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0254】
33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又はR41’-(OR42’y1’-Oy2’-(式中、R41’は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、R42’は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、y1’は、1~30の整数であり、y2’は、0又は1である。)で表される基であり得る。
【0255】
一の態様において、R41’は、水素原子である。
【0256】
別の態様において、R41’は、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基である。
【0257】
42’は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基、好ましくはC1-3アルキレン基、より好ましくはC2-3アルキレン基である。
【0258】
y1’は、1~30の整数、好ましく1~20の整数、より好ましくは1~10の整数、さらにより好ましくは2~10の整数、例えば、2~6の整数、2~4の整数、3~6の整数、又は4~6の整数である。
【0259】
一の態様において、R33’は、水酸基である。
【0260】
別の態様において、R33’は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0261】
別の態様において、R33’は、R41’-(OR42’y1’-Oy2’-である。
【0262】
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3である。
【0263】
q2’は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0264】
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0265】
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0266】
33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又はR41-(OR42y1-Oy2-(式中、R41は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、R42は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、y1は、1~30の整数であり、y2は、0又は1である。)で表される基であり得る。
【0267】
一の態様において、R41は、水素原子である。
【0268】
別の態様において、R41は、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基である。
【0269】
42は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基、好ましくはC1-3アルキレン基、より好ましくはC2-3アルキレン基である。
【0270】
y1は、1~30の整数、好ましく1~20の整数、より好ましくは1~10の整数、さらにより好ましくは2~10の整数、例えば、2~6の整数、2~4の整数、3~6の整数、又は4~6の整数である。
【0271】
一の態様において、R33は、水酸基である。
【0272】
別の態様において、R33は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0273】
別の態様において、R33は、R41-(OR42y1-Oy2-である。
【0274】
上記p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3である。
【0275】
一の態様において、p2は、0である。
【0276】
一の態様において、p2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、又は3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
【0277】
一の態様において、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0278】
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、さらに好ましくは3である。
【0279】
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
【0280】
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
【0281】
f1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基又はR43-(OR44y3-Oy4-(式中、R43は、水素原子又はC1-6アルキル基であり、R44は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、y3は、1~30の整数であり、y4は、0又は1である。)で表される基であり得る。
【0282】
一の態様において、R43は、水素原子である。
【0283】
別の態様において、R43は、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基である。
【0284】
44は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基、好ましくはC1-3アルキレン基、より好ましくはC2-3アルキレン基である。
【0285】
y3は、1~30の整数、好ましく1~20の整数、より好ましくは1~10の整数、さらにより好ましくは2~10の整数、例えば、2~6の整数、2~4の整数、3~6の整数、又は4~6の整数である。
【0286】
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
【0287】
別の態様において、Rf1は、C1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
【0288】
別の態様において、Rf1は、R43-(OR44y3-Oy4-である。
【0289】
上記k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
【0290】
一の態様において、k2は、それぞれ独立して、0であり、l2は、それぞれ独立して、3であり、m2は、それぞれ独立して、0である。
【0291】
式(A1)及び(A2)において、RSiが式(S4)で表される基である場合、好ましくは、式(A1)及び式(A2)の末端部分において、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
【0292】
一の態様において、RSiが式(S4)で表される基である場合、n2が1~3、好ましくは2又は3、より好ましくは3である(SiR34 n235 3-n2)単位は、式(A1)及び式(A2)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
【0293】
好ましい態様において、式(S4)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0294】
好ましい態様において、式(S4)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0295】
好ましい態様において、式(S4)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2又は3、より好ましくは3である。
【0296】
好ましい態様において、式(S4)において、k2は0であり、l2は2又は3、好ましくは3であり、n2は、2又は3、好ましくは3である。
【0297】
一の態様において、式(S4)は、シロキサン結合を含まない。
【0298】
一の態様において、式(S4)の上記式は、
k2は、それぞれ独立して、0であり、
l2は、それぞれ独立して、3であり、
m2は、それぞれ独立して、0であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
34は、-OCHであり、
n2は、それぞれ独立して、3である
【0299】
g1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、及びm2は、上記と同意義である。
【0300】
好ましい態様において、Rg1及びRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1である。
【0301】
上記Zは、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR11 n112 3-n1)に結合する。
【0302】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基である。
【0303】
は、それぞれ独立して、好ましくは酸素原子又は2価の有機基、より好ましくは2価の有機基である。
【0304】
一の態様において、Zは酸素原子である。
【0305】
一の態様において、Zは2価の有機基である。
【0306】
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)又は、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
【0307】
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基又は-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
【0308】
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
【0309】
一の態様において、RSiは、式(S2)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。
【0310】
一の態様において、RSiは、式(S1)、(S3)、(S4)又は(S5)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に複数の加水分解性基を有することから、基材に強く密着することができる。
【0311】
一の態様において、RSiは、式(S1)、(S3)又は(S4)で表される基である。これらの化合物は、一の末端に複数の加水分解性基を有することから、基材に強く密着することができる。
【0312】
一の態様において、RSiは、式(S3)又は(S4)で表される基である。
【0313】
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。
【0314】
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。
【0315】
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。
【0316】
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。
【0317】
一の態様において、RSiは、式(S5)で表される基である。
【0318】
一の態様において、RSiは、式(S1-b)、(S3)又は(S4)で表される基である。
【0319】
式(A1)及び(A2)において、Xは、フルオロポリエーテル部(RFA1及びRFA2)と基材との結合能を提供する部(RSi)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(A1)及び(A2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
【0320】
式(A1)において、α1は1~9の整数であり、β1は1~9の整数である。これらα1及びβ1は、Xの価数に応じて変化し得る。α1及びβ1の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の基である場合、α1及びβ1の和は10であり、例えばα1が9かつβ1が1、α1が5かつβ1が5、又はα1が1かつβ1が9となり得る。また、Xが2価の基である場合、α1及びβ1は1である。
【0321】
式(A2)において、γは1~9の整数である。γは、Xの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、Xの価数から1を引いた値である。
【0322】
は、それぞれ独立して、単結合又は2~10価の基である。
【0323】
は、それぞれ独立して、好ましくは単結合又は2~10価の有機基である。
【0324】
一の態様において、Xは、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を含まない。
【0325】
上記Xにおける2~10価の基は、好ましくは2~8価の基である。一の態様において、かかる2~10価の基は、好ましくは2~4価の基であり、より好ましくは2価の基である。別の態様において、かかる2~10価の基は、好ましくは3~8価の基、より好ましくは3~6価の基である。
【0326】
一の態様において、Xは、単結合又は2価の基であり、α1は1であり、β1は1である。
【0327】
一の態様において、Xは、単結合又は2価の基であり、γは1である。
【0328】
上記2価の基は、好ましくは酸素原子、硫黄原子、NH、CO、又は2価の有機基、より好ましくは酸素原子又は2価の有機基、さらに好ましくは2価の有機基である。
【0329】
一の態様において、Xは、3~6価の基、好ましくは3~6価の有機基であり、α1は1であり、β1は2~5である。
【0330】
一の態様において、Xは、3~6価の基、好ましくは3~6価の有機基であり、γは2~5である。
【0331】
一の態様において、Xは、3価の基、好ましくは3価の有機基であり、α1は1であり、β1は2である。
【0332】
一の態様において、Xは、3価の基、好ましくは3価の有機基であり、γは2である。
【0333】
が、単結合又は2価の基である場合、式(A1)及び(A2)は、下記式(A1’)及び(A2’)で表される。
【化15】
【0334】
一の態様において、Xは単結合である。
【0335】
別の態様において、Xは2価の有機基である。
【0336】
一の態様において、Xとしては、例えば、単結合又は下記式:
-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、単結合、-(CHs5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHs5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
51は、-(X52l5-を表し、
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R53-、-(Si(R53O)m5-Si(R53-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54-及び-(CHn5-からなる群から選択される基を表し、
53は、それぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基又はC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
m5は、各出現において、それぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n5は、各出現において、それぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
l5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であり、
右側がRSiに結合する。]
で表される2価の有機基が挙げられる。ここに、X(典型的にはXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、Xは、これらの基により置換されていない。
【0337】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、-(R51p5-(X51q5-R52-である。R52は、単結合、-(CHt5-又はo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHt5-である。t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R56は、これらの基により置換されていない。
【0338】
好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-R51-X53-R52-、又は
-X54-R
[式中、R51及びR52は、上記と同意義であり、
53は、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-Si(R53-、
-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-O-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-O-(CHu5-Si(R53-O-Si(R53-CHCH-Si(R53-O-Si(R53-、
-O-(CHu5-Si(OCHOSi(OCH-、
-CONR54-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-、
-CONR54-(CHu5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R53
(式中、R53、R54及びm5は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)を表し、
54は、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR54-、
-O-CONR54-、
-CONR54-(CHu5-(Si(R54O)m5-Si(R54-、
-CONR54-(CHu5-N(R54)-、又は
-CONR54-(o-、m-又はp-フェニレン)-Si(R54
(式中、各記号は、上記と同意義である。)
を表す。]
であり得る。
【0339】
より好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-、
-(CHs5-X53-(CHt5
-X54-、又は
-X54-(CHt5
[式中、X53、X54、s5及びt5は、上記と同意義である。]
である。
【0340】
より好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-(CHt5-、又は
-X54-(CHt5
[式中、各記号は、上記と同意義である。]
であり得る。
【0341】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X53-、又は
-(CHs5-X53-(CHt5
[式中、
53は、-O-、-CONR54-、又は-O-CONR54-であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0342】
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
-(CHs5-O-(CHt5
-CONR54-(CHt5
[式中、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
【0343】
一の態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-O-(CHt5-、
-(CHs5-(Si(R53O)m5-Si(R53-(CHt5-、
-(CHs5-O-(CHu5-(Si(R53O)m5-Si(R53-(CHt5-、又は
-(CHs5-O-(CHt5-Si(R53-(CHu5-Si(R53-(Cv2v)-
[式中、R53、m5、s5、t5及びu5は、上記と同意義であり、v5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
である。
【0344】
上記式中、-(Cv2v)-は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、例えば、-CHCH-、-CHCHCH-、-CH(CH)-、-CH(CH)CH-であり得る。
【0345】
上記Xは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、Xは、非置換である。
【0346】
一の態様において、Xは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
【0347】
別の態様において、Xとしては、例えば下記の基が挙げられる:
【化16】
【化17】
[式中、R41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC1-6アルコキシ基、好ましくはメチル基であり、
Dは、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、及び
【化18】
(式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基又はC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。)
から選択される基であり、
Eは、-(CH-(nは2~6の整数)であり、
Dは、分子主鎖のRFA1又はRFA2に結合し、Eは、RSiに結合する。]
【0348】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CONH-(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
【化19】

などが挙げられる。
【0349】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
などが挙げられる。
【0350】
上記Xの具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
などが挙げられる。
【0351】
さらに別の態様において、Xは、それぞれ独立して、式:-(R16x1-(CFR17y1-(CHz1-で表される基である。式中、x1、y1及びz1は、それぞれ独立して、0~10の整数であり、x1、y1及びz1の和は1以上であり、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
【0352】
上記式中、R16は、それぞれ独立して、酸素原子、フェニレン、カルバゾリレン、-NR18-(式中、R18は、水素原子又は有機基を表す)又は2価の有機基である。好ましくは、R18は、酸素原子又は2価の極性基である。
【0353】
上記「2価の極性基」としては、特に限定されないが、-C(O)-、-C(=NR19)-、及び-C(O)NR19-(これらの式中、R19は、水素原子又は低級アルキル基を表す)が挙げられる。当該「低級アルキル基」は、例えば、炭素数1~6のアルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピルであり、これらは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい。
【0354】
上記式中、R17は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は低級フルオロアルキル基であり、好ましくはフッ素原子である。当該「低級フルオロアルキル基」は、例えば、炭素数1~6、好ましくは炭素数1~3のフルオロアルキル基、好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、より好ましくはトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、さらに好ましくはトリフルオロメチル基である。
【0355】
尚、上記Xは、各式の左側がRFA1又はRFA2に結合し、右側がRSiに結合する。
【0356】
さらに別の態様において、Xの例として、下記の基が挙げられる:
【化20】
[式中、
41は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基、又はC1-6アルコキシ基好ましくはメチル基であり、
各X基において、Tのうち任意のいくつかは、分子主鎖のRFA1又はRFA2に結合する以下の基:
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CFO(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH4-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-(式中、Phはフェニルを意味する)、又は
【化21】
[式中、R42は、それぞれ独立して、水素原子、C1-6のアルキル基又はC1-6のアルコキシ基、好ましくはメチル基又はメトキシ基、より好ましくはメチル基を表す。]
であり、別のTのいくつかは、分子主鎖のRSiに結合し、存在する場合、残りのTは、それぞれ独立して、メチル基、フェニル基、C1-6アルコキシ基又はラジカル捕捉基又は紫外線吸収基である。
【0357】
ラジカル捕捉基は、光照射で生じるラジカルを捕捉できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、安息香酸エステル類、サリチル酸フェニル類、クロトン酸類、マロン酸エステル類、オルガノアクリレート類、ヒンダードアミン類、ヒンダードフェノール類、又はトリアジン類の残基が挙げられる。
【0358】
紫外線吸収基は、紫外線を吸収できるものであれば特に限定されないが、例えばベンゾトリアゾール類、ヒドロキシベンゾフェノン類、置換及び未置換安息香酸もしくはサリチル酸化合物のエステル類、アクリレート又はアルコキシシンナメート類、オキサミド類、オキサニリド類、ベンゾキサジノン類、ベンゾキサゾール類の残基が挙げられる。
【0359】
好ましい態様において、好ましいラジカル捕捉基又は紫外線吸収基としては、
【化22】
が挙げられる。
【0360】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、3~10価の基であり得る。
【0361】
さらに別の態様において、Xの例として、下記の基が挙げられる:
【化23】
[式中、R25、R26及びR27は、それぞれ独立して2~6価の有機基であり、
25は、少なくとも1つのRFA1又はRFA2に結合し、R26及びR27は、それぞれ、少なくとも1つのRSiに結合する。]
【0362】
一の態様において、R25は、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、C5-20アリーレン基、-R57-X58-R59-、-X58-R59-、又は-R57-X58-である。上記、R57及びR59は、それぞれ独立して、単結合、C1-20アルキレン基、C3-20シクロアルキレン基、又はC5-20アリーレン基である。上記X58は、-O-、-S-、-CO-、-O-CO-又は-COO-である。
【0363】
一の態様において、R26及びR27は、それぞれ独立して、炭化水素、又は炭化水素の端又は主鎖中にN、O及びSから選択される少なくとも1つの原子を有する基であり、好ましくは、C1-6アルキル基、-R36-R37-R36-、-R36-CHR38 -などが挙げられる。ここに、R36は、それぞれ独立して、単結合又は炭素数1~6のアルキル基、好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。R37は、N、O又はSであり、好ましくはN又はOである。R38は、-R45-R46-R45-、-R46-R45-又は-R45-R46-である。ここに、R45は、それぞれ独立して、炭素数1~6のアルキル基である。R46は、N、O又はSであり、好ましくはOである。
【0364】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、3~10価の基であり得る。
【0365】
さらに別の態様において、Xは、下記:
【化24】
[式中、Xは、単結合又は2価の有機基である。]
で表される基である。
【0366】
上記Xは、イソシアヌル環に直接結合する単結合又は二価の連結基である。Xとしては、単結合、アルキレン基、又は、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、又は、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の二価の炭化水素基がより好ましい。
【0367】
としては、下記式:
-(CX121122x1-(Xa1y1-(CX123124z1
(式中、X121~X124は、それぞれ独立して、H、F、OH、又は、-OSi(OR121(式中、3つのR121は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基である。)であり、
上記Xa1は、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、又は、-NHC(=O)NH-であり(各結合の左側がCX121122に結合する。)、
x1は0~10の整数であり、y1は0又は1であり、z1は1~10の整数である。)
で表される基が更に好ましい。
【0368】
上記Xa1としては、-O-又は-C(=O)O-が好ましい。
【0369】
上記Xとしては、下記式:
-(CFm11-(CHm12-O-(CHm13
(式中、m11は1~3の整数であり、m12は1~3の整数であり、m13は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CFm14-(CHm15-O-CHCH(OH)-(CHm16
(式中、m14は1~3の整数であり、m15は1~3の整数であり、m16は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CFm17-(CHm18
(式中、m17は1~3の整数であり、m18は1~3の整数である。)
で表される基、
-(CFm19-(CHm20-O-CHCH(OSi(OCH)-(CHm21
(式中、m19は1~3の整数であり、m20は1~3の整数であり、m21は1~3の整数である。)
で表される基、又は、
-(CHm22
(式中、m22は1~3の整数である。)
で表される基が特に好ましい。
【0370】
上記Xとして、特に限定されないが、具体的には、
-CH-、-C-、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-、-(CFn5-(n5は0~4の整数である。)、-(CFn5-(CHm5-(n5およびm5は、それぞれ独立して、0~4の整数である。)、-CFCFCHOCHCH(OH)CH-、-CFCFCHOCHCH(OSi(OCH)CH
等が挙げられる。
【0371】
この態様において、Xは、それぞれ独立して、2又は3価の基であり得る。
【0372】
一の態様において、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、シロキサン結合(-Si-O-Si-)を含まない。
【0373】
式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×10~1×10の数平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2,000~32,000、より好ましくは2,500~12,000の数平均分子量を有することが、摩擦耐久性の観点から好ましい。なお、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
【0374】
一の態様において、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の数平均分子量は、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000、さらにより好ましくは2,000~10,000、例えば3,000~6,000であり得る。
【0375】
別の態様において、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の数平均分子量は、4,000~30,000、好ましくは5,000~10,000、より好ましくは6,000~10,000であり得る。
【0376】
一の態様において、本開示の複合材料中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(A1)で表される化合物である。
【0377】
別の態様において、本開示の複合材料中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(A2)で表される化合物である。
【0378】
別の態様において、本開示の複合材料中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(A1)で表される化合物及び式(A2)で表される化合物である。
【0379】
別の態様において、本開示の複合材料中、式(A1)で表される化合物及び式(A2)で表される化合物は、それぞれ、あるいは互いに部分的に縮合していてもよい。即ち、式(A1)で表される化合物同士、式(A2)で表される化合物同士、あるいは式(A1)で表される化合物及び式(A2)で表される化合物間で、部分的に縮合した状態で存在してもよい。従って、本開示の複合材料は、式(A1)で表される化合物の部分縮合物、式(A2)で表される化合物の部分縮合物、又は式(A1)で表される化合物と式(A2)で表される化合物の部分縮合物を含有し得る。
【0380】
本開示の複合材料中、式(A1)で表される化合物と式(A2)で表される化合物との合計に対して、式(A2)で表される化合物が、好ましくは0.1モル%以上35モル%以下である。式(A1)で表される化合物と式(A2)で表される化合物との合計に対する式(A2)で表される化合物の含有量の下限は、好ましくは0.1モル%、より好ましくは0.2モル%、さらに好ましくは0.5モル%、さらにより好ましくは1モル%、特に好ましくは2モル%、特別には5モル%であり得る。式(A1)で表される化合物と式(A2)で表される化合物との合計に対する式(A2)で表される化合物の含有量の上限は、好ましくは35モル%、より好ましくは30モル%、さらに好ましくは20モル%、さらにより好ましくは15モル%又は10モル%であり得る。式(A1)で表される化合物と式(A2)で表される化合物との合計に対する式(A2)で表される化合物は、好ましくは0.1モル%以上30モル%以下、より好ましくは0.1モル%以上20モル%以下、さらに好ましくは0.2モル%以上10モル%以下、さらにより好ましくは0.5モル%以上10モル%以下、特に好ましくは1モル%以上10モル%以下、例えば2モル%以上10モル%以下又は5モル%以上10モル%以下である。式(A2)で表される化合物をかかる範囲とすることにより、摩擦耐久性を向上させることができる。
【0381】
上記の式(A1)又は(A2)で表される化合物は、例えば、国際公開第2006/10708号、特開2019-183160号公報等に記載の方法により得ることができる。
【0382】
[他の成分]
本開示の複合材料は、溶媒、アルコール類、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロポリエーテル化合物(以下、まとめて「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、相溶化剤、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
【0383】
上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、ゼオローラH)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、HFE7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、HFE7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、HFE7300)、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピルメチルエーテル(CFCFHCFOCH)(HFE-356mec)等のフッ素含有溶媒等が挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。
【0384】
上記アルコール類としては、例えば1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~6のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、tert-ブタノール、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH、H(CFCF)CHOH、H(CFCFCHOH、H(CFCFCHOHが挙げられる。これらのアルコール類を本開示の複合材料が含むことにより、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の安定性を向上させ、また、成分(A)及び成分(B)と溶媒の相溶性を改善させる。
【0385】
好ましい態様において、本開示の複合材料は、溶媒とアルコールを含む。
【0386】
アルコールの含有量は、溶媒とアルコールの合計に対して、好ましくは0.1~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、さらに好ましくは1.0~20質量%、さらにより好ましくは2.0~10質量%である。
【0387】
含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロポリエーテル化合物)が挙げられる。
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf ・・・(3)
式中、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf及びRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロポリエーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び(OCFCF(CF))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCF)-及び(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
【0388】
上記一般式(3)で表されるパーフルオロポリエーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)及び(3b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf-(OCFCFCFb”-Rf ・・・(3a)
Rf-(OCFCFCFCFa”-(OCFCFCFb”-(OCFCFc”-(OCFd”-Rf ・・・(3b)
これら式中、Rf及びRfは上記の通りであり;式(3a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a”及びb”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c”及びd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
【0389】
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf-F(式中、RfはC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。
【0390】
上記含フッ素オイルは、500~10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
【0391】
含フッ素オイルは、本開示の複合材料に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~5質量%含まれ得る。一の態様において、本開示の複合材料は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、又は極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
【0392】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を大きくしてもよい。
【0393】
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を小さくしてもよい。
【0394】
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
【0395】
本開示の複合材料中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは50~200質量部で含まれ得る。
【0396】
上記相溶化剤としては、2,2,2-トリフルオロエタノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール又は2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンタノール等のフッ素置換アルコール、好ましくは末端がCFHであるフッ素置換アルコール、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等のフッ素置換アリール、好ましくはフッ素置換ベンゼン等が挙げられる。
【0397】
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
【0398】
触媒は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、本開示の複合材料により基材に形成される層の形成を促進する。
【0399】
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
【0400】
本開示の複合材料は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
【0401】
一実施形態では、本開示の解重合性ポリマーは、蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するキャリア材料であってよい。具体的には、本開示の解重合性ポリマーは、蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するキャリア材料である解重合性ポリマーであって、TG-DTA測定において、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで上記解重合性ポリマーを加熱した際、500℃における上記解重合性ポリマーの残渣量が、解重合性ポリマーの初期重量の5%以下である、蒸着用の解重合性ポリマーであってよい。
【0402】
キャリア材料とは、蒸着物質を含むことが可能な材料を意味する。例えば、キャリア材料は、蒸着物質を保持または担持することが可能な材料であってよい。一実施形態では、キャリア材料は、解重合性ポリマーからなっていてもよい。蒸着用の液体材料とは、常温で液体を示す、基材に蒸着可能な蒸着物質を意味する。蒸着用の液体材料は、単独の材料からなっていてもよく、複数の材料からなっていてもよい。例えば、蒸着用の液体材料は、蒸着物質を含む溶液等であってもよい。
【0403】
本開示の解重合性ポリマーは、上記特徴を有することにより、蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣が少なくなり、より簡易な工程で基材の表面に薄膜を形成できる複合材料を提供することができる。また、基材の表面に解重合性ポリマーが蒸着され難くなり、基材の表面に液体材料に由来する層が形成され易くなる。
【0404】
本開示の解重合性ポリマーのTG-DTA測定は、熱重量示差熱測定を用いて、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで解重合性ポリマーを加熱することにより実施できる。本開示の解重合性ポリマーのTG-DTA測定は、実施例において詳述される。
【0405】
500℃における上記解重合性ポリマーの残渣量は、解重合性ポリマーの初期重量の3%以下であってよく、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.3%以下であってよい。なお、解重合性ポリマーの初期重量とは、解重合性ポリマーを加熱する前の重量を意味する。
【0406】
一実施形態では、本開示の解重合性ポリマーは、蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するところ、蒸着用の液体材料を基材に蒸着させた際に解重合性ポリマーも基材に蒸着し得る。この点につき、基材上に蒸着する解重合性ポリマーの量は、基材上に蒸着する蒸着用の液体材料の量よりも少ないことが好ましい。具体的には、基材上に蒸着する解重合性ポリマーの量は、例えば、基材上に蒸着する蒸着用の液体材料の量の30質量%以下であってよく、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下であってよい。
【0407】
一実施形態では、蒸着材料は、上記特徴を有する解重合性ポリマーと、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを含む。かかる特徴を含むことにより、蒸着の際、基材に解重合性ポリマーが蒸着し難くなり、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物に由来する薄膜が形成され易くなる。
【0408】
一実施形態では、本開示の解重合性ポリマーは、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の蒸着において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と組み合わせて使用される解重合性ポリマーであってよい。本開示の解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせて蒸着を行うことにより、解重合性ポリマーが基材に蒸着し難くなり、基材にはフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に由来する薄膜がより形成され易くなる。
【0409】
一実施形態では、本開示の複合材料は、蒸着材料であってよい。「蒸着材料」とは、基材等に蒸着物質を蒸着させるために用いる材料を意味する。この点につき、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、基材に蒸着する「蒸着物質」であり、解重合性ポリマーが、蒸着物質を担持する「キャリア材料」である、と捉えることができる。
【0410】
一実施形態では、本開示の複合材料は、複合材料の熱伝導性を調整する添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、金属、金属酸化物、セラミック粉体からなる群から選択される少なくとも1種であってよい。金属としては、銀、銅、金、ニッケル、またはアルミニウム等が挙げられる。金属酸化物としては、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、または酸化チタン等が挙げられる。セラミック粉体としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化チタン、または炭化チタン等が挙げられる。
【0411】
一実施形態では、本開示の複合材料は、解重合性ポリマーの分解を促進するための添加剤を含んでいてもよい。そのような添加剤としては、例えば、有機酸化合物または有機塩基化合物であってよい)。有機酸化合物としては、ギ酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、乳酸、シュウ酸、またはグルコン酸等が挙げられる。有機塩基化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン、ナトリウムエトキシド、イミダゾール等が挙げられる。
【0412】
一実施形態では、本開示の複合材料は、解重合性ポリマーの融解性を調整するための架橋剤を含んでいてもよい。そのような架橋剤としては、例えば、ラジカル重合性を持つ多官能化合物であってよい。そのような多官能化合物としては、例えば、多官能基を有する(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル化合物等であってよい。多官能化合物が有する官能基としては、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、ビニル基、またはカルボキシ基等が挙げられる)。
【0413】
本開示の複合材料を安定して保存する観点から、本開示の複合材料は、容器等に保管されてもよい。例えば、輸送中、複合材料は上記容器等に保管され、使用時に本開示の複合材料を容器から取り出してもよい。そのような容器としては、遮光性、気密性、ガス不透過性、ならびに水分および水蒸気不透過性から成る群から選択される一つ以上の性能を有することが好ましい。
【0414】
[蒸着方法]
本開示の蒸着方法は、
解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせて蒸着材料を調製すること、
蒸着材料を加熱し、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を基材上に蒸着させること、を含む。
【0415】
本開示の蒸着方法により、基材上にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に由来する層が形成される。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の薄膜は、優れた撥水性、撥油性、防汚性等を提供し得る。例えば、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の薄膜は、基材への金属パターニングの際に、基材へのマスキングとして機能し得る。具体的には、基材に形成されたフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の薄膜は、蒸着する金属を撥く(つまり撥金属性を有する)ため、当該薄膜には金属が蒸着され難い性質を有し得る。
【0416】
本開示の蒸着方法に用いる解重合性ポリマーおよびフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、本願明細書に記載の解重合性ポリマーおよびフルオロポリエーテル基含有シラン化合物であってよい。
【0417】
解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせるとは、例えば、解重合性ポリマーにフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含ませることであってよい。上記組合せは、例えば解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを接触させることまたは混合することにより成され得る。
【0418】
一実施形態では、解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせる前に、解重合性ポリマーを乾燥してもよい。かかる乾燥により、解重合性ポリマーに含まれる水分が減少し得るため、上記組み合わせ後のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物がより安定して存在し易くなる。
【0419】
一実施形態では、解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物との組合せが、解重合性ポリマーにフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含浸させることであってよい。解重合性ポリマーへのフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の含浸は、公知の方法を用いてもよく、例えば真空含浸法、加圧含浸法、または真空加圧含浸法等により行ってもよい。
【0420】
本開示の蒸着方法において、基材へのフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の蒸着は、蒸着材料を加熱することで行われ得る。蒸着方法は、常套の蒸着方法であってよく、例えば真空蒸着法であってよい。真空蒸着の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。
【0421】
上記蒸着材料の加熱は、蒸着材料を100℃~600℃に加熱することであってよい。蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をさらに少なくする観点から、好ましくは蒸着材料を150℃~550℃に加熱してもよく、より好ましくは200℃~500℃、さらに好ましくは250℃~550℃、特に好ましくは300℃~500℃に加熱してもよい。
【0422】
蒸着処理後の解重合性ポリマーの残渣をより少なくする観点から、上記蒸着材料の加熱は、解重合性ポリマーの天井温度よりも高い温度であってよく、好ましくは天井温度よりも10℃以上高い温度、より好ましくは30℃以上高い温度、さらに好ましくは50℃以上高い温度であってよい。
【0423】
蒸着材料からフルオロポリエーテル基含有シラン化合物をより気化させ易くする観点から、蒸着は減圧状態で実施してもよい。例えば、蒸着は、10-1Pa~10-5Paの圧力下で実施してもよく、好ましくは10-1Pa~10-4Pa、より好ましくは10-2Pa~10-4Paで実施してもよい。
【0424】
本開示の蒸着方法に使用可能な基材は、例えばガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属(アルミニウム、銅、鉄等の金属単体または合金等の複合体であってよい)、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
【0425】
上記ガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネートが好ましい。
【0426】
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るも
のであってよい。かかる材料としては、ガラス、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
【0427】
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
【0428】
好ましい態様において、上記基材はガラスである。
【0429】
上記基材の形状は特に限定されず、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
【0430】
上記基材の厚みは、例えば、0.1mm~30mmの範囲にあってもよい。
【0431】
上記基材としては、必要に応じて、マスキング等によって予め部分的に保護されたものを用いてもよい。
【実施例0432】
以下、本開示の複合材料および蒸着方法について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
【0433】
(キャリア材料の評価)
熱重量示差熱測定(TG/DTA)
各種キャリア材料の熱分解挙動を調査するために、表1に示す各樹脂に対し、熱重量示差熱測定装置(日立ハイテクサイエンス社製、型番:TG/DTA7200)を用いてTG/DTA測定を実施した。アルミパンに表1に示す各樹脂10mgを秤量、リファレンスに酸化アルミ粉末(Al)を用いて、測定温度範囲25~600℃、昇温速度10度/分、窒素雰囲気下で測定を実施し、測定後樹脂の残渣率を評価した。評価結果を表1に示す。
【0434】
蒸着挙動の評価
各種キャリア材料の蒸着挙動を調査するため、表1に示す各種樹脂で蒸着試験を実施した。直径1900mmφの真空蒸着機を用い、200mgの樹脂を加熱抵抗式の蒸着ボート上に設置、真空ポンプでチャンバー内を減圧し10-3Paに到達したところで蒸着ボートに電流を流し加熱した。チャンバー上部の水晶振動子で蒸着膜厚を、蒸着終了後のボート上のキャリア材残渣量を評価した。評価結果を表1に示す。
【0435】
【表1】
【0436】
(樹脂キャリア材を用いた蒸着評価)
蒸着処理
表2に示す各種樹脂粉末160mgを金属製の型枠に入れプレス機にて5MPa/1分加圧し、直径10mmのタブレット状に成型し蒸着用キャリア材とした。
【0437】
蒸着物質として用いるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、下記化合物(A)および(B)を準備した。
化合物(A):
【化25】
(n≒20、t=1~6であり、平均は約3)
【0438】
化合物(B):
【化26】
(m=15、n=16)
【0439】
上記化合物(A)および(B)80mgを、表2に示す組合せとなるように樹脂に含浸させて蒸着材料を得た。また、通常法としてスチールウールに(A)を含浸させた蒸着材料を得た。得られた蒸着材料を真空蒸着機の加熱ボート上にセット、ガラスをターゲット基盤上に設置し上記と同様の条件で蒸着処理を行った。
【0440】
蒸着時の膜厚、蒸着残渣量、得られたガラスの水接触角を評価した。またこれらの評価結果から以下の基準で連続プロセス適合性を評価した。
<連続プロセス適合性評価>
◎:蒸着機にセットする際に個体もしくは粉体であり、蒸着残渣量が投入した量に対し1%以下であること。
〇:蒸着機にセットする際に個体もしくは粉体であり、蒸着残渣量が投入した量に対し5%以下であること。
×:上記を満たさない場合。
【0441】
【表2】
【0442】
表1および表2の結果から、解重合性ポリマーおよびフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む本開示の複合材料は、蒸着処理後の残渣量が少なく、連続プロセスに適合することがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0443】
本開示の複合材料は、基材への蒸着物質の蒸着に用いられる。本開示の複合材料は、様々な分野において使用できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸着材料である複合材料であって、前記複合材料は、
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および解重合性ポリマーを含
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(A1)又は(A2):
【化1】
[式中:
FA1 は、それぞれ独立して、Rf -R -O -であり、
FA2 は、-Rf -R -O -であり、
は、
それぞれ独立して、式:
-(OC 12 -(OC 10 -(OC -(OC Fa -(OC -(OCF
[式中:
Fa は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのR Fa が水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]で表される基であり、
Rf は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC 1-16 アルキル基であり、
Rf は、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC 1-6 アルキレン基であり、
pは、0又は1であり、
qは、それぞれ独立して、0又は1であり、
Si は、
それぞれ独立して、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)又は(S5):
【化2】
[式中:
11 は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR 11 n1 12 3-n1 )単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11 は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
14 は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は-X 11 -SiR 11 n1 12 3-n1 であり、
15 は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基、又は炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
a1 は、それぞれ独立して、-Z -SiR 21 p1 22 q1 23 r1 であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21 は、それぞれ独立して、-Z 1’ -SiR 21’ p1’ 22’ q1’ 23’ r1’ であり;
22 は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR 21 p1 22 q1 23 r1 )単位において、3であり、
1’ は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’ は、それぞれ独立して、-Z 1” -SiR 22” q1” 23” r1” であり;
22’ は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’ は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR 21’ p1’ 22’ q1’ 23’ r1’ )単位において、3であり、
1” は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22” は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23” は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR 22” q1” 23” r1” )単位において、3であり、
b1 は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiR a1 k1 b1 l1 c1 m1 )単位において、3であり、
d1 は、それぞれ独立して、-Z -CR 31 p2 32 q2 33 r2 であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31 は、それぞれ独立して、-Z 2’ -CR 32’ q2’ 33’ r2’ であり;
32 は、それぞれ独立して、-Z -SiR 34 n2 35 3-n2 であり、
33 は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR 31 p2 32 q2 33 r2 )単位において、3であり、
2’ は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’ は、それぞれ独立して、-Z -SiR 34 n2 35 3-n2 であり、
33’ は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR 32’ q2’ 33’ r2’ )単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34 は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35 は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1 は、それぞれ独立して、-Z -SiR 34 n2 35 3-n2 であり、
f1 は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CR d1 k2 e1 l2 f1 m2 )単位において、3であり、
g1 及びR h1 は、それぞれ独立して、-Z -SiR 11 n1 12 3-n1 、-Z -SiR a1 k1 b1 l1 c1 m1 、又は-Z -CR d1 k2 e1 l2 f1 m2 であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり、
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)及び(S5)中、水酸基又は加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。]
で表される基であり、
は、それぞれ独立して、
単結合又は下記式:
-(R 51 p5 -(X 51 q5
[式中:
51 は、単結合、-(CH s5 -又はo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、
s5は、1~20の整数であり、
51 は、-(X 52 l5 -であり、
52 は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-C(O)O-、-Si(R 53 -、-(Si(R 53 O) m5 -Si(R 53 -、-CONR 54 -、-O-CONR 54 -、-NR 54 -及び-(CH n5 -からなる群から選択される基であり、
53 は、それぞれ独立して、フェニル基、C 1-6 アルキル基又はC 1-6 アルコキシ基であり、
54 は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC 1-6 アルキル基であり、
m5は、それぞれ独立して、1~100の整数であり、
n5は、それぞれ独立して、1~20の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5及びq5の少なくとも一方は1であり、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であり、
右側がR Si に結合する。]
で表される2価の基、又は
下記式:
【化3】
[式中、X は、単結合又は2価の基である。]
で表される基であり、
α1は、1又は2の整数であり、
β1は、1又は2の整数であり、
γ1は、それぞれ独立して、1又は2の整数である。]
で表される化合物であり、
前記解重合性ポリマーは、下記式:
CR =CR
[式中、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子またはハロゲン原子であり、
は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子であり、
は、アリール基、COOR 、またはハロゲン原子であり、
は、炭素数1~20のアルキル基、-R -Rf、またはハロゲン原子であり、
は、単結合または炭素数1~20のアルキレン基であり、
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~20のアルキル基である。]
で表されるエチレン性不飽和モノマーに由来する単量体単位を含む、複合材料。
【請求項2】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物が、前記解重合性ポリマーに含浸されている、請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した一価の有機基またはハロゲン原子を有する、請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記解重合性ポリマーは、α位に位置する炭素原子に結合した炭素数1~6のアルキル基またはハロゲン原子を有する、請求項3に記載の複合材料。
【請求項5】
、R、RおよびRが、フッ素原子である、請求項に記載の複合材料。
【請求項6】
およびRが、水素原子であり、
が、炭素数1~6のアルキル基であり、
が、アリール基またはCOORであり、
が、炭素数1~20のアルキル基である、
請求項に記載の複合材料。
【請求項7】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、Rがメチル基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項8】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
は、フェニル基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項9】
、RおよびRが、水素原子であり、
は、フェニル基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項10】
およびRが、水素原子であり、
がメチル基であり、
がCOORであり、
が-R-Rfであり、
が炭素数2のアルキレン基であり、
Rfは、炭素数6のパーフルオロアルキル基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項11】
前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、前記解重合性ポリマーに対して、30質量%以上含まれる、請求項1に記載の複合材料。
【請求項12】
前記解重合性ポリマーは、多孔質である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項13】
前記解重合性ポリマーは、タブレット状または粉体状である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項14】
前記解重合性ポリマーは粉体状であり、前記解重合性ポリマーの平均粒子径は0.1μm~100μmである、請求項1に記載の複合材料。
【請求項15】
前記解重合性ポリマーの天井温度が、500℃以下である、請求項1に記載の複合材料。
【請求項16】
式(A1)及び(A2)において、
Rfは、C1-16パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中:
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、ただし、すべてのRFaが水素原子又は塩素原子である場合、a、b、c、e及びfの少なくとも1つは、1以上である。]
で表される基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項17】
式(A1)及び(A2)において、Rは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)、(f5)、せいky又は(f6):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]、
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]、
-(R-R-R-(R7’-R6’g’- (f4)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
6’は、OCF又はOCであり、
7’は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数であり、
g’は、2~100の整数であり、
は、
【化4】
(式中、*は、結合位置を示す。)
である。];
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f6)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項18】
α1、β1、及びγ1は、1であり、Xは、単結合又は2価の基である、請求項に記載の複合材料。
【請求項19】
式(A1)及び(A2)において、
FA1は、それぞれ独立して、Rf-R-O-であり、
FA2は、-Rf -R-O-であり、
は、それぞれ独立して、下記式(f1)又は(f2):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは1~200の整数であり、eは0又は1である。]、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
e及びfは、それぞれ独立して、1~200の整数であり、
c、d、e及びfの和は、10~200の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]で表される基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-6パーフルオロアルキレン基であり、
pは、1であり、
qは、1であり、
Siは、下記式(S1-b)、(S3)又は(S4):


[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合又は2価の基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1、q1及びr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p1’、q1’及びr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1”及びr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k1、l1及びm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり;
は、それぞれ独立して、単結合、2価の基であり;
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり;
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
p2、q2及びr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2’及びr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3であり、
は、それぞれ独立して、単結合、又は2価の基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基又は加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基又は1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
k2、l2及びm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。]で表される基であり、
は、それぞれ独立して、
単結合、
-(CHs5-O-(CHt5-又は
-CONR54-(CHt5
[式中、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり、
α1は、1であり、
β1は、1であり、
γ1は、1である、請求項に記載の複合材料。
【請求項20】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S1-b):
【化5】
[式中、
n1は、3であり、
11は、-OCHであり、
13は、水素原子であり、
11は、単結合であり、
tは、1~6の整数]で表される基である、請求項19に記載の複合材料。
【請求項21】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S3):
[式中:
k1は、それぞれ独立して、3であり、
l1は、それぞれ独立して、0であり、
m1は、それぞれ独立して、0であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
p1は、0であり、
q1は、3であり、
r1は、0であり、
22は、-OCHである]で表される基である、請求項19に記載の複合材料。
【請求項22】
式(A1)及び(A2)において、
Siは、下記式(S4):
[式中:
k2は、それぞれ独立して、0であり、
l2は、それぞれ独立して、3であり、
m2は、それぞれ独立して、0であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
は、C1-3アルキレン基であり、
34は、-OCHであり、
n2は、それぞれ独立して、3である]で表される基である、請求項19に記載の複合材料。
【請求項23】
式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OCFCFCF-OCFCF
[式中、dは、10~30の整数である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、請求項19に記載の複合材料。
【請求項24】
式(A1)及び(A2)において、
は、それぞれ独立して、
-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中、c及びdは、それぞれ独立して、0または1であり、
e及びfは、それぞれ独立して、10~30の整数であり、
c、d、e及びfの和は、20~45の整数であり、
c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基であり、
Rfは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキレン基である、請求項19に記載の複合材料。
【請求項25】
蒸着用の液体材料と組み合わせて使用するキャリア材料である解重合性ポリマーであって、
TG-DTA測定において、窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分の昇温速度で25℃から600℃まで前記解重合性ポリマーを加熱した際、500℃における前記解重合性ポリマーの残渣量が、前記解重合性ポリマーの初期重量の5%以下である、蒸着用の解重合性ポリマー。
【請求項26】
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および請求項25に記載の解重合性ポリマーを含む、蒸着材料。
【請求項27】
解重合性ポリマーとフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とを組み合わせて請求項1に記載の複合材料を調製すること、
前記複合材料を加熱し、前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を基材上に蒸着させること、を含む蒸着方法。
【請求項28】
前記組合せが、前記解重合性ポリマーに前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含浸させることである、請求項27に記載の蒸着方法。